炭素負極 を用いた全 固体型 ポ リマー電池 の開発
・L.1′〟′1.7‑i,
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{̀lrjLi...∴.lLtW.八州・Ptr,‑・kr.YPTtd‑サニーg∴雷撃̲̲こ Y・jt̲+I‑(:,‑.b
平成
21
年度三重大学大学院 工学研 究科 博士前期課程 分子素材 工学専攻 エネル ギー変換化学講座
賓藤 大樹
三 重 大 学 大 学 院 工学 研 究 科
目次
第一章 序論
1 ‑1
世界 のエネルギー開発上2
電池 の発 見と発展1 ‑3
電池 の種類ト4
リチウムイオン二次電池 の構 成上5 PEO
固体電解 質ト6
炭 素材料 とその性能第 二章 実験
2 ‑1
実験方法2 ‑1 ‑1
電解 質作製方法2 ‑ト2
塗布 電極 作製方法2 ‑ト3
圧着電極 作製方法2 ‑ト4
PVC表面処理方法2 ‑1 15 ‑ a
PAA添加 黒鉛 電極 作製 方法2 ‑卜5 ‑ b P
AA表面処理方法2 ‑ト6
添加剤 添加 電極 作製 方 法2 ‑ト7
ボールミル処理方法2 ‑2
各種測 定2 ‑2 ‑1
走査線電子顕微鏡( SEM)
解析2 ‑2 ‑2
充放 電測 定2 ‑2 ‑3 X
線 回折( XRD)
測 定2 ‑2 ‑4
ラマン測 定2 ‑3
電池 の構成第 三章 結果
3 ‑1
電極材 料 について3 ‑2
液体電解 質 における充放 電特性3 ‑3 PEO
系 固体電解 質での充放 電特性3 ‑4
電極厚 さの違 いによる充放 電特性 の違 い1
3
5
7
1 0
12
1 5 1 5 1 6 1 6 1 7 1 7 1 8
1
8
19 19 20 21
22
24
28
29 30
3 ‑5
表面処理黒鉛材料3 ‑5 ‑1
ポ リ塩化ビニル( PVC)
による表 面処理3 ‑5 ‑2PVC
における充放電特性3 ‑5 ‑3
ポリアクリル酸(PAA)による表面処理3 ‑5 ‑4
ポリアクリル酸(PAA)における充放電特性3 ‑5 ‑ 4 ‑a
圧 着電極 による充放電特性3 ‑5 ‑ 4 ‑ b
塗布 電極 による充放 電特性3 ‑6
ボールミル処理3 ‑6 ‑1
ボールミル処理 による表面処理3 ‑6 ‑2
ボールミル処理MCMB
における充放 電特性高速充放電測定
3 ‑7
電極 ‑の添加剤 の添加 効果3 ‑8
高速充放電特性 とその改善3 ‑8 ‑1
液体電解質及 び PEO 固体電解質 にお ける高速充放 電特性3 ‑8 ‑2PVC
処理MCMB
を用 いた場合 の高速充放 電特性3 ‑8 ‑3 P
AA添加 黒鉛 電極を用 いた場合の高速充放 電特性3 ‑8 ‑ 4
様 々な添加剤 を用いた場合 の高速充放電測特性3 ‑8 ‑5
電極 中の PEO分子量の変化の影響第 四章 総括
参考文献
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
46
4
7 49 50 51 555 8
61
斥 詔
1
1‑ 1 世界 のエネル ギー 開発
私 たちの生活には多 くのエネル ギーを用いている。特に電気やガス、 自動車燃料な どの化 石燃料 によ り発生 させ るエネル ギー を用 い る場面は非常に多い。 また、工業や農業な どの 生産活動 においても化石燃料 を利用 してい る。 しか しなが ら、石油や石炭、天然ガスを用 いてエネルギーを取 り出す場合、二酸化炭素や NO x 、 S Ox といった有害物質が発生 して し ま う。地球温暖化や環境問題 、化石燃料 の枯渇に対す る意識 の向上か ら、石油や石炭、天 然ガスに変わる代替エネル ギー‑の関心が高まってい る。新エネル ギー について国の政策 では、 「 技術的に実用化段階 に達 しつつ あるが、経済性の面での制約か ら普及が十分でな い もので、石油代替エネル ギーの導入 を図 るために特 に必要 なもの
」と定義 してお り、エ ネル ギー源 の違いによ り以下の
3つに分類す ることが出来 る。
(1)
自然エネルギー ( 再生可能エネル ギー)
(2)リサイクルエネル ギー
(3)
従来型エネル ギーの新利用形態
自然エネル ギー とは太陽光や風力、地熱 を用いたェネル ギーの事 である。 これ らは有害物質 の排 出や放射性廃棄物の問題 が無い事か ら、極 めてク リーンなェネル ギーである と考 えられ る。 しか し、 コ ス トや管理の問題や、天候 に左右 され るため安定 したエネル ギーの 供給が困難である。
リサイ クルエネル ギー とは廃棄物 を処分す る際に発生す るガスに よ り発電す るものや、下水熱や工場等の排熱の利用等が挙げ られ る。
このエネル ギーは リサイクル とい う点では有効であるが、高 コス ト であることや、変換効率の低 さが問題 である。
従来型エネル ギーの新利用形態 とは、天然ガスを用いた変換効率 の高い コー ジェネ レーシ ョンシステムや燃料電池、更にはハイブ リ
ッ ドカーや メタノールカー、電気 自動車な どのク リー ンエ ネル ギー 自動車な どが挙げ られ る。 これ らは、環境問題 に おいて とても有効な解決策である。
近年多 くの企業が上記 の よ うなク リー ンエネル ギーに力 を入れてい る。特 に燃料電池や リチ ウムイオン電池 は小型 に出来 るため、幅広い分野で活躍す ることができるため、
需要が増加 している。
:.電 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
太陽光発電( ソーラーパネル)
2
1 ‑ 2電池の発見 と発展
現在世界最古の電池 と考 え られてい るものが 「 バ グダ ッ ト電池
」( Fi g. 1 ‑ 2‑ 1 ) であるが、電池の原理 を発見 したの はガルバーニ( 伊) である。ガルバーニは二種類の金属 をつ なぎ、両端 をカエル の足に当てると足がけいれんす る現 象 を見つけ、そ こか ら電池 の原理 を発見 した。その後ボ ル タ( 伊) によ り負極 に Zn 板、正極 に
Cu板 を用いたボル タ 電池が発明 された。 これが、電池の始ま りである。
以下に現在 までの電池の歴史を示す。 ( Fi g. 1 ‑ 2‑ 2 )
●賞グ・3'・?ド 亀;也のLくみ
±鍔
・t一一r...̲tも・.・Ht
アスフ7ルト
アスフ ァル ト封□
日本で初 めて作製 された電池 は、 ペ リーが持 ち込ん Fi g・ 1 ・ 2‑ 1 バ グダ ッ ト電池の構造 だダニエル電池 を参考 に佐久間象 山が作製 した と言われている。
電池の歴 史
1 7 91 1 800
ガルバーニ(伊)がカエルの足から電池の原理を発見 ボルタ(伊)が電池の発明
1 9 91 6 7 91 07 91 4 6 91 1 6 91 0 6 91 5 5 91 0 0 91 9 9 81 8 8 81 5 8 81 8 6 81 9 5 8日H 6 3 81
ダニエル(英)がダニエル電池の発明 ガストン・プランテ(仏)が鉛蓄電池を開発 ルクランシエ(仏)がルクランシェ電池(乾電池の原型)を発明 屋井先蔵(冒)が乾電池の発明 ガスナ‑(独)が乾電池の発明 ユングナ‑(棉)がニッケルカドミウム二次電池の発明 エジソン(米)がニッケル鉄二次電池を発明 水銀電池の生産開始Fi g.
1・ 2・ 2 電池の歴史
アルカリ乾電池の生産開始 ニッケルカドミウム二次電池の生産開始
ボタン型空気電池の生産開始 小型制御弁式鉛畜二次電池の生産開始 リチウム一次電池の生産開始 リチウムイオン二次電池の生産開始
1 995 2002
水銀電池の生産中止 ニッケル系一次電池の生産開始我々の生活の中では、用途 によ り様 々な電池が用い られている。時計や リモ コン、
ラジカセ等にはアルカ リ電池やマ ンガン電池、 自動車には鉛畜電池、携帯電話な どのポー タブ ル電子機器 には リチ ウムイオ ン電池が採用 されてい る。今後は多 くの製品が二次電池搭載 に移行 してい くと考 え られ る。 2 00 9 年の電池販売見込み及び 201 4 年の予測示す。( 電池種 別 : Ta b. 1 ‑ 2‑ 2‑ a
電池別Ta b. 1 ‑ 2・ 2‑ b ㈱富士経済 よ り)
3
2009 年見込 2008 年比 201 4 年予測 2008 年比 一次電池 1 兆 2
,952 億 円 99. 5% 1 兆 2
,409 億 円 95. 3%
二次電池 2兆5
,21 3 億 円 84. 1 % 4 兆 9
,983 億 円 1 66. 8%
Ta b. 1 ‑ 2‑ 2‑ a2009 年 見込み及び 201 4 年予測
2009 年見込 2008 年比 201 4 年予測 2008 年比
自動車用 リチ ウムイオ
ン二次電池 250 億 円 240. 4% 2 兆 2
,500 億 円 21 6 倍 大型 ニ ッケル水素電池 955 億 円 1 1 9. 4% 2
,020 億 円 2. 5 倍
Ta b.
1‑ 2・ 2・ b2009 年見込及び 201 4 年予測( 電池別)
2009 年 は前年 に比べ需要が減衰 してい るが、 これ は前年 か らの経済不安 の影響 であ り、
後 半か らは受注 も増 え始 めてい る。今後 は電池 の高性能化 に伴 い、用途 の拡大が可能 とな り 201 4 年 の予測 では需要の増加 が見込 まれ てい る。
一次電池 はアル カ リマ ンガ ン電池 が市場 の 75% を占めてお り、マ ンガン電池や ニ ッケル 電池 か ら需要 がシフ トしてい る。 しか しなが ら、全体的 にはモバイル機器や コー ドレス機 器 の増加 、環境負荷対策 として二次電池 の需要 が伸びてい くと考 え られ る。
二次電池 は、現在 は鉛恵池が市場 の半分 を 占めてい るが、電池 メーカー と自動車 メーカ ー が共 同で開発 ・生産 してい る リチ ウムイオ ン二次電池 の需要 が拡大 し、また小型機器 に 用 い られ てい るニ ッカ ド電池や ニ ッケル水素電池 な ども リチ ウムイオ ン二次電池 にシフ ト
してい くと予想 され る。
自動車用 リチ ウムイオ ン二次電池 は、各 自動車 メーカーが注力 して開発 を進 めてお り、
今後 は HV・PHEV な どの需要が急速 に拡大 してい くと考 え られ る。 それ に伴 い、電池 自身 の価格 は低 下 してい くと予想 され る。
また、ニ ッケル水素電池や電気二重層 キャパ シタも需要が拡大 してい くと考 え られ るが、
コス トや安全性 、用途等 の点か らも リチ ウムイオ ン二次電池がかな りの需要 の拡大が予想 され る。
4
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科1 ‑ 3 電池 の種類
電 池 は、 エ ネル ギー を直流 電 流 に変 換 す る機 器 で あ り、以 下 の よ うに大別 で き る ( Fi g. 1 ‑ 3‑ 1 ) 。
活物 質 保持 形
活物 質 供給形
一次電池
マンガン乾電池
アルカリ乾電池、アルカリボタン電池 酸化銀電池、水銀電池
リチウム電池 亜鉛 ・空気電池
塩化銀電池 (注水型電池) 鉛蓄電池
Ni‑Cd電池、Ni‑Fe電池、酸化銀蓄電池 リチウムイオン電池 (各種金属酸化物) NトMH電池
‑ 燃料電池 (高分子固体、リン酸、溶融塩 、高温固体)
光電池 熟電池
太陽電池 (シリコン系、化合物系半導体電池)
原子力電池一 熱電対形電池、熱電子形電池
酵素電池 微生物電池
Fi g. 1 ‑ 3‑ 1 電池 の種類
化学電池 とは、化学反応 によ りエネル ギー を直接直流電流 に変換す る電池である。
一次電池は、化学エネル ギー を電気エネル ギー に変換、つま り放電す ることのみが可能 な電池 の ことである。 この うち、電解液 を不織布 ( セパ レー ター) に染み込ませ るな どの 処理 を して固体化 した ものを特 に乾電池 と呼び、電解液 を液体のまま使用 した ものを湿電 池 と呼ぶ。
一方、二次電池 は放電時 と逆方 向に電流 を流す ことによ り、電気エネル ギー を化学エネ ル ギーに変換 して蓄積、つま り充電す ることが可能な電池である。
一次電池 と二次電池は使用 開始時にお ける操作が異なってい る。一次電池 は電池 を作製 した時点で、両極 間に起電力が発生す るため、即座 に電池 として利用す ることができる。
しか しなが ら、二次電池 は両極 の構成材料 の電位差が低いため、外部か ら充電 を行 うこと によって始 めて使用可能な起電力 を生 じさせ ることができる。そのため、二次電池 と蓄電 池はほぼ同義であるといえる。
一次電池 と二次電池の性能 を次に示す ( Tab. 1 ‑ 3・ 2‑ a1 ‑ 3・ 2‑ b 日立マ クセル㈱ よ り)
5
電 池 の種 類 ア ル カ リ乾 電 池 マ ンガ ン乾電 池 酸 化 銀 電 池 アル カ リボ タ ン電 池
記 号 LR (円筒 形 ) R (円筒 形 ) SR LR (ボ タ ン形 )
公 称電
圧
1.5V 1.5V 1.55V 1.5V電 池 構 成 二酸 化マン ガ ン/水酸 化 二酸 化 マ ン ガ ン/塩化亜 酸 化銀 /水 酸 化 カ リウ 二 酸 化 マ ンガン/水 酸 化 (正極/電 解 質/負極) カ リウム水溶液/亜鉛 鉛 水溶液/亜鉛 ム水
溶
液 /亜鉛 カ リウム水 溶酒/亜鉛放 電 特 性 電庄 噂庄 窄圧 庄喝:
五即 ‑3O' 瓦¢ 1 写OB
I.き I.15‑ 1.i 1.E :J ‑
●■■ ㌔ ーl‑ ■i■一一一■
8
時r,1 O Bqfl 0 時r‑1 自 縛rrl使 用 温 度 範 囲 ‑20‑60℃ ‑10‑55℃ ‑10‑60℃ ‑10‑60℃
・大 電 流 、連 続 使 用 向 き ・小 電 流 、間 欠 使 用 向 き ・安 定 した放 電 電 圧 ・廉価
主 な用 途 ・デ ジ タル カ メ ラ .液 晶 ・ラ ジ オ カセ ッ ト.リモ ・腕 時 計 .電 子 ゲ ‑ ・電 子玩 具 .体 艦 計 .小
TV. MD
プ レー ヤ ー .強 力 ライ ト.玩 具
. PDA 電
コ ン .電 卓 .時 計 .懐 中灯 .玩 具 ム .計 測 機 器 型 ラ ジ オTa bl e
l 甘2‑ a 一次電池の種類 とその特徴
電 池 の種 類 ボ タ ン形 チ タ ン酸 カ ーボ ン リチ ウム 二 次 電 池 コイ ン形 二酸 化 マ ンガン リチ ウム 二 次 電 池 ニ ッケル 水 素 電 池 リチ ウム イ オ ン電 池
記 号 TC ML HR(円筒 形).HF(角 形) ⅠⅠCRCP((角円筒形 )形 )
公 称 電圧 1.5V 3V 1.2V 3 .7V
電 池 構 成 チ タ ン 酸 リチ ウ ム /有 二 酸 化 マ ン ガ ン/有 機 オ キ シ水 酸 化 ニ ッケル コバ ル ト酸 リチ ウ ム/有
(正極/電解 質/負極) 機 電 解 液 /カ ー ボ ン 電 解 液 /リチ ウム合 金 /演 /水 酸 化 カ リ ウ ム 水 溶水 素 吸 蔵 合 金 機 電 解 液 /カー ボ ン
放電特性 領 噸庄 鴫 4.ES
圧 > 圧 38
ち.O 与一¢㌧ ‑一㌧ 吉.8
1,5 ㌔ 1.5 、 1.5 1.5‑
自 縛r.l 0 時間 0 時間 雷O 脚
使 用 温 度 範 囲 ‑20/‑60℃ ‑20‑60℃ ‑20‑‑60℃ ‑20‑60℃
・優れ た ‑r)イ クル 特
性 ・低
い 自己放電率 ・ニ カ ド電 池 と同
じ ・高 いエ ネpJL,ギ ー 密 度・広い 充 電 電 圧 範 囲 ・優れ た サ イ クル 特 性 1.2Vで約 2倍 の エ ネ ・優れ た 放 電温」変特 性
・優 れ た過 充電 特 性 ・優 れ た 過 充電 特 性 ル ギ‑ 繰;・優 れ た 放 電'度
温
度 特 性・低い
自己放電率主
な用
途 ・腕 時 計.PDA
・パ ソ コ ン .PDA
.ノ ・デ ジカ メ.携借 電 話 .・ 携
帯電 話.PDA
.ノー‑・携 膳 電 話 .RTCバ ツ ‑ 卜型パ ソコ ン .デ ジ ノー ト型パ ソ コ ン .‑ ト型 パ ソ コ ン .デ ジ カ
Ta bl e 1 ‑ 3‑ 2‑ b 二次電池の種類 とその特徴
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
1‑ 4 リチ ウムイオ ン二次電池 の構成
電池の負極 には
① 放電電位 が卑であること
② 単位重量な らびに体積 当た りの取 り出せ るエネルギーが大きいこと
が要求 され る。金属 リチ ウムは標準酸化還元電位 が最 も卑( ‑ 3. 045 V
vs.SHE) であ り、単体 金属 中最 も軽い金属( 原子量: 6. 94) であることか ら大 きな重量 当た りの容量
(3,
860mAh/g)を 示す為、 他 の材料 に比べ電池の負極材料 に適 している。また、自己放電が少な く
(20℃で 10%/
月) 、ニ ッケルカ ドミウム電池やニ ッケル水素電池のよ うに 「 メモ リー効果」が殆 ど無い。
更 に資源 が豊富なため低 コス トが可能である。そのため、 リチ ウムイオ ン二次電池 は従来 の二次電池 に比べ大容量化が可能であ り、電力貯蔵用や電気 自動車用電源 として も期待 さ れてい る。
Fi g. 1‑ 4‑ 1に リチ ウムイオ ン二次電池 の原理 を示す。
リチ ウムイオ ン二次電池は充放電の際に リチ ウムイオ ンのみが電池反応 に関与す る単純 な原 理であ り、金属 リチ ウムは放電時にはイオ ン と
して電解質‑溶 出 し、充電時には再析 出す る と い う反応 を繰 り返す。金属 リチ ウム‑の再析 出 は表面‑均一 に生成す るわけではな く、樹枝状 析 出物( デ ン ドライ ド) や微細な粒子状結 晶 とし て現れ ることが知 られている。電池反応 が進行 す るに従 って生成 したデ ン ドライ ドは、セバ レー
正極
電解 質
負極Fi g. 1‑ 4‑ 1 リチ ウム二次電池の構成図 タ‑ を突 き破 って短絡の原 因にな り、放電時に孤立 した リチ ウムが生成 してサイ クル特性 が低下 して しま う。 また、反応活性度が非常に大 き く、シ ョー トして しま うと発火 の危険 性 がある。そのため、金属 リチ ウムを用いた電池の実用化 は困難である。
実用化 されている リチ ウムイオ ン二次電池 の負極 には炭素材料が使用 されてお り、その リチ ウム吸蔵放 出反応が負極反応 として利用 されてい る( 式 ( 1 ) ) 。
C+xLi ++xe・) tLi x C
( 1 )重量当た りの容量は リチ ウム金属に劣 る( 約 372
mAhg
・1)ものの、金属 リチ ウムに匹敵す る卑 な電位 で充放電が進行 し、優れたサイ クル特性 を示す ことが知 られている。
7
正極 には層状構造や ス ピネル構造 の リチ ウム遷移金属酸化物が用い られ てい る
。特 に Li Co02 や Li Ni 02 は
① 酸化物系であるため、高電位 が期待できる
② リチ ウム容量が大きい
③ 可逆性 に優れ る
④ イオ ン拡散に適 した層状構造
であるため、正極材料 として有効な材料である。
正極材料は、デインターカ レーシ ョン した リチ ウム組成が容量 となる。( 式( 2) 、式( 3) )
Li CoO2与Li o . 5 CoO2+0. 5Li ++0. 5e・
Li Ni O2SLi o . 3 Ni O2+0. 7Li ++0. 7e‑
( 式 ( 2 ) ) ( 式( 3) )
実用化 されている リチ ウムイオン二次電池では高い放電電圧( 約 4. 1 V
vs.Li ) を示す Li Co02 が主に用い られている。
しか し、コバル トは希少であるため、その代替材料 として安価で Li Co02 と同等の放電電 圧 を示す L
iMn2 04 や Li FeP04 な どが期待 されている。
電池の電解質は以下の性質 を示す必要がある。
( 丑 イオン導電率が高い
② 電気化学的に安定な電位範囲( 電位窓) が広い
③ 熱的 ・化学的に安定である
④ 電池内の他の材料 と反応 しない
⑤ 安全で毒性がない
な どが挙げ られ る。
リチ ウム電池は非常に高い電位 を示すため、水溶液系の電解質 を用いることはできない。
また、リチ ウム塩 を溶解 してイオン伝導性 を与えることと、リチ ウム と反応 しないために、
非
プロ トン性で極性 を有す る有機溶媒が提案 され、実際に実用化 されている。
主な有機溶媒 を以下に示す ( Tab. 1 ‑ 4‑ 2) 0
8
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
溶 媒 の融 点 ( m. p. ) や 軌 点( b. p. )は電 池 の作動 温度範 囲 に関係 す る性 質 で あ り、室温か ら ‑ 20℃ 付近 までの範 囲 で液体状態 を保つ ものが望 ま しい。
また、溶媒 の比誘電率は非常に重要 な要素で あ り、電解質 のイオ ン帝離 と 会合 に強 く関係 してい るため、イオ ン 伝 導度や 電極反応 挙動 そ の もの に大 きな影響 を与 える。
さらに、溶媒 の粘度 はイオ ン伝 導度 に直接影響 を与 える。
優れた電解液 を得 るための溶媒 は
① 融点 ・蒸気圧 が低い
② 高い誘電率
③ 低い粘度
とい う性 質 を有す るものが望 まれ る。
SoIvent er qo
DN
mp 砂与.
dEix /cP /.C PC/ V
tls.SCE EthylenecarboJはte(EC)
Propylenecarbonate (PC)
Butylenecarbonate (BC)
r‑Butyrolactone (G古L)
0.1 .
0
1.2‑Dimethoxyethane (DME)
I;tia宗ydrofuran G) 2‑Methyltetrahydrofuran (2MeTHF)
1.3‑Dioxolane (DOL)
4‑Methy1‑I.3‑dioxo (4MelX)U Me也ylformate (MF) Methy)acetate (MA)
Methylpropiotlate (MP)
m methylcarbonate
(DMC)
Ethylmethylcarbonate (EMC)
Diethylcarbonate (DEC)
\orlo/
Q \
90 1.9 16.4 37238‑3.0+3.2 く40℃)
65 2.5 15.1 ‑49 242 ‑0.3十3.6
53 3.2 ‑53 240 ‑3.0+4,2
42 1.7 18 ‑‑44 204 ‑0.3十5.2 7.2 0.46 20 ‑58 朗 ‑3.0+2.1
7.4 0.46 20.0 ‑109 66 ‑3.0十2.2 6.2 0.47 18 ‑137 80
7.1 0.59 ‑95 78 ‑3.0+2,2
6.8 0.60 ‑125 85
8.5 0.33 ‑99 32
6.7 0.37 16.5 ‑98 5S ‑2.9十3.4 6.2 0.43 ‑88 79
3,1 0.59 3 90
2.9 0.65 ‑55 10名 ‑3.0+3.7
2.8 0.75 15.1 ‑43 127
Tab. 1 ‑ 4・ 2 様 々な有機溶媒 しか しこれ らの条件 は相反す るものであ り、すべての条件 を満 たす ことはできない。
現状では EC ・ PC な ど高い誘電率 を示す環状エステル と、 DMC な ど粘性 の低い鎖状エ ステル を共溶媒 として用いてい る。
リチ ウムイオ ン電池 は高容量 ・高電圧 であるため様 々な用途 に使用す ることができるが、
リチ ウムや電解液が可燃性 で あるため、電池の膨張や発火 の危険性 がある。実際に 2006 年 に ドコモや ソニーの リチ ウム電池 が膨 張や発火 した事故が発生 してい る。
そ こで、電池 メーカー は安全性 ・信頼性 の向上のために新 たな電解質材料 の開発 に注力 してい る。特 に、難燃性 の固体電解質 は液漏れや発火 の問題 がないため、多 くのメーカー が固体電解質 を用いた全 固体電池 の研 究 ・開発 を行 ってい る。
9
1 ・ 5PEO
固体電解質近年、 リチ ウムイオン二次電池の安全性の向上の為 に全国体型電池が盛んに研 究 されて いる。硫化物系無機 固体電解質はイオン導電率が室温で 1 0・ 3 Sc m
・1と液体電解質 と同等の値 を示 し、電気化学的に安定な 4V系の遷移金属酸化物等 を使用す ることができる。しか しな が ら、硫黄 とい う非常に扱いづ らく有害な元素 を用いてい ること、また薄膜化が難 しい と い う欠点をもっている。
有機 固体電解質では、比較的高いイオ ン導電率 を示 し、機械的強度 も高 く、化学的に安 定なポ リマー電解質が注 目されている。特 にポ リエチ レンオキサイ ドを用いた PEO 固体電 解質は、アルカ リ金属塩 を添加す ることで優れたイオン導電性 を示す ことを見出 され 1 ) 、そ
の後、ポ リマー電解質の電池‑の応用が提案 され、多 くの研究が行われてきた
2)0
PEO はアモル ファス領域でイオンの移動が進行す るが、これは PEO 鎖 における酸素原 千‑のアルカ リ金属の配位 が起 こり
3)、ポ リマー鎖のセ グメン ト運動によるものであること が示 された ( Fi g.
1・ 5・ 1 )
4)。 アル
カ リ金属イオ ンと配位 しやすい 元素 は窒素や硫黄 な どがあるが、
電子供与性 を考慮す る と酸素が よい と考 え られ る。 また、 PEO の繰 り返 し単位 はアル カ リ金属 が配位 しやすい構造であると考 えら
れ るため、現在 において も殆 どのポ Fi g。 1
甘l PEO の リチ ウムイオン輸送イメージ リマ‑電解質 において PEO 構造を有 している。
電池 の電解質にはイオ ン導電率の向上やイ ンピーダンスを低下 させ るために支持電解質 を加 えるが、特に リチ ウム電池 には非水系溶媒 を用い るため、以下のよ うな性質が要求 さ れ る。
① 非水溶媒に可溶である
② イオン伝導度が高い
③ 電気化学的に安定な電位範囲( 電位窓) が広い
④ 熱的に安定
三重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
1 0
また、考案 され てい る支持 電解 質 を以 下 に示す
( Ta b. 1 ・ 5‑ 2 )
LiC1
04や Li B
F 4、 Li
PF6な
ど様々な
支持電解質があるが、 P
EO‑ L
iX系 に
おいて
Li塩の界面抵
抗依存性 が示 さ
れ、イ ミ ド塩が良いイ
オ ン導電率を示
すこ と が報告 された 5 , 6
)。そのため、
P
EO
系固体電解質に
おいては、イ ミ ド
塩系
がよ く検 討 され
ている。 特 に
LiN(CF3 SO2 ) 2は、
PE
Oを可塑化す る
効果
が あるため、
PEO鎖間 または PEO
と
ア
ルカ リ金属間の相
互作用が弱ま り、
電 解 質
分子量 融 点 も℃1 、 き Li CJ O
一L LL L I.し
1064 93,.
7
151.9 195.8236 307 160 259 156.0 423 285.1 236‑237 418.2 27卜 273
Ta b. 1 ・ 5 ・ 2
支持電解 質 の種類結
晶
化 が抑制
さ れて P E O のセ グメン ト運
動が 活発に なる。また、T gが低く、高 い耐 酸 化性
を
持
っている。
直鎖 の
PEO
の結 晶化 を抑 える方法 として、無機 フィラー を加 える方法 が提案 され てい る。例 えば、直鎖
PEO
にSi 02
を添加 す るこ とでPEO
の結 晶化 が抑 え られ 、20℃
で約8×
1 0 ‑ 6 S/ c m
まで改良 され るこ とが報 告 され た 7)。 また、チ タン酸バ リウム( BaTi O3 )
は低温 で の電子伝 導性 の向上や リチ ウム負 極 とポ リマー電解 質 間の界 面抵 抗 の減少 が報告 され てい る8)。これ らは、無機 フィラー粒 子 が結 晶化 を阻害す る働 きを してい るた めだ と考 え られ る。そ のた め、本研 究 にお け る
PEO
固体電解質 に対す る支持電解 質 としてLi N( CF3 SO2 ) 2
、 無機 フィラー としてチ タン酸バ リウム を添加 して、電解質 を作製 した0l l
1 ‑ 6 炭素材料 とその性能
リチ ウムイオ ン二次電池 の負極材料 として炭素材料 を用いてい ることは先 に述べたが、
その負極特性 は用いる炭素の結晶性、配向性、形状 な どの構造因子の違いによ り様 々な挙 動 を示す。現在では負極炭素には黒鉛材料が主流 となっている。
(1)
易黒鉛化炭素( ソフ トカーボン)
高温熱処理 によって黒鉛化す る炭素であ り、微小結晶子がほぼ同一方向に並んで いる。近年、
1,
000℃以下で焼成 した低温焼成炭素が、可逆容量
500‑1,
000mAhg・1とい う大 きな可逆容量を示す ことが報告 されているが、実用化 されている炭素材 料 は
2,
400℃以上で焼成 した領域の炭素材料である。 リチ ウム挿入反応が リチ ウ ム電極 に対 して
0.25V以下の電位領域で起 こ り、可逆容量は
300‑370mAhg・1を 示す。また
2サイクル 目以降は極 めて優れたサイ クル特性 を示す
。(2)
難黒鉛化炭素( ハー ドカーボン)
結晶子がランダムに配列 しているため、高温熱処理 を行 っても黒鉛化は進行 しな い。
500‑700mAhg・1の大きな可逆容量 を有 し、 リチ ウム挿入脱離反応が、 リチ ウム金属 にきわめて近い
0.1V以下で進行す る。 また、充放電曲線 にヒステ リシ スが見 られず、初回充放電時の不可逆容量 も小 さい。可逆容量が大きいため高エ ネ ル ギー密 度 の負 極 材 料 と して期 待 され て い るが 、真 密 度 の小 さい こ と
(1.5‑1.8gcm・3)や急速充電時に炭素上‑の金属 リチ ウムの析出が問題点である。
黒鉛材料は金属 リチ ウムに対 して
90‑200mVの電位 を示す よ うに、非常に強い還元力 を 示す。そのため、多 くの有機物や硫化物 は還元 されて しま うはずだが、 リチ ウム電池 には 有機電解質が用い られてい る。 これ は、黒鉛表面に被膜が生成す ることで電解液の還元に 対 して不動化 し、還元反応が抑制できるためである。
しか しなが ら、一部 の有機電解質では、グラファイ トに リチ ウムを挿入できない。例 え ば、 PC を用いた場合、 リチ ウムのグラファイ ト‑の挿入が始まる前にグラファイ トの剥離 が始まって しま う9 う 。 しか し、類似 した構造 をもつ EC を用いた場合では、 リチ ウムが挿入 できるよ うに表面を不活性化 ・安定化す る被膜が生成す る。そのため、 EC を用いた場合 は リチ ウムを挿入す ることができる。 この被膜は S EI( So l i dEl e c t r o l y t eI nt e r f a c e ) 膜 と呼ば れ
id)、 リチ ウムイオン導電性 を示すが、電子伝導性 を示 してはな らない。
S EI 膜は、グラファイ ト‑の リチ ウムイオ ンの挿入 ・脱理 に必須であるが、電解液の還 元分解で生成す るため、その反応 には電荷 を伴 う。 よって、 この反応 は不可逆反応 の原因
となる。
1 2
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
リチ ウム電池の負極 には一般的に粉末が用い られている。黒鉛粉末の表面には様 々な官 能基や、内部 と異なる構造 を有す る表面層 に覆われていることが多い。表面官能基 は初回 の充電時 に溶媒 と反応 し、不可逆反応 の原 因 とな り、表面低結晶性層 の存在 は可逆容量 を 低下 させ る原因 となる。その解決策 として、表面処理 を行 うことによ り特性 の向上が知 ら れてい る。例 えば、表面層 を緩やかな条件 で酸化処理す ることで不可逆反応 の減少及び可 逆反応 の増加 が報告 されている 鉦弓3 ) 。また、 2 , 800℃ で焼成 した MCMB 粉末 を PHT で被 覆す ることでクー ロン効率が向上す ることも報告 されている
14)。 これ ら特性 の向上は、炭 素表面の官能基の除去や、溶媒 ・電解質の分解 が抑制 されたか らである。 そのため新たな 炭素材料 の開発 において、炭素材料 の表面処理 は非常に有効であ り、更なる高エネル ギー 密度化が期待できる。
本研究の 目的
ポ リマー電解質‑黒鉛負極 を適用す ることは、安全性 の向上だけでな くリチ ウムイオ ン 二次電池 の高電圧 を生かすためにも重要である。 しか しなが ら、未 だに液体電解質 に代わ るほ どの性能は報告 されていない。 その原 因 として、電極及び電解質が固体であるために 接触が不十分であること、 SEI 膜の生成反応 に多 くの電荷が伴 うことによる不可逆反応 の 影響な どがあげ られ る。
そ こで、本研究では黒鉛負極 を改善す ることによ り、ポ リマ一系全 国体型 リチ ウムイオ ン二次電池 における性能の向上を試みた。
具体的には、黒鉛材料の表面処理 ・電極‑添加剤 を加 えることによるサイ クル特性 の向 上及び急速充放電特性の向上を試みた。
電極材料 をスラ リーに して集電体 に塗布す るスラ リー塗布法は、現在 の電池 において も 使用 されている技法であ り、大量生産 を可能 に している。
そのため、スラ リー塗布法 を用いた黒鉛電極 を実用化できれ ば、現状での設備 をそのま ま利用できるとい う利点があるため、本研究ではスラ リー塗布法を用いて実験 を行 った。
1 3
実
離三重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
1 4
2‑ 1 実験方法
2‑ 1 ‑ 1 電解質作製方法
ポ リマ ー 電 解 質 作 製 方 法 の フ ロー チ ャー トを Fi g. 2‑ 1 ‑ 1 に示す。
アル ゴン雰 囲気 下、チ タ ン酸バ リウム( Al dr i c h Che mi c alCo mpany 製 平均粒径 0. l〟m)0. 556
g、 ビ ス ト リ フ ル オ ロ メ タ ン ス ル ホ ン イ ミ ド塩 ( Li ( CF3SO2) 2NMr =287. 08
≧99%)0. 05g 、ポ リエ チ レンオキシ ド ( Ar dr i c h Chemi c alCo mpany 製、
Mw=6. 0 × 1 0
5)3. 67g をメスフラスコ‑秤量 し、アセ トニ トリル ( ナ カ ライ テ ス ク( 樵 )製 Mr ‑ 41 . 05 99. 5%) を 50ml 加 え、 1 2 時間接拝( 約 300r pm) し、
電解質溶液を作製 した。これ を PTFE 上に流 し込み、
Ar 雰囲気下で乾燥 させた後減圧乾燥 を行い、ポ リマ ー電解質 とした。
Fi g. 2・ 1 ‑ 1 電解質作製方法フローチャー ト 2‑ 1 ‑ 2 塗布電極作製方法
電極作製方法のフローチャー トを Fi g. 2‑ 1‑ 2 に示 す。
アル ゴン雰囲気下、 MCMB( 大阪ガスケ ミカル㈱
製 MCMB25‑ 28( 粒 径 20‑ 30〟 m) ) 0. 2 5g、
VGCF( 昭和電工製 直径 0. 1 5〃m 長 さ 20〃m) 0. 0 5g、 PEOO. 1 5g 、 Li TFSI ( ㈱ WakoChemi c al 製) 0. 05g 、 BaTi O3 0. 0556g 、適量のアセ トニ トリル( ナ カライテスク㈱製 99. 5%) をバイアル瓶 に加 え、ス ター ラーを用いて 1 2 時間接拝 しスラ リーを作製 し た。このスラリーを銅箔 ( 20〃m) ‑塗工機 を用いて 塗布 し、 1 1 0℃1 2 時間減圧乾燥 を行い、電極 とし た。
Fi g. 2‑ 1 ‑ 2 塗布電極作製方法フローチャー ト
1 5
2‑ 1‑ 3 圧着電極作製方法
圧着電極作製方法のフローチ ャー トを Fi g. 2‑ 1 ‑ 3 に示す。
MCMB と VGCF を乳鉢 によ り混合 し、その後 結 着 剤 と して ポ リテ トラ フ ル オ ロ エ チ レ ン ( PTFE) を加 えて、更に 20 分混合 した。
その後、ステ ン レス メ ッシュに圧着す ることで 電極 とした。
Fi g. 2・ 1
‑3圧着電極作製方法フローチャー ト
2‑ 1‑ 4 PVC 表面処理方法
MCMB の PVC 表面処理方法のフローチャー トを Fi g. 2
‑3・ 1 に示す。
ドラ フ ト内 で MCMBl . 75g と PVC 仏1 dr i c h Che mi c alCo mpany 製) 0. 75g THF を用いて乳鉢 混合 し、 60℃1 時間空気中で乾燥 させた。その後ペ レッ ト状に成型 L Ar 中 7 00℃ 6 時間で焼成 した。
焼成後、 乳鉢により粉砕 し、 表面処理 MCMB とした。
Fi g. 2‑ 1
‑4PVC 処理表面処理方法フローチャー ト
I
A̲童 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
1 6
2‑ 1 ‑ 5 ‑ a PAA 添加 黒鉛 電極方 法
電極‑ の nゝ A( Wa koChe mi c a l 製 分子 量 2 5
,0 0 0 ) 添 加 方 法 の フ ロー チ ャー トを
Fi g . 2‑ 1 ‑ 5 ‑ a に示す。
MCMBO. 2 5 g と PAAO. 05 5 6 g をアセ トニ トリル を用いて 2 時間擾拝 させ た後、 2‑ 2 で 混合 した重量の VGCF 及び PEO 成分 を加 え たの ち 1 2 時 間擾拝 した後 、銅 箔 に塗布 し
1 1 0 ℃1 2 h 減圧 乾燥 を行 い nA A 添加電極 と した。
Fi g . 2 ‑ 1 ‑ 5 ・ a nl A添加 黒鉛電極作製方法 フローチ ャー ト
2‑ 1 ‑ 5‑ b PAA 表 面処理 方 法
蒸留水 を溶媒 とした場合 の PAA 処理方法 を
Fi g 2十5 ・ b に示すo
P AA を蒸留水‑ 2 0 wt % とな るよ うに溶解 さ せ 8 0 ℃1 時間乾燥 させ ス ラ リー を作製 した。
その後 MCMB を PAA: MCMB=1 : 9 とな るよ うに混合 し 1 0 分 間接拝 した。その後テ フロンシ ャー レ‑ スラ リー を入れ、 1 0 0 ℃ 、 4 時間で減圧 乾燥 を行 った。
乾燥後、乳鉢 で粉砕 し粉末 PAA 処理 MCMB
とした。
Fi g . 2‑ 1 ‑ 5 ・ b RA A表面処理方法 フローチ ャー ト
1 7
2‑ 1 ‑ 6 添加材 添加 黒鉛 電極作製方法
添加剤 を添加す る場合 の電極作成方法 の フ ロ ーチャー トを Fi g2‑ 1‑ 6 に示す。
2‑ 2 と同様 に作製 し、その際に添加材 を電極重 量の 1 0% となるよ うに混合 した。
作製 したスラ リー を銅箔に塗布 し、乾燥す るこ とで添加電極 とした。
2・ 1 ‑ 6 添加黒鉛電極作製 フローチ ャー ト
2‑ 1 ・ 7 ボール ミル処理方法
ボール ミル処理方法のフローチャー トを Fi g. 2‑ 1
‑7に示 す。
MCMB ・ 大ボール 5 個 ・ 小ボール 1 0 個 をポ ッ トに加 え、
回転数 500r pm で 1 時間ボール ミル混合 を行 った。
Fi g. 2‑ 1 ‑ 7 ボール ミル処理方法フローチ ャー ト
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
1 8
2‑ 2 測 定方 法
2‑ 2‑ 1 走査 電 子顕微 鏡解 析 ( SEM) 走 査 電 子 顕 微 鏡 ( s c anni ng el ec t r on
mi c r os c o pe , SEM) とは、試料 の表 面形態 に関す る情 報 を得 るための装置であ り、電子銃 か ら放 出 され る電 子線 を細か く絞 り、偏 向 コイル を用いて試料表面上の 微 小 領 域 に 当 て 、 走 査 す る。 SEM の 基 本 構 造 を Fi g. 2・ 2‑ 1 に示す。電子線 が当た る と 2 次電子 な どが放 出 され るので、それ を検 出器 で検 出す る。 この信 号 を TV モニターに表示す る。試料 は専用 の台 に両面テー プで固定す る。導電性 のない試料 をそのまま観察す る と、試料表面上に電化 が蓄積 され 、異常な コン トラス トを示す現象( チ ャー ジア ップ)を起 こす ため、導電性 を持 たせ るために、イオ ンスパ ッタ リング装置で 3‑5
光電子倍増管
′千レ‑秦‑
「
電子プローブ二次電子 レン二コレ
′ D;,
‑ー‑1hヽヽ試料′〜lIl 一■
′ ′
Fi g. 2‑ 2‑ 1電子 顕微 鏡 の原理
分 間ほ ど金蒸着 し、試料表面 を金 で コーテ ィングす る。金 は蒸着 しやす く、2 次電子 の放電 効 率 が よく、像 が きれ い に見 える。本研 究では導電性 の よいカー ボ ンを用 いてい るため、
金 の蒸 着 は行 わず 、㈱ 日立製 作所製 走査型 電子顕微 鏡 S・ 4800( SEM: Sc anni ngEl ec t r o n Mi c r os c o pe: 8) を用いて観察 を行 った。
2‑ 2‑ 2 充放 電測 定
電池 の特性 を調べ るためラ ミネー トセル を用い、定電流充放電測定 を行 った。 これ は 一定値 の電流 を流 して、その ときの電池 の電圧 を記録 してい く方法 である。電池 の内部 な どの他 因子 において酸化還元反応 の電位 は変化す るので反応 の起 こるその材料 が持つ正確 な電位 の決定は難 しいが、電池 としての性能 を見る際 にこの測定 は最 も一般的である。本 研 究ではナガ ノ BTS2004W( 株式会社 ナガ ノ) を用いて測定 を行 った。
測定条件 は、60℃にて
3時間ほ ど予熱 した後、測定温度 60℃、カ ッ トオ フ電圧 1 0‑
1500mV 、 レス ト30mi nとした。
1 9
2‑ 2‑ 3Ⅹ
線回折測定Ⅹ
線回折法は、物質 を構成 している原子の種類 とその配列 の状態 を解 明す る手段 とし て非常に有用 な方法であ り、単結晶の試料 を用い る単結晶法 と、粉末試料 を用い る粉末 法がある。単結晶法では良い結晶が用意できれば、信頼性 の高い結果が得 られ るが、一 般的に良い単結晶を得 ることは困難であ り、実用的な粉末法が広 く用い られてい る。Ⅹ
線回折装置 の構成 は大 き く分類 して次のよ うな4
つの部分か らなる。1)
Ⅹ
線発生装置 (Ⅹ‑ r a yg e ne r a t o r):
Ⅹ
線管球、高圧電源お よび制御 回路か らなる。2)
ゴニオメー ター (測定器、g o ni o me t e r ):
回折角
2
8を測定す る装置で、歯車系お よび駆動部分か らなる。3)
計数記録回路( e l e c t r o ni cc i r c ui tpane l ):
計数管、計数回路、記録計な どか らなる。
4)
制御 ・演算回路( c o nt r o l/da t apr o c e s s i nguni t ):
測定装置の制御 と、測定データの演算 を行 うコンピュー ターか らなる。
基本構造の図を
Fi g. 2‑ 2‑ 3
に示す。Ⅹ
線源か ら放 出 されたⅩ
線 は、平行ス リッ トと散 乱ス リッ トを通 って、垂直散乱 と平行散乱を制御 されて試料 にあたる。そ して、試料からの回折Ⅹ線 は受光側ス リッ トである受 光ス リッ ト
RS
、平行 ス リッ ト、散乱ス リッ トを通 り計数管に到達す る。
本研究で合成 された試料の同定は、理学 電 気 株 式 会 社 製 の 「ロー タ レ ック ス
RI NT‑2000
回転対陰極形強力Ⅹ
線装置 (最大出力1 2 kW、 60kV200mA) 」
を使 用 して行 った。Ⅹ
線元 には、湾 曲結晶 (グ ラフヤイ ト( 0002)224R)
モ ノクロメー タ ーによ り単色化 したC u Kα
線 を使用 した。測 定 にはガ ラス製 の試 料 ホル ダー を用 い、管電圧
40 kV
、管電流1 5 0mA
で作動 させて測定 を行 った。町試料の回転角
82:結晶の回転角
R'第 一次フォーカスサークルの半径
r常 二次フォーカスサークルの半径
Ds:ゴニオメータ タイパージェント スリット
RS:ゴニオメータ レシービンク スリ、ント
RSld:モノクロメータ レシーピンク スリット
C:湾曲単結晶(単結晶ヴラファイト)
Fi g. 2‑ 2‑ 3 Ⅹ
線回折測定の基本構造20
三重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
2‑2‑4ラマ ン測定
黒鉛材料 の表面 での結 晶性 を調べ るた めに ラマ ン測定 を行 った。通常炭 素材料 は
1 585c m・ 1
付近に結晶性の ピークが見 られ、1355c m・ 1
付近に非晶質性の ピー クが観測 さ れ ることが一般的に知 られている。ラマ ンスペ ク トル
( Raman Spe c t r um)
とは固有 振動数V iの分子 に振動数Viの強い単色光 を当てて 入射光 に対 し直角方向か ら観察す ると、入射光の大部 分は振動数の変化無 しに散乱す るが、一部は振動数V j± γ。の光 となって散乱す ることが認 め られ る。この 後者 の現象 をラマ ン効果 といい、この測定値 のことを 言 う。 ま た 前 者 はRa yl e i gh
散 乱 (Ra yl e i gh s c at t e r i ng)
と呼ばれている。ラマ ン効果 を図で示 したものをFi
g. 2‑ 2‑ 4
に示 す。すなわちVi、 γ。を電子の基底状態E。
にお一
「ー」 rハー‑1‑‑‑‑‑‑‑‑ ー‑IIIIt一
lI r
t̲̲̲̲̲̲ItI̲lーIII‑‑‑Ill‑a
bc
dFi g. 2‑ 21 4
ラマ ン効果ける分子の二つの振動準位、Eを高エネルギーの励起準位 とすれば
a
の遷移 は赤外吸収 であ り、b
はRa yl e i g h
散乱であるが、C,d
の遷移 はラマン効果 となる。この際C
による もの、すなわちV。‑ v iなるスペ ク トル線 をSt o kes
線( St o kesl i ne)
、dによるもの、す なわちγ0+ V iなるスペ ク トル線 を
ant i ‑ St o kes
線( ant i ‑ St o kesl i ne)とい う。ボル
ツマ ンの分布則 によ り、低いエネル ギー状態γ 。にある分子の数 は高いエネル ギー状態V iにある分子の数 よ り多いか ら当然前者 の遷移 は後者 よ りも多 く、常温付近では大部 分の分子が最低振動状態にあるので、通常
St o kes
線の方が強度が大き く、ラマ ン効果 の測定は入射光か ら低振動数の領域 にかけて行われ る。このよ うにラマ ン効果 は、入射 光 との振動数の差が入射光の振動数 と無関係 な散乱光を測定す るため、光源 として任意 の波長のものを選ぶ ことができる。 さらに赤外法では200c m・ 1
以下の低波数域のスペ ク トル測定には別 の特殊装置 を用意 しなければな らないが、ラマ ン法では原理的に同一 装置でほぼ0c m・ 1
まで測定できることも利点の一つである。 ラマ ンスペ ク トル は赤外 吸収スペ ク トル同様、物質に固有である。また、赤外吸収スペ ク トルで全ての基準振動 による吸収が現れなかったよ うに、ラマ ン効果 において も振動 によって分極率が変化す る場合 にのみスペ ク トルが現れ る。 これがラマ ン効果の ときの選択律である。以上のよ うに赤外吸収スペ ク トル もラマ ンスペ ク トル もともに分子の振動回転 に基 づ くものであるか ら、簡単な問題 には どち らを使用 して も解決できるし、また複雑 なも のでは互いに選択律が違 うので相補的な知見が得 られ、両者の併用によって初 めて解決 できる場合 もある。
本研究では分散型 レーザー ラマン分光分析装置 ラマ ノール