218 (92) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
マツ ムラ ケン ジ研二(昭和2
医学博士 乙第906号昭和63年2月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 慢性大動脈弁閉鎖不全症における左室予備力の検討 (主査)教授 広沢弘七郎 (副査)教授 杉野 信博,教授 喜多村孝一論 文 内 容 の 要 旨
目的 慢性大動脈弁閉鎖不全症(AR)例に,核医学運動負 荷検査,ホルター心電図検査及び左室心内膜心筋生検 を施行し,慢性左室容量負荷に対する左室予備力を検 討した. 方法 対象はARと診断され人工弁置換術を施行された 連続12例で,全例に心臓カテーテル検査心プールイ メージング運動負荷検査,ホルター心電図検査を行い, 10例にT1-201心筋血流イメージング運動負荷検査, 9例に手術時,左室心内膜心筋生検を施行した. ARの診断は心臓カテーテル検査で,左室と大動脈 間の圧較差が20mmHg以下で,かつ大動脈造影検査で 左室への逆流がSellers分類III度以上のものとした, また7例には手術後にも心プールイメージング運動負 荷を施行した. 結果 1.心プールイメージング 運動負荷で左室駆出率(LVEF)が増加したのは3 例,低下は9例であった,低下した9例の左室駆出率 変化(∠EF)は1~10%の低下2例,11~20%の低下 2例,30~41%の低下5例であった.手術後に運動負 荷を施行した7例でのLVEFの増加は4例,低下は3 例であった. 2.心筋血流イメージング 運動負荷による一過性の灌流欠損像は10例中6例に 見られ,灌流欠損像の範囲は6例中3例は心尖部に限 局,他の3例は左室心尖部から下,側壁に及んだ.な お!0例共,冠状動脈造影検査では正常像であった. 3.ホルター心電図 心室性期外収縮(VPB)は2例で認めず,10例で1 日4~5428拍記録された.このうち2例で1日1000拍以上のVPBが見られ,また3連発以上のVPBは4例
に認めた. 4.左室心内膜心筋生検 9例に施行し,心筋細胞横径18μm以下の正常例は なく,肥大の程度は19~23μmが4例,24~28μmが1 例,29μm以上が4例であった. 考察及び結果 運動負荷による心筋血流イメージングで一過性の灌 流欠損像を6例に認めた理由として,ARでは長期間 の左室容量負荷により左室拡張末期容量が著明に増加 し,運動負荷により左室下壁から心尖部にかけ壁運動 異常を生じ,T1-201灌流欠損像を認めたものと考えら れる.また今回検討した12例のARでは1例の手術時 の不整脈死を除き,手術後15~30ヵ月の経過観察中特 に心不全などの合併もなく経過良好であった.このこ とより運動負荷によるLVEFの低下が直接予後不良の指標とはならないが,手術前∠EFの低下が
30~41%の高度低下例では,1)T1-201灌流欠損像を 全例に認めた.2)VPBの頻度が多く,心室性頻拍が 見られた.3)心筋細胞横径が29~37.9μmと高度心筋 肥大を示した.従ってARにおける左室予備力の決定 因子として左室心筋病変の存在が強く疑われ,運動負 荷による∠EFの評価はARの左室予備力の指標とし て有用と考えられた. 882一219