Title
中国における組織化による農業経営の発展方式に関する研
究−河南省・黒竜江省を対象として−( 内容と審査の要旨
(Summary) )
Author(s)
李, 凱
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第593号
Issue Date
2013-03-13
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/47976
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 会 李 凱 (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第593号 平成25年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 岐阜大学 中国における組織化による農業経営の発展方式に 関する研究 一河南省・黒竜江省を対象として一 主査 岐阜大学 教 授 '荒 幡 克 己 副査 岐阜大学 教 授 荒 井 聡 副査 静岡大学 准教授 柴 垣 裕 司 論 文 の 内 容 の 要 旨 中国では農家の規模が一戸当たり61a と小さく、農業経営の組織化レベルも低い。小規 模かつ単一な農業経営では、農業近代化も制限され、また農業所得増加も限界がある。こ の零細な農業経営を組織化し、近代的経営へと発展させるかは、中国農業の最も重要な課 題である。 中国における農業経営の組織化は、1980年代に「家庭連産請負責任制」が確立してから、 三つの発展段階を経てきた。第一段階は、農村請負制が確立してくる1980年代中期から 1990 年代中期までの「専業技術協会」によるもので、技術指導、情報の提供が中心内容で ある。第二段階は1990年代後期から2006年までの、中国政府による農業産業化政策のも とでの「竜頭企業」による上からの組織化である。これと並行し、農民専業協会や専業合 作社などにより農民の市場経′済への参画が促進された。■そして第三段階は2006年以降であ り、「農民専業合作社」法による法人格を得た農民組織による農業経営の組織化が進めら 一れている。 また、こうした農業経営の組織化に先立ち、中央人民政府は1949年から大規模国営農場 の建設を本格的に実施し始めた。大規模国営農場の経営規模は大きく、合理的・効率的な 輪作体系を実施し、農業経営を近代化してきている。以上により、中国の農業経営観純化 方式は、「専業技術協会」型、「竜頭企業」型、「農民専業合作社」型、「大規模農場」 型の4つに分類できる。 本研究では、中国農業経営の四つの組織化形態につい■て、河南省(竜頭企業型、専業技 術均会型、農民専業合作社型)と黒竜江省(大規模農場型)を対象として、それぞれのタ イプごとり実証研究を踏まえて、これらの組織が地域の農業経営の発展にどのような役割 を果たしているかを明らかにした。また、地域類型毎に農業発展に最も適応的な農業経営 の組織化方式を定式化した。もって政府の今後の農業経営政策の展開に際し、画一的なも のではなく、それぞれの地域の特徴に応じた組織化方策を実行すべきことを明確化した。
-32-4つの組織化類型毎に以下の点を明らかにした。 第1に、政府の竜頭企業政策の推進により、河南省では野菜作の農業近代化が進んでお り、A企業を事例として集団農地での高効率・高品質生産構造と出荷システムについて明 確化した。しかし関連農家の経営耕地面積は減少し、農業経営の自立性は失われる構造を 同時に明確化した。この竜頭企業のような農業経営組織では、小規模農業経営の全面的な 展開にはつながらず、輸出型産地など限定された地域で有効であることを明らかにした。 第2に、河南省「Bニラ栽培協会」のような農民専業協会により、農家の栽培技術は統 一され、農業経営者としての資質が高まっていることを明確化した。農家の主体的な組織 活動の成果として評価される。協会への加入資格に制限もなく、より多くの農家の組織化 に有効である。しか「専業協会」では、L共同販売までの取り組みがなく、有利販売が実現 していない。「協同販売」の前提として、産地における栽培技術の向上と農民経営間の平 準化の必要性を指摘した。 第3に、農民専業合作社の設立により、農産物の協同販売で有利販売が実現し、農業所 得は増加し、農民経営の自立性も高まっていることを明らかにした。法人格を有した農民 専業合作社で共同販売が可能になり、小規模農業経営の組織的発展には一般的に有効であ ることを明らかにした。しかし、ほとんどの合作社には、加入資格が設けられ、資金力の ない一般農家の加入が制限されており、農業経営の組織化の発展方式としての限界も同時 に指摘■した。 第4に、大規模農場型については、高効率に加え、輪作体系、十分な生産資材の投入に より一般農家より高い単収があがり、高収益農業が実現される生産構造を明らかにした。 このような「大規模農場」■型の農業経営組織は、黒竜江省のような耕地面積の多い地域に 適応的である。しかし、高収益生のため耕地請負を希望する社員数は急増し、社員一人当 たり請負面積は減少しており、今後社員間の経済格差の広がりと兼業化の進展する構造を 明確化した。 中国では、人口密度や経済発展の程度が省ごとに大きな特徴があり、農業の立地条件も バラエティーに富む。そのため、今後、政府は農業政策を推進する時に、全ての地域に1 つの農嚢政策を画一的に実行するのではなく、それぞれの地域の特徴に応じて、4つの農 業経営の組俄化方式に沿い、適応的な農業組織化タイプを選択して推進することが重要で あることを示唆した。 審 査 結 果 の 要 旨 中国では鹿家の経営規模が平均61a と小さく、農業経営の組織化レベルも低い。小規 模かつ単一な廃業経営では、膿業近代化も制限され、また農業所得増加にも限界がある。 この零細な農業経営を組織化し、近代的経営へと発展させるかは、中国廃業の最も重要 な課題である。 本研究では、中国農業経営の四つの組織化形態について、河南省(竜頭企業型、専業 技術協会型、儀民専業合作社型)と黒竜江省(大規模旗場型)を対象として、それぞれ のタイプごとの実証研究を踏まえて、これらの組織が地職の根葉経常の発展にどのよう な役割を果たしているかを明らかにした。また、地域類型毎に農業発展に最も適応的な 農業経営の組織化方式を定式化した。もって政府の今後の農業経営政策は、画一的なも のではなく、それぞれの地域農業構造の特徴に応じた組織化方策を展開すべきことを明 確化した。
-33-4つの組織化類型毎に次の点を明らかにしている。