電磁気学 Ⅱ
Electromagnetics Ⅱ
山田 博仁
静電場、静磁場での扱い
5/12, 5/19
講義分
・
4/21(火
)(初回 ) 講義について、遠隔作用と近接作 用、
Maxwellの方程式
・
4/28(火
)(第 2 回目
) 電磁場とは ?・
5/12(火
)(第 3 回目 ) 静電場、静磁場での基本方程式
・
5/19(火
)(第 4 回目 ) 磁場の不思議 ( 第 1 回レポート出題
)・
5/26(火
)(第 5 回目 ) 電磁場のエネルギー、波動方程式
・
6/2(火
)(第 6 回目 ) 電磁波の性質 ( 第 1 回レポート〆切
)・
6/9(火
)(第 7 回目 ) 電磁場の運動量
・
6/16(火
)(第 8 回目 ) 物質中での
Maxwell方程式 ( 第 2 回レポート出 題
)・
6/23(火
)(第 9 回目 ) 電磁波の反射と透過
・
6/30(火
)(第
10回目 ) 電磁波の偏り ( 第 2 回レポート〆切
)・
7/7(火
)(第
11回目 ) 共振器と導波路、光共振器
・
7/14(火 ) ( 第
12回目
)電磁ポテンシャルとゲージ変換 ( 第 3 回 レポート出題
)・
7/21(火
)(第
13回目 ) 電気双極子による電磁波の放射
・
7/28(火
)(第
14回目 ) 点電荷による電磁波の放射 ( 第 3 回レ ポート〆切
)・
8/4(火
)(第
15回目
) 定期試験 ?講義スケジュー
ル
Maxwell
の方程 式
0 ) , ( div
) , ( )
, ( div
) , ) (
, ( )
, ( rot
) , ) (
, ( rot
t
t t
t t t
t
t t t
e e
x B
x x
D
x x D
i x
H
x x B
E
ファラデーの電磁誘導則
アンペール・マクスウェルの法則 電場に関するガウスの法則
磁場に関するガウスの法則
0 ) , (
) , ( )
, (
) , ) (
, ( )
, (
) , ) (
, (
t
t t
t t t
t
t t t
e e
x B
x x
D
x x D
i x
H
x x B
E
E(x, t):
電界
or電場
(V/m)SI
国際単位系
H(x, t):
磁界
or磁場
(磁場の強さ
) (A/m) D(x, t):電束密度
(C/m2)B(x, t):
磁束密度
(磁場
) (Wb/m2) ie(x, t):伝導電流密度
(A/m2)e(x, t):
真電荷密度
(C/m3)物質中の電磁場を規定する基本法則
変位電流
変位電流
Maxwell
が変位電流を導入した訳は
?) 1 ( )
, ( )
, (
rot H x t ie x t
t t t
t e
( , )
) , ( )
, (
rot D x
x i x
H
) ( )
(
rot H x ie x
時間変動のない定常電流において実験的に見出されていた
Ampereの法則
(微分形
)をそのまま時間変動する電流と磁場との関係に拡張したとすると、
両辺の発散をとると、
divrot H(x,t) div ie(x,t)t
t e t
e
( , ) )
, (
div x
x
i
0
従って、
div ie(x,t) 0 (2)となる。
ベクトル恒等式
式
(2)は明らかに、電荷保存則
(電流連続
)の式 と矛盾する。
この矛盾を避けるために
Maxwellは、式
(1)を次式のように拡張した。
となる。
この式で両辺の発散をとると、
t t t
t t
t t e
e
( , )
) , ( ) div
, div (
) , (
div x
x x D
x D
i
となり、電荷保存則
(電流連続
)の式と一致する。
この項を変位電流
(displacement current)と呼ぶ
静電場、静磁場での基本方程 式
t t t
( , ) )
, (
rot B x
x E
静電場、静磁場では、
Maxwell方程式において、時間微分項がゼロとなる。
t t t
t e
( , )
) , ( )
, (
rot D x
x i x
H
) , ( )
, (
div D x t e x t 0
) , (
div B x t
さらに、電場、磁場、電流密度、電荷密度などは、場所
xのみの関数となる
0
0 ) ( rot E x
0
) ( )
(
rot H x ie x
) ( )
(
div D x e x 0 ) ( div B x
静電場における 基本方程式
静磁場における
基本方程式
静電場、静磁 場
全ての物理量が時間
tに依存しない時、
Maxwell方程式は以下のように電場、
磁場に対して各々独立な方程式系に分離できる
) ( )
(
) ( )
(
0 ) (
x E x
D
x x
D x E
e
静電場に関する基本法則
定常電流による静磁場の基本法則
電荷も電流も時間的に不変である限り、電気と磁気は別々の現象と見なせる 当初は、電気力
(クーロン力
)と磁力とは全く別のものだと考えられていたが、
Maxwell
がこれら二つの力を電磁力として統一した。
(力の統一理論
)) ( )
(
0 ) (
) ( )
(
x H x
B
x B
x i x H
e
媒質中での電磁場を扱うため
の構造関係式
力の統一理論
(余 談
)電磁力
(ローレンツ力
)重力
強い相互作用
弱い相互作用
物質間に働く
4つの基本的な力
(相互作用
)慣性力
摩擦力 強い
弱い
102N1N
10-40N
力の強さ
長距離 短距離
10-15m
力の働く距離
1m
1010m
核力
核力
大統一理論
電弱統一理論
超弦
(ひも
)理論
?量子色力学
電気力
(クーロン力
)と磁力の統一
(マクスウェル
)一般相対性理論
(アインシュタイン
)天体間引力
万有引力 ニュートン
静電 場
) 3 ( )
( )
(
) 2 ( )
( )
(
) 1 ( 0
) (
x
E x
D
x x
D x E
e
静電場の基本方程式
第
(1)式より、以下の静電ポテンシャル
(x)が定義できる
)4 ( )
( )
(x x
E
第
(3)式の関係を用いて、上式を第
(2)式に代入すると、以下のポアソン方程式を得る
( )
)
( x
x e
上記ポアソン方程式の無限遠方でゼロとなる解は、
V
e x'
' ' 3
) d ( 4
) 1
( x x
x x
上式を式
(4)に代入することにより、電場
E(x)が求まる
V
e x'
' '
' 3
3( ) d )
( 4
) 1
( x x
x x
x x
E
(
局所的な電荷密度分布とその周りの電位を関係付け る
)何故なら、ベクトル恒等式より、
0 )
(
( )
教科書
P156、式
(5.21)教科書
P157、式
(5.22)静電ポテンシャル
の意 味
) ( )
(x x
E
山の等高線
(x)スカラー量
山の斜面の勾配
E(x)ベクトル量
{Ex(x), Ey(x), Ez(x)}静電ポテンシャルはスカラーなので、スカラー・ポテンシャルとも呼ばれている
山の等高線
(スカラー量
)と斜面の勾配
(ベクトル量
)とは同じ情報
(地形
)を伝えている 等高線に相当するのが静電ポテンシャル
(電位
) であり、電位の勾配が電場
E (
ベクトル量
)である
静電 場
) ( )
(x x
D e
微分形式でのガウスの法則
両辺をある体積
Vについて積分する
VD(x)dV V e(x)dV dS
V S n D(x)
e(x)
積分形のガウスの法則
(
局所的な電荷密度分布とその周りの電束密度の発散を関係付けている
)S D(x)ndS Qe Gauss
の定理
S dS Qe
D(x) n
球状電荷分布の周りの静電
誘電率が 、半径が
aの球内に電荷が密度 で一様に分布している。球の中心 場
O
より
rだけ離れた点
Pにおける電場を求めよ
a
O P
r
) ( )
(x x
D e
電場に関するガウスの法則
) ( )
(x E x
D
(
局所的な電荷密度分布とその周り の電束密度の発散を関係付けてい る
)
( ) )
( x
x
E e
(
局所的な電荷密度分布とその周り の電場の発散を関係付ける式
)構造関係式
VE(x)dV 1 V e(x)dV
E(x)
ガウスの定理
S E(x)ndS
電荷分布が球対称だから、
電場は球の中心から放射状
S E(r)dS ) ( 4 r2E r
3 0 3
4
1 a
2 0
3
) 3
( r
r a
E
3
3 4
1 r
(r > a)
(r ≤ a)
) 3
( r
r
E
V S
dS n
図のように、点
Pが球の表
面に位置する球
Vで体積積
分する
球状電荷分布の周りの静電 場
(r > a) (r ≤ a)
) ( )
(x x
D e
電場に関するガウスの法則
を用いて求めた解
が
E(x) 0を満足することを確認しておく必要がある
極座標で考えると、電場は半径
(r)方向成分のみ、つまり
Eθ , Eφ = 0r r
r a e
E 2
0 3
) 3
(
(r > a) r r (r ≤ a)
r e
E
) 3
(
2 0
3
) 3
( r
r a
E
) 3
( r
r
E
e e e
E
r r Er
r rE rE r
r r E r
E E
r 1 ( )
) 1 (
sin ) 1
sin (sin 1
極座標の回転
(rotation)は、
従って、
E 0で与えられる
を満足している
00
0 0 0
0
静磁 場
静磁場の基本方程式
第
(2)式のガウスの法則から、磁場
B(x)はベクトル・ポテンシャル
A(x)を用いて
)4 ( )
( )
(x A x
B
第
(3)式の関係を用いて、上式を第
(1)式に代入し、ベクトル公式を用いると以下の式を 得る
) ( )
( )
( A x i x
A x e
の関係がある
(クーロンゲージ
)時上記の式の解は、
V
e x'
' ' 3
) d ( ) 4
( x x
x x i
A
上式を式
(4)に代入することにより、磁場
B(x)が求まる
V
e x'
' '
' 3
3 ) d
( ) ( ) 4
( x x
x x x
x i
B
) 3 ( )
( )
(
) 2 ( 0
) (
) 1 ( )
( )
(
x
H x
B
x B
x i x H
e
Biot-Savart
の法則
A A
A
( ) ( )
何故なら、ベクトル恒等式より、
0 )
(
A
B(x)
V ie(x’)d3x’
A(x)
教科書
P235、式
(7.59)教科書
P231、式
(7.46)と書ける
0 )
(
A x
静磁 場
微分形式でのアンペールの法則
両辺をある面
Sについて積分する
)( )
(x i x H e
S(H(x))n(x)dS S ei (x)n(x)dS
積分形式でのアンペールの法則
IeH(x) dS
ie(x)
S C dr
n(x)
H(x)
(
局所的な電流密度分布とその周りの磁場の回転を関係付けている
)C H(x)dr
Stokes
の定理
C d Ie
H(x) r
Ie
直流電流
Ieから距離
rだけ離れた点での磁場の接線成分の 大きさ
Hθ(r)は
?Hθ(r)
2πr Hθ(r)
r r I
H e
) 2
(
r
従って、
静磁 場
積分形のアンペールの法則 から得られるのは、磁場の接線成分 の 大きさのみ
それを決めるのが
B(x) 0さらに円対称性より、磁場の円周方向依存性もゼロである
z
r B rB B
r r
z
r)
1 ( B
円柱座標の発散
(divergence)は、
もし、直線電流が無限に長いのなら、磁場の電流方向依存性はゼロのはず
0 )
(
B x
で与えられる
より、
0 0
その他の成分
(Hr, Hz)はどうなのか
? 0 Br
r r B B
r rB
r r
r
( )
を満足させることができるのは、
いかなる場所
rにおいても
の場合のみである。つまり、磁場の動径方向成分はゼロ
C d Ie
H(x) r
静磁 場
e
H r
r Ie ) 2
(
従ってその場合、磁場は接線方向成分のみであり、
さらに、電流が流れる方向が
z方向のみであれば、
このことより、磁場の
z方向成分は空間のあらゆる場所において一定でなけ ればならない。もし電流が流れていない場合、或いは電流から無限に遠い場所 において磁場の
z方向成分がゼロであれば、空間の至る所で
Hzはゼロとな る。
) ( )
(x i x H e
の
z方向成分以外はゼロとなる。
より、
) (x
H
即ち、
1 0
z H H
r
z
0
r H z
Hr z
および を満たさなければならない。
z r z
r r
z H
r rH r
r H z
H z
H H
r e e e
H
1 1 ( )
円柱座標系において は以下で与えられるので、
H(x)0 0
従って、 であり、 直線電流が無限に長いのなら
0
z Hz
0
r H
Hz z
磁場は存在する か
?無限に長い導線の中を電流が一様に流れている場合、
導線の中に磁場は存在するか
?無限長導線
一様な電流
磁場は存在する か
?無限空間に電流が一様に流れている場合、磁場は存在するか
?無限空間
一様な電流 無限空間の中のある点を原点にとり、円柱座標で考えると
z
θ r
0 ,i
ir iz const
0 ) ( ),
(x A x
Ar Az(x) const
V
e x'
' ' 3
) d ( ) 4
( x x
x x i
A
だから、任意の場所
xにおいて、
z r z
r r
z A
r rA r
r A z
A z
A A
r e e e
A
B
1 1 ( )
だから
B = 0
即ち、磁場は存在しない
00
0
0 0
0
磁場は存在する か
?空間内をある一方向に電流が分布を持って流れている場 合、磁場は存在するか
?分布を持った電流
電流分布の中心のある点を原点にとり、円柱座標で考えると
z
θ r
0 ,i
ir iz(r)
0 ) ( ),
(x A x
Ar Az(x) const, Az(r) const
V
e x'
' ' 3
) d ( ) 4
( x x
x x i
A
だから、任意の場所
xにおいて、
z r z
r r
z A
r rA r
r A z
A z
A A
r e e e
A
B
1 1 ( )
だから
即ち、磁場は存在する
00
0
0 0
0
0
e
B r
Az
磁場は存在する か
?無限に長い導線の中を電流が一様に流れている場合、
導線の中に磁場は存在するか
?無限長導線 一様な電流
導線の中心のある一点を原点にとり、円柱座標で考えると
0,i ir
0 ) ( ),
(x A x
Ar Az(x) const, Az(r) const
V
e x'
' ' 3
) d ( ) 4
( x x
x x i
A
だから、任意の場所
xにおいて、
z r z
r r
z A
r rA r
r A z
A z
A A
r e e e
A
B
1 1 ( )
だから
即ち、磁場は存在する
00
0
0 0
0
0
e
B r
Az z
θ r
iz = const (r < a) iz = 0 (r > a)
a
は導線の半径
ベクトル・ポテンシャルとは 何か
?ベクトルポテンシャル
Aは何者
? )1 ( rot A
B (2)
t
A
E
E
と
Bがベクトルポテンシャル
Aを通して互いに関係付けられている
(
両辺の
rotationをとってみる
)A
の空間分布に渦があると
Bが生じ、
Aが時間的に変化すると
Eが生じる
Aの時間変化は、単位電荷を持つ粒子に働く力に等しい
t
P
つまり
Aは、
Newton力学における運動量
Pに対応
F従って、
Maxwellは
Aを「電磁気的運動量」と呼んでいた
(
ただし、後で習う電磁波の運動量とは違うので要注意
)単位電荷を持つ粒子がその位置にやってきたときに粒子が得る運動量のこと
EF q
電磁波の運動量とは違う
!!t t
t
B
A A
E rot rot
rot
ベクトル・ポテンシャルは実 在か
?ローレンツ力では、
Eや
Bは単位電荷の粒子に働く「力」として定義された
)(E v B F q
E 、 B
の代りに静電ポテンシャル
(電位
) 、ベクトルポテンシャル Aを使うこともできる
単位電荷を有する粒子は、電場
Eで加速されると電位差 分だけの エネルギーを得る
つまり、
E
と
Bは、荷電粒子に力を及ぼす電磁気現象
と A
は、荷電粒子のエネルギーや運動量に変化をもたらす電磁気現象 また、磁場
Bの中を通ると、ベクトルポテンシャル
A分だけの運 動量を得る
t
A
E
q W
A B rot
アハラノフ・ボーム
(AB)効果
電場
Eも磁場
Bも存在しなけれ ば、荷電粒子
qに電磁的な力は及 ばない
) (E v B
F q
であるから、
ローレンツ力は
右の実験では、電場
Eは存在せず、ソレ ノイドコイルが十分に長ければ、その外 に磁場
Bも存在しない
従って、コイルの外側を飛行する電 子に電磁的な力は及ばないはず
ところが、アハラノフとボームは、コイルの外側を飛行する
2本の電 子線の間には次式で与えられる位相差が生じることを予言した
e S d
e d
S B s
A
つまり、ソレノイドコイルの中の磁束に比例した位相差が生じるという
BA
Stokes
の定理
周回積分は、
2本の電子線の飛行経路で、
面積積分はそれによって囲まれる面積で
アハラノフ・ボーム
(AB)効果の
これを
1980年頃に実験的に確かめたのが、日立製作所の外村 彰氏 観測
ホログラフィー電子顕微鏡 四角いドーナツ状の微小なパーマロ
イ薄膜のサンプルを作り、ホログラ フィー電子顕微鏡で観察した
観測した電子線ホログ ラフィーによる干渉縞
リングの中と外で
、干渉縞に位相差 が現れている
つまり、
AB効果 は確かに存在する ことを裏付けてい る
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-1.html より詳しく知りたい方は
、以下の電子情報通信学会 のWeb ページをご参照
外村 彰氏 このことは、磁場
Bが無く
ても、ベクトルポテンシャ
、 A
が存在すれば、電子の 波動関数に影響が及ぶこと を示唆
教科書
P235AB