川 喜 多 喬
課 題
今回の雇用調整過程において,配置転換・出向などの従業員の移動政策はそ の前後を問わず一貫してとられ続けてきた。一般に日本のように終身雇用慣行 のあるところでは,企業単位での労働投入量の調整は雇用の人数を維持しなが ら労働時間を調整するというのが第一にとられるところであり,次には企業内 部の職場間の繁閑の差は外部からの雇用の優i先やレイオフではない内部労働力 の移動によって行なわれるといえる。しかしながら後者については必ずしも確 立した慣行ではなく,とくにブルーカラー労働者については比較的狭い,いわ ばタコツボ的な職場内部での昇進を伴う移動を阻害する配置転換は嫌うのが常 識であるとされた。しかるに今回のごとき減量経営が一般化し,労働市場が一 転して供給過剰となるや,個別企業内での雇用を優先し,事業所内での同職種 間配置転換のみならず,異職種間配転,更に事業所を超えた配置転換,また企 業外への応援,出向すらが大量にみられたのである。
本論は筆者も参加して行なわれた通産省企業行動課「労働力移動に関する実 態調査」(昭和51年〜53年度)の成果に主として依りながら,最近の配置転換
と労務管理」の関係につき特徴的なところをまとめたものである。なお事例の 紹介については事前にA社K製鉄所の了解を得てあるが,意見に及ぶところは あくまで筆者のものである。
第1章 配置転換政策の展開
1.雇用調整過程と配置転換政策
労働省「労働経済動向調査」でみると,製造業では雇用調整のピークは50年 度であるが,その後51,2,3年度も雇用調整の実施企業は3割前後と多い。採 られている事をみると,①現雇用者量に手をつけぬ残業規制,②同じく現雇用 者量には手をつけぬ中途採用者の削減・停止が多く,更に現雇用者量に手をつ
ける場合でも,③臨臨パートなど,いわゆる「縁辺労働力」の整理からま始 り・④希望退職者の募集解雇など,「基幹労働力」の雇用量に手をつけるの は希であることがわかる。また以上を雇用の「量」にかんする調整であるとす れば 「量」を一定にしておいて活用策を変える,いわば「質」的な調整であ る「配置転換・出向」は一貫してほぼ第3位に多い施策となっている。
今,雇用調整i策を
o灘ご謙;
唖綴鷺::::1:欝1
削限・中IL 労働者数の調整
臨時・パートの V 非正社員……
@ 再契約中【卜,削限 内部労働力
正社
企業一m認:::1烈
労働者配置の調整
一縄難ll:::魏:
のように整理するとすれば,1・皿,Vが比較的手をつけやすく,五, IVがこ れに次邑V【や・とくにV皿は極力避けられるといえる。一方配置転換などの政 策では・皿くIX<X<XIの順で難しくなるが後にみるようにこの政策がとく に注目をあびたのはこれが外部市場放出型の雇用調整に対する「日本的な」歯 止めであり,景気変動の衝撃が失業率等に影響する際のクッションになりえた
と思われるからである。
さて表1にみるように配置転換・出向政策はことに大企業において顕著であ った。これはもともと,①雇用調整が「労働力不足」基調の強い中,小企業で より少ないこと,②中,小企業では内部で移動させるほどの組織規模上の余裕 がないか,あるいは経営上の多角化による部門間の繁閑の差がないこと,③出
表1 製造業の規樵実施時期別雇用調整i実施事業所 (%)
雇 用 調 整 を 実 施 特
停中 再臨 ・希 配 残 一 休 週 休 そ
別な
小 止途 契時 解望 置 日 措
計 採 約・ 雇退 転 業 時 休
日 置
用 停パ 職 の は
換 2 の
の [L[ 者 振 と
削 ・卜 の ● 規 休
目 増 ら
計 限 解の 募 出 替 な
● 雇 集 向 制 業 え 制 加 他 い
製造業 497〜9 且00 43 28 6 1 6 25 7 4 2 0 1 57 5U.7〜9 100 67 46 9 3 21 47 11 3 3 4 1 33
51.7〜9 100 31 21 4 1 11 16 L 1 1 1 」 69
52.7〜9 100 34 23 3 2 14 ig 1 1 0 1 1 66 53.7〜9 100 28 18 3 し 12 15 1 1 1 o 1 72 同 497〜9 100 52 37 5 0 9 30 6 4 2 1 48 1000人50,7〜9 100 79 60 ll 2 32 61 12 3 3 3 2 21 以 L5L7−9 100 49 35 4 0 22 29 0 0 1 1 2 51
52.7〜9 100 52 37 4 2 26 32 3 2 0 0 1 48
53.7〜9 100 45 29 3 1 25 26 1 2 1 0 1 55 同 497〜9 100 49 34 10 3 7 33 7 6 】 0 2 52 300、 5〔L7〜9 100 69 51 10 3 21 45 10 3 2 3 1 3i 999人 51.7〜9 100 27 20 3 2 9 】3 2 2 0 0 0 73 52.7〜9 100 30 2! 3 2 11 j5 1 1 0 2 1 70
53.7〜9 100 25 17 3 2 7 13 1 1 0 0 1 75 1司 49.7〜9 100 3ε 21 4 1 3 21 9 3 3 0 1 65 100〜 50.7〜9 ioO 53 32 8 5 11 36 11 2 2 6 1 47 299人5L7へ9 100 20 11 5 2 3 7 2 1 1 0 1 80
52.7〜9 100 24 13 4 3 4 10 1 1 1 2 1 76
53.7〜9 100 18 9 3 1 3 8 1 1 0 0 1 82
1司 49.7〜9 100 25 11 3 2 1 13 7 2 2 0 2 75 30、 5α7〜9 100 47 19 6 5 5 24 7 2 4 9 1 53 99人 51.7〜9 1{,0 13 7 量 1 3 5 0 工 1 2 0 87
52.7〜9 100 12 6 1 1 3 4 1 1 1 2 0 88
53.7−9 100 12 7 】 o 1 5 1 1 1 0 0 88 労働省「労働経済動向調査」
向政策をとりうるほどの関連企箔下請企業などを抱えていないこと,などに よるものと思われる。それはともかく,大企業で多いということは,大企業に おいて顕著な「日本的雇用慣行」,すなわち終身雇用と年功処遇への影響の点 で,ことに興味深いのである。
2・労働力移動政策の類型
配置転換・出向など,①純粋に企業内での労働力移動や②場所的には企業外 への労働力移動ではあるが,個々人の自由に委ねることなく,企業の経営権の 発動として行なわれ,多くは雇用関係が継続するものには,次の四つのタイプ があると考えられる。
A.常態的労働力移動一教育上の必要,職歴(キャリア)の形成,経営技 能その他の伝播受入先の強化など,正常時の企業の日常活動上,常時行なわ れているもの。
B.拡張・発展型労働力移動一スクラップ・アンド・ビルド,経営多角化 などのため新事業所の設立などにより大規模に人を動かしながら,一方でふつ
う新規採用を行ない,組織をほとんど零のところから新しく形成するもの。高 度成長期には「民族大移動」と俗称されたほど,事例は豊富であった。
C.緊急避難的な労働力移動 前節でみたように雇用調整のために行なわ れる場合である。昭和52年度の通産省の一,二部上場企業への調査をみると,
人員計画をもっている企業のうち56・7%が減少見込み,36・8%が現状維持であ るが,さらにこれらの企業のうち46.3%の企業が対策として出向・転籍をあげ ている。また同年度の三菱総研『安定成長下における企業経営のあり方に関す る調査研究』でみると,大企業は「適正雇用量確保」のために「自然減耗の不 補充」23.0%(三項目選択),「新規・中途採用の削限・中止」21.0%に次いで
「配置転換の範囲の拡充」19.2%および「外部出向制度の拡充」12.7%をあげ ているのである。
D・戦略的な労働力移動 緊急避難時にその有効性を証明された配置転換
・出向策を,将来の「不確実な未来」に備えて「配置の柔軟化」を計るため継 続しようというものである。
全体としてAは別として,B, C, Dの順に推移してきているといえるだろ う。そしてAとDは統一した形で(DそのものがB,Cのいささか縮小再生産 された常態化であるから)現れてきているといえる。昭和51年度の通産省調査 の結果では,51年9月までに配置転換政策をとっていない27.0%の企業のうち 85.6%までが今後この政策を検討するとしている。
次に別の基準による類型化を考えよう。今,定義は会社によってまちまちで あるが,図1のように応援一配置転換一派遣一出向一転籍を区分してみよう。
当然予想しうるように,(ア)より長期のものほど,(イ)より距離的に遠い職場への
図1 企業内労働力移動の形態 ものほど,(ウ)事業所内より事業 条 件 旧職場への復期条件付 新職場へ転籍 所間,さらに企業外への移動に
期 間 短 期 長 期 恒 久
なるほど,労働者の抵抗は大で
??、。
企 事業所内
配置転換 通産省調査から大企業での趨
業 応 援
内 事業所間 勢を調ぺてみると,以上の諸形
企 業 外 派 遣 出 向 転 籍 態を含めた広義の配転者の対従 業員比率は50年度の5.0%から 52年度の12・6%へと増加して 表2 形態別労働力移動の動向 (52年度調査)
いる。しかも事業所内,事業
年 度 50 51 52*
所間の労働力移動が伸びると
ともに,さらに企業外への労 企 事業所内 応援 z転
3 2.8 2 6.3 55.0 R 3.6 4 2.3 6 5.8
働力移動が増加してきている。 一
業 小百1 5 6.4 6 8.6 1 2 0.8
50年度は企業内51%に対して 社
企業外49%の比重であるが, 平 内 事業所間 応援 z転
2 0.1 1 9.7 2 9.0 Q 9.3 3 3.且 5 8.4
52年度には企業内37%に対し
均 小計 4 9,4 5 2.8 8 7.4
て企業外63%の比重に変わっ
てきている。(表2) 対 小 言1 1 正 5.8 1 2 1.4 2 0 8.2
またより短期の移動から長 象 企 派 遇 9.O l2.0 24.0
期のものへの重点の移動もみ 者 業 出 向 1 0 7.4 1 2 7.0 2 6 7.8
られた。50年度には応援・派 査(
外 転 籍 6.5 &0 59.2
遣が33%,配転・出向・転籍
小 計 1 2 2.9 1 4 6.9 35 1.0
が67%の比重であるが,52年
度には応援・派遣が27%,配 言量 23 8.7 2 6 8.3 5 5 9.2
転・出向・転籍が73%の比重 同 応 援 1.1 1.0 18 対 配 転 13 16 2.8
になっているのである。
全体として更に雇用調整過
従業昌
奮 傷 0.2 α3 0.6
R.0 3.8 8」
程が進むと内部的にもより長 比 転 籍 0.2 0.3 18
期の移動の余地はなくなるし, 身 討
5.0 5.8 12.6
別会社化による転籍や関連企 )
業などへの出向の余地もなく *調査時点が52年12−1月であることを考慮し・調 なるので,これらの比重は再 査等の関係から52年度分は2倍して推計した。
表3 配転・出向者の推移 び下るものと考えられる
(1事業所当り人)(53年度調査)
が,こうした移動の広範
年 度 48 49 50 51 52 化が行われたこと,また
企業内配転計 27.9 一 34.3 一 31.8 それが可能になった労務
業務所内配転 幕ニ所間配転
12.4 i3.3)
P5.5
孟, i44.2)14.6 P9.7
7.8 i4.3)13.8 P8.0
慣行・労使関係は特に注 レしておく必要がある。
他所から 7.8 8.5 8.2 9.2 7.8 そして今後の見通しで
他所へ 7.7 9.2 11.5 10.6 10.2 あるが,53年度調査でみ
企業外出向 4.7 6.0 9.7 9.4 10.4 ると,「他者への出向」
他社から 隻,0 08 14 1.8 2.6 が49年から現在までの実
他社へ 3.7 5.2 83 7.6 7.8 績に比ぺて移動者が増加
計 32.6 一 44.0 一一 42.2 する見込みとしている企
(注)企業外出向には6ケ月をこえる派遣・応援を含む。 業が28.6%,変らない 事業所内配転は生産工程従業員のみ。()内は対従45・4%・減少する22・4%
業員比。 で,この調査は100人以 上の企業で前調査と厳密に比較できぬものの,増加基調にある。他事業所への 配転見通しでは増加25.3%,変らない57.6%,減少12.6%で,これも増加傾向 にある。事業所内配転の見通しでは,増加31.6%,変らない53・5%,減少8.7
%である。以上のように全体として増加傾向にありながら,緊急避難的移動の 終って行く今後は,主として事業所内での配転を頻繁に行なう体制づくりの行 なわれることが予想されよう。
3.企業集団と労務管理
上記にみるように,今回の雇用調整過程では,企業はもはや自社内だけでの 移動では問にあわず,企業集団内,関係会社などとの複数企業間での調整に頼 ろうとしている。このような行動は,本来「外部労働力市場」とも言えるべき
ものの一部を「内部化」することになる。つまり,企業集団内の関係が,仕事 や資金上の関係ばかりか,労働力の活用の面でも互いに調整しあう関係になっ てきているのである。もちろん管理・事務従事者や設計・技術者については従 来も企業外に従業員を派遣し,出向させる例はみられたが,とくにブルーカラ 一を中心に大量に移動させる例は希であったと考えられるのである。
通産省53年度調査にみると,他社への出向があった事業所のうち,相手企業
と「同一の企業集団である」としているものが76.4%になり,また,他社から の出向があったものでは,相手企業が「同一の企業集団」である場合が71.8%
を占める。また主たる移動対象者であるが,他社への出向では,生産工程従事 者が保全・計装を併せ36.4%の事業所にのぼり,他社からの出向でも26.0%の
事業所に達しているの表4 主たる移動対象者の職種(%) (53年度調査)
である。
蔓 事 販 設技 生工 保刮 厚サ
@老 また一般に生産工程
職 務 売 計 術 産程 全装 生 ス 従事者の総数はそもそ
他社への出向 21.7 14.5 5.3 200 30.0 6.4 2.1 も多いのであるから,
他社二からの出向 35.2 10.4 3.9 24.2 23.3 2.7 0.3 これを母数とする対象 者の比率を52年度調査 表5 職種別移動対象者比率 (52年度調査) からみると(表5)・なるほ
蜂 ど管理・事務従事者,設計・
管事 製 肱 設技 計 技術者の方が対象者になる確 理務 造 売 計術
率は高いが,生産工程従事者
企業外派遣 撃 91 ll 1:1 1:1 ll も対象者になる確率が増加し 52 02 0.8 0.2 0.4 06 てきている。
*企業外出向 50 10.5 12 一 6.5 以上のような他社への出向
:1 糊 よ1 二 11:1 の理由であるが,①経営技術 指導(48.1%),②教育の一・
*企菜外転籍 50 0.3 0.2 一 0.2
51 0.3 0.3 一 0.3 環(16.8%)といった積極的 52 2.2 2.2 一 α8 なものと並び,③余剰人員の
計 50 10.8 1.7 } 6.6 発生(33.2%),④再就職先 51 11.3 2.3 一 8.4
52 25.4 6.2 一 1a4 の確保(16.8%),⑤人事の 停滞(6.8%),⑥年令構成の
*「販売」を調査せず 是正(2.9%)などのように消 極的なものも挙げられている。
こうした企業外への労働力移動は,労務管理上,どういう問題をもたらすだ ろうか。①第一に考えられるのは,「雇用関係」の複雑化である。ある企業内 で働きながら,当該企業には雇用されていず,しかも指揮命令はその企業の上 司から受けるという労働者が増大する。また「社内外注」「作業請負」と呼ばれ るような部分が拡大する可能性がある。時に積極的なものとしては,本社がほ
とんど「人材派遣業化」する可能性をももっている。こうした労働者への労務 管理には,未経験なところが多いと考えられる。②次に労働条件の問題がある。
仮に賃金などが低下する企業に移る場合,差額は出向元の企業が保障すること が多く,両企業とも一応は負担減にはなるが,長期の移動であるとすれば,出 向元の企業にとっては,労働供給のない支払いであり,また本人にしても将来 の昇進・昇給などとの関係で元の条件が保障されるかどうかには不安がつきま
とう。積極的な労働移動ならともかく,そうでない場合にも随時調整を行なう ためには,企業集団内での労働諸条件の統一が志向されてしかるべきであろ
う。③更に労働者の意識の問題がある。より広義の企業意識に誘導して,集団 内の企業であれば「わが社」意識をもたせようとする場合もあれば,逆に出向 元の企業意識を強化して,落後層的な意識,「出される」意i識ではなく,「わが 社」を代表して行くという意識が醸成されることもあるだろうと考えられる。
4.異技能間移動
今回の配置転換の動きにおいて,特に注目されるべきは,異技能間移動であ る。もともと日本の場合,職種のくくりは欧米に比べると大きいとはいわれる が,それでも異技能職種間移動への抵抗は大きいはずである。しかるに今回の 雇用調整過程では異種部門問,異技能種間の配置転換の事例が多くみられたの である。51年調査でみると(表6),管理・事務部門から販売部門へ,製造部門 から販売部門への移動を行なった企業が多く,これは需要が急速に冷えこみ,
シェア争いが激化する中でともかくまず販売強化にのりだしたもので,部門間 移動であるから職種の移動がないものもある 表6 異部門間配置転換 が,セールス・エンジニア的な移動だけでなく, 実施企業比率(%)
生産工程従事者が販売の第一線に出た事例も多 (51年度調査)
かったのである。また製造部門内の移動も多く, 管 管 製 販
製造工程から他の製造工程へ従業員の5%以上 年 理事 ↓ 理事 ↓ 苧 ㌘ も動かした企業が49年12%,50年14%に達した 度 務製 務販 販 製 が,さらに同じ製造部門内の移動でも異種技能 造 売 売 造 間の移動を行なった企業は49年度には58.9%に 49 15.7 37.4 34.】 11.2
50 17.8 489 43.8 13.7 達した。景気の急激なおちこみで,相当に無理
な配転が行なわれた様iでもあるが,50年度にも52。1%あり, 比較的常態化しつ つあったと考えられる。ただしその移動に際しては,特に教育を実施しなかっ
たもの26.8%,社内OJTだけのもの57.8%で,要するに技能異種といっても 比較的簡単に適応できるものであり,これは能率などの必要性から職務間の近 似性や対象者の適応能力が十分考慮されたという側面と,もともと生産工程員 が近似する複数技能種間をローラーションされる労務慣行があったがためと考 えられる。
更に労働省「雇用管理調査」(S52年1月)に依って異職種間移動の傾向をみ よう。これは過剰職種についてのみであるが,事務から販売,サービスから,
表7 職種別配置転換実施先職種 (調査企業計=100%)
(労働省「雇用管理調査」52.1)
配 置 転 換 先 職 種 専 門
Z 術 管 理 事 務 販 売 運 輸
ハ 信 技 能 単 純 保 安 サービス 専門・技術 一 2.2 5.8 1&9 0.0 19.7 0.4 1.1 0.4 管 理 16.5 一 6.9 25.0 0.3 1.2 0.0 29 2.8
事 務 12.0 5.3 一 31.6 1.0 4.0 5.2・ 0.1 3.6
販 売 64 0.4 7.0 一 2.4 4.1 6.2 0.1 7.9
運輸。通信 1.9 2.8 4.5 7.9 一 5.9 2.2 2.3 2.4
技 能 工 5.7 4.7 24 18.3 1.0 一 4.3 6.1 1.8 単 純 工 0.2 0.0 0.7 6.8 3.8 21.1 一 6.2 1.1
保 安 1L5 0.0 1.3 10.6 0.4 ア.2 6.3 一 0.0 サービス 4.0 7.4 1.1 29.7 0.0 0.0 4.7 4.6 一
販売, 管理から販売など,販売強化が多いが,その一環として技能工から販売 職への移動を行なう企業も2割近く存在するのである。(表7)また単純工から 技能工へ,管理から専門技術へ,も多く,総量を抑制しながら従業員の能力向 上を計り,しかもより現場に近い生産実績のあげうるところで使おうとしてい る傾向が読みとれる。
このような極端な移動は量的には常態化することはないにしても,今後とも 不確実な需要見通しに対応して,必要な場合にはスムースに実施できるような 労務慣行の確立を各企業とも急いでいるように思われる。①異職種間配転のマ サツをできるだけ避けるために,職種技能間の平準化がふだんから試みられる。
②かくしてより近似した職種に対応,同一職務給の対象職務のくくりを大きく したり,職能給的属人給の比率を高めることが行なわれなければ,モラールの 影響が大きい。③しかしながら各職場には応用がきかぬ固有の職種もあり,職
務分析により応援のきかぬ「基幹職種」と,稼動状況や要員を常時点検しなが ら派遣・応援・配転を機動的に活用する「周辺職種」に分ける工夫もなされる。
④こうした広域的職務をこなしうる多能工的人材の育成が必要である。
5. 中高年化対策と配置転換
より長期的な展望をもった雇用調整策へと展開するにつれ,企業は中高年対 策を視野に入れた配置転換政策を行なうようになっている。通産省53年度調査 によれば,現在の経営問題に比べ将来の経営問題における中高年化の影響は,
より高いと考えられている。そして,例えば他社への出向の対象者の年令層を みるならば,30歳未満,30歳代,40歳代の3年令層がほぼ同比率で主体をなし ているが,50歳以上もほぼ18.8%で,そもそも従業員中50才以上の年令層は少 ないのであるから,他社へ出向に出される確率は50才以上の高令層に多いこと になる。出向者のうち高令者の比率が高いのは巨大企業であり,大企業では比 較的平均年令は低いのであるが,こうして高令者を他に先駆けて出向させてい
るところをみると,定年制とセットになった年功処遇制からくる圧力回避の必 要が大企業でより大きいと考えられ,したがっていわゆる日本的雇用慣行の修 正問題は,配置転換の動向にも表現されているのである。また社外出向の理由 であるが,高令化傾向の大きい事業所ほど「人事の停滞」 「再就職先の確保」
「余剰人員の発生」を指摘しており,若年令の事業所ほど「教育の一環」とし ているものが多いのと比ぺると,従業員の高齢化とともに「社外排出型」の,
消極的な出向の増えることを示している。
他事業所への配転の対象者は若年層に片寄っている。とくに他地域の事業所 への配置転換は高齢者の生活に大きな影響を与えるし,また企業にとっても,
事業所間配転で繁閑の差をなくすことはできるが,賃金等のコスト面では同一 であって,とくに高齢者を動かすメリットもなく,逆に適応上の問題もあって 若年層を主体とするのである。しかしながらそれでも,繊絶,非鉄金属,鉄鋼 などの不況の深刻な業種では,他事業所への配転者の40%以上が40歳以上の中 高令層である。
事業所配転の対象者の年令構成は20,30歳代が中心で50歳代は少ない。こう して結果からみて,適応の早いより高い層から移動させると考えられるが,や はり繊維,鉄鋼,非鉄金属造船のように不況が深刻化している業種では同時 に40歳以上の構成が40%以上で,せっぱ詰れば中高令層を動かすことも必要と
なり,その準備を迫られると考えられるのである。
こうした移動には,とくに中高令層の場合,適応上の問題とともに昇進管理 上の問題,そして社外出向のように長期雇用の短縮化の問題が考えられ,また 高度成長期に成長していく同一の職場で比較的長期に雇用されていたので,こ のような問題にかかれる職場の労務慣行により親和的な意識をもっているだろ
うから,これらの変化が注目されるのである。
6. 労働力移動の問題点
51年度調査の結果によると,配置転換にあたって企業が予想した問題点は,
①転勤に伴う住宅対策(45・8%),②技能程度又は内容の差異(41・4%),③ 組合・従業員とのトラブルの発生(40.6%),④賃金・労働条件の差異(26.8
%),⑤能率低下・コストの上昇(25.4%),⑥従業員の勤労意欲の低下(21.2
%),⑦労働災害の発生(17・9%)である。このような問題指摘の統計に対し 配置転換後顕在化した問題の比は13・4%で,多くの企業が周到な対処をしたこ
とがわかる。配置転換実施後実際に発生したとする企業数を,問題ごとに対策 をとった企業数で割算してみると,対策が相対的に不十分であったか,そもそ も難しい問題か予想できるが,それは①能率低下・コストの上昇(24.8%),
②技能程度又は内容の差異(23・2%),③賃金・労働条件の差異(15.7%),
④従業員の勤労意欲の低下(14.9%)の順となる。
さて,以上の諸問題についての対策を個別にみよう。
(1)住宅対策。これはもっとも多くの企業で予想され,また対策もとられてい る。地域間の移動を伴なわざるをえない移動の時に問題となり,むろん近接し ている場合もあろうが,事業所間,企業間移動が大きいほど問題となる。52年 度調査でみても労働力移動者全体に占める事業所間移動者プラス企業間移動者 の比率は増加傾向にある。また企業の持家政策が結果的に配置転換への抵抗を 大きくしたり,兼業農家層など土地を離れない層が離脱することになったり,
子弟の教育面でも抵抗があるなど,二次的な問題群も拡がつている。これらに 対しては,独身者に配置転換の対策をしぼる,単身赴任に対する手当を充実す
、 驕C家の転売・購入などのあっせんをする,兼業農家の離職者に会社都合退職 金を支給する,社宅を企業集団として運用する,などの対策がとられてきてい
る。
く2)技能程度又は内容の差異。既にみたように多くの企業で予想され,また配
転後も顕在化することが多く,更に対策の不十分が目立つ。53年度の調査から みても,事業所が今後拡大・実施する対策として,「新規事業への進出」23.9
%, 「内製化の促進」39.0%, 「部課の統廃合」41.6%, 「中高年職種・職場 の開発」36.2%, 「省力化機械・設備の導入」80.9%, 「外注化の促進」49.1
%などがあり,これらは企業内・事業所内の職種・職務構造を変えざるをえな いと考えられる。また全体として進んでいる省力化は,再配置と残された従業 員の者の多能工化を促している。多品種少量生産への動きもみられ,またより 高度な新規製品の模索もあり,基幹の従業員の機能を全体として高め,あるい は多様化しておいて,その「機動力」をもつけるとともに,比較的単純で,繁 閑の予想される仕事はパートタイマーや関連企業に委ねようとする傾向があり
こうして企業内技能教育体制の整備が進むと考えられる。
(3)組合・従業員とのトラブルの発生。企業のこの問題への関心は高いが,実 際化することは少なく,いわゆる企業別労働組合が雇用確保を条件に配置転換 には寛大であったことを示すものと考えられる。多くの企業が配置転換にかん する協定を結んでおり,大規模な移動に際しては事前協議が義務化されている ところが多いのであるが,実際に「大規模」かどうかとなると,労使の意見が わかれることが多い。しかしながら企業単位の組織であり,その代表機構から しても生産量の滅小や部門間のアンバランスなど,実情をよく認知している労 組は配置転換対象者の人選基準や,労働条件の格差への対応について条件闘争 で臨むことが多く,全面的な対立になることは少ないし,また以後労使協議制 などを導入したり機能再生をはかって情報チャンネルとして労協を活用させる 場合も多いと考えられる。一方で企業は個人別の移動をスムースに行なわせる ために,個々の従業員にかんする情報システムを整備しようとする傾向もある。
(4)賃金・労働条件の差異。この問題を予想するものは比較的少ない。これは 配転・出向が企業外に行なわれる場合も,同一企業集団間であることが多く,
企業集団間で賃金・労働条件の統一が進んでいることによると思われる。しか しながら同一企業集団内でもより上位より下位への移動が多いのである。昭和 49年以後,実施ないしは検討中の施策として,「不採算部門の整理・分離」23.3 %, 「子会社・別会社の新設」31.8%,「中高年会社の新設」6.0%があり,も
しさしあたりの雇用条件が同じであっても将来的には差異が大きくなることが 考えられる。また大企業ほど「出す」傾向か強く,小企業ほど「受ける」傾向 がある。こうした場合,差異は更に大きくなる可能性もある。企業側の措置と
しては,一定期間,従前の賃金・地位などを保証する,職位の変更を手当など で補償する,退職金などの差額を元の企業が提供する,などが採られている。
以上のほか,(5)たとえ当該労働者にとっては雇用が保証されたとしても,彼 が大幅な職種転換を容認する場合には,その労働者が蓄積してきた技能がその まま「外部労働力市場」で他に活用されるチャンスを機会費用としてしまう可 能性がある,㈲配置転換が実は自己都合退職を促す手段として使われる場合も ある,{7)今後企業集団内にも移動先がみつかりにくい状況にきている,(8晦外 派遣が増えてきており,新しい問題群が生じている,(9)核家族化に伴ない,両 親の扶養兼務者や土地持労働者層が増え,将来的に移動は難しくなってきてい
る,などの点を考えて行く必要があろう。
いずれにせよ,以上にみた労務管理の課題や労務慣行の変化は,配置転換だ けとの関連で生じているのではなく,経営全体の「減量化」や,産業構造変化 への対応,また中高年令化との関連でも生じているのであり,トータルな理解 のためには別の稿を待たねばならない。
第2章 A社K製鉄所の事例
事例の概要
A社は日本を代表する製 表8 A社の経営雇用状況
(鉄鋼統計年鑑,鉄鋼労働ハンドブック,有価鉄会社である。S54年1月 証券報告書などによる。以下同じ)
現在従業員は73,728人であ
る。これはS50年4月現在 48年度 50年度 52年度 の80,410人の8.3%減であ 経常利益
131,602 3,091 7,232 り,厳しい雇用調整を行な (百刀円)
ったことを示している。鉄 売 上 高
1,855,833 2,101,192 2.326150 鋼不況の中で売上高経常利 (百力円)
益率は極端な落ちこみを示 売一ヒ高経常 7.1 Oi 03
利益率(%)
し,50〜52年度は1%にも
桙スぬ状況であった(表8)。 従業員数{人)
i4.1.現在) 80,400 80,410 77784
K製鉄所はS40年に創業
され,S46年創業iの0製鉄 同 指 数 100.0 1000 96.7 所に次ぎ,A社に9ある製
鉄所のうち2番目の新鋭工 表9 A社の製鉄所の概要 場である。従業員は54年4
月現在7,558人で4番目で 製鉄所 f創 業 従 業 員
iS54.4.1)
製鋼能力
@(万t)
従業員当り製鋼能力
@ (千t)
あるが,製鋼能力は1,000
M M42 5,995 460 0.77 万tと第1位で,単純な比較 KI M 7 3,567 180 0.50 はできないが,仮に従業員 養 S40
r33 7,558W,320
1,000
V20
1:ll
当り製鋼能力をみると1.32 S S36 3,323 450 1.35 HH S14 8,526 468 0.55 千tで歴史の古いY製鉄所 H S30 2,982 17 0.06 の0.47千t,KI製鉄所の 乙 M34
r36 18,207R,694 lll
1:1;
0.50千t,M製鉄所の0.77 千tに比ぺきわめて効率的
な製鉄所であることがわか 表10 K製鉄所の建設過程 るのである(表9)。43年 年度別粗鋼 人 員 の第1高炉火入れから48年 生産高(乃t) (4.L現在)
までに粗鋼生産量は急成長 43 410 1,150 第1高炉火入れ(2,705㎡)
44 345 2,665 第2高炉火入れ(2,884ηの
を途げ1,000万t体制を整 45 494 3,691 備してきたが,48年をピー ll 1論 5,740
U,866
第3高炉火入れ(4.063㎡)
クに現在は700万t体制で 48 923 6,871 49 844 7,080
稼動している。われわれは 50 676 7,298 第4高炉火入れ(4,930ηの
この事例における「配置転 :1 1認 7,695
V,735
換と労務管理」を検討しよ 53 696 7,525
う。
1. 新規工場立地型移動
高度成長期には,新規に大規模事業所を,それも従来の工場とは離れて立地 させた。これは①臨海立地により海外からの原料輸入に対応する必要があった こと・②「鉄は運輸業」とすら言われるように製鉄所内部での原料,半製品,
製品輸送コストは極めて大きいものであるが,このコスト削減のため理想的な レイアウトの可能な埋立地が選好されたこと,③機械工業の成長により,これ が集積している需要地への立地が急がれたこと,④関西系の川崎製鉄,住友金 属がそれぞれ千葉,鹿島へ,八幡系の新日鉄が君津へ,京浜の日本鋼管が福山 へ,のように従来のテリトリーを無視しながら設備拡張競争を計ったこと,⑤
世界最大規模の高炉,転炉その他の諸設備を含む巨大化競争のために,旧来の 立地地の用地・用水に限界が明らかであったこと,などが要因として考えられ
る。
このように新規巨大工場の地方進出ラッシュは,世上で「民族大移動」と称 されるような労働者とその家族の移動をもたらしたのである。これは一つには 高卒新規学卒労働力の全国からの雇用によるものであるが,あまりに雇用拡大 が急激であったため大量の中途採用をも伴うのがふつうであったためでもあ る。また鉄鋼業の場合,熟練技能工を基幹要員として確保しなければならない から,この部分は旧来の製鉄所よりの移動でまかなわねばならなかった。
K製鉄所においては第4高炉が完成,操業する50年度まで,技術職のみで実 に4,491人を他事業所より受け入れたのである。50年10月1日現在,技術職社員 は5,776人であるから,77,8%の要員が地域間移動を伴う事業所間配置転換に よって確保されたことになる。建設開始より39年度まで116人,40年度82人・41 年度102人,42年度599人,43年度993人,44年度828人,45年度1・243人・46年度 221人,47年度168人,48年度138人,50年度1人であり,ピーク時には年1,200 人強の事業所間配転があったのであり,これは旧来の労務慣行を一変するもの でもあった。
すなわち 以上の数には,当初よりK製鉄所に移動することを前提として 他事業所において採用・訓練されていた者も含まれが 一般にプルーカラー の場合には事業所間配転は希であり,事業所の中でも「職場」と通称される昇 進系列の中で技能をみがき,昇進して行くのが常であるとされ,企業への忠誠 心よりはその事業所,その職場,その仲間や仕事群への帰属心がしばしば優位 するといわれたのである。ましてや地域を大きく離れる配置転換は忌避される のがふつうであると考えられ,これがホワイトカラーと異るところであると言 われていた。
しかしながら,高度成長期の新鋭工場立地に際しては,こうした心理的抵抗 を破るだけの工夫が行なわれた。それは①新鋭工場でより高いポストを用意す るだけでなく,将来的にも昇進は早くなることが予想しえた,②会社の将来を 荷うというエリート意識の鼓吹が行なわれた,③より若い層,とくに工業高校 卒業者には,最新の技術設備の操作を行なうことへの関心が育成されやすかっ た,④まだ核家族化はさほど進んでいなかったし,又相対的にその進みの遅い 地方社会からの就業者は二,三男以下である比率が高く,郷里を離れて職を求
めることが当然の時代でもあった,⑤新技術設備への適応力の大きい,より若 年層を選抜したため,持家層は少なく,社宅間の移動は持家を手離したり再取 得するなどより抵抗が少なかった,また子弟の教育問題も生じるには至っては いなかった,などである。
かくして千葉県のK製鉄所に50年度までに福岡のY製鉄所より3,410人,愛 知県のN製鉄所より190人,山口県のH製鉄所より173人,大阪府のS製鉄所よ り164人,北海道のM製鉄所より129人,岩手県のKI製鉄所より129人,など 全国からの配置転換が行なわれてきたのである。
こうした移動の結果,労務管理上は次の諸点の変化があったと考えられる。
①まず第一には,配置転換への心理的抵抗の減少であり,配置転換による労働 力の適正配置の可能性の増大である。②第二に旧職場における要員の合理化で あり,これは配置転換可能な人員数の割り出しや,事後的な対応策を通じて可 能になったのである。③また新鋭工場では,全国から「少数精鋭」を選抜する ことにより,きわめて合理化された職務群一労働者集団を構成することができ たし,逆に旧来の「職場における労使慣行」を相当程度無視しえた。④上記の
「少数精鋭」の選抜過程で,労務管理の性格が,より「マス管理」から「個別 管理」的色彩を帯びることになったのである。⑤社宅など福利厚生施設への大 規模の投資が必要になった一方,こうした大規模社宅群の誕生により,企業の いわゆる「地域関係」上問題を派生させることになった点も,無視しえない。
2.減産と雇用調整
こうして巨大製鉄所がフル稼動状況に入ってまもなく,49年度より,いわゆ るオイル・ショックによる減産体制に直面することになった。表11にみるよう に粗鋼生産量半期460万t(48年下期)は減少を続け,52年同期には319万tに
・ なり,対公称生産能力比でフル操業時の96.0%より66.3%にまで減少するに至
った。
しかしながら当初は,必ずしも長期にわたる減産体制は予想されなかった。
これは当時の一一般の予想も不確実さを将来に認めるものであったがうえ,素材 生産部門のため,いわゆる最終需要の冷えこみが波及するためにタイム・ラグ
があり,後者が循環的ないし一過的なものであれば,一時的な緊急避難的減産 で将来に備える策がとられるであろうからである。
したがって,いわゆる雇用調整は,次のような順序で採られたといえる。
①残業時間の規 表11 K製鉄所の経営状況 制。これは雇用者
年 度 48 49 50 51 52
の頭数に手を触れ
ず,仕事量の減少 下 上 下 上 下 上 下 上 に応じて残業時間 粗鋼生産量@ (万t) 460 445 399 341 335 373 355 319
を減らして行けば 稼動率(対粗
いいだけに,採り 鋼生産能力比)
@ (%)
P
96.0 92.5 83.3 70.9 69.9 77.5 74.1 66.3
やすい形態である 残業時間
といえる。1人当 指数 100 105 95 61 47 44 49 51 りでみて,49年度 (45年一100)
上期(105)45年=
100)の水準から下期95とやや減っただけであるが,50年上期には61と一挙に減 り,52年上期には51の水準になっている。
②新規雇用の削減,中止。新規雇用のうち学卒採用は,ほぼ半年前の経営予 測に基いて採用することになるから,タイム・ラグが大きくなるのであり,ま た将来の人員計画とのからみがあり,フレクシビリティはやや低くなる。した がってまず中途採用者の削減=欠員不補充から始まるのであり,表12にみるよ うに50年度以後は中途採用はほとんど0になるけれども,新卒採用は実は50年
表12 K製鉄所の人員状況 度がピークであるという 48年度 49年度 50年度 51鞭152年度 ことになり,新卒採用は 51年度以後ようやく抑え
管 理
部門別 事 務 1,832 1,908 1,981 2,019 2,003 られることになる。
従業員
(1α1現在 生 産 ③欠員不補充。一般に
(含嘱託) 5302 5,434 5,793 5,788 5,706 定時(定期)採用,しかも
学卒採用を慣行とする日
採 用
新 卒 167 375 628 280 183 本の大企業にあっては,
その他 208 90 3 0 3 厳密な意味での欠員不補
定 年 7 16 31 30 22 充策はとられず,そもそ
離退職 自己都 も常時,次の定期採用ま
合その 246 196 171 205 130 では補充されないことが
他 *
多いのであるが,このよ
*53.1月末まで うな雇用調整期には,い
わゆる「自然減」すなわち自己都合退職に期待するところが大きいのである。
しかしながら逆にそうした自己都合退職も,経済の不況が全部門に及び,労働 市場が一般に供給過剰傾向にあれば減少するのであり,同じく表12に示すよう な結果で,雇用人員の調整策としては期待できなくなった。
かくして①,②,③の政策にもかかわらず,生産部門従業員は48−51年度の 間に9・2%増加したが,これはほぼこの間に稼動率が2割減少したことと対照的 であり,残業時間の削減にもかかわらず,「余剰人員」が大量に発生したので
ある。
3.余剰人員活用型配置転換
当初,「余剰」はスポット的なものと考えられたため,これら人員の活用策 も一時的な配置転換という色彩が強かった。
第一に行なわれたのは,一時的に研修教育を行なうことであり,49年12月か ら50年3月にかけ延5,000人・日の「大形工場整備教育」が行なわれた。これは 3回にわたり1回につき5〜10日間,1組につき約60人を教育するというものであ り,もちろん配置転換とは言えないけれども,主としてオフJTで行なわれ,
かように大規模であり,「労働力の流動的活用」の労務管理思想の確立に貢献 するものであったといえる。
第二には,製鉄所で必要としている仕事ではあるが,全く異種の仕事への一 時的配置転換である。一時的であるとはいえ,これは従来かつてなかったこと であり,配置転換は新規採用時の経験豊富化を除き,同一職種か関連職種への 転換が常識であったから,当初は大きな抵抗があったと考えられる。しかしな がら同一の仕事は製鉄所の中に他にないのであり,また関連する外注企業の仕 事を簡単にとりあげてしまうわけにはいかないし,少なくとも急激な形で「内
労化」することはできないから,そしてまた必要な仕事を多に外注すれば労務 コストの吸収は計れないから,やむをえず実施されたものである。
その一は,51年から52年度にかけて25,425人・時間延ぺ700人を動員して行 なわれた土木工事プロジェクト,護岸工事用のテトラポットやU字溝の作製で ある。第二は同じく51年から52年にかけて9,980人・時月間17〜20人を動員し て行なわれた緑化作業である。
第三には,多能工化教育を行なうための配置転換であり,その例としては次 のようなものがある。