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手術看護に対する患者満足度調査 〜術前訪問から麻酔導入まで〜

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Academic year: 2021

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(1)

合,術前訪問は手術当日の午前中や手術直前に行わ れ,手術室看護師が術前に患者と関わるのは限られ た時間である。そこで日々の関わりが不安の軽減に つながっているのか,適切な情報提供ができている のか疑問に感じた。また,術後訪問で術中に残され た看護問題の経過や病状経過の把握はしているが,

手術看護についての客観的な評価を患者自身から得 る機会が少ない現状である。

 今回の研究で,手術を受ける患者が最も緊張し,

不安が強いと言われている術前から麻酔導入までの 看護に対して満足度調査を行い,術前訪問や麻酔導 入時の看護の評価を得たので報告する。

Ⅰ.研究目的

 術前から麻酔導入までの手術看護に対する患者満 足度を明らかにする。

   

Ⅱ.方  法

1.研究対象者

   麻酔(全身麻酔,硬膜外麻酔,脊髄クモ膜下麻 酔)を受け,術前訪問を受けた20歳から70歳まで の患者。緊急手術患者,認知症や精神障害など認 知機能に障害のある患者は除外した。

2.研究期間

  2018年8月27日〜11月30日 3.データ収集方法の手順

1 )質問紙は島袋ら3)星野ら4)吉田ら5)の質問紙を

手術看護に対する患者満足度調査

〜術前訪問から麻酔導入まで〜

盛岡赤十字病院 手術室

萩野 沙織・宮田 結花・神農 睦美・阿部  瞳 技 術 ・ 実 践

はじめに

 A病院手術室では,2017年2,835件の手術を行 い,その中で全身麻酔・脊髄クモ膜下麻酔を受けた 患者は2,467例であった。予定手術を受ける患者に 対して,担当の手術室看護師が,術前訪問をほぼ全 例行っている。訪問時,麻酔方法別のオリエンテー ション用紙を使用して,入室時,麻酔導入前,麻酔 導入から手術,術後について,一連の流れや注意点 など説明し,患者に合わせて追加して説明をしてい る。術前訪問で得た情報をもとに環境調整を行い,

入室から麻酔導入では環境に配慮して,患者の表情 や言動に注意しながら丁寧に関わり,積極的にタッ チングを行うなどして不安を抱いている患者に寄り 添えるよう看護を行っている。

 数間らは,「術前オリエンテーションは,術後に 備えてのさまざまな実地体験を含む患者教育である が,真に目指すものは身体の準備とともに,適切な 情報提供による患者の手術に対するイメージづくり と,コントロール感 覚の維持・獲得ならびにコーピ ング方略を養うための心理的準備である」1)と述べ ている。また,雄西らは,「手術室への搬入から麻 酔導入までは,患者が最も緊張し,不安が強い時期 である」2)と述べている。以上のことから,手術を 受ける患者の不安軽減に対して,術前訪問での情報 提供や麻酔導入時の手術室看護師の関わりが大きく 影響すると考える。

 しかし,手術を受ける患者は手術前日に入院する ことが多く,また入院期間の短縮に伴い多くの場

(2)

齢は20歳代が22名,30歳代が43名,40歳代が45 名,50歳代が31名,60歳代が36名,70歳代が10名 だった。手術経験は初回67名,2回目以降が121名 だった。麻酔方法に関しては全身麻酔(硬膜外麻 酔・脊椎クモ膜下麻酔併用の手術を合わせて)が 147名(78.2%),脊椎クモ膜下麻酔のみが41名

(21.8%)であった。診療科は,婦人科66名,整形 外科26名,外科19名,耳鼻科14名,泌尿器科17 名,産科41名だった。

1.術前訪問

 ≪術前訪問の時期≫≪説明内容のわかりやすさ≫

≪オリエンテーション用紙の分かりやすさ≫≪看護 師の態度≫≪看護師の言葉使い≫≪親身さ≫の6項 目を調査した。(図1)

 ≪術前訪問の時期≫については,満足・やや満足 が180名(75.7%)であり,自由記載として「入院 後落ち着いたタイミングでちょうどよかった」とい う意見があった。一方,やや不満が4名(2.1%)

おり,「当日ではなく前日の方がイメージがつく」

という自由記載があった。≪説明内容のわかりやす さ≫については,満足・やや満足が186名(99%)

であり,自由記載として「手術の流れがよく分かっ た」「術前に復習して臨んだ」「書面にそって説明 してもらったのでわかりやすかった」があった。≪

オリエンテーション用紙のわかりやすさ≫について は,満足・やや満足が183名(97.4%)であった が,一方で「あと少し字が大きい方がよい」「一度 に情報量が多く受け手が咀嚼できないかも知れな い」という意見もあった。≪看護師の態度≫≪看護 師の言葉遣い≫に関しては,満足・やや満足が188 名(100%)であり,「一つ一つ丁寧に説明しても らいとても安心感があった」という自由記載があっ た。≪親身さ≫については,満足・やや満足が188 名(100%)であり,「手術は何度受けてもかなり 不安だが,担当看護師のおかげで不安も緊張もやわ らいだ」「不安なく手術できた」という意見があっ た。

2.手術入室〜麻酔導入について

 ≪手術室の環境(室温,明るさ,音,におい,ス タッフの人数)≫と≪担当看護師の対応(プライバ 参考に独自に作成した。第1〜4病日に研究者が

患者を訪問し,研究の主旨を説明し同意を得られ た患者に質問紙を配布し,各病棟に設置した回収 箱で回収した。

2)調査内容  (1)対象の属性

   ・ 年齢・性別・手術経験の有無・手術科・麻 酔方法

 (2 )術前訪問(5段階評価):それぞれの内容 に自由記載を設けた

   ・術前訪問の時期は適切か

   ・ 説明内容とオリエンテーション用紙のわか りやすさ

   ・担当看護師の対応(態度,言葉使い)

   ・担当看護師の患者に対する親身さ

 (3 )手術室入室〜麻酔導入(5段階評価):そ れぞれの内容に自由記載を設けた

   ・ 手術室の環境(室温,明るさ,音,にお い,スタッフの人数)

   ・ 担当看護師の対応(プライバシーへの配 慮,態度,言葉使い)

   ・担当看護師の患者に対する親身さ  (4)手術室への要望(自由記載)

4.データの分析方法

 単純集計し,自由記載の内容については意味内容 ごとに分類した。

5.倫理的配慮

 本研究はA病院倫理審査委員会の承認を得た。研 究対象者には研究の趣旨および自由参加であるこ と,得られたデータは研究目的以外には使用しない こと,個人が特定されないように配慮すること,研 究に参加しなくても不利益が生じないことを文書と 口頭で説明し質問紙の提出をもって同意とした。

Ⅲ.結  果

 質問紙を210名に配布し回収は192枚,回収率 91.4%だった。そのうち記載漏れ等を除く有効回答 は188枚(89.5%)であった。

 性別は男性43名,女性142名,無記入が3名,年

(3)

であった。自由記載としては「落ち着く明るさだっ た」という意見がある一方,「見えすぎてちょっと 怖かった」という意見もあった。やや不満・不満が 2名(2%)おり,「ちょっと明るすぎた。恐怖が あるので少し暗くてもいい」という意見があった。

また,≪音≫については,満足・やや満足が155名

(83%)であったのに対して,やや不満・不満が3 名(2%)あり,「静か過ぎてやや不安を感じる」

「まだ眠っていない時にカチャカチャという音があ り不安だった」という自由記載があった。≪におい

≫については満足・やや満足が148名(79%)で あった。一方,やや不満が3名(2%)おり,自由 記載として「眼鏡を外しているので手術室のにおい が毎回過去の記憶を呼び起こすような気持ちにな る」があった。≪周りにいたスタッフの人数≫につ いては,満足・やや満足が159名(84%)であっ た。「人数は問題ないと考えるが,スタッフ紹介が あると良かった」「医師がどこにいるのかわからな かった」という意見があった。また,「双子の帝王 切開だったためかスタッフが多く驚いた」など,ス タッフの人数が多いと感じた意見が3名いた。

2)担当看護師の対応について

 ≪プライバシーへの配慮≫≪看護師の態度≫≪言 葉遣い≫≪親身さ≫の4項目について調査した。

(図3)

 ≪プライバシーへの配慮≫については,満足・や や満足が175名(93%)であり,「パジャマを脱ぐ 時,見えないように配慮してもらった」という意見 があった。一方,やや不満・不満が2名(2%)

あった。(自由記載なし)≪担当看護師の態度≫に 関しては,満足・やや満足が186名(99%)であ り,自由記載として「ずっと手を握ってもらい安心 できた」という意見が9名あった。≪言葉遣い≫に 関しては満足・やや満足が187名(99%)であり,

「丁寧で優しくてよかった」という意見が多かっ た。≪親身さ≫に関しては,満足・やや満足が187 名(99%)であり,自由記載として「一つ一つの説 明が丁寧でわかりやすく,安心して手術に臨めた」

「何度か声をかけてもらい安心することができた」

などがあった。

シーへの配慮)(担当看護師の態度)(言葉遣い)

(親身さ)≫について調査した。(図2・図3)

1)手術室環境について

 ≪室温≫については,満足・やや満足が175名

(93%)で「手術台があたたかくされていてほっと した」という意見が6名あった。やや満足の意見の 中に「硬膜外麻酔に時間がかかるため,ちょっと寒 い」「ちょっと暑かった」という意見もあった。一 方,やや不満が2名(1%)あり,「少し涼しく感 じた」「術後に熱かった」という意見があった。≪

明るさ≫については満足・やや満足が174名(92%)

n 188 ( )

( ) n 188

188 ( )

図1 術前訪問の評価

図2 手術室の環境の評価

図3 手術室看護師の対応の評価

(4)

護師の対応が手術や麻酔に対する不安の軽減につな がっていたと考える。

 ≪手術室の環境(室温・明るさ・音・におい)≫

に関しては,ほぼ満足が得られていると考える。と くに,≪室温≫の項目で「手術台があたたかくされ ていてほっとした」という意見が多くあった。数間 らは「寒さは筋の緊張を増強し,また不安をも増強 するものである。」4)と述べている。普段,入室に 使用するストレッチャーや手術台を保温している が,その効果は体温管理だけではなく,患者の精神 的ケアに繋がっていたと考える。一方,「暑かっ た」や「ちょっと寒い」という意見があり,患者の 反応を観察しながら対応していく必要があると考え る。≪音≫に関して,普段からスタッフ間で注意を 払っているが,「カチャカチャという音があり不安 だった」という意見があった。また≪におい≫の項 目では「手術室のにおいが毎回過去の記憶を呼び起 こすような気持ちになる」という意見もあった。手 術室の音やにおいなどの環境が患者の不安に影響を 与えることが分かる。手術室看護師はこれらの意見 を共有するとともに,環境が患者へ与える影響を理 解して今後も環境調整に配慮することが求められ る。

 ≪周りにいたスタッフの人数≫に関しては,満足 が得られていると考えるが,「スタッフの紹介があ ると良い」という意見やスタッフの人数が多いと感 じた意見があり,担当するスタッフが予め把握でき ている場合は前もって患者に知らせるなど今後検討 が必要である。

 ≪プライバシーへの配慮≫についてはほぼ高い評 価が得られており,手術室看護師が日々注意しなが ら看護していることがわかる。しかし,やや不満・

不満という回答が 2名あり,自由記載はなかったも ののさらに気を配る必要がある。≪担当看護師の態 度≫≪言葉遣い≫≪親身さ≫に関してそれぞれ高い 評価となり満足が得られていると考える。その中 に,「ずっと手を握ってもらい安心できた」という 意見が9名あった。髙木らは,「タッチを通して看 護師の気持ちは患者に届き,患者は安楽な感覚を得 て,自分だけではなく看護師という他者へも意識を 3.手術室への要望

 47名の患者から意見をもらうことができた。ほと んどが感謝の言葉が多かった一方麻酔導入時に不快 だったこと,家族待合室への要望などの意見があっ た。

Ⅳ.考  察

 ≪訪問時期≫については,75%の患者が満足・や や満足と回答しており,ほとんどの患者に対して手 術前日あるいは当日に術前訪問を行っているが,満 足が得られていると考える。しかし,「当日ではな く前日の方がイメージがつく」という意見もあっ た。手術患者は多くの場合,前日に入院し病棟で入 院オリエンテーションや手術オリエンテーションを 受ける。前日に術前訪問を行った場合,さらに情報 量が増えることで患者自身を混乱させる可能性もあ る。また,手術室スタッフも限られており,時間調 整が難しく手術の前日に術前訪問を行うことが困難 な場合が多い。今回の患者からの意見をスタッフ間 で共有し,患者の年齢,疾患,心理状態等を考慮 し,術前訪問時期を症例に合わせて検討する必要が ある。≪説明の分かりやすさ≫≪オリエンテーショ ン用紙のわかりやすさ≫についてはほぼ満足が得ら れている。雄西らは「患者は,術前から術後にわた る周手術期の経過をイメージすることによって,先 の見通しを持って,手術を乗り切るための自分なり の心構えを獲得することができる」3)と述べてい る。担当看護師が,オリエンテーション用紙の内容 に沿って説明し,更に患者の反応に注意しながら説 明を付け加えることで,個人に合った適切な情報提 供ができ,患者自身が手術を乗り切るための心構え を獲得することに繋がっていると考える。用紙に関 して,「あと少し字が大きければ良い」「一度に情 報量が多く受け手が咀嚼できないかも知れない」と いう意見があり,今後用紙の改訂が必要である。≪

看護師の態度≫≪看護師の言葉遣い≫≪親身さ≫に ついては評価が高いと考える。自由記載に「安心感 があった」「不安も緊張もやわらいだ」と言う意見 があり,術前訪問で適切な情報提供ができ,更に看

(5)

文  献

1) 数間恵子ほか:手術患者のQOLと看護(第1 版),医学書院,P25,2006

2) 雄西智恵美ほか:周手術期看護論(第2版),

ヌーヴェルヒロカワ,P102,2011

3) 雄西智恵美ほか:周手術期看護論(第2版),

ヌーヴェルヒロカワ,P83,2011

4) 数間恵子ほか:手術患者のQOLと看護(第1 版),医学書院,P37,2006

5) 髙木清水ほか:タッチを通した患者と看護師の 相互作用,香川県立保健医療大学雑誌 5巻 P23-30,2014

6) 島袋莉菜ほか:手術患者の患者満足度調査と評 価,日本手術医学会誌 36巻(2)P144 146 7) 星野友美:手術室見学を取り入れた術前オリエ

ンテーションの患者満足度調査,市立三沢病院 医誌 21巻(1)P20 24,2014

8) 吉田恵理子ほか:手術室看護師による術前術後 訪問の有無と患者満足度との関連,盛岡赤十字 病院看護研究誌 19号P59 62,2011

9) 栗山陽子他:麻酔の術前訪問に対する満足度,

不安感の調査,日本臨床麻酔学会誌 第27巻

(4)P326 331,2007 拡げ,現実と向き合いながら,前向きな気持ちへと

変化していた。」5)と述べている。日頃から行って いるタッチングが不安を抱いている患者の精神的な ケアにつながっていることを再確認できた。

 手術室への要望に関して感謝の言葉が多い中,麻 酔導入時に不快な思いをしたことや,家族待合室に ついての意見を得ることができた。また,術前訪問 や手術室での環境,看護師の対応についても,多く の意見を得ることができた。術後訪問で患者の症状 や状態を観察し,患者に手術室で苦痛だったことや 要望などないか質問しているが,悪い評価や意見等 はなかなか得られていない状況である。今回,満足 度調査により患者からの率直な意見を聞くことがで き,術後訪問では得られない手術看護の客観的評価 を得ることができた。

 今後も定期的に患者満足度調査を行い,手術看護 の評価を行うことで,質の向上につながると考え る。

 今回の調査では患者の属性において,産科・婦人 科手術の患者が107名で全体の56.9%を占め,対象 者の性別や年齢に偏りが見られた。今後,満足度調 査を行うにあたり,調査方法・分析方法を検討する 必要があると考える。 

Ⅴ.ま と め

1 .術前訪問から麻酔導入までの看護に対して,患 者の満足度は高いものであった。 

2 .手術を受けた患者への患者満足度調査は,手術 看護に対する患者からの客観的評価を得る機会と なった。

 (本論文の要旨は令和元年10月12日第33回日本手 術看護学会年次大会で発表した)

 利益相反:本論文すべての著者は,開示すべき利 益相反はない。

参照

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