熊 本 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第33巻第2号(昭和59‑10) 155
│論文│
締固めたアロフェン質火山灰土の 非排水段階載荷効果
北 鈴 荒
園 木 牧
芳 敦
人*
巳料 昭二郎料事
The Effect of Undrained Step Loading on Compacted Allophenic‑Volcanic Ash Soils
Yoshito KITAZONO本 Atsumi SUZUKI帥 Shojiro ARAMAKI林 *
1 • ま え が き
火山国である我国では,その40%に火山灰質粘性土 が分布している.その中の時下火山灰が堆横風化した アロフェン質火山灰土(関東ローム,黒ぽ〈・赤ぽ<) は,その工学的特異性 のため,地工上あるいは防 災上の問題が多い.その問題点として,次のようなこ とが知られている.(1)アロフェン質火山灰土を盛土材 料として締固めた場合.高含水比で!間l諜比が大きいが,
含有水分の大部分が拘束水や単拘束水で占められてお り, しかも透水係数が小さいため.施工中はもちろん,
竣工後も比較的長期間にわたって種々の荷重を非排水 に近い条件で受けることになる.(2)路床或いは上部路 体とい用いた場合に,他会不飽和土に関して}Seedら (1958),河上・小川(1963),山内・羅 (1966)によっ て報告されているような輪荷重による安定化効果は,
上記(1)の制約のため低減される可能性がある.(3)下部 路体においても上戦荷重による安定化の促進が,上記 (1)の制約のため遅れる可能性がある.
昭和59年7月26日 受 付
・ 助 手 土木工学教室
" 教 授 エ 博 土 木 工 学 教 室
日 事 九 州 東 海 大 学 助 教 授 土木工学教室
前報では,アロフェン質火山灰土のうち,特に含水 比の高い黒ぽ〈に対する非排水先行載荷効果を報告し た.その結果,変形係数及び圧縮強度に関する先行載 荷効果は,一次圧密供試休(飽和度97%)ではみられ たが.2411寺IHJ圧密供試体(飽和度99%)ではほとんど 認められず,前者の先行蹴荷効果は,不飽和によるも のと考えられた.
今回は,現場の盛土の地工手順や経済的と考えられ る交通開放の手順を考慮して.段階的な漸増荷重を載 荷し,上宮田2). (3)の問題について検討した結果を報告 する.
なお,対象土として,有機物含有量の少ない赤ぽく を新たに加えた.赤ぼくについては,漸増載荷効果を 比較する基散を得るため,一段階載荷試験も行なった.
2 • 実験方法及び供試体
供試体は初期圧宮、を拘束圧98kPaで24時間行なった.
その後,赤ぼくについては,非排水条件で前面黒ぽく に対して行なったと同様な一段階で所定の載荷試験
(繰返し職荷.静的持続載荷)を行ない,また新たに,
漸増載荷試験(繰返し,静的持続)も行なった.黒ぽ くについては.非排水条件で漸増載荷試験のみを行な った.ただし,いずれも圧密終了後の載荷は,一軸方 向に行なL¥繰返し載荷は載荷0.5sec,除荷0.5secの
一(25 )ー
締固めたアロフェン質火山灰土の非配水段階載荷効果北園・鈴木・荒牧
156
TableⅢ試料の物理的性質と突固め供試体の初期 状 態 量
矩形赦荷とした.
TableI繰返し漸増敏荷方法
11)
*前報のデータ使用
TableII静的漸増赦荷方法
TableⅣ初期圧密後の状態量
(1)繰返し漸増戦荷試験:赦荷中に荷重を変化させな い−段階繰返し赦荷(Stretchrepeatedloading=One steprep.)に対して,荷重を段階的に増加させる漸増 赦荷試験を行なった.職荷回数,荷重比(Rl)はTableI に示す.第3段階目は降伏術垂比以上とした.Steo repeatedA(=Steprep.A)とSteprepeatedB(=Step rep.B)では荷重増加率を変化させ,荷重増加率が変
形特 性に及ぼす影聯を調べた.
(2)静的漸増赦荷試験:TableIIに示すように一段階 の戦荷時間をStepsustainedA(=Stepsus.A)は24 時間,StepsustainedB(=Stepsus.B)は1時間,
Stretchsustainedloading(=Onestepsus.)は一段階 のみlO'minと変化させて,ほぼ同様の荷重段階で増加
させ,職荷時間の変形特性に及ぼす影響を調べた.
試料は次の場所で採取した.黒ぼ〈は熊本県阿蘇郡 産山村,赤ぼ〈は同郡蘇陽町馬見原.供試体の作製方
11)
法は前報と同様で,自然含水比で突固めて直径50raiii, 高さ125mmの供試体を作製した.試料の物理的性質及 び供試体作製時の諸元はTableⅢに示す.また,Table
Ⅳに初期圧密後の諸元を示す.
3 . 赤 ぼ 〈 の 一 段 階 載 荷 試 験 結 果 軸ひずみ一戦荷回数ua‑logAOの関係をFig.1に,
NumbGrofCyClcsoN
2 m 】 1 0 も 1 0 1
Fig.I軸ひずみと載荷回数の関係(繰返し載荷)
軸ひずみ−載荷時間(c‑log/)の関係をFig.2に示す.
11)
(ただし,図中の黒ぼ〈のデータはすでに前報で用い たものである.)繰返し載荷試験(Fig.1)において,赤 ぼ〈は黒ぼくに比較して破壊する荷重比や戦荷回数が 小さくなっており,載荷中のひずみ速度と荷重比の関
試 料 名 黒ぼ〈 赤ぼ〈
物理献悩髄 自 然 含 水 比 ( % )
比 1
液 性 限 界 ( % ) 塑 性 限 界 ( % ) 非 品 質 鉱 物 愚 ( % ) ば ん 畦 モ ル 上
有 機 物 含 有 愚 ( % )
25 2 37 258 186 38.
0.95 3
! 105
2.81 122
8 40.I
0.43 2 和呼加へ堀捌心醒垂 含 水 比 ( % )
拘束水(pF>4.2){%]
準拘束水(3.3<pF<4.2)(%) 乾 燥 密 度 ( % . : 間 隙 比
飽 和 度 ( % )
237 120 71
0.34 5.9( 93.9
102 3 5
0,70 3.00 95, 試 験 の 樋 卵 1 段 脚 鮒 2 段 階 第 3 段 開
里ぼ Steprep・A Steprep.B Onesteprei
R&=0.4 RL=0.2
・各荷、」
Ⅳ=10 N=I4 N=10
〃&=0.5〔 RL=0.4(
Ⅳ=lOl
Ⅳ=10
−
RL=0.71 R4=0.71
−
Ⅳ=8xl(
〃=8xl(
馴 附 1
Steprep.A Steprep・B Onesteprep.
RL=0.2 凡=0.1 各荷mM
N=101
Ⅳ=104
Ⅳ=10 Rj=0.41 RL=0,2(
−
Ⅳ=104
Ⅳ=104
一
RL=0.51 RL=0.51
Ⅳ=8xlO N=8xlO
試 験 の 概 淵 赦 荷 時 借 黒ほで︑ Stepsus.A
Stepsus・B Onestepsus.
24hr/stei 1hr/steF 10'mir 赤ほく Stepsus・A
Stepsus・B Onestepsus.
24hr/stet 1hr/step 10'mir
試料名
拘束
』
(*凡) 圧密沈下量
E
(% 乾燥密度
』,ゴ
(% 間 隙 I
2
飽和、
S7 (%
圧朗強度 (<J.‑(J.) (力凡
変彫係目 E".Q (〃凡
黒ぼ︐I
4
, 147
1.92 96 鯛
0.36 0引凹
0 4 5.50
2 8
98. 1 ' 1
l似 207
3.2: 666
赤ぼく 31 4 9 147
5 40 02
0 0 0 7 7
8 6 5
' 1 1 1
1 1 2 4 0
岬 221 283
53 37 82
一 邸 ;
ここF謂冒胃:胃
、ミ§ミFミ:冒冒:胃
10︐0.9
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司.llq 可
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熊本大学工学部研究報告第33巻第2号(昭和59‑10; 157
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・Kurobok oAkaboku TimGofI din9 !(min】
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Fig.2軸ひずみと赦荷時間の関係(静的持続刺 荷)
10
0 ー ー ー ー ‑ Q 2 O A 0 . 6 0 . 8
Loadratio,Rl
Fig.4弾性回復ひずみ率と荷重比の関係(JV=10*) の骨格構造の外力に対する緩衝能が黒ぼ〈より小さい ため,先行戦荷効果が顕薪に現われ,降伏荷重比が小 さいものと解釈される.
1 .(
01
642000
鑑ヨα・◎幸︑﹄ロ︑◎ヨ u側吋印唱函印娼娼RSmRSA−令即一分
0 1.02.0x10'
Strainrate,Cいノs)
■
& │ 縁
Fig.3荷重比とひずみ速度の関儒 一︵69百︶ ︒︽量︺1渦一
1t
係を求めるとFig.3のようになる。なおひずみ速度は,
繰返し赦荷の場合,N=10*〜2×10*の軸ひずみ蛸加量 を10*sで除し,静的持続赦荷の場合はオ=1〜2minの 軸ひずみ増加量を60sで除して求めた.これから,前
11)
報でも述べたようにひずみ速度の急変点,つまり,降 伏荷重比が求まる.その結果,赤ぼ〈は黒ぼ〈より降 伏荷重比が小さく, 繰返し荷重に対するせん断抵抗が 相対的に小さいことが判明した.Fig.2の静的持続載 荷において,赤ぼ〈の場合,/=10min前後でひずみ増 加遼がやや減少するため,t=10'minで軸ひずみは黒 ぼ〈よりも小さくなる.つまり,黒ぼ〈より定常状態 に達するのが早いと考えられる.降伏荷重比は繰返し 載荷程明確には求められず,0.7以上であろう.
また,繰返し救荷における弾性回復ひずみ率(赦荷 回数N=10'での弾性回復ひずみ(6e)と軸ひずみ(ea) の比)を示したものがFig.4である.Fig.1よりRl=
0.25での軸ひずみはほぼ同じであるにもかかわらず,
弾性回復ひずみは黒ぼ〈の方が大きく,弾性に富む.
これは黒ぼ〈の場合,有機物が外力に対・して緩衝材と して働いているためと考えられる.赤ぼ〈の場合,土
0 0 2 0 . 4 0 . 6 0 8 Loadratio,Rl
Fig.5先行載荷効果と荷重比の関係 非排水先行救荷後の赤ぼ〈供試体に対して,標準α 非排水三軸圧縮試験を行ないその結果を非排水先行‑49 荷前の圧縮強度(ぴ,−び3)んと変形係数Eso.oと比較した
ものがFig.5である.降伏荷重比以下では硬化効果力 認められ,しかもその程度は,静的持続m荷よりも糊 返し赦荷において顕著である.しかし,圧縮強度には いずれの先行職荷効果もほとんど認められない.こ ことより,非排水先行戦荷によるその効果は小ひずみ の変形抵抗におけるほど凱著に現われ,しかも静的持 続戦荷よりも繰返し戯荷における方が顕著であること がわかる.
4 . 繰 返 し 漸 増 載 荷 試 験 結 果
漸琳城荷試験におけるen‑logN曲線をFig.6(黒 tf<)Fig.7(赤ぼ〈)に示めす.Steprep.A,Steprep.
−(27)一
一
ニニ華幸二
−
〜 ▲ ̲
ー 一 一 一 ・ ‑ ご = = 一
号一旦一一一●−−−.
一
一鯛
O弱 085
締固めたアロフェン質火山灰土の非配水段階戦荷効果北圃・鈴木・荒射
151
そして,Steprep.AとSteprep.Bで軸ひずみが異な る こ と は , 先 行 戦 荷 効 果 が 荷 重 増 加 率 に 影 響 さ れ て い ることを示している.Fig.6より,Steprep.Aの場合,
3段階目のⅣ≦10'でのひずみ増加率が非常に小さく なってお'),その後のひずみ増加率も他の二者に比べ てやや小さい.また,Steprep.Bの場合でも,Ⅳ≦10' でのひずみ増加率は,Onesteprep.のそれより小さ《
この差がほぼ載荷終了時の差となっている.赤ぼ〈は 黒ぼ〈よ')も硬化現象が顕著である.Onesteprep.の Rl=0.50ではⅣ=10'前後で破壊に至るが,漸増載荷 の場合,同じ荷重比でもⅣ=104では破壊しておらず,
特にSteprep.Aの場合,Ⅳ≦10'でのひずみ増加率が 非常に小さく,それ以上でも他の二者に比べて小さく 破壊に至っていない.また,Fig.8J:'),軸ひずみの減 少率は赤ぼ〈の方が黒ぼ〈より大き<,Steprep.Aの 方がSteprep.Bより大きいことがわかる.すなわち、
前段階での硬化効果が大きいもの程,次の段階の荷重 に対する変形抵抗が大きいと考えられるので,軸ひず みの減少率の大きいもの程硬化効果が大きいと考えて よい.赤ぼ〈の硬化現象が黒ぼ〈より顕著なことは,
前述の先行敏荷後の変形係数に若干の硬化効果が現わ れたことに符号する.これは,赤ぼ〈が黒ぼ〈よりも 土の骨格櫛造に有機物を含まないため,外力に対する 有機物の緩衝作用が働かず先行載荷が土の骨格構造に 影響を与えやすいことは降伏荷重を小さくし,荷重増 加率が大きくなると,ひずみ増加率が黒ぼ〈に比べて 少ない赦荷回数で大きくなる事にも現われている.
5.静的漸増載荷試験結果
静的漸増赦荷試験におけるEo−logノ曲線をFig.9
(黒ぼ〈),Fig.10(赤ぼ〈)に示す.また,Fig.11に Fig.9,Fig.10の中からRl^0.55における/=1,15, 60minでのそれぞれの軸ひずみ量を示した(ただし,
Timeo110adin90t(m NWnbero1cyclesO卜
, n J 1 が 1 0 6 、 !
グー亨■﹃ 5旧
園・星9両一国x唖
Fig.6黒ぼ〈の繰返し漸増職荷における軸ひす み と 赦 荷 回 数 の 関 係
Numb●「of可Cl曙.I
1 ぴ 1 0 も 1 0 $ 10
■p曲1.首扇仁岬万貢ぐ
赤ぼ〈の繰返し漸増救荷における軸ひす みと赦荷回数の関係
Fig.7
Numberofcycles.N 102 1 0 』 I ひ
霧
〆﹃●︑6画1帥11﹃I弓I則4﹃
鴬KurOmku R=070
Fig.8第3段階目の軸ひずみと戦荷回数の関係
(JV=10M0,10*) 1 1 0 1 ぴ l [
の■bl令子︶勺UQE一個婁酬一m貢ぐ
Bの両者とも,第2段階までの軸ひずみは,OneStet rep.とほとんど変らない.しかし,第3段階になると卿|
ひずみに明確な差が現われている.Fig.6,Fig.7の簾 3段階目のⅣ=iomo',io*,でのそれぞれの軸ひずみ をプロットしたものがFig.8である.黒ぼ<,赤ぼ〈
とも軸ひずみはOnesteprep.>Steprep.B>Stej rep.Aの順に大きくなっている.黒ぼ〈の場合,N=1Q では3者ともほとんど差がないが,Ⅳ=103でその差力
大きくなり,前段階での先行赦荷効果がみられる. Fig.9黒ぼ〈の静的漸増載荷における軸ひずみ と戦荷時間の関係
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熊本大学工学部研究報告第33巻第2号(昭和59‑10) 159
Time◎fl din9o1 の 1 ぴ
(min)
10コ 6 . 先 行 載 荷 に 及 ぼ す 間 隙 水 圧 の 影 響 不飽和土の先行Ilm荷でみられる剛化現象に対する要
1 2 ) 9 )
因については,T.W.Lambeや河上・'1,川らによって,
土粒子間に│伽〈電位エネルギーや土粒子の配列の変化 であろうと説明されている.しかし,飽和土の非排水 条件下の先行舷荷では,間隙水圧が発生するため,有 効応力が減少し軟化現象が起こることが考えられる.
締固めたアロフェン質火山灰土の場合,高飽和度であ るが,わずかに残存気泡が存在する.そのため,前節 迄に述べた先行'│、荷効果を考察する場合には,上記の 不飽和土の場合に見られた硬化促進要因とそれを妨げ る要因としての冊l隙水圧の発生の両者の効果を考える 必要がある.本節では先行m荷方法によってこの後者 の要因の効果がどのように異なっているかを比較検討
してみる.
一︐一賃︾︑一1︵誤︾d・星巴葡豆2
Fig.10赤ぼ〈の静的漸増戦荷における軸ひずみ と戦荷時間の関係
Timeofloading,t I f f 1 1 0
(min) 102
へ 、
誤凹
一
匡二︾n︺1句い・E﹄一吻一責迂
Numbe『ofcycles,N 10' 10』
10' 10J 10' 10匂
一
m マ ー ー
コ
ー
Fig.IIRl^0.55における軸ひずみと赦荷時間の
関係U=1,15,60min) 50
黒ぼ〈のStepsus.AはRl=0.49).Fig.11において 黒ぼくの場合,ひずみ増加遇はf≦15minでOnestep sus.>Stepsus.B>Stepsus.Aの順に大きくなってい る.しかし,Fig.9にみられるように,Stepsus.Aの 場合はオ≧10'minで,Stepsus.Bの場合は′>10min
で,それぞれひずみ増加率が,Onestepsus・のそれと ほぼ等しくなっている.すなわち,繰返し漸増職荷の 場合と同様に,漸増戦荷における前段階の峨荷効果は,
戯荷初期のひずみ速度を減少(硬化現象)させており.
その結果として,漸期赦荷試験における刺Iひずみは,
一段階載荷試験における同荷重比の軸ひずみよ')小さ くなる.また,Stepsus.Aでは,荷重比が1.0以上に なって急激に軸ひずみが増加し破壊に至っている.赤 ぼ〈の場合,全体的な傾向は黒ぼ<と同様に漸期赦荷 の硬化現象が認められるが,次の点が若干異なってい る.(1)Stepsus.Bでは/=lminでの軸ひずみは,One stepsus.より小さいが,1≦!≦10minですでにOne stepsus.Aの場合,t≦15minでひずみ増加率は非 常に小さく,漸増載荷効果が明瞭であるが,荷重比 が大きくなると(Rl≧0.68),30≦j≦120minで一度ひ ずみ増加率が急増し,その後また減少しており,新た な定常状態へ近づいているものと考えられる.
Fig.12第3段階目の間隙水圧と戦荷回数の関係
(min) 102 TimeOfloading,t
l l O 1 1 0 1 0
︵一mパー︾一︶一口一・一﹃
鼠Ⅸ 三二吉
A埴bo如 凡葛0弱
Fig.13Rl*0.55における間隙水圧と載荷時間の 関係
Fig.12に繰返し戦荷の間隙水圧と戦荷回数(漸増職 荷の場合は第3段階目).Fig.13に肺的持続救荷の荷 重比Rl^0.55(黒ぼ〈のStepsus.AはRL=0.49)で の間隙水圧と載荷時間の関係を示めす.Fig.12のStep rep.AとSteprep.Bの場合,Ar=io*では,後者の間 隙水圧が小さい.これは,後者の前段階の荷璽比が前 者よ'M、さく間隙水圧も小さいことと,軸ひずみ(Fig.8) に比べて間隙水圧の発生がやや遅れていることによる.
しかし,前者の場合,荷亜増加率が小さく前段階の硬 化効果の影響が顕著で剛性が増加しているため,ひず み増加率が小さく間隙水圧の蛸加率も小さくⅣ>10' では間隙水圧が小さくなっている.Fig.13のStepsus.
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Onestepsus ,Kurobok
RミQ55
160 締固めたアロフェン質火山灰土の非配水段階戦荷効果北圃・鈴木・荒牧
AとStepsus.Bの場合,各段階での戦荷時間が異な るため,前段階迄の硬化効果に差がある.すなわち,
戦荷時間の長い前者の方が硬化効果が大きく,ひずみ 増加率が小さいため,間隙水圧も'1、さくなっている.
Fig.12,Fig.13において,一段階赦荷の間隙水圧の埴 加傾向は漸増戦荷のそれと異っている.戦荷初期は非 常に'1、さいが,その後急激に増加し,iV=10*^/=60min では漸増赦荷の間隙水圧よりもやや大きくなっている.
この戦荷初期の値が小さいのは,供試体の飽和度は TableⅣに示すように高いが,完全飽和でなくバック プレッシャー等も負荷していないため,なお土粒子櫛 造内に微細な気泡が残存していることと,間隙水圧を 供試体底面で測定しているため,発生した間隙水圧の 伝達が遅れているためと推定される.漸増荷重による 間隙水圧の増加傾向はFig.8^"Fig.11の軸ひずみの 増加傾向とよく符号しており,軸ひずみにおける−段 階救荷と漸増救荷との比較から,前者の間隙水圧は実 iiHJ値よりももっと大きい可能性があり,今後検討する必 要がある.そして,漸増救荷の場合,前段階でのわず かな硬化効果のため,間隙水圧が小さくなり,硬化効 果を妨げている有効応力の減少が小さくなるため,硬 化効果が累横されさらに硬化現象が一段階戦荷よりも 顕著になるものと推察される.
以上の結果より,漸増赦荷試験における先行救荷効 果として次のことが明らかになった.
(1)硬化効果を期待した先行戦荷としては,一段階赦 荷より漸噛戦荷に硬化現象が顕著であり,繰返し漸増 戦荷から荷重増加率は小さい方が,また静的漸地戦荷 より各段階の載荷時間の長い方が効果的である.
(2)赤ぼ〈と黒ぼ〈では,漸増戦荷効果に若干差がみ られる.つまり,黒ぼ〈の場合,多量の有機物が土粒 子間に介在しており,動的な外力に対する緩衝効果を 有している.そのため,動的な先行戦荷効果は黒ぼ〈
よりも赤ぼ〈の方に顕著に現われ,降伏荷重比以下で の硬化効果は赤ぼ〈が大きくなる.しかし,静的な職 荷の場合,衝撃による強度低下はなくなるため、赤ぼ
〈と黒ぼ〈の差は繰返し荷重程大きくない.
(3)先行職荷中の間隙水圧の増加傾向は,軸ひずみの 増加傾向と比較的一致しており,間隙水圧は漸増荷重 でしかも荷重期加率が小さく、賊荷時間の長い方が小 さい.その結果,間隙水圧による有効応力の低下が減 少し,土粒子の骨格櫛造の剛性の増加が進み硬化現象 が顕著になる.
(4)アロフェン質火山灰土は,非晶質鉱物や有機物を 多湿に含みそれらに保持される多鼠の拘束水や準拘束
水及び微細な気泡のため間隙が大きい.しかし,自由 水が少ないため締固めると透水係数が小さくなり,水 分の移動が緩慢になるため,栽荷初期の間隙水圧の伝 達が遅れる.また,完全飽和でないため,赤ぼ〈の繰 返し戦荷にみられるように,急激に大きなせん断力を 受けるとせん断領城が拡大し降伏あるいは破壊するが,
小さな荷重で十分な時間が経過するならば,その荷重 に対応した安定な骨格櫛造が徐々に発達し硬化効果が 現われる.
7.非排水先行載荷効果の利用について 盛土材としてアロフェン質火山灰土を用いる場合,
上記のような先行載荷効果を次のように利用すれば,
路床及び路体の安定化の促進が期待されよう.
(1)締固めたアロフェン質火山灰土は,先行載荷時に 荷重を漸増させると,一段階載荷よりも,軸ひずみや 間隙水圧が小さくなり,有効応力の低下を防ぎ,土の 骨格櫛造の剛性が増す.つまり,盛土の沈下量を小さ
く押え変形抵抗を改善することができる.
(2)繰返し漸増載荷の硬化効果の応用として,舗装前 に,路盤材の一部で表面を被って軽車輔の交通開放を 行なえば,路床及び上部路体の安定化を促進すること ができる.なお,この方法は特に赤ぼくに対して効果 的と思われる.
(3)静的漸増載荷では,戦荷初期の軸ひずみが小さく、
沈下鼠を繰返し漸増載荷よりも小さく押えることがで きる利点があり,この点を盛土の緩速施工やプレロー デイングエ法に応用すれば,安定した盛土が得られる‐
なお,今回得られた先行載荷効果は,24時間の等方 圧密を行なった極めて飽和度の高い供試体(黒ぼ〈平 均99%,赤ぼ〈平均97%)に対するものであったが,
13),14)
現場の飽和度は85〜95%で,今回の供試体程高くない.
このことより,現場ではより一層先行載荷による硬化 促進効果が期待できる.今後の検討課題としては先行 戦荷における変形特性,間隙水圧の挙動及び土構造の 相互関連に着目して,締固めたアロフェン質火山灰土 に対する先行載荷効果の発現機構を明らかにする事が 残されている.
8 . 結 論
今回の研究は,ほぼ飽和とみられる供試体に対する 非排水先行載荷試験であるにもかかわらず,先行載荷 として漸増戦荷を行なう事によって,実際上有効と思 われる変形抵抗の増加がみられた.以下にそれを要約 する.
熊本大学工学部研究報告第33巻第2号(昭和59‑10 16]
(1)アロフェン質火山灰土では,漸増荷重による非排 水先行戦荷によって,密度増加はほとんど生じないか 小さいひずみに対する変形特性には硬化現象が明らか に認められた.この場合,荷璽増加率が小さく,各段 階の戦荷時間が長い程硬化現象は顕著である.
(2X1)に挙げた漸地1敗荷方法によって間隙水圧の発生 量を減少させることができたため,硬化効果を防げて いる有効応力の低下を防ぐことができ,硬化現象が顕 著になった.
(3)有機物を多量に含む黒ぼ〈の場合,外力に対する 有機物の綬衝作用のため,繰返し荷重による先行載荷 の硬化効果は赤ぼ〈に比べて小さい.
(4)これらの材料を用いて盛土した実際の路床・路体 の場合,先行戦荷による密度増加も期待され,その安 定化に漸地荷重による先行載荷が一層有効であると考 えられる.
謝 辞
本研究を進めるにあたり,多大の御指導を下さった 当大学梶原光久教授及び実験やデータ整理に協力して いただいた当研究室の丸山繁技官並びに学生緒君に心 から感鮒の意を表する次第である.
記 号 一 覧 表 e'.間隙比
E50:非排水先行戦荷後の変形係数(MPal E3。,。:非排水先行敏荷前の変形係数(MPal
Ⅳ : 繰 返 し 戦 荷 回 数 Onesteprep.:−段階繰返し載荷試験 Onestepsus.'.一段階静的持続戦荷試験
Rl:荷重比 Sr:飽和度(%)
Steprep.A:繰返し漸瑚敏荷試験(A方法)
Steprep.B:繰返し漸増載荷試験(B方法)
Stepsus.A:静的漸増戯荷試験(A方法)
Stepsus.B:櫛的漸増戦荷試験(B方法)
ノ:静的持続戦荷時間(min) 424:間隙水圧(kPa)
と:ひずみ速度(%/s) a:軸ひずみ(%) E :圧密沈下愚(%)
eI弾性回復ひずみ(%)
:乾燥密度(g/cnf) ぴ3:拘束圧(kPa)
(o,一o3〃:非排水先行敏荷後の圧縮強度
(ぴ,−び3脇:非排水先行級荷前の圧縮強度(kPa 参 考 文 献
1)土質工学会(1974):S52車火山灰質粘性土,「日本の特殊土」
p.21〜82
2)関東ローム研究グループ(1965):""IKI東ローム」築地書店 3)鈴木牧巳(1982):側{ぼく・赤ぼ〈・赤ほや及びよな,「九州・
沖縄における特殊土」p.91〜p.118,土質工学九州支部 4)関東ローム研究委側会(1970):関東ロームの分顛試験方法に
ついての提案,「関東ロームに関するシンポジウム」
p、7〜P.16,土質工学会
5)安富六郎・竹中蛾(1970):関東ロームのねり返しによる工学 性の変化について.「関東ロームに関するシンポジウム」
p.17〜p.20.土鷺工学会
6)江平英雄・井上洋司(1970):関東ロームによる盛土の圧輪に ついて,「関東ロームに関するシンポジウム」
p、63〜p、68,土質工学会
7)鈴木牧巳(1969):有機間火山灰土の土賀工学的性質(その1).
「熊本大学工学部研究報告」輔18巻第2号,p.52〜p.62 8)H.B.Seed.R.L.McneillandJ・deGuenin(1958):Increased
resistancetodeformationofclaycausedbyrepeatedloading, JournaloftheSoilMechanicsandFoundationsDivision, ASCE,Vol、84,SM2,p.1〜p.28
9)河上房義・小川正二(1963):くり返し応力を受けた締固めた 土の力学的性間,「土木学会瞳文典96号」p.8〜p.14 10)山内豊聡・羅文鶴(1966):土の縫返し載荷試験結果の解釈と
利用.「第11回土質工学シンポジウム」.p、33〜p.42 11)北図芳人・鈴木敦巳(1979):締固めた有機間火山灰土の変形
特性に対する非排水先行戟荷効果,「土質工学会論文報告集」.
Vol.19.No.3,p.91〜p.102
12)T.W.Lambe(1953):TheStructureofInorganicSoil,proc.
ASCE.Vol、79,No.315
13)島博保(1970):関東ローム強庇特性について.「関東ロームに 関するシンポジウム」.p.21〜p、28,土質工学会
14)運輸省第四港湾建設局(1969):「新熊本空港試験及び堅士T 事絶括報告密」
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