劣化したコンクリート構造物の残存耐力評価
ならびに経年劣化予測評価システムの構築
研究代表者 大下 英吉 研究員
120 40
ステップ1.2が評価可能であってもステップ3が 定量的に評価できなければ、適切な維持管理 は難しい。
アメリカ ペンシルバニア州 カナダ ケベック州 要因:鉄筋腐食に伴う定着性能の劣化
諸外国における橋梁の崩落事故 維持管理に要求されるステップ 1.現時点における構造物の劣化診断技術の開発
2.各種材料劣化の経年劣化予測モデルの構築
3.材料劣化を生じた構造物の構造性能評価
本研究の目的
鉄筋とコンクリートの付着は 主に鉄筋に存在する節と呼 ばれる凹凸による噛合い効 果によって発現する。
RC構造物は鉄筋とコンクリートが一体となり、外力に
抵抗する。鉄筋とコンクリートの一体性は鉄筋とコンク リートとの付着によって確保される。鉄筋腐食にともなって節は 消失するとともに腐食膨張 に起因して鉄筋軸に沿った 腐食ひび割れが発生する。
鉄筋とコンクリートの付着応力性状は大幅に低下し 定着領域まで荷重が伝達し、定着不良の場合には 端部から鉄筋が抜出し、残存耐力は大幅に低下する。
定着性能の劣化したRC構造物の残存耐力性状の定 量的な評価が必要
試験体の形状寸法
実験結果(荷重変位関係)
CL CL CL CL CL CL CL CL
60@4=240 40 P/2 350 P/2
200
1800 D6-SD295A
定着筋 引張主鉄筋
D16-SD295A
2100
1.定着筋の本数
(0本,1本,2本,3本,4本,完全固定)
2.
引張主鉄筋の腐食率(0%,10%,20%)
実験パラメータ鉄筋の腐食手法
電食試験法
主鉄筋に直流電流を通電することにより強制定期 に鉄筋を腐食させる。(腐食程度の制御可能。)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 5 10 15 20
変位(mm)
荷重(kN)
定着筋1本(腐食率20%) 定着筋2本(腐食率20%) 定着筋4本(腐食率20%) 0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 5 10 15 20 25 30 35 40
変位(mm)
荷重(kN)
非腐食
定着筋2本(腐食率10%) 定着筋2本(腐食率20%) 定着筋無し(腐食率10%) 定着筋無し(腐食率20%)
定着筋が存在することにより残 存耐力は大幅に増加
定着筋の有無が残存耐力性状に及ぼす影響
定着筋量が残存耐力性状に及ぼす影響 定着筋量が増加すること
により,変形性能が向上
実験結果(耐力)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 5 10 15 20 25 30 35 40
主筋の平均腐食率(%)
せん断耐力(kN)
示方書(せん断) 定着筋無し 定着筋有り 完全固定
耐力~主鉄筋の平均腐食率 現行の設計指針に基づく せん断耐力算定値
定着筋無し
定着筋有り 定着完全固定
1.現行の設計指針のせん断耐力算定値に 比べて実験値は全体的に小さい。
2. 定着を完全に固定した場合の耐力は算定
値とほぼ同じ。定着性能(定着領域の付着応力)が残存 耐力に大きな影響を及ぼす。
Pv = 14.80τmax + 28.17 R2 = 0.9135
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
定着領域の最大平均付着応力:τmax(N/mm2)
せん断耐力:Pv(kN)
定着筋無し 定着筋2本 完全固定 近似直線
耐力~定着領域の最大平均付着応力
定着性能(定着領域の付着応力)と残存耐力 は良好な線形関係を有する。
定着性能~定着筋、主筋の腐食率
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
せん断領域の腐食率:CRmr(%) 定着領域の最大平均付着応力: τmax(N/mm2)
主筋の腐食率の みでは定着性能 は評価できない
τnmax = -0.36CRmr + 15.91 R2 = 0.91
0 2 4 6 8 10 12 14
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
せん断領域の腐食率:CRmr(%) 定着領域の最大平均付着応力/主筋 下側の定着筋残存量: τnmax(N/mm2/g)
主筋の腐食率に加えて定着筋 の残存量を考慮することにより、
定着性能を評価可能 鉄筋に沿った腐食ひび割れ
節