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研究ノート 要素貿易におけ る 収支均衡 堀江 義

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(1)

研究ノート  

要素貿易におけ る 収支均衡  

堀江   義   

国際貿易の静学理論においてほ,一腰・に・次のような諸仮定がおかれているのが普通であ   る。(〔5〕)  

仮定  

(A.1)生産要素は国際間において移動しない。  

(A.2)生産の技術にンついては,規模に関して収穫一・定が成立している。  

(A.3)外部経済あるいは外部不経済といった「外部効果」は存在しない。  

(Aル4)完全競争市場。  

(A.5)価格の伸縮性と生産要素の完全雇用。  

(A。6)国際収支は均衡している。  

(A.7)貿易のための輸送費は無視される。  

よく知られたへクレヤ」−・オジー・ンの理論も,上のような前提の下で,とりわけ国によ   って一要素存在畳の異ることが貿易の性格に.どのような影響をもたらすかを見ようとしたも   のである。ただし,この理論を明確に定式化するために.は,さらに仮定がつけ加えられ   る。  

(A.8)2国−2財−2要素の世界。  

(A..9)生産要素は両国共に同質であること。  

(A..10)同一・財の生産技術に.ついては両国共に同⊥・であること。  

(A.11)財に対する噂好(効用関数)は両国共に同一・であること。  

今日へクレヤ・−・オリ・−ンの理論と呼ばれているものは,内容的紅は二つの命題を含ん   でいる。   

(2)

要素貿易における収支均衡  

297    「−J27−  

〔命題1〕各国ほ相対的に豊富な生産要素を多く使用する商品を輸出し,相対的に稀少な   生産要素を多く使用する商品を輸入する。  

〔命題2〕国際貿易の結果,各国の間における生産要素の相対価格ほ均等化(縮′J、)すや。  

上の第2の命題ほ所得分配に関わるものであるが,国と国との問で生産要素の移動が行   われなくとも((A.1)),価格調整機構の働きにより,国隙間で(相対)所得が均等化す   る,という主張である。一方,第1の命題は商品貿易の性格を規定するものであるが,第   2の命題に省みて,商品の貿易をあたかも生産要素の貿易があったの如く解釈しうるので   ほないか,という発想が生じる。   

ところで,要素貿易を商品貿易と対応づける試みほ,すでに〔12〕紅於てなされている。  

そこでは, 

ておくことがここでの一つの目的である。さら紅,商品貿易の均衡は要素貿易の均衡町対   応するはずであるから,そのことから要素貿易曳と要素価格との関係を明らかた.する。   

もともと,緒論のみがあざやかなコントラストをなすへクレヤ−・オ㌢−シ命題とレオ   ンチェフのそれとの問にほ,理論の前提にいくつかの速いがある。そうした場合に,要素   貿易の考え方は,両者を統一萬に・説明する一つの手法と考えることができる。  

Ⅰ資本集約度と要素価格比率  

国際貿易のことに触れる準備として■,生産関数を用いて,資本集約度と要素価格比率と   の関係についてノ盤理しておこう。仮定(A.9)およぴ(A.10)に.よって,この関係ほ両国   に共通して当てほまる。   

商品−∠の生産畠をズゎそれの生産紅要する生産要素は資本と労働とであるものとし,  

それぞれの投入蕊を穐およびエfとする。生産関数を  

(1) ズ宜=ダ乞(釣,エも),(が=1,2)  

で表わす。(Al.2)に.よって,(1)は次のように表現してもよい。  

(1)′ .勘=ノ壱(鳥豆),ただし.芳£=Ⅹ官/エゎ あ=g乞/エ£.  

籍1図におけるムJ£(わ=1,2)は商品−よ■の等産出塩曲線である0曲線′1′1上匿任意   の点Plをとり,この点で曲線に潜する直線glを引き㌧glと横軸との交点を凪とし,   

(3)

ーヱ2β−   第48巻 第2号   298  

第 1ノ 図  

∠PlO屋1=α1,∠Pl々10==β とす   る。次紅,glと平行かつちちと接   する番線をg2とし,曲線ちちと   の交点をP2,横軸との交点を亀,  

また∠P20月2=α2とする。商品−  

の価格♪ゎ商品−≠で測った賃   金率および利潤率をそれぞれ(紺/  

如)およぴ(7ノ♪名)とすれば,こ   のとき  

磯  

商品−よの資本集約度(烏£)=′α〝(α卓),   労働  

要素価格比率(山)=(芸)/(去)=−≠〃形β  

gl g2  

が成立する。上の第2の式ほ生産者の利潤極大化行動を前提にしており,より厳密にほ  

r=動(設)=抽(点 )  

紗=動(設)=動(/i一机(毎))  

ただし,、プライムは微分を示す。  

(2)  

より導かれる。   

第1区lのような生産関数を前提とするならば,同じむの値紅対して必ず烏ヱ>烏1。このと   き商品−1は労働集約的商品,商品一字は資本集約的商品と言われる。   

ところで,(2)より  

…=〃i(鳥乞)=(ノ定一烏£′′£)/./′名  

であるから   

① 戯∠ノゐ=−(′′i)2/(.わノ〝乞)>0.   

また,同じ式より p≡♪2/♪1=ノ′1/ノンz=(./1一点1′1)/(ノ去一点2メソ2)であるから   

(4)

ーJ29−  

要素貿易における収支均衡  

299  

dp=(/ソ′./′2(路1一冊ノ′1./′′2)/(/′2)2   となり,(む式を用いて   

⑧ dpノゐ=(ノ′.//′2)(/ソ2/ノ妄一ハ/ノー1)  

=(烏1−・点2)(/′1)2ノり−1ノ2)   

を得る。したがって,我々は算2図のような周知の曲線を画くことができる。  

第 2 図  

ⅠⅠ契約曲線  

前述の第1区匿.おける等産出畳曲線は,産出畳水準を任意紅与えることによって,たと   えば商品ニ1に.ういては第3図のJ.Jl曲線を含む曲線群となる。次に,この国(A国とす   る)の要素存在塵を点OA(盲,斉)によって表わす。このOA点が原点となるように座標   軸を平行移動させ,そこに商品−2の等産出量曲線群を画き,さら把これらの曲線群をOA   点を中心として点対称移動させれば,同図のちちを含むような等産出孟曲線群がえられ   る。このようにして,商品−1と商品−2との等産出遠曲線の接点を結ぺば,契約曲線  

(ContractCurve)OPOAができる。次いで,P点における商品−2の産出孟水準を商品  

−1と同じ座標平面に求めるに.は,00Aを1つの対角線とする平行四辺形OPOA¢を作   ればよい。Q点を通る等産出盈曲線γ2γ2の水準が求める碍とな皐。   

しかも,P点とQ点とに.おけるそれぞれの等産出量曲線に接する患線はお互いに平行   である。   

(5)

300    第48巻 第2号   

第3図  

g2  

\、、   : \  、・  

、 

l   \  

、  

l  

暮  

ーー1β0−−  

gの傾きはgp(〃gQ)  

のそれよりも急になる。  

品   gp  

上の手続きを参考にして,契約曲線に関して我々は次のようないくつかの性質を引き出   せる。  

(イ)契約曲線上では生産要素の完全雇用が充たされている。従って,   

(3) ∬1+穐=度  

(4) エ.+エ2三吉  

これらの式は次のように・書きかえてもよい。   

(3)′ もJl+烏2J2≦首(…斎/窮,  

(4)′ Jl+J2=1,ここにJ電=エ£/こ   

(6)

要素貿易における収支均衡  

301    −ヱβJ−  

(ロ)等産出量曲線の凸性紅より,契約曲線ほ対角線00Aに.対して必ず凹になる。また,  

々l< 烏2の仮定の下では,烏1≦姦≦烏2.  

(ノ、)契約曲線上では,dJl/ゐ>0かつdJ2/血〉<0.   

なぜならば,(3)′および(4)′より  

⑨(−・1)£(々1一点2)(dJ£/ゐ)=Jl(d烏1/血))+J2(d々2/ゐ)   

①によって上式の右辺は正であり,また仮定虹より点2 >・点1であるから,・Sよg〝(dJi/血))=  

扇g花(−1)£ ̄1.  

(ニ)d訂1/ゐ>0およびd策/ゐ<0  為/王己J£./壱(烏乞)よりd弟/f=ノ壱dJ乞+J電/ン乞挽.  

①および(ハ)に.よって,dズ1/ゐ>0は朋らかである。次に  

(ゑ1一々2)(dち/血〉)/エ=/去(烏1一点2)(dJ2/血〉)+J2/ソ2(烏1−ゑ2)(dゐ2/血,)  

〒/去(Jl(成1/ゐ)+J2(戯2ノゐ)‡+J2ノン2(カ1−あ)(萌/ゐ)  

=Jl/妄(d烏1/ゐ)+/2〈ノ2+ノン2(烏1一点2))(d烏2ノゐ)  

であるから,ん+/′2(烏1一点2)=亮一烏2/′2+・ゐ1メソ2>0を示せばよい。生産関数の性質より,  

ノ′2て>0,ノ去一点2ノ′2一>0.  

(ホ)契約曲線上の点を充たすような資本集約度ならび紀要素価格比率紅は,それぞれ上   限と下限とがある。   

これらを第4図との対応で示せは   聖≦叫≦扇,れ∽(α*)≦点1≦有く鳥2≦′α形(α*) 

さて,以上によ・つて国内経済に関する記述をまとめることができる。すでに示された方   程式のう 

個となる。一・方,未知数は弟,あ,Jゎ か,抑およびγ(よ−=1,2)の10個である。このう   らで商品−1を.ニュ−メレールにとれば,♪1=1.従って,ワルラス法則を考慮しで,ニ   財のうちいずれか一方の商品の需給方程式をつけ加えれば,国内経済のモデルは完結す   る。未知数が1個多い上記の我々のモデルに於ては,さし当り匂を与えられたものと見な   せば,他の変数をひの関数として取り扱うことができる。(①,⑧,⑧)   

(7)

302  

第娼巻 第2号   寛 41図  

−∫β2−  

ね肌(α米)   

£α?l(α#)  

」 ㊤ d.方吏/ゐ=−(/′官)a/(ノ乞ノ壱′′)>0 

ⅠⅠⅠ貿易と特化  

ここでこつめ国,A国およびB国,を考える。一メナ国における二商品の相対価格をp〆で   示せば,ニ由の間で貿易が行われるのは囲≒裡のときである。こ_のような価格差が生じ   る原因のうち,とりわけ要素存在盈の差紅注目したのがへ・クレヤーー・オジーーンの理論であ  

った。   

両国で生産の・技術が全く同じである一としても,要素存在畳に差があれば各国の生産物の   転形曲線(tranSformationcurve)は異るから,たとえ需要条件(効用関数)が同じであ  

っても各国の封鎖経済体系における商品の相対価格には帝離が生じる。これが貿易の誘因   

(8)

ー」昔β… 

要素貿易における収支均衡   303   

となる。  

貿易紅より,各国ほ自国において棚寸的に豊富な生産要素を多く使う商品に特化した方   が有利に.なり,その結果,商品の相対価格も生産要素比率も両国の間で均等化する0(こ   のメカニズムを,第2図を用いて儲明することもできるが,ここでは省略する0)   

こLの結果を,要素平面上に図示したものが第5図である占この図の右上部分には,A国   のボックス・ダイアグラムが画かれ,それは第3図と同じに解釈されている0(ただし,  

貨 5 図   資   本  

r●−−−−−■■− ̄ ̄− t■  

l  

l  

−β:労働望軍国国  

l  

l  

l  

t  

0′タ   

雷の代りに雇α∴iゐ代りに・エαとしているム)同様にして,左下部分にはB国のそれが画か   れている。座標軸の方向については,その都嵐適当に読みかえられなければならない0   

貿易の行われた後の各国の均衡点をそれぞれPおよぴRとすれば,それらに対応して第   3区は同じようにQおよびぶが求められる。このとき,POぶおよびQOjiはそれぞれ直線   となる。なぜなら,要素集約度逆転のない生産関係を前提にすれば,前節紅述べた如く,  

p〜ひ〜点1〜烏2の間には1対1の対応がある○いま,貿易に・よってPA=Pβとなれば,  

両国の各商品ごとの資本集約度は等しくなければいけないからである。両国の要素限界代   

(9)

304   第48巻 第2号   

一−Jβ4−  

替率は等しいから,gA//gβでもある。   

っいでながら,もし世界全体の契約曲線を求めるなら,線分OAPと0β丘とを共比延長   したときの交点Ⅳを求めればよい。また,図をえがく手順によって明らかなように,もし   国際均衡をも充たすようなA国の均衡点がPであるなら,B国がいずれの生産物にも完全   特化しないためには,0月点は半直線0忍と05■との作る鋭角の領域紅あることが必要で  

ある。  

ⅠⅤ 要素貿易  

さて,ここで第5図における座標軸を次のよう虻田定化する。A国についてほ,0点か   ら右方へ労働を,0点から上方へ資本を,それぞれ測る。B国についてほ,0点から左方   へ労働を,0点から下方へ資本を,それぞれ測る。このとき   

−−>・  OP=A国における商品一1の生産紅要した要素のベクター  

→  OQ=A国に.おける商品−2の生産に.要した要素のベクタ−  

→  05■=B国における商品−Iの生産に要した要素のベクター 

−・・>  0月=B国における商品一2の生産に.要した要素のベクター   

となる。これを改めて第6図に示す。   

次に,前節の均衡価格体系の下で,各国の各商品に対する需要が決定されるが,これら   を同じ図の要素平面上紅表現する。即ち,これらの需要にちょうど等しいだけの商品を自   国内で生産するならば,どれだけの生産要素を必要とするかを考える。その結果,A国に 

−−ゝ一事 おいてほ,各商品の紹要紅白国内生産で応じる紅はOf〉′およぴOQ′の要素が必要であり,  

−−トー一事・ 同様に.してB国でほ,05リおよび0点′の要素が必要であるとする。(各国とも,商品−1,  

商品−2の順)ニ国内に.おける見易収支均衡の仮定((A.6),(A.8))を充たすように   価格メカニズムが働き,均衡においては.蘭7=衰評,軒=訂が成立する。    ̄ 

ここで  

−◆−−ト→→−■■−◆   OP′十0¢1亡00′A,05ソ+0月′=0タ′β    としよう。明らかに,一方で  

.・..■   −−ゝ   −⇒■    →   →   −「■   0ア・‡・0(ヨ=00d,0∫+0月写00β   

(10)

要素貿易における収支均衡   策 6 図  

−Jβ5−  

305  

−ヽ→ が成立している。00タおよびノ00′7はブ国に.おける要素存在盈および要素に牒寸する需要畳  

をそれぞれ示す。(ブ=Aまたはβ)かくして,   第 7 図   商品貿易の場合と同じように   

−−トーー>・・・・・・>   

00グー00′プ=0′グ0メ(ブ=Aまたほβ)  

g4(エ¢,㌘)  

は,ブ国に.おける生産要素の輸出(ベ   クタ−の座標が負の由ならば輸入)  

を表わすものとして解釈することが   できる。   

ここからは座棟をA国のそれに合   せて兢むならば,ニ園間貿易の仮定  

一−■−■■ により,0′AOA零0′月08が必然的把   成立する。   

.々肌(エ竺だり  

品  

一旗   

(11)

306    第48巻 第2号  

ーj3β−  

この図に加えて,貿易蕊と要素相対価格との閑適を示したものが算7図である0  

−す−+一−←■・・・→−>−サーー→  一斗    前図との関連で,OjヲA=Q′Q,0吼=打つ′,OEβ=ぶ′∫,0娩}=忍′皮とする0(OEA=  

・一・▲・>     →   ・▲・・・>  

−0凡才β,0吼=−0月月)このとき  

→    ・・一・ゝ    一・・・>   OEA+0ββ=Or   

−・}−>  ・▲−ゝ  

とすれば,0γ=0′プ0プ(ブ=』またはβ)であることが容易に・知られよう。Orは要素貿   易ベクターと呼ぶことができる。A国の座標軸によって表示して,点rの座標を(エ ,  

∬りとすれば,図に於て・A国は(−・エりだけの労働を輸入すると同時に月㌣だけの資本を   輸出してt、ることになる。  

次に,辟アを通り線分αrに垂直な直線を引き,この直線と横軸とのなす鋭角を∂とす   れば,′〃邦β=伽が成立する。このことの証明をも兼ねで与商品貿易と要素貿易との対応を   数式によって示しておこう。   

ある国における商品〟査の貿易量をズ iで示すならば,  

♪.・∫√∫=Jぐエ′〜+′〝√J   

ここに,尺㌔およびエ㌔は商品一首を自国内で芳㌔だけ生産するのに要する資本および労働   の投入盈である。(仮定(A.10)によって−,生産物が自国で生産されるか貿易相手国で生   産されるかに関わりなく,それの生産に要する各要素の投入巌は同じである0)上式より  

♪1ズ1£−♪2ち =紺(エ1しエ2リー7 (∬1L一・穐り  

=紗エ +γ仔↓   

を得るが,(A.q)によって左辺は0紅等しい。したがって,一節/エよ=紺ル =伽・   

このようにして,ニ国間における商品の輸出入均衡ほ,その袈の側面として,生産要素   の輸出入均衡として読みかえることができる。  

Ⅴ 投入産出分析による解釈  

レオンチェフ紅よって試みられた,一華人産出分析の国醸貿易への応用は  

(5) 汀ざ=」(汀Ⅹ)+汀y,  

ここにズ=租産出畳ベクタ−,」=価値表示の投入係数行列,y〒純産出量  

ベクタ・−,そして   

(12)

要素貿易における収支均衡   ーーJ37−  

307  

♪1♪20 0、♪柁   

,♪グ=商品一一グの価格   

を基本式とする。(産業部門数=乃、≧2.さらに,物的表示の投入係数行列を入とすれば,  

」=打ゝ汀一1によって上式は常紅物的連関式に書きかえられる。)さらに,ここでは(A。わ   以下の仮定ほ落して.考える。  

そこで  

〝1,… ‖lu,〝花  

びl,1= ‥‥ナ〝乃  

¢=  〔  

〝タ=エア/(♪ダガグ),ぴ7=仔7/(♪グざブ)   

とすれば,上式より  

便切・ズ=⑳(J−」)−1(方y)  

=◎(ノーJ) ̄1(打方一花〟+花rか)  

=◎(ト」) ̄1汀E−p(ト〟) ̄1クー〟+¢(トJ) ̄17rか.   

ただし,左=輸出,〟=輸入,β=その他の最終需要,である。この式の左辺は生産物を  

冗ズだけ生産するのに.要した生産要素の総量である。(同時に,(A.5)によって,これは   この国の要素存在患でもある。)右辺の第1項は,輸出額方βを生産するのに直接間接に  要した年産要素の投入最を表わす。第2項ほ,輸入額方〃に相当する生産物を自国で生産  

するならば,そのために.要するであろう直接間接の要素投入畳を表わす。(〔12〕)右辺の   こ.れら二項を第7図に.おけるA国の場合に・対応せしめれば,  

畔仰=  〔≡1,軒J)−1汀〟=  〔ニ〕 

したがって,もし((∬β/エり>(∬刑/エ澗)ならば,あるいは同じことであるが   

γ…(貰)/(昔)<1   

ならば,この国では資本集約的商品を輸出していることが確かめられる。   

(13)

叫∴㍑摘−   鴇48巻 舞2葛   308   な牒,∬乞およびエi(∠=βまたは研)を輸出額(あるいは輸入額)1単位あたりの各投   

入盈と見撤してもγの値に.変化ほない。また,国内産業で厨換できないような非競争輸入    品ほ,当然ながら,上の計算には含められない。   

最後に,レカ・ソテェフ方式によって得られた要素貿易ベクター・と要素価格との関連を見    ておこう。   

Eゎ 叫および㌢ブをそれぞれ払ぃ〟およぴyの第タ要素とすれば,♪プyブ=γ■勘+紺エグ(ブ   

=1,・…,〝)(もし資本の減耗を考慮するなら,減価償却率をγ・の中紅含ましめる。)のう    ち,βグー叫…f7の生産量に対応する片グおよびエブをエ〆およびエクエとして,久木=ダガタ +    紗エプ を得る。∑沙れ=′∑ギグ£+紺∑エブ£=7・g +紗エ£であるが,(A.6)によって,この値    はゼロに・等しい。  

ⅤⅠおわりに  

レオンチェフ方式によって実証的に・得られた結論が,へクジャー・オリ」−ソの演禅的な    命題を否定するものであったことは,確かに従来の理論に.大きな反省を促すものであっ    た。また一方では,レカ・ソテェフの研究紅添った試みも各国に.ついて少なからず見られる。  

とはいえ,両者は理論的枠組に.於て必ずしも−激するものではないから,結論のみ.を対    比するのほ性急すぎると云えよう。  

もともと産業連関分析は完全雇用を前提とする必要はない。最終需要の増加に見合って   各産業の生産物を増加させる過程にあって,同時に.生産要素の雇用量も増大することを認   

めるものである。その際に用いる投入係数は固定的なものと仮定するのが普通である。で    あるならば,生産要素が代替的な場合紅生じる「要素集約度逆転」というケーースほレオン   

チェフ的手法とは相容れない。   

また,本論では立ち入らなかったが,レオンチエフの方法によれば,必ずしも二つの国    が同一・の生産技術を有する必要はない。さらに,中間財の存在,寡占的市場構造,各国の   

需要関数の差,経済政策との関連,などなど,については今後の課題としたい。   

(14)

要素貿易における収支均衡   ーjβ9−  

309  

参 考 文 献  

〔1〕Caves,R.E.andJohnson,軋G..ed.,ReadingStnInteY naiionalEconomics,  

George Allen and Unwin,1968 

〔.2〕掘江義「国際競争力と産業連関」,金子敬生編『日本経済の産業連関分析』有斐閣,  

近刊.  

〔3〕Johnson,H.G., FactorEndowments,InternationalTrade,andFactorPrices〃   

in III11 

〔4〕Kemp,M.G…,The PuYe TheoY.y OfInter national乃−ade andInvestment,  

PrenticeAHal1,Inc.,1969.  

【5〕小宮隆太郎・天野明弘、『国際経済学』岩波書店,1973年.  

〔6〕Leontief,W., DomesticProquctionandForeignTrade;theAmericanCapital   Position Re−eXamined〃in〔1〕.  

〔7〕Leontief,W.,以Factor PropoItions and The Structure of American Trade:   

FurtheITheoreticaland EmpiricalAnalysis ,The Re11ieu,OfEconomicsand  

Statistics,November1956.  

〔8〕Naya,S。, NaturalResources,Factor Mix,and Factor ReversalinInter− 

nationalTrade〃,The American Ec・OnOmic Review,May1967.  

〔9〕Samuelson,P.A.,以InternationalFactor−Price Equalisation Once Again〃in   

〔1〕小  

〔10〕建元正弘「レオンテイエフ逆説と日本貿易の構造」,『凝済研免』欝9巻第1号,   

1958年1月.  

〔11〕Tatemoto,M.andIchimura,S.,, Factor Proportions and Foreign Trade:  

TheCase ofJapanけ,The Review ofEconomicsandSiatisiics,November1959小  

〔12〕建元正弘・川鍋袈・堀江義「日本貿易の資源構造」,上野裕也・村上泰亮編『モデ   ル分析の展望と発展』岩波書店,近刊.   

参照

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