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うつ病治療による循環器救急疾患の予後改善の可能性の検証

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Academic year: 2022

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厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業(精神障害分野) ) 分担研究報告書

うつ病治療による循環器救急疾患の予後改善の可能性の検証

研究分担者 横山  広行

国立循環器病研究センター  医療安全管理部長

研究要旨

研究目的:循環器救急疾患とうつ病治療の関連に関した研究を行うことを目的とした。

研究方法:多施設共同発症登録調査において集積されたデータセットを用いて、循環器救 急疾患とうつ病治療の関係を検討した。

結果:急性心筋梗塞1788例の集積データを解析した。退院時アスピリンは94.8%、退院時 β遮断薬は53.7%で処方されていた。しかし、抗うつ薬としてのSSRI処方は10例、SNRI は0例、抗不安薬は18例にとどまった。

まとめ:日本において急性心筋梗塞に対して抗うつ薬の投与が極端に低率である現状が明 らかとなった。この原因および影響に関しては今後の検討を要するが、少なくとも循環器 疾患における精神ケアにおいて考慮すべき問題が存在することが明らかになった。

A.研究目的

身体疾患を有すると高率に精神疾患を合併 し、循環器疾患とうつ病に関するエビデン スが1990年代から報告されている。冠動脈 疾患者における大うつ病の有病率は 15〜

23%、心筋梗塞後や冠動脈バイパス術後に うつ病を発症すると生存率が不良になるこ と、うっ血性心不全や不安定狭心症とうつ 病を併発合併すると予後は不良になること、

抑うつ症状があると脳卒中になりやすいこ と、うつ合併併存患者において身体疾患の 予後が悪いことがメタ・アナリシスにおい ても示され、抗うつ薬により脳卒中の予後 改善効果があることが報告されている。し かし、身体疾患に精神疾患を合併した患者

に関する国内での研究は十分ではない。循 環器専門医の関心が低いことが一因として 考えられる。特に、うつ病と循環器救急疾 患の関係を検討したわが国のデータはきわ めて少ない。本研究では循環器救急疾患と うつ病治療の関連に関した研究を行うこと を目的とした。

B.研究方法

本年は、多施設共同発症登録調査において 集積されたデータセットを用いて、循環器 救急疾患とうつ病治療の関係を検討した。

2009年4月から2011年12 月の調査期間 中に入院した急性期循環器疾患(急性心筋 梗塞)のデータセットを用いて、退院時情

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12 報の「通院時処方」において、「抗凝固薬治 療」「抗血小板薬治療」「β遮断薬投与」に 加えて、「抗うつ薬投与〔選択的セロトニン 再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノ ルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、

3環系抗うつ薬(TCA)、その他〕」の項目を 検討した。

C.研究結果

急性心筋梗塞 1788 例の集積データを解析 した。1788例で退院時アスピリンは94.8%、

退院時β遮断薬は53.7%で処方されていた。

しかし、抗うつ薬としてのSSRI処方は10 例、SNRIは0例、抗不安薬は18例にとど まった。

D.考察

急性心筋梗塞症例で登録された患者におい て、治療のベンチマークとして活用される 退院時アスピリン処方率は 90%を超えて いたが、抗うつ薬(SSRI)処方率は極端に 低率であり、不安抑うつ状態に対する認識 が低いことが明らかになった。

E.結論

うつ病は循環器救急疾患(急性心筋梗塞)

の予後を検討するうえで大変重要な課題で ある。しかし、日本において急性心筋梗塞 に対して抗うつ薬の投与が極端に低率であ る現状が明らかとなった。この原因および 影響に関しては今後の検討を要するが、少 なくとも循環器疾患における精神ケアにお いて考慮すべき問題が存在することが明ら かになった。

参照

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