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植物病原細菌の分類・同定

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Academic year: 2021

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Title

植物病原細菌の分類・同定( 内容の要旨 )

Author(s)

楠元, 智子

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第386号

Issue Date

2005-09-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/3083

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本個)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 会 楠 元 (愛媛県) 博士(農学) 農博甲第386号 平成17年9月14日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物環境科学専攻 静岡大学 植物病原細菌の分類・同定 主査 静岡大学 教 授 副査 静岡大学 教 授 副査 岐阜大学 副査 信州大学 助教授 一二 朗 り ヽ■ 雄 慎 満 ゆ 川 無 町 我 瀧 露 百 久 論 文 の の 要 旨 本学位論文は、植物病原細菌の多様性と系統進化について、特にβ-Proteobacteriaに属 する細菌を中心に、新たな病害発生にともなう 3種の病原の同定と4種の植物病原細菌 の分類学的付帯づけの検討を行い、その結果得られた数多くの新知見をまとめたもので ある。 1987年頃より福島、栃木、愛媛で発生し問題となっていたイチゴ斑点細菌病では、細 菌学的性状、遺伝子解析、病原性の試験などから、その病原が従来考えられていた 助r肋oJ血rねではなく 助rぬ岬fr肋椚Sp.であることを明らかとした。助rぬ甲fr〟血椚属細 菌によるイネ科作物以外の病害は、これが初めての報告であった。さらに、本菌によっ て生ずる病徴iま環境条件に左右されることをつきとめた。また、本病原細菌の簡易同定 にカ甲0相同飯域上流に設計されたプライマーHV3F、HV3Rが有効であることを示した。 1996年に同定依頼を受けたスマトラ島におけるバナナの萎凋病害の発生では、その病

原がBlood diseasebacterium (BDB)RaLsloniasp.であることを明らかとした。本薗につ

いては、従来報告されていた16S rDNAの特徴を再確認するとともに、詳細な細菌学的 性状を明らかとした。さらに、BDBがクロラムフェニコールおよびテトラサイクリン耐 性を有し、この性質が選択培地作成に有効であることをつきとめた。 1997年に静岡で発生した新病奮、カンパニュラ青枯柄の病原の同定を行い、世界で初 めて且∫0血相Ceα州別によるキキョウ科(Campanulaceae)の育枯病の発生を確認した。 イネ苗立枯細菌病菌助成払娩血り血痛勅とバンダより分離される且Ⅶ〝劇の分類学 的位置づけ(真岡)について再検討し、両者がほとんどの細菌学的性状が一致し、キノ ン、脂肪酸組成、病原性についても差は見られず、遺伝的にも非常に類似し、DNA-DNA

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相同性では種の境界(70%)以上の相同性を有し、同種と考えられた。しかし、ラムノ ースおよびグリセロールの利用性が異なり、16S rDNAシークエンス解析においても両種 は非常に近縁ながら、別々のクラスターを形成した。さらに16SrDNAおよび16S-23SITS 飯域に、それぞれに特異的なPCRプライマーを設計して両者を識別することに成功した。 ERICおよびREp PCR、βfCのRFLP解析でも、両種は別の.系統であることが示唆され た。これらのことから、β.〆加血相とβ・元服抗は種以下のレベルで区別されることを明 らかとし、両種をそれぞれ亜種としてB.p.subsp.ph7nlarii、B.p.subsp.vandiitすべきこ とを示した。 クロキがん腫細歯痛歯およびイリス類葉枯細歯痛歯の分類学的位置づけの再検討を行っ た。`ァ錐〟do椚0〃β∫町〝岬わcf'として報告されていたクロキがん腫細菌病菌は、主なキノ ンや脂肪酸組成の特徴および細菌学的性状はア∫e〟(わ椚0〝αS属ではなく 助r拗oJゐrね属に 当てはまるものであり、16S rDNAシークエンス解析で助r肋〃J滋rね属に所属する新種と すべきであると考えられた。イリス類葉枯細菌病菌は、助加ゎ椚0乃α∫Cα叩e∫かねpv. 1ardicrescens として同定されていた。しかし、黄色色素はxanthomonadinではなく、脂肪 酸組成の特徴も助乃肋0〝0〃α∫属の特徴と異なっていた。16S rDNAシークエンス解析で .砂J呼鋸血ぷα叩βJ血∫と近縁であることが示され、細菌学的性状も∬α〝甲e加〟∫とよく一 致していた。イリス類葉枯細菌病菌は、助乃血椚乃α∫属ではなく、みJ呼鋸J〟∫Sp.であると 同定された。 さらに、β-Proteobacteria所属の植物病原細菌について16S rDNAシークエンスに基づ く系統解析、カ甲0相同蘭域の系統解析、βCの系統解析の比較を行ったところ、必ずし も一致しないことを明らかにし、力wOの系統関係は、助r肋の血krね属を2つに分け、 Burkhohieria属内よりも属を越えて他のβ-Proteobacteriaの属により近い系統関係を示す グループが存在した。βfCの系統解析では、属ごとのまとまりは明瞭であったが、属単 位で16S rDNAによる系統関係とは異なっていた。特に、Acidovort7XのjliCが同じβ-ProteobacteriaのBurkho肋ria属よりもγ-Proteobacteriaの.払nthomonas属に近いことが示 された。以上のことから、β・Proteobacteriaではゲノム内の多くの遺伝子が、独立の系統 進化を遂げていることが明かとなった。さらに、パルスフィールド(pFOE)を用いて、 β-Proteobacteria所属細菌のゲノム構造解析を試みたところ、調査した5菌株いずれもメ ガサイズのゲノムを複数有する、複合ゲノムであった。β一Proteoacteriaの多くの種がメ ガサイズの複合ゲノム構造を有していることが明らかとなり、このことがβ-Proteoba¢teriaのゲノム構造の特徴の1つであり、このことがゲノム内の多くの遺伝子が 多様であることの一因であると推察した。 以ヒを要するに、本研究ではイチゴ、バナナ、カンパニュラの3種類に発生した病害 の病原体の同定を行い、月初α乎柄肋椚Sp.など新たな病原を確認した。また、,分類学的に 問題のあった助成柚娩血り血兢血と且1昭削桁の関係を明らかにし亜種とすべきこと、 ナカハラクロキこぶ病菌、イリス類葉枯細菌柄菌をそれぞれ血沈血〉んおrねおよび.砂/呼鋸/〟∫ の新種であることを明らかにした。また、β・prOteOba¢teriaの多くの植物病原細菌の遺伝 子系統解析をおこない、ルC遺伝子や炉〆)遺伝子が16SrDNAとは異なった系統進化を 遂げたことを明らかにし、その原因の一端が複合ゲノム構造にあることを明かにするな ど、植物病原細菌の分類同定に関する数多くの新知見が得られた。

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審 査 結 果 の 要 旨 本学位論文は、植物病原細菌の多様性と系統進化について、特にβ-Proteob誠tedaに 属する細菌を中心に、新たな病害発生にともなう3種の病原の同定と4種の椿物病原細 菌の分類学的位置づけの検討を行い、その結果得られた数多くの新知見をまとめたもの である。 1粥7年頃より福島、栃木、愛媛で発生し問題となっていたイチゴ斑点細菌病では、細 菌学的性状、遺伝子解析、病原性の試験などから、その病原が従来考えられていた 伽J助0伽ではなく肋α甲擁仙川Sp.であることを明らかとし、イネ科作物以外で初 めて肋甲加肋仰属細菌による病害の存在を示した。さらに本菌によって生ずる病徴 は環境条件に左右されることをつきとめた。また本病原細菌の特異的検出プライマーを 作成することに成功した。 1996年に同定依頼を受けたスマトラ島におけるバナナの萎凋病害の発生では、その病 原がBlooddiseasebacterium(BDB)助Lstoniasp.であることを明らかとした。本菌た ついては、従来報告きれていた16S d刀ヾAの特徴を再確認するとともに、詳細な細菌学 的性状を明らかとした。さらに、BDBがクロラムフェニコールおよびテトラサイクリン 耐性を有し、この性質が選択培地作成に有効であることをつきとめた。 1997年に静岡で発生した新病害、カンパニュラ青枯病の病原の同定を行い、世界で初 めてR.soh7naCeanmによるキキョウ科(Campanulaceae)の青枯病の発生を確認した。 イネ苗立枯細菌病菌助r肋0肋血〆α乃ねrffとバンダより分離される且vα〝d∫fの分類学 的位置づけ(異同)について再検討し、両者はほとんどの細菌学的性状が一致し、キノ ン、脂肪酸組成、病原性についても差は見られず、遺伝的にも非常に類似し、 DNA_DNA相同性では種の境界(70%)以上の相同性を有し、同種と考えられたが、ラ ムノースおよびグリセロールの利用性が異なり、16SrDNAシークエンス解析において 独立クラスターを形成した。さらに16SrDNAおよび16S-23SITS鏡域に、それぞれに 特異的なPCRプライマーを設計することに成功した。ERICおよびREP PCR、βCの RFLP解析でも、両種は別の系統であることが示唆された。これらのことから、且 〆飢血相と且Ⅴ射通封ま種以下のレベルで区別されることを明らかとし、両種をそれぞれ 亜種としてB.p.subsp.pZantarii.B.p.subsp.vandiiとすべきことを明らかとした。 クロキがん腫細菌病菌およびイ・リス類葉枯細菌病菌の分類学的位置づけの再検討を 行った。`乃e以ゐmo朋∫乎叩Pわc王,として報告されていたクロキがん腫細菌病菌は、主 なキノンや脂肪酸組成の特徴および細菌学的性状は脅e〟ゐ椚0那∫属ではなく β〟血0揖erfα属に当て・はまるものであり、16SrDNAシークエンス解析でβ〟r肋0〟erね属 `に所属する新種とすべきであると考えられた。イリス類葉枯細菌病菌は、助〝妨0∽0那∫ cα叩e∫かねpv・甲rdkre∫Ce〝∫として同定されていたが、黄色色素はⅩan血omonadinではな く、脂肪酸組成の特徴も助nthomonas属の特徴と異なっていた。16S rDNAシークエン ス解析でJ秒J甲九肋∫属と近縁であることが示され∴秒物心加sp.であると同定された。 さらに、β-Proteobacteria所属の植物病原細菌について16SrDNAシークエンスに基 づく系統解析、血pO相同領域の系統解析、βCの系統解析の比較を行ったところ■、必 ずしも一致しないことを明らかにし、鳥甲0の系統関係は、助r肋0昆k血属を2つに分 け、BurkhoZderia属内よりも属を越えて他のβ-Proteobacteriaの属により近い系統関係 を示すグループが存在した。βfCの系統解析では、属ごとのまとまりは明瞭であった が、属単位で16SrDNAによる系統関係とは異なっていた。特に、dc肋vor此のβCが 同じβ-ProteobacteriaのBurkholdeT・ia属よりもγ-ProteobacteriaのXbnthomonas属に近い ことが示された。以上のことから、β-Proteobacteriaではゲノム内の多くの遺伝子が、 独立の系統進化を遂げていることが明かとなった。さらに、パルスフィールド (PFGE)を用いて、β-Proteobacteria所属細菌のゲノム構造解析を試みたところ、調査

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した5菌株いずれもメガサイズのゲノムを複数有する、複合ゲノムであった。β _Proteoacteriaの多くの種がメガサイズの複合ゲノム構造を有していることが明らかと なり、この羊とがβ一Proteobacteriaのゲノム構造の特徴の1つであり、このことがゲノ ム内の多くの遺伝子が多様であることの一因であると推察した。 以上の内容について審査した結果,学術上も応用上も極めて有意義な成果が得られ ていると判断され,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学 位論文として十分価値あるものと認めた. 基礎となる学術論文 Kusumoto,S.,Titik,N.A.,Mu5im,S.,Ginting,C.,Tsuge,T・,Tsuyumu,S・andTakikawa, Y.(2004).OccurrenceofBloodDiseaseofBananainSumatra,Indonesia・J・Gen・Plant Patbol.70:.45-49. Kusumoto,S.andTakikawa,Y.(2005).Bacterialwiltofbe11flowercausedbyRalston SOlanacearuminJapan.J.Gen.PlantPathol.71:158-159.

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