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関数概念と関数関係
数学研究室 平 岡 忠
はじめに
関数概念(function concept)は算数・数学教育における広汎な領域にわたって中心的 な役割を演ずる基礎的な概念であり,また関数関係(functional relation)は数学的思考 の中で大きな位置を占めている関数的思考に対して重要な意味をもつ関係である。ここで は,これらの関数概念と関数関係について理論的な立場と学習指導の面から考察を行う。
なお後半の学習指導の面からの考察は主題についての調査の結果の分析を通して述べる。
1 関数概念と関数関係についての理論的考察
1.関数概念の重要性 世紀初頭の改良運動から
、 、一
17世紀に芽生えた関数概念は,其の後の数学解析の研究においては有力な武器となって いたが,数学教育においては今世紀初頭の改良運動に際してペリー(J.Perry)やクライ ン(RKIein)などによって微積分の概念の早期導入へというスローガンとともにその重
@ 1)
v性が主張されてからようやく脚光を浴びるようになった。
しかし,当時の数学教育の改良運動は,ペリーやクラインを含めた熱心な数学教育者達 によつて種セの改革の提案がなされたが,果して十分な成果を収め得たといえるだろうか。
2)3)
例えばそれを関数について考えてみれば,当時クラインにより関数思想は学校数学綜合の 統一一概念として捉えられ 関数概念を中心としてその周囲に全体の数学教材を自由に集 中 するとか, 関数思想に習熟せしめ…関数の概念を教授の中心となさんことに努力せ
4)
り といわれ,また小倉氏によっては 数学教育の核心は関数観念の養成にある とまで 叫ばれたほどであったにも拘わらず,(中等)学校数学の中にとり入れられたものは,関
5)6)7)
数概念や関数性とまではいかずに,どちらかといえばグラフや表の指導を主とした状態に あったのではなかろうかといってはいいすぎであろうか。
現代化の観点から
/ V1一
近年来,算数・数学教育の現代化(modernization)が叫ばれており,その現代化のモ ットーとしてしばしば引き合いに出される観点の中に 明確化(to clarify) , 単純化(to
% 茨城大学教育学部紀要 第十七号
8)
simplify) , 統合化(to unify) がある(この他にもあるが)。関数のideaはこれらの観点 からみても丁要であることは論を挨たないが,先述のクラインの言葉を借りるまでもなく とりわけunifying ideaという点から他の集合(set),関係(relation),構造(structure)
などと関連して強調される所以である。
しかし,この現代化も,上述の今世紀初頭の改良運動の轍を再び踏まないよう心して,
十分地に着ついた確実な歩みにより,真に実り豊かなものにするよう努めなければならな
い。
2.変数と関数の定義
関数概念と関数関係について考えるにあたって,変数と関数の定義を歴史的に調べてみ ると,時代によりまた人によって,それらの定義も種々の形を経て今日に至っていること
@ 9)
ェわかる。
変 数
L旨ズ、rへ∫ 、/
変数(variable)については, variableという用語を最初に用いたのはライプニッツ
(G.W. teibniz)であるといわれているが,ニュートン(工Newton)も早くから変数の 概念を駆使していた。そして彼らは変数を量として,つまり,変化する量として意味づけ
ていた。
彼らのあと,ビエルマン(αBiermann)その他の人々によって,1つの定められた値 をとるものとしてのconstantと種々の異った値をとるものとしてのvariableが区別さ れるようになった。
変数は,ワイヤストラス(K.Weierstrass)が記号として,またタンヌリ(J. Tannery)
が文字として導入するようになってから,種々の数値をとり得る文字とか記号として解釈 されるようになった。
しかし,上述の段階まででは,変数は堅としてまた記号や文字として扱われても,いず れもそれは数値をとるというように意味づけられていた。ヤング(J.Young)もまた同様 に変数を記号として扱ったが,彼の記号は必ずしも数とは限らぬものの集合の任意の要素 を表わすものとして用いられた。
現代的な考え方においても,変数は上のヤングと殆ど同様な意味で用いられているとい えよう。つまり,今日ではある1つの集合の任意の要素について述べるとき,記号(普通 はアルファベットの小文字を用いることが多い) 例えば劣 を用いる。このとき,そ の集合は必ずしも数の集合であるとは限定しないことはもちろんである。そこでこの文字 κは,その集合の要素または要素の名前(name)を表わしているわけで,要素または他
の記号(名前)にとって代わることができるような場所を占めているといういわばplace一
平岡:関数概念と関数関係 95
holderとしての意味で用いることが多い。このような見方から,変数とはある1っの集 合の任意の要素または要素の名前と置き換えられる記号として考えることができる。ここ
● ・ 艦 ● ■ ● ●
で,もの(thing, object)とそれを表わすもの(symbol, name)の区別が大きな意味を もっているわけである。
上述のことを,簡単にいえば,現代では記号はすべて(広義に解釈した)変数として考
10)
えられるという意味である。一例を示せばつぎのようである:
(i)個々のものを表わす記号:2はconstantであるが,κは自然数を表わすとするとvariable;
点(O,0)はconstantであるが, Pは平面上の点を表わすとするとvariable;空集合¢は constantであるが, Aはある集合族の要素(部分集合)を表わすとするとvariabl e.
(ii)演算・操作や関数を表わす記号:+,一,×,÷はconstantであるが,二項演算記号として・
で表わしたとすると。はvariable;図形の回転ρ (αで表わしたとする)や平行移動/(/で 表わしたとする)はconstantであるが,2つの図形のいま述べた例のような結合操作を*で 表わしたとすると*はvariable;s伽や108は関数記号としてconstantであるが,ノで表わ すとvariable.
(iii)関係を表わす記号:=,〈,○○,≡≡などはconstantであるが,二項関係を示すのにRで表わせ ばRはvariab1e.
文字については,しばしば(特定の)定数,任意の定数,未知数,(いわゆる関数)
の変数 を表わすなどといわれるが,πとか6もやはりconstantであり, constantは要 素が1つしかない単一・集合の要素を表わしているvariableと考えられる。2x−1=σの
ような場合のσは上の意味のconstantではなく,考えている集合(例えば有理数の集合 とか実数の集合とする)の任意の要素を表わし得るのでやはりvariableの一種でpara一 meter(媒介変数)といわれ,5κ+3=7のような場合のκは未知数(unknown)といわれ
ているが,これもopen expressionとしての5κ十3=7を真ならしめる要素の集合,つま り解集合(solufion set),の要素に置き代えらるべき場所を示しているのでやはりvari一 ableである。したがって,これらのparameterやunknownはいずれも或る目的に対し
11)
て用いられるときのvariableの別の名称であるといえる。
関 数 1\r 一
@ 12)
関数については,古くはデカルト(R.Descartes)によって累乗(巾)を表わすものと して用いられたり,ライプニッツ(G.W. Leibniz)によりラテン語のfunctioという用 語によって、曲線上の変化する点に対する線分の長さ として用いられたり,オイラー
(LEuler)のように解析的な式として用いられたり,コーシー(A. L Cauchy)のよ うに独立変数に対して値がきまる変数として用いられたり,フーリエ(J.B. J. Fourier)
やディリクレ(P・G・Dirichlet)のように対応としてというように,種々の形の定義がな
96 茨城大学教育学部紀要 第十七号
されてきた。とくにディリクレの対応(correspondence)による定義は,関数は式表示 も必要でなくただ対応があるということによつて特徴づけられるということで,関数につ いての近代的理論の基礎を築いたといってよいであろう。
現在では,集合の基盤の上にたって,対応による写像の考えで関数を定義していること
14) 13)
ェ多く,SM.S.G.などでもこの立場をとっている。つまり,集合Xと集合Yに対して,∫を
● ● ● ●
XからYへの対応とするとき,∫の定義域Xの任意の要素に対して値域Yのただ1つの要 素が対応するようになっているとき,この∫をXからYへの関数(function)または写 像(mapPing)といいノ:X→YとかX4Yなどとかく。このとき,∫によって要素κ∈X が要素ッ∈Yに対応したとするとき,∫(κ)=夕とかき,ッをκの∫による像(image)とい い,κはyの∫による原像(original image)(とか逆像(inverse image))であるとい
う.SM翌では∫、籾とか窃とv、う矧も用いている.
この関数の定義は,集合の直積による順序対(ordered pairs)の考えやこの考えとも 関連する 関係 (relations)の考えとしても扱うことができ,しばしばこの立場から扱わ
18) 16)17)
黷驍アとも多い。S.M.Rでも 関係 の特殊なものとして関数を定義している。いま,集 合Xの直積(direct product)X×Yの要素は,要素κ∈Xに対する要素をヅ∈Yとすれば,
κを第1要素(first element)としyを第2要素(s㏄ond element)とする順序対(order一 ed pair)(x,y)として表わされる。したがって, XからYへの関数ノは,κ∈X, y∈Yの とき,任意の2つの順序対は∫において同じ第1要素をもたないような,つまり各第1要 素κ∈Xに対して第2要素y∈Yがただ1つしかないような,順序対(κ,のの集合として定 義される。ここで直積X×Yの部分集合でXからYへの 関係 Rを考えたとして,κ∈X とy∈YがRという 関係 にあることをκRyで表わすとすれば,このκRyは順序対
● ● ●
(κのがRに含まれるといってもよい。このとき,各κ∈Xに対してy∈Yが一意的にきま るような 関係 をXからYへの関数という。このようにして関数を 関係 の特殊なもの として見ているわけである。
上記の立場は順序対や 関係 という用語を用いているが,本質的にはさきの写像による 考え方と共通なものをもっている。つまり,対応,対応の規則,写像,順序対,雫関係 など のいずれによっても,関数は定義域としての集合の各一要素(いわゆる独立変数,または第 一要素,前者)に対して値域としての集合の要素(いわゆる従属変数,または第二要素,
● ● ● .
緕メ)がただ1つに対応するといっている点に着目しなければならない。このように,最 近は関数をいわゆる一価関数(one−valued function)(一意写像)の意味に解釈している ことが多い。この一価性は,関数を対応による関係の立場から考えるような場合には本質 的ではないが解析的手法によって関数を扱うときには重要になるからである。
平岡:関数概念と関数関係 97
5.関数概念の基本的要素
ここで,関数概念を考察する場合の基本ともなる要素(概念)について考察する。
19)
関数概念の基本となる主要な要素としてHR. Hamleyは集合(class),順序(order),
変数(variab1e),対応(correspondence)の4つを挙げているが,ここでは関数概念の 基本的要素として集合,変項,対応の3つを挙げたい。順序についてはそのあとで述べる
ことにする。
集合(set)
、 い一〜へ
関数は対応(または対応の規則),写像,順序対,閑係 のいずれの形で定義されるに せよ,2つの集合一例えばXとY(もちろんXこYであることもあるが)一一の要素 劣∈Xとy∈Yの間に或る関係をつけることになるので,定義域としての集合(第1要素の 集合)Xと値域としての集合(第2要素の集合)Yに対して関数は意味づけされるので あるから,この点から集合は基本的であるといえる。
変項(variable)
㌧ v −〜
関数は定義域としての集合Xの任意の要素に対して意味をもっているわけであるから,
関数を考えるときは,その定義域Xのどの要素の名前とも置き換え得るもの(または簡単 にXのどの要素をも表わし得るもの)が必要で,これがvariableである。 evariable は
● ● ● ● ●
まさに 変わり得る もので必ずしも普通よく用いられている用語としての「変数」とい う 数 の意味はない。ここでの 変わる (vary)という意味は,変数を記号(文字)κ で表わしたとするとき,その記号κはXの任意の要素(の名前)にとって変わり得る,任 意の要素を表わすとか代表する(represent)という意味で,換言すればXの任意の要素 を代入できる場所的役目を果しているという意味にもいえるであろう。たとえ変わるとい
■ ●
う意味のことを表面に出さないとしても,1つの集合の任意の要素についてあることを述 べるということは,その集合のどの要素についても述べられるということになるから,そ の裏には変化の意識が内在していると考えられるであろう。
20) 変化する ということはphysica11yには時間が関与するわけであるが,矢野氏によれ
ば,数学はなるべく時間から離れる(時間を関与させない)方向に向って発展している傾 向にあるので,関数の定義も,変数がその定義のつぎつぎの要素の値をとって変わるとい う意味での定義から,写像(や順序対, 関係 )による定義の方向へというようになって 来ているといわれている。
対盛、⊆鰻墜鉾P9些㎏蒐
関数は或る観点から定義域としての集合Xの要素と値域としての集合Yの要素との順序 づけられた対(ordered pair)を定めるものでなければない(順序対を具体的に(%夕)のよ
o
98 茨城大学教育学部紀要 第十七号
うにかくかどうかは別にしても)。つまり,Xの任意の要素κに対してそれとpairにな れるYからのpartnerとしてのyがただ1つにきまるような対応がなければならない。
このように,関数の概念に対して,対応もまた基本的なものである。例えば,写像の定義
21)
もこの対応をもとにしてなされているし,順序対や 関係 による定義においても(かりに 対応という語を表面に出さなかつたとしても)同様のことがいえる。
しかし,上の対応の関係は式やグラフや表などで表わせるか否かということとは無関係 である。対応の関係はことばや文章でしか表現できないような場合などもあるが,いずれ の表現によるにせよ上述の意味でのκとyとの順序づけられた対を指定するはっきりした 対応があればよいわけである。
順序(order)
. 、\〆㌔へ 、
さて,つぎにHamleyが4つの主要な要素の1つとして挙げている順序について考えて みる。彼は関数性の概念(concept of functionality)の主要な概念として先に述べた4つの要 素を挙げているが,その中でも We set down, then, as the essential characteristics
22)
of a functional relationship:07吻7 and ooプ塑⑫o 4碑o召 として関数関係の本質的特 徴として順序と対応を重要視しており,また4つの主要な要素を掲げた直後では We
say that two m7勿∂1θoJα∫s2s are inルηo ゴoηα1惚1αガo , wllen there is a deter一 minate 607%2ψoη4θη6召between the elements of the two classes, these elements being
23)
arranged in some prescribed o掘θ7 として2つの集合の関数関係を定義している。
しかし,ここで彼のいっているorderは,関数の定義域としての集合の要素がある定め られた順序(order)に配列されているという意味でのorderと考えられるので,いいかえ れば,2つの集合はそれぞれ順序集合(ordered set)になっているという意味でのorder であろう。このことはorderが主要な要素であるという説明のところが Now the elements
24)
of a dass may be arranged in o7667,…… として始っていることからもうなずかれる。
ところで,関数概念における順序(order)のideaでは,一一前述の記号を使えば 集合Xの要素κと集合Yの要素yが順序づけられて組(pair)をつくるという意味での第1 要素(前者)κと第2要素(後者)yとしてのorderは本質的であるが, Hamleyがいっ ている意味でのorderは本質的ではないといえる。関数に対しては,その定義域や値域 が順序集合であることを必ずしも要しないし,また集合は必ずしも順序づけられるとは限
らないからである。
しかし,2つの集合 とりわけ定義域としての集合 を適当な観点から(順序づけ られるならば)順序づけて関数を扱う態度は有意義である。とくに教育的立場から関数を 取扱うときはなおさらこの態度は重要であろう。擬順序(半順序)や全順序にしてもまた
平岡:関数概念と関数関係 99 稠密性や連続性や収束性などにしても,順序と関連のある考えは種々の関数を扱う場合に 関係することが多いし,また対応の規則を見出す場合などにも大切であるからである。
以上で関数概念の基本となる要素(概念)として集合,変項,対応の3つをあげたが, ・
変項の意識を表面に出さない考え方によれば,より基本的なものとしては集合と対応があ ピー 一
げられるといってもよいであろう。
4.関数関係の表現と様相
関数関係の表現 )
関数関係(functional relation)を表現するものとしては
式(expression),グラフ(graph),ダイヤグラム(diagram),表(table),機械
(machine),順序対(ordered pair),文章(sentence),ことば(verbal description)
25)
によるものなどというようにいろいろある。
ここでダイヤグラムといっているのは,写像のように集合のべン図(Venn diagram)
に表わしたものや2直線上の点の間の対応図とかtopologica1な表現によるような或る種 の対応図として表現したものなどを指すものと 図1
する。また機械といったのは,例えば右図のよ X うなものをいっている。
往々にして,式やグラフなどで表現されない 、Q倍する と関数関係と認めない者も居るということを見 2ズ
聞するが,関数関係はその表現の多様性に拘わ 轤ク,すでに述べたような対応を指示する関係
、ユ笈4
があればよいわけである。
関数関係の様相
邑、ズ、/、 八
ひとくちに関数関係といってもその様相(phase)には3つの現われ方があろう。つま り2つの集合XとYからのそれぞれの要素κと夕との関数関係を芳R夕で表わしたとすれ ば,それらの様相とはつぎのようである:
(i)κ→R←ツ;対応している2つの要素κと夕の組をもとにして,その間の関数関係R を求める場面である。
例えば,グラフや数列から式や規則を見出すとか,図式化・類型化や類推などを通して 一般的な規則・法則や性質を求めるような場面である。この様相は関数的な見方・考え方
を養うのに重要なものである。
(ii)κ→R→夕;関数関係Rを通して,要素κに対応している他方の要素夕を見出す場 面である。これは代入や置き換えなどによって関数の値域の要素を求めるときなどでしば
100 茨:城大学教育学部紀要 第十七号
しば見られる様相であり,関数を扱う場合にやはり大切である。
(iii)κ←R←夕;(ii)とは反対に,値域の要素夕をもとにして関数関係Rによってツに 対応せしめた初めの定義域の要素劣を求める場面である。
考え方は上の(ii)と同様であるが,関数の像に対して原像(逆像)を求めるときや逆関 数を求めるとき,またある種の演算の逆演算,ある方程式・不等式の解法などのような場 面で見られるタイプであり,いわば逆思考的な様相である。
以上の(i),(iD,(iii)の様相は,要素κ,夕と関数関係Rとの三者の結びつきを,それ それ異った角度から眺めているものである。このうちでも(iii)は,各第1要素労に対し て第2要素夕がただ1つ対応するという関数の定義からみれば,関数関係の様相というの は多少おこがましいが,ここでは関数関係にある2つの要素鈎夕と関係Rとの三者の関 係においてそれらのうちのいずれか1つを見出す様相という意味で述べたわけである。ま たこれらの様相は関数関係より広義のある種の関係についてもいえることである。
26)
上述の3つの様相のうち,スピアマン(C.Spearman)は(i)を関係の抽出(eduction of relations),(ii)を相関の抽出(eduction of correla亡es)とよんで関係的思考の3つの 基本原理の中に数えて重要視している。例えば数列:2,4,6,…を続ける能力は(i)と(ii)
の両方が必要になる。ここで(iii)についてはスピアマンは述べていないが,先述のよう に(iii)は(ii)に対する逆思考的なものに当っており,一方の要素と与えられた関係によ って他方の要素を求めるということでは(ii)と同様な考え方によるので,彼の意11未では やはり相関の抽出に相当するものといえる。
以上述べた3つの様相は関数的に思考する場合や関数関係(あるいはより広い関係)の 取扱いにおいて極めて重要であり,先の関数関係の表現と相互に関連させることによって 関数関係の認識を一層明確にさせるのに役立つといえる。
H 関数概念と関数関係の指導一認識調査を通して
上の1で関数概慾と関数関係についての基本的事項の理論的考察を行ったので,それら をもとにして,関数概念と関数関係をどのように指導したらよいかまた指導上どんな点に 留意したらよいかさらにはどんな問題点があるか等について,中学校の場合を主にして以 下で考察することにする。この目的に対して,中学生がどの程度に関数概念や関数関係を 認識しているかの調査を行ったので,はじめにそれから述べることにする。
1. 関数概念と関数関係についての認識調査 調査時期 昭和41年7月
調査対象 水戸市F中学校 3年生106名
平岡:関数概念と関数関係 101
(昭和40年4月にも同様の調査を行ったが,翌年再び問題を多少修正して行ったものである)
(1)調査問題
〔1〕次のうち正しいと思う番号を○でかこみなさい。(○はいくつつけてもよい)
A.変数とは
(1)未知数のことである。
(2)変わることができる数や量のことである。
(3)κなどで表わす文字である。
(4)いくつかの値を入れられる入れもののようなものである。
B.関数とは
(1)一方の変数がきまれば,それによって他方がいくつかきまるものである。
② 一方の変数がきまれば,それによって他方が1つだけきまるものである。
(3)式でかけるものである。
(4)グラフや表であらわせるものである。
(5)文章であらわせるものである。
〔D次のうち関数または関数関係を表わしていると思うものの番号を○でかこみなさ
い。
(1) 1日のうちの昼の時間と夜の時間。
(2)ある数(正の整数)とそれを4で割ったときの余り。
(3)平面上の点とそれを原点のまわりに30°まわした点。
(4)子供のいる家での子供とその母親。
(5) 1辺の長さκと1辺の長さがκより大きい正方形の面積。
(6)実際の地名とそれを表わした地図上の地点。・
(7) (ふつうの)書物のページ数を表わす数字とそのページに書いてある最初の文字。
(8) (太郎,日光),(花子,箱根),(和夫,京都)のように,人の名前とその人が行 った旅行先が示されているときの人の名前とその旅行先。
(9) 図 2
のように2つずつの記号を組にしてある
(α①(鱒),(・、○)とき瀞、ある記号と後にある言品
⑩ ものを入れると,それを2倍にふくらませてからそれを冤に小さくちぢめる機械が あるとき,この機械に入れるものとこの機械から出てくるもの。
ω κi1 2 哩
3 4 左の表のκとッ。
1ア ー1 1 一1 1
→
102 茨城大学教育学部紀要 第十七号
⑫ 1v1 1 2 3 司 1−一一一一1 左の表の∬とッ。
ツ 21 1 3 5 7i
⑬
ワ
15 1 20 25 30 左の表の とS。一∵T 25 35 45 55
P
■ ■ ● ●
⑭ 小さな電球Lによって珠のれんの影が右の壁に 図3 うつるとき,のれんの珠とその影。
@ よ
⑮ %がどんな値をとってもいつも夕=15となって L、、㌔〜
、 r㌧
、、1■9
「るときの劣とッ。 ㌔\
⑯ y=3κ2−1となっているときのκとツ。
⑰ 夕2=劣十4となっているときのκと夕。
⑱ y=国一κとなっているときのκと夕。
⑲ κ<0のときツ=1となり,κ=0のときツ=0となり,κ>Oのときy=−1となると いうときのκとッ。
〔皿〕次の図のうち,関数のグラフといえるものの番号を○でかこみなさい。
図4
{P (ユ) G) ㈲
矛 と 皆
●● ρ ● . 9 ■ ■
一
0 9 . ● ●
・ o 叉 o 工 _ O κ o エ
ω 冒 ) 皆 (7) 影 ⑧ 皆
o 兀 0 x o κ o ×
一 kW〕次の各グラフについて答えなさい。
A.下のグラフはある店の売り上げ高と支払い高を示したものである。
図 5 (1)売上げ高が最低の年は[コ年であ
τ円 ヴ
ユ00 毛)o
1曾O (2)支払い高が最高の年は[コ年であ
160 亮上ザ る。
い (3) 1年間に支払い高が最高だった年
14つ 払
は[:コ年である。
12ρ
31 3z 33 3ヰ 35 36 37 3呂 3曾年 ④ 売上げ高と支払い高が同じだった
平岡:関数概念と関数関係 103 年は〔コ年である。
(5)34年の売上げ高は[コ万円である。
(6)支払い高が150万円だった年の売上げ高は[コ万円である。
B.下の図は2次関数のグラフである。
一 }6 (1)左のグラフの方程式は[:=コである。
} (・)κ一4のとき夕一□である。
3 (3)夕=2のときκ=〔コである。
2 7 (4)ガが一1から2まで変わるときツはどう変 1
(5) 鑑=2の点Aにおけるグラフの接線(直線)
一2. −1 0 ii 2 3 x 1の傾きが2であるときこの接線の方程式は
一1 ;一一一
@ I lである。
C.右のヒストグラムはあるテストの結果を示したものである。
(1)このテストをうけた人数はEコ人で 図 7 ある。 人
(2)60点以上とった人の数は,全体の約 P
mコ%である。 1
(3)全体の平均点は約[コ点である。
1:; ,
5
i4)成績のよい方から5番目の人の点数 liii l 1 :
は約[コ点である。 8
ii;i、
o ; i l l : 1 ; : 占
〔V〕次について答えなさい。 o lo 2・◎ 30 40 5「0 60 70 80 {署o 竃oo亀9・、
(1)芳十夕,2鑑十3夕,3κ十5y,4κ十7夕,…と並んでいるとき,5番目は1 イ「で, 番 目は1ロ 1である。
(・ナ去号去鼠…と並んでいるとき,6翻はr1で, 旙日は[石コ
である。
(3)0,3,8,15,24,…と並んでいるとき,6番目は[__イ 1で,幡目は1・1
である。
〔W〕次の. _線の部分に適当なことば(用語)を入れなさい。(用語は1つでなくて
もよい)
ω 角柱の体積は によってきまる。
(2) (自動車の)進んだ道のりは によってきまる,
104 茨城大学教育学部紀要 第十七号
(3)貯金の利息は によってきまる。一一
(4)静かに落した球 (ボール)の落下距離は_
(5)ある金属でできている長方形の薄い板の重さは によってきまる。
〔珊〕次の空欄にあてはまる数を入れなさい。
(1)
κ 1 2 3i
D1
[ 5 6 (2) ・11 3 5 6 7
1・ 了 一7
1111
一_一}一P15一 − 一_一一一一c 1 @4P一 −一9 一16 36一 一
〔囮)κがきまるとそれによってyがきまるとするとき,次の夕を劣の式で表わしなさい。
(1)yはκに工だけたしたものの2倍である。 y=l l
(2)ツはκから2だけひいたものの2乗の3倍である。 夕=i
⑧ッはκから1だけひいたものの逆数である。 ツ=1__._
〔IX〕次の空欄を書き入れなさい。
1
1@ グラフでかく ② 表でかく ③ 文章でかく ④ 式でかく κ,ツの値 やった㍼ 一一一皿
@ ①のBとCを結
ヤ直線について ネとyの表を作れ
①のBとCを結 ヤ直線のκとッ フ関係をことば
①のBとCを 汲ヤ直線の式
かけ
κ=80のとき A=[コ 凵≠Vのとき
①↓○
(1)
κ
5・7・1・。/.・ で述べよ
κ=[:コ
↓○
1 一 ↓
2 A
x
夕」
1 [i l i
○
ぐ 30 60 『o i幼分 1
一_一一
w 一一 一 一一皿 一
皆 ズ=5のとき
ッ=[コ ②
1・P・D23
1
↓○
(2) ・1軌・14/a5 一一一
1 夕=12のとき
ネ=[コ
↓○↓
一一@一 ○
o 1 2 3 〕(
ヨ 一一一一___一一一一
一
黶@一 『一㎝−一
,1 当 「1か月の電気代
iッ円)は基本料 烽P98円と使用料
一一 π=100の
@ とき ③
1
σp 1・/・12・4。1・・
金(1キロワット ア=[コ
↓○
(3) 一y、1l l I 時につき10・5円)i の和である」1使用量をκキロ
ツ=1000の
ワット時とする とき ○
とき夕はκによっ κ=[コ
1
o 10ユ。ヨ。→。∫。も。叉
てきまる。
2. 調査結果とその分析
〔1)のAとBでは,変数と関数をどのように認識しているかをみた。中学生は関数につ いてのはっきりした定義を持っていないと思うが,ここでの結果の集計では関数を〔1〕B
平岡:関数概念と関数関係 105
の(1)とみるをα,(2)とみるをβ,(3)〜(5)とみるをッとして,一方の変数に対して他方の変 数がいくつきまるとみているかにも一一応目を通してみようという気持から〔1〕,〔H〕,
〔皿〕についてはα,β,ッでも分類してみた。このことを考慮しない場合は集計表の 計 の欄を見ればよいわけである。
以下,調査結果を集計表に示しながら結果についての分析を行うことにする。(数字は
人数)
〔1〕Aについて 変数を変わ
問題〔1〕A 問 題 〔1〕 B
ることができる数や量とみてい 1(・)i(・)}(・)iω (・)i(・)i(・)…(・)i(・)
る者が大部分で,より広い対象 ノ対するplace−holderのよう 1
αβ
灘lli鷺
1タ
・1
j翰illi弓
γ 7i1618i4 γ 14i18…3
に見ている者は少ないといえる。
@ 1
i計{44i95i50i28 訓57i51i64}75i24
〔1〕Bについて 関数を一
方の(独立)変数に対して他方の(従属)変数が対応してきまるということの理解は半数 の者があるが,そのきまり方としてただ1つにきまるという見方をしている者は少なくな っているのは現在の状況の指導においては無理もないことである。それに引きかえ,関数 を式やグラフ・表などで表わせるものとして捉えている者が比較的多い。対照的に文章で 表わされたものは関数と見にくいようである。
〔Dについて
問 題〔∬〕
(・)1(・)・(・)・(・)(・)i(・)、(・)…(・)(・)、ωiωiα鋤1⑬・ωiqの・⑯}⑳…⑱i⑲i 1
1}…liliiil鰯,{iil…{i i}lilili…響1・iil I
計70125126i1516558 16i28122、79:14129…80…46119}85i55・629
〔1〕Bで関数はそこにはっきりした対応があるとみていていた者でも,この〔皿〕のさ まざまな例に対してはグラフ的に表わせるものとして見ている傾向があるようである。概 していえば,過去に学習したか見慣れた形式のものについての理解はあるが,いわゆる きまればきまる、として学んだ意味が十分身についてないようである。代数的な(2),図 形的な(3)なども低く,一見数学的でないような(4),(6),(7),順序対の(8),(9)も低い。数学 的型式をしていると(5)の場合も関数と見てしまう。また⑬はSを≠の式で表わし得るので あろうか答えている者が多いが,同じ形式でも⑫,⑬は式で表わし難いのか答える者が少 ない。⑮,⑱,⑲は中学生には問題が無理であろう(ここでの問題は高校生にも同じ問題
106 茨城大学教育学部紀要 第十七号
でやってみたので)。〔1〕Bの(5)が少ないのに,ここの⑩が多いのは式で表わしやすいか らであろうか。
〔皿〕について (5)の楕円の一部の形や(3) 1 問 題〔皿〕
の郵便料金のグラフの形のように,比較的見 (1)・(2)(3)(4)i(5)(6)i(7)i(8)
慣れたタイプについては答えているが,他の
^イプ,とくに(1),(2)の不連続のものや(8)の不 P・一一
宴タ
ll蜜網二 11 2 i 7 2 i15 : 5 8 3
規則な形の曲線等については弱い。ここで,
斎10…640⑩7815057・7
⑧は〔∬〕の⑲と似ているのに文章表現によっ た〔fi〕の⑲は弱かった。
〔W〕について
〔】V〕Aのよ 1 「 問 題 〔Iv〕 A i竅@題〔Iv〕B 問題〔皿〕C i
1
うなグラフの見1 一11(・)i(・)i(・)1(・)(・)i(・) ヒ ω・(・)…(・)i(・)i(・) i l (1)…(・)i(・)i(・)1 1
方・読みとり方 ヘ大体できるが
i3)のような見方
斎1 答誤 答無1答 … … … 186 96 …31 i51 i 47 i 23
@ i i ・ i15 5 i57 i 44 150 i 79
@ i i i iI55
「8illigi6
i i i i42i33i12:15i33
@i i i i36i46131i32i20 1 i i i28i27i63i59}51 i i i ;
i6L43i17i18 i i 噛22…3gi46i51 i l I23:24}43i37 1 i i
1
は抵抗があるよ 7
うである。つまり折れ線の傾きによって解釈する見方である。(6)や(5)の誤まりの多くは正 しい数値の読みとりの誤まりによるものである。
〔W〕Bの(2),(3)は或程度(1)が正しくできないと影響するものである。(4)はどのよう に表現したらよいか変化の様子の表現に迷ったようである。問題にもよろうが全体に誤答 や無答が多い。
〔IV〕Cは統計的な表の見方である。平均点などもグラフでどのような意味をもって いるか大体の見当がグラフからつけられるなどの態度が欲しい気がする。
〔V〕について 関数関係の様相のところで述べ [ 問 題〔v〕
た関係の抽出と相関の抽出の双方に関連する問題であ (1)旨・)i(・) ,
i
る。番号πが1,2,3,4または5まで与えられたとき 一イ・iイ・1イ・
の =6に対応する項を求めるのであるが,(1)イは大
屋答囲35庫・
体できるが,(2)イは困難である。分母を8としてみれ 誤答133gi215い114
ば〃8のclass(集合)をつくるわけであるが,そのよ 無答i鈎54i・。ηi53%
うな見方に慣れていないせいもあろうし,簡約された
形で与えられているせいもあって抵抗があると思われる。(3)イは階差でみるので無理であ ろう。以上から全体にロの一般項の表現は無理といえる。
平岡:関数概念と関数関係 107
〔VDについて 依存関係をみる問題である。関数とはいっても形式的には (独立)
変数が2つ以上になるものであるが,示された項目が何に
問 題 〔w〕 1
よってきまるかの認識程度を知ろうとした。答える表現は (1)i(・)i(・)iω…(・)
異なってもはっきりした(独立)変数として捉えているか ヌうかが問題である。(1)では底面積とか高さとかの一方だ ッで答えている者がありこのことは⑧をはじめ他の場合に ツいてもいえる傾向である。(2)では数学的関係の面からで
正 答
?@答
ウ答1
…一P E−奄X2191…33i11154 29i5i5gi7。i35511。i14}251171
1
なく,自動車の構造などの他の面から答えている者があるのも愛嬌であろう。(3)は各自の 経験に照しても身についていないせいもあろう。④などの物理的なものは無理と思える。
〔W〕について この種のものでは(2)の程度のものでもよくできる 1問題〔糊〕
ことがわかるから,前の〔V〕と対照してみるとき,〔V〕(1)もκの係数 ωi(2)
とッの係数を別々にみられれば良くできるはずであるが,文字が入って ュると抵抗が多くなると思われる。また(2)も →η2としてよく捉えて
「るが〔V〕(3)の階差に気づいてみるのは中学では無理と思える。
ウ 答
?@答無 答
一一一τ
№№奄X0
@2:11
Ti5
〔盟〕について 1
前の〔H〕の⑩で機械として与えた場合も比較的で
6
きがよかったが,この種の問題では指示されたことばの順に式を構
問題〔腿〕
成していくことはわりあいに容易なのかも知れない。数学的用語の }
i1)i(2)i(3)
意味や操作とか関係を表わす用語に注意して進めれば容易と思え 驕B(1)ではツ=2κ十1,(2)では夕=鋤2−2とした誤まりが目出った
度で他の誤答は個別的であった。
@〔IX〕について 関数関係の表現と
}一ウ 答
?@答 P無答1
i i_
@i i74i94;91 1 i
R2i12i15
@i i°i°i°
問題解決について,問題を 解決していくときグラ
① グラ フを与えた場合
フ・表・文章・式のい ずれかで表現された問 閧ノ対して,
進めた順序 ,人数 正 解 者 数 i誤答
@グラフi②表 ③文章④式 者数
どのよう
①→②→③→④ 40 i 40 19 8 な順序で考えていくの ①→②→④→③ 37
i34 17 20 3
が考えやすいか,また ①→④→②→③ 15
i13 6 9 2
①→②→③ 4
i3 2 ・ 1
そのときの解答状況に ①→② 3
i3 ・ ・ 。
ついてみようとした。 ①→③→②→④①→③→④→② 22 i2 …
i2 1 1 1
与えた3つの場合は必 ①→②→④ 2
ずしも困難度が同程度 ①→④ 1
とはいえない憾みもあ
計 106} ;99 45 58 8
108 茨城大学教育学部紀要 第十七号
るが,大体の傾向は捉 ②表を与えた場合
えられるように思う。 1 正 解 者 数 i誤答
進めた順序 人数・
①,②,③の各を与 ①グラフ②表 ③文章、④式 者数 えた場合を通して,グ
宴tと表の結びつきは
②→①→④→③ A→①→③→④ A→④→①→③
54 R3 V
54 39 4gi・
R1 21 1・}2
P4 @ 6 7i°
極めて強いことがわか 閨C他方,グラフや表
②→①→④ A→① A→③→①→④
442 1 3 0 2 1 1
@ 2 ・ 。i2
@ 21 1 0…0
で与えられたものから ②→③→④→① 2 2 … 2 0 i2
式で表現するのは困難
計 106[98 69 75 7 1 !
なことがわかるのに反
し,文章で表現された ③ 文章を与えた場合 一
ものに対しての式化は シのグラフや表で表現
進めた順序
「人数一1 正 解 者 数 i誤答 …i①グラフ②表 i⑧文章i④式 i者数
するのと同程度な容易
ウになることがわか●る。また全般的にグラ
t・表・式で表現され
③→②→①→④ B→④→②→① B→②→④→① B→①→②→④ B→② B→②→①
58 R4
V321
51 51i i46 8
R1 32i i 33 1
U 6i i7 ・ P 1i i1 1
B 1 iO 1
P ・i i・ ・
たものを文章(ことば) ③→① 1
o oi iO 1 闘
で表現するのには抵抗
計 …106igO 91 871些i
があるようである。
①の場舘醐の式化で醐の切牌傾きをはっきり抑えられなかったり,夕一多+6
とした誤りが目立ち,軸の単位目盛からの影響で誤っている者もあり,勘によってかおお よその式で表わしている者もいる。②の場合は表からグラフはやさしくかけるし,また式 表現ができる者は他も大体できる傾向にある。式を導いてもそれをことばで表現するとな
るとロと△を足したという形の表現が多く,※と甚が比例するという形の表現では出てこ ないようである。グラフ化も目盛単位のえらび方によって誤まる者もいる。③の文章で与 えた場合は上でも述べたように,他の表現によるのとも同程度な難易さを示している。
①,②,③のいずれの場合でも,最初に与えた場面に戻って進めた者はよいが,順々に 進めた者では途中の誤まりに気づかないとその結果によって次の場面をやったために誤ま
ってしまった者もいることもつけ加えておく。
5. 関数概念と関数関係の学習指導
これまでの1とH−2の結果をもとにして,ここで関数概念と関数関係についての学習
平岡:関数概念と関数関係 109 指導および指導上留意すべき点等について述べることにする。
27)
現在の中学校の学習指導要領では一次関数,二次関数については述べているが,関数に ついての一般的定義はなされていない。したがって,教科書での関数の扱いも種々であ
28)
る。例えば,実際の教科書について調べてみると,中には関数の定義について全然触れて いないものもあるが,全体的には,約半数の教科書では表現の差こそあれ きまればき まる 式の何らかの形で関数の定義がなされている。さて,1で述べたように,関数の定 義は種々の形でなされ得るが,いずれにせよ関数は2つの集合の問で或る対応が考えられ
るところから初まるのであるから,中学校ではきまればきまるという程度の表現で与えた にしても,きまればきまる裏には対応の意識があることを十分に意識づけて指導する配慮 が必要である。なお,関数の指導においては,定義域(変域)や値域の問題として集合の 意識を前提とすることは1でも述べたが,この点についても十分指導すべきである。
これらのことと関連して,変数についても変化する数や量とか数や量の値をとりうると いった見方ばかりでなく,数や量の集合はもちろん数や量以外のものの集合に対しても,
考える集合の要素(または要素の記号)を代表したりおき換えられる場所を示すものとし てのPlace−holderとして見る見方ももっと強調されるべきであると思う。このことは当 然のこととして,文字や式の指導と関連することでもある。
数量関係 といったとき,とかくにその字句の通り 数 や 量 についての関係ととられ がちな憾みはないと思うが,変数のところでも触れたように関数関係にしてみても数や量
29)
の世界ではもとより図形の世界でもはたまたそれ以外の日常身のまわりの社会的・物理的 諸関係の中にも数多く見られるものであり,関数関係はそれらの広義の諸関係の中の特殊 なものといえるので,関数関係に入る以前の指導において種々の対象の間の関係について の見方・捉え方を養っておくことが必要である。
関数関係の表現にしても,その表現形式は種々あり,各表現はそれぞれ特徴をもってい るので・当面するねらいに適する表現を選ぶことはもちろんであるが,また1つの表現も 他の形式で表現できるような相互の表現や解釈が可能であって欲しい。関数においては,
一方の変数がきまればそれに対応して他方の変数がきまるということは,その表現の多様 性に拘わらないので・グラフや式で表現されたものばかりでなく文章や図・表で表現され た場合についても,また対象が連続的,不連続的とか離散的に分布しているかを問わず,
関数関係を認め得るように指導がなされることが切望される。
さらに,対応関係を調べるとき,右のような場合は, κκ1,胸,κ3,……
一隔一一一
@ 一一一一一7 −一
κ1…κ2…κ、事…および夕1−y2…夕3…とみる見方 yツb夕2 夕3 ……
110 茨城大学教育学部紀要 第十七号
と,κ1…y1;胸…y2;晦…狗;……とみる見方という水平分析的見方と垂直分析的見 方の両面についても指導したいし,なおこのような場面では変化のリズムの有無に気づか せるなどの配慮もなされるべきである。
関係の抽出や相関の抽出も個々の具体的なものから類比や類推によって一般性を見出す ことであるが,これは発見的な指導や創造的な指導という面からも大切なことであり,気 ついたことをできるだけ一般的なことばで表現させるようにしたいわけで,そのためにも つねつねなるべく響一般的なことば で表現させるような場や機会を与えて指導することが 必要である。このことばで表現するというのは必ずしも筆記によってという意味でなくて
も口頭によってでも行えるわけである。?集合の考え との関連とも相挨ってとくに意を用 いて指導すべきである。
おわりに
以上関数概念と関数関係について述べたが,H−2の調査結果の分析についてはここで は頁数の関係で誤答の類型などを掲げて詳細に述べる余裕がなかったことを遺憾に思って
いる。
関数の定義については繰返して触れたが,現今では定義域としての集合の要素(第1要
● ● ■ o
素)に対応して値域としての集合の要素(第2要素)がただ1つにきまる場合についてい っているようになってきているので,学校数学においても,関数の定義を与える場合には なるべく早い段階からこの意味を生かした定義の仕方が望まれるわけである。それという のも,きまればきまるとかともなって変る式の表現にただ1つにきまるという意味をつけ 加えてもそれほどの困難性は伴なわないと思えるし,またなるべく後日になって定義の変 更をしないで済ませるようにしたいからである。
また関数概念の基本的要素(概念)として集合,変項,対応の3つがあげられるといっ たが,順序の概念については順序の意味のとり方によっては基本的になるとも述べた。し かし順序の概念は関数を扱うとき関連することが多く・とくに教育的立場からは・重要な
ものであることは申すまでもない。
関数的翻?っいては藻合や購の考えと相侯って灘学糖の砿噸域にわたっ
てその根底に横たわる考え方ともいえるもので,現代化の線に沿ったこれからの数学教育 の重要なねらいの1つとされているものであるから,その関数的思考を養成する際の土台
ともなる関数概念と関数関係についてのより強調された指導が必要である。
また関数関係に入る以前の段階で,数・量・図形に限らぬより広い対象についての種々 の関係についての指導も強調すべきであると思う。