乳幼児の事故防止に関する母親の意識についての調 査研究
著者 野久保 美紀, 岡部 充代, 宮田 さおり, 櫻井 しの ぶ
雑誌名 三重看護学誌
巻 8
ページ 75‑86
発行年 2006‑03‑20
URL http://hdl.handle.net/10076/6711
I.はじめに
日本において1960年以降,1~14歳の死因の第1 位は不慮の事故によって占められており,0歳児にお いても毎年上位である1).また,乳児では死亡には至 らないまでも重症な外傷や後遺症の残ってしまう事故 が多く起きている2).不慮の事故の年齢階級別の内訳 は0歳児以外では交通事故が最も多く,0歳児では窒 息が72.4%と一番多く,交通事故は9.9%,溺死及び
溺水が4.6%,転倒・転落3.9%となっている1). また,子供の不慮の事故を男女別で見ると,男児の ほうが多く死亡しており,0~4歳ではそれほど男女差は ないが,年齢が高くなるにつれて男女差が見られ10~14 歳になると男児のほうが女児より2倍ほど多くなる.
このように乳幼児の事故の原因は,子どもたちの運動 機能の発達と生活に大きく影響される.1歳前後では周 囲の環境に積極的にアプローチしていく段階であるが,
歩行機能が確立されていないため,家庭内での事故が起
乳幼児の事故防止に関する 母親の意識についての調査研究
野久保美紀,岡部 充代,宮田さおり,櫻井しのぶ
Abstract
Iinadvertentaccidentsarealwaysmajorcausesonchildren・sdeath.Particularlytheaccidentson infantsoftenhappenindoor. Thepurposeofthisstudyistoinvestigatecorrelationamongthe accidentsininfancy,infants・domesticbackgroundandthemothers・consciousnessontheprevention ofaccidents.
Thedatawerecollectedfrom69motherswhosechildrenhavearoutinehealthexaminationfor childrenaged18monthsatthepublichealthcenterT cityMieprefecture,betweenAugustand October2004,usingopen-endinterviewandaquestionnaire.
Theresultsareasfollows:
1.Regardingmothers・consciousnessonthepreventionofinfants・accident,agroupofmotherswho haveeverreadMaternalandChildHealthHandbookismorecarefulofanaccidentininfancythan agroupofmotherswhohaveneverreadit.
2.Therearen・tanysignificantcorrelationsbetweentheinfant・sdomesticbackgroundandanaccident ininfancy.
3.Regardingtheinfants・domesticbackgroundandthemothers・consciousnessofthepreventionofan accident,agroupofmotherswhodon・tlivewiththeirparents(itmeansnuclearfamily)ismore carefulofanaccidentininfancythanagroupofmotherswholivewiththeirparents.Besides,a groupofmotherswhohaveonlyonechildismorecarefulofaninfants・accidentthanagroupof motherswhohavesomechildren.
4.Therearen・tanysignificantcorrelationsbetweentheexperienceofaninfant・saccidentandmoth- ers・consciousnessonthepreventionofaninfants・accident. Butittendsthatmotherswho experiencedanaccidentwhichtheirchildrenfelldownhavehigherconsciousnessoftheprevention ofanaccident.
KeyWords:infant,inadvertentaccident,consciousnessaboutpreventionofaccident
きやすい.また2歳前後では好奇心が強く大人のまねを し始める段階であるとともに,自由に歩け,さらに高い ところにのぼれるようになるため,交通事故など家の外 での事故が多く転倒・転落も増えてくる.しかし,4歳 までの事故の大半は居室内で起こっている2).
健診を利用したアンケート調査3)4)によると,1歳6 か月の時点でも病院を受診するような事故を経験した 事のある児は多く,その事故発生の時期は1歳前後に 集中している.これらのことより,事故防止のための 保護者への安全教育は,子どものそれぞれの発達段階 に応じたものが必要であり,安全教育などの介入の時 期については,児が1歳になるまでが望ましいと考え られる.
II.研究の目的
「健やか親子21」で今後10年以内の目標として挙 げられている,事故による死亡率の半減,全家庭にお ける事故対策の実施のためには,保護者への安全教育 が不可欠である.これまでも乳幼児健診で集団指導や パンフレットを用いた啓発教育が行われ,活動後には 事故発生の減少が報告されている5)6).その効果的な 指導の方法を検討するためには,保護者が日常生活に おいて乳幼児のどのような行動に危険を感じ,環境整 備をしたり子どもに対し安全教育をしたりして危険を 回避しているか,またそれらの安全の為の行動を阻害 する因子があるとしたら何が挙げられるのか,を明ら かにする必要があると考えられる.
本研究では,乳幼児の事故と保護者の事故防止に関 する意識とその2つに影響を与える可能性のある家族 背景を中心に調査を行う.これにより実際と相互の関 連性を明らかにするとともに,乳幼児の事故を防ぐた めに看護職としてできることは何かを考える基礎的研 究とすることを目的とする.
III.研究方法 1.対象者
2004年8月~10月に三重県T市の保健センターに て1歳6か月児健康診査を受診した子どもの母親69 名.その内1例のみ母親と祖母(母親の母親)の二人 で回答した.
2.調査方法
健康診査の待合時間あるいは健康診査終了後に,健 康診査に訪れた子どもの保護者に調査の主旨を説明し,
同意を得られた方に対しアンケート用紙を見ていただ
きながら,調査者(全調査を通して1名)が質問形式 で尋ね得られた情報を書きとめた.
3.倫理的配慮
健診に訪れた母親を対象に,調査の主旨を説明し同 意の得られた方にのみアンケートを行った.アンケー ト結果については調査以外の目的で使用しないこと,
個人が特定されず,対象者に不利益が及ばないよう統 計処理をすることを説明した.
4.調査内容 1)対象者の背景
子どもの性別,回答者と子どもの関係,子どもの同 居家族の構成(父・母・兄・姉・祖父・祖母・おじ・
おば・家政婦・いとこの有無と人数),子どもの出生 順位,子どもの母親の仕事(家庭外での仕事に限る)
の有無,子どもの普段の保育場所,子どもの主な育児 担当者
2)子どもの事故経験とその内容
病院を受診するような事故の経験の有無,その内容
(転倒・転落・誤飲・やけど・衝突・溺水・誤飲以外 の窒息・はさむ事故に分類し,またその回数も尋ねた.)
3)回答者の事故防止意識と子どもの事故経験 乳幼児の事故についての母子健康手帳のページを読 んだ事があるかどうか,日ごろから事故防止について 心がけているどうか,回答者が今までに病院を受診す るような事故にあったことがあるかどうか
4)家庭内での事故防止対策について
1歳6か月以降3歳までの間に起こりやすい事故に 対する家庭内での事故防止対策について①タバコや灰 皿②ボタン型電池や硬貨③洗剤や殺虫剤,化粧品,医 薬品④チャイルドシート⑤かみそりや包丁,ハサミな ど⑥ポット,炊飯器,アイロン,熱い鍋など⑦お茶や コーヒー,味噌汁,カップラーメンの汁など⑧ストー ブやヒーターなど⑨浴室の入り口の鍵⑩お風呂の残し 湯の10項目.各項目はい・時々・いいえの3択(① についてはタバコは吸わない,④について車は使用し ない,⑧についてそれらの暖房器具は使用しないをそ れぞれ加えた4択)で問うものとした.
4.分析方法
調査内容を,「対象者の背景」として兄弟の有無と 出生順位・祖父母と一緒に住んでいるかどうか・母親 の仕事・母親の事故経験・主育児者・主育児場所.
「児の事故経験」として病院を受診するような事故の 経験の有無・その種類(転倒・転落・誤飲・やけど・
窒息・溺水・挟む).「母親の事故防止意識」として心 野久保美紀 岡部充代 宮田さおり 櫻井しのぶ
三重看護学誌 Vol.8 2006
がけがあるかどうか・母子健康手帳の乳幼児の事故に 関するページを読んだか・家庭内での事故対策(①~
⑩の項目別事故防止対策の実施状況).以上の3つに 分類し,統計ソフトSPSS10.0JforWindowsを用い てχ2検定,t検定を行いそれぞれの関連をみた.
IV.研究結果 1.対象者の背景
子どもの性 別は男 子31名 (44.9%), 女 子 38名
(55.1%)であった.兄弟の数としては,本人を合わせて
「1人」が29名(42.0%),以下「2人」26名(37.7%)
「3人」12名(17.4%)「4人以上」2名(2.9%)であっ た.年上の兄弟がいる児は39名(56.5%)であった.
家族構成として,祖父または祖母が一緒に住んでい る児は15名(21.7%)であり,祖父母と一緒に住ん でいない,いわゆる核家族が78.3%と大多数を占めた.
児の母親について,現在家庭外での仕事をしている と答えたのは19名(27.5%),現在育児休業中を含め 仕事をしていないと答えたのは50名(72.5%)であっ た.児の主な保育場所は,自宅が52名(75.4%),保 育園が16名(23.2%),祖父母の家は1名(1.4%)
で あ っ た . 主 な 育 児 者 に つ い て も , 母 親 が66名
(95.7%)とほとんどであり,「祖母」と答えた人は3 名(4.3%)と少数であった.
2.1歳6か月児の事故経験
1歳6か月児の事故経験(病院を受診するような事 故)は,69名中18名(26.1%)であった.事故の種 類としては「転落」が7名,「転倒」が6名,「はさむ 事故」が3名,「誤飲」「やけど」がそれぞれ2名,
「衝突」が1名であった.「溺水」「窒息」の経験者は いなかった.
3.母親の事故防止意識について(表1)
母親の事故についての意識のうち,「乳幼児の事故 についての母子健康手帳のページを読んだ事がある」
人は55名(79.7%)「日ごろから事故防止について心 がけている」人は57名(82.6%)であった.回答者 自身の,病院を受診するような事故経験の有無につい ては,「ない」が56名(81.2%)であった.
ただ,「母子健康手帳は読んでいないけど,雑誌で 詳しく書いてあるのを読みました」など,他の媒体か ら事故についての知識を得ているケースもあった.ま た,対象者の中には「今回は読んでいないがお兄ちゃ んの時に読んだと思います」という言葉も聞かれた.
「心がけていない」人の理由としては「きりがない」
「特に気にしていない」であった.
4.家庭内での事故防止対策(表1)
「①タバコや灰皿はいつもお子さんの手の届かない 所に置いていますか?」という質問に対し,「はい」
が33名(47.8%),「時々」が3名(4.3%),「いいえ」
が 2名 (2.9%),「 タ バ コ は 吸 わ な い 」 が 31名
(44.9%)であった.家族にタバコを吸う者がいる場 合に限ると,「はい」が86.8%とほとんどを占めた.
「②ボタン型電池や硬貨,子どもの口に入る小さな おもちゃなどは,お子さんの手の届かない所に片付け ていますか?」という質問に対し,「はい」 は41名
(59.4%)にとどまり,「時々」が12名(17.4%),「い いえ」が16名(23.2%)であった.
「③洗剤や殺虫剤,化粧品,医薬品などはお子さん の手の届かない所に片付けていますか?」という質問 に対し,「はい」は55名(79.7%),「時々」は10名
(14.5%),「いいえ」は4名(5.8%)であった.
「④チャイルドシートを後部座席に取り付けて使用 していますか?」という質問に対し,「はい」は64名
(92.8%),「時々」は1名(1.4%),「いいえ」は4名
(5.8%)で,「車は使用しない」と答えた人はいなかっ た.しかし,この設問では取り付けの有無を聞くだけ であったので,実際には必ず児をチャイルドシートに 座らせているわけではなく,「嫌がる時はお姉ちゃん が抱っこしてます」「私が(母親)運転しない時は私 が抱っこします」との意見も多く聞かれた.
「⑤かみそりや包丁,ハサミなどの刃物は使用した 後すぐ片付けていますか?」という質問に対し,「は い」は58名 (84.1%),「時々」は10名 (14.5%),
「いいえ」は1名(1.4%)であった.
「⑥ポット,炊飯器,アイロン,熱い鍋などはお子 さんの手の届かない所に置いていますか?」という質 問に対し,「はい」は52名(75.4%),「時々」は13 名(18.8%),「いいえ」は4名(5.8%)であった.意 見としては,「炊飯器は手の届くところにあるけれど,
ご飯を炊く時間は気をつけています」「炊飯器は熱く なる前に一度触らせて,熱いということを分からせる ようにして事故防止に努めています」などが聞かれた.
「⑦お茶やコーヒー,味噌汁,カップラーメンの汁 などは例えばテーブルの端ではなく中央というように お子さんの手の届かない所に置くようにしていますか?」
という質問に対し,「はい」は65名(94.2%),「時々」
「いいえ」がそれぞれ2名(2.9%)であった.
「⑧ストーブやヒーターなどは安全柵で囲ってお子 さんが手を触れないようにしていますか?」という質 問に対し,「はい」が45名(65.2%),「いいえ」は9 乳幼児の事故防止に関する母親の意識についての調査研究 三重看護学誌
Vol.8 2006
野久保美紀 岡部充代 宮田さおり 櫻井しのぶ 三重看護学誌
Vol.8 2006
表1 母親の事故防止意識と児の事故経験
児の事故経験 あり なし 検定 母子健康手帳のページを読んだことが
あるか
ある 55(79.7%) 16(88.9%) 39(76.4%)
N.S ない 14(20.3%) 2(11.1%) 12(23.5%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
事故防止について心がけているか はい 57(82.6%) 14(24.6%) 43(75.4%)
いいえ 12(17.4%) 4(33.3%) 8(66.7%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
①タバコや灰皿はいつも子どもの手の 届かないところにあるか
はい 33(86.8%) 6(85.7%) 27(87.1%)
N.S 時々 3(7.9%) 1(14.3%) 2(6.5%)
いいえ 2(5.3%) 0(0.0%) 2(6.5%)
計 38(100%) 7(100%) 31(100%)
②ボタン型電池や硬貨、子どもの口に 入る小さなおもちゃなどは、子ども の手の届かないところに片づけるか
はい 41(59.4%) 9(50.0%) 32(62.7%)
N.S 時々 12(17.4%) 4(22.2%) 8(15.7%)
いいえ 16(23.2%) 5(27.8%) 11(21.6%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
③潜在や殺虫剤、化粧品、医薬品など は子どもの手の届かないところに片 づけているか
はい 55(79.7%) 12(66.7%) 43(84.3%)
N.S 時々 10(14.5%) 4(22.2%) 6(11.8%)
いいえ 4(5.8%) 2(11.1%) 2(3.9%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
④チャイルドシートを後部座席に取り 付け使用しているか
はい 64(92.8%) 16(88.9%) 48(94.1%)
N.S 時々 1(1.4%) 1(5.6%) 0(0.0%)
いいえ 4(5.8%) 1(5.6%) 3(5.9%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
⑤かみそりや包丁、ハサミなどの刃物 は使用した後すぐ片づけているか
はい 58(84.1%) 15(83.3%) 43(84.3%)
N.S 時々 10(14.5%) 3(16.7%) 7(13.7%)
いいえ 1(1.4%) 0(0.0%) 1(2.0%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
⑥ポット、炊飯器、アイロン、熱い鍋 などは子どもの手の届かないところ に片づけているか
はい 52(75.4%) 14(77.8%) 38(74.5%)
N.S 時々 13(18.8%) 3(16.7%) 10(19.6%)
いいえ 4(5.8%) 1(5.6%) 3(5.9%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
⑦お茶やコーヒー、味噌汁などはテー ブル中央など、子どもの手の届かな いところに片づけているか
はい 65(94.2%) 17(94.4%) 48(94.1%)
N.S 時々 2(2.9%) 1(5.6%) 1(2.0%)
いいえ 2(2.9%) 0(0.0%) 2(3.9%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
⑧ストーブやヒーターなどは安全柵で 囲って子どもが手をふれないように しているか
はい 45(83.3%) 15(93.8%) 30(78.9%)
N.S 時々 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%)
いいえ 9(16.7%) 1(6.3%) 8(21.1%)
計 54(100%) 18(100%) 51(100%)
⑨目を離したすきに子どもが入らない ように浴室の入り口に鍵をかけたり、
開かないように注意しているか
はい 20(29.0%) 5(27.8%) 15(29.4%)
N.S 時々 2(2.9%) 1(5.6%) 1(2.0%)
いいえ 47(68.1%) 12(66.7%) 35(68.6%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
⑩風呂の残し湯をしているか
はい 48(69.6%) 11(61.1%) 37(72.5%)
N.S 時々 8(11.6%) 1(5.6%) 7(13.7%)
いいえ 13(18.8%) 6(33.3%) 7(13.7%)
計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
名(13.0%),「それらの暖房器具は使用しない」が15 名(21.7%)であった.ストーブ,ヒーターなど床に 設置するタイプの暖房器具を使っている家庭に限定す ると,「はい」が83.3%と高率を占めた.
「⑨目を離したすきにお子さんが入らないように浴室 の入り口に鍵をしたり,開かないように注意しています か?」という質問に対し,「はい」は20名(29.0%)に とどまり,「時々」は2名(2.9%),「いいえ」が47名
(68.1%)であった.これについての意見として「残し湯 をしていないので大丈夫と思って」「マンションなので鍵 とかは勝手につけられない」などがあった.
「⑩お宅では,お風呂の残し湯をしていますか?」
という質問に対し,「いいえ」 と答えたのは48名
(69.6%),「時々」は8名(11.6%),「はい(残し湯を している)」は13名(18.8%)であった.残し湯をさ れている方は「朝,洗濯に使ってしまうので大丈夫で す」と話していた.
5.家族背景と1歳6か月児の事故経験との関係につ いて
家族背景と1歳6か月児の病院を受診するような事 故の既往の有無との関係,家族背景と事故の既往の関 連についてχ2検定を行ったところ有意差は見られな かった.ただし,事故が起こりやすい傾向として次の
ようなことが見られた.母親が仕事をしている群で児 に事故経験がある例は7名(38.9%).母親が仕事を し て い な い 群 で 児 が 事 故 経 験 の あ る 例 は 11名
(61.1%)であった.母親が病院を受診するような事 故経験をもっている群で児にも事故経験があるのは4 名(22.2%),母親に事故経験がなく児に事故経験が ある例は14名(77.8%)であった(表2).表3より 兄弟の数が増えるほど,事故経験のある児の割合は減 る傾向にあった.
事故を種類別でみると,転倒・転落では兄/姉がい ない児のほうがいる児よりも事故の経験ありの者の割 合が高かった.しかし,誤飲・火傷・衝突・はさむ事 故を経験した児はいずれも兄/姉がいる児であった
(表4).
6.家族背景と母親の事故防止意識(表5)
1歳6か月児の母親の事故防止の心がけと家族背景 との関連について,χ2検定を行った.「祖父/祖母と 一緒に住んでいるかどうか」 に関連が見られ (P< 0.05),祖父母のどちらもいない家庭のほうが事故防 止に関して日ごろから心がけていることが分かった.
また,家庭内で行われている事故防止対策と家族背 景の関連について,「年上の兄弟がいるかどうか」と,
「小さい物への注意」の有無に有意差が見られ(P< 乳幼児の事故防止に関する母親の意識についての調査研究 三重看護学誌 Vol.8 2006
表2 家族背景と事故経験
事故経験 χ2検定
あり なし
子 ど も の 性 別 男 31(44.9%) 10(55.6%) 21(41.2%)
女 38(55.1%) 8(44.4%) 30(58.8%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
年 上 の 兄 弟 い る 39(56.5%) 10(55.6%) 29(56.9%)
い な い 30(43.5%) 8(44.4%) 22(43.1%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
祖 父 母 と 同 居 い る 14(20.3%) 4(22.2%) 10(19.6%)
い な い 55(79.7%) 14(77.8%) 41(80.4%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
母 親 の 仕 事 している 19(27.5%) 7(38.9%) 12(23.5%)
していない 50(72.5%) 11(61.1%) 39(76.5%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
母親の事故経験 あ り 13(18.8%) 4(22.2%) 9(17.6%)
な し 56(81.2%) 14(77.8%) 42(82.4%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
主 な 保 育 場 所 自 宅 52(75.4%) 12(66.7%) 40(78.4%)
自宅以外 17(24.6%) 6(33.3%) 11(21.6%) N.S 計 69(100%) 18(100%) 51(100%)
野久保美紀 岡部充代 宮田さおり 櫻井しのぶ 三重看護学誌
Vol.8 2006
表3 家族背景(兄弟の数)と児の事故経験
事故経験 計
あり なし
兄弟の数
1 人 8(27.6%) 21(72.4%) 29(100%)
2 人 7(26.9%) 19(73.1%) 26(100%)
3 人 3(25.0%) 9(75.0%) 11(100%)
4人以上 0(0.0%) 2(100%) 2(100%)
表4 児の種類別事故経験と年上の兄弟
年上の兄弟
あり なし
転 倒 あ り 2(5.1%) 4(13.3%)
な し 37(94.9%) 26(86.7%)
計 39(100%) 30(100%)
転 落 あ り 3(7.7%) 4(13.3%)
な し 36(92.3%) 26(86.7%)
計 39(100%) 30(100%)
誤 飲 あ り 2(5.1%) 0(0.0%)
な し 37(94.9%) 30(100%)
計 39(100%) 30(100%)
や け ど あ り 2(5.1%) 0(0.0%)
な し 37(94.9%) 30(100%)
計 39(100%) 30(100%)
衝 突 あ り 1(2.6%) 0(0.0%)
な し 38(97.4%) 30(100%)
計 39(100%) 30(100%)
挟 む あ り 1(2.6%) 2(6.7%)
な し 38(97.4%) 28(93.3%)
計 39(100%) 30(100%)
表5 家族背景と母親の事故防止の心がけ 事故防止の心がけ
計 χ2検定
あり なし
子 ど も の 性 別 男 25(80.6%) 6(19.4%) 31(100%)
女 32(84.2%) 6(15.8%) 38(100%) N.S
年 上 の 兄 弟 い る 32(82.1%) 7(17.9%) 39(100%)
い な い 25(83.3%) 5(16.7%) 30(100%) N.S
祖 父 母 と 同 居 い る 9(64.3%) 5(35.7%) 14(100%)
P<0.05 い な い 48(87.3%) 7(12.7%) 55(100%)
母 親 の 仕 事 し て い る 15(78.9%) 4(21.1%) 19(100%)
していない 42(84.0%) 8(16.0%) 50(100%) N.S
母 親 の 事 故 経 験 あ り 11(84.6%) 2(15.4%) 13(100%)
な し 46(82.1%) 10(17.9%) 56(100%) N.S
主 な 保 育 場 所 自 宅 42(80.8%) 10(19.2%) 52(100%)
自 宅 以 外 15(88.2%) 2(11.8%) 17(100%) N.S 母 子 健 康 手 帳 を
読 む こ と
あ る 49(89.1%) 6(10.9%) 55(100%)
P<0.01 な し 8(57.1%) 6(42.9%) 14(100%)
0.01),兄または姉がいる家庭において小さい硬貨や おもちゃを意識できていないことが分かった.
7.1歳6か月児の事故経験と母親の事故防止意識に ついて
1歳6か月児の事故経験と母親の事故防止意識につ いてχ2検定を行ったところ明らかな差は見られなかっ た(表1).しかし,種類別の事故経験と母親の事故 防止意識との関連では,児に転倒経験がある母親の事 故防止意識は,転倒経験のない児の母親の事故防止意 識は有意に低く(P<0.05),チャイルドシート・残し 湯についての項目で関連性に有意差が見られた.児に 転倒経験がある母親は,ない者に比べてチャイルドシー トを後部座席に取り付けていない割合が高く(16.7%),
残し湯をすると答えた割合も高かった(66.7%).(と もにP<0.01).
V.考 察
1.事故の実際について
三重県では,平成13年度の乳児死亡総数63名のう ち4名(6.3%)が不慮の事故による死亡である.こ れは同年における全国の乳児死亡総数3,599名中不慮 の事故によるもの212名(5.9%)とあまり変わりが ないといえる.また,三重県では平成12年より県が 実施主体となって母子保健強化推進特別事業として乳 幼児の事故防止対策事業を行っている.
今回調査を行ったT市では,病院を受診するよう な 事 故 を 経 験 し た こ と の あ る 児 は69名 中18名
(26.1%)であった.これは先行研究4)の19.2%よりも 高く,地域差とも考えられるが,対象数が異なるため 明らかなことはいえない.しかし,事故を種類別にみ てみると,転倒・転落が多く,全国調査と1位・2位 は変わりなく,やはり1歳6か月という発達段階にお いては歩き始めということから転倒・転落の事故が多 いと言える.
2.母親の事故防止に関する意識について
まず,知識面であるが,母子健康手帳のページを読 んだことのある人は約80%であった.しかし,第1 子の時に読んだというケースもあったため,長村ら7) も指摘しているように,最初の子供の子育て経験に基 づく保護者の自信から来る油断を招かないよう,第2 子以降への事故防止の指導は重要となってくると考え られる.
次に,事故防止を心がけているかどうかについて,
今回の調査では全体の82.6%が「日ごろから事故防止
について心がけている」と答えており,これは先行研 究4)の86.1%とほぼ同じ結果となった.また,母子健 康手帳を読んだことがある群が読んでいない群より事 故防止について心がけがある人の割合が高かった.T 市では,母子健康手帳の交付時や健康教育の場で母子 健康手帳を読むよう声かけをしている.つまり,T市 において母子健康手帳を使った事故防止についての啓 発は母親の事故防止に対する自覚に効果を及ぼしてい ると考えられる.
項目別に家庭内の事故対策を見てみると,誤飲事故 防止に関する項目では,①タバコや灰皿,③薬品につ いては約80%以上の家庭で実施できており,②の電 池・硬貨・小さいおもちゃについて注意がなされてい るものは約60%と低かった.野尻ら8)の報告によると,
1歳6か月児の保護者は窒息・誤飲防止のための「小 さい物への注意」は 「はい」「時々」を含めても過半 数が安全対策を行っていなかったとされていることも あり,これを裏づける結果といえる.次に,自動車乗 車中の事故④チャイルドシートの使用についてである が,この質問に対し,チャイルドシートを義務付けた 法律の影響もあり90%以上の人が「はい」と答える 結果となっている.ただ結果でも述べたように,今回 の質問はチャイルドシートを後部座席に取り付けてい ることが主となっており,「後ろの座席に取り付けて いるけど実際嫌がって乗らない事も多い」などの意見 も聞かれた.1歳6か月という年齢は子どもの成長発 達の段階において自我が出始め,また好奇心が旺盛で 一つの事に集中することが少ない時期でありチャイル ドシートを嫌がる児も少なくない.しかし,交通事故 が起こった時のことを考えると非常に危険な行為であ るため,チャイルドシートは,車に取り付けるだけで なく常時子どもを座らせておくことが重要である.そ のため子どもが嫌がらないようなチャイルドシートを 一緒に選びに行く・チャイルドシートに乗せる時の声 掛けの工夫なども,事故防止のための保護者への教育 内容に入れる必要があると考えられる.⑤刃物につい ては,ほぼ全員が「はい」または「時々」片づけてい ると答えており,意識の高さがうかがえた.⑥ポット・
炊飯器・アイロンなどの熱いものについては,「はい」
と答えた人は75%にとどまったが,「炊飯器は手の届 くところにあるけれど,ご飯を炊いている間だけ気を つけています」「炊飯器がすごく熱くなる前に一度軽 く触らせて,熱いということを分からせるという風に 事故防止をしています」など炊飯器の危険性を意識し た発言が聞かれた.特に後者の意見は,子供に何が危 険か体験を通して学ばせるという対策である.子供の 発達から考えると,1歳6か月頃から命令を理解して 乳幼児の事故防止に関する母親の意識についての調査研究 三重看護学誌 Vol.8 2006
行動できるようになると言われているが,この時期の 命令や禁止の理解はその場限りに過ぎないといわれて いる.従ってこの場合,永久的な事故防止対策にはな らない.しかし,近年は親が過保護になって子どもに とって危ないものを事前に排除する事が多くなった.
このことは子どもが自分の体験によって危険を回避す るという能力にマイナスの影響を与えているという意 見が保育士から聞かれた.親が事前に子供の危険を回 避することも重要であるが,子どもの年齢や発達に応 じては体験を通して事故防止について学ぶことも大切 である.次に⑧暖房器具に対するやけど対策であるが,
床に設置する暖房器具を使っている人に限定すると 80%以上の人が安全柵を使っており,また「いいえ」
の中にも,9月・10月に調査にご協力いただいた方の 中には「去年はまだ子どもが小さく,必要なかったか ら.今年は買う予定です」という方もいるので,暖房 器具の安全柵についてはほとんどの家庭で事故防止対 策がとられていたと言える.次に⑨浴室の入口に子ど もが入れないような工夫がされているかどうかである が,注意している人は「はい」が30%弱と全質問の なかで最低の値となった.特に「残し湯をしていない から大丈夫」という意見が多く,保護者の意識の中で
「浴室の危険」=「溺水」という観念が大きく空の浴槽 に転落したり濡れた浴室の床で転倒したりといった他 の事故の危険性についての意識がかなり薄いように感 じられた.今後は浴室での事故の危険性について広く 啓発していく必要性があると考えられた.最後に,⑩ 残し湯についてであるが,これは気をつけている人が 約70%と,⑨に比べて意識の高さがうかがえた.「朝 洗濯に使ってしまうので大丈夫です」と答えた人も多 かったが,いつもより子どもが早く起きたり,急な用 事が入り残し湯がそのままになるなど,予想外のこと も起こりうるので,残し湯をするのであれば同時に予 防策も考えるよう指導する必要がある.溺水事故は,
誤飲ややけど等の事故のように日常的に保護者が危険 性を感じる状況があまりないため,⑨⑩の安全対策が 他の項目よりも行われていないことにつながっている とも考えられる.しかし,溺水事故は1~4歳の不慮 の事故の約25%を占め交通事故に次いで2番目に多 いことや,日本で起こる溺水事故は家庭内で起こるこ とが多いため,家庭内で十分に安全対策がなされるよ う,安全教育を行っていく必要があると思われる.
母子健康手帳を読んだことがある者はそうでない者 より事故防止についての心がけが有意に高かったこと から,今後は母子健康手帳の事故防止に関するページ をより多くの母親に読んでもらえるよう母子健康手帳 を交付する際に働きかけたり,分娩後の退院指導や医
療機関での健診の際に医療関係者から指導することが 有効であると考える.
3.家族背景と1歳6か月児の事故との関連性について 今回の調査では,家族背景と事故の関連性は見られ なかった.しかし,兄弟の数と事故の関係では,兄弟 の数が増えるほど誤飲・やけど・衝突事故の発生が高 まる傾向にあり,転倒・転落の事故は低くなる傾向が 見られた.このことは,兄弟が増えることにより,家 庭の中が雑然としてしまうことも一因となるのではな いかと考えるが,転倒・転落は減少していることから 明らかなことは言えない.しかし,誤飲は子どものお もちゃが原因のことも多く3歳児まで事故の上位を占 めるので,指導の場面では留意する必要がある.家族 背景と事故の種類についてはこれまでの調査でも関連 は調べられていないため今後も調査を継続する必要が ある.
小沢9)や田中10)によると,こどもの安全能力の多く は保護者の行動や考え方を見て知らず知らずのうちに 学んでいくものであるという.今回の調査では,母親 が病院を受診するような事故経験がある群と事故経験 のない群では事故経験のある群で児の事故経験の割合 が高くなる傾向が見られた.しかし,今回の調査では 事故の経験がある母親の対象数が少ないことと,1歳 6か月という年齢では学習効果を反映するよりは性格 が大きく影響すると考えられるため,この点に関して も今後の調査が望まれる.
4.家族背景と母親の事故防止意識との関連性について 母親の事故防止意識についての項目である母子健康 手帳を読むことと家族背景については,有意差も傾向 も見られなかった.次に,事故防止の心がけについて は結果でも述べたように,祖父母と同居している母親 の方が核家族よりも心がけが低かった.これは大人の 目が多いため油断に繋がっていると考えられる.しか し,実際に子どもの事故防止という点では祖父母に守 られ結果的には,事故発生率は同じという影響がある と思われる.
5.1歳6か月児の事故経験と母親の事故防止意識と の関連性について
1歳6か月児の事故経験と母親の事故防止意識につ いて,先行研究では関連性は指摘されていない.また 野尻ら8)も事故経験は必ずしも事故防止対策に繋がっ ていない可能性を指摘している.今回の調査でも,児 の事故経験と母親の事故防止意識との関連は見られな かった.しかし,事故の種類別に見ると関連性に違い 野久保美紀 岡部充代 宮田さおり 櫻井しのぶ
三重看護学誌 Vol.8 2006
が見られ,転倒・転落では事故後の変化がないが,誤 飲・やけど・衝突の事故では事故防止意識は高まって いることより,児が経験した事故の種類により母親の 事故防止意識に影響を及ぼすのではないかと思われる.
6.まとめ
以上より,乳幼児の事故には母親の事故防止意識が 関連すること,また,母親の事故防止意識は家族背景 によっても影響を受けることが明らかとなった.母親 の事故防止意識に働きかける方法として,母子健康手 帳の活用が有効であり,母子健康手帳を読むことによっ て,事故防止の心がけや家庭内での対策へとつながる ことに期待できる.家族背景としては,特に第2子以 降の出産では母親も油断しがちなので,再度意識して 事故防止の指導することが望ましいと考える.その他 の事故についても,母親全員が正しい理解をしている とはいえないため,詳しく説明する機会を設けること が必要と考える.
VI.結 論
1.母親の事故防止意識について,母子健康手帳を読 んだことのある群の方が,読んだことのない群に比 べ事故に対する日頃の心がけがある者の割合が高かっ た.
2.家族背景と1歳6か月児の事故との関係に有意な 差は見られなかった.
3.家族背景と母親の事故防止意識について,祖父母 と一緒に住んでいる群は,核家族の群より日頃の心 がけが低かった.また,兄弟がいる群はいない群に 比べ,小さい物への注意が低かった.
4.1歳6か月児の事故経験と母親の事故防止意識に ついて,明らかな差は見られなかったが,事故の種 類別にみると,転倒経験のある児の母親は事故防止 意識が低く,チャイルドシートの取り付け,風呂の 残し湯の割合が高かった.
謝 辞
本研究を実施するにあたり,ご理解及びご指導,ご 協力頂きました三重県T市保健センターの皆様,健 康診査に来られたお子様および保護者の皆様に心より 感謝申し上げます.
文 献
1)厚生統計協会編:国民衛生の動向 第52巻第9号,2005 2)市川光太郎著:救急現場で遭遇する事故の子ども達,小
児保健研究第62巻第2号,2003
3)濱耕子他著:1歳6ヶ月時および3歳児をもつ母親の子 どもに対する事故防止意識と発生事故との関係,小児保健 研究第62巻第6号,2003
4)長村敏生他著:子どもの事故防止に関する保護者の意識 調査(第2報),小児保健研究第63巻第1号,2004 5)鶴田憲一他著:子どもの事故防止のためのアンケート調
査,平成7年度厚生省心身障害研究「生活環境の子どもの健 康におよぼす影響に関する研究」報告書,1996
6)清水美登里他著:小児の事故防止のための保健指導の試 みとその効果,児童研究,1996
7)長村敏生他著:子どもの事故防止に関する保護者の意識 調査(第1報),小児保健研究第62巻第6号,2003 8)野尻孝子他著:保健所における小児の事故防止活動の展
開,小児科診療,1996
9)小沢道子他編:標準看護学講座29巻 小児看護学,金原 出版,1999
10)田中哲郎著:新子供の事故防止マニュアル 改訂第3版,
診断と治療社,2003
11)全国保育団体連絡会編:保育白書2003年度版,2003 12)澤田和美他著:乳幼児の事故に関連する要因,小児保健
研究第62巻第5号,2003
乳幼児の事故防止に関する母親の意識についての調査研究 三重看護学誌 Vol.8 2006
野久保美紀 岡部充代 宮田さおり 櫻井しのぶ 三重看護学誌
Vol.8 2006
要 旨
不慮の事故は常に子どもの死因の上位を占めている.特に乳幼児の事故は居室内で起こるこ とが多い.本研究では,家族背景と乳幼児の事故,母親の事故防止意識について調査を行い,
これらの関連を検討することを目的に行った.
対象は,2004年8月~10月に三重県T市の保健センターで1歳6か月健診を受診した子ど もの保護者69名で,質問紙表に沿って聞き取り調査を行った.
その結果以下のことが明らかになった.
1.母親の事故防止意識について,母子健康手帳を読んだことのある群の方が,読んだことの ない群に比べ事故に対する日頃の心がけがある者の割合が高かった.
2.家族背景と1歳6か月児の事故との関係に有意な差は見られなかった.
3.家族背景と母親の事故防止意識について,祖父母と一緒に住んでいる群は,核家族の群よ り日頃の心がけが低かった.また,兄弟がいる群はそうでない群に比べ小さい物への注意が低 かった.
4.1歳6か月児の事故経験と母親の事故防止意識について,明らかな差は見られなかったが,
事故の種類別にみると,転倒経験のある児の母親は事故防止意識が低く,チャイルドシートの 取り付け,風呂の残し湯の割合が高かい傾向があった.
キーワード:乳幼児,不慮の事故,事故防止意識
乳幼児の事故防止に関する母親の意識についての調査研究 三重看護学誌 Vol.8 2006 資料 1
子どもの事故防止に関するアンケート 1.あなたとお子さんについてお尋ねします.
①お子さんの性別 1)男 2)女
②兄弟の数(今回健診のお子さんを入れて・・・)
1)1人 2)2人 3)3人 4)4人以上
③今回健診に来られたお子さんは,兄弟の中で上から
1)1番目 2) 2番目 3)3番目以降 4)4番目以降
④ご家族(一緒に住んでいらっしゃる方)は
1)お父さん 2)お母さん 3)お兄さん 4)お姉さん 5)おじさん 6)おばさん 7)おじいさん 8)おばあさん 9)家政婦さん 10)いとこ
⑤あなたは,今回健診に来られたお子さんの…
1)お母さん 2)お父さん 3)おじいさん 4)おばあさん 5)それ以外
⑥今回健診に来られたお子さんの,お母さんはお仕事(パート含む)をされていますか?
1)はい 2)いいえ
⑦お子さんの普段の保育場所について
1)自宅 2)保育園 3)おじいちゃん・おばあちゃんの家 4)その他
⑧お子さんの育児に最も関わっていらっしゃる方は…(1つ選んでください)
1)お父さん 2)お母さん 3)おじいさん 4)おばあさん 5)おじさん 6)おばさん 7)家政婦さん
2.お子さんの事故経験とあなたの事故経験についてお尋ねします.
①今回健診に来られたお子さんは,以前に,病院を受診することになった事故(下記のようなもの)をされた ことがありますか?
1)ある 2)ない
②「ある」とお答えいただいた方にお尋ねします.その事故の種類と回数について教えてください.
1)転倒( )回 2)転落( )回 3)誤飲( )回 4)やけど( )回 5)衝突( )回 6)溺水( )回 7)誤飲以外の窒息( )回 8)はさむ事故( )回
③「乳幼児の事故と主な原因」についての,母子健康手帳のページを読んだことがありますか?
1)はい 2)いいえ
④日ごろから,事故防止について心がけていらっしゃいますか?
1)はい 2)いいえ
⑤あなた自身,病院を受診するような事故(交通事故や,やけど,転倒,転落など)をされたことがありますか?
1)ある 2)ない
3.お子さんの事故防止のためご家庭で行っていらっしゃることについてお聞きします.
①タバコや灰皿はいつもお子さんの手の届かない所に置いていますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ 4)たばこは吸わない
②ボタン型電池や硬貨,子どもの口に入る小さなオモチャなどは,お子さんの手の届かない所に片付けて いますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
③洗剤や殺虫剤,化粧品,医薬品などはお子さんの手の届かない所に片付けていますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
野久保美紀 岡部充代 宮田さおり 櫻井しのぶ 三重看護学誌
Vol.8 2006
④チャイルドシートを後部座席に取り付けて使用していますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ 4)車は使用しない
⑤かみそりや包丁,ハサミなどの刃物は使用した後は必ず片付けていますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
⑥ポット,炊飯器,アイロン,熱い鍋などはお子さんの手の届かない所に置いていますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
⑦お茶やコーヒー,味噌汁,カップラーメンなどは例えばテーブルの端ではなく,中央というようにお子さん の手の届かない所に置くようにしていますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
⑧ストーブやヒーターなどは安全柵で囲ってお子さんが手を触れないようにしていますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
⑨目を離したすきにお子さんが入らないように浴室の入り口に鍵をかけたり,開かないように注意していますか?
1)はい 2)時々 3)いいえ
⑩お宅では,お風呂の残し湯をしていますか?
1)いいえ 2)時々 3)はい
ご協力ありがとうございました.