軒去経書盒集67働68号 研究ノート
設備投資と資金調達行勲
石 橋 太 郎
目次 1.はじめに
2.モデルの特定と最適化問題 3.モデルの比較
4.おわりに
1。はじめに
投資理論の伝統的な流れは、」◎rgenSOIt[1◎]の資本コスト理論に始まり、
現在においては調整費用モデルとトービンのq理論の理論的統合に落ち着い ている㈱。しかしこの伝統的な投資理論の流れにおいて、投資支出の資金源 泉においては、借入金であろうが、内部留保であろうが、仮にその他の資金 調達手殺であったにしても、投資決定には影響を及ぼすものではないと考え
られている。その理由は、Me感igiiani :Mllger[11]の定理に基づいている。
すなわち何ら税制が存在しない場合には、企業の資本構成はその投資活動に 影響されないのである。したがって、企業の財務政策においては投資支出は 外生的に与えられる。これとは対照的に、企業の投資決定においては財務政 策(資金調達問題)は外生的に与えられる。
しかし、最近において、資金調達問題と投資決定を関連させ、あるいは同 時決定の問題として理論的研究ならびに実証的研究が、AaJierbach〔2]、
P◎terba ・Summ争rs 巨2]、 鷺ayasぬ量 [5]、 Fazzari, eg a/ [4]、 C轟童yink◎
[3〕等において行われている。
本稿の目的は、最近の議論の流れに従い資金調達問題と投資決定の関係を それぞれ別個のプレ・一ムワークで論じるのではなく、同じフレームワー一クで
一53−一 (298)
設備投資と資金調達行動
論じられるモデルを呈示する。その際重要な仮定は、資本帯場の不完全性で ある。資本市場の不完全性を仮定し、資金調達問題と投資の同時決定モデル
としたものにFazzari, et al〔4]、 Chirink◎〔3]等がある。本稿では、
Chirink o[3]が呈示した「負債のエイジェンシー問題」という資本市場の 不完全性(情報の非対称性)を取り上げるとともに、先の拙稿[9】におい て仮定した、「負債・資本比率一定」という仮説をもとにそれぞれ二つのモデ ルを組み立てる。「負債のエイジェンシー問題」とは、情報の非対称性のため に、企業が借入れを行なうときに調整費用が生じる、というものである濁。
そして「負債・資本比率一定仮説」とは、資本市場の不完全性のために、負 債e資本比率を一定に保つ方が資本市場の不完全性から被るコストを最小限
に抑えることができるという仮説である渕。
本稿の構成は、以下の通りである。第2節においては、先の資本市場の不 完全性を明示的に入れた企業の市場価値最大化モデルを呈示し、最大化の必 要条件を整理する。第3節では、第2節の結果を受け、モデルの比較ならび に可能な議論を試みる。第4節では、今後の課題としてi残されている問題を 整理したい。
2.モデルの特定と最適化問題
本稿の議論の対象となる企業は、株主の利益が最大となるように、企業の 市場価値を最大にしようと経営するものと仮定する。すなわち本稿で取り上 げるモデルは、配当流列の現在割引き価値最大化モデルである。また税制が 存在しない経済を考える。配当流列の現在割引き価値は次の様に表わせる。
貼五゜°Div(t)・exp(一ρt)dt ︶
1
︵
ここでρtは、株主の期待収益率である。t時点の配当Div(t)を導出するため に、まず企業の利潤π(t)を定義しなければならない。
π(t)=P(t)ef(K(t)、L(t))−w(£)。L(t) (2)
ここで、P(t)は生産物価格、 f(K(t)、 L(t))は生産関数、 K(t)は資本投入量、
L(t)は労働投入蚤、w(t)は貨幣賃金率を表わす。生産関数は微分可能とし、
資本の限界生産力(fK)ならびに労働の限界生産力(fL)はそれぞれ正と仮定す る醐。以下議論の簡単化のために、生産物市場については完全競争を仮定し、
(297> 一54一
法経論集67。68掃 研究ノート p(t)=:1とする(その結果、w(t)は実質賃金率となる)。
本稿は、資本市場の不完全性により、異なった行動をとる二つの企業を分 析の対象としている。それぞれの企業モデルを、(A)負債・資本一定モデル、
⑧負債のエイジェンシーモデルと呼ぶ(以下、それぞれ(A)モデル、(B)モデル と略す)。(A)モデル、⑧モデルの配当は、それぞれ次の様に定義される。
(A)Div(t>=π(t)一・−q・Ci(1(t)、 K(t))
ゆ e
−(i(t)−P(t))D(t)十D(t) (3)
(B)Div(t)瓢π(t)−q・C1(1(t)、 K(t))
−m・C2(d(t), D(t))一(i(t)−P(t))
る
D(t)十D(t) (4)
eここでi(t)は市場利子率、p(t)はインフレ率、1(t)は投資量、 d(t)は新規借入 れ、D(t)は負債ストックを表わしている。 q・Ci(1(t)、 K(t)〉は、投資の調整i
費用を表わし、投資財価格qで評価されている。投資の調整費用関数は次の
仮定を置く。
C、1>0、C川>0、 C、K<0、 CIKK>0、CuK<0
添字の記号は、それぞれの偏微係数を表わしている。m・C2(d(t), D(t))は、
負債の発行(借入れ)にともなう調整費用を表わし、負債発行一単位あたり 発行費用mで評価されている。負債の調整費用関数は次の仮定を置く圃。
C2d>0、 C2dd>0、C2 c>0、 C2DD>0、C、dD>0
また(A)モデルの負債・資本比率一定の仮定を、次の様に定義する。
D(t)/K(t):a、 1>a>0
(B>モデルについては、負債ストックについて次が仮定される}6>。
ゆ
D(t):d(t)一一一一 nyD(t)
ここでηは負債ストック償還率を表わし、一定と仮定する。
(A)、(B)モデルに共通して、資本蓄積は次式で与えられる。
(5)
(6)
一55一 (296)
設備投資と資金調達行動
K(t) :1(t)一δK(t) (7)
ここで6は、減価償却率で一定である。㈲式、⑥式、(7)式の追加仮定により、
(A)モデルの(3)式、(B)モデルの(4>式はそれぞれ次の様に書き替えられる。
(A)Div(t)=π(t)−q・C1(1(t)、 K(t))
ゆ
一(i(t)−P(t))aK(t)十a〈1(t)−6K(t)) (8)
(B) Div(t)識π(t) −q・C1(1(t)、 K(t))
ゆ
一m・C2(d(t)、 D(t))一(i(t)−p(t)十η)D(t)
十d(t) (9)
以上の式より、(A)モデル、(B)モデルの最大化問題は次の様に定式化される。
(A)モデルの最適化問題
Max VイDiv(t)・exp(一ρt)dt
∬{π(t)二q・Cl(1(t)・K(t))
一(i(t)一一P(t))aK(t)十a(1(t)一一δPK(t))
}。exp(一ρt)dt ゆ
s.t。 K(t)=1(t)一δK(t)
(B)モデルの最適化問題
Max V・一∬Div(t)・exp←pt)dt
駿∬{π(t)−q・C・α(t)・K(t))−m・C・(d(t)、
の
D(t))一(i(t)−p(t)十η)D(t)十d(t)}
。exp(一ρt)dt ゆs.t. K(t):1(t)一δK(t)
e D(t)=・d(t)一ηD(t)
⑪1
︵
α9
さて㈹モデル、(B)モデルを最大にする条件を導出するために、現在価値ハ ミルトニアンHを、それぞれ次の様に定義する。
(295) 一一a56一
法経論集67 ・ 68号 研究ノート
(A)モデル
ゆ
H=exp←pt){π(t)−q・C1(1(t)、 K(t))一(i(t)−P(t))aK(t>
十a(1(t)−6K(t))十λ(t)(1(t)−6K(t))} (12)
(B)モデル
ゆ
H=exp(一ρt){π(t)一一q・Ci(1(t)、 K(t))一(i(t)一一p(t)十η)D(t)
−m・C2(d(t)、 D(t))十d(t)十λ(t)(1(t)一δK(t))
十μ(t)(d(t)一ηD(t>)} (13>
ここでλ(t)、μ(t)はハミルトニアン乗数である。最適必要条件は、本稿の議 論にとって必要なものだけを検討する。それぞれのモデルについて、以下の 様に整理される。
(A)モデルの最適必要条件
∂H/∂(1(t))=0
⇔−q。Cu(1(t)、 K(t))十a十λ(t) :0
∴λ(t) :q。Cii(1(t)、 K(t))−a (14)
一(∂H/∂K(t))==d(λ(t)・exp(一ρt>)/dt
⇔−exp( 一一 ρt) {∂π(t>/∂K(t)−qeCiK(1(t)、 K(t))一(i(t)
e
−P(t))a−aδ}
る
:=λ(t)・exp(一一一ρt)一ρλ(t)。exp(一一pt)
o ∴λ(t):(ρ十δ)λ(t)一{∂π(t)/∂K(t)−q・CユK(1(t)、K(t>)
の
一(i(t)−P(t))a−a6} (i5>
横断性条件
1im(λ(t)。K(t)。exp(一ρt))=0 ⑯
t−. o
は、満たされているものとする。
(B)モデルの最適必要条件
∂H/∂α(t)):0
⇔−q・q1(1(t)、 K(t))十λ(t):0
∴λ(t):認q。C1韮(1(t)、 K(t)) (17)
一57一 (294)
設備投資と資金調達行動
一(∂H/∂K(t))=d(λ(t)。exp(一ρ宅))/dt
⇔−exp(一一・pt) {∂π(t)/∂K(t)−q。CiK(i(t)、 K(t))一δλ(t)}
=λ(t)eexp(一ρt)−Pλ(t)。exp(−pt)
の∴λ(t)鑑(ρ十6)λ(t>一{∂π(t)/∂K(t)一一一q・CIK(1(t)、 K(t))}⑱
横断性条件
1im(λ(t)ゆK(t)eexp(一ρt))=0 (19)
t− o
は、満たされているものもする。
(B>モデルでは、さらに以下の条件が追加される。
∂H/∂(d(t)):0
⇔−m。C2d(d(t)、 D(t))十1十μ(t)嵩0
∴一μ(t)=1−】m。C2d(d(t)、 D(t)〉 ⑳
一(∂H/∂D(t))=d(μ(t)・exp(一ρt))/dt
の も
∴μ(t)=(rp十P)μ(t)十(i(t)−P(t)十η)十m・C2D(d(t)、 D(t))
、 ⑳ 横断性条件
lim(μ(t)。D(t)。exp(一ρt))=0 (22)
t…o
は、満たされているものとする。
次節において、本節で得られた結果を用いて、㈹負債・資本比率一・・−L定モデ ルと(B)負債のエイジェンシーモデルを比較検討する。
3.モデルの比較
本節では、それぞれモデルの特徴を議論するために、定常状態での検討を
の を
行う。すなわち、λ(t)=◎,μ(t)=0と置く。まず、(A)負債・資本比率一一fi ゆモデルの場合について検討する。λ(t):0より、
(293) 一58−一一
法経論集67・68号 研究ノート
ゆ
0 :(ρ十δご)λ*一{∂π/∂K−q。CiK(1、 K)一(トP十δ)a}
となり、整理すると、投資(資本の限界的増分)の限界収入(MR)は、
e(MRI)λ・一{∂π/∂K−・C1・(1・ K)一 (i−+δ)a}
ρ十δ
(23)
となる。一方、限界費用(MC)は、(14)式により与えられる。すなわち、
MC=qeCii(1、 K)−a
したがって、定常状態での投資の最適条件は、以下の等式で表わされる。
り
{∂π/∂K−eCIK(1、 K)一(i−十δ)a}
コ=q。C,…(1、 K)−a (24)
ρ十び
(24>式により、最適投資量1*が決定され、この関係は図1に表わされている。こ こで負債・資本比率aの変化が最適投資量に、どのように影響を及ぼすかを 見てみたい。今、aが上昇するとき、 MR曲線ならびにMC曲線は、下方に
シフトする。図2より明らかなように、aの上昇は、必ず最適投資量を増大さ せるかどうか不明である。そこでdl/daを求めてみる。
e
㈱
q(C、1K+(ρ+δ)Cu、)
RCMM
q
0 1* 1
図1翻
一一T9一 (292)
設備投資と資金調達行動
今、分母q(CHK+(ρ+δ)Cm)〈0(仮定によりC、IK<0であるので本来は符 合について断定できない。しかし以下での伝統的経済学との比較を行うため にこのように仮定する)とすると、㈱式が正となるのは、次式が成り立つと
きである。
ゆ
ρ〈(i−P) (26)
⑳式が意味するものは、株主の期待収益率が実質市場利子率よりも小さいと き、負債・資本比率の上昇は最適投資量を増加させることができる醐。しか し伝統的経済学が教えるところによれば、通常㈲式は反対の符合である。伝 統的経済学に従えば、負債・資本比率の上昇は最適投資量を減少させる。し かし㈱式は興味ある議論が可能である。この点については、本節の最後で論
じたい。
MR MC
q
MC5
MC三
MRほ 蝿・
l良1
◎ 1エ 1* 1,
図2
1
o次に、(B)負債のエイジェンシーモデルについて検討する。λ(t)=0より、
◎コ(ρ十δ)λボー一{∂π/∂K−q。CIK(1、 K)}
となり、整理すると、投資(資本の限界的増分)の限界収入(MR)は、
∂π/∂K−。CユK(1、 K)
(2の
λ*:
ρ十δ
となる。・・・・・…L方、限界費用(MC)は、(17>式により与えられる。すなわち、
(291) 一一・60一
法経論集67・68号 研究ノー一ト
MC ・q・CH(1、 K)
したがって、定常状態での投資の最適条件は、以下の等式で表わされる。
∂π/∂K−・C、K(1、K)
=q。Cユ嚢(1、 K) (28)
ρ十δ
㈱式より明らかなことは、最適投資量の決定にあたり、企業の資金調達行動 は何ら影響は与えないということである。この点に関して、先に呈示した(A)
モデルとは異なる。
(B)モデルでは、企業の資金調達行動においても投資決定と同時に、独立な 決定ではあるが、最適化行動が決定されなければならない。この点について
検討を行う。
り μ(t):=0より、
る
0=(η十p)Pt *十(i−p十η)十m。 C2D(d、 D)
となり、借入れ(負債ストックの限界的増分)の限界収入(MR<0)は、
ゆ(−MR−)一μ 上:並 ⑳
となる。一方、限界費用(MC〈0)は、⑳式により与えられる。すなわち、
−MC :1 −m・C2d(d、 D)
したがって、定常状態での借入れの最適条件は、以下の等式で表わされる。
り
(i−十)十m・C2D(d、 D)
=1−m。C2D(d、 D) (3① η十ρ
㈱式により、最適借入れ量が決定され、この関係は図3に表わされている。
図3によれば、(−MR):←MC)の交点で最適借入れが決定され、この点に おいて企業の市場価値は最適となる。今、図4において最適借入れがd㌔から d㌔へ上昇するとき、企業の最適市場価値も上昇する。
この一MR曲線のシフトは、限界収入曲線のパラメータの変化により達成 されるが、一つの考えられるパラメーターの変化は、明らかに利子率の下落
である(dd/di<o)。
一一61− (290)
設備投資と資金調達行動
一MR
−MC
0
d*
図3翻
d
一MR
−MC
0
一MR
@−M
│MC
d㌔ d図 *4 d
(B)負債のエイジェンシーモデルでは、利子率が低くなれば、企業は借入れ を増加させることにより、企業の市場価値を高めることができる。しかし、
利子率が投資に影響を与える経路は、このモデルには存在しない脚)。した がって、投資が増大するかどうか不明である。この点、先の㈲負債・資本比 率一定モデルとは対照的である。
今、利子率が投資に与える影響を(A>モデルについて見るとき、㈱式より dl/diを計算してみると、
(289) 一62 一一
薯去経書爵r集67。68琴} 硲究ノー一ト
亘L a
di q(CnK十(ρ十δ)C川)
となる、上の式に⑳式においた分母の仮定をここでも仮定すると、利子率の 下落は最適投資量を減少させる。これは直感に反する。利子率が投資にどの
ような影響を及ぼすかは、分母の符合次第であるが、今、q(C照+(ρ+6)
C田)>0と仮定すれば、利子率が下落すると、最適投資量は増大するであろ う。(B)負債のエイジェンシーモデルでは、利子率が下落するとき、借入れを ふやしても投資が増大するとはいえない。
以上の点について、興味ある一つの試論が可能である。それは、日本とア メリカの企業行動と経済全般についての比較である。日本は、戦後、高度成 長を迎えたが、その一つの特徴は、企業の活発な投資行動と、間接金融への 大きな依存、株主軽視等であった。この日本経済の特徴は、本稿で論じた(q
(C、IK十(ρ 十 6) C,,i>〈0の場合の)負債・資本比率一定モデルと整合的と考え られるかもしれない注u)。
他方アメリカでは、1970年代以降、投資の停滞、インフレーション、企業 の市場価値を高めるだけの企業経営といった特徴を見ることができる。この アメリカ経済の特徴は、本稿で論じた、負債のエイジェンシーモデルと整合 的と考えられるかもしれない。
4.おわりに
本稿を終えるにあたり、今後に残された主要な課題ならびに問題点を整理 しておく。まず問題点として、本稿の⑧モデ〜レは基本的にChirink◎[3]に 従っており、負債のエイジェンシーモデルは、M−M定理が成立しない前提に 立つとしたが、本稿を見るかぎり投資決定と資金調達は独立に決定される。
この点において、Chirinko[3〕の主張には疑問が残り、さらに検討が必要
である。
拙稿[9]、ならびに本稿で提示された負債・資本比率一定モデルは、パラ メータの変化に対して一意的な結論を導出していない。その理由は、投資の 調整費用関数にアド・ホックな仮定を置いたからである。しかし前節最後で 議論した日本の戦後高度成長期の試論に見られるように、興味ある分析が可 能となる。この点については、今後の実証研究により検討を行わなけれがな
一一一 U3一 (288)
設備投資と資金調達行動
らない。また、負債・資本比率一定の仮説自体の検証も行わなければならな
い◎
本稿では計量分析を行っていないが、予備的分析としてChirinko[3]の モデルを主として『国民経済計算年報』を用いて、Chirinko[3]に従い完
全情報最尤法泣12)(ならびに非線型推定法)により計算を行った。しかしデ ・・一
タの不十分性のために、分析の対象となる十分な結果は得ることができな かった。Chirinko[3]は、これまでのq理論の計量分析は生産関数の一次 同次性を仮定し、限界qと平均qが等しいという前提のもとに平均qを用い て実証が行われてきたが蜘、資本市場の不完全性を導入すると平均qはもは や投資を分析する上でq理論による説明変数としてはmisspecificationで あることを明らかにしようとした。しかし本稿でも明らかなように、Chirin.
ko[3]モデルのフレームワ・・・・…クでは、投資決定にあたり、企業の金融政策 は理論上何ら影響を及ぼさない。したがってChirinko[3]の分析は、 q理 論そのものの非有効性を立証する分析になりうるかどうか疑問が残るa Chir・
inko[3]は、 q理論を用いた実証分析に対し十分なパフォーマンスを挙げて いないと批判しているが、日本については、本問・その他[6]がq理論に ついて実証分析を行い、q理論の有効性を確認している。しかし資本市場と企 業金融の関係については十分な分析が行われてはいない・今後の課題として、
現時点において十分なデータをそろえることができなかったが、Chirinko
[3]モデルの再検討と、日本における資本市場と投資との関係についての 計量分析を行いたい。
︶主
も肉
(1>Abel[1]、拙稿[7]を参照。
(2>Chirinko[3]を参照。また若杉[13]にも紹介されている。若杉〔13]
参照。
③ 拙稿[9]を参照6
(4)Chirinko[3]はさらに1次同時を仮定さているが、本稿では明示的に i次同時は仮定しない。
(5>Chirink◎[3]参照。
⑥ Zbid.参照。
(7)投資の調整費用関数の先の仮定に加えて、Cli(0、K)=1を仮定する。
(287> −64一
ギ去経言霞}集67。68号 研・究ノー一 ト
(8)拙稿[9]では、㈲式の条件が反対の場合に負債・資本比率が上昇する とき最適投資量は増加した。本稿のモデルとの違いは、生産関数、調整 費用・資本蓄積率等の仮定が若干異なるが、この点の整理については今 後の課題としたい。
(9)負債の調整費用の先の仮定に加えて、Chirinko[3]に従い1>C2、≧0 を仮定し、C2d(0、 D)業0を仮定する。
⑩本稿においても、税制を導入した場合、利子率が投資に与える影響を議 論しうる。Abel[1]、拙稿[7]を参照。しかしその場合でも、(B)モデ ルでは、投資決定と資金調達は独立である。
(11)ここでの論点は、㈱式の成立する場合であり、これは伝統的経済学より 批判を受けるが、日本経済の実質利子率と株主の期待収益率の実証結果 次第であり、今後検討を行わなければならない。また、調整費用関数そ れ自体も推定される必要がある(Cm〈とCmの絶対値の大きさの違いは
重要である)。
⑫計算にあたっては、TSP(TSP lnternationa1社の計量ソフト)を、用い て行った。
⑬伝統的なq理論の実証分析は幾つかあるが、ここでは第1節で示した
Poterba ・Summers[12]を挙げておく。
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(285) 一一U6一