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木材の曲げ強度試験に於ける寸法効果

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Academic year: 2021

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(1)

木材の曲げ強度試験に於ける寸法効果

岐阜県立国際たくみアカデミー ○杉田 和直

職業能力開発短期大学校 建築科 大野 生二、阿部正慶 1.はじめに

一般に部材が応力を受ける場合、同じ形状 でも寸法の大きい部材は小さい部材と比較 して最大耐力および変形性能が小さい傾向 にある。木材が応力を受ける場合も同様と考

えられ

1)〜4)

、設計においてはその寸法効果の

影響を考慮する必要がある。そこで、本報で は寺社等の建築物で用いられている断面寸 法の大きい実大部材の木材に曲げ載荷試験 を行い、試験体断面の寸法が最大耐力および 変形性能に及ぼす影響を、既報

4)

の論文を含 め検討する。

2.実験方法

試験体の一覧を表1に示す。試験体の断面 は , 梁 幅 (b) を 50,195,220,240mm と し , 梁 成 (D)は各梁幅の2倍とする。試験体は計7体用 意した。

写真1に示すように加力方法は単純梁形 式の 3等分 点2点集 中載荷と する。載荷 は 1000kN万能試験機および載荷フレームを用

写真1 加力方法

いて試験体の縁応力がσ=20,40,60,80N/mm

2

に達したときの各荷重で一旦除荷し、繰り返 し載荷を行うことを原則とし、試験体が最大 荷重に達するまで行った。

Effect on a scale by bending test of the lumber

SUGITA Kazunao, OHONO Seiji and ABE Masayoshi

断面 試験体 曲げ 純曲げ せん断 試験体 寸法 長さ スパン スパン スパン 余長 b×D[㎜] L:[㎜]

l

:[㎜] A:[㎜] B:[㎜] C:[㎜]

50-100-1,2 50×100 1200 1000 333 333 100

195-390-1,2 195×390 4800 4000 1333 1333 400

220-440-1,2 220×440 5400 4500 1500 1500 450

240-480-1 240×480 6000 5000 1667 1667 500

試験体名 材料名

米松

表1 試験体諸元

(2)

写真2 試験体の破壊形状(50-100-1)

(純曲げ区間の引張側繊維の破断)

3.実験結果

米松梁の実験結果一覧を表2に示す。

3.1 実験経過

荷重と変位の関係の一例を図1に示す。いず れの試験体も実験経過は、荷重の増大にとも ない変位が直線的に増加し、比例限界の弾性 範囲は最大荷重の2/3程度まである。その後、

荷重を増大させると引張側繊維の破断により 耐力が大きく低下する。また、比例限界点か らの降伏棚が無く、繊維破断によって繊維方 向の割れが生じたもの(写真2,3、5参照)、節 位置からの繊維破断によって繊維方向の割れ が生じたものがあった。その破壊形状の一例 を写真4に示す。

3.2 曲げ比例限界

応力度と部材角の関係の各試験体の代表例 の比較を図2に示す。この図において、ほぼ直 線的で弾性域から塑性域に移る曲げ比例限界 位置は、試験体寸法が小さい50×100試験体で は 約 60N/mm

2

、 実 大 寸 法 の 試 験 体 で は 約 30N/mm

2

である。

写真3 試験体の破壊形状(195-390-2)

(純曲げ区間の引張側繊維の破断)

写真4 試験体の破壊形状(220-440-1)

(節位置からの引張側繊維の破断)

写真5 試験体の破壊形状(220-440-2)

部材断面: スパン: 荷重 応力度 見掛け 真 荷重 応力度 変形 荷重 応力度

せん断応力度

たわみ 部材角

b×D L Pt σt E E 0 Pt σt δt Pu σu τu δu Ru=δu/L 圧縮ひずみ 引張ひずみ

(mm) (mm) KN N/mm 2 N/mm 2 N/mm 2 KN N/mm 2 mm KN N/mm 2 N/mm 2 mm μ μ

50-100-1 50×100 1000 28.8 56.6 12100 13000 36.6 73.2 14.4 36.6 73.2 5.49 14.4 1/69 -5000 6000 50-100-2 50×100 1000 28.2 56.5 13100 12800 39.8 79.6 15.6 41.1 82.3 6.17 17.7 1/56 -3200 6000 平均値 ー ー 28.2 56.5 12600 12900 38.2 76.4 15.1 38.9 77.8 5.83 16.1 1/62 -4100 6000 195-390-1 195×390 4000 250.9 34.7 9300 7600 394.3 54.6 64.4 394.3 54.6 3.99 64.4 1/62 -4000 5400 195-390-2 195×390 4000 264.1 36.6 8800 7600 409.1 56.6 58.1 409.1 56.6 4.14 59.1 1/69 -4000 4500 平均値 ー ー 257.5 35.7 9100 7600 401.7 55.6 61.3 401.7 55.6 4.07 61.3 1/65 -4000 4950 220-440-1 220×440 4500 273.8 28.9 9800 14000 412.2 43.6 50.9 412.2 43.6 3.19 50.9 1/88 -4000 4500 220-440-2 220×440 4500 261.9 27.7 9400 6400 265.5 28.1 34.8 271.5 28.7 2.11 38.3 1/117 -2700 2600 平均値 ー ー 267.9 28.3 9600 10200 338.9 35.9 42.9 341.9 36.2 2.65 44.6 1/100 -3350 3550

240-480-1 240×480 5000 392.3 35.5 13700 12100 584.5 52.9 46.9 584.5 52.9 3.81 46.9 1/106 -3500 3500 成方向に2分割に割れた後、引張繊維の破断 圧縮破壊後の載荷点とせん断スパン位置での 引張繊維の破断

圧縮破壊後の引張繊維の破断 圧縮破壊後の引張繊維の破断

成方向に3分割に割れた後、引張繊維の破断

圧縮破壊後の引張繊維の破断 試験体名

圧縮破壊後の引張繊維の破断

曲げ比例限界 曲げヤング率 割れ・繊維破断時 最大荷重時

繊維破断ひずみ

破壊形式

表2 実験結果一覧

(3)

このことから試験体が大きくなると曲げ比 例限界位置の寸法効果が認められる。

3.3 荷重とひずみの関係

荷重とひずみの関係の一例を図3に示す。表 2から最も小さい試験体の50×100は繊維破断 時の縁引張ひずみが約6000 μ であった。一方、

大きい試験体の220×440および240×480で は、繊維破断時の縁引張ひずみが約3500 μ と なり、破壊時の縁ひずみが小さくなっている。

このことから試験体が大きくなると変形性能 が小さくなることが考えられる。

4.考察

4.1 最大耐力および変形性能

図1および表1より、試験体の寸法が大きく なると、最大耐力および変形性能が小さくな る傾向を示した。このことから、木材の曲げ 試験において寸法効果が認められる。曲げ強 度については、既往の文献

5)

の木材の力学的 性質に用いられている値(77.5N/mm

2

)と比較 すると、50×100の実験値は77.8N/mm

2

となり ほぼ同じ値である。しかし、他の大きい試験 体の実験値は約50 N/mm

2

とかなり小さい値を 示した。これは、文献で用いられている木材 の力学的性質の値が、50mm×100mmと同程度の 小さい断面寸法を持つ実験データを用いてい るためと考えられる。

4.2 最弱リンク理論による寸法効果係数

図5に示すように最も弱い要素Aの強度が材 料の全体の強度を決定するという考え方とし て最弱リンク理論

2)

がある。図5のように試 験体を構成する要素が横に直列に配列してい るとき、節などの欠陥を含む要素は他の要素 に比べて曲げ強度が低い。このため、この下 段の直列モデルに曲げ引張力を負荷させる と、各要素に均等に引張力が作用し、それが 欠陥を含む要素の強度値に達した時点で試験 体が破壊する。他の要素ではまだ余力を残し ているが、試験体の強度は欠陥を含む要素の 強度により決定される。したがって、試験体 寸法が大きくなればなるほど欠点が多く含ま れ曲げ強度が小さくなる。

基準となる試験体の容積 V

1

における曲げ強 度を 、試験体 i の容積 V

i

における曲げ強度 を としたとき、寸法効果係数 k は以下の式 で表わせる

2)

k i b

b V V

i ( / )

/ 1

1 =

・・・・・・1)

1)式を用いて両辺を対数で表示し整理する と、本実験の寸法効果係数は約0.12となる。

図2 応力度と部材角の関係(代表例)

図3 荷重とひずみの関係の一例(240‑480‑1)

0 100 200 300 400 500 600 700

-6000 -4000 -2000 0 2000 4000 6000

ε ひずみ度(μ)

P(kN)

ひずみ1 ひずみ2 ひずみ3 ひずみ4 ひずみ5 ひずみ6 ひずみ7

-8000 -6000 -4000 -2000 0 2000 4000 6000 8000

ひずみ度(µ)

σ =10N/mm² σ =20N/mm² σ =30N/mm² σ =40N/mm² σ =50N/mm² σ =60N/mm² σ =70N/mm² σ =80N/mm²

σ =82.3N/mm² 最 大 荷 重 時

σ=10N/mm2 σ=30N/mm2 σ=20N/mm2

σ=82.3N/mm2 σ=60N/mm2 σ=50N/mm2

σ=70N/㎜2

図4 ひずみ分布の一例(50-100-2)

図1 荷重と変位の関係の一例 (50-100-2)

引張繊維の破断

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

0 5 10 15 20 25 30 35

δ 変位(mm)

P(kN)

破壊

b1

σ=40N/mm2 bi

σ=80N/mm2

ひずみゲージ

(4)

また、本実験結果に文献

4)

の筆者らの実験 結果を含めたものを図6に示す。この際の寸法 効果係数も同程度の約0.12であった。試験体 の容積が大きくなると、曲げ耐力が小さくな る傾向を示している。

5.まとめ

本実験より以下のことが明らかになった。

1)試験体寸法が大きくなると節などの構造 的欠陥が大きくなるため、最大耐力および 変形性能が小さくなる。

2)米松の試験体断面が50×100の試験体の試 験結果を基準とし、本実験で求めた米松の 寸法効果係数 k の値は0.12であった。なお、

既往の研究を含めまとめた米松の寸法効果 係数 k は本実験結果の値と同じ値を示し、ま た、相関関係はより強くなった。

3)文献

5)

で用いられている木材の力学的性 質の値は、50mm×100mmと同程度の比較的小 さい断面寸法を持つ実験データを用いてい る。

参考文献

1)増田稔 大河平行雄:木材の曲げにおける寸 法効果 三重大学農学部学術報告 No.71 1985年12月 PP.61〜69

2)鈴木直之:木材強度の寸法効果 木材工学 Vol.52 No.6 1997年

3)杉田和直,大野生二:木材の縦圧縮試験にお ける寸法効果、日本建築学会大会学術講演 梗概集 2006年9月 PP.1007〜 1008 4) 阿部正慶、杉田和直、大野生二:木材の曲

げ強度試験に於ける寸法効果 日本建築学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 2007 年 9 月 PP.1053〜1054

5)島津孝之 他5名:建築材料 第3版, 森北出 版 PP.27

図5 最弱リンク理論 P/2 P/2

50-100-1

220-240-1 80-160-1

80-160-2

50-100-2

195-390-1 195-390-2

220-440-2 240-480-1 40-80-1

40-80-2

120-240-1

120-240-2

y = -0.1247x + 1.9028 R 2 = 0.6052

1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2

-0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5

logvi/v1

lobi

容積比と曲げ強度の関係 既往の容積比と曲げ強度の関係

図6 容積比と曲げ強度の関係

参照

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