70 (11) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
フジ ク トずル藤 田 徹(昭和32
医学点播 乙第1089号平成2年4月20目
学位規則第5条第2項該当(博上の学位論文提出者)
肝内胆管癌切除例の臨床病理学的検討 (主査)教授 羽生尊上夫 (副査)教授 小幡 裕,橋本 葉子論 文 内 容 の 要 旨
目的 原発性肝癌のうち肝細胞癌の発生頻度は91%を占め るが,肝内胆管癌(cholangiocellular carcinoma以下 CCCと略す)はわずか5%である.当然のことながら CCCの切除例は極めて少なく,諸家の報告をみても切除例は1施設数例以下であり,いまだCCC切除例に
対する詳細な臨床病理学二二:討がなされていない.本 研究は27例という比較的多数のCCC切除例を対象と し,その癌進展様式を臨床病理学的に解明し,CCC治 療成績の向上に資することを目的とした, 対象および方法 1978年1月から1988年7月までに教室で経験した肝 嚢胞状腺癌を除く肝内胆管癌切除例27例を対象とし, 原発性肝癌取扱い規約に準じ,さらに胆道癌取扱い規 約を参照し臨床病理学的に検討した. 1)検討項目は主症状,併存疾患,腫瘍マーカー,手 術術式,腫瘍肉眼型,腫瘍径,組織型,リンパ節転移, リンパ管・血管・神経周囲侵襲,進行度,治癒度,遠 隔成績,再発形式とした. 2)主占居部位別に,肝内胆管中枢型(肝内第1次分 岐より肝内第2次分岐近傍までに冠座を有するもの:、 中枢型)と,肝内胆管末梢型(肝内第2次分岐近傍よ り末梢に主座を有するもの:末梢型)に分類し,その 各論別に各項目についてGeneralised Wilcoxon検定により有意差を検定した.また生存率はKaplan-
Meier法により算出した. 結果 1)切除例27例中閉塞性黄疸は12例(44%),肝内結 石併存は6例(22%)に認めた.CA19-9陽性率は86% と高率であった.手術術式は全例肝切除が施行され, 二死は27例中1例(3.7%)であった.腫瘍肉眼型は胆 管型11例,塊状型14例であった.腫瘍最大径は数mm から17cmで平均5.1±4.Ocm(mean±S.D.)であった. 組織型は,高・中分化型管状腺癌(15例,56%)と乳 頭状腺癌(7例,2q%)が大半を占めた.リンパ節転 移率は60%と高率であり,そのうち第3群以上リンパ 節転移が半数以上であった.リンパ管・静脈侵襲,神 経周囲侵襲陽性率はすべて70%以上で高率であった. 進行度はstage III, IVの高度進行例が74%を占めた. 治癒切除率は26%で,絶対非治癒因子は肝切離二二遺 残が多かった.遠隔成績は黄疸の有無,腫瘍径の大小, リンパ節転移の有無,治癒度に相関がみられた.特に 治癒度別では,相対非治癒切除以上は絶対非治癒切除 に比べ生存率が有意に高率であった.再発形式は腹膜 播種が71%と高率であった. 2)主占居部位別では中枢型は13例,末梢型は14例で あった.この各型別にみると,中枢型は末梢型に比べ 閉塞性黄疸が多く,肝門部剥離面癌陽性率が高かった. 一方,併存疾患,腫瘍マーカー,手術術式,腫瘍肉眼 型,腫瘍径,組織型,リンパ節転移,リンパ管・血管・ 神経周囲侵襲,進行度,治癒度,遠隔成績,再発形式 に関しては各型別に右意差はなかった. 考察ならびに結論 1)CCCのリンパ節転移率は60%と高率であるのが 特徴的であった.また相対非治癒切除以上は絶対非治 癒切除に比べ生存率が有意に高率であり,絶対非治癒 一680一71 切除因子は肝切離面癌遺残が多かった。 2)中枢型は末梢型に比べ肝切離面の1因子である 肝門部剥離面癌陽性率が高率であらた, 以上臨床病理学的検討により,広範囲のリンパ節郭 清,相対非治癒切除以上の手術,中枢型では肝門部剥 離面癌遺残をなくす努力が外科治療上必要であると思 われた.