シャープペンシル指導の体系化への提言
著者 鳥宮 暁秀, 杉崎 哲子
雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 教科教育学篇
巻 36
ページ 41‑52
発行年 2005‑03
出版者 静岡大学教育学部
URL http://doi.org/10.14945/00008357
静岡大学教育学部研究報告 (教 科教育学篇 )第 36号 (2005.3)41〜 52
シャープペンシル指導の体系化への提言
The Proposition for the Leaming Method of Mechanical Pencil W」 iting
鳥 宮 暁 秀・杉 崎 哲 子 Gyosyu ToRIMIYA and Satoko SuGIZAKI
(平 成 16年 9月 13日 受理
)は じめに
日常に生 きてはた らくとい う観点か ら、書写教育の見直 しが迫 られている。 「書写用具の多様化に対 応 した執筆法指導のあ り方 に関する考察」 りの中で杉崎は、下記の項 目に従い児童生徒にとつて特に書写 活動の中心的存在であるシャープペ ンシル指導の必要性を言及 した。
I 児童生徒のシャープペ ンシル使用の状況
1.シ ャープペ ンシルの使用率 と使用場面 2。 高校生 に見 られる書写文字の問題傾向
3。 シャープペ ンシルの使用開始時期 とその理由
Ⅱ 教科書お よび文献 におけるシャープペ ンシルの取扱い
Ⅲ シャープペ ンシル と鉛筆の性能差 について
芯の素材、芯の太 さ、芯の強度、芯の濃度、ベ ン先の形状、ペン軸の太 さ、芯の出没機構
Ⅳシャープペ ンシル指導の必要性の提言
しか し現在の ところシャープペ ンシル に関 しては 日常的な使用が先行 しているにもかかわ らず、教 育的な手だては皆無 ともいえる状況である。 これは発明当初のシャープペ ンシルが書写的に不都合な 部分が多 くて敬遠 され、その後 も鉛筆の代替えとしてひ とくくりに扱われて、シャープペ ンシルの性 能 に関する検討が不要 と考 えられてきたためであろ う。 こうして児童生徒 にとつての有効性 を等閑視 して、教育関係者においてもシャープペ ンシルの性能な どが正 しく認識 されないまま今 日の普及に至つ たもの と思われる。 したがつて児童生徒 に対 して正確な情報 を必要な時期に提供できるような指導体 系が重要 になつて くる。
そ こで小論では今後の指導実践 に向けて、指導者の意識や使用者の経験、 さらに文具業界の実状な どを検討 しつつ、前回考察 したシャープペ ンシルの性能分析 に実践的な視点を加 えなが ら、私案を挙 げて指導理論の体系化を提言 したい。
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鳥 宮 ′暁 秀 0杉 崎 哲 子
I シャープペンシル指導皆無の要因
1口 教育現場での対応の実態
教育現場 におけるシャープペ ンシルヘの対応 を調査するため、次の二地域でアンケー ト実施 をお願 い した。各県の事情や地域差は考慮 しないことを前提 として以下の論 を展開する。
(調 査の対象〉 栃木県書写書道教育研究会宇都宮河内大会参加の先生方
香川県小学校教育研究会書写部会の先生方 計 153名
1)シ ャー プペンシル使用状況の把握
前回の調査 より小学 3年 生で約半数、 4年 生以上は 9割 前後、中学生以上は全員が使用 していること が明 らかになった。「このような実態を知つていたか知 らなかったか」 とい う問いに対 しては、「知つ ていた」襲 %・ 「知 らなかつた」 49%で 、半数近 くが こうした状況 をとらえている。 しか し小学校教員 で「中学校 にあがってか らの状況は知 らなかつた」 「学校で使用 させていないので気づかなかつた」 「あ る程度予想 していたが、 これほどとは思わなかつた」 とい う感想 もあることか ら、 日常における使用 状況は正 しく把握 されていない とみるべきであろ う。
2)学 校での対処
ここで最 も多かった回答は、 「学校全体でできるだけ使用 しないようにさせている」が全体の 3分 の 1弱 、次の 「担任の判断 に任せている」が僅差で続 き、追って 「学年 によつて異なつている」、「特 に 何 もしていない」 、「学校全体で全面的に使用 を禁止 している」とい う順 になつている。また、「学校全 体で積極的に使用 させている」 とい う回答はなかった。
この結果か らシャープペ ンシルは学校内で どちらか とい うと敬遠 されているようすが見えて くる。
しか しその対処は絶対的なものではな く、担任の判断 に任せ られているとい う回答が 3分 の 2を 占め るな ど、多 くは学校や学年な どで教師側の意識が統一 されていない。実際アンケー ト用紙 には、「学校 で全面的に禁止だが個人的に疑間をもつている」、「他のクラスが どうい う対処 をしているか考えたこ とも調べたこともない」 とい う記入 もある。学年での対処は、高学年が使用許可で低学年は使用禁止 とい う場合が多いが、 3・ 4年 が徹底 されない と嘆 く声や、 6年 でも 3学 期までは使わせていない とい う 担任 もある。また校外学習 に限つて許可 している場合 も多いが、それを 3年 で許可 しているところが あるか と思 うと、高学年 に限つているところや 6年 だけの ところな ど、回答はさまざまである。
ここで問題 になるのは、シャープペ ンシルに関 して今 どう対処 しているか とい うこと以上 に、 これ まで児童が どのような判断に従わ され今後 どのような判断 に従つてい くのか とい う対処の方向性が極 めて曖昧な点である。学校 により学年 によリクラスにより、その時々で対処の仕方が変わるのだか ら、
その都度合わせてい く子 どもはもちろん、徹底するには教師の方 も大変であろ う。 「前のクラスで使用 していた ら次の年 に禁止するのは難 しい」とい う教師の声が挙がっている。いずれにしても指導 :に 至つ ていないばか りか、長期的な対処の方向性 に関 して無関心な様子が見受けられる。
3)対 処の理由
では、なぜそ う決めたのか、幾つかの選択肢の中か ら当てはまる項 目を選んでもらった。使用禁止 の場合その理由に「シャープペ ンシルは折れやすいか ら」を挙げた人が最 も多 く半数近 くに上ってい る。使用許可の理由は「日常使 つているか ら」「便利だか ら」で、共 に 4分 の 1ほ どの人が これ を挙げ ている。また、それぞれ 1割 ほどだが、 「立てて持つか ら」と鉛筆の執筆法 との差を意識 している回答、
「鉛筆の代替えだか ら」と鉛筆 とひ とくくりに捉えている回答がある。他に数名が「高価だか ら」「指
導法が分か らないか ら」「教科書に記載 されていないか ら」を挙げている。以上はこちらか ら用意 した
選択肢だが、「その他」には次のように記入 されている。
シャー プペ ンシル指 導 の体 系化へ の提言
0筆 圧がかからないから 0薄 いか ら 0カ チャカチャ手遊びになるか ら
・ 字が小 さくなるか ら ・ 持ち方が曖味になるか ら ・ 小学生には必要ないか ら
。これだけ普及 しているのだから な ど
また一部ではあるが、 「シャープペンシルだ と手指の運動面か ら脳の発達によくない」、「小 さく薄い 字だか ら視力が低下する」、「シャープペ ンシルは肩 こりの原因にな り姿勢 に影響する」 とい うような 偏つた見方 もあった。
4)シ ャープペ ンシルについての認識
【 図
1】Aに 示 したように、素材が鉛筆 と違 うことを認識 している人が半数で、鉛筆 と同じ 0分 か ら ない との回答が残 り半数を占めているも Bの 芯の太 さに関 しては大体が細い ことを認識 している。た だ、 C濃 度 と D強 度 については、 『 シャープペ ンシルの芯は薄 く、弱い』とい うイメージがグラフの結 果 に現れているよ うに思われる。 Eの ペ ン軸に関する回答にばらつきがあるのは、各 自が身近 に見て いるシャープペ ンシルに様々な太 さのものがあるとレ、うことである。 これ によつても種類の豊富 さを
うかが うことができる。
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【 図 1】 アンケー ト結果
5)学 校でのシャープペ ンシル指導
「学校でのシャープペ ンシル指導は必要か、不必要か」についてば 【図
1】Fに 示 したが、「必要」
が 6割 近 くを占めてお り、野放 しの現状 に対 して危機感を持 っている教師の多い ことが うかがえる。
なお、 2名 は「シャープペ ンシルを使わせないよ うな指導が必要」との回答だったので「その他」の と ころに合めた。
6)不 必要の理由
ここでは、 「鉛筆 と同じ、つま り代替えだか ら鉛筆の指導で充分」とい う考え方 と、それ とは逆に、 「鉛 筆 と違 うものだか ら敬遠 している」 とい う両方が理由 として挙がっている。後者は文字が しっか り書 けない とか芯が折れやす く力が入 らないな どのシャープペ ンシルのマイナスイ メージを具体的な理由 に述べている。その他、使用 しない ことを前提 に「指導すると容認 になる」と心配する意見 もあつた。
その根底には、基礎基本の指導がシャープペ ンシル指導 によつて混乱す るとの思いがある。残念なが ら「鉛筆を正 しく使用することが大切なので」 とい うよ うに、書写指導の目的を硬筆は鉛筆だけと限 定 して 日常の応用筆記具を視野 に入れず、 「中学校 になつたら自分で勝手に選択すればよい」といった 意見も挙げられている。
B C
A
F
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7)指 導の時期や内容に関する意見
まず指導の時期であるが、 ここで最 も多かつたのは、鉛筆の使い方をマスター してか ら、高学年 に なつて利用度が増加する時期に正 しい使い方 を指導するのがよいとい う意見である。 しかしそれ以前 の、 3年 あるいは 4年 で指導すべきだ とい う意見も多い。子 どもが初めて手にする時期 にこそ、正確な 情報が必要だ とい う考え方である。
具体的な指導の内容 については次のような意見が挙げられている。
・ 正しい持ち方 ・ 芯の入れ方や出し具合などの安全な取り扱い方 ・ 芯の濃さに関して 0筆 圧について
・ 使用場面について ・ ペン軸の太さについて ・ 使いやすいもの良いものの選び方
数名の教師は、 「自分 自身がシャープペ ンシルについて鉛筆 との性能差な ど知 らないことが多すぎる ので研究すべ きだ」と書いている。「シャープペ ンシルの使用状況や利便性を考えた ら、これ以上ただ 敬遠 して指導 しない状態を続 けるわけにいかない」、「学校内で考 え方を統一 して有効な指導を展開す べきだ」 とい う意見もあった。
こうしてアンケー ト結果を見てい くと、多 くの教師が、シャープペ ンシル指導が皆無の状態 に対 し て危機感を持 ち指導の必要性 を感 じなが らも、彼 らの多 くがシャープペ ンシルの性能 について正確 に 認識 してお らず、指導法が確立 されていないために憶測や個人的判断 に頼って対処 していることが明 確 になつた。
2日 教科書会社の考え方
前回の発表で教科書における記述内容について調査 した結果、小学書写の教科書 6社 と中学書写の 教科書 8社 のいずれにおいても改訂前改訂後 ともにシャープペ ンシル指導の記述は見 られなかった。
また、先述の調査結果の中に 「教科書に記述がないか ら使用禁止にしている」 とい う回答 もあったの で、 どうして記述 しなかつたのかを教科書会社の編集担当者 に尋ねてみた。
8社 の うち 7社 が寄せて くれた回答をみると、〔 今回発行 された教科書 にシャープペ ンシルの記述が ない理由〕として「鉛筆の代替えなので、改めて記述する必要がない と判断 したか ら」を 2社 が、「文 字を書 くことの基礎基本の徹底 とい う点か らは不適切な用具であるか ら」を別の 2社 が挙げている。
また ここに「 『義務教育諸学校教科用図書検定基準』に『使用す る用具は、硬筆は鉛筆を主 としている こと』 とい う項 目があ り教科書が従来か ら鉛筆 を中心 にしている」 と書き添えられているものもあっ た。そ して、「鉛筆 と執筆法が異なるので、使用 させて混乱することを懸念 したか ら」、「シャープペ ン シルの指導法が明確になつていないか ら」をそれぞれ 1社 が挙げている。その他 に、 「
/Jヽ学校ではシャー プペ ンシルの使用 を禁止 しているところがある」 とい う回答があつたが、 これ より現場での対応 に気 を使 っている様子がわかる。この他 には、 「シャープペンシルやボールペンな ど弾力の少ないものは少 し立てて書 くとい う注記をいれているが基本的にはシャープペ ンシルは姿勢が悪 くな りがちで、用具 としては勧めた くない」、「シャープペ ンシルは芯や軸の太 さの種類が多 く手指が未発達である児童の 筆記具 としては不適切。芯が折れやすい ことも問題がある」 といつたシャープペ ンシル に対する誤解 やマイナスイメージについて書かれたものがあった。
次に、〔 シャープペンシルの性能差 に対応すべ きとい う点において教科書で取 り上げることについて の考 え〕は、先の質問で 「鉛筆の代替 えだか ら」 と答えた 2社 と別の 1社 は 「現状のままで よい と考 えている」 と回答 している。別の 2社 は 「今後前向きに検討 したい と考えている」 と回答 してお り、
うち 1社 は「書写学習の用具 としては取 り上げないが、 『豆知識』的に取 り上げて学習に適切な筆記具 への注意を喚起 していきたい」 ・
と書き添 えている。その他 には 「硬筆指導の基本段階ではやは り鉛筆
シャープペ ンシル指導の体系化への提言
を使わせ、基本姿勢が身についてか らシヤニプペ ンシルを合め筆記具の選択を自由にさせ るとい う考 え方を採 りたい」 とい う回答があつた。
最後 に、〔日常に生きる書写教育 とい う観点か らシャープペ ンシルの指導を望む声に対 して教科書で 取 り上げることについての考え〕は、先の質問に「鉛筆の代替 えだか ら」 と答えた 2社 と「書写技能 の基礎基本 を習得する学習段階での筆記具 としては不適切で、教材的な扱いは今後 も控 える」 と書き 添えた 1社 が 「現状のままでよい と考 えている」 と答 えている。「今後前向きに検討 したい」は 1社 、 その他 として 「基本的 には基礎基本の徹底 とい う点か らは不適切な用具だが、 メモやインタビューの 場面では応用 として活用できる」、「教科書 には正面か ら取 り上げるのでな く指導書上でもう少 し踏み 込んだ指導内容を記す ことを考 えている」 とい う回答があつた。
以上のように、シャープペ ンシルを鉛筆の代替 えとするとらえ方は依然 として一部の教科書会社 に あ り、そ この回答は今後 についても検討 しようとい う意思す ら感 じ取れなかつた。 しか し、シャープ ペ ンシルに対するマイナスのイメージや誤解がある一方で、シャープペンシルの指導法が明確 になる ことを望む声 も聞かれた。また、鉛筆 との性能差 を認識 した うえで書写学習の用具 としては不適切 と の考 えか ら判断 している会社 もある。 これ には文部省の告示 も影響 していると思われる。 しか しこの 告示はシャープペ ンシルの記述を禁 じた ものではないので、それ以上に現場での対応が影響 している ように思われる。現場は教科書を頼 りにし、教科書会社は現場での反応 を気にしなが らも、その両方 がシャープペ ンシルについて認識不足であつた といえるだろ う。今後 に向けての質問では、まだ正面 か ら取 り上げるとまではいかないが、慎重 に見守 り鉛筆での基礎基本の指導の応用的に考えてい こう とい う姿勢 を感 じさせ る回答が多かった。教科書での扱いは ともか くとして、シャープペ ンシル指導 の必要性 を感 じている教師が多い現状 を考慮 してい く方向で今後は各社の対応 に動きが見 られること であろ う。その際に具体的にどのように指導を展開 してい くべ きか、その内容や程度を考 えてい くう えでシャープペ ンシルの指導体系の確立はもはや不可欠であると考える。
Ⅱ シャー プペ ンシルの正 しい認識に向けての考察
これまで述べた ように、シャープペ ンシルに関 しては一般的に正 しく認識 されていない部分が多い。
確かに発明 された当初は鉛筆 と同じ黒鉛粘土芯を使用 した lllullや 1.5mm芯 の鉛筆の代替えにすぎない物 であったが、1962年 に合成樹脂芯が開発 された後は鉛筆 と異なる性能を持ち合わせることになる。ま たその後 も、芯は勿論ペ ン軸部分な どの開発が繰 り返 されているのだが、それ らについての認識が曖 味である。そ こで、シャープペ ンシルの正 しい認識 に向けて、その性能の中か ら特 に書写指導上注意 すべ き点について考察す る。
1。 濃度 と強度について
前述のアンケー ト結果か らシャープペ ンシルの芯は薄 くて弱い と捉えている人が多いことが分かつ た。 シャープペ ンシルの芯がすべて薄い とい うのは誤解で、シャープペ ンシルの芯の濃度 も鉛筆同様 に幾つか種類があ り `
JISの 規格 に従つてそれを濃度記号で表示 している。芯の色の濃 さは、 B(black) の数が増 えるほ ど濃 く軟 らか く、逆 に H(hard)の 数が多 くなるほど薄 く硬 くなる。ここで注意すべ きは、現状では濃度記号が付 けられているといえども幅広 く規定 されてお り、メーカーごとに濃度差 が生 じることも考えられるので、あ くまでもその表示をガイ ドに自分で濃 さを見極めて選択する必要 があるとい うことである。 この点は鉛筆 に関 しても言えることだが、芯の種類が豊富なシャープペ ン シルではなお さら注意を要する。
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次に強度だが、これもシャープペンシルの芯が弱いとい う誤解を解かねばならない。確かに芯は細 く折れやすいイメージが強いが、芯そのものを同じ太さで比較 しJISの 試験方法である 曲げ強さ"に よつて見ていくとシャープペンシルの強度は鉛筆の 1.2倍 になる
a。合成樹脂芯は従来の粘土芯より強 度が増 したから極細芯を実用化できたのだが、この強さは認識されず、稀田さ "だ けがクローズアップ され弱いイメージと結びついたようである。実際鉛筆は強度の低さを芯の太さや軸 との一体化でカバー するので単純に比較はできないが、少な くともシャープペンシルの芯が弱いとい うのが認識不足によ る思い込みであることは明確である。
JISで は芯自体の強さを 曲げ強 さ "Mpa(メ ガパスカル )で 測定するばか りでなく、先端荷重の試 験勾も行つている。文具業者の筆圧測定テス ト詢【 図 2】 によると各人の平均筆圧の平均値は 309gで あ るから、JISの 規定を満たせばそれだけでも筆記の際にも充分な強度は保証 されていることがわかる。
また、平均筆圧の平均値は 309gな がら瞬間最大筆圧をみると最大値は 900gと なつている。そこで業 者ではJISの 規格値より大幅に大きい 800gか ら lkgに 設定し製造 している。これなら折れやすいとい う心配も払拭できるであろう。 (こ のグラフの調査は設計士を対象に行われたものである。彼 らは一般 の筆記より垂直に近い持ち方で筆圧が強めである可能性は否定できないが、そ うい う人に対応 させて 製造 している分、より強度に対して気を配っているといえる。 )使 用禁止理由に筆圧をかけられないと の回答があつたが、これも特に心配に及ばないことが明確である。
さて上述の濃度 と強度であるが、実際は この関係が問題 となる。シャープペ ンシル の芯では、一般的に強 くすると薄 く濃 くす ると弱 くなる傾向がある。それは芯を構成 す る黒鉛 と結合剤 との配合割合により生み 出される。濃い芯は黒鉛量が多 くて結合剤 が少ないので強度が下が り、薄い芯は黒鉛 の割合が少な く結合剤の割合が多いので強 度が増す。 こうして相反する強 さと濃 さを 同時に引き上げるのは非常に難 しいが各社 で開発を進めている。
強度 と濃度 とのバランスの設定は各社のポ リシーによるので共通ではな く、同じように
HBで も濃 さや強 さにばらつきが出る。さらに 鉛筆 とシャープペ ンシルの芯を比較すると、
素材の違いから、どちらも HBと い う濃度記号 を使用 しているが、シャープペンシルの方が鉛 筆 より強い代わ りに薄 くなってしま う
0。【 図 31
この点でシャープペ ンシルの芯は薄い とい う イメージが作 りあげられたかもしれないが、
芯の種類は太 さとい う要素 も加わる分、鉛筆 よりも豊富であるか ら、芯選びを慎重 にすれ ば薄 さは問題にはな らないのである。
書 嗜 吐 十 一
〇
【 図 2】 筆圧測定結果
【 図 3】 強度と濃度の関係
シヤー プペ ンシル指 導 の体 系化へ の提言
2.持 ち方について
先のアンケー トだけでな く、シャープペ ンシルは立てて持つ とい う捉え方は教科書や文献の中にも 見受けられる動 。立てない と芯が折れて しま うと懸念 してだろ うが、折れるとい うことの不安はすでに 消滅 している。では、本当に立てて持たなければいけないのか とい うことに疑間を持ちなが ら、前回 の発表ではその点を明 らかにす ることができなかつた。そ こでまず、シャープペンシルが どのように 持 って使用す ることを想定 して製造 されているかを調べてみた。
前項の強度のところでも紹介 したが、 JISの 先端荷重の試験は芯の接面角度を 60度 に設定 している
0。つま リシャープペンシルは鉛筆 と同様 に 60度 の角度に持つて書いてもなんら不都合はない とい うこと である。初めてシャープペ ンシルを手 にする時期 にこそ、 こうした正 しい持ち方 をしっか り指導す る 必要があるといえよう。
だが、上記のことはあ くまでもメーカーのね らいであるか ら、実際使用する段階で必然的にペ ン軸 が立って しま うことが懸念 され る。そ こで、高校生の協力を得て鉛筆 とシャープペ ンシルの書き比べ をしてみた。その結果η、鉛筆 とシャープペ ンシル とで持ち方 に変化のない と答 えた者が多 く、驚いた ことに、違いがあると答 えた中では鉛筆の方が立てて持 つているとい う回答 もい くつか見 られた。つ ま リシャープペ ンシルだか ら立てて持つ とい うことはないのである。持ち方の崩れは気になるところ であるのだが、それについても、正 しい持ち方な どの指導を受 けないまま自己流に鉛筆か らシャープ ペ ンシルに持ち替えて使用 し続 けた結果であるとも考えられる。 したがって必要な時期 にしつか りと 持ち方の指導をすべきであると考 える。
3ロ ペ ン軸について
シャープペ ンシルの軸は鉛筆 と同 じ外径 8111111程 度のもの、鉛筆 より細いもの、太いものな ど種類は豊 富である助。現在は太軸が好まれる傾向にあつて高校生 も約半数は鉛筆 より太軸のものを好んで使用 し ている助。その代表的なものが 〈ドクターグ リップ〉 10と いわれ る製品で、頸肩腕部の負担軽減効果を 研究 した結果、軸径は 13.811111で 強 く書かな くても筆圧がかかるようになつている。鉛筆 との書き比べ でシャープペ ンシルの方が疲れない と回答 した高校生のほとん どが こうした太軸 を使用 しているとい
う結果 を見ても、 このグ リップの効果が頷ける。
ただ握る時の指の格好な どを考慮す ると、すべての人の筆記 にこうした太軸のものが有効 と断定す るわけにはいかない。特 に、 もともと筆圧の弱い児童が鉛筆か らこれに持ち替えると、握圧が軽減 さ れす ぎて結果的に筆圧の不適合を招 くことも考えられる。成長の過程や体格な どは個人個人違 うので、
それぞれの製品
1りの特徴を理解 して慎重に自分に合ったものを選ぶべ きである。さらにラバーは握圧 と ゴムの摩擦 によつて軽 く持つても筆圧がかかるようになつていて頸肩腕部の負担軽減に効果をあげて いるが、 これを装着すると必然的に実径が太めになる点は理解 しておきたい。
こうして文具業界では 日々改良が繰 り返 され新製品が開発 されているが、教育界においてはシャー プペ ンシルそのものが認知 されなかった。その一例 に 〈 スクール・グ リップ〉
1動と呼ばれ るものがある。
これは理想の筆記角度である 60度 を保ち手指の三角形が うま くできるようグ リップの太 さや形を子供 の手の大きさに合わせて 3種 類 にし、 中の芯 も低学年用 0.911ull・ 中学年用
0。 711ull・高学年用 0.5mmに 設定 していた。そ こに長 さ 90mmの ロング芯を 4本 入れて鉛筆の約 5倍 の筆記量 になっていたが、シャープ ペ ンシルを毛嫌いする教師が多 くて現場 における反応は今ひ とつ に終わ り、廃盤 となつた。現在でさ えシャープペ ンシルに対するマイナスイメージが拭い切れないのであるか ら、当時 としてはやむを得 ない結果であろ う。
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Ⅲ シヤープペ ンシル指導の体系化についての私案
1口 執筆法指導の内容の系統性にそった応用学習のあ り方 と学習時期について
シャープペ ンシル指導は、種類が豊富であるこの筆記具の特徴か ら :そ の性能を理解する際に行つ た と同様 に、必要 と考えられる内容を幾つかの項 目ごとにとらえて考 えなければな らない。そ して各 項 目とも段階を追って展開する必要があるだろ う。その際、常時鉛筆での基礎基本の指導をふまえ、
それ と対比 しなが ら進めてい く必要があると考える。
そ こで この章では、今回改訂の教科書中に取 り扱われている関連する鉛筆の指導内容を確かめなが ら、シャープペ ンシル指導の体系化についての私案を述べていきたい。まず本私案の概要を、松本が
「書写技能の系統性 にそった応用学習のあ り方」の中で提案 した『書写の授業における基礎学習 と応 用学習の関係』の図 131に 当てはめて下の 【 図 4】 に示 した。ただ し松本が技能活動の系統性 に着 目して 図示 しているのに対 し、 ここでは習得 させたい知識 として執筆法指導の内容の系統性 に視点を置き、
その部分だけをとりあげて鉛筆 と対比 し図示 した点をご理解いただきたい。しか し松本がその中で「知 識の習得 を合む」 と書き添えているように、 こうした知識の裏づ けが技能 に結びついてい くことは改 めて言 うまでもないことである。
鉛筆による基礎基本の学習
鉛筆のできるまで
匿憂コ 濃度記号について
: 芯の素材について
↓ +
Vユ
トの削リガ 働鋤
(各 部の名榊 シャープベ ンシルのできるまで 芯の入れ方
ド選び 濃度と強度について
芯の素材について 芯の太 さについて
ペン軸選び 蜘 0細軸・ ラバ→
ペン先の角度 (芯 の最適出動
階の出没翻脚こ つい J
→
→
【 図 4】 鉛筆による基礎学習とシャープペンシルを使つた応用学習の関係
次に、それぞれの内容をどの時期に指導するとよいかの私案を表にまとめた。時期を設定した根拠 は後に説明を加えたが :こ れは絶対的なものではなく児童生徒の実態や各学校の事情に合わせ対応す べきであると考える。したがつて 【図 5】 の傍線は広範囲を指 している。
各項 目のポイン ト
1)仕 組み と取 り扱い方
鉛筆 に関 しては当然承知 しているとの判断か、教科書 に特 に説明は見 られないが、 1社 だけ鉛筆ので
きるまでを中学校書写の 2・ 3年 用 に図で紹介 している。これは筆記具 に対する興味や関心をね らいに
した と思われるが直接的 に書写活動 と結び付 けていないので、限 られた紙面を割いて取 り上げる必要
性 を感 じない。それでも掲載するな ら、む しろ鉛筆を主に使用する小学校段階に必要ではないか と考
シャープペ ンシル指 導 の体 系化へ の提言
える。別 に項 目を挙げた、芯の削 り方や扱い方な どもこの時に指導するべきであろ う。 よくシャープ ペ ンシルの芯が危険だ と指摘 されるが、鉛筆 も芯の先は同様に危険で細 くなつた芯先が筆記中に折れ
ることも多いことか ら、鉛筆の取 り扱い方 に関 しても指導が必要であると考える。
また、 5年 生用 に「墨や紙のできるまで」、中学 1年 用 に「和紙のできるまで」を写真で紹介 してい る教科書 もある。 こうしたスペースがあるな らシャープペ ンシルを取 り上げる方が先決問題ではない だろ うか。生徒 にとつて 日常の中心的存在であるシャープペ ンシルに関 しては、各部の名称や仕組み をしつか り理解する必要があると考 える。特 に芯の入れ方 については注意 を要す る。中のパイプの内 径 によっても異なるが、芯の入れすぎは芯が競 り合って出て こない場合があるので、一般 には 4本 以 下が よい とされているらしい。 しか し案外 こうした取 り扱い方が知 られていないのが実状である。た だ、指導の時期 としては、最 も早 くした としても小学校の中学年以降であろ うと考えている。
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\ 項 目 102年
/jヽ3・ 学 4年 校 : 5・ 6年 14「 中 学 校 203年
鉛 筆
しくみと取り扱 い 芯選び (濃 度記号 )
持ち方 芯の削り方
(4B02B使 用 ): 濃度記号 : HB
ロ ロ ロ ロ ■ ● ●:口■ ■ ロ ロ ロ ■ ロ ロ ロ
シ ー ャ プ ペ ン シ ル
しくみと取り扱 い 芯選び
持 ち方 (ペ ン軸・ペン先
)芯 の出没機構
:(芯 の入れ方
)! 濃度と強度 三 ペン軸のいろいろ
●口■嗜
【 図 5】 鉛筆とシャープペンシルについての指導時期
① ガイドバイプ ◎ しん
C)し ん 慶り 止め ⑩ 軸
()□ 金 ⑪ タリップ
C)し んチヤツ タ ⑫ クリーナーピン
0チ ャッタリング ⑬ 消じコム叉はプラスチック字消し
⑥ 中ねじ ⑭ 消じゴム又はプラスチツク 7消 しかしめリング
C)ス プリ ン グ ⑮ ノッ ク ポ■ン
③ し んタ ンク AC
【 図 6】 ノック式シャープペンシルの しくみ
50 鳥 宮 暁 秀・杉 崎 哲 子
2)芯 選び
芯選びでまず基準 にす るのが濃度記号である。
鉛筆の指導の場合は教師側から Bな いし 2Bを 使用 するように話すだろ うが、濃度記号の意味につい ては指導に及んでいない ようである。
どの教科書 も濃度記号 に関する記述はな く、か ろ うじて濃度記号が分かる「鉛筆の持ち方」の写 真を中学校 1年 用 に掲載 しているのが 1社 、小学 校 2年 に 「いろいろな用具」 としてフェル トペ ン な どと共 に 2B・ B・ HB三 種類の鉛筆の写真を載
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【 図 7】 濃度記号
せたものが 1社 とい う具合である。濃度記号の Hは hard、 Bが blackの 意味で、 Bの 数が増 えるほど 濃 く軟 らか く逆 に Hの 数が多 くなるほど硬 くなることを鉛筆指導の段階で押 さえておきたい。必然的 に濃度 と強度の関係 にもふれることになるだろ う。時期 としてはローマ字を学習す る 4年 生以降が適 当と考えている。
シャープペ ンシルの芯選びの段階では、まず鉛筆の芯 と素材が違 うことか ら、鉛筆 と同じ濃度記号 であっても差を理解 して慎重 に選択する必要があることを押 さえたい。 ここでメーカーにより差があ ることも言い添える必要がある
1●。シャープペ ンシルの場合は太 さも関わつて芯の種類がさらに増加す るので、鉛筆以上に個々の特徴を理解することが大事 になって くる。
3)ペ ン軸選び
これは言い換 えれば 「持ち方」の指導である。鉛筆の持ち方 について教科書の記述 を見ると、各社 とも小学校 102年 には必ず 60度 ほ どに鉛筆を持 つた右手の写真が掲載 されている。それ以後の学年 については同じ写真を小 さく載せている場合がある程度で、改めて取 り上げてはいない。中学校の教 科書は、 1年 用は各社 とも鉛筆を持 つた写真を挙げてお り、 2・ 3年 用 には多 くが万年筆やボールペ シ、
フェル トペ ンを持 つたもの と並べて鉛筆を持った写真を掲載 している。 この時 「筆記具の種類 にあわ せて筆記具 と紙面の角度 を調節する」 と書き添えられているものが数社あるが、その角度 について具 体的な数字を出 してはいない。
シャープペ ンシルは前述の とお り、立てず に鉛筆同様 60度 位 に持つ ことを、できれば小学校の中学 年、シャープペ ンシルを持ち始める時期 には指導 したい。 ここで持ち方を誤るとその後 に影響が大き い と考えられるので、実際に持たせてみることも必要 と思われる。軸の太 さがいろいろあることや太 軸の効用 とマイナス面、ラバーについては、先の学年で押 さえたい。
4)ペ ン先について
鉛筆では削 り方 に関わる部分だが、教科書 に記述はない。削 り方は ともか く、時々鉛筆の軸を回転 させて芯の紡錘形を保って書 くことは案外知 られていないので説明が必要である。
シャニプペ ンシルのペ ン先は締めつ けやす く書いた文字が見やす くなるよう一般的 に口金の投影側
面角度は 27度 ぐらいに設計 されている。この角度で最適な芯出量は、だいたい三回ノック
1つで出るの
で理解 しておきたい。口金にはガイ ドパイプー体式・ガイ ドパイプ固定式 0ガ イ ドパイプスライ ド式
があつてそれぞれ特徴がある。一体式は丈夫であ り、固定式は芯の保護の働 きがあるほかに先端が細
いパイプであるため筆記時に文字が見やす く定規使用の時にガイ ドになる。スライ ド式は筆記以外の
時口金に収められるので、ガイ ドパイプ自体 と衣服な どの保護 に有効であるか らガイ ドパイプの危険
性を問題 にする場合 に利用 したい。 このタイプで口金 との抵抗が軽いものは、ガイ ドパイプのスライ
シャープペ ンシル指導の体系化への提言
ド量の長 さだけ筆記することが可能である。また太い芯のシャープペ ンを使用 した場合、鉛筆の芯の紡 錘形を保つ要領でペン軸の先を回転することは可能だが、芯の固定が甘い製品 10や 芯が短 くなつてしまっ た場合 うま くいかないことは承知 しておきたい。ついでなが ら、以前シャープペ ンシルの消 しゴムの 裏 に装着 してあったク リーナー ビンは平成 7年 の PL法 (製 造物責任法 )に 対応 して一般筆記用 には付 けな くなつた。芯詰ま りの掃除に必要なら替えゴムセ ッ トに添付 されているのでそれを使用すると良い。
5)芯 の出没機構について
これも鉛筆では削 り方にあたる部分である。芯の繰 り出し方には、ノック式・回転式の他に、振つ て芯を繰 り出すタイプ等がある
1つので、それぞれの特徴を理解 して選択する必要がある。さらにダブル チャック方式のものは、芯を目金先端の トップチャックでつかみ後部のチャックで芯を繰 り出すので 芯のがたつきがなく、芯残 り均わずか lllullと ほとんど使い切ることができて経済的だとい う特長がある。
こうした繰 り出しを自動的に行 うオー トマチックタイプもできている。業界での問題はグリーン購入 法にもとづき残存長さをできるだけ短 くすることであるが、これにチャックの位置が関係 している。
6)そ の 他
教師対象のアンケー トに「シャープペンシルは故障した時に直せなくて困る」 とい う声があつた。
そこで文具会社に寄せ られる質問と考えられる原因を幾つか列挙 してお く。
*ノ ックしても芯が出ない。……・ ①芯径の間違い。②折れた芯の詰まり。③ガイドパイプや日金の変形
*ノ ック出来ない。……・ 三割りになつているチャックの溝に芯が詰まる。
*芯 の落下。… …①芯径の間違い。②口金の中の芯ホルダーが外れた。
*芯 が折れて出てくる。……①ガイ ドパイプの変形。②口金のゆるみ。
*芯 のもぐり。……①芯を使い終わつた。②チャックの溝の汚れ。
2.シ ャープペンシル指導の展開
以上に述べた指導内容の具体的な実践展開例については、別の機会に論 じることにして、ここでは 要点のみを列挙するに留めたい。
① シャープベンシルの分類を導入にする。
家にある (使 用 している )シ ャープペンシルを持ち寄 り、〔 軸の太さ・ペン先の形状・出没機構
:芯の太さ・芯の濃度〕のそれぞれについて分類 し表に表す。自分のシャープベンシルが作成した表 のどこに入るかを確かめる。
② シャープペンシルの芯選びに結びつける。
鉛筆のような木軸のシャープペンシルを使用 させて条件をできるだけ同じにし、芯だけに注目さ せて鉛筆 との違いを認識する。その後、芯選びのポイン トについて理解する。
③ 軸の違 うものを持ち寄 り、同じ芯を入れて軸の太 さによる筆記時の違いを認識する。
この際、重ねた紙に書いて自分の筆圧の強さを把握 し自分に合った軸選びの判断材料にする。
④ シャァプペンシルのしくみや取 り扱い方について、図を使つて学習する。 など おわ りに
今 日パソコンや携帯電話の普及によつて文字は書 くものから打つものだとい う感覚を持ってもおか
しくない。書写離れが懸念されるなか、まず大事なのは書きたいとい う意欲を尊重することであろう。
52 鳥 宮 暁 秀・杉 崎 哲 子
実際には児童生徒の意識が書写的な有効性を離れてデザイン性な どに向いて しま うことも多少あるが、
だからといって頭ごなしにシャープペンシルの使用 を禁止するのでは折角の意欲を潰 しかねない。シャー プペ ンシルの性能 を正 しく理解 して発達段階に応 じた指導を展開すれば、シャープペ ンシルは利便性 のある書写的にも大変有効な筆記具 とな り得る。
さらに、鉛筆が間伐材使用 とはいえ常に芯や木軸 を削 り捨てなが ら書 くのに引き換 え、シャープペ ンシルは替え芯を補充 して長 く使用できるので、地球環境 にや さしい筆記具 とい う点でも評価 したい。
芯残 り lllullの シャープペンシルがいかに無駄の少ない筆記具であるかは明確である。こうした文具業界
の製品開発への努力があつて、今 日の書写環境が作 り上げられてきたとい うことを改めて実感 した。
情報化社会を生 きてい くには、莫大な量の情報 に振 り回されることな く本質を掴み取る力が必要で ある。シャープペ ンシルは、教育の場で長 く制限や廃絶がなされてきたが、 これか らは正確な情報、
正 しい認識 をもとに、種類の多いシャープペ ンシルの中か ら個々に合ったものを自分 自身で選択する ことが、『生 きる力』を育む観点か らも重要 になると考 える。
「書写用具の多様化に対応 した執筆指導のあ り方に関する考察―シャープペンシル指導の必要性 について一」
杉崎哲子
(『書写書道教育研究』第 16号 全国大学書写書道教育学会 2002)p.56
JIS S 6013:2002 0MPIA/JSA)p.10 これは先端荷重試験機を用いて行 う。芯の接面角度 60度 におい て、呼び直径 0.5以 上の芯の場合には芯を 1.Ollull出 し、 5N(約 400gf)の 鉛直荷重を 10111111/分 の速度で加え て芯が折れるかどうかを調べている。この場合シャープペンシル 1本 に対して任意の 5本 の芯を用いてそれ ぞれ 1回 ずつ試験する。
パイロット社が 1981年 5月 21日 から5日 間にわた り400名 以上を対象に実施 したモニターテス ト
.前掲書 〈 1)p.58〜 59
「筆記用具 (ボ ールペン 0シ ャープペンシル )の 持ち方のパフォーマンス」丹羽信男 (第 16回 全 日本高等学 校書道研究会 新潟大会研究収録 1990)
6)前 掲書 (2)p.18 1974年 の改正以前は先端荷重の接面角度は 45度 になつていた。
7)高 校生 103名 を対象に実施 したアンケー ト結果によると、ジャープペ ンシル と鉛筆 とで持ち方が違 うが 29%、
同 じが 67%に なつてい る。
8)シ ャープペ ンシルが登場 した頃は見かけのスマニ下 さを追及 した細い軸のものが多かったが、長時間の筆記 に適 していない との判断か らモニターテス トを行つた結果、
8。911ull軸 のシャープペ ンシルが設計製図用 として 製造 され、一般の筆記 にも約
911ullの軸が多 く使用 されるよ うになつた。
9)高 校生 103名 を対象 に実施 したアンケー トの結果 によると、使用 しているシャープペ ンシル について、鉛筆 より太い軸が 認 %、 同 じ太 さが 27%、 細いものが 17%と なっている。また、ラバー付きのものが 69%、 つ いていないが 28%と なつている。
10)「 改良型 シャープペ ンシルの頸肩腕部の負担軽減効果 に関する研究」宇土・吉永
(『労働科学』 70巻 4号 1994) これによつて開発 された くドクターグ リップ〉はスケル トンのデザインが好感を持たれたことも手伝つて 2000 年辺 りか ら急激 に販売数が伸びている。
11)最 近は 〈トルマ リング リップ )と 呼ばれ る三角柱の軸 も登場 している。
12)〈 スクールグ リップ )は 6年 ほ ど前、東京のある小学校教師の協力を得てパイ ロッ ト社が開発 した小学生用 のシャープペ ンシルである。
13)「 書写技能 の運用能力育成 に関する史的考察 と展望」松本仁志
(『書写書道教育研究』第 16号 全国書写書 道教育学会 2002)p.8 (1)書 写技能の系統性にそった応用学習のあり方 0図 ②
前掲書 (1)p.57 11
1回 ノックで出る芯の量は 0.511un用 が
0.511ull、0.3と 0.4mm用 が 0.価 、 0.711111用 は
0.611ull、 0.9111111用が 0.711ullで ある。
前掲書 (2〉 p.9 JISで は芯がもぐり込まないよ うに芯の保持性 についても試験 している。芯を約
lllllll出し たシャープペ ンシルを鉛直に置 き、呼び直径 0.35に対 しては 5N、 呼び直径 0.5又 はそれ を超えるものに対
しては 8Nの 』鉛直圧縮荷重 を芯 に加 え、芯が日金部端面までもぐり込まないかを調べる。
前掲書 〈 2〉 p.2 芯の出没機構 による種類は、ノック式 Fタ イプとノック式 Lタ イプ と回転式 Sタ イプに分 けられている。また振 つて芯を繰 り出す ものにパイ ロッ ト社のフレフレ機構がある。これは振 ることにより、
重りの上下の動きでスプリングを押してチャックをノック開閉するが、通常のノブンックも出来る二重機能 になつている。
芯残 りは JISで は芯め残存長 さとして、ノック式で芯チャックが露出 していないものについて 1511ull以 下 と規 定 している。
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