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放牧草地の利用に関する研究

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Academic year: 2021

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北 海 道 草 地 研 究 会 報 第20号 :108-111 (1986)

放 牧 草 地 の 利 用 に 関 す る 研 究

I

掃除刈が草生と家畜の採食行動に及ぼす影響について 長 谷 川 信 美 ・ 山 形 雅 宏 ・ 池 滝 孝 ・ 岡 本 明 治 吉田 則人(帯広畜産大学) 緒 Eヨ 高泌乳牛の効率的飼養や,狭小な草地の有効的利用などの見地から放牧飼養におけるエネルギ-効 率が問題にされ,最近は一部の地域を除いて乳牛の放牧はほとんど顧みられなくなった。しかし広大 な土地基盤を有する経営や地形的に恵まれない地域は勿論の乙と,一般的な経営においても,育成牛 や乾乳牛の放牧利用は重要であり,肉牛についても経済的な肥育基礎牛の飼養には欠くことはできな い。さらに将来乳生産コストの低減の必要性が強まった場合,放牧飼養が再認識される可能性も高い口 いずれにせよ現在の高泌乳牛飼養形態を一方で認めた上でも放牧による飼養の必要性は決してなくな らないと考える。 本試験は,放牧草地の効率的利用を追求し,面積当たりの家畜の生産性を高める目的で放牧地の掃 除刈が,草生,家畜の行動,摂取栄養量に与える影響を検討した。 材料および方法 供試草地は,帯広畜産大学付属農場のオーチヤードグラス (Dactylisglomerata L.)主体混播造 成5年目草地である。 試験区分は,退牧後掃除刈を行なう実験区と行なわない対照区を設け,両区とも 1牧区14aで3牧 区を使用した。 放牧方法は,全日放牧で,牧草再生の変動を除去するために滞牧日数は最長で3日間とした。 供試牛は,ボノレスタイン種育成牛で,試験開始時の月齢は10--14カ月,体重は平均365kgであった。 試験期間は以下のように4期行ない,試験期間以外は,隣接した草地にて放牧した。 試験調整期 6月12--21日, 3日/牧区, 7頭/牧区 試 験 I期 7月9--15日, 2日/牧区, 5頭/牧区 試 験 E期 8月5--11日, 2日/牧区, 7頭/牧区 試 験 E期 9月9--18日, 3日/牧区, 5頭/牧区 入牧日数と頭数は,放牧強度が60~ぢとなるように調整した。 入牧日および退牧の次の日に,草量,草丈,草種割合の調査を行なった。草量は 1.3mx5m= 6. 5 rrlを3カ所刈取り,入牧前後の草量差lとより採食量を推定した。草丈と草種割合は,牧区の対角 線上を20仰間隔で200地点調査した。 家畜の行動観察は,採食,反努,休息について,調整期,試験1•

n

期は5時----19時,

m

期は日長 の関係で5時----18時の間, 10分間隔で行なった。

(2)

-108-北 海 道 草 地 研 究 会 報 第20号(1986) 結果および考察 表1に各期ごとの草量および採食量を示した。 10a当たりの生草量は各期とも,放牧前および放牧 後のいずれも,実験区より対照区の方が多く,平均で放牧前草量は実験区が662kg,対照、区が942kg 放牧後草量は,実験区が283kg,対照区が560kgで、あった。 体重当たり%の採食量は,生草ではI E期lと実験区の生草および乾物採食量 が減少したのは, 1期とE期の聞の期間 が干ばつとなり,実験区の再生草量が極 端に少なかったためと考えられる。 図1~乙放牧前および放牧後の草丈と標 準偏差を示した。草丈は各期とも,オー チヤードグラス,ラジノクローパの両者 とも,実験区より対照区が高くなったロ オーチヤードグラスでは,放牧前の実験 区と対照、区の草丈の差は,期が進むにし たがし、小さくなった。また,放牧後の草 丈は,実験区が進むとともに小さくなっ たのに対し,対照区では逆の結果を示し た。ラジノクローパで、は,放牧前の草丈 の差は,期による違いは小さく,放牧後 の草丈の差はE期に大きくなった。また 標準偏差は,どちらの草種も,各期とも, 実験区に比べ対照区で大きくなった口 これらの乙とは,掃除刈を行った実験 区は均一に採食されたのに対し,掃除刈 を 行 な わ な か っ た 対 照 区 は 不 均 一 に 採 食され,不食過繁地の形成を示している と考えられる。そのため対照区には,実 験区にはない出穂茎が見られた。 図

2

~乙,放牧前および放牧後の牧草成分を示した。粗たんぱく質含量は,各期とも,放牧前よりも 放牧後の方が低く,また実験区よりも対照区のほうが低い値を示した。繊維分画の NDFとADF含 期l乙差はなく, II期に実験区が低く,

m

期l乙実験区が高い結果となった。 1,II, E期平均の生草採食量は,実験区と対照 区には差はなかった。また,乾物量は, I期とE期両区l乙差はなく, II期l乙実験 区が低くなった。平均で両区に差はなか った。 表1 草量および採食量 草量(生草kg/10 a ) 採食量(体重野) 放牧前放牧後強度(矧 生 草 乾 物

E

x

p

.

688 93 86 11.4 2.5 0期 Cont. 785 127 84 12.5 2.6

I

Exp

.715 434 39 11.1 1.8 Cont. 889 600 33 11.2 1.8

E

x

p

.

548 245 55 8.6 1.3

E

期 Cont. 951 582 39 10.4 1.5

E

x

p

.

723 171 76 14.0 2.2 皿期 Cont. 986 499 49 11.9 2.3

I

m

Exp

662 283 57 11.2 1.8 平 均 Cont. 942 560 40 11.2 1.9 放牧前草量一放牧後草量 強度(%)=/.LAlArJ 'J Z:;::_.~:;;(9<.. -;---x 100 放牧前草量 一軒巾門川川川川一] J 、 -ノ -一 ー 1 1 l ﹄ ロ 1 市 川 川 リ 力 / 一 ノ ノ 刊 H 川 F l i t ム ジ I l --﹂ - フ ー i j

淵 nunuunU 、 J I υ u n n ペ U 円 〆 山 噌 l ム , l ( α)nオーチヤードグラス 80 差 区 区 偏 羽 目 主 F E O J E C !lEC 70 60 50 40 30 20 10 0 放 放 放 放 放 放 放 放 牧 牧 牧 牧 牧 牧 牧 牧 前 後 前 後 前 後 前 後 0期 I期 E期 E期 図 1 放牧前および放牧後の草丈と標準偏差

(3)

-109-北 海 道 草 地 研 究 会 報 第20号(1986) 量は,各期とも,放牧後に高くなり,また実験区よりも対照区のほうが高い値となった。 NDF含量は 乾物摂取量, ADF含量は乾物消化率と負の相関があることが知られている1)。掃除刈を行なう乙と により,乾物消化率が高くなったと考えられる。また, II期l乙,実験区,対照区ともに,粗たんぱく 質が低下し, NDF, ADF含量が増加し栄養価の低下がみられた。 DMkg

I

~I

団口

実験区 対照区 11+ 1 N 1 51 4 3 2 ι - N D F実験区 bー- A D F実験区 ←

-cP

実験区 DM% ロ----oNDF対照区 』 ・---<>ADF対照区 0---0 CP対照区

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40 30i

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3

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0期 I期 E期 E期 図

2

放牧前および放牧後 の草体成分 0期 I期 E期 E期 O期 I期 E期E期 0期 I期 E期 E期 図3 体重500kg換算の乾物養分摂取量 図3,乙,体重 500kg換算の乾物摂取量を示した。組たんぱく質摂取量は. I期と E期l乙,乾物摂取 量は同量であるにもかかわらず,実験区のほうが対照区よりも多くなった。 E期は,実験区のほうが 乾物摂取量が少量であったが,粗たんぱく質摂取量は同じとなった。 図4,ζ,各期ごとの日中行動割合を,放牧第1日目から最終日までの平均値で示した。各行動割合 は,実験区と対照区の聞に大きな差はなかった。採食時間は E期に減少し E期に増加した口休息時間 は逆に, II期に増加し,

m

期に減少した。乙の乙とから,放牧地の管理よりも気温などの環境要因が 乙れらの行動変化に及ぼす影響が大きいものと考えられる。 各試験期を通してみると,採食量および日中行 動時間は,実験区と対照区l乙明らかな差はみられ なかった。しかし,牧草成分は,各期とも実験区 が対照区よりも,粗たんぱく質含量が高く

(P<

0.05) , ADF含量は低く (p

<

0.05) ,掃除 刈を行なうことにより,粗たんぱく質摂取量は多 くなる乙とが示された。また,掃除刈を行なうこ とにより,不食過繁地が抑圧されたの。そして, 佐藤ら3,4)が指摘している出穂茎による不食要因 も除かれるため,均一な草生が維持されることは 本試験においても観察された。 これらのことから,草地を効率的に利用し,面積当 たりの家畜の生産性を高めるために,掃除刈は有 54.4 採 食 53.9 48.2 盛一一一企 45.7 46.1 休息 42.5 50.6 係 食 51. 7 図4 日中行動割合 n U 41 ム

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北 海 道 草 地 研 究 会 報 第20号(1986) 効な手段と考えられる。 摘 要 放牧地における掃除刈が,草生・家畜の行動・摂取栄養量に与える影響について検討した。 1 体重当たりの乾物摂取量は,両区に有意な差はなかった。 2. 掃除刈を行なう乙とにより,不食過繁地が抑圧され,均一な草生が維持された。 3. 牧草成分は,粗たんはく質で,実験区が有意に高く(P

<

O. 05) , AD F 含量で有意に低値 (P

<

0.05.)となった。 4. 粗たんぱく質摂取量は,掃除刈を行なった実験区が対照区よりも多くなる傾向がみられた。 5. 放牧草地における日中行動では,両区に有意な差はみられなかった。 参 考 文 献 1) Van Soest P.

J

.

(1965) ;

J

.

Anim. Sci., 24: 834 - 843 2 )高野信雄・鈴木慎二郎・難波直樹・山下良弘(1969) ;北農試嚢報, 94: 73-78 3)佐藤康夫・早川康夫(1970) ;日草誌, 16: 233 - 234 4)佐藤康夫・早川康夫(1970) ;北草研会報, 4 : 56 4 a A 4 E E ム 1 i

参照

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