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2010年度卒業論文 (2011年2月)

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2010年度卒業論文 (2011年2月)

小型モニタでの触運動錯覚誘発の検証及び応用の検討 小型モニタでの触運動錯覚誘発の検証及び応用の検討 小型モニタでの触運動錯覚誘発の検証及び応用の検討 小型モニタでの触運動錯覚誘発の検証及び応用の検討

Examining Illusion of Haptic Movement on compact monitor and Application Consideration

1W070026-3 飯野 瞳 指導教員 河合 隆史 教授 IINO Hitomi Prof. KAWAI Takashi

概要: 本研究は、近年発見された触錯覚の1種である触運動錯覚について注目し、その特性及び応用方法の検討 を目的として行われた。3Dに注目が集まっている今日、視覚刺激や聴覚刺激のみならず、触覚刺激を呈示する技 術にも注目が集まっている。触運動錯覚は、視覚情報を利用して触覚刺激を呈示する手段として、盛んに研究が 行われている最中である。しかしながら、まだ、どういう仕組みであるのかとか、確実に発生させる方法が解明 されていないため、今後の研究によって徐々に実用化に持っていくための様々な検証が行われる分野である。本 研究では、触運動錯覚の特性及び応用可能性を探るために、応用に特に必要であろう条件を検討し、その条件に おいて実験を行った。

キーワード:触覚、錯覚、触運動錯覚

Keywords: haptic, illusion, illusion of haptic movement

1 1 1

1. .. .はじめに はじめに はじめに はじめに

近年、触錯覚の分野において、発見された錯覚 の一つが触運動錯覚である。この錯覚は、視覚優 位の現象を利用することによって触覚に起きる 錯覚であり、視覚刺激と触覚刺激の組み合わせに よって実際に与えられる触覚刺激が変化したよ うに感じるものである。3D ブームにおいて、視 覚や聴覚の研究が目立っているが、それに伴い触 覚技術にも注目が集まっている。特にエンターテ イメントへ応用可能な技術である。映像刺激の臨 場感の追求から没入感を高めるなど、理由は様々 であるが、触覚の研究はエンターテイメントだけ でなく、医療など我々の身近で役立っている。ま た、触錯覚は規模な装置やシステムを使用しない で様々な触覚刺激の呈示が行える可能性を持っ ている。こういった背景により、触錯覚は、今後 その可能性を大きく広げていくものと思われる。

2 2 2

2. .. .触運動錯覚とは 触運動錯覚とは 触運動錯覚とは 触運動錯覚とは

錯覚は錯覚にも起こることが明らかとなって いる。例として、 1998 年に Botvinick らによって 発見されたゴムの手の錯覚

i

があげられる(図 1)。

テーブルの上に置いた被験者の右手を衝立で見 えないように隠し、ゴム製の擬手を被験者の正面 に置く。実験者がゴム製の擬手と被験者の手を筆 で同時に繰り返し叩く。被験者は自分の手が叩か れる感触を感じつつ、ゴム製の擬手が同じように 叩かれるのを見る。しばらく見ていると、被験者 は叩かれる感触がゴム製の擬手からくるように 感じ、ゴム製の擬手が自分の体の一部であると感 じる。ゴム製の擬手が体の一部でないことは分か

った上でその感覚が生じる。

ii

この系統の錯覚と して、触覚に与えられる運動刺激が視覚情報によ って変化する錯覚を触運動錯覚(以下錯覚と表 記)と定義して研究を行った。

図 1 ゴムの手の実験 3. 3. 3.

3.目的 目的 目的 目的

本研究では、視覚情報と触覚情報の変化による 錯覚の変化を検証することを目的とし、モニタサ イズ及び同期作業の受動・能動の変化を条件とし て実験、及び結果から応用の検討を行った。

4 4 4

4. . .実験 . 実験 実験 実験

小型モニタが触運動錯覚の誘発に適している か、能動的に錯覚が発生するのかを調査した予備 実験を経て、モニタサイズと同期作業の受動・能 動を条件とした本実験を行った。シャッタ式眼鏡 で立体映像を視聴可能なディスプレイにおいて、

モニタサイズを15inch・7inch・3.5inchの3種に 設定し、同期作業の受動・能動条件を2種として、

計6条件と実験を行った(図2、図3)。同期作業・

静止・錯覚誘発映像の順に呈示し、錯覚誘発映像

中に触覚に変化があった場合を錯覚とした。1条

件約50秒であった。評価は、錯覚強度・モデル一

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2010年度卒業論文 (2011年2月)

致度・同期作業一致度の5件法アンケートと錯覚 についてのインタビューを行って検証した。

図 2 本実験イメージ

図 3 モニタサイズ条件 5

5 5 5. .. .結果 結果 結果 結果

本実験は 2010 年 12 月 13 日から同年 12 月 15 日に 行った。参加者は 20 歳から 37 歳までの心身ともに 健康な男女 12 名(右利き 10 名、左利き 2 名)であ る。図4が錯覚発生有無のグラフであり、表 1 が 質問の分散分析結果である。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

条件1 条件2 条件3 条件4 条件5 条件6

人数 起こる

起こらない

図 4 錯覚発生グラフ

表 1 各質問の分散分析 F 値 錯覚強度 モデル 同期作業 モニタサイズ 0.48 0.12 0.39 同期作業 2.58 0.09 3.58 交互作用 0.09 0.12 1.06

6 6 6 6. .. .考察 考察 考察 考察

実験からモニタサイズが多少変化しても錯覚 は起こることが分かった。能動条件で錯覚を得た 参加者が半数という点は大きい成果である。分散 分析によると、 5%及び 1%有意水準はどちらも棄 却域に入っておらず、モニタサイズ及び同期作業 の受動・能動の変化は錯覚発生に影響しないとい

う結果になった。しかし、同期作業の受動・能動 の変化による F 値が錯覚強度と同期作業一致度 で高めなため、若干の影響があると推測される。

錯覚が起きる参加者と起きない参加者の違い は、触覚が敏感であると錯覚が起き難いと仮定し ていたが、その場合とモデルの一致度が低いと起 き難いことが分かった。錯覚が起きない原因には 種類があり、視覚刺激が適さない場合、触覚刺激 に敏感すぎる場合、その両方の場合がある。前者 は視覚刺激を改善すれば錯覚が起きる可能性が ある。対して、触覚が敏感である場合、視覚刺激 や聴覚刺激に注意を向かせれば、錯覚誘発可能で はないかと思われる。

錯覚の特徴として、受動と能動において違いが あり、受動において錯覚が強い傾向がある。中に は、誘発映像時になぞられているように感じると か、「もぞもぞ」するという意見であった。応用 を考えると、確実に能動的に錯覚が起きる状態を 探る必要がある。

結果として、モニタサイズの変化、及び同期作 業の受動能動の変化は錯覚の誘発に関係するが、

有無を決定付けるわけではなく、錯覚の強度に変 化を及ぼすと考えられる。

7 7 7

7.まとめ .まとめ .まとめ .まとめ

実験によって触運動錯覚は、受動的に同期作業 を行うよりも弱いものの能動的にも発生するこ とが分かった。また、モニタサイズの影響の検証 では、錯覚に大きな影響は無く、錯覚の発生しや すいサイズは異なることが分かった。

応用として、例えば、携帯型小型デバイスに なんらかのアタッチメントをつけて触覚を利用 するゲーム等のエンターテイメントや行くべき 方向に触覚刺激を呈示する地図のナビゲーショ ン、教育的なシミュレーションである。

本研究において実験を行った錯覚については 解明されていない部分が多い。しかしながら、触 運動錯覚は様々な分野で応用できる可能性を秘 めている。これから研究を進めていくうちに、安 定した錯覚の呈示方法を発見し、そして、錯覚の 特性をより深く探って、新たな応用の可能性を見 出して行きたい。

参考資料 参考資料 参考資料

参考資料

i

Botvinick, M., & Cohen, J. : Rubber hands ‘feel’

touch that eyes see, Nature, 391, 756, 1998

ii

北川 智利: “多感覚錯覚からみる身体のリアリテ ィ” ,日本バーチャルリアリティ学会誌, Vol.10, No.1,

pp.29-31 , 2005

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