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第65巻 第4号,2006(525) 525

子どもに食文化を根づかせよう

飯沼一宇(石巻赤+字病院院長・東北大学名誉教授)

 最近は日本は便利になり,食生活に苦労しなくなった。デパート,スーパーマーケットやコンビニ エンスストアに行けば,すでに料理された惣菜が並んでいる。一人暮らしに重宝なのは間違いない。

しかしどれをとっても味はほぼ同じである。共働き家庭が多く,料理をしない家庭が多くなっている と聞く。そうなると,デパートやスーパーの味で育っている子どもたちが増えているのではないかと 容易に想像される。

 ましてや,マクドナルドに代表されるようなアメリカ生まれのファーストフードが世界を席巻し,

多くの人がその味に慣らされている。

 翻って,フランス料理や中華料理と並んで,日本料理は世界に誇る味をもっていると思うのだが,

いま日本の味が守られているだろうか。私の個人的好みもあるので,誤解を招くかもしれないが,い っからか,日本の既成の料理は何もかもが「甘み」が「旨み」と同義になってしまっているようだ。

ちょうどテレビで料理番組が始まったころ,料理研究家なる人が,いつも味付けに「ここで,お砂糖 を少々」と言って,どっさりと砂糖を加えて料理を作っているのが染み付いてしまってるのだと思う。

砂糖を加えず,あるいはごく少量にして,本来の味を引き立たせる料理はできないのだろうか。料理 の腕に自信のある方々は,この私の挑発に乗ってみてほしい。

 子どもの虫歯が多いのは砂糖のせいであるのは明白であるが,そんな理由よりも,本物の味を子ど ものころから教えることが,将来の日本のアイデンティティを築くうえで大切なのではないかと思う。

 そのためには,家庭料理こそ基本である。ファーストフードや既成の惣菜に頼らず,それぞれの家 庭の味を創り,子どもに伝えていってほしいと願う。

響、霧灘 鍵

灘1

スーパーマーケットに並ぶ出来合いのお総菜

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