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小学生における学習意欲、知能および学業成績

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

小学生における学習意欲、知能および学業成績

著者 杉村 健

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 18

ページ 101‑108

発行年 1982‑03‑23

その他のタイトル Motivation for School Work, Intelligence , and Academic Performance in Elementary School

Children

URL http://hdl.handle.net/10105/6523

(2)

小学生における学習意欲、知能および学業成績*

杉  村     健榊

  (心理学教室)

 本研究の目的は、質問紙法によって査定された学習意欲の高低と、知能検査の結果および学業 成績の関係を調べることである。学習意欲の査定には、奈良県障害児学校・学級放送教育研究会

(1975)が作成した調査項目が用いられた。これによって、①内発的意欲、②達成意欲、③計 画性と実行意欲が査定でき、それぞれの高い者と低い者を選び出して、・言語、空間、数といった 因子別の知能の成績、および国語、算数、社会、理科の成績を比較した。これまで、学習意欲と 学業成績の間に関係があるといわれてきたが(辰野、1977)、本研究の特色は、3つの意欲のそ れぞれが、3つの知能因子と4教科にどのように関係しているかを、発達的(小2,4,6)に 検討したことである。なお、学習塾に行っている者と行っていない者について、学習意欲、知能、

学業成績を比較した結果も報告する。

方       法

 調査対象  調査対象は奈良県下の小学校2年生、4年生、6年生で、表1に示したように、

合計394名であった。

      表1 調査対象の内訳

学 年

合 計

2 4 6

学級数 4 4 3 11

男児数 73 74 60 207 女児数 74 64 49 187 合計 147 138 109 394

 調査内容  ω 学習意欲一新しいことに自発的に取り組もうとする内発的意欲、困難なこ とを最後までやりとげようとする達成意欲、および計画を立てて実行しようとする計画性と実行 意欲の3つの学習意欲、それぞれにつき10項目の質問からなっており、Hはいいっも はいと きどポ いいえ のいずれかで答えさせる。項目の例は次のとおりである(上田・杉村・玉瀬、

1976参照)。

* Motivation for School Work,Inte11igence,and Academic Performance in E1ementary  School Children

**Takeshi Sugimura(Department of Psychology,Nara University of Education,Nara)

(3)

①内発的意欲:新しいことに興味を示す、何でもやってみようとする、進んで課題に取り組 む、資料を活用する、進んで発表す乱

②達成意欲:先生の話を熱心に聞く、よく質問する問いろいろなことを考えて発表する、最 後まであきずに勉強する一難しい問題でも最後まで取り組む。

③計画性と実行意欲:忘れものをしない、責任をもって係の仕事をする、計画を立てて勉強 する、予習する、復習する。

 (2〕知能検査  2年生には京大N Xτ_g知能検査(梅本ら一1971)一4年生と6年生には京 大N Xト12知能検査(苧阪ら・ユ972)が用いられれ2つとも言語因子・空間因子・数因子の

3っからなっている。言語因子と数因子は学習努力知能とよばれ、学習や経験によって形成され るものであり、空間因子は素質面が強い知能であるとされている。

 ①言語因子:語い関係の理解力、日常生活に必要な記憶力や注意力、類概念能力、ことばの 豊富さや流暢さ、論理的な推理力が調べられる。

 ②空間因子:知覚的弁別能力、空間的直観力や視覚的注意力が調べられる。

 ③数因子:計算能力や計算速度といった理数科の基礎学習能力、数関係の理解力や応用力が

調べられる。

 13〕学業成績  国語、算数、社会、理科の4教科について、1学期末の成績(素点)を用い

た。

 14〕学習塾調査  学習塾に行っている者について、その教科と理由を記入させた。理由は、

①自分で行きたいと思ったから、②親にすすめられたから、③友だちが行っているから、の3 つのうちで1つを選ばせた。

 手僚き  学習意欲調査、知能検査、学習塾調査は、著者と心理学専攻生によって午前中に教 室で実施された。まず、京大N X知能検査を手引に従って実施した。そのあとで学習■意欲と学習 塾の回答用紙を配布し、調査者が質問を読みあげながら、1問ずつ回答させた。2年生と4年生 は昭和56年10月13日に、6年生は10月20日に実施した。

結 果 と 考 察

 学習意欲と知能および学業成績  まず、全員について学習意欲の得点を算出し、各学年男女 別に、それぞれの意欲得点が上位から約25%、下位から約25%の者を選び出した。2年生の高得点 群は男児15点以上、女児17点以上であり、低得点群は男児10点以下、女児12点以下で、男女それ ぞれ18名ずつであった。4年生の高得点群は男児14点以上、女児15点以上、低得点群は男児8点 以下、女児10点以下であり、男児は18名ずつ、女児は16名ずつであった。6年生の高得点群は男 児14点以上、女児13点以上、低得点群は男女ともに7点以下であり、男児は15名ずつ、女児は12 名ずつであった。男女をこみにした高意欲群と低意欲群について、知能および学業成績の比較を 行った。したがって、2年生は36名ずつ、4年生は34名ずつ、6年生は27名ずつの資料である。

 ω 内発的意欲  表2は、内発的意欲の高得点群と低得点群について、知能偏差値と学業成

一102一

(4)

績(素点)の平均(SD)および群差についてのtテストの結果を示したものである。表からわ かるように、2年生の数因子、4年生の空間因子、6年生の知能全部、および4年生の国語と6 年生の理科を除くすべてにおいて有意差がみられ、高意欲群の方がよい成績を示している。

 12〕達成意欲  表3は、達成意欲の高得点群と低得点群の結果である。全体として高意欲群 がよい成績を示しているが、統計的に有意になったのは2年生の知能(空間因子を除く)、6年 生の数因子、および2年生の国語と6年生の国語、算数、社会だけであった。4年生では知能、

学業成績のいずれも有意差がなかった。

 13〕計画性と実行意欲  表4は、計画性と実行意欲の高得点群と低得点群の結果である。こ の場合も達成意欲と同様に有意差が得られたものは少なく、わずかに2年生の知能(数因子も1O

%水準で有意)と国語、6年生の算数と社会だけであった。

表2 内発的意欲が高い群と低い群の平均(SD)

学年 テス ト 高意欲群 低意欲群 t

□…■■ 言 語 55.5(8.O) 51.2(6.2) 4.3 2.51*

知 空 間 56.4(6.3) 52.O(7.1) 4.4 2.74榊

2

能 数 52.3(7.2) 50.5(6.2) 1.8 1.12

全 体 56.2(7.8) 51.4(6.6) 4.8 2.78‡*

学 国 語 82.1(11.5) 72.8(12.2) 9.3 3.28**

生 業 算 数 78.6(15.6) 66.8(15.6) 11.8 3.16**

成 社 会 89.O(9.1) 79.1(10.4) 9.9 4.24**

績 理 科 83,5(10.1) 74.3(11.6) 9,2 3.54**

言 語 54.5(8.6) 48.9(9.7) 5.6 2.48*

知 空 問 57.5(8.7) 53.8(1O.5) 3.7 1.59

4

能 数 52.2(9.2) 47.4(8.8) 4.8 2.17*

全 体 55.8(9.3) 49.5(11.O) 6.3 2.51*

学 国 語 82.4(14.O) 74.6(20.5) 7.8 1.80

生 業 算 数 84.3(口.7) 73.2(18.9) 11.1 2.87州

成 社 会 82.4(11.3) 70.3(19.6) 12.1 3.07**

績 理 科 87.7(7.0) 79.5(15.5) 8.2 2.77非*

言 語 49.4(6.4) 49.5(5.7) 一〇.1 0.06

知 空 間 50.2(8.4) 50.6(6.4) 一〇、4 O.19

6

46.9(10.2) 44.6(1O.3) 2.3 0.81

全 体 4&6(7.9) 48.2(7.0) O.4 O.19

語 84.6(6.8) 73.5(11.1) 11.1 4.35**

生 業 算 数 84.2(11.2) 68.7(16.4) 15.5 3.98**

82.4(11.O) 68.3(12.5) 14.1 4.32**

績 理 科 85.4(10.互) 83.5(7,4) 1.9 0.77

淘 自由度は2年生70,4年生66,6年生52。

  *戸<.05  **P<.O1

(5)

表3 達成意欲が高い群と低い群の平均(S D)

学年 テスト 高意欲群 低意欲群 t

…  茎E一

[コ  皿回 55.7(7.2) 52.1(6.5) 3.6 2.20*

知 空間 55.7(6.9) 53,4(6.1) 2.3 1.48

2

52.7(6,4) 49.3(6.9)

3.4 2.14*

全体 56.3(6.6) 51.9(7.6) 4.4 2.59*

年  国語学業算数 82.6(9.8) 73.8(13.9) 8−8 3.06**

75.1(16.1) 70.0(17.7) 5.1 1.26

成社会 ム 理科 86.5(10.8) 81.7(11,1)

4.8 1.83

81,6(11.8) 7619(11.7) 4.7 1.67

ロ  ロロ 52.2(9,1) 49.1(9.6) 3.1 1.35

知 空間 54.1(9.4) 54.4(10.0) 一0.3 0.13 4

能 数 51.6(9.2) 4911(93) 2.5 1.1O

年 全体 53.ユ(10.0) 50.4(10.2) 2.7 1.09

 国語学業算数 81.1(13.6) 74.5(19.9) 6.6 1.57

81.3(14.1) 74.1(18.5) 7.2 1.78

成社会 ム 理科 80.2(12.3) 73.4(20.0)

6.8 1.66

86,2(8.5) 80.9(15.6) 5.3 1.71

…圭 …五一

E] ロロ 50.O(7.2) 49.6(6.4) O.4 0.21

知 空間 54,2(7,8) 51,1(5,8) 3.1 1.63

6

48.7(9−3) 43,1(10.1) 5.6 2.08*

年 全体 50.6(8.5) 47.9(7.7) 2.7 1.20

 国語学業算数 84.0(7.3) 73,8(12.5) lO.2 3.59**

83.3(l1.5) 70.6(16.6) 12.7 3.21**

成社会 ム 理科

82.O(11.4) 69.3(15.0) 12.7 &44一榊 85.6(9.6) 83.4(8−5) 2.2 0.87

箇 自由度は2年生70,4年生66,6年生52。

  *P〈〔.05    **P<.01

 以上の結果について若干の考察を行ってみよう。まず、全体として目立つ特徴は、高意欲群と 低意欲群の差は内発的意欲で最も多くあらわれ、達成意欲および計画性と実行意欲ではわずかで

あったということである。この結果は、学習意欲とよばれているものの中でも、特に内発的意欲 が学業成績や知能(6年生を除く)とかかわりがあり、この意欲が最も大切であることを示して いる。言いかえれば、このような意欲を育てることが教育的に必要なのである。参考のために、

実際に用いた質問項目を示しておこう。項目①だけが いいえ 、他は}はいいつも が2点 であり∴一はいときどき は全項目1点とする(20点満点)。

 ①勉強しようと思うと、頭やおなかが痛くなることがありますか。

 ②親にいわれなくても、自分から進んで勉強していますか。

一104一

(6)

表4 計画と実行意欲が高い群と低い群の平均(8D)

学年 テ ス

高意欲群 低意欲群

ε

一一Rロ

語 55.9(7.2) 52.2(5.3) 3.7 2.45*

知 空 間 56.8(5.2) 54.2(5.1) 2.6 2.11*

2

52.4(6.1) 49.6(5.7) 2.8 1.98

年 全 体 56.6(6.3) 52.4(5.8) 4.2 2.90**

82.3(11.3) 76.O(9.8) 6.3 2.49*

算 数 76.8(13.9) 72.5(11.9) 4.3 1.39

戒 社 会 87.8(ユ0.8) 84.2(9.O) 3.6

1.51

理 科 82.2(10.2) 78.5(7.5) 3.7 1.73

一一fr=・

語 53.2(9.7) 50.4(9.5) 2.8 1.18 知 空 問 55,1(9.8) 55.2(9.3) 一0.1 0.04 4

能 数 51.5(8.9) 48.1(7.9) 3.4 1.64

年 全 体 54.1(10.3) 51.2(10.1) 2.9 1.15

一『

82.O(15.1) 75.7(18.6) 6.3 1.51

生 業 算 数 80.3(16.2) 73.6(18.5) 6.7 1.57

戒 社 会 78.7(14,4) 72.1(18.8) 6.6 1.60

績 理 科 85.9(10.8) 80.5(工4.9) 5,4 1.69

一■一

f口

語 48.2(6.3) 50.5(5.6) 一2.3 1.39 知 空 間 50.7(8.4) 52.8(7.1) 一2.1 0.97 6

能 数 46.5(9.1) 45.2(9.5) 1.3 0.50

年 全 体 47.8(7.1) 49.6(7.9) 一1.8 0.86

一   ■

82.6(9.O) 77.8(10.4) 4.8 1.78

生 業 算 数 83.1(12.7) 74.6(15.2) 8.5 2.19*

81.3(l1.3) 73.4(13.5) 7.9 2.29‡

績 理 科 83.4(9,8) 81.7(8.4) 1.7 0.67

㈲ 自由度は2年生70,4年生66,6年生52。

  * 〕<.05    **」P<.Ol

③先生にいわれなくても、自分から進んで勉強していますか。

④勉強をして新しいことを知るのが楽しいですか。

⑤勉強したいことや、知りたいことがたくさんありますか。

⑥新しいことをつぎつぎと勉強したいと思いますか。

⑦勉強でわからないことがあると、自分で調べますか。

⑧授業中、進んで意見を発表しますか。

⑨テレビやラジオで勉強したことについて、もっとくわしく調べてみたいと患いますか。

⑩学校で習ったことについて、もっとくわしく調べてみたいと思いますか。

次に、知能についてみると、2年生は3つの意欲で、4年生は内発的意欲だけで知能との関係

(7)

がみられ、6年生では達成意欲と数因子のみに関係があった。6年生の場合、計画性と実行意欲 では、有意ではないが低意欲群の知能が高いところもある。以上の結果から、学習意欲と知能の 関係は学年が上昇するにつれてうすれていくといえる。なお、知能検査の中の下位テストごとに 分析してみると、2年生の言語因子では語い関係の理解力と類概念能力がすべての意欲と関係し ており、4年生では語い関係の理解力、記憶力や注意力、ことばの豊富さや流暢さが内発的意欲 と関係している。2年生の空間因子では知覚的弁別能力と内発的意欲、4年生の数因子では数関 係の理解力や応用力と内発的意欲との聞に関係が認められた。なお、因子としては有意差がなか

ったが、6年生の言語因子では類概念能力と達成意欲、論理的な推理力と計画性の間に関係があ

った。

 学業成績については、どの学年も内発的意欲と関係があり、これが小学校を通じて学業成績に かかわる強力な意欲の要因であるといえる。他の2つの意欲については4年生ではまったく有意 差がなく、2年生も国語だけで関係がみられたのに対し、6年生では2つ(計画性)または3つ

(達成)の教科との関係がみられた。このことから、達成意欲と計画性は高学年の学業成績にか かわる意欲の要因であるといえる。なお、4年生の国語と6年生の理科はどの意欲とも有意な関 係を示していない。特に6年生の理科については群差もわずかであるが、この点についてはさら

に検討する必要がある。

 学習塾と知能、学業式積および学習意欲  2年生と4年生でも学習塾に行っている者がいた が、ごく少数であるので、6年生だけを分析の対象とした。6年生109名のうち学習■塾へ行って いない者59名、行っている者50名であった。後者について教科の内訳を調べてみると、算数50名

(全員)、国語28名、理科工6名、社会10名であり、算数だけの者は22名であった。本研究では学習 塾に行く理由に関心があったので、教科の種類や数を無視して、先に述べた3つの理由で分類し てみた。}自分で行きたいと思ったから が32名、 親にすすめられたから が15名、}友だち が行っているから が3名であった。最後のカテゴリーはわずかしかいなかったので、親にすす められたからとこみにした。表5は各群の知能偏差値、学業成績(素点)および学習意欲得点(

20点満点)の平均(S D)と、分散分析の結果を示したものであ乱

 表からわかるように、知能では3つの因子および全体で有意差がなかった。学業成績では国語 と社会に有意差があり、国語ではA群がB郡よりもよく、社会ではA群、C群、B群の順で、相 隣る群間に有意差があり、B群の成績が最も悪かった。学習意欲については3つの要因ともにA 群、C群、B群の順で、群間の髪もすべて有意であった。B群は極端に低いが、この平均値は先に述 べた低得点群に入るものであ乱

 知能については有意差はなかったが、標本値でみると、数因子ではA郡よりもB群が低いのに、

空間因子では両群は全く同じであった。この結果は、素質面の強い知能(空間)ではA群とB群 が同じであるのに、学習努力知能(数)ではB群が劣ることを示唆している。学業成績について みると、理科では3群がほぼ同じ成績であり、表2〜4で意欲による違いがなかったことと似て いる。これは、理科の成績が他の3教科と異質であることを示唆している。算数における群差は 統計的には有意でなかったが(SDが大きいため)、国語、社会とともにA群、C群、B群の順

一106一

(8)

表5 学習塾に行っている群と行っていない群の平均(8D)

学   習   塾 F A B A

テスト B親に言われて l l l

A自分から進んで C行っていない (d卜2と106) B C C

言語 49.1(6.8) 48.6(7.9) 49.9(6.4) 0.34

知空間 50.7(8.6) 50.7(9.3) 52.9(7.3) 1.03 能 数 48.3(10.1) 42.9(10.0) 47.1(8.8) 1.88

全体 48.9(8−4) 46.9(9−2) 49.7(7.5) 0.84

国語 82.3(9.1) 74.3(14.5) 78.4(10.2) 3.25*

学業算数 82.5(13.O) 72.4(16.5) 78.3(14.8) 2.72

成社会績

81.7(口.2) 67.3(15.6) 74.9(13.4) 6.84** ** *  *

理科 84.9(9.7) 82.3(9.7) 81.3(8.5) 1.61

学 内発 12.1(4,2) 6.7(3.7) 9.5(3.6) 11.65** ** ** **

登達成 12.6(3.9) 7.3(3.1) 1O.1(3.3) 13.56** ** ** ‡*

、患、

欲 計画 口.2(4.3) 6.3(3.2) 8.6( 4.2)    8.48** ** *  **

* 〕くご.05     **P<.Ol

で、B群が最と低かった。学習意欲でも3つの要因でB群が著しく低いところからみて、B群で 学業成績が悪いのは学習意欲が乏しいことを反映している。同じように学習塾に行っても、学習 意欲が乏しくては効果が上がらないのである。別の見方をすれば、自分から進んで学習塾に行く 子どもは、もともと学習意欲が強くて学業成績もよいのに対して、学習意欲が乏しく成績も悪い 子どもは、親に言われて仕方なしに学習塾へ行っているのであろう。

要       約

 小学2,4,6年生394名について、3つの学習意欲(内発、達成、計画)が3つの知能因子

(言語、空間、数)と4教科(国、算、社、理)にどのように関係しているかを調べた。また、

学習塾に行っている者と行っていない者についても比較しね

 (1)内発的意欲の高い者は低い者に比べて、2年生の数因子、4年生の空間因子、6年生の知 能全部、および4年生の国語と6年生の理科を除くすべてにおいてよい成績を示した。

 12)達成意欲の高い者は低い者に比べて、2年生の知能(空間因子を除く)、6年生の数因子、

および6年生の国語、算数、社会でよい成績を示した。

 131計画性と実行意欲の高い者は低い者に比べて、2年生の知能全部と国語、6年生の算数と 社会でよい成績を示した。

 14〕自分から進んで学習塾へ行っている者は親に言われて行っている者に比べて、国語と社会

の成績がよく、また学習意欲の3要因すべてで高い得点を示した。しかし、知能の差はなかった。

(9)

引  用  文  献

上田敏見ほか  1976 へき地における児童・生徒の学習意欲と学校への適応    学教育研究所紀要、12,57−64.

梅本尭夫ほか  1971 京大NXト9知能検査手引 大成出版牧野書房 苧阪良二ほか  1972 京大NX8−12知能検査手引 大成出版牧野書房 辰野千寿  1977 学習意欲の高め方  図書文化

奈良県障害児学校・学級放送教育研究会  1975  学習意欲調査(県下の資料は    条養護学校 1976 あゆみ2号 を参照)

奈良教育大

奈良県七

 <附記〉 資料の収集にあたり、川西町立結崎小学校の村田校長先生をはじめ諸先生、児童の 御協力を得た。資料の収集には本学心理学専攻4回生、集計と統計的分析には心理学専攻3回生 立石麻里子、多田敦子、山本敏久君の協力を得た。厚く感謝します。

一108一

参照

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