Title
岐阜県のコンクリート橋梁の劣化リスク評価に関する研究(
内容の要旨(Summary) )
Author(s)
張, 青
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第273号
Issue Date
2006-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2970
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委貞 張 青(中 国) 博 士(工学) 甲第 273 号 平成18 年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻 岐阜県のコンクリート橋梁の劣化リスク評価に関する研究 (StudyondeteriorationriskevaluationofconcretebridgesinGifu prefecture) (主査) (副査) 教 授 内 田 裕 市 昭 哲郎 博恵敏 本郷 田 森六 鎌 授授授 教 教教助
論文内容の要旨
本論文は,建設当初から橋梁に含まれる潜在的劣化リスク,特に施工年代,環境,および地域に 関連する要因による劣化リスクの評価手法,ならびに目視による点検結果に基づく劣化機構推定結 果に劣化リスクを加味する総合的劣化診断手法を提案している. 第1章では,研究の背景,目的および研究対象を明らかにした. まず,日本の社会基盤の多くが耐用年数に近づきつつあり,これらを合理的に維持管理するシステ ムの構築が緊急の課題であることを述べた.特に,岐阜県の県土は,気象条件の厳しい山間部が多 くを占めるので,維持管理を適切に行わなければ劣化が急速に進行してしまう構造物が少なくない ことを指摘した.次に,研究目的について説明した.すなわち,岐阜県の地理的,地域的,および 県内交通特性を考慮したコンクリート橋梁の総合的劣化診断法を提案して岐阜県独自の維持管理 支援システムの確立に寄与することを述べた. 第2章では,本研究の位置付けを明確にするために,既往研究との比較により本研究の特徴を明 確にした.橋梁劣化に影響する諸要因の多様性により,橋梁の劣化機構はいくつかの要因が複合し ている場合が少なくない.このような場合,本研究の特徴である劣化に対する潜在的劣化リスクを 考慮して劣化機構の解析を行うのが合理的である.また,劣化に対する潜在的リスクを把握することは,維持管理・補修計画を立てる上でも有力な資料になることを述べ皐・
第3章では,「岐阜県の主要コンクリート構造物の健全度調査委員会」が策定した岐阜県独自の 橋梁点検マニュアル,橋梁点検シート,健全度評価法,および対策優先順位の決定法の概要と特徴 を説明した.ここで紹介した橋梁点検マート,健全度評価法,および対策優先度判定法は,他の地 方自治体レベルでは見られない岐阜県独自のユニークな手法で,しかも実務分野で活用できるもの であることを指摘した.行った.岐阜県における占ンクリート橋梁劣イヒの特徴的機構は,床版の疲労劣イヒなども散見される が,主たるものは塩害,アル骨,凍結融解が中心である.多くの劣化事例で自然環境,材料,橋面 の防水,排水工不全および使用条件などが複合して,複数の劣化機構が同時並行(複合)的に進行し ていることを指摘した. 第5章では,劣化と地域性,供用年数,部位などとの関連についての調査により,特にアルカリ 骨材反応と凍結融解による劣化に関しては,岐阜県の場合かなり明確な地域性が認められることを 明らかにした.また,RC橋,PC橋,鋼橋とも建設年数の増加により劣化の割合が高くなる.部位 的な劣化特徴としては,RC桁,鋼桁は鋼材の腐食,断面欠損,一方PC桁では,コンクリートー 方向のひび割れが劣化現象の多数を占める.下部工では,コンクリートの剥離,欠損が最大の劣化 現象であることを明らかにした. 第6章では,第4章における劣化機構と劣化現象との関連についての検討結果を踏まえ,塩害, 中性化,凍害,ASR,疲労の劣化機構に関連する劣化現象を選定した.そして,点検から得られた ある劣化レベル以上の劣化現象(点検項目)の該当程度(数)から橋梁コンクリートの劣イヒ機構を推定 する手法を提案した. 第7章では,建設当初から橋梁に含まれる劣化リスクの評価,ならびに劣化リスクを考慮する総 合的劣化診断法を提案した.本章の主要な結論は次のとおりである. (1)施工年代に関わるリスク要因と劣化機構との関連性を明らかにした.また,施工年代に起因 するリスクの算出方法を提案した. (2)岐阜県の地域特性を考慮して使用環境リスク要因と劣化機構との関連を明らかにした.各要 因をその量,大きさに応じて4段階にランク分けを行い,施工年代に起因するリスクの算出 方法を提案した. (3)点検から得られる橋梁の顕在的劣化現象に,施工年代と環境因子による劣化リスクを考慮す る総合的劣化診断法を提案した. 第8章では,施工時期および使用環境に関する劣化リスクの評価法を提案した.そして,点検か ら得られる劣化状況に,これらの劣化リスクを考慮する総合的劣化診断法の有効性を詳細調査によ り検証した.本章により得られた主要な結論は,次のとおりである. (1)点検から得られる橋梁の顕在的劣化現象に,潜在的劣化リスク加えることにより,潜在的劣 化傾向を考慮した総合的劣化診断を行なうことができる.詳細調査により,本手法の有用性 を確認することができた. (2)施工年代および使用環境に関する要因に起因する劣化リスクを考慮することにより,点検 だけでは推定することが困難な劣化機構の可能性を評価することができた. (3)施工年代および使用環境に関する劣化リスクは,適切に選定した諸要因から評価することが 可能である. (4)、本研究の範囲内では,潜在的劣化リスクのいずれかの値が0.4程度以上であれば,それに対 応する潜在的劣化機構の可能性が高いと判断するのが適当であった. 第9章では,本研究で得られた成果と今後の課題を総括した.