186 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(80) ホシ ジユン(昭和34年
博士(医学) 乙第1244号平成4年1月17日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
新生児のエネルギー輸液としてのマルトースの有効性の検討 一安定同位元素13Cを用いた呼気テストによるグルコースとマルトースの利 用率の比較一 (主査)教授 福山 幸彦 (副査)教授 武田 佳彦,浜野 恭一論 文 内 容 の 要 旨
目的 マルトース輸液はグルコース輸液と比べて,等浸透 圧で2倍の糖が補給可能であり,インスリン分泌を介 する血糖の変動も少なく,成人においてはエネルギー 輸液としての有用性が認められている.水分許容能や 耐糖能に制限のある病的新生児にも利用可能であれ ば,マルトースは優れたエネルギー輸液となりうると 考えられる,そこで安定同位元素13Cで標識したグル コースとマルトースを用いて呼気テストを行い,エネ ルギー輸液としてのグルコースとマルトースの利用率 を比較検討した. 対象及び方法 正期産正常分娩のappropriate-for-date児で,敗血 症の疑いがあり,治療目的で持続点滴を施行中であり かつ状態が比較的良好な児7例を対象とした.呼気テ ストは両親に検査内容を説明し,同意書を得てから実 施した. 先ず13Cで標識したグルコース(D-glucose-13C6)2 mg/kgを哺乳直前に静注,投与量,投与後3時間まで 30分毎,6時間まで60分毎,計10時点で呼気を採集し た.それぞれ500m1ずつ採取し,うち100mlを真空瓶2 本に分注保存した,24時間後にマルトース(maltose- 13C12)を用いて同様の呼気テストを行った.13CO2の測定はVGISOGAS社製同位体比分析用質量分析計
SIRA 10を用い,投与された13C標識物質由来のCO2 の呼気中への出現率を%dose/hr,・累積出現率を cumulative%dose、として表わした. 結果 13CO2の呼気中への出現率のピークは,グルコース では120分後で15.3%dose/hr,マルトースでは180分 後で6.3%dose/hrであった。利用率を表すcumula・ tive%doseは,ほぼプラトーである12時間後で,グル コースでは78.1±6.8%dose(mean±SE),マルトース では51.4±3.3%doseと,危険率0.001以下で有意にグ ルコースのほうが高値であった(two tailed t-test for unpaired data). 考察 静脈投与マルトースは新生児においても利用される ことは明らかとなったが,循環血液中のマルトースの 利用速度はグルコースのそれに比して遅かった.また 投与後12時間までのマルトースの累積利用率は,グル コースのそれの65%と低値であり,利用率の点でグル コースに劣ることが判明した. 結語 静脈投与マルトースは新生児においても利用された が,利用速度はグルコースに比して遅く,また投与量 に対する利用率も劣り,エネルギー輸液としての有用 性は疑問であった. 一790一ユ87