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2種の半導体電極構造の色素増感太陽電池 中村裕之

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2 種の半導体電極構造の色素増感太陽電池

中村裕之, 佐藤友香*

Dye-sensitized Solar Cell with Two Types of Semiconductor Electrodes Hiroyuki NAKAMURA and Yuka SATO*

Abstract

Z-scheme like Dye-sensitized solar cell (DSSC) which a counter electrode was constructed by ZnO/Pt layer, was investigated by I-V characteristics and Nyquist Impedance analysis. The modified DSSC shows a higher open circuit voltage than a standard Grözel-type DSSC.

Increasing of open circuit voltage suggests that a ZnO electrode interacts with iodine electrolyte. The Cole-Cole plot of a Nyquist impedance measurement shows the increasing impedance in lower frequency part, occurring from the resistivity of ZnO layer. The enhanced resistivity makes short circuit current rather small.

Keywords: Dye-sensitized solar cell ,

1 緒言 1.1 はじ めに

現在,科学技術の発展により,私たちは豊かな生活を 送っている.しかし,一方で石油などの資源エネルギー の枯渇,資源の大量消費による地球温暖化などの環境問 題が起きている.また,2011年3月に起きた東日本大震災 で,原子力発電も問題視され,クリーンで安全性の高い 新エネルギーの開発として,太陽光発電は注目されてい る.太陽光は1m2当たり約1kwのエネルギーを地球上に降 り注いでおり,ゴビ砂漠全体に太陽電池を敷きつめれば,

現在地球上で人間が使っているエネルギーの全てをまか なうことができる程である.持続可能な世界を実現する ため,新方式の太陽電池の開発が続々進められている.

色素増感太陽電池は,1980年代,スイス・ローザンヌ 大学のグレッツェル氏によって,従来のシリコン型太陽 電池に代わる次世代太陽電池として発表された1).色素増 感太陽電池の基本構造は,酸化チタンをはじめとする酸 化物半導体の多孔性膜に可視光応答の色素を吸着させた 電極,ヨウ素レドックス対を含んだピリジン系の電解質 溶液,白金の対極電極から成る.色素増感太陽電池は,

発電機構が植物の光合成に似ていること,高い光電変換 効率,比較的安価に製造することできることが注目され,

世界中で研究されている.この色素増感太陽電池は,多 くの電子輸送過程と影響因子が複雑に絡んでいるため,

様々な分野から処理・最適化が進められている.だが,

この電池の問題点は,電池制作の各工程におけるわずか な違いにより大きな性能の変化を生むことである.また,

長期安定性に関しては,液漏れや変換効率の観点から従

来のSi型太陽電池にはまだ及ばない.そこで,このよう

な問題の解決を目指して様々な研究が進められている1)

*物質化学工学専攻2年

1.2 基本構造原理

1.2.1 色素増感太陽電池の基本構造原理

図1に色素増感太陽電池の作動原理を示す.ガラス基板 を透過した太陽光により,TiO2表面の色素の電子が励起 される.励起された電子は,TiO2の伝導帯,導電性ガラ スを経由して対極に導かれる.電子を失った色素は,電 解質溶液中のヨウ化物イオンから電子を受け取り基底状 態に戻る.ヨウ化物イオンは,酸化され三ヨウ化物イオ ンとなるが,対極からの電子を受け取り,還元されて再 びヨウ化物イオンとなる.これを繰り返すことで電流が 流れる.

1.2.2 Zス キ ーム 型反応

図2にZスキーム型反応の原理を示す2).Zスキーム型反 応とは,植物の光合成に見られる反応である.植物内に あるP680とP700が光吸収中心となる.水分解を行った際 の電子がP680で光によって励起され,多くの電子リレー が行われP700へと導かれる.P700で光によって励起され,

再び多くの電子リレーによってNADP+へと導かれる.こ の反応により,水を分解して酸素を発生するとともに,

炭酸ガスを糖に還元する.

今回の電池は,この原理を応用し,ガラス基板と白金 電極で2段階励起を行う電池を作製した.

図1 色素増感太陽電池作動原理

(2)

1.3 研究目的

これまでに,酸化チタンサイドにスパッタリング3)など の処理を行って,光電変換効率が8%程度まで向上とい う結果を得ている4,5).そこで,今回は酸化チタンサイド ではなく,白金電極側に処理を行い,更に高効率化を図 ることにした.

今回の電池は,Zスキーム型反応の原理を応用し,ガラ ス基板と白金電極で2段階励起を行う電池を作製した.図 3にその動作原理を示す.

3 Zス キ ーム 型反応を 応用し た 色素増感太陽電池動 作原理

1.4 作製し た 色素増感太陽電池の構造

図4に通常の色素増感太陽電池の構造,図5にはZスキ ーム型反応を応用した色素増感太陽電池の構造を示す.

通常のセルは,導電性ガラス基板(FTO:フッ素ドープ 酸化スズ)にTiO2コロイドペーストを塗布して多層化 し焼成した後,Ru色素に浸染し色素を吸着させる.対 極にはPt電極を用い,熱癒着性高分子(ハイミラン)で 熱圧着し,電解質を封入している.

Zスキーム型を応用したセルは,通常のセルと同様の 作製法で対極のPt電極を作製した後,その上にZnOペー ストを塗布して多層化し焼成したものを用いた.

白金電極

ハイミラン

電解液 酸化チタン層

FTOガラス 図4 通常の色素増感型太陽電池の構造

ZnO層

図5 Zスキーム型を応用した色素増感型太陽電池の構造

2 実験 2.1 試料

・TiO2粉末

P25(日本アエロジル社) TiO2粉末を使用した.

・ZnO粉末

粒子径0.02μmのZnO粉末(和光純薬工業株式会社)を使 用した.

・伝導性ガラス基板

表面が厚さ400nmのFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)膜 付きの導電性ガラス基板(日本板硝子(株)NFL3LEQ)

を15mm×10mmにして使用した.

・対極

対極には,スパッタリング装置(アルバック九州株式会 社製)を用いて作製した白金電極を使用した.スパッタ リングのターゲットには白金板((株)ニラコ353326,

φ100,厚さ0.10mm)を用い,導電性ガラス基板に圧力 6.50×10-6Pa,Ar 10sccm供給雰囲気中,出力200Wで3分 間スパッタリングを行ない,15mm×10mmにして使用し た.

・電解質溶液

0.58M-t-ブチルピリジン:(CH3)3CC5H4N, 0.5M-ヨウ化 リチウム:LiI , 0.04M-ヨウ素:I , アセトニトリル:

(CH3CN) を溶媒として調製したものを使用した.

・色素溶液

Ru錯 体 (Solaronix社 ,Ruthenium535-bisTBA(N719): C58H86O8N8S2Ru)の3×10-4M溶液を使用した.

・スペーサー

三 井 ・ デュポンポリケミカル社製のハイミラン1702

(Zn)を用いた.その性質は,軟化温度61℃,融点90℃,

H2O O2

光シ ス テ ム Ⅱ

NADP

光シ ス テ ム Ⅰ

図2 植物の光合成の原理(Zス キ ーム 型反応)2) P680

P700

(3)

密度0.95g/cm3である.

2.2 実験操作

2.2.1 酸化亜鉛ペースト塗布を行った白金電極の作成 エタノールにZnO:20wt%,ポリエチレングリコール(物

質量3.5M):20wt%vsZnOを加えペーストを調製した.白

金電極表面の5mm×5mm以外の領域をメンディングテー プ(3M製, 810-1-18D, 50μm厚)でマスキングし,スキージ ー法によりZnOペーストを塗布した.メンディングテー プを除去したガラス基板を電気炉に入れ,空気中におい て20分間で450℃まで昇温した.450℃で30分間保持した 後,室温まで空冷した.この操作を1~2回繰り返し,多層 からなるZnO多孔質膜を作製した.

2.2.2 色素増感型太陽電池

1M-酢酸にTiO2:10wt%,ポリエチレングリコール(物質

量3.5M):40wt% vs TiO2を加えペーストを調製した.導電 性ガラス基板表面の5mm×5mm以外の領域をメンディン グテープ(3M製, 810-1-18D, 50μm厚)でマスキングし,ス キージー法によりTiO2ペーストを塗布した.メンディン グテープを除去したガラス基板を電気炉に入れ,空気中 において20分間で450℃まで昇温した.450℃で30分間保 持した後,室温まで空冷した.この操作を3回繰り返し,

3層からなるTiO2多孔質膜を作成した.焼成したTiO2半導

体電極をRu色素溶液に48時間以上染浸させ色素の吸着を 行った.色素吸着後,電極を溶液から引き上げ未吸着の 色素を除去するためにアセトニトリルで洗浄した.そし てTiO2半導体電極と対極の白金電極をハイミランを用い て熱圧着し,それに電解質溶液を注入し,基本となる色 素増感型太陽電池を作製した.

2.3 太陽電池性能の評価 2.3.1 I-V特性の評価

I-V特性の評価は,光源として,500Wのキセノンラン プ(ウシオ電気社製,SX-UI501XQ:照度100mW/cm2),電 源としてポテンシオスタット(北斗電工製,HB-301型)を 用いて行った.I-V測定は,ファンクションジェネレータ ー(北斗電工製,HB-104型)を用いて,10mV/sで電圧を-

100mV~800mVまで上昇・下降させ,そのときの電流値 変化をデジタルマルチメーター(Agilent,34001A0)で観察 し,GPIBボード(Interface製,CBI-4302)を介してコンピュ ーター上に記録した.このときの電流値を縦軸,電圧値 を横軸にとってI-V曲線を描いた.電流値の最大値が短絡 電流(Jsc),電圧値の最大値が開放端電圧(Voc)であり,太 陽電池の最大出力(Pmax)は次式で与えられる.

Pmax=I’×V’ ・・・(1)

I’,V’はI-V曲線中最大出力を与える時の電流値,電圧値で ある.

入射光エネルギーをPinとすると,光電変換効率(η)は,

η = ( Pmax / Pin ) × 100 [%] ・・・(2)

と表される.理想の出力に対する実際の出力の割合を示 すパラメータとして,fill factorがあり次式で表される.

fill factor = Pmax / ( Jsc × Voc ) × 100 [%] ・・・(3) これらの値から,I-V測定による太陽電池特性の評価を行 った.

2.3.2 複素インピーダンス測定

6は,複素イ ン ピ ーダ ン ス 測定の結果と し て 得ら れる , コ ール・コ ールプロ ッ ト のグ ラ フ を 示し て いる .複素イン ピーダンス測定は,15MHzの周波数特性分析器(エヌエフ 回路設計ブロック製,FRA5096)を用いて行った.周波数 を1MHz ~200mHzまで変化させ,それぞれの点での電流 値,電圧値の応答の位相から抵抗成分(Re(Z):実数),キ ャパシタ成分(Im(Z′):虚数)を求めた.このときの抵抗成 分を横軸,キャパシタ成分を縦軸にプロットしコール・

コールプロットを作成した.

また,色素増感型太陽電池では1M~1kHzまでの領域

1)がTiO2|色素|電解質溶液における電子拡散に,1k~1Hz

までの領域(ω2)がTiO2粒子間での電子拡散に,1~200mHz までの領域(ω3)が電解質溶液の電子拡散にそれぞれ対応 すると考えられる4-16)

3 結果と考察

3.1 白金電極にZnOを処理したセルの性能測定

FTOガラス電極には調製したTiO2ペーストを,3層積層

し,焼成した.対極の白金電極には,調製したZnOペー ストを,1層及び2層積層し焼成したものを用意し,ソー ラーシュミレーターによって測定を行った.また,電解 液を注入後すぐに真空装置用グリスで封止して測定を行

った.表1に対極にZnOの層を変えた白金電極を用いた太 陽電池と未処理の太陽電池(ノーマル)の特性を示して いる.

Normal ZnO1層 ZnO2層 Voc(V) 0.6743 0.7459 0.7234 Jsc(mA) 10.09 6.65 5.53

ff(%) 70.2 60 58.7

efficiency(%) 4.77 2.98 2.35

表1 各測定セ ルの電池特性

Z'(Ω)

Z"(Ω)

ω3

ω2

ω1

Z(Ω

ZΩ

Z'(Ω)

Z"(Ω)

ω3

ω2

ω1

Z(Ω

ZΩ

6 コ ール・ コ ールプロ ッ ト

ω1 ω3

ω2

(4)

白金電極にZnOを塗布したものは,ノーマルと比べる とどちらも開放端電圧が高くなっていることが分かる.

また,1層にした場合と2層にした場合では,開放端電圧 に大きな変化はなく,短絡電流が下がっていることが分 かる.

図7にI-V測定結果を示している.上から,ノーマル,

ZnOを1層, 2層積層したものとなっている.

図1 I-V測定 0.0

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

-0.1 0.1 0.3 0.5 0.7

V(V) J(mA/cm2 )

normal① ZnO(1層)② ZnO(2層)③

図7よりZnOを塗布したものは,I-V曲線にフラット部が なく,電流値は電圧の増加とともに常に減少傾向を示し た.これは電解液の不足ではないかと考えられる.

次に,上記3種の電池を擬似太陽光照射条件下でインピ ーダンス測定を行い,電子輸送過程を調べた.図8に複素 インピーダンス測定の結果を示す.

0 10 20 30

0 10 20 30 40 50 60

Normal ZnO1層5 ZnO2層6

図2 コール・コールプロット比較

Im(Z) [Ω]

Re(Z) [Ω]

コール・コールプロットでは,ノーマルの場合と比べ,

Pt電極面にZnOを塗布したものは,どちらも3つ目の円弧 成分に大きな増加が見られた.さらに,この円弧に対応 する特性周波数ω3の低下も観察された.また,ZnOの層 を増やすほど円弧成分の増加が見られた.コール・コー ルプロットの3つ目の円弧成分は,本来TiO2粒子間の電子

輸送過程の抵抗を示している.3つ目の円弧成分の増加お よび特性周波数ω3の減少は対極側にZnO膜が存在するこ とにより,ZnO粒子間の電子輸送の抵抗が現われたと考 えられる.Pt電極に異種金属処理を行った場合,コール・

コールプロットの3つ目の円弧成分に重畳してあらわれ ることがわかった.

3.2 ZnOの層を変えたセルの性能測定

TiO2を3層,ZnOを1層積層した電池の場合,電解液の減

少が見られた.また,TiO2とZnOを用いた場合の最適な層 厚を検討するために,TiO2を1層,2層,3層処理したFTO ガラス電極,ZnOを1層,2層,3層処理したPt電極を用意 し,それぞれを先ほどと同様の作製法で組み合わせ,ソ ーラーシュミレーターによって測定を行った.電解液は スペースを取り,多めに加えて行った.表2にZnOの層を 変えた白金電極と,TiO2の層を変えたFTOガラス電極を それぞれ組み合わせた太陽電池の特性を示している.

図9にTiO2を1層処理した場合のI-V測定結果を示して いる.上から,ノーマル,ZnOを1層, 2層処理したもの となっている.

図10にTiO2を2層処理した場合のI-V測定結果を示して いる.上から,ノーマル,ZnOを1層, 2層処理したもの

図 8   I - V測 定 ( 酸 化 チ タン 1 層 ) 0.000

2.000 4.000 6.000 8.000 10.000 12.000

-0.100 0.100 0.300 0.500 0.700

V( V)

J(mA/cm2)

Normal ZnO1層 ZnO2層

表2 各測定セルの太陽電池特性 図7 I-V特性評価

Voc(V) Jsc(mA) ff(%) efficiency(%)

TiO

2

(1)Normal 0.6752 4.66 70.7 2.22

TiO

2

(1)ZnO(1) 0.7148 2.26 57.8 0.93

TiO

2

(1)ZnO(2) 0.7102 1.99 67.3 0.95

TiO

2

(2)Normal 0.6729 8.95 72.4 4.36

TiO

2

(2)ZnO(1) 0.7224 3.2 60.5 1.4

TiO

2

(2)ZnO(2) 0.7244 3.3 56.4 1.35

TiO

2

(3)Normal 0.6743 10.09 70.2 4.77

TiO

2

(3)ZnO(1) 0.7459 6.65 60 2.98

TiO

2

(3)ZnO(2) 0.7234 5.53 58.7 2.35

図8 コール・コールプロット比較

図9 I-V測定(酸化チタン1層)

(5)

となっている.

9, 図10の そ れぞ れのI-V測定の 結果よ り ,TiO2の 層 を 変え て も 白金電極にZnO処理を 行っ た も の はノ ーマ ル と 比べる とJscが低下し ,Vocが増加する こ と が分かっ た . 図9と 図10を 見比べる と ,TiO2の層が多い方がJscは大き く な る と い う こ と が 分か っ た . ま た グ ラ フ のフ ラ ッ ト 面が 見ら れる こ と か ら , 電解液の 領域が 充分確保で き た 事が 分かっ た .

次に,TiO2を1層,2層処理した6種の電池を擬似太陽光 照射条件下でインピーダンス測定を行い,電子輸送過程 を調べた.図11にTiO2を1層処理した場合,図12に2層処 理した場合の複素インピーダンス測定の結果を示す.

0 10 20 30

0 10 20 30 40 50 60 70 80

Re(Z)[Ω]

Im(Z)[Ω]

ZnO2層 ノーマル ZnO1層

3.3 太陽電池の最適化

交流インピーダンス測定におけるZnO処理電極のグラ フには,抵抗増加が見られる事から,抵抗の原因がZnO によるものであると分かった.また,ZnOの膜厚を増や すほど,I-V測定での電流が下がり,抵抗も増加する事が 分かった.

次に,ZnOの層厚を変える事で,電解液の問題を解決する 事ができた.表2の結果から ,TiO2の層数が3層,ZnOの層 数が1層の 場合が 最適で あ る 事が わ か っ た . ま た ,Jsc 低下し た こ と に つい て は図8の イ ン ピ ーダ ン ス 測定よ り ,

ZnOの抵抗によ る も のだと 考え ら れる .Vocが増加し た こ

と について は、色素増感太陽電池のVocは光電極半導体の フ ェ ル ミ レ ベ ル(TiO2n型半導体で は 伝導 帯準位に 近 )と レ ド ッ ク ス メ ディ エ ータ ーの 酸化還元電位と の 差 で 規定さ れる . 図13に は, 水素電極電位を 基準と し た 各 種酸化物の バン ド 構造を 示し て い る . 図13よ り ,ZnOの 伝導帯準位はTiO2の 伝導帯準位よ り も 低い た め , 光電極 半導体の フ ェ ルミ レ ベルが 上が っ た と は考え 難い. よ っ て , 白金電極側にZnOを 塗布する 事で , レ ド ッ ク ス メ デ ィ エータ ー電位が下がり ,Vocが増加し た のではな いかと 考え ら れる . 図14に今回の開放端電圧の予想図を 示す.

0 10 20 30

0 20 40 60

Re(Z)[Ω]

Im(Z)[Ω]

Normal TiO(1)ZnO(1) TiO2(1)ZnO(2) 図9  I- V測定( 酸化チタン2 層)

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

-0.1 0.1 0.3 0.5 0.7

V(V)

J(mA/cm2)

ノーマル ZnO1層 ZnO2層

H2/H2O

O2/H2O

-1

0

1

2

3

4

TiO2 ルチル型

TiO2 アナターゼ型

ZnO

SnO2

3.0eV 3.2eV 3.2eV 3.4eV

V

5.0eV

ZrO2

H2/H2O

O2/H2O

-1

0

1

2

3

4

TiO2 ルチル型

TiO2 アナターゼ型

ZnO

SnO2

3.0eV 3.2eV 3.2eV 3.4eV

V

5.0eV

ZrO2

伝導帯の下端

価電子帯の上端

図13 水素電極電位を 基準と し た バン ド 構造1) 図11 インピーダンス測定(酸化チタン1層)

図12 インピーダンス測定(酸化チタン2層) 10 I-V測定(酸化チタン2層)

(6)

4 結言

本研究では,色素増感型太陽電池の白金電極に,ZnO を塗布し,Zスキーム型色素増感型太陽電池の原理を利用 した実験を行った.これにより,電子輸送過程の改善,2 段階励起の応用による光電変換効率の向上を目的とした.

ZnOを塗布することで,Vocの増加が確認できたが,Jsc は減少した.Vocの増加の原因を検討するため,TiO2と ZnOの層をそれぞれ変えて測定を行い,電圧と抵抗の増 減の変化を比較した.この実験によって,最適な組み合 わせはTiO2が3層,ZnOが1層の場合である事が分かった.

ZnOを塗布する事によるJscの低下は,インピーダンス測 定より,ZnOの抵抗によるものだと考えられる.また,

Vocが増加したことについては、白金電極側にZnOを処理 したものはどれもVocが増加していた事から,ZnOを処理 する事で,Vocが増加する事が明確に確認できた. Vocが 増加した原因については,ZnO処理をする事で有効なレ ドックスメディエーター準位が下がったのではないかと 考えられる.

参考文献

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2011年11月7日 受理)

通常の開放端電圧

図14 今回の電池の開放端電圧 今回の電池の開

放端電圧

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