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高分化型(Edmondson I型)肝細胞癌の病態の検討

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原 著 〔東女医大誌 第61巻 第5号頁423∼429平成3年5月〕

高分化型(Edmondson I型)肝細胞癌の病態の検討

東京女子医科大学 消化器内科学教室(主任:小幡 裕教授) サイ トウ ァキ コ

斎 藤 明 子

(受付 平成3年1月19日)

Clinico・Pathological Study of Well・Di丘erentiated Hepatoce皿ular Carcinoma Akiko SA豆TO

Department of Gastroenterology(Head:Prof. Hiroshi OBATA)

Tokyo Women’s Medical College

Seventy−three main nodules of resected hepatocellular carcinoma(HCC)less than 2 cm in

diameter were pathologically and clinicaily analyzed。 Based on pathologicaLfindings, nodules were

divided into 3 types. Type 1:wen・differentiated HCC(Edmondson I). Type 2:well−differentiated HCC

with islets of less−differentiated HCC(Edmondson II∼rV). Type 3:mainly composed of less・

differentiated HCC with peripheral areas of we11−differentiated HCC. Type l nodules were smallest, with types 2 and 3 gradually increas三ng in size, respectively. Each type showed characteristic findings

on pathological and clinical study. Type l nodules, initially shown as negatively enhanced, were resected after follow−up angioechography which revealed the development of positively enhanced

areas, and were patho董ogically confirmed to be type 20r 3. These results suggest the progression of early stage HCC from type l to type 3.

緒 言 近年画像診断の進歩に伴って小さな肝腫瘍に対 する肝切除例が増加し,臨床的にもまた病理学的 にも,肝細胞癌の初期像に関する検討が可能と なってきた.中でも高分化型肝細胞癌の存在が注 目され,結節内に部分的にでも高分化型を含むも のは原発巣であると考えられるようになってい る.そしてそのような結節と初期癌との関わりが いろいろな面から検討されつつある.しかし,一 口に高分化型肝癌と言っても様々な形態を示す. すなわち,大部分が高分化であるもの,あるいは 部分的であるものなどあり,臨床上これらを区別 して取り扱うべきであろう考えられる.そこで今 回,高分化型(Edmondson I型)肝細胞癌の病型 およびその特徴について,病理所見,臨床像,画 像診断と広い方面からの検討を行った. 対象症例 1982年4月から1989年3月までに切除された長 径2cm以下の65例の肝細胞癌のうち,結節内に Edmondson I型の部分が存在する主腫瘍73病巣 を検討対象とした.なお2個以上の病巣を有する 症例では最大のものを主腫瘍とした.従って,同 じ大きさの2個の腫瘍が存在するものは,ともに 主腫瘍とした.単発40例61.5%,多発25例38.5% である.腫瘍径の内訳は0.6∼1.Ocm 13病巣, 1.1∼1.5cm 21病巣,1.6∼2.Ocm 39病巣,最小は 0.6×0.6cmである. 検討方法 73病巣を病理組織学的所見に従い病巣内のEd− mondson I型の占める割合によって3つの病型 (Type)に分け,各病型での病理肉眼所見,各種画 像診断法の所見について比較検討した.また,経 過追求例における検討も行った.

(2)

病理組織学的な異型度分類はEdmondson and Steinerの分類1)に準じ,奥平ら2)の検討に沿って 行った.ただし,Edmondson I型については,細 胞密度の増加,核胞体比の増大,核の円形度の低 下,核の配列の乱れ,索状構造の明瞭化などの所 見の他に,結節内に残存する門脈域への異型細胞 の浸潤3)を診断基準のひとつとして加えた. 病型分類は,

Type 1:ほぼEdmondson I型のみの病巣 Type 2:Edmondson I型のなかにIIまたは

III, IV型などが回状に含まれる病巣

Type 3:Edmondson IIまたはIII, IV型から

なり,辺縁の一部にEdmondson I型が圧排され て認められる病巣 とした.各病型の病巣数は,Type 119病巣, Type 215病巣,Type 339病巣である. 1.病理学的検討 新鮮切除標本の病巣割面で,腫瘍径,色調,隆 起形態,境界部の状態を観察した. 2.各種画像診断法による検討 1)描出率の比較 通常行われている超音波検査,CT,血管造影の

3者による描出率を比較した.超音波検査は

3.5∼3.75MHzの馬鐸子を用いた体外走査, CT は単純,造影(急速静注法),dynamic CTを行っ た診断率,血管造影は可及的に超選択的造影法を 行いフィルム上のsubtruction法も加えた診断率 である. 2)超音波像 通常の超音波検査所見で肝細胞癌の質的診断に 際しての特徴所見とされている辺縁低エコー帯, モザイクパターン,外側陰影,後方エコー増強の 出現頻度を各階で比較した. 3)アンジオエコー像 アシジオエコー法には動脈および門脈アソジオ エコーがあるが,今回は動脈アンジオエコーのみ で検討した.方法は血管造影後のカテーテルから または術中固有肝動脈穿刺により少量の炭酸ガス を直接注入し,エンハンスされた超音波像の推移 を経時的に観察するものであり,詳細はすでに報 告した4).アンジ嘱目コーのパターンはpositive

enhancement(PE), negative enhancement

(NE), non enhancement(Non E)の3つに分 けている. 対象例中,41病巣に動脈アンジオエコーが施行 された.内訳は,Type 116病巣, Type 213病巣, Type 327病巣であり,各々のエン・・ンス像のパ ターンを検討した. 3.経過観察例の検討 病巣発見時に勢多がつかず経過観察の後切除さ れた肝細胞癌10病巣について,超音波像の平均径 から球としての体積を算出し,経時的推移をみた. またアソジ千歯コー像の変化も観察した.対象結 節はType 12病巣, Type 21病巣, Type 37 病巣である. なお有意差検定には,t検定,カイニ乗検定,尤 度比検定(p<0.05を有意)を用い,Table 1,4は 独立性の検定の後規準化残差(3以上を有意)を 求めた. 成績および結果 1.病理学的検討(新鮮標本肉眼所見) 1)腫瘍径 病巣の最:大割面における長径を計測し,各病型 の平均腫瘍径(長径)を算出すると,Type 11.4± 0.5cm, Type 21.5±0.4cm, Type 31.6±0.3 cmであった.また各群の中の1cm以下の病巣は

Type 17病巣(36.8%), Type 24病巣

(26.7%),Type 33病巣(7.7%)であった(Fig. 1). Type 1はType 3に比べて1cm以下の病巣の占

める割合が多く,Type 1→Type 2→Type 3の1「贋 に腫瘍径が大きくなる傾向であった. 2)色調 病巣割面の色調は,非腫瘍部と同等ないしゃや 濃い均一な褐色を示すものと,黄褐色を示すもの があり,その他黄色や緑色調,白色調のものが混 在した.Type 1では褐色病巣が14病巣(73.7%) と多くを占め,Type 2は褐色病巣の中に異なる色 調が島状に含まれるものが10病巣(66。7%),Type 3は黄褐色が22病巣(56.4%)であった(Table 1). Edmondson I型の部分は周囲の非腫瘍部分と 同じような褐色調であるため境界が不明瞭である

(3)

Table l Macroscopic observation of freshly resected specilnen

Color Elevation type Tumormargin Brown Yellow・brown Other

Indistinct Distinct Type 1 14象 1 4 5* 12 2 14宰 5 n=19 (73.7) (5.3) (21,2) (26.3) (63.2) (10.5) (73.3) (26.3) ext. 10 0 5 Type 2 (66.7) (0.0) (33.3) 1 8 6 10 5 n=15 int. 2 7 6 (6。7) (53.3) (40.0) (66.7) (33.3) (13.3) (46.7) (40.0) Type 3 6 22掌 11 0 13 26* 1 38宰 n=39 (15.4) (56.4) (28.2) (0.0) (33.3) (66.7) (2.6) (97.3) (%) 寧:pく0.001

ext,:external compornent(Edmondson I)

int. l internal compornent(Edmondson II∼IV)

0 0.5 1.0 2.0(cm) Type l 氏≠P9 〃 ンean糞SD ●1.4ま0.5c皿 ●● ●嬬 ● ● ● ● ●D ●● ●● ●● Type 2 氏≠P5 L5士0.4c皿 ● ● ●● ● ● ● ●● む Type 3 氏≠R9 1.6士0.3cm ● ● ●●

88蹴弔3嬬48む

8: p〈0.05

Fig.1 Size of nodule in each type of HCC

が,Edmondson II型以上では黄褐色が多く緑褐 色あるいは白色調もみられ,Edmondson I型領域 とは明らかに異なり,肉眼的にも弱吟の判断が可 能であった. 3)隆起形態 病巣割面での隆起の状態は,腫瘍部が隆起しな い平坦型,軽度の隆起を示す板状隆起型,半球状 に膨隆する半球状隆起型の3つに分けられた. Type 1では平坦型が5病巣(26.3%),板状隆起型 が12病巣(63.2%)と著明な隆起を認めないもの が大多数であった.これに対しType 2では平坦型

は1病巣(6.7%)のみで,板状隆起型8病巣

(53.3%),半球状隆起型6病巣(40.0%),また Type 3では平坦型は認めず,半球状隆起型が26病 巣(66.7%)と有意に多くなり,Type 2∼3になる に従い隆起が明瞭となった(Table 1). 4)非腫瘍部との境界

Type 1では境界不明瞭な結節が14病巣

(73.7%),Type 2でも10病巣(66.7%)と病巣の 境界が明らかでないものが多くを占めたが,Type 3では1病巣を除くすべて(97.4%)が境界明瞭で あった(Table 1). 2.各種画像診断法による検討 1)描出率の比較. Type 1病巣の描出率は超音波検査(US)では 88.9%と他の2者に比べて有意に高いが,CTは 44.4%,血管造影では36.8%と描出不良であった. しかしType 2∼3となるに従って描出率は上昇 し,Type 3ではUS 94.6%, CT 80.6%,血管造 影91.9%と3者に差はなくなった(Table 2). 2)超音波像の特徴(質的診断)

各Typeとも外側陰影所見の出現率が最も低

く,いずれも10%以下であった.辺縁低エコー帯, モザイクパターン,後方エコー増強の3項目につ いてはType 1で10∼24%, Type 2で20∼40%, Type 3で38∼56%であった.4項目のいずれも認

(4)

Table 2 Comparison of detection rate US

CT

Angiography 17/19 i88,9) 8/18 @ (44.4)

k_*■

。_」

Type l sype 2 sype 3 14/15 i93.3) @ L*。。_」 R5/37 i94.6) 9/15 i60.0) Q9/36 i80.6) 7/19 i36.8) P2/15 i80.O) R4/37 i91.9) (%) 零:p<0.001, **:p〈0.01, 零零串:p〈0.05 めなかった病巣は,Type 1では73.7%ありType 3の23.1%より有意に多かった(Table 3). 特にType 1では特徴所見を認めないものが多 く質的診断は困難であった. 3)アンジオエコ一斗 エン・・ンス像のパターンをみると,Type 1では NEが11病巣(68.8%)を占め, Type 2ではNE

の中に島状にPE部分が認められるもの(NE+

PE)が7病巣(60,0%)と多くなり, Type 3は27 病巣すべてPEを示した(Table 4).アンジオエ

コーによりType 1はl NEに, Type 2はNE十PE に,Type 3はPEとして描出されることが多く, 画像による病型診断が可能であった. 3.経過観察例の検討 腫瘍増大は,増大が僅かである水平相(容積の 倍加時間300日以上)と,明らかな増大を示す増大 相(300B以下)に分けられた. Type 1, Type 2 の3病巣はいずれも切除時まで水平相のみであっ た.Type 3のなかで4病巣は水平相から増大相へ 移行し,増大が明らかになった時点で切除された. 3病巣は発見時から増大を示した.水平相の最:長 期間は16ヵ月であった.発見時と術前のアンジオ

エコー怩 比較すると,Type 1ではNon Eまた

はNEのまま変化しておらず, Type 2ではNon E

∼NEからNE十PEへ, Type 3ではNEから

NE+PEまたはPE+NEへという変化がみられ

た(Table 5). 考 案 細小肝癌の切除標本の検討により,肝癌の初期 像,さらに早;期肝癌の概要が序々に明かにされつ つある5)6).特に高分化型肝癌に焦点が当てられて きているが,高分化型肝癌といってもいろいろな 形があり,その病型の違いは病期さらに切除予後 など臨床像にも差がでるものと考えられる,現在 の原発性肝癌取扱い規約において細胞異形度は Edmondson分類に準じて決められており高分化 ’型としての組織学的な:定義はなく,最近では他の 分野と同様に高,中,低,未分化という形へ変更 が検討されている.そこで現状ではわれわれはい わゆるEdmondson I型(Ed−1)を高分化型として 扱うこととした.

Edmondson and StainedこよるGrade分類で

は,Edmondson l型は過形成性変化とほとんど差 がみられないとされている.現在まで小さな肝癌 や高分化型の特徴は種々挙げられてきた7)8)が,良 性と悪性の境はいまひとつ明確ではなかった.最

Table 3 Detection rate of characteristic findings on conventional

ultrasonography

HalO Mosaic 唐?≠р盾Lateral

Posterior echo ?獅?≠獅モ?高?獅 Characteristic undings(一) Type l sype 2 sype 3 3/19 i15.8) R/15 i20.0) Q2/39 i56.4) 2/19 i10.5) U/15 i40.0) P5/39 i38,5) 0/19 i0.0) P/15 i6.7) Q/32 i6.3) 4/17 i23.5) R/14 i21.4) P3/29 i44.8) 14/19 i73.3) V/15 i鷲一(23.1) (%) ホ:p〈0,001

(5)

Table 4 Angioechogram enhanced by direct CO2 gas lnjectlon Non E

NE

NE十PE PE Type l 氏≠P6 3 i18.7) 11* i68.8) 2 i12.5) Type 2 氏≠P3. 3 i20.0) 7*i60.0) 3 i20.0) Type 3 氏≠Q7 27ホ i100.0) (%) 准:p<0,001

Non E:non enhancement NE :negative enhancement PE :positive enhancement 近,中島ら9)は細胞密度が非訟部肝組織の2倍以 上をもって目安としているが,我々は細胞および 構造異型で鑑別が困難な段階の小肝癌結節で,結 節内に残存する門脈域への異型細胞の浸潤(門脈 域浸潤)が認められることを報告した3).この所見 を悪性の根拠のひとつとして異型度の基準を考え てゆくことにより,病理組織学的にEd・1と良性結 節との鑑別に客観性を持たせることができたと考 えている. 一方著者は,アンジオ土コー法を用いることに より高分化型肝癌が特徴的なnegative enhance・ mentとして捉えられ,画像診断が可能であるこ とを報告してきた10)∼12).本法の開発により臨床的 に高分化型肝癌の検討方法が大きく変わった. これらを踏まえて,小肝癌の病型を結節内の Ed−1部分の存在様式に従い,全てが高分化型より なるType 1, Type 1の中に島状にEd−II∼IVの 部分が含まれているType 2,大部分がEd−II∼IV

でありその周囲にわずかにEd−1がみとめられる

Type 3の3型に分けて病理組織,画像診断,臨床 像について検討を行ったものである.そしていく

Table 5 Correlation between pathological findings and doubling tlme and an9三〇echography

Case Follow・up Dodbling Angioechographic

No. period time change

Type 1 1 15Mo. 445D, Non E→Non E 2 10 1,028 NE→NE

Type 2 3 16 687 Non E∼NE→NE十PE

Type 3 4 32 1,431→171 Non E∼NE→PE

5 11 1,320→89 Non E→PE 6 15 708→111 Non E→PE 7 25 564→85 Non E→PE十NE 8 16 296 NE→PE十NE 9 11 192 NE→PE十NE 10 10 180 Non E→PE Mo.:months D.:days

Type 1 Type 2 Type 3

( ’ !”、 、、嚇●一ノ

’ 、 ノ ’幽 、 .’ 馳 、.’

一鞭

Edmondson I Edmondson I+目,lll,lV Edmondson II,豆∬,IV+1 (Ne8ative enhancement) (Nega北ive + pos i t ive) (Positive enhance網ent)

(6)

つかの検討結果を根拠として,Type 1→Type 2 →Type 3というように肝癌が発育してゆくので あろうとの結論を得た(Fig.2).まず腫瘍径につ いてはType 1<Type 3であり,アンジオエコー による経過追求の結果では,径の増大に伴って

Non EあるいはNEからNE+PEあるいはPE

への変化が認められた.また増大傾向の少ない結 節でもパターンの変化は捉えられ,症例数は少な いが,Type 1→Type 2→Type 3の移行が推測さ れた. 病理学的に考えるとType 1が肝癌初期像であ り,2cm程度まではそのままの形で大きくなるこ ともあるが,多くは内部にEd−II∼IVの部分が生 じType 2となり,さらにその部分が増大するに従 いEd−1の部分は辺縁に圧排され僅かに残存する Type 3へと大きさを増して行くものと思われる. これはTsuda, Hirohashiらめ言ういわゆる多段 階発癌13)の一経過を臨床上で捉えたものとも考え られる.Type 1では細胞密度の増加はあるが異型 は軽度であるため周囲肝組織と同じような色調で あり,被膜は無く境界不明瞭で,割面隆起はあっ てもごく軽度である.Type 2, Type 3となり内部 の増殖速度の速いEd−II∼IVが増大すると,腫瘍 の大きさが増すと共に腫瘍内圧が増し周囲に被膜 が生じ境界ははっきりしてくる.色調は内部の部 分はEd−1の部分と明らかに異なり,結節内結節が 認められ,割面隆起も明瞭となるのであろうと思 われた.このような病理所見の特徴と推移をアン ジオエコーを用いることにより画像診断によって 把握することができたと考えている. Edmondson I型肝癌と腺腫様過形成:Ed−1と されているものがはたして本当に悪性腫瘍である のかという点がしぼしぼ問題とされる.Ed−1は細 胞異型,構造異型ともに軽度なきわめて高分化な 肝癌として,細胞密度の増加,核胞体比の増大, 核の円形度の低下,核の配列の乱れ,索状構造の 明瞭化などの所見で総合的に判断するものである が,必ずしも増悪境界領域の診断は容易でないこ とがある.腺腫様過形成との異同が問題となり

atypical adenomatous hyperplasiaという言葉が 使われているのもこのためと考える.そこで前述

したように結節内に存在する門脈域への異型細胞 の浸潤を生物学的悪性所見として捉え,鑑別が困

難な場合の悪性の指標として病理組織診断を行

なってゆくと,われわれの症例の中には少なくと もatypical adenomatous hyperplasiaとされる ような病変は殆ど見あたらないというのが現状で ある.

Nodule in nodule:Popper14)は動物実験で

hyperplastic noduleのなかにmalignant fociを 認めnodule in noduleという表現を用いた.同様 の所見が臨床の分野でも報告されている15)16).一 方我々がType 2としたものは,形はnodule in noduleであるが外側の部分も既に癌であり,非常 に高分化の癌(Ed・1)の中により低分化の癌(Ed−II ・∼hV)を内包している形である.いわゆる過形成 結節ないし腺腫様過形成のなかにEd−II∼IVが 含まれている症例は,今回の切除例の検討では認 められなかった.したがって諸家のいう癌を内包 する腺腫様過形成と,私どものType 2すなわち Ed−1のなかにEd・II∼IVを内包する癌としてい る結節とが,はたして同じであるのかあるいはど こが異なるのか,今後議論を煮つめなければなら ない点と考えている. 結 語 1)2cm以下の肝細胞癌はその病型により,

Type 1:Ed−1のみの結節, Type 2:Ed−1の中に 渾融のII∼IVが含まれる結節, Type 3:Ed−II

∼IVの辺縁にEd−1がみられる結節の3つに分け られた. 2)3つの病勢は病理学的にもまた画像診断に おいてもそれぞれ特徴を持っており臨床的にも区 別して取り扱うことが可能である. 3)臨床画像所見,経過観察および病理組織所見

を考え合わせるとType 1→Type 2→Type 3と

進展すると考えられた. 稿を終えるにあたり,御指導御校閲を賜りました東 京女子医科大学消化器内科小幡 裕教授,消化器外科 高崎 健助教授に心より感謝致します.また小林誠一 郎教授,秋本 伸助教授はじめ超音波検査室,肝臓グ ループの先生方のご協力に厚く御礼申し上げます.

(7)

本稿の要旨は,第31回消化器病学会大会シンポジウ ム“チ化器癌の前癌病変”で発表した.

文 献

1)Edmondson HA, Steiner PE l Primary car− cinoma of the liver. A study of 100 cases among

48900necropsies, Cancer 7:462−503, 1954 2)奥平雅彦,佐々木憲一,中 英夫ほか:組織診断. 総合臨床 26:1338−1344,1977 3)中野雅行,斎藤明子,高崎 健ほか:超高分化型 肝細胞癌の門脈域(グ鞘)浸潤.肝臓31: 218−219, 1990 4)斎藤明子,高崎 健,中川昌之ほか:肝腫瘍の診 断における脈管内炭酸ガス注入アンジオエコー法 の応用.肝胆膵 15:1129−1132,1987 5)神代正道:肝細胞癌の病理.癌と化学療法 16: 11−16, 1989 6)広橋説雄:肝の微小癌とその境界病変の病理.「肝 腫瘍生検と画像」第2巻(谷川久一,神代正道編), ppH2,国際医書出版,東京(1990) 7)中沼安二,杉浦 仁,太田五六:肝細胞癌にみら れるcytoplasmic expression.肝臓22: 266−272, 1981

8)Kondo Y, Kondo F, Wada K et al:Path−

ologic feature of small hepatocellular car−

cinoma. Acta Pathol Jpn 38:11494161,1986 9)中島 収,清松和光,家村昭日郎ほか:肝細胞癌, 癌を内包する過形成結節及び過形成結節における 細胞形態の比較検討.日消病会誌87: 1514−1519, 1990 10)斎藤明子,高橋 健,武藤晴臣ほか:細小肝癌に おけるアンジオエコーの有用性について.第53回 超音波医学会講演論文集 15:79−80,1988 11)斎藤明子,高崎 健,清水 泰ほか:高分化型肝 細胞癌の診断における経動脈および門脈アンジオ エコー法の有用性について,第54回超音波医学会 講演論文集 16:705−706,1989 12)高崎 健,斎藤明子,中川昌之ほか:術中アンジ オエコー法による肝内小転移巣の診断.肝臓 29:917−921, 1988

13)Tsuda H,.Hirobashi S, Shimosato Y et al: Clona互origin of atypical adenomatous hyper− plasia of the liver and clonal identity with

hepatocellular carcinoma. Gastroenterology

95:1664−1666, 1988

14)Popper II: Pathologic aspects of cirrhosis. Am J Pathol 86:228−264,1977

15)桜井幹己,岡村 純,黒田知純:肝細胞の異形成 と結節肥大.肝胆膵 13:7−12,1986

16)Arakawa M, Kage M, Sugihara S et al: Emergence of malignant lesions within an

adenornatous hyperplastic nodule in a cirrhotic

Iiver. Observations in five cases. Gastroenter−

Table l Macroscopic observation of freshly resected specilnen
Table 2 Comparison of detection rate US CT Angiography 17/19 i88,9)          8/18 @       (44.4) k_*■ 。_」Type l sype 2 sype 3 14/15 i93.3) @  L*。。_」 R5/37 i94.6) 9/15 i60.0)Q9/36i80.6) 7/19 i36.8)P2/15i80.O)R4/37i91.9) (%) 零:p<0.001, **:p〈0.01, 零零串:p〈0.05
Table 4 Angioechogram enhanced by direct CO2  gas lnjectlon Non E NE NE十PE PE Type l 氏≠P6  3 i18.7)  11* i68.8)   2 i12.5) Type 2 氏≠P3.  3 i20.0)  7* i60.0)   3 i20.0) Type 3 氏≠Q7  27ホ i100.0) (%) 准:p<0,001 Non E:non enhancement NE  :negative enhancement P

参照

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