孤立型海洋構造物 に作用する不規則波力 の確率分布評価 方法
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(2) 872. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 3. 被 災 確 率 の 算 出 方 法 の 計 算 例. 表‑1. 検討 条件. 図‑2. 波 高分 布. 図‑3. 計算 波力. 本 章 で は,前 出 の フ ロ ー の計 算 手 順 を,実 例 を 挙 げて 具 体 的 に 示 す. (1) 沖 波 条 件 ・構 造 物 条 件 の設 定 本 研 究 で は,谷 本 ら(1986)に. よ る円 柱 に働 く衝 撃 砕. 波 力 に 関 す る実 験 の デ ー タを 参 考 に用 い た.表‑1に. 検討. 条 件 を示 す. (2) 波 高 分 布 お よ び波 高 ク ラ スの 設 定 表‑1に 示 す 沖 波 波 高 ・周 期 条 件 と,海 底 勾 配,構 造 物 の 設 置 水 深 か ら,合 田(1975)の を 求 め た.図‑2に. 方 法 に よ り,波 高 分 布. 波 高 分 布 を 示 す.. 波 高 ク ラス の 設 定 は,波 高 分 布 の 形 状 を 再 現 で き る程 度 の 間 隔 が 必 要 で あ る.本 計 算 例 で は,図‑2に で示 した よ う に,横 軸H/Havgの. プロ ッ ト. ピ ッチ を0.02と して 設 定. した. (3) 作 用 波 力 の算 出 構 造 物 に作 用 す る波 力 の算 出 に は モ リソ ン式 を 用 い た. 波 力 の 計 算 結 果 を図‑3に 示 す.対. 象 構 造 物 に作 用 す る波. 力 は,波 高 が 小 さ い 場 合 で は静 水 面 よ り下 部 に作 用 す る 波 力 の 方 が 大 き い が,H/hが0.6程. 度 よ り大 き くな る と,. 静 水 面 よ り上 部 に作 用 す る波 力 が 大 き くな り,静 水 面 よ り下 部 に作 用 す る波 力 はそ れ ほ ど大 き く な っ て い な い こ とが 分 か る. (4) 波 力 の ば らつ き の 設 定 波 力 の ば らつ き は,谷 本 ら の実 験 結 果 か ら,衝 撃 砕 波 力 が 作 用 す る と考 え られ る,静 水 面 よ り上 部 に作 用 す る 波 力 の ば らつ き は,式(1)で. 表 わ す 対 数 正 規 分 布,静. 面 よ り下 部 に作 用 す る波 力 の ば ら つ き は,式(2)で す正 規 分 布,と. Y:静. 水. 表わ. 水 面 よ り下 部 に 作 用 す る無 次 元 化 波 力 =Fx√Fx. この と き,全 体 に 作 用 す る無 次 元 化 した波 力Zを. した.. (3) (1) λ:lnXの. 平均値. ζ:lnXの. 標準偏差. X:静. 水 面 よ り上 部 に作 用 す る計 算 波 力. b:静. 水 面 よ り下 部 に作 用 す る計 算 波 力. c:全 体 に作 用 す る計 算 波 力 とす る と,全 体 無 次 元 化 波 力Zの ば らつ き は,両 者 を 用. 水 面 よ り上 部 に作 用 す る無 次 元 化 波 力 =F. a:静. い て 得 られ る次 式(4)の 確 率 密 度 関数 で 表 わ さ れ る.. x√/Fx. FY(FY):静. 水 面 よ り上 部(下. 部)に 作 用 す る個 々 波. に よ る波 力 FY(FY):静. 水 面 よ り上 部(下. 部)に 作 用 す る個 々 波. に よ る波 力 の 平 均 値. (2) (4) μ:yの. 平均値. σ:yの. 標準偏差.
(3) a. 孤立型海洋構造物に作用す る不規則波力の確率分布評価方法. 図‑6. 図‑4. 873. 各 波 高 ク ラ ス で の 波 力 の確 率 分 布(ケ. ー ス1). 対 数正 規分 布 のパ ラメ タ ζの分 布. 図‑5. 図‑7. 全 体 波 力 の 確 率 分 布(ケ. ー ス1). 図‑8. 全 体 波 力 の ば らつ き(ケ. ー ス1). 正規 分布 のパ ラメタ σの分布. (5) 波 力 分 布 の 計 算 例 平 均 値 λ,μ は そ れ ぞ れ0.0,1.0と σ は,図‑4お. した.標 準 偏 差 ζ,. よ び図‑5に 示 す よ うに,一 定 と した場 合 と,. 波 高 お よ び波 形 勾 配 に よ って 変 化 させ た 場 合 の2ケ ー ス で 計 算 を行 な っ た.a ) ケ ー ス1 ケ ー ス1で は,標 準 偏 差 ζ,σ を 一 定 と した場 合 の シ ミュ レー シ ョ ン結 果 を示 す. 図‑6は,式(4)か. ら求 め た 各 波 高 ク ラ ス で の 波 力 の 確. 率 分 布 で あ る.波 力 が 小 さ い 部 分 で は,分 布 の 幅 が 小 さ く ピ ー ク値 が大 き い の に対 して,波 力 が大 き い部 分 で は, 分 布 幅 が 大 き く ピ ー ク値 が小 さ くな っ て い る. 図‑7に は,図‑6に. ) ケ ー ス2 ケ ー ス2で は,図‑4お. 示 した全 波 高 ク ラ ス で の 波 力 分 布 を. 積 分 して 得 られ た,波 群 に対 す る波 力 の分 布 を 示 す.波. よ び図‑5に 示 す よ う に標 準 偏 差. ζ,σ を 変 化 させ た 場 合 の シ ミ ュ レー シ ョ ン結 果 を 示 す. 対 数 正 規 分 布 のパ ラ メ タ ζは,波 高 が 大 き い場 合 と小. 力 が 大 き い方 向 に 非 常 に裾 が広 が っ た形 状 に な って い る. さ い 場 合 に小 さ くな り,そ の 間 で は一 定 と な る3直 線,. こ とが 分 か る.. 正 規 分 布 の パ ラ メ タ σ は,波 形 勾 配 が 大 き くな る ほ ど小. 図‑8は,各. 波 高 ク ラス で の波 力 の計 算 結 果(プ. に 対 して,図‑6で. ロ ッ ト). 示 した確 率 密 度 を 重 ね,波 高 ご と の ば. らつ き度 合 い を示 した も の で あ る.こ の ケ ー ス で は ば ら. さ くな る1直 線 と した.シ. ミュ レ ー シ ョン の結 果 を 図‑9. か ら図‑11に 示 す. ケ ー ス1と 比 較 す る と,波 力 が 小 さ い 部 分 で の 分 布 幅. つ きを 波 高 に よ らず 一 定 と考 え て い る た め,波 高 が 大 き. が 大 き く,ピ ー ク が小 さ くな る形 状 に な って い る.ま. い ほ ど ば らつ き が 大 き くな って い る.ま た,波 高 が 大 き. 全 波 高 ク ラス を積 分 して 得 られ た全 体 波 力 の分 布 形 状 を. い ほ ど静 水 面 上 の 波 力 が 大 き くな る た め,対 数 正 規 分 布. 見 る と,ケ ー ス1と 比 較 して,ピ. の影 響 が 表 れ て,波 力 が 大 き い側 へ 裾 が 伸 び る分 布 形 状. らな い も の の,波. と な って い る こ とが 分 か る.た だ し,波 高 が小 さ い場 合. て い な い,と. の分 布 幅 が 非 常 に 小 さ くな っ て い る.. た,. ー ク値 は ほ とん ど変 わ. 力 が 大 き い側 に ケ ー ス1ほ ど は広 が っ. い っ た差 が 出 る こ と が分 か る..
(4) 874. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008) (6) 被 災 確 率 の推 定. Fx/ρgDh2が0.5を 越 え る場 合 に被 災 す る と仮 定 し,図 ‑7お よ び 図‑10で 得 られ た全 体 波 力 の 確 率 分 布 か ら ,1基 あ る い は 複 数 基 中1基 が 被 災 す る確 率pfを 求 め た.n基 中1基 が 被 災 す る 確 率pfnは,1基 い て,下. 記 式(5)で 求 め た.な. 率 は,表‑1に 図‑9. 各 波 高 ク ラ ス で の 波 力 の 確 率 分 布(ケ. ー ス2). 度 以 上)作. が 被 災 す る確 率pfを 用 お,こ. こで 求 め た 被 災 確. 示 した沖 波 条 件 の 波 浪 が1回(2〜300波. 程. 用 す る と した 場 合 に,構 造 物 が 被 災 す る確 率. で あ る.. (5) ま た,複 数 基 設 置 す る場 合 に は,全 体 の被 災 確 率 が, 1基 が 被 災 す る確 率 と 同 じ被 災 確 率 とす る た め に必 要 な, 設 計 耐 力 の 割 増 率 を求 め た.割 増 率 は,複 数 基 設 置 す る 場 合 の 被 災 確 率 か ら,図‑7お. よ び 図‑10を 用 い て,複. 数. 基 設 置 す る場 合 の被 災 確 率 に相 当 す る波 力 を求 め,1基 図‑10. 全 体 波 力 の 確 率 分 布(ケ. ー ス2). の 耐 力 で割 って 求 め た もの で あ る.被 災 確 率 と割 増 率 を 求 め た結 果 を 表‑2お よ び 図‑12に 示 す. 構 造 物 の数 が 多 くな る ほ ど被 災 す る確 率 が 増 大 して い る こ とが 分 か る.本 検 討 ケ ース で は,構 造 物 を10基 設 置 し た場 合 に,全 体 の 被 災 確 率 を1基 の被 災 確 率 と同 じに す る た め に は,設 計 耐 力 を 約1.3〜1.4倍 に しな け れ ば な らな い こ と が 分 か る. 4.. 実 験 デ ー タ によ る 波 力確 率分 布 の検 証. こ こで は,別 途 実 施 した孤 立 型 構 造 物 の 波 力 実 験 の結 図‑11. 全 体 波 力 の ば らっ き(ケ. ー ス2). 果 と,本手 法 に よ る シ ミュ レー シ ョ ン結 果 との比 較 を示 す. (1) 実 験 概 要. 表‑2. 被 災検 討結 果. 実 験 条 件 を 表‑3に 示 す.対. 象 と した孤 立 型 海 洋 構 造 物. の形 状 を図‑13に 示 す.対 象 構 造 物 の形 状 は,上 部 斜 面 式 の軸 対 称 構造 物 で あ る.ま た,波 力 実 験 の概 略図 を図‑14 に示 す.構 造 物 模 型 を上 部 か ら水 中6分 力 計 に よ り支 持 し て 造 波 を 行 な い,構 造 物 に作用 す る6分 力 を 計 測 した. 表‑3. 図‑12. 実 験条 件. 被災 確率 お よび割増 率 図‑13. 対 象構 造物 形状.
(5) 孤立型海洋構造物に作用する不規則波力の確率分布評価方法. 図‑14. 875. 波力 実験 概略 図 (2) 実 験 結 果 との 比 較 図‑15に 波 高 の 確 率 密 度 分 布 を,図‑16に. 各 波 高 ク ラス. で の波 力 の確 率 密 度 分 布 を 示 す.構 造 物 に 作 用 す る波 力 の 算 出 に は,池 谷 ら(2006)に. よ る修 正 モ リソ ン式 を 用. いた.ま た,本 検 討 で は,標 準 偏 差 ζ,σ を,3章. のケー. ス2と 同 様 と し,波 高 お よ び 波 形 勾 配 に よ っ て 変 化 さ せ た 値 を 用 い た.図‑17に. は 全 波 高 ク ラ ス で 積 分 して 得 ら. れ た 波力 の確 率 密 度分 布 と,実 験 結 果 を示 す.シ 図‑15. 波 高分 布. ミュ レー. シ ョ ン結 果 は 波 力 の大 きい 側 で の値 が 実験 結 果 よ り もや や 大 き い もの の,概 た,図‑18に. ね実 験 結 果 と良 く一 致 して い る.ま. は,個 々 波 の 波 高 と波 力 の 関 係 を プ ロ ッ ト. した もの と,シ 状 を示 す.シ. ミュ レー シ ョ ンか ら求 め た 波 力 の分 布 形. ミュ レー シ ョ ン結 果 は,精 度 良 く実 験 結 果. の ば らつ き範 囲 を カバ ー して い る こ とが 分 か る. 5.. まとめ. 本 研 究 で は,孤 立 型 海 洋 構 造 物 に作 用 す る,衝 撃 砕 波 力 を含 む不 規 則 波 に よ る波 力 の 確 率 的 評 価 方 法 を提 案 し 図‑16. 各 波高 ク ラスで の波 力 の確率分 布. た.本 手 法 を 用 い る こ とに よ って,構. 造物の被災確 率お. よ び複 数 基 設 置 す る場 合 の 設 計 耐 力 の 割 増 率 を求 め る こ とが 可 能 とな る こ と を 示 した.さ. らに,本 手 法 に よ る シ. ミュ レー シ ョ ン結 果 と,波 力 実 験 に よ る結 果 を比 較 し, シ ミュ レー シ ョ ン結 果 が,波 力 実 験 値 の 分 布 を良 く再 現 で き る こ とが 確 認 で きた. 本 手 法 は,孤 立 型 海 洋構 造 物 の形 状 に よ らず,波 確 率 分 布 を 設 定 す る こ とが 可 能 と な るた め,様. 力の. 々な構造. 物 に応 用 が 効 くと考 え られ る. 図‑17. 全体 波力 の確 率分 布. 参. 考. 文. 献. 池 谷 毅 ・福 山貴 子 ・稲 垣 聡 (2006): 上部斜面 式軸対 称 ケー ソ ンに 作 用 す る波 力 と揚 圧 力, 海 洋 開 発 論 文 集, 第22巻, pp. 313‑318. 合 田 良 実 (1975): 浅 海 域 に お け る 波 浪 の砕 波 変 形, 研 究 所 報 告, 第14巻, 第3号, pp.59‑106.. 港湾技術. 高 木 泰 士 (2007): レベ ル3信 頼 性 設 計 法 を 用 い た 防 波 堤 全 体 系 の 最 適 化 手 法, 海 岸 工 学 論 文 集, 第54巻, pp.911‑915. 谷 本 勝 利 ・高 橋 重 雄 ・金 子 忠 男 ・塩 田啓 介 ・小 藏 〓 一 郎 (1986) : 円 柱 に働 く衝 撃 砕 波 力 に 関 す る 実 験 的研 究, 港 湾 技 術 研 究 所 報 告, 第25巻, 第2号, pp.29‑87. 長 尾 毅 ・大 久 保 昇 ・川 崎 進 ・林 由 木 夫 (1998): に よ る 防 波 堤 の 全 体 系 安 全 性 (第3報)‑レ 図‑18. 実 験 デ ー タ と シ ミ ュ レー シ ョ ン結 果 の 比 較. 計 法 の 適 用 性 総 括‑, 号, pp.131‑176.. 港 湾 技 術 研 究 所 報 告,. 信頼 性設計 法 ベ ル1, 2の 設 第37巻,. 第2.
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