あるが︑
5 4
32 1
本校の実情に合わないので﹁進学・就職﹂に改めた︒
参考書
高森邦明著﹁国語科教育学﹂
昭和五十八年 教育出版大矢武師・瀬戸仁編﹁︵高等学校における︶高等学校における表現指導
の理論と実践﹂
昭和五十三年 明治書院増淵恒吉・大矢武師 編﹁高等学校作文講座︵上巻︶小梅永二・川本信幹 昭和五十六年 有精堂
小梅永二著﹁作文上達法﹂
昭和四十七年 有精堂梅原猛著﹁精神の発見﹂
一九八三年 集英社(31)
津:山高専紀要第24号(1986)
ウ
イア
き
ど
ら
ち好 項
きい
ら と も
目い
えな
い
反
12
46 42
慶
毯︿調査2>あなたは︑新聞をよく読みますか︒
ウ
イア
ほ
と 毎 項
と
きB
ん
ど 読
ど
きむ
読 ま 読
目な む い
反
10 38 52
疫
毯︿調査3Vあなたは︑日記を書いていますか︒
ウ
イア
書 と 毎 項
か き
日
な ど 書
い
き く
書
く 目反
96
3 1座
五︿調査4Vテレビの視聴時間はどれくらいですか︒
ク
キカ オ
工
ウ
イア
四
三三
二二 一 一
三項
時
間時
間時
間時
間時
問時
問時
問 ○分
半 半 半 以
内 目反
3 3
12 5 12 9 10
46疫
%)
︿調査5Vどんな番組をよく見ますか︒
カ オ
工
ウ
イア
そ 二 漫 ス ド 歌 項
の
ユ画
ポ ラ謡
他 i
・i
マ曲
ス
ア
ツ ●二メ
映
目画
反
10 4 12 18 28 28
座
%)
︿調査6>何を通じて情報を知ることが多いですか︒
区 分
マスメディア
パーソナルメディアテレビラジオ新聞雑誌小計家の人クラスの友
雛
天気予報
56 18 9
083
0
143
スポーツの結果
30
843
0
81
0 11
1
社会のできごと
25
1146
385
3
120
スターのうわさ
33 3
151
88
012
0
おもしろいギャグ
54
3 38 68
1
31 0
歌の新曲
29 24
1
36 90 0 10
0
新しい映画
19 3
462
880
12
0
流行のヘアスタイル
14
0 069 83 0 17
0
力のつく参考書
2
4 4
818
3 33
4
進学・就職
0
02 2
431
8 9
・︿調査6>は︑放送大学教授 深谷昌志先生が︑昭和六十
年に東京近郊の中学生を対象にした調査内容を借りたもので
ある︒ただし︑最後の項目は﹁高校のランク﹂とあったので
ウ 次の場合には︑句点を打たない︒
・表題・題目・標語などの簡単な語句を引用する場合︒
・箇条書きで物事の名称を列挙する場合︒ただし︑﹁こと﹂
﹁もの﹂などで結ぶ場合には打つこともある︒
吻 読点の打ち方
ア 文の主語・主題を示す語句の後︒
イ 並列の関係にある語句の間や︑文の中止する所︒
ウ 条件・理由などを表す前置きの後︒
工 感動詞や接続詞などの後︒
オ 文頭の副詞や副詞的な語句の後︒
力 文の成分を倒置した時︑その倒置部の前︒
キ 主語を文の途中に置いた時︑主語の前︒
ク 語句を隔てて修飾する場合︑その修飾語の後︒
ケ 誤読や読みにくさを避けるために必要な所︒
コ 助詞を省略した所︑提示した語の後︒
句読点は︑文章中の文や句の切れ続きをはっきりさせ︑誤読
や難読をさけるためのものであるから︑十分練習したい︒
︿調査13>文章を書きあげた後︑続み直しますか︒
項 目 反応︵%︶
ア いつも読み直す
イときには読み直す
ウ 読み直さない
︹考察13︺﹁いつも読み直す﹂と答えた学生が︑半数以上いる︒
しかし︑﹁ときには読み返す﹂も含めて︑書きっぱなしのものが半数近くを占めている︒学生の書いた文章を読むとき︑誤字・
脱字・当て字がやたらと目につく︒文のよじれなど気にしていたら︑とても読めるものではない︒これらの原因の一端は﹁読み直さない﹂ことに起因している場合が多い︒ 誤字等の問題もさることながら︑文章表現で最も重要なことは主題である︒自分の書こうとすることの中心が︑文章にはっきり表されているかということである︒それを確かめるには︑文章ができあがってからでは手おくれで︑文章を書く過程においても︑絶えず注意したいものである︒
さて︑書き上げた文章は必ず読み直す︒何回も読む︒声を出して読んでみる︒一字一句に注意して読む︒数日経って気分が変わったところでもう一度読み返す︒度重ねて読み返すうちにどうずれば︑より良くなるかが︑おのずから分かってくる︒この作業が﹁推敲﹂である︒尾崎紅葉は﹃金色夜叉﹄を書いたとき︑消しては書き︑書いては消してまた書き︑その上に紙をはっ
てまた書き︑というふうに推敲を重ねたので︑原稿用紙に折り目がつけられなくなったという︒学びたいことである︒国 その他︵作文指導とかかわりを持つ事柄について︶︿調査1Vあなたは︑読書が好きですか︒(29)
津山高専紀要第24号(1986)
項 目
十分考える
あまり考えない
全然考えない 反応︵%︶
︹考察11︺構成の意識が文面に見える形で現れるのが段落であ
る︒調査の結果をみると︑段落意識は構⁝想のそれよりも︑はる
かに低くなっている︒大まかに書く順序を決めてはいるものの︑
アウトライン等による具体的な文章の組み立ての経験がなく︑
また︑どういうところで区切るのかという区切り方が分からな
いということがその要因となっていると思われる︒ともかくほ
とんどの学生が段落意識を持たずに書いているようである︒
古くは︑日本でも︑ヨーロッパでも︑段落の区切れをつけな
いで書いていたようである︒段落という言葉は︑中国の清代の
修辞学書︑唐彪の﹃読書作文譜﹄に﹁文章井井幅︑転二経書一
倍長︑宣下将二其非才段落一︑分別清白上︑而後文之精微変化︑
始能顕露︒﹂とあり︑ここから借りてきたものである︒
適切な段落があると︑見た目にもとりつきやすく平易な感じ
がする︒事実︑段落のある文章とない文章を読み比べてみると︑
段落のあるほうがはるかに読みやすく︑理解しやすい︒教科書
に載っている古典の文章も︑読みやすくするために段落を設け
て書き換えたものである︒
では︑どこで区切ったらよいだろうか︒
構成のところで述べた三段構成︑四段構成というかなり長い
文章では︑その三つないし四つの各部分が︑それぞれ大きな段
落となり︑その中をさらに幾つかの小さな段落に区切ることに なる︒従って︑段落を文章構成の一単位と考えて︑一つの段落に一つの考えや事柄を収めるようにする︒この一つの中心となる考えや事柄を︑﹁話題﹂という︒すなわち︑一つの段落には
一つの話題が必要となる︒
どこで︑どういう場合に区切るかを大まかにまとめると次の
ようになる︒
(5) (4) (3) (2) (1)
筆者の立場や観点を変えるとき
取り扱う対象を変えるとき
思考が新しい段階に移るとき
時刻や場面を変えるとき
登場する人物の動作や人物そのものが変わるとき
︿調査12V文章を書くとき︑句続点に注意して書きますか︒
項 目
十分注意する
あまり注意しない
注意しない 反応︵%︶
︹考察12︺くぎり符号の中で︑最も難しいのは句読点である︒
その打ち方には巌密な規則はなく︑場合により︑人により多少
違ってくる︒一般的には︑次のような目安で用いられる︒︵﹁国
語表現﹂︵角川書店︶より抜粋︶
ω 句点の打ち方
ア 文末に打つ︒会話では言いさしでも終わりに打つ︒
イ 文を箇条書きする場合や︑語句を箇条書き的に列挙する
場合には打つ︒
書きに並べてみる︒どういう順序にすれば主題が鮮明になるか
を考えながら︑いろいろ並べ換えてみる︒その段階で︑余分と
思われる材料は思い切って捨て︑足りないと思われる点はこれ
を補うというように︑工夫を重ねて全体のあらすじを作る︒
こうして︑あらすじ書きの段階が終わったら︑本格的な構成
のとりかかる︒
構成の仕方については︑古来︑幾つかの型がある︒ここでは︑
その中で最も代表的な﹁三段構成﹂と﹁四段構成﹂とを取り上
げてみよう︒
ω三段構成
三段構成は︑最も基本的な形式で︑文章の﹁はじめ﹂﹁なか﹂
﹁おわり﹂を考えた構成である︒この三つの部分は︑文章の種
類や内容によって呼び名が違う︒論説では︑序論・本論・結論
と呼び︑小説・戯曲では︑発端・展開・結末などと呼ぶ︒
はじめ 導入 序論 発端 前文
なか 本体 本論 展開 主文
おわり 結び 結論 結末 末文
このほか︑﹁序・破・急﹂﹁正・反・合﹂などと呼ぶことがあ
る︒圖四段構成
全体を四つの部分に分けて論旨を運ぶ構成である︒起承転結
と呼ばれる漢詩作法の構成法である︒この方法では︑﹁転﹂に
あたる部分が重要な役割を果す︒この転の部分が上手に使われ
ると︑三段の構成法よりずっと文章が生きてくる︒
以上の他に︑二段構成︑五段構成︑六段構成などあるが︑高
専の一年生の段階では︑まず三段構成になれ︑次いで四段構成
を試みるというように段階を追っ︐た練習が望ましい︒
短い簡単な文章では︑﹁あらすじ書き﹂から構成を考えればよいが︑まとまった長い文章を書く場合には︑﹁アウトライン﹂
を作ることが必要になる︒アウトラインとは︑文章の設計図である︒家を建てるにしても︑街づくりをするにしても︑まず設計図を引いてからでなければ事は進まない︒同様に︑文章においても︑何をどこに置いてどういう順序で書いていくかということを決めておかねばならない︒これがアウトラインである︒ アウトラインは︑項目の表現形式から︑センテンス・アウトラインと︑トピック・アウトラインとに分けられる︒ センテンス・アウトラインは︑項目の表現形式がセンテンス︵文︶である︒そのために︑内容がより具体的であり︑他の人
にも分かり︑時日がたっても分かるという利点がある︒それに
対して︑トピック・アウトラインは︑項目の表現形式が語句に
なる︒比較的簡単に作れることと︑一目で内容が見渡せるとい
う利点があるが︑時日がたつと分からなくなり︑他の人にも内
容がよく分からないという欠点がある︒
アウトラインを作る場合には︑その項目の段階・順序を示す
番号・記号の種類を決めておきたい︒番号・記号の使い分けに
よって︑文章の構成︑理論の展開が明確になる︒
現在よく用いられているのは︑欧文方式︑国語審議会方式︑
デシマル式の三種である︒高専の学生は︑欧文方式による横書
きに慣れておくのが得策であろう︒
︿調査11>文章を書くとき︑段落を考えて書きますか︒
(27)
津山高専紀要第24号(1986)
察と克明な取材メモのうえに築かれたものであることは︑周知
の事実である︒
観察力やそのメモが必要なのは︑詩人や作家に限らない︒科
学の研究にも鋭敏な感覚が不可欠である︒科学者に最も必要な
感覚は視覚であり︑目である︒科学することは見ることから始
まる︒科学的研究の大部分は︑見ることであり︑観察すること
であり︑観測することである︒
将来︑科学技術者として立つ高専の学生は︑とりわけ︑対象
に対する綿密で正確な観察力が要求されるであろう︒そして︑
この観察力は一朝一夕に身につくものではない︒﹁見れども見
えず︑聞けども聞こえず﹂という言葉があるが︑ぼんやり見た
り聞いたりしたことは︑真に見たり聞いたりしたことにはなら
ない︒
高専には﹁工場見学﹂と称する学習が用意されている︒見学後に感想文かレポートを書くようになっているそうであるが︑
これとても︑漠然と見たのでは︑感想文もレポートも書けるは
ずはない︒﹁見るつもりで見る﹂﹁メモするために見る﹂という
態度が必要である︒メモ一つするにも︑見る対象を本当に正確
に記録するためには︑どんなによく観察しなければならないか
ということに気づくであろう︒見ることと書くこととは互いに
作用しあって︑両方の力が同時に伸びていく関係にある︒よく
見ることによって︑よく書けるようになるし︑正しく書こうと
いう気持ちが︑物をよく見させることになる︒
もちろん最初から︑ものがよく見え︑りっぱなメモがとれる
ようになるなどというのは不可能である︒要は︑繰り返すこと
であり︑絶えずよりょく見ようと心の準備をし︑これはと思っ たら即座にメモするこを習慣づけることである︒︿調査10V文章を書くとき︑全体を見通した文章の組み立てを
考えますか︒
ウ
イア
全く
考
えい 項
考
える
つも
こ
よ
な と
く 目い
も
考
あ え
る
る
反
43
35 22
慶 %
)
︹考察10︺全く構成を考えないという学生が︑四十三パーセン
トいる︒頭に浮かんだことを︑思いつくままに書いているので
あろう︒ こうした書き方がないわけではない︒嫌好法師が﹃徒然草﹄
の序文において
つれづれなるままに︑日暮らし︑硯にむかひて︑心にうつ
りゆくよしなしごとを︑そこはかとなく書きつくれば︑あや
しうこそものぐるほしけれ︒
と述べているように︑一定の目的をもって︑体系立てたり︑理
論立てたりするのではなく︑思い浮かぶままに書いていくこと
も︑文章を書く楽しみではあるが︑こうした書き方は︑よほど
書き慣れた人でないと全体がまとまりのあるものにはなり得な
い︒一般には構想の手順に従って書くのが良い方法だと言えよ
う︒ 構想の第一の手順はあらすじ書きである︒集めた材料を箇条
にされないまま︑漠然と何々について書くという程度の意識で
書いてきたのではあるまいか︒
例えば︑﹁友情﹂という課題が与えられると︑﹁友情﹂という
題材がそのまま主題だという受け止め方をしているのではなか
ろうか︒この場合︑﹁友情﹂というのは︑題材であって主題で
はない︒友情のどういう面を取り上げて書くか︑友情のどうい
う特色をとらえて書くか︑どんな種類の友情を書くかというこ
とを吟味し︑よく考えたとき︑はじめて主題が設定されたこと
になる︒ 主題のはっきりしない文章は印象が散漫で︑何を言っている
のか分からないものになる︒見切り発車はいけない︒必ず言お
うとすることの中心である主題をはっきりさせてから文章を書
くように指導したい︒その一つの方法として︑文章を書くに先
立って︑その中心となることを主述の整った簡明な一文︵主題
文︶を書く習慣を身につけさせたい︒
︿調査9V文章を書くとき︑書く材料はどのようにして見つけ
ることが多いと思いますか︒
工
ウ
イア
観
書 家
自
項
察
・実験・籍
・雑誌・族
零本 分の体験
目調 新 先 や
査
な 聞 な 生 な 思
索
ど ど ど
か
か か か
ら
ら ら ら
反
2
310 85
疫
%
)
︹考察9︺調査の結果は︑予想通り﹁自分の体験や思索から見
つける﹂という反応が目立った︒
材料源は︑文種によっては一種類である場合もあるし︑幾種類にもまたがることもある︒この調査では︑選択肢のうち一つを選ばせたのであるから﹁比較的﹂という条件があり︑一概に断定できないのであるが︑﹁自分の体験や思索に材料を求めているのは︑これまで書いてきた文章の多くが︑自分の身の回りのことに関する題材が多かったためであろうと判断できる︒ 高専では学校の性格上︑﹁レポート﹂という形式の文章を書く機会が多くなると思う︒したがって︑自分の経験や考えだけでは書き切れなくなる︒たとえ書いたとしても︑視野の狭い︑片寄った︑貧弱なものになってしまう︒そこで︑いきおい︑切や国による幅の広い取材が必要になってくるし︑先生に聞いたり︑友人と議論することも大切である︒その上で自分の思索を展開するという姿勢が望ましいものと思われる︒ どんな文章を書くにも︑材料が必要である︒材料は多ければ多いほどよい︒しかし︑注意すべきことは︑主題に照らして十分吟味するということである︒主題に関係のないもの︑あるいは関係の薄いものは思い切って捨てることである︒せっかく集めたのであるからと︑あれもこれも書いてしまうと︑主題がぼ かなめやけてしまう︒材料の取捨選択こそ作文技術の要になる︒ 作文教育において︑材料を何に求めるかということと︑材料の収集・選択の指導は極めて重要である︒この指導は︑自己を拡充させ︑書く意欲を換起させ︑情報検索︑情報処理の能力を養い︑身につけさせることにつながる︒
イギリスの詩人テニソンは︑郊外へ出るときに︑いつも小さな手帳を携えて︑目に映る自然の変化を克明にメモしたと言われている︒ロシアの文豪ツルゲニエフの自然描写が︑精密な観
(25)
津:山高専紀要第24号(1986)
オ
工
ウ
イア
清 書︵原稿用紙の使 叙
構材 主 項
述
盛アウトライン
料の収箏精選 題の選平塗疋
國目い
葱 )反
7 27
42 10 14
座
ぎ︹考察7︺学生が最も苦労しているのは︑文章の構成である︒
つまり︑話が思うように進まない︒うまくまとまらないという
のである︒書く内容がはっきりしていないことと︑文章の構成
法について十分な知識を持っていないためである︒内容と形式
の問題である︒
次は︑﹁考えや状況がうまく説明できない︑人物や情景がう
まく描けない︑適切な言葉が見つからない︒﹂というのである︒
このことは︑学生だけに限らず︑ものを書こうとする誰しもが
経験する苦しみである︒これを克服するためには︑数多くの本
を読むことと︑自分自身で何回も書いて.みること︑すなわち︑
読み慣れること︑書き慣れることがまず肝要である︒時には︑
良い文章といわれるものを︑原稿用紙に書き写してみることも
考参になる︒
次に︑﹁書くことが思い浮かばない︑問題にするほどの話題
を持ち合わせない︑問題はないことはないが︑まとまった考え
を持つまでに至らない﹂というように︑徴妙な点で違いがある
ものの︑﹁書くことがない︑何を書けばよいか分からない﹂と
する学生が十四パーセントいる︒この﹁何を﹂は主題と材料を
合わせて含むが︑材料があれば主題は導き出せる︒平凡なB常 生活の中にも︑いろいろな経験を積み重ねているわけであるから︑それらの経験をそのまま見すごさないで︑日記でもよい︑メモ帳でもよい︑何らかの形で記録する習慣を身につけさせたいものである︒﹁書くことがすぐなくなってしまう﹂というの
も結局は材料の不足である︒
清書の段階で︑﹁原稿用紙の使い方がよく分からない﹂という学生も若干いるが︑この問題は一度にあれこれといっても十分腹入りがしないと思われるので︑実際に︑書く場で疑問が生じたときに指導したい︒ なお︑主題・材料・構⁝成・叙述の問題については︒次の実状
調査を通して︑指導内容も含めて今少し詳しく述べよう︒四 叙述の実状について︿調査8>文章を書くとき︑その中心となる事柄や考えをはっきりさせてから書きはじめますか︒
ウ
イ アほ
あ
は
項
と ま
つ
ん
り き
ど 意
り考
え 識し さ
目な な
せて
い い
か一二反
53 39
8座老
︹考察8︺︿調査8>は︑主題についてどのような意識をもっ
て文章を書いているかを確かめるための調査であるが︑どうや
らその意義は極めて薄いようである︒
中学校での作文は︑ほとんどの場合︑題材︵題目︶を与えら
れて書いたようである︒そして︑題材と主題との違いが明らか
︿調査5>あなたは︑最高どれくらいの長さの文章を書きまし
たか︒︵四百字詰原稿用紙の長さで答えるγ
項 目
一枚〜三枚
四枚〜五枚
六枚以上 反応︵%︶
︿調査6>あなたは︑文章を書き上げて︑うれしいと思ったこ
とがありますか︒
よくある
ときどきある
全然ない 反応︵%︶
︹考察4︺小・中学校で︑作文指導を﹁あまり受けなかった﹂
と答えた学生は十八パーセントであった︒この数は以前比べる
とかなり低いように思われる︒小・中学校の学習指導要領が改
訂され︑︵昭和五十二年七月二十三日 告示︶国語教育の内容
が﹁理解﹂と﹁表現﹂とに分かれ︑特に︑作文指導が従来より
も強化された︒その影響もあってのことと思われるが︑作文指
導が次第に定着してきつつあることは︑極めて喜ばしいことで
ある︒
﹁少し受けた﹂という理由には︑小学校ではよく書かされたが︑中学校ではあまり書かされなかったという意見が多かった︒
作文指導には︑事前の指導から作品処理・評価まで︑かなりの
時間と労力がかかるために︑進学指導が付きまとう中学校にお いては敬遠されがちになるのであろう︒この時間と労力に対する対策が︑作文指導強化の上での緊急の課題である︒効率的な作品処理や評価の仕方の研究︑国語教師の定数等についての施
策が望まれる︒
︹考察5︺平均すると五枚あたりが︑これまで書いた作品の最
高の長さのようである︒
作品の﹁長さ﹂については︑必ずしも長文がよいとは限らな
い︒今日のように目まぐるしく進展する社会においては︑むし
ろ︑簡潔・明瞭な文章が要求される︒短い文章で︑書く意図と
主張が明確に表現されるならば︑それで十分である︒
ここであえて﹁長さ﹂を問題にしたのは︑実際の指導場面で
﹁寸寸書くのか︑長いのはいやだ︒﹂という声をよく耳にする
ので︑学生は︑どれくらいの長さの文章を意識しているのかが
知りたかったためである︒
︹考察6︺六十パーセントの学生が︑何らかの形で創造のよろ
こびを感じたという体験をもっている︒しかし四十パーセント
の学生が︑そのよろこびを知らないという点に問題がある︒こ
れが作品ぎらいの原因にもつながっていると思われる︒
けなすよりもほめること︑できるだけよい点を見つけて︑自
信を持たせるようにしたいものである︒
日 作文上のつまずきについて
︿調査7>あなたは︑
感じますか︒ 文章を書くときどんなことにつまづきを
(23)
津:山高専紀要第24号(1986)
れる︒むしろ︑この調査も︑好き嫌いよりも﹁要・不要﹂を先
に尋ねるべきであったと反省している︒
いずれにしろ︑この﹁作文は嫌いだ︒﹂とさせている五つの
抵抗感を取り除いてやることが︑我々教師に課せられた責務で
ある︒できるだけ多くの機会をとらえて︑簡単なものから次第
に高次なものへと度重ねて指導しなければならない︒書く意欲
を高めるということも念頭に入れて︑動機づけ等︑具体的な授
業展開にもいっそう留意しながら根気強く指導したいと思う︒
︹考察2︺︿調査2>によると︑六︑七割の学生が話題を持っ
ていないことが分かる︒
このことは︑日常の生活と密接な関連がある︒︑人は誰でもひ
とりでは生きられない︒絶えず︑他の人や自然と深くかかわり
ながら生きる︒様々な出来事や事象に遭遇しながら︑何ものか
を求めながら生きてゆく︒しかし︑日常の生活では︑毎日が同
じことの繰り返しになりがちで︑藤村の﹁昨日またかくてあり
けり︑今日もまたかくてありなむ﹂のことば通り︑題材や話題
に特別なことを求めようとしても︑それ程︑特異なことがある
わけではない︒とすれば︑平凡なありふれた日常の生活体験の
中に︑何らかの新しい意味を見つけたり︑毎日接する事象を別
の角度から見直し︑そこに新しい価値を発見したり︑あるいは︑
新聞・雑誌・ラジオ・テレビ等による新しい情報の獲得︑読書
による思索の深化︑追体験によって︑見る目と心を養っていく
以外に道はなさそうである︒
ところで︑現実の学生は︑後に付した﹁関連調査﹂に見られ
るように︑読書や新聞にはある程度の関心を寄せるが︑日記等
の書く習慣は全く持たない︒テレビの視聴率も予想外に低い︒ また︑視聴番組も︑歌・スポーツ・アニメ等に片寄っている︒それらの番組を否定するわけではないが︑やはり情報の好ましい選択とは言えまい︒もっとも︑寮生にとっては︑個人の選択
ということが難しいのかもしれない︒
︹考察3︺︿調査3>は︑作文に対してどの程度の関心をもっ
ているかをみた調査である︒結果は﹁ときに思うことがある﹂
を含めると︑九十八パーセントの学生が︑﹁作文が上手になり
たい﹂と答えて︑関心の高さを示している︒関心が高ければそ
れだけ書く意欲につながってくるから︑今後の指導によっては
作文力の向上が十分期待できる︒
﹁上手になりたいとは思わない﹂という学生が二人いるが︑
その理由はよく分からない︒過去に何があったか︑全くそっぽ
を向くというのには︑それなりの理由があるのであろう︒それ
はともかく︑この二人を少数だからといって放っておくわけに
はいかない︒作文の意義などを納得のいくように話してやるな
ど︑手を差し伸べて︑その姿勢を少しずつ変えてやる必要があ
る︒口 小・中学校での作文学習について
︿調査4>あなたは︑小学校や中学校で作文指導をよく受けま
したか︒ 項 目
ア よく受けた
イ少し受けた
ウ あまり受けなかった
反応︵%︶
︹考察1︺﹁作文が好き﹂という学生は︑わずか六パーセント
にすぎず︑﹁作文は嫌い﹂と反応した常徳が六十三パ!セント
にも達する︒こ傾向は︑各種の高等学校の調査資料にも見られ
るのであるが︑本校の場合︑その差がやや大きいと言えよう︒
﹁作文が好き﹂と反応した理由は
ω 自分を見つめ︑自己を知ることができる︒︵三人︶
拗 物事を深く考え︑視野を広めることができる︵二人︶
偶 文章を書くことが楽しい︵一人︶
というもので︑これらの学生は︑その理由から指して作文の意
義を十分心得て︑文章を書く態勢もすでにできているように思
われる︒ ﹁どちらともいえない﹂と反応した理由は
ω 与えられた題材によって異なる︒︵一二人︶
② 書くときの気分によって異なる︵一一人︶
㈹ 嫌いという程ではないが書くことに抵抗がある︒︵八人︶
というように︑大別して三つに分かれる︒
ωは︑題材に好き嫌いがあるのである︒興味のもてる題材や︑
得意な文種については抵抗なく書けるが︑あまり関心のない題
材や不得手な文種については︑うまく書けないからいやだとい
うのである︒
圖は︑ωの問題とも関連しており︑書く題材を持ち合わせて
いる場合には気持ちよく書けるが︑手持ちの題材が無い場合と
か︑急に課題が出された場合にはおもしろくないというものの
ようである︒
㈹は︑本来的には嫌いではないが︑いざ書くとなると︑うま
く書けないからいやになるというのである︒
﹁作文が嫌い﹂と反応した理由は qの 書くことが見つからない︑何を書いていいか分からない等の主題や材料に関するもの︵一五人︶
囲 どのようにまとめたらよいか分からない︑途中で考えがまとまらなくなる︑等の構成に関するもの︒︵二三入︶
圖 どう表き表したらよいか分からない︑よい文章が書けない等の叙述に関するもの︒︵一六人︶
㈲ ことばや︑文字がすぐ浮かんで来ない︒等の語いや文字に関するもの︵二人︶
㈲ 書くことに興味がない︑めんどうだ︑等の意欲に関する もの︒︵七人︶というように五つにまとめられよう︒いずれも︑作文指導の基本にかかわるものである︒
世間では﹁作文指導の重点が文章構成法にかかり過ぎではないか︑それよりも︑もっと書く意欲を高める指導が必要ではないか︒﹂という意見がある︒書く意欲のないところに作文指導は成り立たないのであるから︑異論をはさむ余地はないのであるが︑では︑書く意欲をもたせるにはどうしたらよいかと考えると︑やはり書く力を育てること以外に道はなさそうである︒書く目的と書く事柄と︑書き表す力とがそろって︑はじめて書くことへの意欲が湧いてくるのではなかろうか︒この調査でも︑
﹁書くことに興味がない︑書くのはめんどうだ︒﹂と答えた︑
いわゆる意欲がないと思われる学生は七パーセントにすぎな
い︒しかも︑︿調査3>にも見られるように﹁文章が上手にな
りたい﹂と大半の学生が願っているのである︒嫌いだというこ
とと︑意欲がないということとは必ずしも同じではないと思わ
(21)
津山高専紀要第24号(1986)
桃唐更花詩級 源・日記雑記
説 £
◇ ○
記を人日情古 書かもの豊の 回すの
きにの
_る見A 。方
表 ・
・ 感
オ じ
) 方 を
味 レ1 わ
心 1
四 作文についての実態調査
︵昭和・六一
調査の目物︐方法について
・六・末︶
日調査の目的
実態調査を通して︑学生のもσ作文学習上の問題点を探り︑
それに適応した指導のねらいや︑具体的な指導上の留意点を明
らかにし︑作文指導を改善するための手掛かりを得る︒
口 調査の対象
本校の第一学年︑一七二名︒︵男子一七一名︑女子一名︶
日 調査の方法
学年全体の傾向を知るとともに︑個別指導ができるようにあ
えて記名による調査とした︒
処理と考察がしゃすいように項目は細分化せず︑最小限にと
どめた︒四調査内容
(5) (4) (3) (2) (1
作文に対する意識について
小・中学校での作文学習について
作文上のつまずきについて
叙述の実状について
その他︵作文指導とかかわりをもつ事柄について︶
圃調査の処理
対象者一七二名の中から一〇〇名を無作為に抽出し︑割合が同じになるようにした︒
2 調査の結果と考察
の 作文に対する意識について
︿調査1>あなたは︑作文が好きですか︒
項 目 反応︵%︶
ア 好き
イどちらともレえなレ
ウ 嫌い
︿調査2>あなたは︑○○のことについて文章に書いてみたい
と思うことがありますか︒
項 目 反応︵%︶
ア よく田じう
イときどき転じう
ウ ほとんど思わない
︿調査3>あなたは︑作文が上手になりたいと思いますか︒
項 目 反応︵%︶
ア 強く思う
イときに思うことがある
ウ 思わない
︹付記︺
﹁国語1﹂における教材の配列
年間三十週として教材を精選︒︵︶は作文に充てる時間︑
○印は単元の目標︑◇印は作文演習︑◎印は︑作文の学習
活動︑︹A表︺は指導要領に示された指導事項を表す︒
単元・教材
罷
単 元 の 目 三
一 随想○随想を読んで︑筆者のものの見方・感じひよどりの
方を理解する︒
ころ
4
○個性的な文章を読み味わう態度を養う︒
︵1︶◇観察と叙述︵A表・ア︶◇修飾語と被修飾語との関係︵A表・オ︶
二 小説
○小説の文章に親しみ︑話の展開や主題を羅生門
読みとる︒○情景や人物の心情を︑表現に即して読み味わう︒
8
◇単科の配列法︵A表・ウ︶
︵2︶
◇的確な表現 ︵A表・ア︶
◇説明と描写 ︵A表・エ︶ ◎﹁羅生門の続編を書く︒︵A表・カ︶ 三古典O○やさしい古典を読み︑現代の文章との違古文を読む
15
いを知り︑古典を読む基礎を学ぶ︒
ために
○やさしい古典を通して︑古典の世界に親漢文を読むしむ︒
ために
四表現O○筆・者のものの見方︑感じ方が︑文章の上に
濡れた男どのように表現されているかを理解する︒
○自分の経験や事実を的確に伝える力を養
8
う︒
︵4︶◎﹁工場見学﹂の体験を記録・報告する文
章を書く︒︵A表・ア〜カ︶
五 評論
0評論文の構成や論の展開のしかたを理解友情につい8
し︑論理を的確にとらえる︒
て
︵1︶
○論理的に思考する力を養う︒
◇要約文︵A表・カ︶
六 詩歌○詩歌に親しみ︑その詩情を味わう︒
近代詩
7
○詩歌に表れた言葉のはたらきを知り︑表近代の短歌
三三の特色を知る︒
七一堰口○古典の表現に慣れ︑内容を理解する力を
平家物語︑
身につける︒
方丈記︑徒12
○古人の生き方や考え方への関心を深め
然草︑論語︑
︵1︶る︒孟子・
◇主題の位置︵A表・ウ︶子・荘子八 小説口○作中人物の性格・心情・状況を理解して靴の話
小説作品の世界を味わう︒
8
○小説を読んで︑人間の心の世界や︑社会
︵1︶
とのかかわりについて考える︒ ◇的確な表現・美しい表現︒︵A表・ア︶
九 表現口○論理的な文章の特色を知り︑説得力のあ
水の東西
る表現について学ぶ︒
○自分の考えを深め︑筋道を立てて論じ表8
現する力を養う︒
︵5︶◎文章展開の型を知り︑応用して意見を述
べる文章を書く︒︵A表・ア〜カ︶
主題の確立︵A表・イ︶材料の収集︵A表・イ︶アウトライン作り︵A表・ウ︶
十古典口○古典の世界に親しみ︑その内容を理解し伊勢物語
12
鑑賞する力を養う︒
津山高専紀要第24号(1986)
バイスするという形で︑同じく常識や︑
ていることは注目すべきことである︒
1
三︑作文の指導計画
指導計画の作成にあたって一 文章力がとりあげられ
作文の能力は︑文章を書く経験を積み重ねることによって身
につくものである︒しかし︑学校教育の中にあっては︑限られ
た授業時間で実施しなければならないのであるから︑組織的︑
系統的に︑効果的な方法によって指導する必要があるのは言う
までもない︒ここに指導計画の作成が不可欠になってくる︒
本校では︑昭和六十一年度から新しい教育課程が編成され︑
﹁国語1﹂を第一学年全員に履修させることになった︒作文指
導については︑学生の実態や社会の要望に鑑み︑作文指導の特
設時間を設けたいところであるが︑様々な条件がこれを許さず︑
﹁国語1﹂の中で取り扱う以外にはないというのが現状である︒
したがって︑﹁国語ユ﹂の性格なり︑目標を明らかにし︑更
には︑学生の作文についての生の実態を把握した上で︑具体的
な作文の指導計画を立てなければならない︒ ㈲ 作文指導に充てる時間数について考える︒二 学生の作文についての実態 ω 学生の作文に対する意識︑小・中学校での作文指導︑作 文上のつまずき︑表現上の問題点等についての実態を把握 する︒ 吻 実態に照らして︑指導のねらいや指導上配慮すべきこと
等について考察する︒
白教科書教材の選定と︑その配列ω 教科書教材を精選し︑作文指導が可能な教材を選定する︒
吻 教材の指導目標︑作文としての指導事項を明確にして教材の配列表を作る︒
四 学校行事等との関連 ω 第一学年の合宿研修︵体験の記録・感想など自由に︶吻 図書館活動︵感想文︶ ㈲ 工場見学︵記録・報告文︶ ω 学校祭︵意見文︶
など︑機会をとらえて︑書く機会をできるだけ多くする︒2
指導計画作成上配慮すべきこと
(19)
の 学習指導要領の検討
ω ﹁国語1﹂の性格・目標を明らかにする︒
② ﹁国語1﹂の指導内容と指導事項とを明らかにする︒
㈹ 特に︑作文指導の位置づけを明らかにする︒
要とされる資質︑能力は︑創造性や自ら考え︑表現し︑行動す
る能力である︒
と述べている︒﹁二十一世紀の社会﹂というのは︑﹁国際化社会﹂
﹁情報化社会﹂﹁老齢化社会﹂ということを想定したもので︑
項目の㈲・の・㈹に関連しているものと考えられる︒﹁創造性
や自ら考え︑表現︑行動する力を必要とする﹂という視点は︑
これまでの我が国の教育が︑記憶力中心の詰め込み教育に偏し︑
自ら考え︑判断する能力や創造力が妨げられ︑個性のない同じ
ような型の人間をつくってきたことへの痛烈な批判から生まれ
たものであろうし︑これは︑当然︑項目ωの﹁個性尊重﹂に結
びつくものである︒そして︑これらの能力は吻の﹁基礎・基本﹂
の上に立ってはじめて実現するものだとし︑最後に
したがって︑とくにこれからの学校教育においては︑基礎︑
基本の上に︑創造性や論理的思考能力・想像力などの考える
力︑表現力の育成を重視すべきである︒
と結んでいる︒
3 企業からの要請
これからの社会︑特に情報の生産︑収集︑伝達︑処理を中心
に発展する社会においては︑身体を使っての労働よりも︑機械
を制御する︑あるいはコンピューターを使って新しいデータを
作る等の知的労働が要求される︒そこに︑よく見る︑よく聴く︑
正しく判断する︑過不足なく表現するという態度が望まれる︒
また︑製品の受注や発注の文書︑製品の説明文︑苦情処理の
文章︑あるいは新製品開発の研究論文等︑さまざまな部門で︑
書く機会は意外に多いものである︒
企業が学校教育に表現力の育成をいかに望んでいるかという一例を津山高専編﹃総合カリキュラム﹄の中から拾ってみよう︒
設問Q〜工業高専に対する要請
1 一般教養的広い視野︑社会的常識︑文章力などの増強の
要請⁝⁝二四社︒
2 数学・理科を含めた専門基礎学力の強化の要請⁝⁝二一
社︒ 3 先端技術とくにコンピューター周辺の強化の要請:⁝二
六社︒
4 体力・精神力・忍耐力・積極性といった人間的エネル
ギーの増強の要請⁝⁝一四社︒
5 語学力の強化の要請⁝⁝一〇社︒
6 人間関係の訓練の強化の要請⁝⁝年下︒
7 一貫教育の特色を発揮せよという要請⁝⁝六社︒
8 工業高専卒業生の入社の要請⁝⁝五社︒
このアンケートは︑企業や卒業生を対象に昭和五十九年に実
施されたものであるが︑これを見ると多くの企業が求めている
のは︑広い視野と社会的常識をもつ人材︑文章の書ける人材と
いうことになる︒数学や理科の学力︑あるいは︑国際化に対応
できる語学力︑専門的技術能力等が求められるのが当然だと思
われるのに︑常識や︑文章力が一番にあげられているのは誠に
驚くべきことである︒この点がとり分け欠けているから特に
しっかり指導して身に付けさせてほしいとの要請に基づくもの
であろう︒
また︑卒業生を対象にしたアンケートの中にも︑後輩にアド
(17)
津山高専紀要第24号(1986)
するという面が重要視された︒無着成恭氏編の﹃山びこ学校﹄
が世間の注目を浴びたのも︑そのような背景があったからだと
考えられる︒
昭和三十年代の後半になると︑科学技術革新の時代風潮に伴
い﹁もっと論理的な文章が読める力を﹂﹁もっと論理的な文章
が書ける力を﹂という論理性と正確さの要請に基づき︑系統的
学習が強化されることになる︒国語科においても︑古典よりも
現代文に重きがおかれ︑しかも︑読解および話し方︑作文を中
心として︑文学的な内容に偏ることなく︑論理的な表現や理解
をも重んじることとされた︒
昭和四十年︑五十年代になるにつれて︑上級学校への進学率
が高まり︑記憶力中心︑知育偏重の教育の傾向が現われ︑教育
内容が消化できない子どもが激増してきた︒乱塾時代︑受験戦
争ということが︑大きな社会問題になり︑昭和五十二年︑五十
三年︵告示︶の二年間に︑小・中⊥局の学習指導要領が改訂さ
れた︒
この改訂は︑教育課程審議会の答申︵昭和五十一年︶の趣旨に基づいて作成されたものであるが︑その特徴点は︑小・中・
高一貫の教育を目指すという点と︑国語については︑言語の教
育としての立場を一層明確にし︑表現力を高めることに重点を
置いている点である︒
答申にこのように示されたということは︑やはり︑表現力︑
特に文章による表現力をしっかり身に付けるようにしてほしい
という各方面からの要請に基づいているものと思われる︒
2
臨時教育審議会の答申
臨時教育審議会はこれまで︑昭和六十年六月と︑六十一年四
月の二回にわたって︑審議の内容をとりまとめて政府に答申し
ている︒
その中で︑作文指導と深くかかわりをもつ第一次答申の第1部︑第四節︑﹁改革の基本的考え方﹂について取り上げてみよう︒
﹁改革の基本的考え方﹂について
審議会は︑これまでの教育が︑諸外国と比較しても水準が高
く︑我が国の社会の発展・国民生活や文化の向上に寄与してき
たと高く評価しながらも︑いくつかの問題点をあげて︑時代の
変化と社会の要請に立ち遅れてきていると指摘している︒そし
て︑教育改革の基本的考え方として八項目をあげて説明してい
る︒ω個性尊重の原則︑②基礎基本の重視︑周創造性・考える
力・表現力の育成︑㈲選択の機会の拡大︑㈲教育環境の人間化︑
㈲生涯教育への移行︑ω国際化への適応︑圖情報化への対応が
それである︒
これらの八項目の観点は︑ばらばちにあるのではなく︑微妙
な点でつながっていて切り離して考えるわけにはいかないので
あるが︑その一つ一つについて説明したり︑解説を加えたりす
ることが本題の主旨ではないので︑あえて︑團の﹁創造性・考
える力・表現力の育成﹂に絞って少し考察を試みよう︒
先ず冒頭に
二十一世紀に向けて社会の変化に対応できるようとくに必
(E)
その他︵作文指導とかかわりを持つ事柄につ
いて︶
一、
?カ指導の意義
作文指導の意義の一つは︑コミュニケーションの機能を高め
ることにある︒わたしたちの社会生活は︑日常のきわめて実用
的な面から︑文化的な学術・文芸の方面にいたるまで︑文章の
伝達と交流によって円滑に営まれている︒
わたしたちは︑文章を通して︑他人の観察・思考・感情・意
志などを知ることができる︒また︑文章を書くことによって︑
自らの観察・思考・感情・意志などを他人に伝えることができ
る︒ このように︑文章はわたしたちが社会生活を営むうえで︑最
も人間的な︑基本的な機能を果しているのである︒したがって︑
より的確でしかも美しい文章を書く力を身につけさせることが
必要である︒
今一つの意義は︑書き手自らの思考や感情を整理し︑深化・
高揚させる︑いわゆる自己表現の態度や技能を育てることにあ
る︒ 書くということは︑見たり︑聞いたり︑感じたことを︑自分
の言葉に置き換えることである︒言葉で表すことによってはじ
めて確かなものにし︑まとまりのあるものにすることができる︒
確かなもの︑まとまりのあるものにしようとするときに﹁考え
る﹂という行為が生まれる︒考えながら書き︑書きながら考え
る︑この行為の繰り返しが書くことの作業である︒したがって
書くことは︑自己表現︑自己改革へとつながっていくのである︒ 時技誠記博士は﹃改稿国語教育の方法﹄︵有精堂︶の中で︑
﹁社会が︑自己を表現することを強く要求しているにもかかわらず︑適切な表現の方法の教育が普及していないことは今日の大きな問題である︒﹂と指摘されている︒注目すべき点である︒
二︑作文指導と社会的要求
3Rの一つとして︑作文は早くから社会的要望を担う科目で
あった︒﹃不易と流行﹄ということがあるが︑作文指導は︑社
会の要望という立場からすれば︑正に不易のものと言うべきで
あろう︒この社会的要望を﹁国語教育の変遷﹂﹁臨時教育審議
会答申﹂﹁企業からの要請﹂の三点から概観してみよう︒
1 国語教育の変遷
明治治十九年﹁小学校令﹂﹁中学校令﹂が公布されて︑学校
体系が完成し︑以後︑多少の改正はあるが︑これが昭和十五年
の﹁国民学校令﹂まで五十五年間︑教育制度を規定することと
なる︒
初期の作文指導は︑口上書︑公用文︑記事文などといった形式的に書く文章︑あるいは︑物の性質構造等について記述する
文章を書くことの指導であった︒やがて︑作文教育に対するさ
まざまな議論を生み︑生活綴方の運動へとつながっていく︒
戦後の国語教育についてみると︑昭和二十二年︑﹃学習指導
要領国語科編﹄が試案という形で発表された︒ここには︑アメ
リカの経験主義教育の思想が反映されている︒したがって︑作
文指導も︑文章を書く技術を育てるというよりも︑生活を組織
(15)
津山高専紀要第24号(1986)
NDC 376
高専の作文指導︵第一学年︶
はしがき 山 本 又 三
︵昭和六十一年八月三日︶文章は︑社会生活に欠くことのできない動力である︒時には
自分自身を変革し︑時には社会をも動かすという大きな力を
持っている︒また︑人の心を和らげ︑傷ついた魂をも慰めると
いう効用をも兼ね備えている︒
しかし︑そのような文章の持つ偉大な力や優しさを十分理解
しながらも︑人は文章を書くことに抵抗を感じる︒理由は簡単︑
うまく書けないからである︒今︑原稿用紙を前にして腕をこま
ねいているわたし自身がそのいい見本であろう︒
まして︑マスメディアの発達・普及によって︑伝達の手段が
次第に聴覚化・視覚化の傾向の中に育った学生にとって︑文章
を書くなどということは︑全く意識の外にあることかも知れな
い︒わざわざ手紙を書かなくても電話で事足りる︒本を読まな
くても情報はスイッチ一つでふんだんに入ってくる︒どきどき︑
はらはらする面白さは︑テレビゲームで簡単に味わうことがで
きる︒
こうした文章離れが進む時代では︑文章を書く意欲が失われるのもやむを得ないことかもしれない︒
の 作文に対する意欲に欠ける
口 書く内容が貧弱である︒ 口 表現力がまるでない︒ これらは︑作文研究会などの席上で必ず問題になる点であり︑
解決を迫られている点である︒高専においても例外ではない︒したがって︑わたしがこの小論で述べなければならないこともこの問題の解決策でなけばならぬはずである︒そして︑わたし自身が納得し︑実践に移せるものでなくてはならない︒そういう意味では︑作文指導の理論というよりも︑作文指導についての心構えとでもいうべきものになりかねないことを御了承いただきたい︒概
要
一 作文指導の意義
二 作文指導と社会的要求
1 国語教育の変遷
2 臨時教育審議会答申
3 企業からの要請
三 作文の指導計画
1 指導計画の作成にあたって
2 指導計画作成上配慮すべきこと
四 作文についての実態調査
1 調査の目的︑方法等について
2 調査の結果と考察
(四) (三) (二)(一
作文に対する意識について
小・中学校での作文学習について
作文上のつまずきについて
叙述の実状について