水 中身体活動 における心血管血行動態の応答
花 輪 啓 一 *, 中 川 書 直 *, 田 野 有 ‑ * 浅 沼 義 英 **,藤 江 正 ***
Ⅰ.は じめ に
水 中運動 としての水泳 は全 身運 動 で あ るため健 康 の維持 ・増進 の ための 様 々 な利点 が ある。 また障害 の発生率 も他 の運動種 目に比較 して少 な く,比 較 的安全 なスポー ツで あることか ら性 ・年齢 を問わず親 しまれてい る。 しか し,一方で は水中 とい う特殊環境下 での身体運動 とい う特殊性 か ら水死事故 の危険性 を有 してい る。
我 が国で は,毎年,港,河川,用水 ・堀,湖沼,プールで年間2,000‑3,000 件 の水死事故が発生 してい る とい う報告 もある。一般 に水死事故,特 に溺死
(deathfromdrowning)は全 く泳 げない者 や泳能力 の低 い初心者 に起 きる と 考 えが ちで ある。 しか し,実際 には泳 げる者 もし くは泳能力 の高 い経験豊富
な者が,溺れ るはずがない水深で多 くの事故が発生 してい る。
武藤 ら1)は,公営屋 内水泳場 (50m競泳 プール :9コース,水深 1.2‑2.2 m,飛 び込 み用 プール :水深 5m)で,監視員が常時 8人配置 されている状況 下で,過去5年間 における水死事故発生状況 について調査 した結果,年間平 均入場者数 は,約 43万人,年間平均事故発生件数 は,122件 (発生率 0.03%),
その うち瀦水事故 は平均 108件 (事故 の89%)で あった。溺水事故 の うち, 競泳 プールで発生 した件数 は103件 (溺水事故 の95%)と大半 を占めてい る。
さらに,50mプール にお ける溺水事故の発生場所 の分布 で は,いずれ も水深
*保健体育, *
*
保健管理 セ ンター,*
**
元保健体育 (名誉教授)308 人 文 研 究 第 87 輯
1.1‑1.5mの区域 で はほ とん ど発生がみ られないが,水深 1.5‑2.2mの区 域 にその発生が集 中 してい る。 その発生要因 について は冷水刺激 による反射 (divingreflex)お よび水 の気管 内誤吸入 による迷走神経 (vagusnerve)(下 喉頭神経 :inferiorlaryngalnerve,反 回神経 :recurrentlaryngealnerve)
を介 しての心臓抑制反射 (cardio‑inhibitoryreflex)による急激 な血圧下降, 心拍数 の低下 な どが推測2,3・4,5)されてい るが,その詳細 な機序 は未 だに明 らか で はない。以上 の ことか ら,水 中環境下 での身体活動時の心臓 ・血管血行動 態 (cardiovascularhemodynamics)を解明す ることは水死事故発生 の予防,
さ らには水 中身体活動 による安全 な健康 の維持 ・増進 のために大変有益 と考 え る。
そ こで,本研究 で は水 中身体活動時 の心臓 ・血管血行動態お よび心理 的負 担 について水泳能力 の低 い者 (水泳初心者) と水泳能力 の高 い者 (水泳競技 者) の比較検討 した。
ⅠⅠ. 実験 方 法 A.被検 者
被検者 は,プールでの泳能力が 5m以 内の水泳初心者 の健康 な男子大学生 5名 をcontrol群 とした。一万,3月か ら10月 まで週 5日間,2時間以上水 泳 トレーニ ング してい る健 康 な男 子 大 学 水泳 部 員 5名 をswimmer群 とし
た。以上 10名 を対象 とした。
B.実験方法
1.実験 日お よび場所
実験 は1990年 12月19日か ら同年 12月20日の 2日間,小樽 市 内の公 営 プール (25m)にて行 った。
2.温熱条件
実験 プール内の乾球温30.3±0.8oC,湿球温 26.0±0.4oC,相対湿度71.9±
0.3%,気流 0.5m/sec以下,水温 29.5±0.03oCの温熱条件下で行 った。
3.測定項 目
1)心拍数 (HR;Heartrate)は,独 自に改良開発 した4現 象 同時無線伝 送多用途 テ レメータ511Ⅹ (日本電気三栄社製)を用 い6),各 身体動作 中連続 的 に測定 した心電 図 (V5原波形 )の R棟 を 1分 間数 えて心拍数 の値 とした。
2)血圧 (Bloodpressure)は,Riva‑Rocci型血圧計 (聴診法) を用 い, 各身体 動作終 了直後 に収縮期血圧 (SBP;systolicbloodpressure)お よび 拡張期血圧 (DBP;diastolicbloodpressure)を測定 した。
3)平均血圧 (MBP;meanbloodpressure)お よびDoubleproductの 算 出 は, それ ぞれ次式 よ り求 めた。
MBP(mnl1g)‑ (SBP(nmi1g)‑ DBP(rm雌 ))/3+DBP(nmi7g) Doubleproduct‑ HR(beats・min‑1)×SBP(mnl1g)/102
4)体脂肪比率 (%Fat)お よび徐脂肪体 重 (LちM ;leanbodymass)を 次式 よ り求 めた。
%Fat‑(4.570/D ‑ 4.142)×100
D‑ 1.091310.00116(上腕背部(nm)+肩 甲骨下部(mn)) LBM (kg)‑ W ‑ (W x%Fat/100)
W ;weight(kg)
5)温冷感 (Thermalsensation)は,Gaggeetal.7)が作成 したscaleを
Tab一e1 PhysicalcharacterJ'sticsofthesubjects.
Control Swimmer
n
Ag脚2,. e
%Fat LBM
BSA
)))))ーif.⁝3':311、".i
5 19.4±0.5 173.0±1.9 61.1±6.9 12.4±2.3 53.5±5.2 1.75±0.09
5 19.8±0.8 170.6±6.1 64.7±8.0 12.()±1.8 56.9±6.1 1.76±0.ll
Valuesaremean±SD.
LBM;leanbodymass,BSA;bodysurfacearea.
310 人 文 研 究 第 .87 輯
日本語訳 した ものを一部改変 した温冷感 scale (Table2)を用 い,各身体動 作終了直後 に申告 して もらった。
Table2 Categoryscalesforthermalsensation. scale
15.
14. 暑 い
13.
12. 暖 か い ll.
10. ぬ るい
(Hot)
(Warm)
(Lukewarm)
9.
8. 暑 くも寒 くもない (Netural) 7.
6. 少 し寒 い (Slightlycold)
5.
4. 寒 い (Cold)
3.
2. か な り寒 い (Verycold)
1.
6) 自覚的運動強度 (RPE;ratingofperceivedexertion)は,Borg8)が 考案 した15段 階 のcategoryscaleを小野寺 と宮下9)が 日本語表示 に置 き換
えたRPE表示 (Table3)を用 い,運動終 了直後 に申告 して もらった。
Table3 Categoryscalesforrating ofperceived exertion(RPE). scale
20.
19. 非常 にきつい (Veryveryhard) 18.
17. かな りきつい (Veryhard) 16.
15. きつい (Hard) 14.
13. やや きつい (Somewhathard) 12.
11. 楽 である (Fairlylight) 10.
9. かな り楽である (Verylight) 8.
7. 非常 に楽である (Veryverylight) 6.
4.実験手順
実験 の手順 は, まず水泳用パ ンツを着用 させ,栄研式 キ ャリパ一によ り皮 下脂肪厚 を測定 した後,ベ ッ トに仰臥位休息 させ心電図測定 のための電極 を 装着 した。
その後,(むベ ッ ト仰 臥位休 息5分間,②立位姿勢 5分 間,③頚部 までの浸 漬3分間,④全身浸漬 1分間,(参運動 (板 キ ック運動)4分間の順 に順次実 施 した (Fig.1)。 運動 は各被検者 の体力 の最大努力で実施 して もらった。
得 られた全 ての数値 は,平均値 と標準偏差 を算出 し,平均値 の差 の検定 に はstudentt‑testで行 った。
312
歴 止 の
①Bedrest②Standing
人 文 研 究 第 87 輯
ー㌻ ‑
I ‑ ‑ I
̲P L 1 ‑ f L S i i L ‑ 竺 二
③Trunkimmersion
④Totalbodyimmersion
Fig.1.Schematicoftheexperimentafprocedure.
ⅠⅠⅠ.実験結果
A.被検者の身体特性
被検者 の身体特性 をTablelに示 した。control群 で は年齢 19.4±0.5歳, 身長 173.0±1.9cm,体重 61.1±6.9kg,%Fat12.4±2.3%,LBM 53.5±
5.2kg,BSA1.75±0.09m2で あった。swimmer群 で は年齢 19.8±0.8歳, 身長 170.6±6.1cm,体重 64.7±8.0kg,%Fat12.0±1.8%,LBM 56.9±
6.1kg,BSA1.76±0.11m2であった。いずれの項 目において もcontrol群 と swimmer群 との間 には有意 な差 は認 め られ なかった。
B.非運動時の反応 について
1.心 拍 数
陸上 お よび水 中での各身体動作時 の心拍数 の変動 をFig.2に示 した。
心 拍 数 は,仰 臥位 か ら立 位 へ 姿 勢 変 換 す る に と もな いcontrol群 で は 31.2±16.7beats・min1(p<0.05),swimmer群 で は13.8±6.1beats・min1
(p<0.05)の心拍数 の増加 がみ られ, いずれ も有意 な増加 であった。立位時 の心拍数 はswimmer群 よ りもcontrol群 が有意 (p<0.05)に高か った。陸 上か ら徐々 に人体 を水 中に水没 し,額部 までの浸漬 した時 の心拍数 は,con‑
trol群 で は22.8±13.1beats・min1の有意 (p<0.05)な低下がみ られたが, swimmer群 で は著 しい低下 はみ られ なか った。さ らに,頭部 を含 めた全身浸
(TLu!2・STt!aq)all:i)1t!aH
100
一 一 〇 一
一 Control(∩‑5)‑● ‑
Swimmer(刀‑5)‑ * ̲一O+‑
′一
㍉∵.
Trunk Totalbody
i‑ Bedrest 1 ‑ standing
ヰ
immersionヰ →immersion10 13 14 (Timeinmin)
Fig.2. Changesofheartrateduringnonexercise.
*pく0.05,**p<0.01
潰時 の心拍数 は,control群 で は短時間 に21.4±10.6beats・mi n‑1の心拍数 の 有 意 (p<0.05)な 低 下 が み られ た。一 方,swimmer群 で も20.6±18.1 beats・min1の低下がみ られたが有意 で はなか った。両群 とも陸上立位時の心 拍 数 に比 べ て全 身 浸 潰 時 の心 拍 数 は有 意 (control群,swimmer群 :p<
0.01)に低か った。
2. 血 圧
陸上 お よび水 中 で の各 身 体 動 作 時 の収 縮 期 血 圧 (SBP),拡 張 期 血 圧 (DBP),平均血圧 (MBP)の変動 をFig.3に示 した。
SBPは,陸上 において仰臥位 か ら立位へ姿勢変換 す るに ともないcontro1 秤,swimmer群 とも類似 した変動が み られ,両群 には有意 な差 はみ られ な か った。しか しなが ら,水 中での身体動作時で はcontrol群 において陸上立位 時 118.6±9.3mmi1gか ら頚 部 ま で の 浸 漬 時 137.0±6.Ormi 1gで 有 意 (p<
0.001)に上昇 し, その値 はswimmer群 よ りも有意 (p<0.001)に高かった。
さらにcontrol群 で は頭部 を含 めた全身浸漬時 (143.6±11.8mm鞄)で も上昇
314
0日H‖H
(BHuJul)alnSSaldpooT田
人 文 研 究 第 87 輯
一一0‑‑Control(∩‑5)
‑ ● ‑
Swimmer(n‑5)/一一
一IO ●‑
L
tO*.+1‑ ●1
.;拷...i=・p・ / rI#・T
funk Totalbody
良‑ B。dr。st r封← standing r>k immersion」くメimmersion
0 5 10 13 14
(Timeinmin)
Fig.3. ChangesofsystoJicbloodpressure(SBP),diastolic bloodpressure (DBP)andmeanb一oodpressure(MBP)duringnonexercise.
*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001
す る傾 向で あ ったが有意 な上昇 で はなか った。
DBPは,陸上 において仰 臥位 か ら立位 へ姿勢変換 す るに ともない,両群 と も平均 9.2‑9.8nmi 1gの上 昇 が み られ たが有意 で はなか った0‑ 万,水 中で の 身体 動作 時 で はcontrol群 にお いて頚部 までの浸漬 時 に は陸上 仰 臥位 時 と同 レベ ル (68.4±11.5rmi Jg)まで低 下 したが,頭部 を含 めた全 身浸漬 時 (89.6±
5.5mm鞄)に は急激 に有意 (p<0.01)な上昇 を示 し, swimmer群 よ りも有意
(p<0.05)に高 か った。 しか しなが ら, swimmer群 で は頚部 まで の浸 漬 時
Trunk lTotalbody
001
(mxこUnpOldatqnoG
‑‑‑0‑‑ Control(n‑5)
‑+‑ Swimmer(n‑5)
Ol
一一メ一一/*t*l
. i
‑・・0‑●
‑.‑
ト B。drest + standing ヰ immersionヰ 司 immersion
10 13 14 (Timeinmin)
Fig.4・Changesofdoub一eproductduringnonexercise.
*p<0.05,**p<0.01
(73.0±7.5Ⅷ瓜g),頭部 を含 めた全身浸漬 時 (72.2±12.6rTmHg) とも陸上立 位 時 (76.0±5.7ml唖)に比 べて著 しい変動 はみ られ なか った。
MBPは,陸上 にお いて仰 臥位 か ら立位 へ姿勢変換 す るに ともない,両群 と も上罪 (control群 ;4.4nmi1g,swimmer群 ;7.8rmi Ig)す る傾 向が み られ た が ,頚部 までの浸漬時で は両群 とも陸上立位 時 と大 きな変動 はなか った。一 万,1分間 の頭部 を含 めた全身浸漬時 の値 は,control群 で は91.4±6.5n蝿
か ら107.4±6.3m止短 (p<0.01),swimmer群 で は89.4±6.1mnHgか ら 108.6±6.5rmi 1g (p<0.05)へ, それ ぞれ短 時間 に急激 に有意 な上昇 を示 し た。つ ま り,顔 面 を浸漬 す る ことに よ りMBPは短時間 に著 しい上昇 を示す こ
とが確認 された。
3.Doubleproduct
陸上 お よび水 中で の各身体動作 時 のdoubleproductの変動 をFig.4に示 した。
doubleproductは,陸上 において仰 臥位 か ら立位 へ姿勢変換す るに ともな
316 人 文 研 究 第 87 韓
い,control群 で は99.9±21.6(×102)か ら134.3±20.2(×102) (p<0.01),swim一 mer群 で は81.3±17.8(×102)か ら96.3±20.8(×102)(p<0.05)にそれ ぞれ有 意 な上昇 が み られ,陸上立位 時 で はswimmer群 に比 べ てcontrol群 が有 意 (p<0.05)に高 か った。水 中身体動作時 で は陸上立位 か ら頚部 まで の浸漬時 へ移行 す るに ともな い,両群 とも陸上 立位 時 に比 べ て著 しい差 はみ られ な か ったが, ここにおいて もswimmer群 (94.3±33.7(×102))に比 べ てcontrol 秤 (125.0±14.9(×102))が有意 (p<0.05)に高か った。 ところが,頚部 まの で浸漬時 か ら頭部 を含 めた全 身浸漬 時 へ動作 が移行 す るに と もな い,両群 (control群 で は125.0±14.9(×102)か ら89.0±30.1(×102),swimmer群 で は 94.3±33.7(×102)か ら73.0±14.3(×102)) とも短時間 に急激 に陸上仰 臥位 時 の 値 よ りも低下 した。特 に,control群 で は有意 (p<0.05)な低下で あったが, 両群 の間 に は有意 な差 は認 め られ なか った。
4.温 冷 感
陸上 お よび水 中での各 身体動作時 の温冷感 (Thermalsensation)の変動 を
warm (12)
31iJE
lukewarm (10)
(9)
netural (8) (7)
slightlycold (6) (5) cold r4)
一・0‑ControHn‑5)
‑+‑Swimmel・(n‑
= 一 一 一 一 一 一
Trunk Totalbody
匡‑ Bedrest ニ*‑ Standing r* immersion本 月immersi。。
10 13 14
(Tinleinmin)
Fig・5. Ch.angesofthe「malsensationduringnonexercise.
*p<0.05,** *p<0.001
Fig.5に示 した。
なお,温冷感 の変化 は暑 い方向へ の変化 を上昇,寒 い方向へ の変化 を低下 とした。
陸上 にお いて仰臥位 か ら立位 へ姿勢変換 す るに ともな う温冷感 の申告 は, 両群 とも若干上昇 を示すが大 きな変化 で はない。水 中身体動作 時で は陸上立 位 か ら頭部 までの浸漬時へ移行 す るに ともない,両群 とも急激 な低下 が み ら れ control群 で は 『ぬ るい (lukewarm)』 か ら 『少 し寒 い (slightlycold)』
(p<0.001),swimmer群 で は 『暑 くも寒 くもない(netural):中性』か ら 『少 し寒 い (slight王ycold)』 (p<0.05)へ,それ ぞれ有意 な申告 の低下が み られ たが,両群 の間 に は著 しい差 はなか った。 さ らに,全身浸漬時へ動作 が移行 す るに ともない,両群 とも申告 の上昇 す る傾 向が み られ たが, いずれ も有意 な上昇で はなか った。
C.運動時の反応 につ いて
身体運動 時 (板 キ ック運動) の心拍数,血圧 ,doubleproduct,温冷感 , 自覚 的運 動 強度 (RPE) についてcontrol群 とswimmer群 との比較 をFig.
E≡ヨ contro1(n‑5)匡至当 Swimmer(n‑5) (beats・minー1)
000642日r: Tl由
(mmHg)
160140120 I巾ⅢⅢ相田凶
(mmHg)
35:.0葺
千‑関目
(mmHg) 120
100
80
60
HeartRate SystolicBlood Diastoh'cBlood MeanBfood
Pressure(SBP) Pressure(DBP) Pressure(MBP)
Fig.6.Changesofheartrate,systolicbloodpressure(SBP),diastolicblood pressure(DBP)andmeanbloodpressure(MBP)duringexercisein wate「,
318
(×102)
300
250
200
150
ーー由
人 文 研 究 第 87 輯
巨≡;ヨcontrol(n‑5) 匿≡]swimm。r(n‑5)
(13) warm (12)
allE
lukewarm (10) (9) netural (8) (7)
ー1
‑南 開闘凶 I⊥ 出
DoubleProduct ThermalSensation
(18) veryhard (17) (16)
hard (15) (14)
somewhathard (13)
(12)
ー閏軌粧抑止
RatingofPerceived Exertion(RPE)
Fig.7・ Changesofdoub一eproduct,thermalsensationandratingofpe「‑
ceivedexertion(RPE)duringexerciseinwater.
6,7に示 した。
心 拍 数 は,control群 で は140.4±26.4beats・min‑1,swimmer群 で は 163.8±4.6beats・min1,control群 は平均 23.2beats・min‑1,swimmer群 よ
りも低 いが有意 な差 で はなか った。
SBP は,control群 で は156.4±9.0mnl1g,swimmer群 で は158.4±12.9 mnlIgで,両群 には著 しい差 はなか ったが,swimmer群 の値 は頚部 まで の浸漬 時 (p<0.01)お よび全身浸漬 時 (p<0.05)のそれ ぞれの値 に比 べ て有意 に 高か った。一 方,DBP はcontrol群 で は54.8±12.OTmi 1g,swimmer群 で は 40.8±16.4mnHgで,control群 がswimmer群 よ りも平 均 14.0m止短高 か っ
たが有意 で はなか った。運動時 のDBP は全身浸漬時 の値 に比 べて,control 群 で平均34.8rmi Jg(p<0.01),swimmer群 で平均 31.4m鞄 (p<0.05)の 著 しい低下が み られ た。 また,MBPで は両群 の間 には著 しい差 はみ られ な
い 。 しか しなが ら,control群 で は運動時 の値 は全身浸漬時 107.4±6.3ml鴫 か ら88.6±6.9nmikへ著 しい低下 (p<0.05)がみ られたが,swimmer群 で は94.2±12.8mnHgで 全 身 浸 潰 時 108.6±6.5nmi1gと著 しい差 は み られ な か った。doubleproductは,control群 で は219.1±41.3(×102),swimmer群 で は252.3±22.1(×102) で,control群 はswimmer群 よ りも平均 33.2(×102)
低 か ったが, その値 は有意 な差 で はなか った。
温冷感 は,両群 とも 『暑 くも寒 くもない (netural):中性 』・『ぬ るい‑(luke warm)』との間 の申告 であった。control群 はswimmer群 に比 べ て低 く, 同 一水温下 (29.0±0.03oC)で最大努力 の運動 で も両群 において温度感覚 に差 が あ る傾 向が み られ たが有意 な差 で はなか った。また,全身浸漬 時 と比 べて, それ ぞれcontrol群 で は平 均 1.4category,swimmer群 で は平均 2.2cate‑ goryの上昇 がみ られ,特 にswimmer群 で有意 (p<0.05)な上昇 で あった。
自覚 的運動強度 の申告 は,control群 で は15.8±1.1category,swimmer 群 で は15.2±1.5categoryで, 『きつい (hard)』よ りもやや上昇 した ところ
にあ り,両群 とも自覚的 に はほぼ同一 レベ ルの運動強度 で あった こ とが確認 され た。
Ⅳ.考 察
温熱環境 下 にお ける諸研究 で は, と りわ け対 象 とな る者 の体格 お よび組織 学 的 な体脂肪量が大 きな影響 を及 ぼす ことが考 え られ る。 もち ろん体力 の増 進 ・増 強 に ともない温熱順化 が向上 す る ことも知 られてい る。 しか しなが ら, 温熱環境暴露等 に関す る研究 で は皮下脂肪量 が生体応答 に及 ぼす影響 は無視 で きない。本研 究 で対 象 とした被検者 はTablelに示 した ように,体格 的 (身 長,体重,BSA)に も,組織学 的(%Fat,LBM)に も,control群 とswimmer 群 との間 に は, いずれの項 目において も有意 な差 が認 め られ なか った ことか
ら,両群 とも同一 の皮下脂肪比率 を もった集団で あ る と考 える。
1.非運動時 について
本研究 において心拍数 は,陸上で は仰 臥位時 か ら立位 時 に姿勢変換 す る こ とに よ り両群 とも明 らか に心拍数 が増加 す る。 この ことは,定期 的 に水泳 ト レーニ ング を してい る者 としていない者 で は姿勢変換 に ともな う心拍数応答 には著 しい相違 が ない ことが確認 され たが, その値 に は水泳 トレーニ ングに よる差が大 きい。 つ ま り, 同 じ仰 臥位 か ら立位 に姿勢変換 に対 して,水泳 ト レーニ ング を して い ない者 は心拍 数 の増 加 に よって一 定 の血 液循 環 を維持
320 人 文 研 究 第 87 輯
し,一方,水泳 トレーニ ングをしてい る者 は同 じ姿勢変換 で も少 ない心拍数 で血液循環 を維持 してい る ことになる。 この ことについて,Reevesetal.10)
は安静時 の仰臥位時 と立位 時 の心拍出量 (cardiacoutput)を測定 した結果, 酸素摂取量 はいずれの体位 で も変わ らなか ったのに対 して,心拍 出量 は立位 時で仰 臥位時 よ りも30%低下す るが,肺動静脈血酸素較差 (pulmonaryA‑V
0 2 difference)で は仰臥位 時 に比 べて立位 時で 1.43倍 に増大 した ことを報 告 してい る。 したが って,水泳 トレーニ ングをしていない者 は心臓 か ら駆 出 され る血液量 (cardiacoutput)が少 ないため駆 出回数 の増加 で,水泳 トレー ニ ングをしてい る者 で は心拍 出量が多 いため少 ない駆 出回数 で, それぞれ体 血液循環 を維持 してい ることが推察 され る。
水温29.0±0.03oCの水 中での心拍数応答 で は,足先か ら徐 々 に大腿部,腰 部 の順 に頭部 まで完全 に5分間浸漬 した時 の心拍数 は,水泳 トレーニ ングを
していないcontrol群 において明 らか に徐脈反応 (bradycardia)が出現す る こ とが 確 認 さ れ た が,水 泳 トレーニ ン グ を し て い るswimmer群 で は bradycardiaは観察 されなか った。また,頭部 を含 めた全身浸漬時で は,両群
とも頚部 までの浸漬時 よ りもさ らに心拍数が低下 す る潜水徐脈反応 (diving bradycardia)が観察 され,Songetal.17), 山地 ら18)の報告 と非常 に一致 して
い る.しか し,水泳 トレーニ ングをしていないcontrol群 で は,その低下 の度 合 いには明 らか に水泳 トレーニ ング を してい るswimmer群 よ りも大 きい こ
とがわか った。これ らの一連 の水 中での心拍数 の応答 について,真野 と芝 山11) の研究 によれ ば24oCの水槽 で頚部 まで水浸 させた場合 と全身 (頭部 まで)の 水浸 にお ける息 こらえ (breathholddiving)で は,両条件 ともに徐脈現象が 出現 す る。 また,水温が37oC,24oC,4oCと異 なる条件下 での息 こらえで は, 水温 4oC水浸で20秒経過 した時点で徐脈現象が最大 となる。これ らの ことに
よ り,潜水徐脈 はまず息 こらえが絶対 の条件 とな り,水圧変化 はあ ま り影響 せず,頭部 が水浸す ることで徐脈 が出現 し,寒冷要因が徐脈 の程度 を増大 さ せ るとしてい る。 しか しなが ら,本研究 で は水泳 トレーニ ングをしていない control群 で息 こらえお よび頭部 を水 浸 しな くて も徐 脈 現 象 が 出現 して い