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2. 原理 コンデンサーに電気を蓄える作業を充電という. コンデンサーから電気を流出させる作業を放電という. コンデンサーの2つの電極に, 導線で電池の両極を接続して充電する. 最終的には, 電池の正 ( 負 ) 極と接続されたコンデンサーの電極は, 電池の正 ( 負 ) 極と同じ電位になる ( 導

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Academic year: 2021

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1 回路部品としてのコンデンサー  コンデンサー(英語ではキャパシター)は,電気を蓄える装置である:2 枚の導体板に正負の電荷を分離し て蓄える.  2枚の導体板を電極という.  コンデンサーの祖先は,第一章で紹介したライデン瓶である.  コンデンサは,電極間を満たす物質の種類や,電極の構造により,様々な名称がある.  電解コンデンサ-,フィルムコンデンサー,マイカコンデンサー,タンタルコンデンサー,チタンコンデン サー,セラミックコンデンサー,オイルコンデンサー,可変コンデンサー  また,半導体集積回路の中にコンデンサーを構造の一部として組み込む.  コンデンサーは,電気を蓄え必要なときに放出するという,いわば電気エネルギーの貯蔵庫として使われる 場合もあるが,  それ以外の用途がむしろ多い.たとえば,信号波形を変える目的で使われる(後で学ぶ). EM1 07 コンデンサー 1

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2. 原理 コンデンサーに電気を蓄える作業を充電という. コンデンサーから電気を流出させる作業を放電という. コンデンサーの2つの電極に,導線で電池の両極を接続して充電する. 最終的には,電池の正(負)極と接続されたコンデンサーの電極は,電池の正(負)極と同じ電位になる(導体 の性質). 十分に時間が経つとそれ以上充電しなくなり,導線を取り除いても(スイッチを切っても),コンデンサーに蓄 えられた電荷は電極に留まる. コンデンサーが蓄えた電荷の量と,その電荷を蓄えるために必要だった電位差に注目する. 同じ電位差でより多くの電荷を蓄えるコンデンサーは,電気容量(単に容量という)が大きいという. コンデンサーの能力を容量で表現する. 電荷を蓄える方法は「電池をつなぐ」以外にも考えられる. ・ 摩擦電気で正電荷をもった棒を一方の電極に接触すると,その電極が正に帯電する. このとき他方の電極を接地(大地と接続,アース)しておくと,正電極による静電誘導で,こちらには負電 荷が現れるから,その後に接地を切り離す. 内容的には上と同じだが ・ 絶縁体でできたベルトコンベアーに電荷をのせて,電極に運ぶ.(バンデグラフ起電機の構造) ・ コンデンサーの電極を擦って摩擦電気を起こす(容量の大きなコンデンサーは,2つの電極を導体でつなげ て(ショートして)保管する. (摩擦電気で非常に大きな電 気エネルギーをため込むので危険) すでに正(負)に帯電した電極に,さらに正(負)電荷を帯電させようとすると,反発力があるので仕事が必要 になる. すなわち,コンデンサーを充電するには仕事が要る.コンデンサーは外部から仕事をされて,自らの電気的なエ ネルギーを増やす. ・ 電池で充電するときは,電池に内蔵された化学エネルギーを用いる. ・ バンデグラフのような場合は,力学的なエネルギーを用いる. 電気容量と,蓄えた電荷あるいは充電電圧を使って,蓄えた電気的なエネルギーを表すことができる. EM1 07 コンデンサー 2

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3.平行板コンデンサー コンデンサーにはたくさんの種類があることはすでに述べた. 電極の形状もさまざまだが,ここでは,最も簡単な平行板コンデンサーの性質を調べる. 平行板コンデンサーの考察で得た考え方は,他のコンデンサーにも適用できる. 平行板コンデンサーは,2 枚の平板電極を互いに平行に置いたものである. このコンデンサーを充電すると,両電極の空間を挟んで対向する面(内側の面)に,正負の電荷が分布する. ・ 電極の面積が小さく,電極の間隔が広いときは,電荷は外側の表面にまで分布するが, ・ 電極の面積が広く,間隔が狭いときは,ほとんどの電荷が内側の表面に分布する. 現実にはあり得ないのだが,モデルとして,無限に広い電極を考えると,電荷分布は均一になる. 一方,電極の面積が十分に広くて,間隔が十分に狭いとき ・ 電極の縁が遠くて見えない中央付近の電荷分布は均一としてよい ・ 縁付近の面積より,中央付近の面積がずっと広い ・ ほとんど全域で均一な電荷分布をもつという近似をしても,そう悪くないだろう 【正負の電荷が平行な2平面に均一に分布するときの電場】 ・・空間は真空(空気は比誘電率がほとんど 1 なので,真空と変わらない) ・・電極面積 𝑆𝑆, 電極間の距離 𝑑𝑑, 蓄えた電荷 ±𝑄𝑄 ・・電荷密度±𝜎𝜎, 𝜎𝜎 = 𝑄𝑄/𝑆𝑆 ・・ 2面に挟まれた空間の電場 𝐸𝐸, 電極間の電位差 𝑉𝑉 すでに学んだこと: 𝐸𝐸 = 𝜎𝜎 𝜀𝜀0 , 𝑉𝑉 = 𝐸𝐸𝑑𝑑 = 𝜎𝜎 𝜀𝜀0𝑑𝑑 = 𝜎𝜎𝜎𝜎 𝜀𝜀0 𝑑𝑑 𝜎𝜎 = 𝑑𝑑 𝜀𝜀0𝜎𝜎𝑄𝑄 → 𝑄𝑄 = (𝜀𝜀0 𝜎𝜎 𝑑𝑑) × 𝑉𝑉 EM1 07 コンデンサー 3

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4. 電気容量 平行板コンデンサーの充電電圧 𝑉𝑉 と そのとき蓄えられた電荷𝑄𝑄の関係: 𝑄𝑄 = (𝜀𝜀0𝑆𝑆𝑑𝑑) × 𝑉𝑉 𝑄𝑄と𝑉𝑉は比例する 𝑉𝑉が同じなら,電極面積𝑆𝑆が大きいほど,また電極間隔𝑑𝑑が小さいほど,𝑄𝑄が大きい ・・ コンデンサーが電荷を蓄える能力は,比例係数(𝜀𝜀0𝜎𝜎 𝑑𝑑) で表される. 平行板コンデンサーの電気容量(電荷を蓄える能力) 𝐶𝐶 = 𝜀𝜀0𝑆𝑆𝑑𝑑 , 𝑄𝑄 = 𝐶𝐶𝑉𝑉 電気容量の単位 1V の電位差で 1C の電荷を蓄えるコンデンサーの電気容量を 1 F(ファラッド) という 真空の誘電率の単位を F/m とすることを既に述べた.上式により,単位の整合性を確認せよ. 例: 𝐶𝐶 = 1 × 10−12 F = 1 pF の 平行板コンデンサーの電極面積が 𝑆𝑆 = 1 cm2 のとき,間隔𝑑𝑑はどれだけか. 𝑑𝑑 = 𝜀𝜀0 𝑆𝑆/𝐶𝐶 = (8.9 × 10−12) × (10−4/10−12) = 8.9 × 10−4m ≃ 1 mm 【𝑄𝑄 = 𝐶𝐶𝑉𝑉 の一般性】 どんな形でもよいが,何個かの導体を配置して帯電させると, ・ 静電誘導により電荷分布𝜌𝜌が自動的に決まり, ・ 空間内の至るところで電場𝐸𝐸�⃗が定まる: ∇ ⋅ 𝐸𝐸�⃗ = 𝜌𝜌/𝜀𝜀0 ・ 導体1 と 2 の間の電位差は,𝑉𝑉 = 𝜙𝜙2− 𝜙𝜙1= − ∫ 𝐸𝐸�⃗ ⋅ 𝑑𝑑𝑟𝑟⃗2 1 導体の配置をそのままにして,どの導体に帯電した電荷も𝑘𝑘倍する ・ 電荷分布は形をたもったまま𝑘𝑘倍になり,電気力線の形が変わらずに密度(したがって電場)が𝑘𝑘倍になる: ∇ ⋅ 𝐸𝐸�⃗ =𝜀𝜀𝜌𝜌 0→ ∇ ⋅ (𝑘𝑘𝐸𝐸�⃗) = (𝑘𝑘𝜌𝜌) 𝜀𝜀0 ・ 電位差も𝑘𝑘倍になる: 𝑉𝑉 = − ∫ 𝐸𝐸�⃗ ⋅ 𝑑𝑑𝑟𝑟⃗2 1 → 𝑘𝑘𝑉𝑉 = − ∫ 𝑘𝑘𝐸𝐸�⃗ ⋅ 𝑑𝑑𝑟𝑟⃗ 2 1 したがって 𝑸𝑸 = 𝑪𝑪𝑪𝑪 という比例関係がどんなときにも成り立つ.(例外:誘電体があるときは,電場の強さにより,誘電率が変化す るかもしれない) EM1 07 コンデンサー 4

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5.誘電率と容量 コンデンサーの電極間を誘電体で埋めると,容量が増加する. 誘電体による遮蔽効果で,電極の電荷が(本当にそこにある真電荷)より小さく見えるため,電位差が小さい. 言い換えると,同じ電位差で充電しても,真電荷をたくさん蓄えることができる. 遮蔽の効果で,同じ電場にたいする真電荷が比誘電率倍になるので,電気容量は𝜀𝜀0を誘電体の誘電率𝜀𝜀で置き換 えた値となる. EM1 07 コンデンサー 5

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6.コンデンサーに蓄えたエネルギー コンデンサーが充電されると,そこには電気的なエネルギーが蓄えられる. 電極間の電位差がすでに𝑉𝑉のとき,負電極から正電極に電荷 𝑑𝑑𝑄𝑄 > 0 を運ぶために必要な仕事は 2 点間の電位差が𝑉𝑉のとき,𝑑𝑑𝑄𝑄の位置エネルギーの差 𝑉𝑉𝑑𝑑𝑄𝑄に等しい: 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 𝑉𝑉 𝑑𝑑𝑄𝑄 この微小な仕事を,電荷がまったく無い状態から,蓄えた電荷が𝑄𝑄0となるときまで寄せ集める(積分する). 電 位 差𝑉𝑉 はそのときに蓄えている電荷𝑄𝑄 に比例し,電荷が移動すると電位差も変わる.𝑑𝑑𝑄𝑄 に注目して 積分するので,𝑉𝑉を𝑄𝑄で表しておくと積分しやすい: 𝑉𝑉 =1𝐶𝐶 𝑄𝑄 → 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 𝑉𝑉𝑑𝑑𝑄𝑄 =1𝐶𝐶 𝑄𝑄 𝑑𝑑𝑄𝑄 電荷が0 の状態から充電を始めて,電荷が𝑄𝑄0になるまでに必要な仕事は 𝑑𝑑 = �𝑄𝑄0𝐶𝐶 𝑄𝑄𝑑𝑑𝑄𝑄1 0 = 1 𝐶𝐶 � 𝑄𝑄𝑑𝑑𝑄𝑄 𝑄𝑄0 0 = 1 𝐶𝐶 � 1 2 𝑄𝑄2�0 𝑄𝑄0 =2𝐶𝐶 𝑄𝑄1 02=12 𝐶𝐶𝑉𝑉02=12 𝑄𝑄0𝑉𝑉0 となる. 【(1/2) の起源】 よく聞く説明は,「充電の過程を表す𝑄𝑄 − 𝑉𝑉図の三角形の面積 = (1/2)×底辺(𝑄𝑄0)×高さ(𝑉𝑉0 ) (1/2),あるいは積分のときでてくる(1/2)」というもので,正しい説明だが・・・ より一般的な議論が可能である(次スライド). EM1 07 コンデンサー 6

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7.電荷系のエネルギー いくつかの点電荷が,互いにある距離を保ちながら集まり,ある分布を形成している.(たとえば,コンデンサ ーの両極の電荷分布がそれである.) 電荷は互いに力を及ぼしあうから,電荷が(無限遠で力を及ぼしあわない)ばらばらにあった状態から,その分 布を作り出すには仕事が必要である. 仕事は,この電荷系がもつエネルギーとして蓄えられる. 【電荷が1 個】 位置エネルギーは考えない. 自分が作り出す電位のなかに自分がいるときのエネルギー(自己エネルギー)は,現在の電磁気学では取り扱わな い. 【電荷が2 個】 電荷𝑄𝑄1を点𝑟𝑟⃗1に固定し,𝑄𝑄2を無限遠から近づけて来て𝑟𝑟⃗2で止める. 電荷𝑄𝑄1を固定するには力が必要だが,移動しないのでこの力がする仕事は0. 電荷系がもつエネルギー𝑑𝑑12𝑄𝑄2にした仕事と等しく,𝑄𝑄1がつくる電位の中で𝑄𝑄2がもつ位置エネルギーと同じで ある. 𝑑𝑑12=4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄1𝑄𝑄2 |𝑟𝑟⃗1− 𝑟𝑟⃗2| 【電荷が3 個】 電荷𝑄𝑄1を点𝑟𝑟⃗1に固定し,𝑄𝑄2を無限遠から近づけて来て𝑟𝑟⃗2で止めて,固定する.このとき𝑄𝑄3は無限遠に留めておく. 𝑑𝑑12=4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄1𝑄𝑄2 |𝑟𝑟⃗1− 𝑟𝑟⃗2| 次に電荷𝑄𝑄1を点𝑟𝑟⃗1に,𝑄𝑄2を点𝑟𝑟⃗2に固定して,𝑄𝑄3を無限遠から近づけて来て𝑟𝑟⃗3で止める. 𝑑𝑑23=4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄2𝑄𝑄3 |𝑟𝑟⃗2− 𝑟𝑟⃗3| , 𝑑𝑑31= 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0 𝑄𝑄3𝑄𝑄1 |𝑟𝑟⃗3− 𝑟𝑟⃗1| 電荷系のエネルギーは,これらの和: 𝑑𝑑 = 𝑑𝑑12+ 𝑑𝑑23+ 𝑑𝑑31=4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0� 𝑄𝑄1𝑄𝑄2 |𝑟𝑟⃗1− 𝑟𝑟⃗2| + 𝑄𝑄2𝑄𝑄3 |𝑟𝑟⃗2− 𝑟𝑟⃗3| + 𝑄𝑄3𝑄𝑄1 |𝑟𝑟⃗3− 𝑟𝑟⃗1|� である. 右辺を総和記号により書き直そう. 𝑗𝑗番目の電荷を止めて置いて𝑘𝑘番目の電荷を無限遠から近づけたときの仕事: 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� の𝑗𝑗と𝑘𝑘について和をとる.すなわち,まず EM1 07 コンデンサー 7

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� � � 4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘=1,2,3 � 𝑗𝑗=1,2,3 =4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 � � � 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘=1,2,3 � 𝑗𝑗=1,2,3 =4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 � � 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄1 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗1�+ 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄2 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗2�+ 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄3 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗3�� 𝑗𝑗=1,2,3 ここで𝑗𝑗 = 1,2,3として和をとろうと思うと,分母が 0 になるが,これは自己エネルギーであり除外する. 二重の総和は,外側の𝑗𝑗の値を決めておいて内側の総和を実行し,つぎに𝑗𝑗の値を変えながら外側の和を実行する したがって,123のなかから決められた𝑗𝑗と異なる値だけをピックアップして𝑘𝑘について和をとらなければな らない. このことを表す総和記号(二重の和だがΣ を 1 個で表し,かわりに和をとる変数 2 個を明記する)が下式左辺で あり,その値を右辺に書くと �4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘≠𝑗𝑗 =4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0� 𝑄𝑄1𝑄𝑄2 |𝑟𝑟⃗1− 𝑟𝑟⃗2| + 𝑄𝑄1𝑄𝑄3 |𝑟𝑟⃗1− 𝑟𝑟⃗3|� + 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0� 𝑄𝑄2𝑄𝑄3 |𝑟𝑟⃗2− 𝑟𝑟⃗3| + 𝑄𝑄2𝑄𝑄1 |𝑟𝑟⃗2− 𝑟𝑟⃗1|� + 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0� 𝑄𝑄3𝑄𝑄1 |𝑟𝑟⃗3− 𝑟𝑟⃗1| + 𝑄𝑄3𝑄𝑄2 |𝑟𝑟⃗3− 𝑟𝑟⃗2|� = 2 ×4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0� 𝑄𝑄1𝑄𝑄2 |𝑟𝑟⃗1− 𝑟𝑟⃗2| + 𝑄𝑄2𝑄𝑄3 |𝑟𝑟⃗2− 𝑟𝑟⃗3| + 𝑄𝑄3𝑄𝑄1 |𝑟𝑟⃗3− 𝑟𝑟⃗1|� となり,この系のエネルギーの2 倍を得る. 2 倍になった理由は,総和記号の計算では,たとえば「1と 2 の間のエネルギーと 2 と 1 の間のエネルギー」の 両方を取りこんでしまったことによる.いわば,総和記号の使い方の不注意による. 「外側の変数がj=1 のときは k=2,3, j=2 のときは k=3, j=3 のときは和をとらない」とすればよかった. この総和を表す記号 �4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘>𝑗𝑗 を用いることもある. こうして 𝑑𝑑 =4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0� 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘>𝑗𝑗 =12 ×4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0� 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘≠𝑗𝑗 となる.この形にしておけば,電荷が何個あっても同じ式で表せる. 中辺の条件は,連続分布の多重積分に移行するとき少しだけわかりにくいので敬遠し,スライドには右辺を記し た. EM1 07 コンデンサー 8

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8 電荷系のエネルギー(2) 前スライドの最終の式 𝑑𝑑 =1 2 × 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0� 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘≠𝑗𝑗 を「他の電荷がつくる電位の中に電荷がある」という表現に変える. それには,電位 𝜙𝜙(𝑟𝑟⃗) = 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0 � 𝑄𝑄𝑘𝑘 |𝑟𝑟⃗ − 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘| 𝑘𝑘 ⋯ 𝑟𝑟⃗ ≠ 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘 が見えるように,式を変形すればよい.もういちど総和を2 重に書くと 𝑑𝑑 =1 2 × 1 4𝜋𝜋𝜀𝜀0� � 𝑄𝑄𝑗𝑗𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘≠𝑗𝑗 𝑗𝑗 =12 × � 𝑄𝑄𝑗𝑗�4𝜋𝜋𝜀𝜀1 0 𝑄𝑄𝑘𝑘 �𝑟𝑟⃗𝑗𝑗− 𝑟𝑟⃗𝑘𝑘� 𝑘𝑘≠𝑗𝑗 𝑗𝑗 =12 × � 𝑄𝑄𝑗𝑗𝜙𝜙(𝑟𝑟⃗𝑗𝑗) 𝑗𝑗 連続電荷分布のとき, 𝑑𝑑 =1 2 �𝜌𝜌𝑉𝑉 (𝑟𝑟⃗)𝜙𝜙(𝑟𝑟⃗)𝑑𝑑𝑉𝑉 となる. 【コンデンサーに蓄えられたエネルギー】 𝑑𝑑 =12 𝑄𝑄0𝑉𝑉0 負極の電位を𝜙𝜙,電荷密度を𝜎𝜎_ 正極の電位を𝜙𝜙+,電荷密度を𝜎𝜎+ とすると, 𝑑𝑑 =12 �𝜌𝜌(𝑟𝑟⃗)𝜙𝜙(𝑟𝑟⃗)𝑑𝑑𝑉𝑉 𝑉𝑉 = 1 2 �𝜎𝜎(正電極)𝜎𝜎+𝜙𝜙+𝑑𝑑𝑆𝑆 + 1 2 �𝜎𝜎(𝑓𝑓負電極)𝜎𝜎−𝜙𝜙−𝑑𝑑𝑆𝑆 = 1 2 𝜙𝜙+�𝜎𝜎𝜎𝜎 +𝑑𝑑𝑆𝑆 + 1 2 𝜙𝜙−�𝜎𝜎𝜎𝜎 −𝑑𝑑𝑆𝑆 =12 𝜙𝜙+× 𝑄𝑄0+12 𝜙𝜙−× (−𝑄𝑄0) =12(𝜙𝜙+− 𝜙𝜙−)𝑄𝑄0=12 𝑉𝑉0𝑄𝑄0 EM1 07 コンデンサー 9

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9.電場のエネルギー密度 コンデンサーに蓄えた電気的エネルギーを ・ 充電に要した仕事 ・ 電荷系のエネルギー として理解することを学んだ. ここでは,このエネルギーを 電極間の空間の電気的な歪み,すなわち電場のエネルギー と,とらえる. 電極間の空間には 𝐸𝐸 =𝜎𝜎0 𝜀𝜀0 がある.コンデンサーに蓄えられたエネルギー 𝑑𝑑 =12 𝐶𝐶𝑉𝑉02=12𝜀𝜀0𝑑𝑑 �𝐸𝐸 𝑑𝑑�𝑆𝑆 2=12 𝜀𝜀0𝐸𝐸2× (𝑆𝑆𝑑𝑑) =12 𝜀𝜀0×電場があるところの体積 となる. これより,電場のエネルギー密度(単位体積当たりのエネルギー)を 𝑢𝑢 =12 𝜀𝜀0𝐸𝐸2 と考えることができる. EM1 07 コンデンサー 10

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10 容量の合成 2 個のコンデンサーを並列あるいは直列に接続にしたときの,全体の容量を求める. 【並列】 コンデンサーの電極面積が広がったのだから,容量が増える(和になる). 並列に接続した2個のコンデンサー(容量 𝐶𝐶1𝐶𝐶2)を電位差𝑉𝑉で充電する. 各コンデンサーに蓄えられる電荷は 𝑄𝑄1= 𝐶𝐶1𝑉𝑉, 𝑄𝑄2= 𝐶𝐶2𝑉𝑉 となる.全体として蓄えた電荷と充電電圧の関係は 𝑄𝑄 = 𝑄𝑄1+ 𝑄𝑄2= (𝐶𝐶1+ 𝐶𝐶2)𝑉𝑉 = 𝐶𝐶𝑉𝑉, → 𝐶𝐶 = 𝐶𝐶1+ 𝐶𝐶2 【直列】 コンデンサーの電極間隔が広がったのだから,容量が減る. 直列に接続した2 個のコンデンサー(容量 𝐶𝐶1𝐶𝐶2)を電位差𝑉𝑉で充電する 各コンデンサーの充電電圧は 𝑉𝑉1+ 𝑉𝑉2= 𝑉𝑉. 〃 が蓄えた電荷は,静電誘導を考慮すると,同じ𝑄𝑄である. 𝑄𝑄 = 𝐶𝐶1𝑉𝑉1, 𝑄𝑄 = 𝐶𝐶2𝑉𝑉2 𝑉𝑉 =𝐶𝐶𝑄𝑄 1+ 𝑄𝑄 𝐶𝐶2 → 𝑄𝑄 = � 1 𝐶𝐶1+ 1 𝐶𝐶2� −1 𝑉𝑉 → 𝐶𝐶 = 1 1 𝐶𝐶1+ 1𝐶𝐶2 =𝐶𝐶𝐶𝐶1𝐶𝐶2 1+ 𝐶𝐶2 EM1 07 コンデンサー 11

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