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Perfluorochemicalを用いた常温全身洗い出し法による雑種成犬の血中毒物除去

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(1)

原 著

〔害女麟55第鷺元糊〕

Perfluorobhemicalを用いた常温全身洗い出し法による

雑種成犬の血中毒物除去

東京女子医科大学 第3外科学教室(主任 ホン ダ ヒロシ 本 田 宏 太田和夫教授) (受付 昭和63年12月19日)

Blood Purification by Normothermic Whole Body Rinse・out(NWBR)

Utilizing Perfluorochemicals(PFC)in Mongrel Dogs Hiroshi HONDA

Department of Surgery III(Director:Prof. Kazuo OTA> Tokyo Women’s Medical College

Total body wash・out(TBW)using simple electrolyte solution for hepatic coma was an effective but cumbersome modality. Because it was in need of heart−1ung machine under hypothermic condition. For the purpose of developing a simple and safe method of blood purification, perfluorochemical

(PFC)℃ontaining artificial blood(Fluosol・DA⑧20%:FDA, Green Cross, Inc. Osaka,Japan)has been introduced as a replacement fluid and investigated in animal experiments.

Normothermic whole body rinse−out(NWBR)were performed in 12 dogs without heart−lung machine under normothermic condition. Replacement of blood by PFC was accomplished as completely as possible until hematocrit lowered down to less than 5%. Subsequently fresh blood was infused while PFC with the specific gravity of 1.8 was retrieved by centrifugation machine. Twelve dogs were devided into 3 Groups(Group I:8dogs for acロte digoxin intoxication, Group II:2dogs for acute paraquat intoxication, Group III:2dogs for obstructive jaundice). Six dogs of Group I were observed the survival after NWBR.

During NWBR, remarkable reduction in ser口m concentration of digoxin(mean:96.3%), paraquat

(76.6,85.7%),total bilirubin(75.0,91.2%)were achieved, and all dogs were well tolerated. After this

procedures 30f 6 dogs survived for more than 10 days(10,28,28 days).

NWBR is expected to be an effective and safe modality of complete blood cleaning for acute drug intoxication and hepatic failure.

目 次 緒言 材料な’らびに方法 1.材料 1)代用血液 2)遠心分離器 3)雑種成犬(実験犬) 2.方法 1)実験犬の作製法 A.急性実験 a)急性薬物中毒犬(digoxin, b):黄疸犬 B.慢性実験(生存犬) C.脱血犬 2)常温全身洗い出し法: body rinse・out(NWBR) (1)脱血とFDAの注入 paraquat) normothermic whole (2)遠心分離器によるPFCの回収と新鮮血の輸

(2)

3)検査項目 A,急性実験 a)NWBR術中の血行動態,血液ガスの検索 b)血中PFC濃:度 c)血中digoxin濃度 d)血中paraquat濃度 e)血中bilirubin濃:度 〔薬物除去率〕 B.慢性実験(生存犬) a)血中PFC, digoxin濃度および末梢血の 変化 b)血液生化学検査 (1)肝機能検査 (2)腎機能検査 (4) If巳清電解質検査 (4)血液凝固能検査 c)PFCの回収率 d)術後の生存 e)生存犬の病理組.織 結果 A。急性実験 a)NWBR術中の血行動態,血液ガスの検索

b)血中PFC濃度

c)血中digoxin濃度 d)血中paraquat濃:度 e)血中bilirubin濃度 B.慢性実験(生存犬) a)血中PFC, digoxin濃度および末梢血の変

b)血液生化学検査 (1)肝機能検査 (2)腎機能検査 (3)血清電解質検査 (4)血液凝固能検査 c)PFCの回収率 d)術後の生存 e)生存犬の病理組織 考察 結論 文献 緒 言 劇症肝炎などの急性肝不全や慢性肝不全,さら には急性薬物中毒などに対する治療法として種々 の血液浄化療法が検討されてきた.現在のところ はこれらの疾患に対して一般的に血漿交換や血液 透析,さらに活性炭血液吸着などが適用されてい る.しかし血中の毒性物質除去効率という観点か らはこれらの治療法もまだ十分に満足できるもの とはいえないのが現状である. 1963年Neelyら1)は血中毒性物質を高率に除去 することを目的として,電解質液で循環血液を置 換するtotal body wash−out(以下TBWと略)を 考案し,イヌを用いて検討した.この後,1972年 にKlebano仔ら2)はTBWを臨床応用し,肝性昏 睡患者を覚醒させることに成功した.しかし当時 は置換液として乳酸リンゲル液を使用したため に,術中の低酸素血症に対して低体温麻酔や人工 心肺を必要とした.このような手技の繁雑さなど からかTBWは現在まで血液浄イヒ療法として広 く普及するにはいたらなかった. 1983年,Agishiら3)は高い酸素運搬能をもつ人 工血液per且uorochemical(以下PFCと略)をイ ヌに投与し,これが遠心分離器で回収可能である ことを報告した.さらに1984年,PFCを置換液と して常温下,無麻酔で全身の血液を洗い出す常温 全身洗い出し法:normothermic whole body rinse−out(以下NWBRと略)を開発した4).

NWBRはまず全血とPFCを脱血交換し,次に投

与したPFCを遠心分離器を用いて回収しながら 新鮮血を輸血するという2段階の操作からなって いる(図1).したがって本法は希釈と交換が少量 ずつ同時に進行する従来の血液交換や血漿交換療 法に比較して格段に優れた毒性物質の除去効率を えることが可能である.さらにPFCが酸素運搬

Normothermic Whole Body Rinse−out.

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Rep泊cement with PFC Retrieval of PFC

(3)

能をもつため,全血がPFCに置換された後も低

体温麻酔や人工心肺を不要とするなどTBWよ

り簡単に施行可能となることが期待できる.今回 は雑種成犬を用いて,NWBR術中の実験犬の循 環動態や血液生化学検査,ならびにNWBRの毒 物除去率や遠心分離器によるPFCの回収率,さ らにNWBR術後の実験犬の生存や各臓器の病理 組織変化などを検討したので報告する. 材料ならびに方法 1.材料 1)代用血液

置換用代用血液としてミドリ十字社製の

Fluoso1⑧一DA,20%(以下FDAと略)を用いた.

これは酸素運搬能を持つPFCの中から

perfluorodecalin(FDC)とpernuorotripropyla・ mine(FDPA)を7:3の比率で混合し, plu− ronic F68とlecithinを用いて乳化したものであ る(20W/V%)(表1). PFCの粒子径は平均0.118 μmで物理化学的に安定性もよく臓器蓄積性も 少ないとされており,その比重は1.8である5)6). すでにFDAは代用血液として多くの臨床報告が あり7)8),現在のところその投与量の上限は20m1/ kgとされている9》.なお以下の文中でFluosol⑭一 DA,20%はFDAと略し,その主成分であるper−

Huorochemica1(FDCとFDPA)をPFCと表現

する. 2)遠心分離器 PFCは比重が1.8と高いため,これを血液中か ら体外に回収するために米国Haemonetics社製 表1 Fluoso1・DAの組成

の遠心分離器:Haemonetics Model V−50 Pher・

esis System⑧(以下HMV−50と略)を使用した (写真1). 3)雑種成犬(実験犬) 体重12∼15kgの雑種成犬24頭を使用した.6頭 は急性実験に,他の6頭を慢性実験に使用した. 残りの12頭を懸隔犬とし,NWBR術中に輸血す る新鮮血を採取した. 2.方法 1)実験犬の作製法 Pentobarbital sodium(25mg/kg)静脈麻酔下 に気管内挿管し人工呼吸管理とした.呼吸器は

Bird ventilator Mark・7を用い, FiO2は60∼70%

の条件に設定した.また左右の大腿動静脈を露出 し,右方に動脈圧と中心静脈圧測定用のカテーテ ルを挿入し,左方にはNWBRに用いる膿血・返血 用のカニューレを留置した. A.急性実験 ・a)急性薬物中毒犬(digoxin, paraquat) 開腹して両側尿管を結紮し,急性腎後性腎不全 の状態とした.その後2頭にそれぞれ0.4および 0.8mgのdigoxinを投与し,他の2頭には150mg のparaquatを急速静注して急性薬物中毒犬のモ デルとした. Perfluorodecalin Perfluorotripropylamine P且uronic F−68 Yolk phospholipids Glycerol NaCl KCl MgC12 CaC12 NaHCO3 Glucose Hydroxyethylstarch 14.O w/v% 6.0,w/v% 2.7w/v% 0.4w/v% 0.8w/v% 0.600w/v% 0.034w/v% 0.020w/v% 0.028w/v% 0.210w/v% 0.180 w/v% 3.Ow/v%

写真1 Haemonetics Model V・50 Pheresis System⑭

(4)

表2 脱血犬(12頭)の血液生化学検査値 (N=12,M±SD)

WBC

6350±2960/mm3 T.P. 5.7±0.99/dI RBC 539±140×104/mm3 Na 149.4±7.8mEq/L Hb 11.3±2.99/dl K 4,1±1.3mEq/L Ht 35.4±8.3% GOT 24.2±13.41U/L PLT 20.9±7.7×104/mm3 GPT 22.1±15.61U/L Cr 0.81±0,16mg/dl BUN 12.3±5.2mg/dI b)黄疸犬

NWBRを行う3週間前に2頭を開腹して総胆

管を結紮切断した.閉塞性黄疸となった状態で

NWBRを施行した.

B.慢性実験(生存犬) 6頭の雑種成犬に0.75mgのdigoxinを投与し て薬物中毒のモデルとした.本実験ではNWBR 術後の生存を検討するため,開腹して尿管を結紮 する処置は行わなかった. C.脱血犬

1回のNWBRに対して,1頭の脱血犬を使用

した.Pentobarbita1を静注した後に挿管し,人工 呼吸管理とした上で500m1の生理食塩液をゆっく り点滴静注しながら大腿動脈から約800∼1,000 mlを脱印した.脱噛した血液の血液生化学検査値 は表2に示す.

2)常温全身洗い出し法:normothermic

whole body rinse・out(NWBR)

本法はまず全血とFDAを脱胎交換し,ついで PFCを遠心分離器で回収しながら新鮮血を輸血 するという2段階の操作で構成されている3)(図 2).

NWBRを開始するタイミングは急性薬物中毒

犬では薬剤を静注し,それが循環血液中で飽和し たと考えられる5分後とした.また黄疸犬では実 験準備が整いしだいNWBRを開始した. (1)脱血とFDAの注入(図2A) 大腿動脈から毎分約60∼80mlの速度で脱適し, 同速度で大腿静脈から36℃程度に暖めたFDAを 注入した. FDAの投与量は急性実験犬では2,500ml(循環 血液量の約2倍:160∼210ml/kg)とした.しかし 後述するように2,500mlのFDAで十二分な毒物 A

Replacement of Blood with Perfluorochemical

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Blood PFC Centrifuge 図2 NWBRの回路図 A:脱血とFDAの注入, B:遠心分離によるPFCの回収と新鮮血輸血 除去率がえられたため,不必要なFDAの投与を 避ける目的で,慢性実験犬ではその投与量を2,000 ml(130∼170m1/kg)と減量して使用した. (2)遠心分離器によるPFCの回収と新鮮血の 輸血(図2B) PFCの回収はその比重が1.8とほかのどの血液 成分よりも高いことを利用してHMV−50を用い て行った(回転数:4,800∼6,000/分).HMV−50 のフェレーシスボウルはPFCがボウル内に充満

した時点で交換し,一回のNWBRに2本のボウ

ルを使用した.約3時間かけてPFCを分離回収

し,同時にゆっくりと800∼1,000mlの新鮮血を輸 血した. 3)検査項目

NWBR術中および術後に下記の項目について

検討した.術中の採血は薬剤を投与する直前と投

与5分後,さらにFDA注入中と遠心分離による

(5)

PFC回収時に定期的に行った. A.急性実験

a)NWBR術中の血行動態,血液ガスの検索

動脈圧および中心静脈圧はポリグラフ140シ リーズ(日本電気三栄,東洋ボールドウィン MPU.一〇.5)を用いて行った.また血液ガス分析 はABL−1(ラジオメーター社),直腸温はテルモ ファイナーTFDN(テルモ社)を用いて測定した.

b)血中PFC濃度

PFC濃度はガスクロマトグラフィー分析法6)で 測定した.他にヘマトクリット(Ht)測定に準じ てPFC量を%表示したnuorocrit値(以下Fctと 略)を計測した. c)血中digoxin濃度 血中digoxin濃度測定はRIA法(ジゴキシン: リアキット,ダイナボット社)で行った. d)血中paraquat濃度 血中paraquat濃度はガスクロマトグラフ分析 法ゆで測定した. e)血中bilirubin濃度 血中bilirubin濃:度はazobilirubin法で測定し た. 〔薬物除去率〕

薬物除去率はNWBR前後の薬物血中濃度から

以下の式を用いて算出した. 薬物除去率=

NWBR前日一NWBR後値

×100

NWBR民商

B.慢性実験(生存犬)

慢性実験はNWBRを施行した実験犬の生存と

PFCの各臓器に与える影響を検討する目的で6 頭の雑種成犬を用いて行った.したがって急性実 験とは異なって,開腹して尿管を結紮する操作は 行わなかった.さらに投与する薬物はdigoxin (0.75mg)とし, FDAの投与量は急性実験の結果 から2,500mlを2,000m1へ減量した. 術中は急性実験と同様に血圧などをモニターし たが,特に下記の項目について検討を加えた. a)血中PFC, digoxin濃度および末梢血の変 化 PFCおよびdigoxin濃度,さらに白血球数,赤 血球数やHtの変化も検討した. b)血液生化学検査 (1)肝機能検査

Glutamic oxaloacetic transaminase(GOT):

Wroblewski−Karmen法

Glutamic pyruvic transaminase(GPT): Wroblewski−Karmen法

Total bilirubin(T。 Bil):Azobilirubin法 Direct bilirubin(D. Bil):Azobilirubin法 (2)腎機能検査

Serum creatinine(S−Cr):Jaffe−Rate法

Serum blood urea nitrogen(S−BUN): Urease−indophenol法

(3)血清電解質検査

Serum sodium(S−Na):電極法

Serum pottasium(S−K):電極法 (4)血液凝固能検査

Activated clotting time(ACT):血液凝固計

ヘモクロン400,米国Technidyne社製 Activated partial thromboplastin tinle (APTT):自動凝固測定装置CA−3000,東亜 Platelet count(PLT):電気抵抗法E−3000,東 亜 Fibrinogen(Fbg):自動凝固測定装置CA− 3000,東亜 c)PFCの回収率 慢性実験の1頭において実験中に脱血したすべ ての血液と遠心分離器のボウルに沈殿したPFC を回収し,これらに含まれるPFCの濃度および 体積を測定した.その測定値からNWBRによっ て回収できたPFCの総量やその回収率を算出し た. d)術後の生存 慢性実験では気管内チューブを術直後に抜管 し,その後は酸素投与を行わなかった.術後2日 間は輸液と抗生物質の投与を継続した.血液生化 学検:査は術後の3日問は連日,以後は毎週1回の 割合で行った. e)生存犬の病理組織 実験犬は死亡直後に解剖し,肝,脾,膵,腎, 心,肺,小腸を摘出して病理組織検査を行った.

(6)

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Repbcement with PFC Retrieval of PFC

図3 NWBR施行中の血行動態と体温の変化 200 0 i入

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30 罫 20亜 10 摘出臓器はhematoxylin−eosin染色し鏡検:した. 結 果 A.急性実験 a)NWBR術中の血行動態,血液ガスの検索

実験犬6頭の動脈圧,中心静脈圧はNWBRの

全経過を通じてほぼ安定しており,直腸温も36℃ 前後に維持された.図3に0.8mgのdigoxinを静

注しNWBRを行った実験犬の血行動態および体

温の推移を示す.また術中の血液ガス分析では平

均PaO2が350mmHg以上で, PaCO2, pH, HCO3『 もほぼ正常範囲内に保たれた(図4). b)血中PFC濃:度

FDAを2,500ml投与した6頭の平均PFC濃

度は投与直後に最高140.2mg/dlまで上昇し, NWBR終了時には35.2mg/dlまで低下した(除 去率:74.9%).またFct値は最高9.2%まで上昇 したがNWBR後には3.5%まで減少し,除去率は 62.0%であった.逆にHt値はPFC注入終了時に 術前の平均42.2から4.9%(除去率88.3%)と低下 したが,PFCを回収し新鮮血を800m1輸血した時 点で23.2%まで回復した(図5). 0 Pre 1000 2000 2500m[ 30 60 120 τ80min Replacement w}th PFC Retrleval of PFC 図4 NWBR施行中の血液ガス分析の変化 ミ150 9 ξ 11・・ 暑 婁 1,。 蚕 藝 8

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Repbcement with PFC Retr}eval o「PFC

図5 NWBR施行中の血中PFCとHt値の変化 。)血中digoxin濃度

(7)

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Replacement with PFC Retrieval of PFC

図6 NWBR施行中の血中digoxin濃:度変化 ミ5。 ぎ ⊆ 40 £ 舞30 § 52。 §10 琶 8 Pre 5 (1000 2000 2500) 30 60 120 180

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Repboement with PFC Retrleval of PFC 図7 NWBR施行中の血中paraquat濃度変化 中毒犬の血中digoxin濃:度は,投与5分後にそれ ぞれ22.8および59.8ng/m1まで上昇し, NWBR 終了時には1.0および6.3ng/mlまで減少した.そ れぞれの血中digoxin除去率は95.6および89.5% となった(図6). d)血中paraquat濃度

Paraquatを150mg静注した2頭の血中para−

quat濃度はそれぞれ投与5分後の50.4および

44.0μg/dlからNWBR終一時には7.2および

10.3μg/dlまで減少しており,除去率はそれぞれ 85.7および76.6%であった(図7). e)血中bilirubin濃度 総胆管を結紮し3週間を経過した2頭の閉塞性 黄疸犬の総bilirubin値はそれぞれ10.2と3.2mg/ dlまで上昇していた. この黄疸犬にNWBRを施行すると,.血中総ビ リルビン濃:度はそれぞれ10.2および3.2mg/dlか ら,ともに0,9mg/dlまで減少し,その除去率はそ ミ

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Replacement with PFC Retrieval of PFC

図8 NWBR施行中の血中bilirubin濃度変化 れそれ9!.2,75.0%であった(図8), B.慢性実験(生存犬) a)血中PFC, digoxin濃度および末梢血の変 化

慢性実験犬6頭の平均PFC濃度はFDA投与

終了時に122.8mg/mlまで上昇し, NWBR終了

時には32.5mg/mlまで減少した(除去率:

73.5%).またそのFct値は8.4%まで上昇し 1.9%まで減少した(除去率77.4%).一方,digoxin 濃度は投与5分後に平均151。Ong/mlまで上昇し たが,NWBR終了時には5.6ng/mlまで減少し, 除去率は96,3%であった.またHt, RBCはPFC の注入終了時に術前値のそれぞれ16%,15%まで 低下したが,新鮮血を輸血した後は55%まで回復

した.WBCはNWBR終了時にほぼその前値ま

で回復した(図9). b)血液生化学検査 (1)肝機能検査

NWBR術中のGOTおよびGPT値はPFC注

入により一時的に低下したが新鮮血輸血とPFC の回収に伴って徐々に上昇しNWBR終了時には

GPTは正常値の範囲内であったがGOTは正常

上限の約2倍まで上昇した(図!0).その後は両者 とも上昇を続ける傾向が見られた(図12). (2)腎機能検査

(8)

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RePiacement Retrieval of PFC with PFC 図11NWBR施行中の血液凝固系検査

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nlin Replacement Retrieval of PFC w配hPFC 図10NWBR施行中の肝・腎機能検査 S−Cr, S−BUNは術中,術後をとおして特に大ぎ な変動は見られなかった・(図10). (3)血清電解質検査

NWBR術中の血清NaはFDAの注入時に一

過性の軽度低下を示したが,血清Kには大きな変 化は認められなかった(図10). (4)血液凝固能検査(図11)

術中のAPTTやACT値はFDAとの脱血交

換により測定不能にまで延長したが,PFCを回収 し新鮮血を輸血するとほぼ正常値まで回復した.

またPLTとFbgも大幅に減少したが,これらは

新鮮血を輸血した後も術前値の約50%までの回復 に留まった.しかしFbgは術後1日目に正常値に 回復し,その後はほぼ正常値を保った.このよう な術中の凝固因子の低下にもかかおらず創部や気 管内出血などの合併症は認められなかった.

c)PFCの回収率

PFCの回収率を算出するために実験犬の1頭

で術中に脱血したすべての血液とボウルに沈殿し たPFCを回収した(写真2).無血した血液の総 量は2,420mlで,そのPFC濃:度は87.2mg/m1で あった.またボウル内に沈殿したゲル状のPFC は110gで,そのPFC濃:度は904.Omg/mlであっ

(9)

臥へ ㌦’ ..鰯軸距帰・。.. ノ曵“@’ 写真2 Haemoneticsのフェレーシスボウルに回収 されたPFC た. 以上のデータからPFCの回収率を算出した.

①投与した2,000m1のFDA中のPFC重量=

400g ●。’FDAに含まれるPFC濃度:(20W/V%) 2,000×0,2=400 ②回収されたPFC量=266.39 1)脱血中のPFC含有量=211.2g ∵術中の総:脱血量:2,420ml 脱血中のPFC濃度:87.26mg/ml (2,420×87.26)/1,000=211.2 2)遠心分離器に回収したPFC=55.2g ∵回収した総:重量:110g PFC比重:1.8’ 回収物のPFC濃度:904.Omg/ml 〔(110/1.8)×904。0〕÷1,000=55.2 3)回収総PFC量=266.3g ∵1)十2)=211.1十55.2=266.3 ③PFCの回収率=66.6% ∵266.3÷400。0=66。6

④体内に残存したPFC量=133.7g:FDAと

して668.5m1 ∵400.0−266.3ニ133.7 133.7÷0.2(FDA中のPFC濃度)=668.5 668.5÷15kg(実験犬体重)=44.6m1/kg 以上から回収しえたPFCはおよそ266gで,こ れは投与した400gのPFCの約67%に相当した. したがって未回収のPFCは約134gで, FDAに換 算すると実験犬の体重当り45ml/kgが体内に残 韮 至 茎 ド 慧 量 § 爵 図12NWBR施行後の生存犬の経過 ・09 塾§ 1008誹

91 寒噛 & 垂 600召 窒 葦 色 m⇒ぎ

,。。ll 鐸 温した形となった. d)術後の生存 術後に6頭中3頭が10日間以上生存した.1頭 は10日間,ほかの2頭は28日間生存した(図12). 10日間生存した犬は摂食不良のため徐々に全身状 態が悪化して死亡した.28日間生存した2頭は術 後4週目頃から下痢や食欲不振さらに咳蹴などが 出現し,極度の全身状態の低下をきたした.それ ぞれ臨床的にウイルス性腸炎とディステンパーと 診断され,実験施設内における他の犬への感染を 防止するために術後28日目に犠牲死させた. 他の3頭は術後3日未満で死亡し,死因は剖検 により肺水腫などの急性呼吸不全と診断した.

28日生存した2頭の経過から,PFCはNWBR

術後7日目までに血中から検出不能となること,

HtやFbgは死亡直前まで安定しAPTTもほぼ

正常範囲内にあったことが判明した.また腎機能 は最後まで安定していたが,肝機能検査の中で GPTが1頭では術後早期から,他の1頭では死亡 直前に上昇しているのが認められた. e)生存犬の病理組織 術後2日目に死亡した実験犬の網内寸(肝,脾)

(10)

写真3 轡蟹’.澤...

A: NWBR施行後2日生存犬の肝病理組織 B:NWBR施行後10日生存犬の肝病理組織

には,KupfferやmacrophageがPFCを取り込

んで空胞状に変形した多数のfoam ce11を認めた (写真3A).しかし10日間生存した犬の網内灘所 見では2日間生存犬に比較するとfoam ceUの数 は減少していた(写真3B).他の腎,心,肺,膵, 小腸などには特にFDA投与によると考えられる 異常所見は見られなかった. 考 察 1966年Clarkll)はperHuorochemica1の高い酸 素溶解能に着目し,PFCの一種perHuorotetrahy・ drofuranの液体中にマウスを数時間沈めた後,大 気中に戻したところマウスは何ら病的な症状を示 さず,その後長時間生存することを見出した.こ の実験はPFCに関して2つの重要なことがらを 示唆していた.すなわちPFCは酸素溶解度が非 常に高く,かつその酸素溶解性は可逆的であるこ と,およびPFCの毒性が低いことである.1968年 Geyer12)はperfluorotributylamine(FC43)の乳剤 を用いてラットを100%脱血交換した“bloodless rat”を作製し,純酸素呼吸下で5∼6時間生存さ せることに成功した.また1970年光野ら13)はPFC 乳剤でイヌの90%の血液を脱血交換し,大動物で もPFC乳剤が酸素運搬体として機能しうること を明らかにした. さらに大柳,光野ら5)はPFCの体外排泄と体内 蓄積性をラットで検討し,PFCは呼気中排泄が大 部分であること,網正系にとりこまれたPFCは monocyteの貧民により最終的には肺胞腔へ排泄 される可能性が考えられること14)などを明らかに した.またPFC投与後の形態学的変化から,全身 の網晶系細胞,とくに肝と脾に多くのfoam cell が出現し,これが投与されたPFC粒子そのもの であることを同定した15).さらにPFC乳剤投与後 の網内山機能の変化を組織学的にcarbon粒子の 取り込みを観察したり,エンドトキシソ投与によ る生存率などから検討した.それによると二二系 は10m1/kgのFDA投与では全く影響が出ず,20 m1/kgでは軽度でしかもごく短時間の抑制を受 け,40ml/kgでは軽度だが数日間の抑制が,60ml/ kgでは中等度でしかも1週間以上の抑制を受け た.したがって三内系機能から判断するとPFC の投与量は40m1/kgまでは安全と思われるが,20 ml/kg以内にとどめておけぽ無難であろうとし た16). 以上の基礎的データをもとに,光野ら17)は 10∼30m1/kgのFDAを投与した186例の臨床例 を検討し,FDA注射によるアナフィラキシー様反 応は認められず,血液生化学的検査成績でもNa, Kなどの電解質やS−BUN, S・Cr, S−GPTなどに 全く変動を見なかったと報告している. 他方,FDA投与による血液凝固能の変動に関し てはTakiguchi18)が雑種成犬に20ml/kgのFDA 置換を行い,PT, PTTの延長とFbg, plas− minogenの一過性の低下を報告した.また光野ら は臨床例で注射直後の出血時間(Duke法)に軽度 の延長を認めたがそれも正常範囲内で,1日後に は旧値に復しており,さらに血液凝固時間とPT 時間にも変動がなく,10∼30m1/kgのFDAの投 与は血液凝固系に大きな影響を及ぼさないとのべ

(11)

表3 毒物除去を目的とした各種血液浄化療法の比較

Exchange Plasma Hypothermic total Normothermic whole transfusion exchange body washout body rinse−out

Removal

????モ moderate moderate excellent excellent

Apparatus&

高≠獅奄垂浮撃≠狽奄盾 almost none

Plasma SeparatOr

@ or centrifuge heart−1ung高≠モ?奄獅

centrifuge for Fluosol,

獅盾獅?for stabilized Hb

Replacement massive

翌?盾撃?blQQd Inassive plasma

electrolytes solution

浮高≠rSive plaSma arti且cal blood

Sergery angiopUncture angiopUnCture cardiotomy angiopuncture Anesthesia none none general anesthesia none

Body

狽?高垂?窒≠狽浮窒 normothermic normothermic hypothermic normothermic

ている17). このようにPFCは基礎的検討に加え多数の臨 床試験も行われ,現在ではFluosol面DA 20%(ミ ドリ十字社)として製剤化され,臨床的にも緊急 輸血時や宗教上の理由から輸血を拒否する患者な どに対する代用血液として使用されている19).し かしその使用量の限度は上述のように,細網内皮 系や免疫能などの基礎的検討から一応40ml/kg までとされ,臨床では一層の安全性を考慮して20 m1/kg以内が望ましいとされている. 現時点の肝不全や急性薬物中毒に対する血液浄 化療法としては血漿交換や,血液透析,さらには 活性炭血液吸着などが広く臨床的には施行されて いる.しかし,現在最もその効果の面から信頼さ れている血漿交換でも50m1/kgの血漿を用いた 場合の血中毒物除去率がわずか50%と報告されて いる20).このように従来の血液浄化療法は毒物除 去効率の面において一つの限界に達していると考 えられる. 毒物除去効率をより改善させるためには,血液 浄化療法の方法論を抜本的に変更するか血漿:交換 や交換輸血などでは置換液をさらに多く使用する しかない.しかし後者のように置換液を増量して 除去効率の改善を計ることはその供給量に制限が あるばかりでなく,大量の1血液製剤を使用するこ とによる種々のウイルス感染の危険性など大きな 問題をはらんでいるといえる(表3). そこで共同研究者の阿岸は高い毒物除去能力を

持つtotal body wash−outと酸素運搬能を有し比

重が1.8というPFCに着目した.これらを合体さ せることによって,今までの血液浄化療法と置換 液それぞれの問題点を補い,強力でしかも安全に 施行できるNWBRの開発を目的とした4).つまり 本法はまず全血とPFCを脱血交換することで血 中毒物除去効率の飛躍的な増大を計り,次に遠心 分離器で大量に投与したPFCを回収して,その 投与量を許容範囲内に納めるとともに副作用も最 小限に押さえることを理論的に可能とする方法で ある. 今回の実験では各血中物質の除去率はpara− quatが76.7と85.7%, digoxinは平均96,3%,閉 塞性黄疸犬の総bilirubinが75.0と91.2%という 良好な結果をえることができ,また術中のRBC

やHtの低下を考え合わせるとNWBRによる血

中物質の除去率はおよそ80%以上という新しい知 見をえた. また投与したFDA(133ml/kg)の約67%を遠心 分離器によって回収できたため,計算上は45ml/ kgのみが体内に残存した形となった.もちろん PFCは肺胞腔からの排泄も確認されており15),こ れを考慮するとFDAの体内残存量は45ml/kgよ りさらに低値と推定できる.したがって今回の実 験でFDAの投与量を,一応その投与限界量とさ れている40m1/kg程度まで回収する方法を確立 し,臨床応用の可能性を示すことができたと考え られる.

さらにNWBR術後の生存実験犬では6頭中3

頭が10日以上生存し,うち2頭は4週間の生存が 可能であったことを確認できた. これらの長期生存犬の1頭では術後早期から肝

(12)

機能検査値(S−GOT, S−GPT)に異常を認めたも のの,腎機能,.血液凝固能検査などはほぼ正常範 囲内で推移した.また病理組織所見から心,肺, 小腸などには特別な変化は認めなかったが肝・脾

などの歌内系細胞がPFCを取り込んでfoam

cellを形成し,そのfoam cellは長期生存犬で減 少していく傾向を観察した. 以上より長期生存犬に見られたGOT, GPT上 昇の原因としては大部分を回収したとはいえ大量 に投与したPFCが山内系にとりこまれた影響は 否定できなかった.しかし現在まで動物にPFC を投与した実験や,臨床例において肝機能の異常 は指摘されておらず,死亡直前の肝機能障害は NWBR術中に輸血した大量:の新鮮血による肝炎 や,ジステンパーなどの感染症2Dが影響した可能 性が高いと考えている. 血液凝固系の検査では術中にAPTT, ACTの 延長と凝固因子(Fbg)の低下を認めたが,これら は新鮮血の輸血によって術終了時にはほぼ正常値 近くまで回復し,長期生存犬においても死亡前ま で正常値を維持し,今までの報告と一致してい る18). 以上からPFCを応用した新しい一血液浄化療法 であるNWBRの有効性と,臨床応用の可能性が 証明された.今後はさらに効率のよいPFCの回 収方法や術中の出血傾向に対する対策,またPFC にかわる代用血液として安定化ヘモグロビン22)の 使用などを検討することにより,さらに安全に臨 床応用が可能と考えられた. 結 論 人工血液(Fluosol⑧一DA,20%)を用いて,常 温全身洗い出し法(normothermic whole body rinse−out)という新しい血液浄化療法を開発し た.急性薬物中毒主ならびに閉塞性黄疸犬を対象 とした実験により,本法は既存の血液浄化療法に 比較して良好な血中毒物除去効果を示すことを証 明し,さらにその安全性の面から臨床応用の可能 性も明らかにした. 稿を終了するにあたりご指導,ご校閲を賜りました 太田和夫教授に深謝いたします.また直接御指導,御 助言を戴ぎました阿岸鉄三教授,本研究に多くの御助 力をいただいた寺岡慧助教授,船越陽一助手,江良和 雄,山形桂仁,高橋満彦,小林峰徳各技士,当教室各 位に感謝いたします.さらに御協力を賜りましたミド リ十字社の諸氏に厚く御礼申し上げます. なお本論文の要旨は,第6回国際人工臓器学会にて 発表した. 文 献

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参照

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