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小学校教育における低炭素教育のシナリオ 利用統計を見る

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小学校教育における低炭素教育のシナリオ

著者名(日)

寺木 秀一

雑誌名

東洋大学文学部紀要. 教育学科編

37

ページ

77-85

発行年

2011

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00002453/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

(2)

小学校教育における低炭素教育のシナリオ

寺 木 秀 一*

 低炭素教育とは、今日の我が国の資源エネルギーに関して化石燃料に過度に依存す ることなく、再生可能エネルギーの有効活用、省エネルギー生活への転換、分散型エ ネルギーの利用、地方の自立をうながす社会を実現するために実施される初等中等教 育における教育活動である。その実現のためにに各学校のおける教育のシナリオを以 下のような視点から検討する。 1 我が国の先進的な科学技術による、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネル ギーの活用や発電の高効率化、送電ロスの削減、スマートグリッドの推進、蓄電池の 改良など省エネと新しいエネルギーの概念と活用 2 家屋の断熱性を高めるグリーンカーテン、窓が多く庇の長い日本型の家屋、打ち水、  よしずなどの日本の伝統的な低炭素社会の知恵に学ぶ節電・節水などによる電力消費 量の削減による電力危機の回避 3 化石燃料に過度に依存することなく、再生可能エネルギーの有効活用、省エネルギー 生活への転換、分散型エネルギーの利用、地方の自立をうながす社会の実現 キーワード:低炭素教育 環境教育 東日本大震災 ESD 再生可能エネルギー はじめに

 日本は2020年までに温室効果ガス排出量を

1990年比で25%削減するという中期目標を掲げ て、その達成に向けた具体的取り組みを進めてき

た。 さらに2011年5月26日の主要国(G8)

首脳会議では、福島第一原子力発電所の事故を背 景として、2020年代の早い時期までに、再生可 能エネルギーで発電量の20%以上を賄う考えを 強調した。  しかし、現在の日本は水力発電を除く再生可能 エネルギーの発電比率が1%程度と低いのが現状 であり、東日本大震災による電力供給不足を始め とするエネルギー問題は、低炭素社会の実現とい う課題を地域、家庭、学校が連携して取り込む良 い機会となっている。  今年度の夏の電力事情は、最大需要見込み

6000万kWに対し、供給見込みは5380万kWと

言われており(2011年5月13日現在)、企業や 官公庁をはじめ学校や家庭でも、節電に取り組む ことが強くもとめられていた。実際は国民をあげ 図1 出典 全国地球温暖化防止センター ての節電、省エネへの取り組みが功を奏し、東日 本大震災直後の計画停電のような電力危機への対 応をとることも無く過ごすことができた。 *てらき しゅういち 東洋大学文学部教育学科

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78 「東洋大学文学部紀要」第65集 教育学科編 XXXVII(2011年度)  また、2013年以降の地球温暖化防止策につい て協議するため、世界の約190力国が南アフリカ のダーバンに集まった国連気候変動枠組み条約第 17回締約国会議(COPI7)では温室効果ガス排 出削減割り当てを定めた京都議定書の第1約束期 間が来年度末に期限が切れるにもかかわらず、米 中など主要排出国が加わる新たな枠組みによる本 格的な削減の実現が2020年以降になることに なった。これは中国に代表される新興国などがこ れまで免除されてきた削減義務を新たに負うこと を嫌ったためである。その結果、京都議定書の体 制を2013年以降も継続させることが決まったた。 新たな枠組みの早期確立を目指す日本は、会議を 通じて京都議定書体制の継続論に反対し、延長さ れた2013年以降の京都議定書体制には参加せず、 独自の削減努力を続ける方針を会議で表明した が。  日本は省エネ技術で世界のトップランナーとし ての自負もあり、産業界を中心に独自に温室効果 ガスの削減を進めてきた。  この間、電力不足に対応するため、独立行政法 人科学技術振興機構(JST)低炭素社会戦略セン ター(LCS)は東京電力管内の複数の自治体と協 力し、停電防止システムの構築を目指した社会実 験に取り組んだ。電力供給不足が懸念される場合 に従来の小中学校安全安心ネットなどの地域緊急 ネットワーク連絡網で保護者(家庭)に節電を呼 距 蟻_敬_ 図2 出典 全国地球温暖化防止センター

翻畑

び掛け、各家庭は取り組んだ節電対策を記録する と共に、予めエアコンやテレビなどの家電製品に 取り付けた電力量表示器で使用電力量(kWh)を 計測した。 この社会実験の結果を検証した後は、 夏の電力不足解消のために都区や周辺の自治体と 共同して家庭でのピークカットの取り組みを実施 する体制を整えた。  その計測データを小学校の授業で活用すること が本稿で展開する「低炭素教育」の実際となる。  小学校学習指導要領にある内容と照合すれば (社会科、3学年及び4学年)における「地域の人々 による飲料水,電気,ガスの使われ方や使用量な どを取り上げ,人々の生活や産業に欠かすことの できない飲料水,電気,ガスがいつでも使えるよ うに必要な量が確保されていることを具体的に調 べる。」ということになる。 1 低炭素社会を実現するための低炭素教育  我が国は、今世紀に入り「有限の地球」、「社会 の高齢化」、「知識の爆発」という新たなパラダイ ムヘシフトした現在、これらに沿った新しい産業 の創出が、社会にイノベーションを起こし、閉塞 した経済を活性化する大きな可能性を持ってい る。我が国は、先進的に世界の課題を先取りして いる「課題先進国」でもある。  我が国はエネルギー消費は「エネルギー変換」、 「ものづくり」、「日々のくらし」の3つに分類で きる。従来、日本の政策はエネルギー消費を「も のづくり」において削減させようとしてきたが、 実は、「日々のくらし」にこそ、エネルギー消費 を削減する大きなポテンシャルがある。エコでバ リアフリーで快適なまちづくりを推進すれば、 「日々のくらし」におけるエネルギー消費を削減 し、かつ、高齢社会への対応と新たな雇用創出を 図ることのできる社会が低炭素社会も図ることが できる*1。  先に述べた低炭素社会戦略センターでは、明る く豊かな低炭素社会の姿を描き、それを実現する ための総合戦略とシナリオを策定するとともに、 持続可能で活力のある低炭素社会を構築するた め、豊かな生活と両立しうる社会の姿を広く提示 して、それを実現することを目的としてる。  持続可能で活力ある低炭素社会を構築するた め、豊かな生活と両立しうる社会の姿を広く提示 して、それを実現することを目的として以下の研

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究プログラムで研究を推進している テーマ1低炭素社会実現の基本戦略とシナリオ      策定 テーマ2 低炭素社会に向けた技術構造化、開発      と普及に関する戦略 テーマ3 低炭素社会に向けた地域の研究 テーマ4 低炭素社会に向けた理解増進 テーマ5 低炭素社会実現のための社会システム      の設計・評価 テーマ6 低炭素社会のための経済・社会制度の      設計 テーマ7 低炭素社会のための国際戦略の検討 テーマ8 地球温暖化への適応戦略の検討  本研究は、このうち、領域としては、テーマ4 低炭素社会に向けた理解増進を分担し、戦略とし てはテーマ8地球温暖化への適応戦略の検討をし たものとして「低炭素教育」について検討する。  低炭素教育は、学校教育とその影響の派生する 家庭から低炭素社会を実現するための取り組みで ある。科学技術の知識を活用して生活の視点から 社会の諸課題を解決することを、学校教育の場で 具体化することを目標とする。  児童生徒は、低炭素教育を通じて、日々の生活 に楽しさと明るさをもたらす科学技術の役割につ いて実感をともなった理解を深め、生きる力を身 に付けるために将来やりたいことを選択し、その ために必要な知恵・知識を獲得し、目標を定めて 道を切り開く力を身に付けられるようにする。  さらに日常生活での小さな成功体験を積み重ね

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図3出典JST(2011) ることで、自己を肯定的に受け入れ、将来の夢を 持てるようにする。このことは学習指導要領の改 訂趣旨である「生きる力」を培うことに繋がる,  低炭素教育でめざす子どもの姿とは、我慢をし たり豊かさを損なうことなく、生活水準を向上さ せながら、夢と希望をもって明るく楽しく生きる 姿であり、具体的には以下の児童生徒を育てるこ とを目指す。 (1)日本の先進的な科学技術による、太陽光発電  や風力発電などの再生可能エネルギーの活用や  発電の高効率化、送電ロスの削減、スマートグ  リッドの推進、蓄電池の改良など省エネと新し  い工不ルギーの概念と活用について考えること  ができる。 (2)家屋の断熱性を高めるグリーンカーテン、窓  が多く庇の長い日本型の家屋、打ち水、よしず  などの日本の伝統的な低炭素社会の知恵に学び  節電・節水などによる電力消費量の削減による  電力危機の回避について取り組む態度を育て  る。 (3)石油や石炭・LNGなどの化石燃料に過度に  依存することなく、再生可能エネルギーの有効 活用、省エネルギー生活への転換、分散型エネ  ルギーの利用、地方の自立をうながす社会の実 現を目指すためにできることを考える。

2 学校教育おけるESDおよび環境教育の

  現状  環境教育、消費者教育、安全教育などの「○○ 教育」といわれる教育は、今日の学校においては 通常は時間割りに示されることはなく、規定の時 間が確保されるわけではない。  現状では、学習指導要領に示された各教科等の 目標及び内容の達成を図りながら、子ども達の発 達段階と学習への関心意欲に応じた低炭素教育を 展開することが求められる。  低炭素教育を推進するには、総合的な学習の時 間における。環境を軸とした教科横断的な学習を はじめ、社会、理科、家庭(技術・家庭)等を中 心とした教科指導における教材の作成、指導課程 の開発が必要である。  これまで、ESD(持続可能な発展のための教育) として先進的に進められていた実践事例から、低 炭素教育の要素を抽出・体系化して、価値づけを することや、あらたに今日のエネルギー問題の解

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80 「東洋大学文学部紀要」第65集 教育学科編 XXXVII(2011年度) 決に対応した目標と内容の開発を行うなどは喫緊 の課題となる.  2008年に改訂され小学校では今年度から中学 校では次年度から実施される学習指導要領の背景 にあると言われるESD(持続可能な発展のため の教育)では、これまでは別々に検討されていた 日本の伝統的な文化・自然遺産と環境問題等、地 域コミュニティーレベルを含めた国内的な課題と 国際的な課題のそれぞれを結びつけて、持続可能 な未来の構築と現実的な社会転換に必要な価値 観・実践力の育成をねらいとしている。  2011年に多くの被害をもたらした東日本を 襲った未曾有の震災、津波に伴う原子力発電所の 事故は、防災教育とエネルギー教育の持つ意義と 役割をすべての国民に意識させることとなった。  小学校及び中学校におけるエネルギー環境教育 は、市民の科学技術リテラシーを高め、省エネル ギー・省資源に結びつく諸活動を行い、生涯にわ たって課題意識を醸成するとともに、その解決に 向けて判断し行動できる能力を養うことをねらい としている(エネルギー環境教育学習プラン、エ ネルギー環境教育情報センター2010)。  小学校及び中学校の学習指導要領の改訂に先駆 けて出された中央教育審議会答申(2008年)では、 理数教育の充実を掲げ、「環境問題やエネルギー 問題といった地球規模での課題については、次世 代へ負の財産を残さず、人類社会の持続可能な発 展のために科学技術に何ができるかが問われてい る。」としている。同様に、低炭素社会の実現を 日指す教育という視点でみれば、理科、社会に限っ ても、 ・自然環境と人のかかわり、電気の利用とエネル  ギー(発電、送電、蓄電)(小学校学習指導要  領の内容項即 ・エネルギー資源(原子力を含む)、科学技術の  発展、自然環境の保全と技術の利用(同中学校) ・地域の人々にとって必要な飲料水、電気、ガス  の確保、廃棄物(ゴミ、下水)の抑制と破棄、 ・地域社会における災害及び事故の防止、我が国  の産業の発展(同小学校社会) ・自然エネルギーと産業、環境問題や環境保全を  中核とした考察(同中学校)  などがある*2 3 先進的に実践されている低炭素教育   〈小学校〉  身近な生活を振り返り、省エネルギー・省資源 の意味や意義を問い、関心を高め、その活動に参 加し、低炭素社会実現のための基礎的な知識や実 践力を身につけること.及び、地球の気候変動に 対応するために、再生可能エネルギーの開発と省 資源に必要な科学リテラシー素養を身につけさせ る,ことをねらいとしての実践である一  〈小学校社会〉「電気の確保」(3、4学年)の単 元では、電力需要の増加に対して、主に火力、原 子力、水力の発電所から送り出される電気で安定 供給が図られている現状について学び、火力発電 所や原子力発電所では、これまでは安全や環境保 全に配慮していて、安全性の確保にも努めていて、 東日本大震災以降もさらに継続を続けていること など、低炭素社会での電気エネルギー施策につい 考えるようにする。  〈小学校理科〉「電気の利用」(6学年)の単元 では、エネルギー資源の有効利用という観点から 電気の効率的な利用に関心を向けるようにする。 例えば、手回し発電機や電解コンデンサーを用い て発光ダイオードと豆電球の点灯時間を比較し、 発光ダイオードが豆電球より長く点灯することか ら、今日の電力危機における家庭の照明機器選択 のヒントを得るようにする。  また、「人と自然」(6学年)では、人間を含め た生物が生きるためには水や空気、食べ物、太陽 のエネルギーなどが必要なことを理解させ、自然 を愛する心情を育て、自然環境と人間との共生の 手立てを考えながら、低炭素社会の実現を目指す 自然観をもつようにさせる。 〈小学校家庭〉「住まいの工夫」(5、6学年)の単 元では、年間を通しで快適な生活を送るための暑 さ・寒さへの対処法や、それらと通風・換気との かかわり、適切な採光の必要性などについて考え る。こうして、自然を生かして住むことの大切さ を理解し、より快適に住むために工夫できるよう にする.そして、生活スタイルを変えて、低炭素 社会の実現を図ることを目指すようにする。 〈事例〉下水道を素材に低炭素教育を推進する  環境問題は、人類の将来の生存と繁栄にとって 重要な課題であり、児童生徒が環境についての理 解を深め、責任をもって環境を守るための行動が

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図4 水再生センターにおける低炭素教育 とれるようにすることをすることである。学校現 場における環境教育の目標は、自分自身を取り巻 くすべての環境に関する事物・現象に対して,興 味・関心をもち,意欲的に関わりり,環境に対す る豊かな感受性をもつことができるようにする。 (環境に対する豊かな感性)身近な環境や様々な 自然,社会の事物・現象の中から自ら問題を見付 けて解決していく問題解決の能力と,その過程を 通して獲得することができる知識や技能を身に付 けることによって,環境に関して,持続可能な社 会の構築につながる見方や考え方を育むむように する。(環境に関する見方や考え方の育成)、環境 保全のためにどのような生活様式をとり,どのよ うな実践的な行動をとるべきかなどについて考え て行動することや,持続可能な社会の構築に向け て,将来においてもよりよい環境を創造するため の働きかけをすることができる実践力も培うよう にする。(環境に働きかける実践力の育成)とさ れている。  学校における環境教育は概観すると、持続可能 な社会の形成にかかる環境への配慮等について は、社会や家庭、生活の教科で指導され、環境に 関する知識・理解は、社会、理科、家庭などの教 科及び、総合的な学習の時間で指導され、環境に 関する体験活動は特別活動とりわけ、その領域の 勤労生産!奉仕的行事で、及び総合的な学習の時 間などで、環境保全、自然保護などの心情は理科 や道徳などでそれぞれ、児童生徒の発達の段階に 応じ指導されているのが現状である。  総合的な学習の時間や特別活動については学習 指導指導要領に具体的な活動内容は示されていな いため、学校の教育課程によっては扱われないこ ともある。それにひき換え各教科ではその指導内 容に即して、環境教育としての価値目標を付加し て指導することができる。環境学習の場としては 「各教科」は優勢を占めている。  このような立場にたって、低炭素教育に適応し た内容を試みにあげてみれば表1のようになる。  学校の教育は指導内容の充実(増加)に見合う ような授業時数の増加はなく、余裕のない状況で あるので、たとえば教科としての環境科を設定し たり、学習指導要領の項目の加えたりするなどの、 これ以上の内容の増加は望めない現状である。  下水道に関する教育は上記のように社会、理科、 家庭などの当学年の教育課程にあらかじめそれぞ れの教科のねらい達成しながら、併せて環境教育 としての目標を付加してカリキュラムを再編成す ることが現実的かつあまねくより多くの教室で下 水道教育をすすすめるための策である。  実施されるのが、学年で多くても数時間程度の 下水道教育であっても、その時代の要請に応える 今日的な価値は他の教育活動とし比しても決して 劣るところはない、まちづくりを支える環境教育 の重要な一翼を担うことができる。  本実践では学校6学年の理科「電気の利用」の 体験学習として、水再生センター(下水処理場) の見学を行う。そこではまず、センター内の太陽 光発電装置を見学する。下水処理場での年間発電 量は、一般家庭の約160世帯分であることを認識 させて、実際の生活での利用(実用化)について も関心をもたせ、水処理工程で使用する電力の約 40%は反応タンク内での微生物の曝気に使用され ていることや、太陽光発電パネルの下は下水処理 施設になっていることなどについて調べるように する。  これにより、電気は創り出せるものとして、「エ 表1 教科等 ねらい 内容 小学校 廃棄物処理と 地域の廃棄物処理方法等を 社会3.4年 自分たちの生 調査し、廃棄物処理が果た 活や産業との す役割や意味を考えさせ、 関わりり 廃棄物を資源として活用す ること 中学校 自分や家族の 間の生活によって生じた廃 技術・家庭 消費生活が環 棄物は、環境の保全に十分 (家庭分野) 境に与える影 配慮し環境を汚染しないよ 響 うに衛生的な処理の必要性 高等学校 自然環境の保 水や大気の汚染、地球温暖 総合理科 全に関する態 化、生物の多様性などを取 度の育成 り上げ、生物と環境とのか かわり、地球環境の保全の 重要性などを扱う

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82 「東洋大学文学部紀要」第65集 教育学科編 XXXVII(2011年度) ネルギーの変換,と保存」を学ぶ。そして、太陽光 発電パネルから創られたエネルギーを下水処理に も利用できるとして、「エネルギー資源の有効利 用」についても理解を深めるようになる。日常生 活と電力利用は密接に関係することを実感させ、 従来の化石燃料を使った火力発電に加え、太陽光 発電、バイオマス発電、小規模水力発電などの再 生可能エネルギー発電についても児童の関心を向 けることができる。 4 先進的に実践されている低炭素教育   〈中学校〉 〈中学校社会〉中学校の社会科では「資源・エネ ルギーと産業」で日本の安全保障の観点から資源・ エネルギーの安定確保の重要性を説いたり、日本 が直面するエネルギー・環境問題への理解を深め たり、持続可能な社会構築のために何をすべきか を、生徒の課題とする。  環境汚染や自然破壊が地域や国家の問題である とともに、地球規模の問題となっていることや資 源・エネルギーが不足してきていることから、一 層の省資源・エネルギー及びリサイクルなどの必 要とされていること。さらに、新しい資源・エネ ルギーの開発やその利用が必要であることを学ぶ ようにする。 〈中学校理科〉  中学校理科第1分野及び第2分野では、環境の 保全と科学技術の利用について考察し、持続可能 な社会実現の重要性を認識することをねらいとし ている。  科学技術の発展が人間生活を豊かで便利にして きたこと。エネルギー問題や環境問題などを解決 するためにも科学技術が重要であること。科学技 術の発展と人間生活とが密接な関わりをもってい ることの認識を深めさせる。 〈中学校技術・家庭〉  技術家庭の「技術分野」では、持続可能な社会 の構築やものづくりを支える能力の育成を重視し ている。学習指導要領では、「科学技術の発展は、 情報化の進展や生活環境の向上をもたらす一方、 自然環境の破壊や資源・エネルギーの浪費などの 問題を生じさせている実情もある」と改訂された。 しかし、低炭素社会の実現や自然環境の保全には 科学技術の進展が貢献していることにも気付か せ、自らの生活を改善するためには必要な情報・ 技術を取捨選択するよう指導することとされて る。これは、今日の生徒が持つ、科学技術弊害論 を払拭するためにも極めて大切なことである。突 き詰めれば、低炭素社会を実現する教育の力も、 科学技術教育の充実に依るところが大きいという ことができる。  このように、技術が環境問題の原因と解決に深 く関わっていること。技術の進展が資源やエネル ギーの有効利用、自然環境の保全に貢献している ことについて、具体的な活動を通じて学ぶように する。 〈事例〉  中学校1年の単元「生活や産業の中で利用され る技術∼環境を守る科学技術の開発∼」では、以 下2点の目標に向けた教育が進められている。  有限な化石燃料の利用を減らして、再生可能エ  ネルギーを利用した豊かな生活の実現をめざす。 ○発電所や運輸、家庭などが進める温室効果ガス 出量削減のための技術の開発の現状を知る。  授業の中では、太陽光発電、風力発電、地熱発 電などを取り入れている諸外国と日本の現状につ いて比較し、次に、火力、原子力、水力及び再生 可能エネルギーを利用した発電所の長所と短所に ついて、グループで話し合い、表にまとめる。  展開としては、最近の電気自動車やハイブリッ ドカーの、走行性能、価格などの急速な進展につ いて調べる。また、国産のリチウムイオン電池で 駆動する軽自動車が、補助金付きではあるが、 200万円を切る価格で販売されたこと(従来は2 倍以上の価格だった。)車重の多くを占めていた バッテリーの改良等により軽量化を図ったこと。 電力不足による計画停電時などの非常時に対応し たACIOOVを供給できる電源端子を装備してい ること などについて生徒が気づくようする。  さらに、ハイブリッドカーや、水素を燃料とし た燃料電池車の普及、そして再生可能エネルギー の開発には、日本の科学技術が大きな役割を果た し、低炭素社会の実現にも寄与していることを理 解させる。 5 教員養成・研修に求められる   低炭素教育リテラシー  教員の多くは、教員養成時に低炭素教育の基盤 となるエネルギー・環境教育やその指導方法論等

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を学ぶ機会を、多くは持たなかった。  当然、今日の複雑で多様化する地球規模の環境 問題の現状・原因を捉えて、低炭素教育を推進す ることは困難である.まして、20H年の東日本 大震災以降の日本のエネルギー問題を解決するた め、学校教育に求められる課題に応えるのはより 困難なことである。  教員養成課程でのエネルギー・環境教育の履修 はもとより、教職大学院や教員免許更新時におい ても、環境教育関連の履修コースを増強して必修 科目にするべきという意見は多くある。*1  また、環境省も、教員養成課程での環境教育履 修を義務化すべきという立場をとっている。  大学の教員養成課程では、教職課程の枠を超え て、エネルギー・環境リテラシー及びその教育の 科目を開設し、将来的には必須科目にすることが 求められてる。  現職教員の低炭素教育リテラシーの育成は、研 究団体での研修という形で行われることが多いの が現状である。その事例のいくつかを以下に示す。  全国小中学校環境教育研究会は、1964年より 小中学校の環境教育をテーマとして教師の実践研 究をすすめている。近年では、テーマを「豊かな 人間性を育てる環境教育」として、環境教育がつ くり出す低炭素社会を追究している。23年度は、 東日本大震災の被災地である気仙沼市の教育長の 強い要請を受けて、同市の大谷小学校で全国大会 がll月25日に開催された。そこでは全国の学校 から、教員の研修と実践の成果が寄せられ、活発 な議論が交わされた。  同会が毎年実施しているエネルギー教育の現地 研修会では、首都圏にある火力発電所を見学して いる。ここではLNGを燃料としたコンバインド サイクルを使っている。ガスタービンで発電し、 さらに排ガスで高温の蒸気を発生させて蒸気ター ビンに送り、蒸気タービンでも発電を行う。この システムは、発生する電力あたりのCO2排出量 が少なく、熱効率の高い発電方式で、研修参加者 はエネルギーの有効利用について学ぶことができ る。  今日のエネルギー問題に即応的な対応を要する 状況では、この発電方式はもっとも現実的な選択 だと考えられている。  日本エネルギー環境教育学会はその設立趣旨 (2005年〉の中で、以下の3つを掲げている。 (1)持続可能な社会の構築に向け、日常生活や産  業活動の基盤となるエネルギーの開発・利用・  供給と環境保全の在り方について、総合的な観  点から考える、 (2)次の時代を担う青少年層が、エネルギー・環  境に関する問題や課題を自分自身の問題や課題  として考え、将来において適切な意思決定と行  動をするための素地を養う。 (3)科学的思考力、社会的思考力、日常生活の中  での実践力、総合的な判断力に基づいた意思決  定能力や問題解決能力等の育成を目指すエネル  ギー・環境に関する教育に関する研究。  全国大会の報告(2010)では、近年の地球環境 問題に対する危機意識の高まりや発展途上国の急 激なエネルギー需要増加に伴う国際石油需給の逼 迫化等を背景に、教師及び教師教育を進める大学 教員等のエネルギー・環境教育への関心の高さが 感じられる。  たとえば、多彩なゲストティーチャーを招いて 学習し、その成果を学校内外に発信した「家庭・ 地域と連携したエネルギー・環境教育の実践(小 学校)」や、エネルギー・地球温暖化問題におけ る原子力の役割、原子力エネルギーの安全と安心 等について述べた「原子力の教え方一先生の疑問・ 質問に答え、意見交換をする(小・中・高)」と いう論文がある。また、実験校の特設教科で、エ ネルギーと社会・環境の関わりについて基礎的な 知識の習得と現状を認識し、生徒が自ら判断する 態度を養う「スマートグリッド生活の関わりを考 える科学技術科の実践(中)」などの事例も紹介 されている。また23年度には、「原子力エネルギー にたよらない社会に対する児童の意識」の調査や、 「未来に展望が開けるエネルギー・環境教育をめ ざして」など、今日の課題に対応したものが多く 掲載されている。

5低炭素教育で求める子どもの学びと

  授業のシナリオ  これまで、低炭素教育でめざす子どもの姿を描 いてきた。それは未来に生きる子ども達が、我慢 したり国民としての厚生の基準を下げたりするこ となく現状の生活をさらに向上させながら夢と希 望をもって明るく楽しく生きことができる子ども の姿である。  子ども達は各教科や総合的な学習の時間を通じ

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84 「東洋大学文学部紀要」第65集 教育学科編 XXXVII(2011年度) て、○化石燃料に過度に依存することなく再生可 能エネルギーの有効活用、省エネルギー生活への 転換、分散型エネルギーの利用、地方の自立をう ながす社会の実現.○我が国の先進的な科学技術 が太陽光発電、風力発電などの、再生可能エネル ギーの活用や発電の高効率化、送電ロスの削減、 スマートグリッドの推進、蓄電池の改良など省エ ネと新しいエネルギーの概念と活用。○我が国の 伝統的な低炭素社会の知恵に学ぶ節電、節水など による電力消費量の削減による電力危機の回避な どについてそれぞれの教科の特質と発達段階に応 じて学んでいる。 低炭素教育を進める授業のシナリオ  各教科で具体的な指導の目標とねらいを授業の 規準として示すと以下の表2のようになる。各学 年でいずれかの教科もしくは総合的な学習の時間 において一つの単元を指導することがあれば、低 炭素教育として必要かつ十分な内容ということが できる。 表2 小学校、中学校における低炭素教育の構成 小学校い2年 小学校3、4年 小学校5年 小学校6年 中学校1年 中学校2年 中学校3年 ・身近な地域 ・環境の保全 国家社会の ・ 世界各地の人々の生活と環境 〈健康な生 と自然 発展に尽く 自然エネルギーと産業 消費、環境の課 活や良好な 〈災害の防止 した人 題 自然環境〉 原発事故〉 ・世界の中の 地域間の結びつき ・飲用水、電 ・我が国の産 日本の役割 地域の自然災害に応じた防災対策 気、ガスの 業 〈地球環境、 国際社会における我が国役割 〈高度経済 社会 確保と廃棄 〈食料自給、 国際協力〉 成長,科学技術〉 物の処理 電力事業、情 国民の生活と政府 〈環境の保全 社会保 災害、事故 報化〉 障、消費者の保護〉 の防止 ・社会事象の ・世界平和と人類の福祉 〈地球環境 資 人々の生活 調査 源・エネルギー〉 の変化 〈統計、資料 よりよい社会の形成 〈持続可能な社会の の活用〉 構築〉 光の性質(3 ・電流の働き ・電気の利用 光と音く太 ・電流く電力、 エネルギー 年)く太陽 〈電力消費〉 〈発電、蓄 陽光電〉 省エネ〉 〈熱の伝導、 光発電〉 天気の変化 電、発熱〉 ・物質のすが ・電流と磁界 エネルギー 電気の通り 〈気候変動〉 ・燃焼の仕組 たく化学物 〈発電〉 変換、新工 道(3年)・ みくバイオ 質〉 化学変化 、不ルギー、 電気の働き マス ニ酸 ・状態変化 〈地球温暖 放射線〉 〔4年) 化炭素の排 〈海面上昇〉 化〉 ・科学技術の ・水の三態変 出〉 火II1と地震 気象観測 発展 化く気候変 ・生物と環境 〈地熱発電、 日本の天気 自然環境の 理科 動〉(4年) 〈空気、水、 防災〉 保全と科学 身の回りの 食物連鎖、 技術の利用 生物と環境 炭素循環〉 ・生物と環境 のかかわり 〈環境調査、 (3年)〈環 〈地球温暖 境保全〉 化〉 太陽と地面 ・太陽系と恒 の様子(3 星く太陽の 年)く太陽 エ ネ ル 熱利用〉 ギー〉

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1家庭 技術・家庭 近隣の人々とのかかわり 食育 季節の変化に合わせた快 適な住まい 身近な消費生活と環境 環境に付加を掛けない工

k

生活や産業のなかで利用されている技術 エネルギー変換に関する技術 評価 活 用 製作 ・生物の成育環境 家庭生活と地域のつながり 地域の食文化 住居の機能と住まい方 : 環境に配慮した消費生活の工夫 ・家庭生活を ⋮ ’ 支える家族 と牛活 地域で生活 生活 公共物や公 共施設 自然の変化 地域の人々 と交流 下水道分野に ESD(持続可能な発展のた 放射線・原子力発電で進める低炭素教育詞 よる低炭素教 めの教育) で進める低炭素 ・ プレートの変化と地震による災害 育 教育 地震発生によ る放射能汚染 下水処理場 国際機関、 各国政府、 放射線による外部被曝と内部被曝 総合的な学習 の働き NGO、企業等あらゆる主 . 原子力発電の仕組みと我が国の電力供給 の時間 ・再生可能工 体間で連携を図る 再生可能エネルギーによる発電 (教科横断的 、不ルギー ・環境、エネルギー、福祉、 な内容) 自然界の水 平和、 開発ジェンダー、 〈展開例〉 循環 子どもの人権教育、国際 自然界の炭 理解教育、 貧困撲滅、紛 素循環 争防止教育など 地球温暖化 防止 注

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低炭素社会戦略センター 小宮山宏2010を参照 文部科学省 小学校学習指導要領 2008  文部科学省 中学校学習指導要領 2008 日本学術会議環境学委員会環境思想・環境教育分科会 2008 佐々木 清 (郡LL[市立明健中学校)学習指導案 2011を参照

参照

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