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Thermal Dependence of Raman Spctra of Polyethylene Gut

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Academic year: 2021

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全文

(1)

ポリエチレンガットの熱処理による ラマンスペクトルの変化について

末松宗雄 長崎大学教育学部

Thermal Dependence of Raman Spctra of Polyethylene Gut

Muneo SUEMATSU

Faculty of Education, Nagasaki University, Nagasaki 852 (Received October 31, 1974)

Abstract

The present paper reports the dependence of Raman spectra distribution on the polyethylene gut for the thermal treatment.

After the thermal treatment, the Raman spectra between 80 and 100 cm‑1 were decreasing in intensity, and those between 120 and 170 cm‑1 were increasing.

I.緒言

合成繊維のような高分子を溶融紡糸した後で延伸した場合には熱処理により熱応力が発生す ることは良く知られている1)。このような熱応力の発生は高分子鎖の問に加熱により第2次の 架橋構造が増加することによると考えられている2)。

本報文において,延伸したポリエチレンガットでは熱処理の前においては長い直線状セグメ ンのテマンスペクトルが現われ,熱処理の後では短い直線状ゼグメントのラマンスペクトルが 現われていることから,延伸ポリエチレンガットにおいては,熱処理により高分子鎖の問に第

2次架橋構造が生ずると考えられることを報告する。

2. n‑パラフィンの骨格変角振動

n‑パラフィンの液体においては波数500aπ 1以下には,ラマンスペクトルは現われないが, 固体n‑パラフィンでは, 150cm  ‑400cm‑の範囲に強いラマンスペクトルが表われる3)0

これは, n‑パラフィンの液体では各々の単量体が自由なセグメントとして運動しているが7), 固体になるときn‑パラフィンの分子鎖の中に直線状になったものが生じ,この直線状n‑パラフ ィン分子鎖が棒状となって振動する。この棒状高分子鎖の骨格振動によるラマンスペクトル が, n‑パラフィンの固体における波数500cra"以下の範囲に現われる強いラマンスペクトルで

(2)

6

末  松  宗  雄

ある3・4)。

 n一パラフィンの骨格振動の中で,波数が500cガ1以下の振動は変角振動(直線状高分子鎖の 縦振動)であり,波数が500cη一1より大きい振動は,直線状分子鎖の骨格伸縮振動であって,

かなりはっきりと区別される3)。

 骨格変角振動は,直線状なn一パラフィン分子の炭素数により大きく変化する4)。

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  NUMER OF CARBON ATOMS

第1図 直線状セグメントの炭素数と波数

(第1図参照)この振動の波数は,ほとんど直線状n一パラフィン分子鎖の炭素数の逆数に比例

している3)4)。

 ポリエチレンはエチレン単量体が10,000程度に重合した高分子である。この巨大な高分子鎖 が溶融状態から固体になるとき約50彩程度結晶し,結晶するときポリエチレン高分鎖は折畳ま れて結晶構造を作ることは良く知られている5)6)。溶融紡糸したポリエチレンガットは,上の ような高分子鎖の折畳構造を多く含んでいると考えられる。またこのような折畳構造となる以 前の状態であ部分的るに直線状なセグメントが多く存在していると考えられよう。このように して,生じた直線状セグメント(一(CE2)。一ルの(CH2)・の骨格変角振動のラマンスペクトルが 500cズ1以下のラマンスペクトルである。

3.実験方法 5.1.試  料

 三井化ハィゼックスF1550デニルのガットを,110℃で12倍に延伸したものを試料とした・

資料は第1表の通りである。

(3)

第一表

試料番号 P−6 P−7 P−8

延  伸

未延伸

×12

×12

熱処理

な  し 熱処理前 熱処理後

太  さ 1550den

130 〃 131 〃

密度9/CC

O.940 O.958 0。958

熱処理条件

110℃まで101min で昇温, 110℃に 30分間保った後25

℃まで101minで

降温した。

3.2. 測定装置

 ラマンスペクトルは目本電子製JRS−SIB Laser,Raman Spectrophtometerを用いて測定

した。

4.実験結果

資料P−7の0〜4000cガ1の範囲のラマンスペクトルは第2図のようになる。2で述べたよ

o 20

60

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 H

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乎00D  OρOo    2000     シoゆ     oo∂    5ρo       W梱郎u陥甑(o納

第2図資料P−7の0〜4000cガ1におけるラマンスペクトル図

うに骨格変角振動は波数昼00cガ1以下に現われるから,第2図の骨格変角振動のスペクトルは 100㎝一1,220cガ1,350c徊一1の近くに強いピークがある。波数が500cが一以上のスペクトルは骨 格変角振動のものではないから,本文では考えない。

 O〜500㎝一1の範囲を詳細に測定すれば第3図のようになる。第3図から波数378cη一1,347cηq,

217.5㎝一1に強いスペクトルのピークがあり, さらに155〜165㎝一1との範囲に弱いピ 一クと 80〜105cガ1の範囲に強いピークとゆるやかで広い範囲にわたったスペクトルとがある。

 これらに相当する資料P−6,P−8のスペクトルは第4,5図となる。第4図はP−6,

第5図はPr8のスペクトル図である。

 第3,4,5図のスペクトルを比較すると

(4)

8

末  松  宗  雄

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5印9,7 7 ケ 乎協ノ 9ρS 5醒酌伽ノ。伽伽

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第5図

       200         00     30D

     w《v痒醐肥ε只(c締1)

資料P−7の0〜500cガ1におけるラマンスペクトル図

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ノρρ

90

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 z 山

4〃卜一

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5ρ0

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第4図

    3ρo      ,2ρ0      !OD      w鯉εκ昭BERぐc威り

資料P−6の0〜500cガ1におけるママンスペクトル図 0

 1.波数375cパ1,348cガ1,212cη一1には第3,4,5図の何れにも強いピークがある。

 2.波数125〜165cガ1のスペクトルは,第4,5図は良く似ているが,第3図では波数160cズ1 に小さなピークがある。

 3.波数80〜105cガ1の範囲のスペクトルは,第4,5図はよく似た波形であるが,第3図は 高いピークが3個がり,第4,5図とは異なっているQ

(5)

oo

go

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70

60

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 》 卜 夢0の ≧  山 ト30〜

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第5図

     300      βρo       Oo

    wA)ε厚U凹BER C庶

資料P−8のO〜500cη一1におけるラマンスペクトル図        討

       u

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P−7

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G

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篭20  ノ o   joo  go   90   〃0  60

一一一一

W《VENU図B藍R

第6図80〜120c徊一1の範囲における,

    ラマンスペクトル図

P−6,P−7,P−8の

(6)

10 末  松  宗  雄

 波数80〜105cη一1のスペクトルを比較すると第6図のようになる。未延伸資料P−6では99

㎝一1,95cη一1に強いピークが92cη一1に弱いヒ。一クがある。12倍延伸して熱処理前の資料P−7 では99cη一1,95cガ1に強いピークがあり,87.5c彿一1に弱いピークがある。また熱処理したP−8 では,99㎝『こ強いピークがあり,95cη一1に弱いピーク,86cグ1に微弱なピー一クがある・

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第7図llO〜170c窺一1の範囲のラマンスペクトル図

3

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隔・、. ,

6 第8図

7ノノノ5 ノ6ッ19

ト川じ4院R OF C刈RB、ON4TO岡S 、2ヂ )30 直線状セグメントの炭素数とスペクトルの相対強度,

波数217cm一1のスペクトル強度を1としたものである。

(7)

 第7図は,125〜165cパ1の範囲のスペクトルである。資料P−6のスペクトルは160cガ1に 強いピークがあり,170〜120cガ1の間にいくつかの弱いピークがある。これは直線的セグメン トの炭素数が約15〜20位の範囲にあることを表わしている。資料P−7のスペクトルは,160 cゾ1をピークとして155〜163cη一1の狭い範囲にある。ここでは炭索数約15の直線的セグメント だけが現われるようである。資料P−8では160㎝一1に強いピークがあるが,スペクトルは165

〜120㎝dの広い範囲に弱いピークがいくつかあり,資料P−6のスペクトルと似ている。

 第3,4,5図のスペクトルの相対強度は第8図のようになる。第8図は,第3,4,5図

におけるそれぞれのスペクトル図の波数216cη一1のスペクトルの強度を1とした相対強度であ る。資料P−6,P−7,P−8の375cガ1,347cガ1,216cガ1における相対強度はほとんど同 等である,120〜170cパ1の範囲のスペクトルの相対強度はP−6,P−8ではほとんど同等であ

るが,P−7では155〜165cガ1の範囲に集中して他の部分にはスペクトルはない。また相対強 度はP−6,P−8に比べて小さい。80〜105cη一1の範囲のスペクトルにおいてはP−6,P−8 の相対強度は同等であるが,P−7の相対強度はP−6,P−7に比べてかなり大きい。

 しかし,80〜170㎝qの範囲のスペクトルの相対強度の合計は,第2表のようになり,P−

6,P−7およびP−8の80〜170c配一1の範囲におけるスペクトルの相対強度には大きな差は

ない。

第 2 表

資料P−6P−71p−8 塑12・213・212・5

5.考  察

 ポリエチレンガットの未延伸資料P−6,12倍延伸資料P−72および12倍延伸した後110℃に て熱処理した資料P−8においてはラマンスペクトル,第3,4,5,8図から明らかなよう に資料P−6,P−7,P−8の何れのスペクトルも波数375cガ1,347cガ1および216㎝一1のス ペクトルの相対強度と型がほとんど同等であるが,120〜165cズ1と80〜105cガ1の間のスペク

トルの型と相対強度は資料により大きく変化する。特にP−6,P−8のスペクトルでは,120

〜165cη一1と80〜105cズ1の範囲のスペクトルの型と相対強度はそれぞれほとんど同等である が,P−7のスペクトルでは,120〜165cガ1では155〜165㎝一1の狭い範囲に集り,また相対強 度は,P−6,P−8に比べて小さい, これに反して80〜105cパ1の範囲では広い範囲に強いピ ークがあり,相対強度もP−6,P−8に比べて大きい。

 第1図から明らかなように160cη一1は直線状セグメントの炭素数15,99cガ1は炭素数24,95 c彿一1は炭素数25,また87.5cガ1は炭素数27に相当する骨格変角振動である。したがって,P−

6とP−8のスペクトルを比較すると炭素数15〜19の直線的セグメントが同等に存在し,また 炭素数24,25が同等に多く,炭素数27,28等もいくらか存在することを表わしている。しかし,

P−7のスペクトルとの相対強度は炭素数15の直線状セグメントは,P−6,P−8より少な く,炭素数24〜27の直線状セグメントはP−6,P−8よりも多いことを表わしている。

 特に,第2表から明らかなように80〜105cガ1,120〜165cパ1の間の相対強度を加えた値は,

資料P−6,P−7とP−8の間に余り大きな変化はない。故に,炭素数15〜28の間のポリエチ レンの直線的なセグメントの数は未延伸,12倍延伸および12倍延伸熱処理の処理によっても余 り大きな変化はないと考えられる。

(8)

12 末  松  宗  雄

 したがって,延伸したままでは長い直線状セグメントが多く,熱処理すると長い直線状セグ メントが,短い直線状セグメントに移行すると考えられる。このようなことから,不安定な長 い直線状セグメントが熱処理により, 第2次架橋構造を作って短い直線状セグメントヘ移行

し,安定な状態となると考えることができよう。

 本研究は日本繊維機械学会第27回年次大会(1974)にて口頭発表した。

 本研究にあたりレーサラマンスペクトロホトメータの使用に特別な配慮を頂いた化学教室浜 田圭之助教授, またラマンスペクトルの計測に御尽力を頂いた化学教室森下浩史助手に厚く感 謝致します。

文  献

1)

2)

3)

4)

5)

6〉

7)

渕野,仲道,日置,日野,繊維誌2L5.13(1965)

末松・長大教育自然科学研究報告23.1.9(1972)

水島,島内;赤外線吸収とラマン効果56, (1972)(共立全書)

水島,島内;」.Am.Chem.Soc.,71,13,20,(/g4g)

A.Keller;Phi1,Mag,2,1171(1957)

角戸;高分子の物性,化学増刊8,37,(1962)(化学同人)

Dowell,Cleark and Eyringl J.Chem.Phys.,9,268(1941)

参照

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