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Academic year: 2021

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(1)

A1−Cu合金系の固体・液体拡散

(昭和45年10月20日 原稿受理)

金属加工学教室  大和田野  利  郎    〃    大  淵  統  正    〃    由  佐  和  時

Solid−Liquid Difrusion in Al−Cu Alloys

By Toshiro OWADANO   Norimasa OFUCHI   Kazutoki YUSA

  The diffusion coef五cients are calculated from the concentration distrjbution in diffusion couples composed of solid Al and liquid A1−Cu alloys and of solid AI and A1−Cu alloys halfway solidified.

  The results obtained are as follows:

  (1) Diffusion coef五cients in liquid alloys are found to be almost independent of Cu concetration up to 20%.

  (2) Diffusion coe丘isients obtained, DL, are expressed by      互一α・・8・・xρ(9300Rτ)・㎡/sec

in good accordance with those in liquid・1iquid diffusion.

  (3) The solid phase boundary is kept alrnost stationary during the diffusion of solid AI and ALCu alloy halfway solidi丘ed, and the diffusion coef五clents in solid

phase,1)s, are;

     ぽ・・κ〃(35000Rτ)・㎡/sec

      度の固体と液体との拡散を明らかにする目的で,

1・緒 言       (、)固体純Alと液体A1_Cu合金および(2)固

 合金の溶融や凝固が進行しつつあるときには,  体純Alと半溶融状態のALCu合金の拡散対に

固体と液体との共存状態が生じ,その固体・液体  拡散を行なわせ,拡散方向の濃度分布曲線を求 両相間で拡散がおこる。このような固体・液体合  め,それによって拡散恒数を算出した。その結果 金間の拡散についての研究1回)では液体拡散恒数  について報告する。

欝醸:藍蕊㌶蕊;;;;、Z固体A1と液体A1一α合金との拡散

可なり大きな濃度依存性を示すことが報告されて   2.1. 実験方法

いる5)。従って固体・液体拡散においても液体拡   純度99.99%の純A1および純CuとをMgO

散恒数は合金濃度に依存すると考えて求められる  でライニングした黒鉛るつぼ中で溶解して,純A1

べきである。      およびCu 2.2〜20原子%を含むA1−Cu合金

 この研究においては一定温度における不平衡濃  を溶製し,これを黒鉛鋳型に注入して15mmφ×

(2)

㌶篭㌃㌘蒜纂㌶膓當  ∫㍗此一・    (・)

がよく見える程度まで腐食し,さらに10〜20%  の条件から俣野界面を定め・濃度C・の液体合金

HNO、溶液と温水とで処理した。合金を電極黒鉛  の拡散恒数DL・を次式によって計算した。

‡蕊驚慧㌫蕊li麗ρ;了;; 砺一一書(∂Xノ窃)∫:批   (2)

示すようにニクロム線巻きの電気炉中で精製アル  ここでτは拡散時間である。

ゴンガスを流しながら,所定の拡散温度まで昇温  2.2.実験結果

保持する。そこで溶融した合金の表面に少量の混   液体状態での濃度分布を凝固した試料によって 合フラックス(LiF 15%, KF 8%, KC130%,  測定する場合に最も問題となるのは重力偏析であ NaC147%)を撒布して酸化膜を取り除き,直ち  るものと考えられる。とくにこの実験では比重差

に同じ炉中で予熱しておいた固体純A1を接着さ  が大きいA1とCuとの拡散であるから,重力偏

せて,そのまま所定時間だけ拡散させる。拡散保  析も大きくなることが懸念される。そこで予備実

持温度は2℃以下の変動にすることができた。  験としてAl−18.5原子%Cu合金を約600℃で

所定時間拡散させた後,炉中に冷風を送り強制冷  溶解して2時間保持した後,炉中で冷風により強

却を行なった。       制冷却した試料の濃度分布を求めた。その結果を

      図2に示した。僅かながら重力偏析が認められる

F        D      ようである。しかし分析誤差を考慮に入れるとこ       E      の程度の重力偏析は無視できるものと考えられ        る。

       A: Solid Al      20

       ・・L・q・・dAl−C・All・y 蒼19

       C;Grophi↑e Cruciblo      

       D;Th・m。−c。uple f。r  £18

       Temp. Meosurelm●n↑    317

       E;Thermo−couple for        O     5    10    15    20

       Temp, Con↑rOI       Disfqnce from ↑he Bo廿om. mm

       Fl A「gon Gds lnlo†       図2 AI−Cu合金の重力偏析        G: S80inless Tube

       Hl Elec↑ric FurndC●

       拡散後の拡散対の長さ方向の濃度分布の一例を       図3に示す。この図では横軸の拡散距離を最初の

       図1 実験装置         固液接着界面から測定した距離で示し,正側に液

      体合金,負側に固体純A1を接着した場合である。

 このようにして作った拡散対を底部から1mm  この図によって固液界面は純A1側に移動したこ

間隔で旋削して分析試料を採取し,それぞれの分  と,すなわち純A1の一部が溶融したことがわか

析試料はNa・S・0・溶液で滴定法によりCu%を  る。このときの界面での液体側のCu濃度C、は 求めた。       拡散温度によって,図4のALCu平衡状態図中

 これらの分析結果から標準化法61を用いて,最  に示すように変化する。すなわち液相線濃度にほ

も確からしい濃度分布曲線を求め,その濃度分布  ぼ一致している。また固液界面よりA1側におい

曲線から俣野法7)によって液体の相互拡散恒数  ては10〜50μ程度の厚さの固体拡散層が存在す

1)Lを算出した。すなわちCu濃度ゼロの純A1と  ることが, X線マイクロアナラィザーによる分析

Cu濃度C。の液体合金とを接着拡散させるとき,  によって判明した。しかしその固体拡散層での濃

俣野界面からの距離をx とし      度分布は図3中では縦軸に平行に近くなる。

(3)

20

15

olO

ξ

2

0コ5

Co 一一一一i》三

o

65CPC 2 h

CL

86

§

㊨・5

≦〜

△4

       6 0

㌔…1−∴・・ldS;|iφ・・q・:1㎡・・f・㌫・m 藷・

      ピ

  図3 固体純A1一液体ALCu合金の      ゜

       4

    拡散後における濃度分布

       :

      △        3

680

3640

三600

§

β560

一一■口 簿■■■

ムx

一● 1

@    650°C

      Cu Afomic  『る  図5 650°Cにおける液体拡散恒数と     Cu濃度との関係

XlO°5

8

o     o

Q、≒9500col/mol

o

1.05      1.IO       |」5       L20      125

     1・膓T. (・K) 1

 図6 液体拡散恒数と拡散温度との関係

3. 固体A1と半溶融状態のA1−Cu合金との

 拡散

       Cu A↑omic %      2.1.で述べた方法で固体純A1と液相i線より

  図4 拡散対の固液界面液体側Cu濃度の     10〜20℃高温の液体A1−Cu合金とを接着して

     拡散温度による変化       直ちに冷却して拡散対を準備した。これを黒鉛る        つぼ中に入れて,るつぼごとニクロ線巻きの電気

 また,図3の各分析値から求められた最も確か  炉中に入れてALCu合金の固液共存温度に急熱

らしい濃度分布曲線が同図に実線で記入されてい  保持して拡:散させた。拡散対が所定の拡散温度に る。このようにして画かれた拡散対の濃度分布曲  達するまでに約15分を要したが,拡散時間を数

線から俣野法で求められた650°Cにおける液体  時間〜数十時間としたので,この昇温時間を無視 拡散恒数は図5に示すようにCuO〜17・5%の濃  できるものと考えた。拡散後は炉中で冷風による

度範囲では濃度に関係なしにほぼ一定値を保つこ  強制冷却を行なった。

とがわかる。      このようにして製作した拡散対の縦断面の固体

 そこで種々の拡散温度における液体合金の拡散  側のミクロ・ビッカース硬度を0.2mmおきに

恒数D、の対数と拡散絶対温度の逆数との関係を  測定した。ただしミクロ・ビッカース硬度計の荷

図示したものが図6である。図6からこの液体合  重を200gとした。また別に種々のCu含有量の

金の拡散の活性化エネルギー約9500ca1/mo1が  均一組成合金を溶製し,溶体化処理を行なってか

得られる。       ら拡散対の冷却と同じ冷却を行ない,それらの試

(4)

料につき硬度を測定して,Cu濃度とミクロ・ビ   25

ッカース硬度との関係を求めた。この関係を用い

て拡散対におけるミクロ・ビッカース硬度から    20 Cu濃度への換算を行なって,拡散対の拡散方向

      1,5

における濃度分布を求めた。      ど

 接着界面からxの距離におけるCu濃度を(r     E・,   21.()

       く i接着界面の固体側のCu濃度をCsとし,固体拡散   コ        む

恒数D、がCu濃度に依存しないものとすれば     05

C−C[・一・ヅ(2庖)] (3) °・;㌫㌫た㌫㍑L25

によって固体拡散恒数Dsが求められる・ただし    図8 図7の関係から求めた固体側濃度分布の例

τは拡散時間である。

 3.2.実験結果       2 5

 まず接着界面の拡散による移動の有無をしらべ

      2,0

た。拡散対を接着する前の状態で純A1の円柱の   誤    ●Al−70 A↑omic%Cu・24h 長さを測定し,接着後および拡散後における界面   £ll5   0 Al−4・6Af。mic%Cu,61h

をマクロ腐食によって現出さ竜固体A1側の長   ξ

さを測定した。その結果は読取顕微鏡の最小読取   三1 O

       o

単位1/100mm以上の界面移動は認められず,

鰭界面は動かないものと殼てもよし・ことがわ ゜5 ・、.

かった。       O,

       0    0.25   0.50   0、75    1ρO    L25

 またミクロ・ビッカース硬度からCu濃度を算

出するのに用いた両者の関係は図7で示される。   Dis↑°nce f「°m↑he lnfe「f°ce・mm・

      図9 固体側濃度分布の例

I  o

Al−9.6A†omic%Cu

怩T53°C 30h n553°C 60h

、●

、°\、

O    O、25   0,50   075   1、OO   l,2 、

lOO

切80

王60

差40

.竺92

Σ

OO Ol5    LO     l、5    2、0    2,

 Xlσ一9

30 20 810

ぷ8

§6

;4 0 3 2

        Cu A↑omic  %       l

       lO5    1LO     lL5     12cO    l2.5    図7 ミクロ硬度とCu濃度との関係      lO4!T,(。K)−1

 図7の関係を用いて求めた拡散対の固体側にお      図10固体側でのAl−Cu拡散恒数の

ける灘分布の例姻8および図9に示す.これ   拡散温度による変化

らの図において濃度分布曲線を接着界面に外挿し  金の濃度によって変化せず,拡散温度によって変

た濃度Cは拡散時間や接着した固液共存状態の合  化するが,その濃度Csはほぼそれぞれの拡散温

(5)

度における固相線濃度に等しいことがわかる。従   20XlO−5

って式(3)によって固体拡散恒数Dsを算出でき

ることがわかった。

 このようにして濃度分布曲線から求めたDsと

      り  

拡散絶対温度の逆数との関係姻1°に示す・図 ぷ8 10における関係は次式で示される,        §

      

ぴ一4・ (一35000  Rτ)・㎡/sec(4)三:

 4. 考   察       3

 固体純A1と液体A1−Cu合金との拡散におい

      

P・膓Tl°(・・;∴1213・

C噸度に依存するものと考えて僻法でD・を 図11灘㌫霞當隠㌶慧9ξ

●●

●   ・・一。・・81・exp(−92♀°)

+Uemurd

怩nWddono et o1.

盾oresen↑Work

求めたが,結果から見ればD・のCu濃度依存性       液体拡散恒数との比較

は認められなかった。

 液体拡散恒数D。が濃度に依存しない場合の拡  であっても・液体と固体とであってもその液体部

散溶解の距離ZはDankwert・)によって次式が  分での拡散恒数は温度によって一義的に定まるも

導かれた。       のであることを示している。

       A1−Cu合金の固体拡散恒数はBarrer11)によ   Z=2r/万三7

      (5)   って   C・云C一/π1・卿〆(1一αρ)

       D、−23・xρ(34900Rτ)・m・/sec

この実験でもC。,C。を一定とするときは,拡散

溶解距離Zは拡散時間τの平方根に比例すること  の結果が示されているが,この実験で求められた を確かめて,式(5)1こよってD。を言+算した.し 式(4)はほとんどBarrerの糸課と一致してい かしそれらの値は俣野法で求めたD。よりも20〜  る。

5・%大である・式(5)は拡散前後で体積が変らな 5.結 論 いことを条件としているが,この実験ではA1と

Cuとの原子比容積の差が大きいため拡散によっ   2・2〜20原子%Cuを含む液体A1−Cu合金お て体積が変化し,このため式(5)によって言情し よび半溶融状態のA1−Cu合金と固体純A1との た液体拡散噛のD。には誤差が生じるものと考 拡散について実験を行ない・次の糸課を得た・

えられる。        (・)固体純A1と液体ALCu合金との拡散対

図、・には比較のため液体ALCu拡散におけ の濃度分布から俣野法によって液体の拡散恒数を る上村・)の研究結果および著者等1・)の追試実験結  求めたが・液体拡散恒数の濃度依存性を認めるこ

果とこの研究での図6の結果とを同時に示した。  とはできなかった。

図11の結果は       (2)固体純A1と液体A1−Cu合金との拡散に

_8、 (9300Rτ)・㎡/sec 三:≧鷲:8体同志のAレCu合金系 籔㌫雛;㌶霞麟議; 互一α・・8・・xρ(9300・Rτ)c㎡/sec

数とよく一致していることは,拡散対が液体同志  で表わされる。

(6)

 ③ 固体純A1と半溶融状態のA1−Cu合金と   2)小坂寄雄他:日本金属学会誌33(1969)465.

の拡散においては固液界面は移動せず,固体側で   3)加藤誠他:鉄と鋼52(1966)32・

の拡臓D・は     4)(㌶禦:名古屋工業技術試醐酷13

珠一4㌦(35000Rτ)⇒sec  5)26霊曙:3r嶽欝そ霊954)27ち

      6)A.Bolk:.Acta Met.9(1961)643.

で示される。      7)C.Matono:JapanエPhys.8(1933)10g.

      8) P.V. Dankwerts:Trans. Faraday Soc.46

        文献  (1950)701.

      9)上村勝二:鉄と鋼 25(1939)24.

 1)J.MLomme1, B. Chalmers:Trans..AIME   10)大和田野利郎他:未発表.

 215(1959)499・         ユ1)R,M,B…e・・P….S・・.52(1940)58,

参照

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