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1.は じ め に

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(1)

拡大再生産表式における磨損と更新について

拡大再生産表式における

磨損と更新について

高倉泰夫

1.は じ め に

拡大再生産における固定資本の磨接すなわち減価償却(以下βと略記)と 更新(Rと略記)の問題は,松岡寛爾,高須賀義博,林直道,野矢テツヲな (1) どの研究を経て,最近では吉塚良三,吉原泰助,井村喜代子,豊倉三子雄, (2) 大島雄一などにより蓄積率あるいは均衡蓄積軌道との関連で研究が深められ

てきている。本稿では,以上の研究にみられる一つの仮定を検討し,それが 実際には特別の場合を仮定しており,常に満たされるとはいえないことを述 べる。そして,この仮定の再検討は現代資本主義における国家セクターの比 重の増大を考える一つの軸点を提供しうると考えられる。

註(1)松岡寛爾「国定資本の蓄積から生ずる「問題」『名城商学』7巻3・4号,1958年。

高須賀義博『再生産表式分析』新評論,1968年,第3編。

林市道『景気循環の研究』三一書鼠1959年(のちに訂正版が『恐慌の基礎理論』

大月書店,1976年,として刊行),第2福。

野矢テツヲ「固定資本の回転と拡張再生産の均衡条件−富塚良三氏の所説の批判

−」『経済評論』10巻5号,1961年。

※文中の敬称は省いた。

(2)吉塚良三『恐慌論研究』未来社,1962年。

同『経済原論‑資本主義経済の構造と動態‑』有斐閣,1976年。−①

吉原泰助「拡大再生産表式と部Pr澗成長率開差」『経済研究』(一橋大)22巻3号, 1971年。

同「拡大再生産表式と生産力展開」『商学論集』(福島大)41巻7号,1974年。

(2)

54 

経 営 と 経 済

井村喜代子『恐慌・産業循環の理論』有斐│詳し

1973

年 。 同IT'IJ"資本論』の理論的展開」有斐問.

1984

年 。 笠合三子雄『産業循環論』有変:問.

1960

年 。

一 一 ② 一 一 ③

同「固定資本の集中的補填

J

Ii経済学論究

JJ

(関西学院大)

33

4

号.

1979

年 。 同「拡大再生産における固定資本の補墳について」同誌.

38

3

号.

1984

年 。 大島雄一「固定資本の再生産と「均衡発展径路」一一競争概念としての組苔柏率の 定立

(平瀬巳之古制『経済学・歴史と現代」時間

j

杜.

1974

年所収。) 一 一 ④ なお,大白は拡大再生産去式における

D=R

の場合をまず恕定して,その「前提の 表式での,定常蓄積率と

'i.

定常軌道ニ「均衡発展径路」において,諸個別資本の基 準となるべき蓄積率に他ならない……

J

( ④

409‑410

ぺージ)としている。しかし,

現実に存在し得ない拡大再生産で、の

D

R

の想定が,なぜ個別資本の苔拍車を考える のに必要で あるのかが不分明である。個別資本が

D

R

で計算するとは考えられない。

そして,拡大再生産ではつねに

D>R

であるから,個別資本の蓄積率と社会的資本の 次元の蓄積率が同一で、あるということは不可能である。

2.  (D‑R)

が全て固定不変資本に投下されるという 仮定について

表 ‑

社会的総生産物の填補における購買と販売(拡大再生産)

同 門 │ : : J J J J I ; : =日う

F

= 問

z

= H ‑ i

(3)

拡大再生産表式における磨損と更新について

(資本蓄積関係のもののみ)

JF=

追加的固定不変資本形成

JZ=

追加的流動不変資本形成

JV=

追加的不変資本形成

55 

MFS=M

のうち蓄積基金として積み立てょっとする部分の中で,固定不変資本への投下 を予定される部分

Mzs

ニ向上の部分の中で流動不変資本への投下を予定される部分

Mvs 

=向上の部分のっち,可変資本への投下を予定される部分 M ん=現実に

(D‑R)

とは別箇に固定不変資本に新投下される部分

MZg

(D‑R)

とは別箇に流動不変資本に新投下される部分 M

Vg =(D‑R)

とは別箇に可変資本に新投下される部分

なお , 1F 部門は労働手段生産部門であり , 1Z 部門は原材料生産部門, I I部門は生活資料 生産部門である。また ,

D=

  , /

R=gF

である。なお,販売の枠の中の…は,購買の側 の実線に対応、している。

諸研究にみられる仮定というのは,全ての部門における減価償却額と更新 額の差額,つまり (D‑R) は,全て固定不変資本に対して支出されるとい

うものである。ここで一つの例を見てみよう(表‑ 1)

見られる通り,全ての部門における (D‑R) は全て固定不変資本に,つ まり IF部門に対する需要として支出されている。このことによって,拡大 再生産における (D‑R) の差額は追加蓄積として解決されている?しかし,

使用価値視点も重要で、ある再生産表式の性格を考えるとき,必らずしもそ れが100%固定不変資本に支出されると想定しなくても, (D‑R) は実現さ れるのである?つまり,表一

1

の表示は非常に厳しい仮定を置いていること になる。ここで各部門の (D‑R) が,相互に固定不変資本 F),流動不 変 資 本 (Z),可 変 資 本 (V) として需要を形成し合った場合を表示するこ

とにする(表ー

2

。ここでは (D‑R) についてのみ販売と購買の関連つま り商品の流れを表示している)。これは (D‑R) から固定不変資本に対する 最小の需要が形成される場合である。すなわち (D‑R) から生じる固定不 変資本に対する需要は,表‑1を最大の場合,表‑ 2を最小の場合として変 動しうるのである。表‑ 2を出発点として (D‑R) から生じた固定不変資 本に対する需要が増加するにつれ,表‑2の右半分にある MzあるいはM

+MK によって吸収される部分が生じ,かつそれは増加していくことになる。そし

(4)

56  経 営 と 経 済

‑2

+│L  │

Mz.g│+│九

│M │M

抱│

+lL  │

Mzs

Vs

│M

MKS

│= 叫

((購買)… +lLWh│+│

Vg

l

Mvg

MJ(g│  IZ

E

門{

l ( 版 売 ) . . ・

H

‑ ・ 十 lL

IMzs

│+│ 九 │

Mvs

│ 凡 s│= 問z

+│L  │

M

4 + │

│M

MJ(g!

+│L 

1M

ム │+│

Vs

│M

│M

│=u う

I

f の中の…で区切られた部分は,購買の側の実線で区切られた部分に対応している。

て,

(D‑R)

が 全 て 固 定 不 変 資 本 に 対 し て 支 出 さ れ る と き に 限 界 に 達 す る 。

(6) 

ここで最小の場合を表示してみる。

1

0

000 F 

1

0001

1

000Z

1

000 V 

1

000 

4

000  800 R 200 (D‑R 

ここで

200(D‑R)

は期首の有機的構成に等しく支出され,また蓄積率

(Mc

MvjM)

50%

とすれば次期の期首の資本量は次のようになる。

800F 

167 

L 1

417 MF 

OOOZ 

17 

L 1

42Mz

1

000 

17 

L 1  

+42Mv

10

384F+1

059Z

1

059V 

(※今年度の固定不変資本の蓄積にたいする減価償却は次年度に行なうも のとする。)

以上述べてきたことを簡単な式で確認してみる。ここで以下で使う記号を 表示しておく。

固 定 流 動 不 変 資 本 比 率 与 = い 資 本 の 有 機 的 構 成 ♀=α

(5)

拡大再生産表式における磨損と更新について

57 

不 変 資 本 C=F+Z │ 投 下 資 本 H=F+Z+ 

ここでは仇 α は一定であり,減価償却も耐周年数一定であり, ま た 定 額 法 を想定している。

また , . . d

F+

. . d

Z+

. . d

V

を追加蓄積と呼ぶ。なお剰余価値率 4 1 も一定とする。

( 1 )  

H  ‑F+Z+ V‑

F( 

+上1{ ω

1+

α

)(1+

ψ ー 」

)(1

U 十 + )  

同様にして

H  ( 1 )(1+

す)

V  1 

1+α 

. . d

F

(1)

より

. . d

F= (D‑R) 

+す

)(1+

才)

と表現できる。 . . d

F

の最大値は

(D‑R)

であるから

1

白 話 (

+ す

)(1+

す)

M

のとりうる範囲である。

( 2 )  

(3) 

(4) 

( 5 )  

ここで

IF

部門を対象にとりあげてみる。

IF

部門の..d

Z

,. . d

V

についても,

M

と同様の係数を ,

V

ω

とおくことができる。

. . d

Z= (D‑R)

ー ←

であるから, ( 2 ) より

. . d

Z = ( D ‑ R ) ‑ ‑ ‑ ‑

1亘

U

+世)( 

+す)

と表わせる。同様に

. . d

V=(D‑R)

ー ユ

V

1

ω

1+α 

( 6 )  

(7) 

. . d

となる。しかし

u=u*

という特定の値を

u

がとるとき,

L1Z ‑

砂だから,

(6)

58 

経 営 と 経 済

(D‑R)  u* 

(1+

寸 一

)(1+

寸一)

d Z = J  

( 8 )  

これと

( 6 )

より v=がが導出できる。同様にして, ω=u*も導出される。

以上のようにIF部門では

1

を最小値として

( 5 )

の範囲内でMの値はさまざ まに動きうる。いずれにしても ,IF部門の J

, F

J

  , z

J Vのいずれかにおい Uの値が決まれば,他の部分も同じ値の拡大をすることになる(以下 u を追加蓄積係数とよぶ)。

次に,他の部門との関係を考えてみる。表‑2のように想定すれば,IF 門の JZはIZ部門の JFと交換される。ここでよZ部門の,固定・流動不変資 本比率,有機的構成をザ,イとすると,そのことは次のように表わせる。

(D ‑R IP=l':  ( D ‑ R ) I Z 1 1 1   (1+

r / J

)(1+

才)

+す)(+才)

しかし ,IF部門の(D‑R)IF部門のそれとは必ずしも等しくなし

6

とザ,

α

とイも同様で、ある。つまり ,IZ部門における追加蓄積係数を

u '

とする とき,上式の右辺にu'IF部門との関連よりみた最小値u'*が乗じられてい るときに等号が成り立つと考えられる。それは II部門における追加蓄積係数 をがとすれば,IFの J VとIIの JFとの間で同様のことがし、える。すなわち,

(D‑R)IP‑‑‑1 

‑ ‑ : ; ‑ ニ

(D‑R)IZ‑ ‑ ‑ 1 u'* ‑ 1  

( 9 )  

+)(1+す (+す)( +才)

u"

( D ‑ R ) g ‑ i ‑ = ( D ‑ R ) I 1 1 1 ( 1 0 )   1 + α (  +す)(l+17) 

ここで,〆 a"は II部門の固定・流動不変資本比率 u川は u"IF部門 との関連よりみた最小値である。

表‑ 2は,u, u', u"の最小値が1でありかつ,u, u', u"が 同 時 に そ の 値をとったときに考えられた表示例であった。しかし,固定資本量の大きさ,

固定・流動不変資本比率,有機的構成が違うのであるから,表‑2の成立す る場合は非常に稀であるといえよう。ただ,それは追加蓄積のありうる最小 の場合を示すことはできるというだけのことである。つまり,より現実的に

(7)

拡大再生産表式における磨損と更新について

59 

(9), (1的のケースを想定する方が一般的である。

( 9 )

, (1

0 )

,からは, もし,左辺にUのある特定の値,たとえば♂,が乗ぜら れれば,右辺も同様になる。それゆえ,たとえばIF部門で♂だけの追加需 要増があれば,それはIZ部門, II部門にも同率での波及効果が及ぶことを示 している。そして,そのことは,逆に(9),(1)0の状態から出発するとき ,IZ 門または II部門で,追加需要増があればIF部門にも同率での波及効果が及ぶ ことを示している。

なお,社会的再生産における蓄積にとって,労働手段生産部門すなわち労 働手段の存在量がもっ意義は決定的といえるので, IF部門のuにおいて最大 値,最小値を考えて,それをIZおよび II部門に及ぼしていくのが正当な手続

きずあるとぱょう。もちろん,それでも,

u ' *  

~

u '

(1

+ す

) ( H Jー), 

f

孟 u" 孟

(1+よ)( v α  

1 十~),

という範囲内で,

u '

, 

u" 

は決定される。

つぎに

u ' *

および

u

川が, ()1より大きい場合, ()1に等しい場合,付

1

より小さい場合,の三つの場合で考える.必要がある。(イ)の場合,

L 1

Zおよ

L 1

Vはその部門の (D‑R)をはみ出すので,表‑2の右半分のMzまたは Mv+MKによって,そのはみ出した部分はカウーァーされることになる。つま り表‑1の姿に近付いていくわけである。(ロ)の場合は先に述べた。付の場合 は,それぞれの部門の

L 1F

L 1 Z

L 1V

がそれぞれの部門の (D‑R)よりも 小さくなる。その場合は ,IZおよびII部門内部で,IF部門の

L 1

Zまたは

L 1

V は独立に,それぞれの部門の (D‑R)が満たされるまでの追加投資がなさ れる必要がある。それは, IF部門にとっては ,MミまたはMv+MKからまか なわれることになる。つまり IFにおいては純蓄積の一部を構成することに なる。なお,この他のが*く

1

u川 >

1

の場合なども同様に処理できる。

以上の分析は全部門を統合してしまえば, (D‑R).の全てが固定不変資本 投資へむけられるのかどうかといつことで,実に簡単に処理されることにな

ここで二つの問題が生じる。一つは uの水準はどのようにして決まるの ということであり, もう一つは剰余価値そのものの中での蓄積(本稿で

(8)

60 

経 営 と 経 j 丙

はこれを純蓄積とよぷ)との関連はどうなるのかということである。前者は 再生産表式それ自体の分析からは決定できない。それはその時代の歴史的条 件等によって,外部的に決定される面が強いといえよう。次に,後者の問題

をとり扱うことにする。

(3)

この表の作成には井村(③

143

ページ)の表を参考にした。同様の表示は, 富塚 ( ①

296

ページ)にも見ることができる。なお記号は本稿で使用するものに統ーして いる。

(4) 

井村は次のように述べている。「

α

の率で

R

の拡大のために,原材料にたいする追加投 資は

α

T .

r

だけでよいのに反し,長期的に機能する労働手段に対しては一括投資しな ければならない関係上,

α

T . f ではなく

α

T .F

10α

. f が必要てーあるから,

α

の値が高く なるにともない,労働手段と原材料に対する(拡大のための)需要は

I:r

ではなく

F: r= 101: r

の比で増大する

J

( ②70‑71 ページ

)0rそれは ,IF

部門では , T . c F (  

T

. f  

よりも少額)に

10αT.

I

αT.F

を加えたものであり ,

IR

部門では

T.r

αT.r

を加え たものである。したがって ,a が高ければ高いだけ ,

IF

部門は

II

部門に比べてはもち ろんのこと ,

IR

部門に比べても,その部門構成比が高くなければならないことは明 らかである

J

( ②7

1

ページ)。

ここには幾分の混乱が見られる。本稿と記号が相違するため分かりにくい点もあろ うが,主旨は ,

F 10

/,つまり減価償却分に比べて投下された固定不変資本の額は 大きい(ここでは1

0

倍)のであるから,

αという拡大率を考えるとき ,IF

部門に対す る需要は ,

IZ

部門あるいは

II

部門より高< (たとえば

10α倍)なければならないとい

うことである。しかし,技術的構成に制約されて資本の有機的構成は考えられるので あるから,蓄積分として投下される資本の有機的構成は,減価償却分 f で考えるべき ではなく ,

F

で考えるのが当然でいあろう。つまり ,

IZ

, 

II

部門における

α

の率での拡 大は

IF

部門においても

α

の率での拡大をもたらすとするのが当然である。ここには 技術的構成の軽視がみられる。

同様の叙述は他の箇所にもみられる。新投資について「あらゆる部門で市場拡大が

F+r

行なわれると仮定しても,生産拡大(予定)額を上廻る,その

(7Y+tJJ771)倍の新投

資が必要であり,それだけの投資需要がー←

IF

部門に対してはとくに群的に一一,創出さ れる

oJ

( ①

210

ページ)というのがそれで

h

ある。 これが

I

部門の「不均等的拡大」の一つ

rLJK 

の軸をなしている。「

‑r

の上昇によって ,

IF

部門,

IR

部門に対し一定の需要がつけ加

わると, (それら部門で需要増大とひとしいだけの生産拡大が行なわれると仮定しても)

(9)

拡大再生産表式における磨損と更新について

61 

F

+r+ v 

需要増加額=(必要)生産増加傾をはるかに上廻るところのーーその

4

f

r+v+m

の吉

it

の 一 新 投 資 が 必 要 で あ る の で,

IF

部門を中心に I部 門 の 千 の 上 昇 が 促 さ れ てし、くわけである

J

( ②8

8

ページ)。

申 立

L J K  

ここでも基本的に ,

F>J

である」とか I日間の← r の上昇つまり「不均等的拡大」

をひきおこすことが言めれている。しかし,需要の増加は f に基づいて計算すべきな のであろうか。需要が新規の投資として現われる際には ,

F

として最初から計算され るべきなのであって ,

J

と対比して計算されるべきではないと考えられる。投資はあ くまで最初から

F+rv(

本稿の記号では

F+Z+V)

として現われると考えるべき であろう。技術的構成にもとづく価値構成はそれを要求すると考えられる。

井村はその現状分析で r

1

部門の不均等的拡大」の概念によりながら叙述してい る。( r 戦後日本資本主義の生産構造

J

U ' 新マルクス経済学講座』第

5

巻「戦後日本資 本主義の構造」有斐問,

1976

年所収),および「再生産構造の特質と矛盾の展開

J

C U " 講 座 今日の日本資本主義』第

3

巻「日本資本主義の危機の構造』大月書庖,

1981

年 所 収))。ただ,そこでは②では重要で、あった , (D‑R) の問題は全く出てきていない。

( 5 )   1 ム

M¥

u" が最大値をとる場合(もちろん部門分割はされていない)を同様に仮定 して理論展開をしているのがドマーやハロッドである。それは,投資を基本的には,

固定不変資本投資として与ーえているケインズによっているためである。

Domar

, 

E.  V. 

Es

sa inthe  TheoηoJ economic Growth

, 

1957

, 宇野健吾訳「経済 成長の理論』東洋経済新報社,

1959

年 ,

7

章 。

Domar

,  E .   V .  "

Depreciation

, 

replacement

, 

and growth‑and Fluctuation"

, 

E0

nomic Journal

, 

vo

l .  

67

, 

1957

, 

Harrod

, 

R.  F.  "Replacement

, 

net  investment

, 

amortisation  funds

, "  

Economic  Journal

, 

vo

  l .

80

, 

1970

, 

Harrod

,  R .  

F.  Economicめ 仰mics

1973

,宮崎義一訳『経済動学』丸善,

1976

年 ,

3‑4

章 。

Baduri

, 

A.  "Unwanted amortisation funds" Economic Journal

, 

vo

l .  

82

, 

1972

,  なお,シュタインドルはドマー

(1953

年)よりも早

<

(D‑R) の問題にふれてい る(1

952

年)。ただし,それも

U

, u ' ,  u" が最大の場合であるが。

Steindle

,  J .  

Matur

. i

andStagnation  in  amen'can  Capitalism

,  ( l

st  ed. 1952). 1976

, 

Monthly Review Press

, 

pp. 175 ‑192.宮崎義一他訳『アメリカ資本主義の成熟

と停滞』日本評論新社,

1962

年 ,

232‑255

ページ。

なお,その他に

(10)

62 

経 営 と 経 済

Steindle

, 

1.  "Stagnation  theory  and stagnation  policy

Cambn"dge Journal  of  Economics

, 

vo

  . I

3

, 

1979

,白銀久紀訳「戦後における成長と停滞

JFI

経済評論』

30

4

号 ,

1981

年 。

足立英之「投資・置換および減価償却

JIF

国民経済雑誌.J

150

3

号 ,

1984

年がある。

(6) 

有機的梢成を名目投下資本(減価償却分を控除せずに当初価値のままで計算した資 本呈)でい計算すれば, どの年度でも有機的構成一定の表式ができ上がる。しかし,そ れを実質投下資本(減価償却分を控除し更新分を加えて計算した資本量)で計算すれ ば,減価償却の進行とともに有機的構成は少しずつ変化する。

期首の有機的構成は一可「であるのに対して,期末の有機的構成は

F+Z  F‑D+R+Z  F+Z  D‑R 

V  一一

v

一一一‑v‑

F+Z 

L 1

+  L 1

M

M

z

であり ,

(D‑R) 

0

,一寸ア一一一 L 1

γ

一 一

Mv

なので(生産力一定),

期首の有機的構成>期末の有機的構成 ということになる。つまり実質投下資本で計 算する有機的構成は減価償却が進むと少しづつ低下することになる。

図 ‑ 1 

期首

期 末

F‑f 

F‑f 

lgF 

I  L 1

I  L 1

I  L 1  

l V

( ニ

R)

新規の資本投下の場合,それは技術的構成にも制約されるのであるから,名目投下 資本で有機的構成を考えるのが正確で・ある。ここでもそのように処理している。

3. 

純蓄積について

ここでもIF部門でまず考える。 Uの値が1以上であれば

,L 1

L 1

L 1  V 

‑ (D‑R) は剰余価値分に喰い込むことになる。つまりその年度の蓄積分 は,

L 1

L 1

L 1  

‑ (D ‑R),およびそれを除く M

F

+

. L 1

ι+Mv(純蓄積) によって構成されることになる。この場合

(D‑R)を所与とするので追加 蓄積の大きさが純蓄積の大きさを規定することになる。すなわち uの値が

(11)

拡大再生産表式における磨損と更新について

純蓄積の大きさを規定することになる。

( 1 ) ,   ( 2 ), ( 3 )

より

JF JZ ‑ (D ‑R) (u ‑

1  ) 

[D ‑RJ  である。純蓄積率は,

Mト

+Mz+MvM‑{JF+JZ

十 J

‑ (D ‑R )} ‑M

M ‑{M

(u ‑

1  )[ 

‑R 

J  } 

63 

M, (D‑R) は所与であるから,基本的にMの大きさが,剰余価値のうち 純蓄積にむけられる残余を決定することになる

M K

をもし一定とすれば,

そのことは明らかである。またそれが変動しつるにしてもその大きさは小さ uの値の上昇を吸収して純蓄積分を増加しうるょっな縮小巾はごく小さ いと考えるべきであろう。

しかし以上のことは,純蓄積と追加蓄積とがべっべつの動きをするととら えるのではなくて,その年度の社会的な需要の大きさが (D‑R)に吸収 されてしまう部分と,純蓄積に廻る部分とに分れて現れてくると考えるべき である。つまり純蓄積率自体と uとは別個の動きをしながら社会的な蓄積 量を決定していくと考えるべきなのではなく,社会的な需要に応じて社会的 な蓄積量が決定され, それを追加蓄積と純蓄積といっ二つの形式でとらえる ことができるということなのである。つまり社会的な蓄積の根

i

源原は一つなの である:

すなわち,社会的な需要の決定の理論が必要とされるが,再生産表式論は その結果を示すことはできても先述のようにその決定自体を説明することは できない。それは技術的条件によって規定されるのももちろんであるが,そ の他の歴史的,外部的な条件にも大きく左右されるであろう。ただ,景気循 環の過程については内部的に説明しつる点も大きいと考えられる。

詰( 7 ) 以上の過程は,個別資本にとっては純蓄積であっても,社会的資本の視点から見れ

ば,まず (D‑R) に吸収されるということになるのである。それは,個別資本にとっ

ては正しい仮定も社会的資本にとっては必ずしも正しくはないという,個別資本と社

会的資本の次元の差を明瞭に示すーっの例である。

(12)

64 

経 営 と 経 済

4.

む す

以上見てきた追加蓄積係数

u

の意義について景気循環の次元と,段階区分 の次元とに分けて考える。

まず,固定不変資本の比重が小さかった自由主義段階の初期であれば u のもつ意味はより小さく,純蓄積のもつ意味,つまり社会的な需要が純蓄積 に廻る部分はより大きかったと考えられる。そして uの意味は時代が新し くなるにつれてより大きくなっていったといえよう。そして,固定不変資本 の比重が高まっていく中てv社会的需要の多くが(D‑R)に吸収され,しか uの値が低いのが国家独占資本主義への移行期であったと考えられる。そ れは純蓄積率も同時に低下させ次年度以降の拡大テンポを大きく低下させる ことになった。ここで外部的にUの値の上昇をはかり,純蓄積率の上昇をは かる手段として,国家による財政スペンディングが始まることになった。そ の場合,ある部門でのUの上昇は全部門に波及することになる。そのような 社会的需要の増大は,生産される剰余価値量の増加も寄与して,純蓄積率を も上昇させうるという形でも表現されることになる。そして,その場合,社 会的需要を増加させ,(D‑R)を超過する部分を増加させるために,金融市 場では公信用によって第二形態の蓄蔵貨幣,そのうちでもまず減価償却基金つ いで蓄積基金の吸収がはかられることになる。現実にはその他に労働者の貯 蓄としての蓄蔵貨幣もまた吸収されるであろう。この拡大政策が年々継続さ れるとしてどこまで持続可能か, といフことは別の問題である。

もう一つの手段として ,(D‑R)の縮小,あるいはUの値を上昇させるこ とになるインフレーションがある。物価上昇は,減価償却の実質額を減少さ せ,また更新部分については,労働手段の取得価格よりも更新価格を高くす

ることにより ,(D‑R)を縮小させ,またUの値を高めることになる。

次に景気循環について考えてみると,不況から好況期にかけては uの値 も上昇していくとともに,純蓄積率も上昇していくと考えられる。不況期に おいて社会的な需要のある量が与えられれば,それ以降 uついで純蓄積率 が次第に上昇していくことを想定しうるといえよう。そのような上昇を許容

(13)

拡大再生産表式における磨損と更新について 65 

し う る よ う に , 全 部 … 同 門 の 成 時

(t)

が規定される必要が

あろう。

以上の考察は基本的に単年度の場合のものになっている。ここで時系列的 にIF部門を考察するとき,別の条件を考慮する必要があるO すなわち u 小さい場合で,R+LJF+MF

D

を上廻らない,つまりKt

+1

Rt LJFMFt 

Ktであっても(以下,添字によって年度をあらわす), Kt

+l> 

Kt‑m=凡 で あり ,Dt+l>Dtとなる。 (mは償却年数とする)。その場合Kt(m+l)であるRt+l Dt+lより小さければ,Dt

+1

>Rt+lの関係は成立することになる。ただし,

その年度以降のR+LJF+Mトの大きさ次第で,つまり uの値が小さくかっ それが一定期間続けば,固定不変資本ストックの存在量と償却年限次第であ るが,将来必らず

D

このように ,LJFすなわちMの値が小さい場合は ,Mトの増大でD‑(R+LJF) はカウ、、アーされることが必要となる。

つまり,

Dt+M;t~三 Rt

LJFMFt 

~

Dt, M!tMFt)

lA

の範囲内に ,

LJFt+MFt が存在すれば,…・・・ 2三 Ft+1~主 F

t

Ft-l~ ……となるの

で将来のD

Rは全く生じないことになる。(ただし

M

!tはその年度でu 最大値をとったときの

M

Ftである)。

しかし ,Mの全てをMFに廻すことはできず,世と

α

の関連から ,D‑(R  +LJF)の一部分を満たしうるにすぎず, それをカゥーァーできない場合も発 生する。その場合は,減価償却が可能となるためにuの値の上昇が必要とな る。このようにU

( 1 1 )

の範囲内で,Mにおける砂と

α

MFの 大 き さ へ の 制

( 8 )  

約も考慮、しながら再規定される必要が生じる。しかし,それは長期の正常な拡 大再生産における Mの値についてのことであって,本稿でのuを最大値の場

(9) 

合に限定しないということで行なった議論はそのまま妥当する。

註( 8 ) なお

Dt

+

1;;Dt

であれば将来時点で

R > D

が生じるが,その場合は

M

Fs と

M

んとは

等しくないことになる。つまり

MFS

の一部が

(R‑D)

の穴埋めに充当される必要が

あるからである。そのとき

M

んより小さくなった

MFS

に対応して ,

M

<λ1zg

お よ び

(14)

66 

経 営 と 経 済

Mvs<MI)J

となる。つまり .

MKS>MKg

とし、うことになる

c

す な わ ち 購 買 よ り も 版 売 の側で、の純苔結の相対的縮小として現われることになる

c

Rt>Dtii.

現実にはその年度の

Rt+M

ム ニ

Kt+l

Kt

より増大させることでその年度以降 の拡大再生産への転機を与えるようにも考えられる。だが他方で

.R>D

はその年度の現 実に行なわれる純苔枯をお

ii

小させるために必らずしも

Kt<Kt+l

となるとは必らずしも いえない。そして,この純苔柏のおお小は

IZ

部門. I I部門へも波及することになり,

それらの部門の

R>D

が実際に行なわれる可能性へも影響を与えることになる。つま り

R>D

は拡大再生産への転換を説明するには十分で・ない。その点で

R>D

から

D>R

への転換を不況から好況への転換点とする説には疑問が残る。

いずれにしても .

> D

が継続することは,拡大再生産の継続を不可能とする。

( 9 )   なお

.Ft=Kt1+

…+

Ktm

であるコまた本文では定額法を想定したものとして叙述し ているが,実際には

D

R

とをどう規定するかということであるから,それらを定率 法で規定しても同じことがいえる。

また,長期の拡大再生産の正常な進行が可能なような

U

の範囲は. ( 5 ) および(11)より 定められる

C

そしてその最小値は ( 5 ) および ( 1 1 ) の最小値のうちのより大きい値であり,

また最大値は ( 5 ) および(11)の最大値のうちのより小さい値である

c

しかし,産業循環あ

るいは長期不況を考える場合は.

(5)

および(11)の和集合において

M

を考えるべきであろ

つ 。

参照

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