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H29市川研-五十嵐final2

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Academic year: 2022

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(1)

1718 Pre-filtered 3 次元バイラテラルフィルタによる

CT 画像のノイズ低減

五十嵐 洸太

(指導教員:市川 勝弘 教授 , 川嶋 広貴 助教)

要旨

画像ベースのノイズ低減技術として開発した pre-filtered 3 次元バイラテラルフィルタ (3DBLPF)に つ い て , フ ァ ン ト ム 実 験 に よ り モ デ ル ベ ー ス 逐 次 近 似 再 構 成 法 (model-based iterative reconstruction: MBIR)とノイズ低減性能を比較した.20 cm径の 水ファントム内に3 cm径の軟部組織等価物質ロッド(60 HU)を固定し,GE社のCT装 置であるDiscovery CT750 HDにて,2.5 mGyのCTDIvolにて撮影した.filtered back projection (FBP)のスライス厚:0.625 mmの画像に対して,3DBLPFを適用した.GE社 のMBIRであるVeoにて同様の画像を再構成した.ファントムの水部よりnoise power spectrum (NPS)を,ロッドから円形エッジ法によりタスクベースの modulation transfer function (MTF)を測定した.またロッドのエッジ面からスライス感度分布 (section sensitivity profile: SSP)を 測 定 し た .MTF(u)2/NPS(u)か ら 算 出 で き る system performance(SP)関数にSSPの変化を考慮して補正したcorrected SP(u) [cSP(u)]を比 較した.0.1 cycles/mmにおける3DBLPFのcSP(u)はFBPの3.55倍となり,Veoに顕著 に勝った.開発した3DBLPFは,MBIRと同等以上の画質であり,優れた被ばく低減効 果が示唆された.

Ⅰ.緒言

ノイズ低減を目的として開発された逐次近似再構成法(iterative reconstruction: IR)が臨床的に使用され るようになった.ノイズは線量に依存するため,ノイズ低減をすることで被ばく低減が実現できる.しかし,

IR は装置専用のソフトウェアまたはハードウェアによって実現されるため,旧装置やIR のオプションを導 入しなかった装置では使用することができない.そこで,画像ベースのノイズフィルタリング技術を CT 画 像に応用することができれば,全ての装置および検査で利用することができるため有用である.

画像ベースのノイズフィルタリング技術としてバイラテラルフィルタが知られている.バイラテラルフィルタ は,一般写真では効果的だが,CT画像ではスパイク状のノイズが残り,不自然なノイズテクスチャになると いった問題があった.そのためか,バイラテラルフィルタをCT画像に用いた研究はされていない[1] [2].

そこで,本研究では,前処理としてローパスフィルタリング(pre-filtering)を施したボリュームデータをコン トラストの計算に用いる改良型3次元バイラテラルフィルタ(3DBLPF)を考案し,そのノイズ低減性能を既存 のモデルベース逐次近似再構成法(model based iterative reconstruction: MBIR)と比較した.

Ⅱ.方法

1) ファントム及び撮影条件と比較対象

面内の解像度とノイズ特性を測定するために,20 cm径の水ファントム内に直径3 cmの軟部組織等価 物質ロッド(60 HU)を固定した.また,体軸方向の解像度を測定するために,水ファントム内に直径 7 cm

(2)

の軟部組織等価物質ロッド(60 HU)を固定し,約2 °傾けた.これらにより,コントラストが60HUの対象に対 する面内と体軸方向のタスクベースの画質評価を行なった.

GE Healthcare社の64列マルチスライスCT装置,Discovery CT750 HDを用いてそれぞれのファント ムを撮影し,filtered back projection (FBP)画像を取得した.管電圧は120 kV,CTDIvolは2.5 mGy,設定 スライス厚は0.625 mmとし,ヘリカルスキャンで撮像した.

GE Healthcare 社のMBIRであるVeoを比較対象とした.

2) 提案手法

3 次元バイラテラルフィルタは(1)式を用いて処理され,開発した 3DBLPFはローパスフィルタリング (pre-filtering)を施したデータ f'(i,j,k)をコントラストの計算のみに利用した.さらに,pre-filter のボケの影響 を処理後の画像になるべく反映させないよう,pre-filterとバイラテラルフィルタの方向を互いに直交する手 法を考案した.その1つは,xy面(スライス面)にpre-filterをかけ,3×3×7のz方向に長いカーネルを用 いることによりバイラテラルフィルタの処理を z方向主体としたものである.もう 1つは,z 方向にpre-filter をかけ,7×7×3のxy方向に広いカーネルを用いることによりバイラテラルフィルタの処理をxy方向主体と したものである.これらにより,pre-filterのボケの影響を抑え,かつスパイク状ノイズを抑制したフィルタリン グが可能となった.3DBLPFの処理過程は1つ目のxy pre-filterとzバイラテラルフィルタを3回繰り返し,

2つ目のz pre-filterとxyバイラテラルフィルタを2回繰り返した後,ノイズテクスチャを自然にするために

オリジナルの画像を30 %混合した.

……(1)

g(i, j, k):処理画像データ, f (i, j, k):元画像データ, f'(i, j, k):pre-filter処理データ σ1:ガウシアンフィルタの標準偏差,σ2:コントラストによる重み付け計算における標準偏差

3) 解像特性の測定

タスクベースのmodulation transfer function (MTF)であるtask transfer function (TTF)を解像度の指標と して用いた.TTFは軟部組織等価物質ロッドの境界部分から円形エッジ法により測定した.データ解析に おいては,日本CT技術学会により提供されるCT画像計測ソフトウェアである,CTmeasure ver.0.97bを使 用した.

4) 粒状性の測定

粒状性の指標であるnoise power spectrum (NPS)は,ファントムの水部分に256×256のROIを設定し,

測定した.データ解析においては,日本CT技術学会により提供されるCT画像計測ソフトウェアである,

CTmeasure ver.0.97bを使用した.

2 )

)) , , ( ) , , ( exp( ( 2 )

exp(

2 )

)) , , ( ) , , ( exp( ( 2 )

exp(

) , , ( )

, , (

2 2

2 2

1 2 2 2

2 2

2 2

1 2 2 2

σ σ

σ σ

n k m j l i f k j i f n

m l

n k m j l i f k j i f n

m n l

k m j l i f k

j i

g w

w m

w

w n

w

w l w

w n

w

w m

w

w l

+ +

′ +

′ − + −

− +

+ +

′ +

′ − + −

− + +

+ +

=

∑ ∑ ∑

∑ ∑ ∑

= = =

= = =

(3)

5) スライス厚の測定

タスクベースのスライス厚の指標であるtask-based slice sensitivity profile (SSPTASK)は,ロッドと水の境界 面からエッジ法により測定した.データ解析においては,日本 CT 技術学会により提供される CT画像計 測ソフトウェアである,CTmeasure ver.0.97bを使用した.

6) System performance関数の算出

得られたTTFとNPSから(2)式を用いてSystem performance関数を算出できるが[3],本研究では比較 対象のスライス厚が異なるため,(3)式を用いてNPSをSSPTASKの曲線下面積(area under the curve: AUC) でスライス厚の違いを補正し,(4)式を用いてcorrected system performance (cSP)を算出した.

……(2)

…(3)

……(4)

Ⅲ.結果

Fig. 1に各再構成法におけるTTFの結果を示す.3DBLPF,VeoのどちらにおいてもFBPに比べて低下

したが,3DBLPFの方が高い値となった.

Fig. 1 TTFの測定結果

) (

) ) (

(

2 2

u NPS

u u TTF

SP =

FBP et T

AUC NPS AUC

u

cNPS ( ) = ×

arg

) (

) ) (

(

2 2

u cNPS

u u TTF

cSP =

(4)

Fig. 2に各再構成法におけるSSPTASKの結果を示す.3DBLPF半値幅はFBPより狭く,Veoと同程度と なったが,裾野がやや広がる傾向を示した.

Fig. 2 SSPTASKの測定結果

Fig. 3に各再構成法におけるcSPの結果を示す.0.1 cycles/mmにおいて,3DBLPFの値はFBPの約 3.55倍となり,Veoの値はFBPの約2.69 倍となった.

Fig. 3 cSPの測定結果

Fig. 4にFBP,3DBLPF,Veoのロッド画像(axial画像)を示す.ロッド画像の周辺を見ると,3DBLPFのエッ ジ保存性能は Veo と比べて高く,ノイズテクスチャはより自然で,かつ,Veo より低ノイズであることがわか る.

(5)

(a) (b) (c) Fig. 4 ロッドのaxial画像. (a)FBP,(b)3DBLPF,(c)Veo

Fig. 5にFBP,3DBLPF,Veoのロッドのcoronal方向のmulti-planar reconstruction (MPR)画像を示す.

3DBLPFはVeoと比較して低ノイズでロッドの境界面がより明瞭となった.

(a) (b) (c) Fig. 5 ロッドのcoronal MPR画像. (a)FBP,(b)3DBLPF,(c)Veo

Fig. 6にFBP,3DBLPF,Veoのロッドのsagittal MPR画像を示す.SSPTASKの結果と同じく,3DBLPFは Veoにやや劣る結果となった.

(a) (b) (c)

Fig. 6 ロッドのsagittal MPR画像. (a)FBP,(b)3DBLPF,(c)Veo

(6)

Ⅳ.考察

血管内のプラークや血栓などは臨床的所見として重要でありながら,細かい対象であるために解像度が 必要とされ,その CT 値コントラストは60HU 程度である[4].従って,本研究では,この中間的コントラスト である60 HUにおけるタスクベース評価を行った. 3DBLPFのTTFはFBPからやや低下し,Veoより高 い値になった.これによりは,Veoより高いエッジ保存性能が示された.スライス面のpre-filterに対して,z 方向主体のバイラテラルフィルタを適用してpre-filterのボケの伝搬を抑制した効果が高いTTFに反映さ れた.Veo は大きくノイズを低減することが可能であったが,ノイズテクスチャの変化が視覚的に確認され た.これに対して,我々の開発した 3DBLPFは FBP に近いノイズテクスチャとすることが可能であった.

SSPTASKを考慮したcSP2(u)はFBPに比べて0.1 cycles/mmにおいてVeoは2.69倍,3DBLPFは3.55倍 となり,それ以上の空間周波数においても同様の結果となった.よって理論的には,3DBLPFは FBP の 1/3.55の線量,つまり約30 %の線量でもFBPと同等の画質を得ることができる.Fig. 4で示したようにaxial 断面で見た面内の解像度は,Fig. 1に対応して3DBLPFはVeoより良好であった.また,Fig. 6のsagittal 画像では,Fig.3のSSPTASKの結果を反映して,体軸方向の解像度はVeoがやや優れていた.また,Veo では1回の撮影で得たボリュームデータに対して30 分の処理時間を有するのに対し,3DBLPFでは100 枚の画像を約1 分間で処理でき,処理時間を大幅に短縮することができる.

Ⅴ.結語

CTにおけるバイラテラルフィルタの問題点を改善するpre-filtered 3次元バイラテラルフィルタを考案し た.60 HUのタスクベース評価において,FBPの約3.5倍のsystem performance となり,既存のMBIR(約 2.7 倍)より高い性能を示した.Pre-filtered 3 次元バイラテラルフィルタの優れたノイズ低減性能により約 70 %の被ばく低減が可能となることが示唆された.

Ⅵ.謝辞

本研究にあたり,ご指導くださいました市川勝弘教授,川嶋広貴助教,並びにご協力いただいた市川 研究室,福井大学医学部附属病院放射線部の方々に深く感謝申し上げます.

Ⅶ.参考文献

[1] Manduca A, et al. Med Phys. 2009 Nov;36(11):4911-9

[2] Allner S, et al. Phys Med Biol. 2016 May 21;61(10):3867-56.

[3] E. Samei and S. Richard, Med. Phys. 42 (1), 2015 [4] Urikura A, et al. Phys Med 32 (8), 992-998. 2016

Fig. 2 に各再構成法における SSP TASK の結果を示す.3DBL PF 半値幅は FBP より狭く,Veo と同程度と なったが,裾野がやや広がる傾向を示した.  Fig
Fig. 6  ロッドの sagittal MPR 画像.  (a)FBP,(b)3DBL PF ,(c)Veo

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