(51〕 秋 田大学医短紀要5 :51‑56,1997
看護学生の看護 に対す るイメージの変容 について (2)
‑ 縦断的方法 による検討 ‑
石 井 範 子 * 平 元 泉 * 志 賀 令 明** 堀 井 雅 美 ***
TheChangeofStudents'Imageon Nursing (2):
Study with theLongitudinalMethod
Noriko IsHII* IzumiHIRAMOTO* NoriakiSHIGA** MasamiHoIH ***
Ⅰ.は じめに
学生の将来の職業選択 には,職業やその職業 に従事す る人に対するイメージが大 きく作用す る もの と考 え られ,様 々な職業 についての イ
術者養成 を目的 とする短期大学であ り,看護学 科 に入学 した学生の多 くが看護職者 をめ ざすの は当然であるが,学生の看護お よび看護職者 に 対するイメージは入学動機 によって異 なること や,入学後の看護教育 により変容することが予 測 される。そ こで,入学時か ら卒業時 までの3 年間,縦断的方法 によ り本学看護学生の看護 に 対するイメージ測定 を実施 した。今回, 3学年 の学年別比 較お よび学年毎 の入学動機別 の イ メージの比較 を行 い検討 を加 えた。尚, "看護 に対するイメージ" とは, ここでは,看護 とい う職業 に対するイメージ,お よび看護識者 に対 するイメージの双方 を意味す る語 として用いる
秋田大学医療技術短期大学部
*看護学科
**総合基礎教育
***秋 田県福祉保健部医務薬事課
こととする。
Ⅰ.方 法 1.対象
秋田大学医療技術短期大学部看護学科1993年 度入学の1年次生76名, 2年次生75名, 3年次 生74名である。
2.調査用紙の構成 と調査方法
イメージ測定 は,20の形容詞対か らなる意味 尺度 についてSD法 によ り7段 階評定法で行 っ た3'(図 1)。調査 用紙 には学籍番号,入学動 機 (1年次のみ)の記入欄 も設けた。調査 は, 1年次では初めての臨床実習である基礎看護学 見学実習の前の7月上旬, 2年次では履修すべ き全ての講義が修了 した2月, 3年次では臨床 実習が修了 した11月下旬 に実施 した。
3.分析方法
各尺度の各段階に好意度の高い と思 われる方
KeyWords:看護 イメージ 看護学生 縦断的方法 入学動機
(52) 看護に対するイメージの変容について(2)
の得点が小 さ くなるように1‑ 7点 を与 え,尺 度毎 に平均値 を算出 し,以 Fの3点 について分 析 した。
1)一一元配置分散分析お よびt検定 によ り,学 年別の看護 に対す るイメージを比較 した。
2)学生全体の看護 イメージについてバ リマ ッ クス法 により因子分析 を行い,因子 を抽出 した。
さらに,一元配置分散分析お よびt検定 により, 学年別の因子得点 を比較 した。
3)看護婦 にあ こが れて入学 して きた学生 を
「動機づけ大」群,あ こがれ以外の理 由で入学 して きた学生 を 「動機づ け小」群 とし, t検定 により、学年毎の入学動機別の看護 に対す るイ メージを比較 したC
Ⅱ.結 果
1.看護学生の看護 に対するイメージの学年 別の比較
全体の看護 に対す るイメージは, 3学年共 に
「自由な」以外 の全 ての項 目で3.9以下であ り,
表1 学年別の看護に対するイメージ
03 ± 097 L292 ± 105
** p<005,* 女 p<0
非常に7
かなり6
いうとどちらかと5
いえないどちらとも4
いうとどちらかとrr]
かなりZ
非常にー
** p<001、 七 p<005
1年 次 =‑I‑‑‑‑2年 次 一 二3年 次
図1 学年別看護イメージのプロフィール
表2 看護 に対するイメージの因子構造
01469 tM 686 00365 ‑0.5554 0.1127 ;
++ ‑0.0171 ち
丹 書芸芸…る : 霊芝≡蓋い ‑0.o̲15198011恒lt).458914 ‑‑0.‑‑00.t)̲.ユD00323733490985 0.0.0̲0.051218(3)89291000 0.0.0̲0,775324128ユ169444 9;凧 晴のある ‑ 価値のない 0̲1867 0,1的7
3 0.1051 0̲1280
石 井 範 子 ・平 元 泉 ・志 賀 令 明 ・堀 井 雅 美 (53)
好意 的であ った。学年別 の比較 で は1年次 は
「責任感のある」 (p<0.01)・「自由な」 (p<
0.05)で 2年 次 よ り, 「労 が 多 い」 (p<
0.01)・「価値がある」 (p<0.05)で3年次 よ り好意度が有意 に高かった。 2年次では 「労が 多い」で3年次 よ り (p<0.01),「理性 的」で 1・3年次 よ り (p<0.05),好意度が有意 に 高かった。 3年次 は 「面 白い」で1 ・2年次 よ り (p<0.01),「責任感のある」 (p<0.01)・
「望みのある」・「自由な」 (p<0.05),の3項 目で2年次 よ り高 い好意度 を示 していた (表
1・図1)。
2.看護学生の看護 に対す るイメージの因子 構造 と因子得点の比較
因子分析では,累積寄与率55.8%で5因子が 抽出 され,以下の ように命名 した。第1因子 は
「責任感のある」・「重要な」・「特色のある」 な どの5項 目か らなる 『看護の特性 因子』,第2 因子 は 「若々 しい」・「明るい」・「スマー トな」
の3項 目か らなる 『看護婦 の外観因子』,第3 因子 は 「な りたい」・「好 きな」・「面 白い」 な ど の4項 目か らなる 『看護就労希望 因子』,第4 因子 は 「や さ しい」・「温 かい」・「親 しみやす
表3 因子得点の比較
い」 な どの4項 目か らなる 『看護婦 の性格 因 子』,第5因子 は 「理性的な」・「活気のある」・
「価値 のある」 な どの4項 目か らなる 『看護 の 安定性 因子』 であった (表2)。
因子得点 を学年別 に比較す ると, 3因子で有 意差がみ られ, 『看護 の特性 因子』 で2年次が 1・3年 次 よ り高 く (p<0.01), 3年 次 は
『看護就労希望 因子』 で1 ・2年次 よ り低 く (p<0.01), 『看護の安定性因子』で高かった (p<0.01)(表3)。
3.入学動機別の看護 に対す るイメージの学 年毎の比較
1年次では 「動機づけ大」群62名 (81.6%) で 「動機づ け小」群 は14名 (18.4%), 2年次 では 「動機づ け大」群61名 (81.3%),「動機づ け小」群 は14名 (18.7%), 3年次 では 「動機 づ け大」群60名 (81.1%),「動機づけ小」群 は 14名 (18.9%)であった。入学動機別の看護 イ メージを学年毎 に比較する と, 1年次では 「活 気 のあ る」・「好 きな」.「面 白い」.「スマー ト
な」・「な りたい」の5項 目で, 2年次では 「や さしい」・「活気のある」・「親 しみやすい」・「価 値 のあ る」・「明 るい」・「特色 のあ る」・「温か
因 子
学 年
看護の特性第1因子因子 看護弟2婦の田子因子外観 謂 就労希望弗3因子因子 看護始の性格第4因子因子 看護の安定性薦5田子因子1 年 次
2年 次
3 年 次 ‑o0
.
● 2 4 0 1 *5 5 1 ]
‑0.1820.1400.048 0.257「0 . 1851辛 ‑0.1450.0160.135 ‑0.124o●3511
「*** *
** 〜**:P(0.01
(54) 看護に対するイメージの変容について(2)
い」・「自由な」 の8項 目で, 3年次では 「面 白 い」・「活気 の あ る」・「若 々 しい」・「スマー ト な」・「な りたい」・「特色 のあ る」・「温 かい」・
「知的 な」 の8項 目で,「動機づ け大」群 の方が,
「動機づ け小」群 よ りも有意 に好意度が高か っ た (表4)。
Ⅳ.考 察
1.看護 に対す るイメージの学年の特徴 看護学生の看護 に対す るイメージについてプ ロ フ ィー ル をみ る と,「自由 な ‑ き ゅ う くつ な」以外 の19項 目で3.9以下 の低 い値,す なわ ち,全体 的 に左寄 りの好意的 なイメー ジを呈 し ているol年次が最 も好 イメージ寄 りで, 2年 次が1 ・3年次 よ りも好意度が低 く, 3年次 は 中間に位置 していた。平均評定値 で差 のあった 項 目か ら, 1年次 は看護 を 「労 は多いが価値が あ り,責任感が必要である」 とみてお り, 2年 次 は 「理性的で きゅう くつである」 とみてお り,
3年次 は 「面 白い」 とみているのが特徴 的であ る。看護 イメー ジについては これ まで "1年次 よ り2年次 の方が イメー ジが後退 している" と い う報告 が あ り, "理想 的 ・観念 的 イメー ジが
表4 入学動機別の看護 に対 するイメージの比較
1 年 次
項 目 \
よ り現実的 .具体 的な実像方向 に修正 されだ ' と解釈 され てい るが4.‑",本調査 の結果 にお い て も同様 の傾 向がある もの と考 える。 さらに, 3年次 で は,「面 白い」 ・ 「望 みの あ る」等 の 項 目で有意 に平均評定値 が低 く,好意度が高 く なっている。講義 に加 え臨床実習で看護 を体験
した ことで,看護が具体 的 ・現実的 な ものにな り,「面 白い」 と感 じるな ど, 2年次 で後退 し たイメー ジが3年次 で好 イメージ寄 りに変化 し た もの と推測で きる。
因子得点の比較で有意差が認め られた3因子 をみる と,『看護就労希望 因子』 で1年次,『看 護 の特 性 因子 』 で2年 次, 『看 護 の安 定 性 因 子』 で3年次が高得点であった。 1年次 は看護 学 の学習がわずか しかな されてい ない時期であ るが,看護へ の就労 の希望が強い。 これは看護 へ の十分 な理解が伴 わない段 階のあ こがれや, 看護職 に就 くことに対 して漠然 とした希望 を抱 いているこ とを表 している と思 われ る。 2年次 は基礎看護学実習 と修得すべ き教科 の講義が修 了 した時期 である。 この時期 は,看護 について の基礎 ・成人 ・老人 ・小児 ・母性看護学 の各専 門科 目の講義 を受 け,臨床実習 を残 すだけの時
2 年 次 3 年 次
33つJ1qヽU3(てU3⁝33113323lhJつJ2
**¥×*****▲目せ44nu49<HUAn244791EU2U23230nU19nU81970nUハhU82nU9192nU11⊥lnu1nU1nUハU1lハUnU11nU1nUl⊥l±±±±±±±±±±±±±±±±±±±±2つJ7241n99120eU63へUlhU1n=04つJCO2nU9LへリユnO87eUJLneULへU00nUlT3こJdT2231⁝つJ2⁝1⁝21122221T⁝2
eUeUCO24Lコ57nU5LhJeU71762nU1llU754t.nUCO6drnUrnUnU33441COli3Lnr‑nU11nuonu11nU11nUハU11nU111nU±±±±±±±±±±±±±±±±±±±±7L‑9ハUeU3つJつJnnU1nnU49eU641∧=UウJdTIETLコ7LL73dT49つJ281280012(UT71ごり勺J2⁝1333つJ132112⁝⁝2432
*X・X・¥*3COhU1EUeU2791eU41こJ6JlnhUITnU2nU740UnU11nULへ∪2i1lDnU9nOnO8ハ︼91nUlハU111lハ=U111nU10nUnUO1nU±±±±+一+L±±±±±±±±±±±+一±±Lー14COr‑nUi‑9244∩=UeUrhJ712nU2⁝cO78RULhJ171」7374⁝1300CO4nO32121232313211⁝21142⁝
るすなる強るるあたいいやトあなのいああいいのし多なしみ一の的いな感たののいなしな白気定のき々しマ値性る要任りみ色か由さ的面浦安労好若親ス価理明重責な望特温白や知123・"づlrDCU7∩凸9(=U123452U7COnUnUl1111111l12 *****I帯**478nu9528qUnO2Ln771{3ワ⊥9(∪7(UOU609002nU43nU7▲4一U86「‑939001nHU1111111nUnU1nUn‖UnUnU1nU±±±±±±±±±±±±±±±±±±±±44lコ9347‑5154⁝Ln13342eUこJ3009山3eU99nU8LhU9421ワ山7121⊥nU
213⁝222313211∩∠2121JT32
nUln833「つnU9277nULT3ー029LnnUハUnU97nUnU7nUnU460UO7641LhU9(てU910111nU1111nU1nu1111nU1nU±±±±±±±±±±±±±±±±±±±± 9RU9716nU765nU96411100lnUnU0nUnU1nU1nU111nUnU11l1011±±±±±±±±±±±±±±±±±±±±
∃こ* :PくD 01,*:P〈O.05
石 井 範 子 ・平 元 泉 ・志 賀 令 明 ・堀 井 雅 美 (55)
期 である。講義 に基づ く 「看護 とは, こうある べ き」 とい う特性 を,看護 イメージ として強 く 描 いている もの と思 われるC 3年次 は全 ての臨 床実習 を終 えた卒業前 の時期 にあ り,看護 に対 してはあ こがれや理想 ではな く,職業 としての 価値 や安定性 を認識 で きるようになった ことを 示 している と考 え られる。
2) 入学動機別 のイメージについて
真鍋 ら6'が実施 した同様 の調査 で は,「看護 婦 を目指 さず に入学 して きた学生の グループの 方が働 きがい ・外見 的特性 ・就労状況で高得点 であ り,看護婦 にあ ま り期待 を抱 かず に入学 し て きた者の方がかえってイメー ジが肯定的 にな るのではないか」 と報告 されている。入学の動 機が積極的な看護職志 向でない学生で も,看護 の専 門教育 を受 けることによ り, イメージがポ ジテ ィブな方向 に変容す ることや,入学時,積 極的 な看護職志向であって も3年 間で看護 の イ メー ジが ネガテ ィブな方向へ変容す ることな ど が考 え られ,入学の動機 によるイメージの差 は, 学年 の進行 と共 に小 さ くなる もの と予測 された。
しか し,本調査 では入学か ら卒業 まで一貫 して
「動機づ け大」群 の方が有意 に好意的 なイメー ジであった。 さらに, 2 ・3年次 では1年次 よ り,差 のある項 目が増 えてお り,看護 にあ こが れて入学 した学生 は,あ こがれ以外の理 由で入 学 した学生 よ りも,看護学 の学習 を深 めるにつ れて看護 に対す る好意度が高 くなっている とい え る。
あ こが れ以外 の理 由で 入学 した 「動 機 づ け 小」 群 の学生 の看護 に村す るイメー ジ も,「自 由 な」 以外 のすべ ての項 目で3.9以下 の好 意 的 イメージであった。 また, 1年次 で最 も平均評 定値 の低い項 目が多 く, 2年次 で最 も平均評定 値 の高 い項 目が多か った ことは,全体 の学生 で みた場合 と同様 の傾 向 を示 している。看護 にあ こがれて入学 した学生 ほ どではないにせ よ, あ こがれ以外 の理 由で入学 した学生で も看護 に対 しては好意的なイメージであ り,看護 の学習の 進行 に伴 い,少 しずつ変容 している と思 われる。
動 機 づ けの小 さい学 生 に対 して, 「動 機 づ け 大」群 と較べ て看護 に対す るイメージの差が よ
り小 さ くなるような教育の方法 を検討す る必要 性 もあることが示唆 された と考 える。教育の方 法等 について検討す る と共 に,入学動機別の学 生の意識 について,因子得点の比較 な ども含め て, さらに詳細 に比較検討 す ることが今後の課 題である。
V.結 論
看護学生 の看護 に対す るイメージの変容 の仕 方 について,縦断的方法 によ り3年 間継続 して 調査 した結果,以下の結論 を得 た。
1. イメージプロフ ィールは,全体 的 に好 イ メージ寄 りであ ったが, 1年次が最 も好 イメー ジ寄 りで, 2年次が最 も好意度が低 く, 3年次 は中間に位置 していた。
2.因子分析 で5因子が抽 出 され,それ らは
『看護 の特性 因子』,『看護婦の外観 因子』,『看 護就労希望 因子』,『看護婦の性格因子』,『看護 の安定性 因子』 であった。
3.因子得点 の平均値 は,『看護就労希望 因 子』 で1年次,『看護 の特性 因子』 で2年次 ,
『看護 の安定性 因子』 で3年次が高得点であっ た。
4.看護 にあ こがれて入学 した学生の方が, あ こがれ以外 の理 由で入学 した学生 よ りも,入 学時か ら卒業時 まで一貫 して,好 イメージを示
した。
Ⅵ.おわ りに
看護学生の看護 に対す るイメージは,看護の 専 門教育の進行 に伴 って変容す ることや,入学 動機 によってイメージに差があることが明 らか になった。入学動機別 にみたイメージ と進路志 望 の関係 については次報で報告す る。
Ⅶ.引用文献
1) 自任俊憲,水谷一郎,木村泰子 そのほか : 小学教 師のイメージ研究.北海道女子短期 大学研 究紀要第15号 :31‑43,1981. 2)木村泰子, 自任俊憲,石塚百合子 そのほか
:養護教諭 のイメージ研 究.北海道女子短 期大学研究紀要第15号 :17‑30,1981.
(56) 看護に対するイメージの変容について(2)
3)石井範子 ,志賀令 明,戸井 田ひ とみそのほ か :看護学生の看護 に対す るイメージの変 容 について一基礎看護学見学実習前 ・後 の 比較.秋 田大学医療技術短期大学部紀要第
2号:91‑97,1994.
4)謝花美佐子,平良広子,安里栄子 そのほか :看護学生 の看護婦 イメージの学年別 によ る検討 一動機 と意思 との関連性 ‑.看護教 育25(2):89‑94,1984,
5)波多野梗子,小野寺杜紀,森 田チェ コ :香 護学生の学習お よび看護職 に村す る態度の 発 達 的 変化 .看 護教 育23(8):513‑520, 1982.
6)真鍋淳子,野尻雅美, 中野正孝 そのほか : 看護学生の看護婦 イメージの研究 一大学生
と短 大 生 の 比 較 ‑ . 看 護 教 育35(6):
427‑433,1994.