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小林 亮介

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Academic year: 2021

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第 85 回獣医学会講演抄録

【はじめに】

腎糸球体における選択的濾過機能を担う係蹄壁は,

内皮細胞,糸球体基底膜,足細胞(上皮細胞)から 構成されている。近年,係蹄の表面を覆う足細胞が 高分子蛋白質の障壁として重要な役割を持ち,臨床 的に糸球体傷害の指標とされる蛋白尿と足細胞傷害 に密接な関連があることがわかってきた。足細胞は 末梢に足突起とスリット膜という特殊な微細構造を 有し,これらには足細胞の構造と機能を維持してい る足細胞関連分子が発現している。犬の糸球体疾患 において足細胞に関する研究はほとんどなされてい ないため,今回,正常犬及び糸球体腎炎罹患犬にお ける足細胞関連分子の発現を検索した。

【材料と方法】

正常犬の腎皮質から単離した糸球体より抽出した Total  RNA から cDNA を作製,イヌ nephrin のプライ マーを用いた RT-PCR をおこない,増幅産物のシー クエンスをおこなった。抗体として,合成ペプチド を免疫原として作製したウサギ抗イヌ nephrin 精製抗 体と,抗ヒト podocin 抗体,抗ヒト integrin-α3 抗体,

抗ヒト

α-actinin-4 抗体を用い,蛍光抗体法とウエス

タンブロット法により糸球体における各々のタンパ ク分子発現と局在の検索をおこなった。また,持続 性蛋白尿を伴う糸球体腎炎 3 例の生検材料について,

電顕観察を含めた形態学的検索とともに,これら分 子のタンパク発現を正常犬のそれと比較した。

【結 果】

正常な腎糸球体において,RT-PCR により nephrin の遺伝子発現を確認した。また,特異抗体を用いて 検索した 4 分子に関して糸球体での発現と局在を証 明した。蛍光抗体法における染色像は,いずれも糸 球体表面を覆う足細胞のパターンを示していた。糸 球体腎炎例においては,形態学的変化は様々であっ たが,いずれも電顕的に足突起の癒合,スリット膜 の消失などの足細胞傷害がみられ,足細胞関連分子 の染色性の低下が観察された。足細胞関連分子のう ち,nephrin の低下が特に顕著であった。

【考 察】

足細胞関連分子が,犬の正常腎糸球体に発現して いることを確認した。また,足細胞傷害を伴う糸球 体疾患において,特に nephrin の発現が低下している ことが示唆された。足細胞関連分子はスリット膜の 主要構成分子である nephrin を中心に,機能的な相互 作用を持つことが知られている。足細胞傷害は蛋白 尿と密接に関連していることから,犬の糸球体腎炎 においても nephrin の発現低下が蛋白尿と関連してい る可能性が示唆された。

37

小林 亮介

1

,安野 恭平

1

,荻原 喜久美

2

,上家 潤一

3

,代田 欣二

1, 3

1麻布大学・生物研,2環境病理,3獣医病理

第 85 回麻布獣医学会 一般演題 1

参照

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