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中学校技術科における環境教育の現状 −奈良県の 場合−

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

中学校技術科における環境教育の現状 −奈良県の 場合−

著者 谷口 義昭, 久下沼 有希子, 吉川 裕之, 吉田 誠

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 48

号 1

ページ 49‑58

発行年 1999‑11‑10

その他のタイトル Present Situation of Environment Education in Industrial Arts of Junior High School −In the Case of Nara Prefecture−

URL http://hdl.handle.net/10105/1459

(2)

奈良教育大学紀要 第48巻 第1号(人文・社会)平成11年

Bull. Nara Univ. Educ‥Vol.48, No.KCult. & Soc.), 1999

中学校技術科における環境教育の現状

奈良)上Dii;杏

谷 口 義 昭・久下沼 有希子*

(奈良教育大学木材加工教室) 吉 川 裕 之 (安堵町立安堵中学校)

吉 田  誠 (奈良教育大学技術教育学教室)

(平成11年4月30日受理〕

キーワード:環境教育、技術科教師、意識

1.は じ め に

水源滴養、自然災害防1上空気浄化としての森林、再 生産可能な資源、住環境に適する材料とLての木材、等々、

快適な生活を営む上で森林と木材は私たちに多くの効用 をもたらしてくれる。しかし、樹木を無計画に伐採する 光景がテレビ等で報道されると、 「計画的樹木伐採‑国 土保全大住環境保護x適正木材利閏」の方程式は根底か

ら否定されてしまう。すなわち、森林から樹木を伐採す ることすべてが森林破壊になり、ひいては地球環境の破 壊につながると短絡的に考えられる傾向が近年強まって いる、と感じられる中。

さて、オゾン層の破壊、地球温暖化、ゴミ処理による 夕㌧イオキシンの発生等、私たちの前には早急に解決しな ければならない環境問題が山積しているO さらに、長期 的視野から環境問題を展望すると、将来を担う子どもた ちに、木材伐採と木材利用が地球環境に及ぼす影響を学 習させ、また正しい知識を習得させ、加えて正しく判断 する能力を育成させることは重要な課題であり、これら のことに学校教育が果たす役割は多大であると言える。

折しも、 「21世紀を展望した我が国の教育の在り方に ついて」を検討してきた中央教育審議会は、このたび審 議のまとめを公表Lたt2'o その中に、学校教育において 環境教育の取り組みの重要性を指摘している。

現行の中学校技術・家庭科の教科書(3Jを見てみると、

技術系列の木材加工、電気、金属加工、機械、栽培、情 報基礎の6つの学習領域、家庭系列の家庭生活、食物、

被服、住居、保育の5つの学習領域に環境問題に関連す

* 現在 水戸市立第三中学校勤務

49

る内容が掲載されており、このことからも技術・家庭科 教育における環境教育の重要性が推察できる。

川谷ら(1、いも環境教育に注目し、 「技術科として担う べき環境教育の方向性」、 「環境領域の設置の必要性」、

また「中学校の環境教育の現状」について文献の調査研 究を行い、環境教育の重要性を報告している。しかし、

環境教育が展開されている異体的な現状、および各学習 領域についての検討は行われていない。

このような状況を,3、まえて、著者らは、中学校の教育 現場で技術科を担当している教師が、環境教育に対して どのような意識を持ち、授業で如何に展開しているか、

現状をより具体的に把握するために、アンケ‑卜調査を 行った。本報告は、これらの結果を基にして、学校教育 で展開する環境教育、とりわけ中学校技術科における木 材加工領域から見た環境教育は如何にあるべきかを研究 するための基礎資料を得ることを目的とした。

2.研 究 方 法

2.1調査の方法

平成9年10月、奈良県内の国立、公立、私立中学校で 技術・家庭科の技術系列を担当している教師に、環境教 育に関するアンケート用紙を郵送した(110校に発送、

1校当たり1人)。郵送した学校のうち77校、 77人から

回答を得た(回収率: 70.0%)。

(3)

50

谷 口 義 昭・久下沼 有希子・吉 川 裕 之・吉 田   誠 2.2 調査の内容

調査を行うに当たって、環境教育について中学校指導 書技術・家庭編̀6)に次の内容が示されていることをア

ンケート依頼文に添えた。 「家庭生活や社会生活と技術 とのかかわりについて理解を深める(技術・家庭科の目 標の一部)、すなわち科学技術の発達と産業経済の発展 で引き起こされた生活環境の汚染や環境破壊と技術との 関わりについて理解を深めさせる。」

この中学校指導書を基にして実施した環境教育の実態 調査の内容を〔資料〕として末尾に示す。質問は、概略 次に示す6つの内容である。

1)環境教育‑の関心の有無

2)環境教育に関する授業展開の有無 3)授業で取り上げた環境問題

4)技術科に関係深いと思われる環境問題 5)環境教育を授業展開していない理由 6)環境教育に求められる教材

3.結果 と 考察

3.1環境教育への関心と授業展開について

技術科で「現在授業展開している学習領域」と「環境 教育を展開されている学習領域」を質問した。その回答 結果を図1に示すo

情報基礎 栽 培 機 械 金属加工

電 気 木材加工

伝 ‑

一 一 !

l

‑ l

[ l [

ト ー

0 10 20 30 40 50 60 70 80m

学 校 数

□畢嘩領域

図1 履修領域と環境教育を展開している領域 はじめに、授業展開している学習領域を見ると、すべ ての生徒に履修させる、いわゆる必修領域の木材加工と 電気がほぼ100%であり、情報基礎も約86%と高い履修 率を示している。なお、情報基礎の履修は奈良県教育委 員会の調査では100%であり、今回の結果は1校に複数 の教師が配属されている学校で、情報基礎の授業を担当 していない教師が本調査を回答したため100%にならな かったと思われる。それ以下履修率の高いものから機械、

金属加上、栽培の順であった。

技術科を担当する教師の環境教育に対する関心度を把

捉するため、つぎの質問「環境教育に阻L、がありますか」

を設定した。また、環境教育の展開度を見るため、 「現 在技術・家庭科の授業で、環境教育を展開されています か」を質問した。これら2つの質問、すなわち環境教育 への関心と授業展開の回答をクロス集計した結果を表1 に示す。環境教育に関心のある先生のうち、 「太いにあ る」が64%、 「少しある」が36%であり、環境教育への 関心の高さがうかがわれる。また環境問題に関する授業 を展開している学校のうち、 「毎年する」が44%と高く、

「したり、しなかったり」が36%であり、合わせて8割 という高い率で環境問題について授業を展開しているこ とがわかる。

表1 環境教育に対する教師の意識と授業の展開 環 境 教 育 へ の 関 心 大 い に 少 し は あ ま り 計

あ る あ る な い 授

莱 展 開

毎 年 す る 2 7 7 0 3 4 4 4% ) した り、

し な か つ た り

1 7 l l 0 2 8 3 摘) した こ と

が な い

5 1 0 0 1 5 2摘 ,

計 4 9 2 8 0 7 7

(6 蟻 ) O 蟻 ) (り/I)I 1 00 %) x2‑9.7** (¢ 2),  p<0.01

そこで、環境教育‑の関心と授業展開の関係を見るた めに、独立性の検定を行った。その結果1%以下の危険 率で有意差を示し(カイ2乗値:9.7、自由度: 2)、こ のことから環境教育に関心のある教師は技術・家庭科の 授業で環境教育を何らかの形態で展開していると推察で

きる。

つぎに、環境教育が展開されている学習領域を見ると、

図1から多い順に木材加工、電気、機械、金属加工、栽 培、情報基礎であることがわかる。そこで、各領域にお ける環境教育の展開率について注目した。履修領域の学 校数を母数とL、それに対する環境教育の展開学校数の 比率を展開率として求めた。その結果を図2に示す。各 領域の中で木材加工が最も高く、 62.3%であった。この

情報基礎 rmft

機 械 金属加工

電 気 木材加工

20     40     60     80

展 開 率(%)

図2 各履修領域における環境教育の展開率

(4)

中学校技術科における環境教育の現状

結果から、奈良県内の半数以上の中学校では木材加工の 授業で環境教育を展開していると言えるO一方、木材加 工と同様に履修率の高い電気は36,8%であり、木材加工 に比べて低いことがわかる。また、金属加T、機械はさ らに低く、情報基礎に至っては1.5%と極端に低かった。

自然を対象としている栽培は環境問題と深い関係があり、

高い回答率を示すのではないかと当初予想していたが、

調査ではJ.5%と意外に低い数値であった。

以上の結果から、技術科の学習領域の中で木材加工は 環境教育を展開する上でもっとも展開率の高い領域であ

ることが明らかとなった。

3,2 授業で取り上げた環境問題

設問には地球環境に及ぼす影響が大きいと思われる15 項目を列記L、この中から授業で環境教育を展開してい る学校に、授業で取り上げた項目を自由に選択回答して もらった。その結果を図3に示すO 木材加工で環境教育 を展開する学校が多かったことも影響しているのであろ うか、木材に関連する「熱帯雨林の伐採」と「木材の再 利用や間伐材の利用」が1位と2位を示し、 「リサイク

ル」かそれに続いている。また、電気・電力関係の「省

熱帯雨林の伐採 木材の再利用や間伐材の利用

リサイクル 省エネ・省資源

大気汚染 酸性雨 原子力発電 代替エネルキ.‑(水力、太陽光等)

砂漠化 有害廃棄物.産業廃棄物の問題

地球の温暖化 国内外の植林活動 農薬(環境汚染や残留農薬の人体への影響)

オゾンホール 食糧問題 海洋汚染 その他

51

エネ・省資源」や「原子力発電」、 「代替エネルギー」も 上位にきていることがわかる。

つぎに、教師が技術科教育と関わりの深いと考える環 境問題を、前の質問と同じく15項目の中から自由に選択 回答してもらった。その結果を図4に示す。 「リサイク

ル」が巌も高くなったほかは、図3の結果とほぼ類似し ていることがわかる。なお、 「食糧問題」や「農薬」な ど栽培領域を意識した項目が図3よりも幾分上位へ推移

している。

以上の2つの質問を統合して、両者の関係を検討するo 各環境問題について、実際に技術科の授業で取り上げた 学校数を横軸に、技術科と関わりが深いと考える学校数 を縦軸にとって整理すると、両者の関係は図5のように

なった。同国から、両者の問に正の相関性があることが わかる。 「熱帯雨林の伐採」、 「木材の再利用や間伐材の 利用」、および「リサイクル」の問題が右上方に分布し、

この位置は技術科と関係深い環境問題であり、かつ授業 で実際に取り上げられていると回答した分布域である。

木材関連では、技術科教育と関係が深い環境問題である と認識され、最も多数校で授業展開していることがわか る。

図3 授業で実際に取り上げた環境問題

(5)

52

谷 口 義 昭・久下沼 有希子・吉 川 裕 之・吉 田   誠

リサイクル 木材の再利用や間伐材の利用

熱帯雨林の伐採 省エネ・省資源 代替エネルキ̀‑(水力、太陽光等)

原子力発電 大気汚染 国内外の植林活動

食糧問題 農薬(環境汚染や残留農薬の人体への影響)

有害廃棄物.産業廃棄物の問題 砂漠化 酸性雨 地球の温暖化

海洋汚染 オゾンホール

その他

; j 7 WT (i U J ag P

0      0      0

5      4      3 0      0

2       1

0 10 20 3G 40 50  60 70

学 校 数 図4 技術科と関係深い環境問題

熱帯雨林の伐採

● 木材の再利用や一一一後 間伐材の判用  ● 大気汚染 原子力 リサイクル

酸性雨  ● 発電 ●省エネ・省

̀孟夏悪業r'←輔替鵬̲

資源 砂漠化ユー「.  。水力溝陽光)

の植林活動

̲′一一・・一●

地球温暖化 その他

● ●オゾンホール

海洋汚染

書農薬(汚染残留農薬の影響) 食糧問題

1 0    20    30    40    50

技術科と関係深い環境問題と回答した学校数

60     70

図5 技術科と関係深い環境問題と授業で実際に取り上げた環境問題の相関図

3.3 環境教育を展開しない理由

環境教育を展開していない学校に、その理由を求めた。

その結果を図6に示す。最も回答の多かった項目は、

「教える時間がない」である。中学校の技術・家庭科は 製作を含む実践的・体験的学習を主にしている教科であ

るという性格上、モノづくりの活動に多くの時間を割か れ、環境問題を扱う時間的余裕のないことがわかる。ま た、 「環境教育に関する適当な教材・教具がない」こと や、その定義および教科書の扱い方に問題があることも わかる。

以上の回答の他に自由記述の欄で、環境教育の重要性

(6)

中学校技術科における環境教育の現状

教える時間がない

環境教育に関する適当な教材・教具がない

環境教育だと意識したことがない

環境教育以外に教えることがたくさんある

環境教育の定義が明らかでない

教科書内の環境教育の内容では教えにくい

環境教育は家庭や一般社会など学校外で 展開すべきである

環境教育は理科や社会など他の教科で十分だ

環境教育は重要でない

苧群 青≡ 言 荘芸

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琵琶護憲宝註 定 繋 葦葦雲蓬 諾意音

[ 畏 … 昌 鞍=薬 缶 藍 芭五 五 缶荘

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0   1   2    3    4    5    6    7    8

2i ^ォ3 図6 環境教育を展開していない理由 は理解Lているが、学校の行事等で実質の学習時問が絶

対的に不足している、社会における技術の役割を教えた い、環境教育を行う前に遺徳教育が先だ、等々、技術・

家庭科の教科を取り巻く状況の改善を強く訴えた回答も Rをひいた0

3.4 環境教育への今後の取り組み

「21世紀の学校教育において環境教育は重要である」、

このことは前述したように中央教育審議会の答申で明ら かにされた。そこで、技術・家庭科として今後この環境 教育に如何に取り組むか、その方法について質問した。

結果を図7に示す。 「各学習領域の内容ごとに関わりの

m^Hi閲

[れていく

口各領域の内容ごとに関わりの深い問題を一部 取り上げる

El他教科と併せて総合的に扱う

場見学や野外活動など実地研修を行う

図7 環境教育への今後の取り組み

53

深い問題を一部取りあげる」との回答が71%を占めてい る。つぎに「他教科と併せて総合的に扱う」が17%であ る。この「他教科と併せて総合的に扱う」は、このたび の教育課程審議会の答申で明らかにされ、新設が予定さ れている「総合的な学習の時間」(7}につながる内容であ ると思われる。多くの中学校の技術・家庭科で環境教育 が展開されていることから、今後この新しいカリキュラ ムを構築する上で技術科の果たす役割が大きく、また技 術科担当教師の「総合的な学習の時間」への積極的な関

与が期待できよう。

技術・家庭科の教育目標は「生活に必要な基礎的な知 識と技術の習得を通して、家庭生活や社会生活と技術と のかかわりについて理解を深め、進んで工夫し創造する 能力と実践的な態度を育てる。」である。この教育目標 から、技術・家庭科は、体で体験する実習を通して工夫・

創造する力を育成する教科であると言えよう。そこで、

技術・家庭科で扱う環境教育においては、まず科学技術 が環境に及ぼす種々の影響を検討し、つぎに環境問題を 解決しようとする実践的な態度や能力を育成する、この 一連の学習展開が望まれる。

この学習の実践例として、ある技術科教師が次の内容 を報告している。勤務する奈良県内の中学校で、開発の 進んだ丘陵地を緑化するためにサクラの植林作業のボラ ンティアを募った。関心を持った生徒が多数参加して熱 心に植林作業を行い、植林したサクラの木も根付き目的

を達成することができたし8:。この体験学習は、環境教育

を実践に移した技術科教育の一つの貝体例であり、輝か

しい成果として捉えることができる。今後このような実

(7)

54

谷 口 義 昭・久下沼 有希子・吾 川 裕 之・吉 田   誠

践が多く出てくることを期待したい。

3.5 環境教育に求められる教材

前述3.3項の環境教育を展開しない理由で、 「環境教育 に関する適当な教材・教具がない」との回答が見られた。

そこで、あらためて環境教育を展開する上で要求される 補助教材について質問した。その結果を図8に示す。こ のなかで、環境問題を取り扱った「資料集」の回答が最 も多かった。つぎに「VTR」であり、それに収録する 内容および時間等の形態には明確な差は見られなかった。

VTRに続いて実際に生徒が体験できる体験型教材が多 かった.一方、履修率の高い情報基礎で扱える「パソコ ン用データファイル」の要求は予想外に低いことがわか る。平成12年度から必修化される予定の情報基礎で環境 教育を併せて展開することが考えられるが、技術科の教 師にはまだこの意識は低いことがうかがわれる。

「パソコン用データファイル」の回答が少なかったの は、あるいは、中央教育審議会の答申に示されている(2'、

インターネットを通しての「環境のための地球規模の学 習及び観測プログラム(GLOBE計画)」への取り組 みで充分であると認識され、新たな教材開発は不必要で あるとの見解に起因しているのかも知れない。

以上の結果から、技術・家庭科の教師は環境教育用教 材として「環境問題を扱った資料集」および視聴覚教材 である「VTR」を要望していることがわかり、今後こ れらの教材開発を行う上で参考となる。

その他

ハ73ン用データファイル2 ストー')・ゲ‑ム感覚

八。tJコン用T‑タフアイル1 映像やデータ

特車な体験型教材

紙すきpH測定 VTR 3 1つの間毒を深く

VTR 2 各問題10分程度

VTR 1 各問竜5分程度

資料集

4.ま  と  め

奈良県中学校技術・家庭科において技術系列を担当し ている教師110人を対象にして、環境教育に関する実態 調査を行った。回答結果をまとめると、以下のようであっ

m

1)環境教育への関心と授業展開について

環境教育への関心は著しく高く、また多くの教師が 環境教育を授業のなかで展開している。学習領域別に 見ると、木材加工が最も高い環境教育の展開率を示し ている。

2)授業で取り上げた環境問題について

回答が多い順に、 「熱帯雨林の伐採」、 「木材の再利 用や間伐材の利用」、 「リサイクル」、 「省エネ・省資源」

で、木材加工領域に関連する内容が多く含まれる。

3)技術科教育に関係深いと思われる環境問題について 回答の多い順に示すと、 「リサイクル」、 「木材の再 利用や間伐材の利用」、 「熱帯雨林の伐採」、 「省エネ・

省資源」で、木材関連が技術科教育と関係深い環境問 題として認識されている。

4)環境教育を授業展開していない理由について

「教える時間がない」、 「環境教育に関する適当な教 材・教具がない」、等々であり、現実の学習時間の不 足が露呈されている。

5)環境教育に求められる教材について

「資料集」や「VTR」の教材が上位にあげられ、

今後教材等の開発を行うための参考になるO

以上の結果から、中学校技術・家庭科の技術を担当す る教師は、環境教育への関心は高く、木材加工の学習領

10  15  20  25  30  35  40 学 校 数

図8 補助教材

(8)

中学校技術科における環境教育の現状

城で環境教育を展開しやすい、しかし授業を展開する上 では時間数が少ない、適当な教材・教員が少ないという 問題を有している、と結論づけられる。

引用文献

(1〕谷口義昭:未発表資料、教養科目「住環境と木材」

平成8、 9、 10年度アンケート(1996、1997、1998).

(2)文部省:中央教育審議会審議のまとめ「21世紀を展 望した我が国の教育の在り方について」、平成8年

6月18日(1996).

「3〕石田晴久他:新しい技術・家庭、上・下、東京書籍

(1997).

(4)川谷三夫他: 「技術科教師を対象とした環境教育に

55

関する意識調査」、日本産業技術教育学会誌、 37、3、

243‑251(1995).

(5)川谷三夫他: 「我が国の前期中等教育における環境 教育の現状」、日本産業技術教育学会誌、 37、4、395‑

405(1995).

(6)文部省:中学校指導書技術・家庭編、午9(1989).

(7)文部省:教育課程審議会審議のまとめ「幼稚園、小 学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護 学校の教育課程の基準の改善について」、平成10年

6月22日〔1998).

(8)山尾文夫: 「教育現場からの実践報告一木材加工実

習における実践的態度の育成について‑」、日本産

業技術教育学会誌、 41、1、45‑48(1999).

(9)

56

〔資料〕

谷 口 義 昭・久下沼 有希子・吾 川 裕 之・吉 田   誠

環境教育に関する調査

次の質問について、あてはまるものに○印を付けてください。なお、 「その他」を 選ばれた先生は、 ( )中に具体的に書いてください。

質問1 現在授業展開されている領域を○印を付け、そのうち環境教育的な内容を展 開している領域には◎印を付けてください。

①木材加工  ②電気  ③金属加工  ④機械  ⑤栽培  ⑥情報基礎 質問2 環境教育に関心がありますか。

①大いに関心がある  ②少しは関心がある  ③あまり関心がない

④全く関心がない

質問3 現在、技術・家庭科の授業で環境教育を展開されていますか0

①毎年展開している

②展開する年もあり、しない年もある

③展開したことがない  ‑‑‑‑‑質問6へ

④環境教育だと意識して展開したことがない

質問4 質問3で①、 ②、 ④に○印を付けられた先生におたずねします。実際に授業 で取り上げた内容について当てはまるものすべてに○印を付けてください。

①酸性雨 ②砂漠化 ③熱帯雨林の伐採 ④海洋汚染 ⑤木材の再利用や間 伐材の利用 ⑥省資源・省エネ ⑦大気汚染 ⑧有害廃棄物、産業廃棄物の 処理問題 ⑨代替エネルギー(水力、太陽光など) ⑩農薬(環境汚染や残 留農薬の人体への影響など) ⑪国内外の植林活動 ⑧オゾンホール

⑱食糧問題 ⑭原子力発電 ⑮リサイクル

⑱その他(

質問5 引き続き質問3で(丑、 ②、 ④に○印を付けられた先生におたずねします。今 後、環境教育にどのように取り組んで行こうと思われますか。 (複数回答可)

①授業計画の中に単元として環境教育を取り入れていく

②各領域の内容ごとに関わりの深い問題を一部取り上げる

③他教科と合わせて総合的に扱う

④工場見学や野外活動など実地研修を行う

⑤その他(

(10)

中学校技術科における環境教育の現状

質問6 質問3で③に○印を付けられた先生におたずねします。現在環境教育を展 開されていない理由として該当するものに○印を付けてください。 (複数回答可)

①教える時間がない ②環境教育は重要でない ③他の教科で扱うべきだ

④環境教育の定義が明らかでない ⑤環境教育以外に教えることがたくさん ある ⑥教科書の環境教育の内容では教えにくい ⑦適当な題材や教材、教 具がない ⑧環境教育は家庭や一般社会など学校外で展開すべきだ

⑨その他(

質問7 引き続き質問3で③に○印を付けられた先生におたずねします。今後環境 教育に取り組んでいこうと考えておられますか。

(丑考えている

②考えていない

③質問6の問題が解決すれば取り組む

④その他(

質問8 全ての先生におたずねします。技術・家庭科に関わりが深いと思われるもの に○印を付けてください。 (複数回答可)

①酸性雨 ②砂漠化 ③熱帯雨林の伐採 ④海洋汚染 ⑤木材の再利用や間 伐材の利用 ⑥省資源・省エネ ⑦大気汚染 ⑧有害廃棄物、産業廃棄物の 処理問題 ⑨代替エネルギー(水力、太陽光など) ⑩農薬(環境汚染や残 留農薬の人体への影響など) ⑪国内外の植林活動 ⑫オゾンホール

⑬食糧問題 ⑭原子力発電 ⑮リサイクル

⑬その他(

質問9 全ての先生におたずねしますo環境教育を展開していく上で、補助教材とし て使いやすいと思われるものに○印を付けてください。 (複数回答可)

①VTR (各環境問題について5分から1 0分程度に短くまとめたもの)

②VTR (各環境問題について1 0分程度に大まかに紹介したもの)

③VTR (ひとつのテーマを深く扱ったもの)

④映像やデータを集めたパソコン用データファイル

⑤ストーリーを迫ってゲーム感覚で進められるパソコン用データファイル

⑥環境問題に関する資料集

⑦簡単な体験型の教材(例、紙すき、 pH測定など) (砂その他(

アンケートにご協力ありがとうございました。

57

(11)

58

谷 口 義 昭・久下沼 有希子・吉 川 裕 之・吉 田   誠

Present Situation of Environment Education in Industrial Arts of Junior High School

‑In the Case of Nara Prefecture‑

Yoshiaki TANIGUCHI, Yukiko KUGENUMA

{Department of Wood Working, Nara Un壷rsity of Education, Nara 630‑8528, Japan) Hiroyuki YOSHIKAWA

(Ando Junior High School, Nara, 639‑1064, Japan)

and

Makoto YOSHIDA

{Department of Technology Education, Nara University of Education, Nara 630‑8528, Japan) (Received April 30, 1999)

Recently, the Ministry of Education, Science, Sports, and Culture published the view of Japanese education in the 21st century, which was deliberated by the Central Council for Education. In this educational program, the environment education was further promoted at the schools. So, we paid attention to the importance of the enviromllent education at the schools. The awareness about the environment education of teachers at the junior high school was investigated.

The results were summed up as the following six points.

1 ) Teachers took interest in the environment education, and most of them practically developed the environment education in the llldustnal arts and homemaking class.

2) Wood working area, which should be studied by all students, showed the highest development rate for the environment education among the six studying areas: wood working, metal working, electriclty, machine, cultivation, and information basis.

3) The environment problems that were taught in the industrial arts and homemakmg class were Tropical tree‑felling・ Reusing wood and Utilizing thinned wood, Recycle, Saving energy and Saving resources m order of the answer number to questionnaire.

4 ) The environment problems that were closely related to technology education were Recycle, Reusing wood and Utilizing thinned wood, Tropical tree‑felling, Saving energy and Saving resources in order of the answer number to questionnaire.

5 ) The reasons that the environment education was not developed in the industrial arts and homemaking class were for no time of teaching, no teaching materials and tools, and so on.

6 ) The teaching materials that were necessary to teach the environment education were Data collections and Video tape recorders.

In this paper, it was concluded that many industrial arts teachers took intei'est in the environment education and they wanted to obtain the teaching materials and tools on the environment education, and

studying the environment problems was most e鈷ective for students in wood working area because many of the items in connection with wood were utilized in the industrial arts and homemakmg class.

Key Words: Environment education, Industrial arts teachers, Awareness

参照

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