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学位論文題名Two distinct mechanisms of augmented antitumor activity by modulation ofimmunostimulatory/inhibitory slgnalS・

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 三 井    潤

     学位論文題名

Two distinct mechanisms of augmented   antitumor activity by modulation of immunostimulatory/inhibitory slgnalS ・

  ( 免疫亢進 /抑制シグ ナル調節 による異 なる 2つ の メカ ニ ズム を 介 した 抗 腫瘍 効果の 増強)

学位論文内容の要旨

【背景と目的】  がん細胞内に含まれるがん抗原および自己抗原に対して生体内の免 疫システムは免疫応答を誘導し、がんを排除していることが解明され、新しいがん免 疫療法に対する期待が高まっている。とりわけ1991年ヒトメラノーマに特異的に発現 している腫瘍抗原遺伝子の存在が報告されて以来、これらの腫瘍特異抗原を標的とし たがんワクチン療法が注目を集めている。しかし、これらのがんワクチン療法では免 疫応答は誘導されるものの、ごく一部の患者でしか腫瘍縮小等の臨床効果がみられな いのが現状である。これは、腫瘍抗原の大半が自己由来であり、強カなCD4、CD8の 反応を惹起できないことがひとつの原因であると考えられている。この問題を解決す るために、T細胞上の共刺激分子や抑制系の分子シグナルを調節することが必要であ る。CTL―associated antigen‑4 (CTLA‑4)は免疫抑制シグナル分子であり、活性化したT 細胞およびCD4℃D25゛制御性T細胞(Tregs)に発現している。マウスモデルにおいて、

CTLA・4分子シグナルを抗体によルブロックすることで、T細胞性の腫瘍縮小をもたら す事が報告されている。また治療抵抗性悪性黒色腫患者において臨床的効果を認めら れ た こ と が 報 告 さ れ 、 今 後 臨 床 応 用 さ れ る こ と が 期 待 さ れ て い る 。   一方、自己免疫反応を抑制する役割としてもともと発見されたCD4+CD25゛Tregsも また、抗腫瘍免疫反応を制御することが報告されている。前述のしたようにTregsは 常に細胞表面にCTLA・4を発現しており、そのシグナルを抑制することでTregsの抑 制機能をブロックすることが報告されている。しかしながら、CTLA‑4シグナルのブ ロックはCD8゛T細胞のみならず、Tregsをも増殖させることが明らかになっており、

効果的ながん免疫療法にはTregs機能を調節する分子との併用の必要性が示唆される。

Glucocorticoid―induced TNF receptor family related gene (GITR)はタイプI膜貫通型タンパ ク質でTNF受容 体ファ ミリーの ーつで ある。元 来、Tcell receptor (TCR)に誘導される ア ポトーシ スを抑 制する分 子として 報告さ れた。GITRは免疫共 刺激分子 でもあ り、休 止 期のT細 胞に も 弱 く発 現 し ている が、活 性化する と発現 レベルが 上昇す る。また 、 GITRはTregsに も 恒 常 的 に 高 レベ ル で 発 現し て い る。GITRの 刺 激は エ フ ェク タ ーT 細 胞に 関 し てはTregsの 抑制 活 性をブ ロックす ること が報告さ れている が、そ の細か な作用機序等はいまだ検討されている段階である。

今回、我々はCTLA一4シグナルの抑制に、GITRの刺激によるTregs抑制活性のコント     ー51―

(2)

ロー ルを 組み 合わ せる こと によ り、 抗腫 瘍効 果が増強するかの検討とその抗腫瘍活性 のメ カニ ズム につ いて 解析 した 。

【材料と方法】

BALB/cマ ウス 由来 のメ チル コラ ント レン 誘発 線維 肉 腫CMS5と大腸癌細胞株CT26を用 いた 。さ らに 、そ れぞ れに ヒト がん・精巣抗原NY‑ESO−1を発現させた腫瘍、CMS5− NY・ESO−1CT26‑NY‑ESO―1を作 成し 、抗 原特 異的CD8十T細胞を検討するために用い た。NY‑ESO―1マ ウス モ デル に関 しては、MHC classIエピトープを同定し、そのテト ラマーを作成することで、.抗原特異的CD8十T細胞を検出できる系を確立した(現在論 文投稿中)。それぞれの腫瘍を7―9週令のメスのBALB/cマウスに担癌し、さまざまなタ イ ミン グで 抗CTLA‑4抗体 、 抗CD25抗 体、 抗GITR抗 体を 単独 もし くは2つ組 み合 わせ て投与した。腫瘍径は2―3日ごとに計測し、長径X短径で表示した。解析はそれぞれの マウスから、脾臓、所属リンパ飾、腫瘍局所を採取し、FACSによる解析、MHC classIテ トラ マー 、細 胞内 サイ トカ イン 染色、細胞増殖試験、ELISA、免疫組織染色等を施行 した。

【統計】

腫瘍曲線はoneway ANOVA witha BonferronimultiplecomparlSOnpOStteSt.で行った。2グ ループ間の比較はtwo‐sidedStudenttsttest.で行った。Pvaluesく0.05を有意差ありと判 定した。

【結果】

抗CTLA‑4抗 体 、 抗GITR抗体 単独 投与 では 腫瘍 増殖 を遅 くす る効 果が 認め ら れた が、

完 全 に 腫 瘍 を 拒 絶 す る こと はで きな かっ た。 抗CD25抗 体単 独で は我 々の 投 与プ ロト コール(治療プロトコール )では抗腫瘍活性を認められなかった。抗(ニTLA‑4抗体/抗 CD25抗 体 併 用 に よ る 治 療 効 果 の 増 強 は 認 め ら れ な か っ た 。 抗CTLA‑4抗 体 / 抗GITR 抗 体に よる 併用 治療 はそ れぞ れの 抗体 治療 単独 より もはるかに強カな抗腫瘍効果を発 揮 し 、 腫 瘍 接 種5日 後 で腫 瘍が150 mm2に 達し た腫 瘍に 対し ても 腫瘍 拒絶 効 果が 認め ら れた 。し かし 、担 癌7日目以降に治療 を開始した群では腫瘍増殖を遅くするものの、

腫 瘍拒 絶は 見ら れな かっ た。 この 強い 抗腫 瘍活 性は 、 抗CTLA・4抗 体に よる エフェク タ ーT細 胞 の 増 殖 、 抗GITR抗 体 に よ る サ イ ト カ イ ン(IFNv) 産 生 能 の 増 強 に よ るも の であ った 。ま た抗GITR抗体 投与 によ ルエ フェ クタ ー 細胞 はTregsへの 抵抗 性を獲得 しており、これはCD25の発 現上昇と相関していた。

【 考察 】

抗CTLA・4抗 体 / 抗GITR抗体 によ る強 カな 抗腫 瘍 効果 は、(a)抗CTLA‑4抗体 で 治療 す る こ と に よ るCD8+T細 胞 の 腫 瘍 局 所 で の 増 加 、(b)抗GITR抗 体 で 治 療 す る こ と に よ り 、CD8+T細 胞 の サ イ ト カ イ ン 産 生 が 上 昇 す る こ と 、並 びに 、CD25を 強発 現 する こ と でTregsへ の 抵 抗 性 が 増す こと 、が 要因 と考 え られ た。CD25高発 現とTregsへの 抵 抗 性に 関し ては 、IL‐2の 競合が考えられたが、そのメカニズムにつ いては今後さらな る 検討 が必 要で ある 。

【 結 語 】

今 回 の 研 究 で 、 抗CTLA‑4抗体 /抗GITR抗体 によ るコ ンビ ネー ショ ン治 療の 今 後の 臨 床 応 用 の 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。

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(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Two distinct mechanlSmSOfaugmented   antitumoraCtiVitybymodulationof immunOStimulatory /inhibitorySlgnalS .

   (免疫亢進/抑制シグナル調節による異なる 2 つのメカニズムを介した抗腫瘍効果の増強)

  が ん 細 胞 内 に 含 ま れ る が ん 抗 原 お よび 自己 抗 原に 対し て生 体内 の 免疫 シス テム は免 疫 応 答 を 誘 導 し 、 が ん を 排 除 し て い る こ とが 解明 さ れ、 新し いが ん免 疫 療法 に対 する 期待 が 高 ま っ て い る 。 し か し 、 現 在 の が ん ワ クチ ン療 法 では 免疫 応答 は誘 導 され るも のの 、ご く 一 部 の 患 者 で し か 腫 瘍 縮 小 等 の 臨 床 効 果が みら れ ない のが 現状 であ る 。こ れは 、腫 瘍抗 原 の 大 半 が 自 己 由 来 で あ り 、 強 カ なCD4、CD8の 反 応 を 惹 起 で き な い こ と が ひ と っ の 原 因 で あ る と 考 え ら れ て い る 。 こ の 問 題 を 解 決 す る た め に 、T細 胞 上 の共 刺 激分 子や 抑制 系の 分 子 シ グ ナ ル を 調 節す る こと が必 要で ある 。CTL‑associated antigen‑4 (CTLA‑4)は免 疫抑 制 シ グ ナ ル 分 子 で あ り 、 マ ウ ス モ デ ル に お い て 、CTLA‑4分 子 シ グ ナ ル を 抗 体 に よ ル ブ ロ ッ ク す る こ と で 、T細 胞 性 の 腫 瘍 縮 小 を も た ら す 事 が 報 告 さ れ て いる 。 また 治療 抵抗 性悪 性 黒 色 腫 患 者 に お い て 臨 床 効 果 を 認 め た こと が報 告 され 、今 後臨 床応 用 され るこ とが 期待 さ れ ている 。

  一 方 、 自 己 免 疫 反 応 を 抑 制 す る 役 割 と し て も と も と 発 見 さ れ たCD4゛CD25+制 御 性T細 胞(Tregs)は 、 抗 腫 瘍 免 疫 反 応 も 制 御 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 。CTLA‑4シ グ ナ ル の ブ ロ ッ ク はCD8゛T細 胞 の み な ら ず 、Tregsを も 増 殖 さ せ る こ と が明 ら かに なっ てお り、 効 果 的 な が ん 免 疫 療 法 に はTregs機 能 を 調 節 す る 分 子 と の 併 用 の 必 要 性 が 示 唆 さ れ る 。 Glucocorticoid‑induced TNF receptor family related gene (GITR)は免疫共刺激分子のーっであ り 、 そ の 刺 激 に よ ル エ フ ェ ク タ ーT細 胞 はTregsの 働 き を 抑 制 す る こ と が 報 告 さ れ て い る が 、 作 用 機 序 等 は い ま だ 検 討 さ れ て い る 段 階 で あ る 。 今 回 、 我 々 はCTLA‑4シ グ ナ ル の 抑 制 に 、GITRの 刺 激 に よ るTregs抑 制 活 性 の コ ン ト ロ ー ル を 組 み合 わ せる こと によ り、 抗 腫 瘍 効 果 が 増 強 す る か の 検 討 と そ の 抗 腫 瘍 活 性 の メ カ ニ ズ ム に つ い て 解 析 し た 。BALB/cマ ウ ス 由 来 の 線 維 肉 腫CMS5と 大 腸 癌 細 胞 株CT26を 用 い た 。 さ ら に 、CT26に ヒ ト が ん ・ 精 巣 抗 原NY‑ESO‑1を 発 現 さ せ た 腫 瘍 、CT26‑NY‑ESO‑1を 作 成 し 、 抗 原 特 異 的CD8+T細 胞 を 検 討 す る た め に 用 い た 。NY‑ESO−1マ ウ ス モ デ ル に 関 し て は、MHC classIエピ トー プ を 同 定 し 、 そ の テ ト ラ マ ー を 作 成 す る こ と で 、 抗 原 特 異 的CD8+T細 胞 を 検 出 で き る 系 を 確

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寛 俊

雅 弘

村 田

今 秋

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

立し た。 それ ぞれ の腫 瘍を7‑9週令のメスのBALB/cマウスに担癌し、さまざ まなタイミ ング で抗CTI´A‑4抗体 、抗CD25抗体 、抗GITR抗 体を 単独 もし くは2つ 組 み合 わせて投 与し た。 抗CTLA‑4抗体 、抗GITR抗体 単独 投 与で は治療効果はほとんどなか ったが、抗 CTLA‑4抗 体、 抗GITR抗 体の 両者 を投 与し た マウ スにおいて、強カな腫瘍抑 制効果を発 揮し た。 抗CTLA‑4抗体 /抗GITR抗体 によ る 強カ な抗 腫瘍 効果 は、(a)抗CTLA‑4抗体で 治療 する こと によ るCD8゛T細胞の腫瘍局所での 増加、(b)抗GITR抗体で治療 することに より 、CD8+T細 胞の サイ トカ イン(IFN‑ッ ) 産生 が上昇すること、並びに、CD25を強発 現することでTregsへ の抵抗性が増すこと、が要因と考えられた。CD25強発現 とTregs^ の抵抗性に関しては、IL‑2の競合が考えられたが、そのメカニズムにっいては今後さらな る検 討が 必要 であ る。 今回 の研 究で 、抗CTLA‑4抗体/抗GITR抗体によるコ ンビネーシ ヨン治療の今後の臨床応用の可能性が示唆された 。

  口 頭発 表に 続き 副査 秋田 弘俊 教授 よりCD8+T細胞 の制御性T細胞に対する 抵抗性のメ カニ ズム にっ いて 、抗CTLA‑4/GITR抗体に加えて抗CD25抗体を使用した場合 について、

今後 の臨 床応 用に つい て質問があった。続いて 副査近藤哲教授より抗体治療とCD4+Tに 関 し て 、 臨 床 的 な 投与 方法 にっ い て質 問が あっ た。 最後 に主 査今 村雅 寛教 授よ り抗 CTLA‑4/GITR抗 体を 組み 合わせた理由について、CTLA‑4をブロックすること で細胞数が 増えるメカニズムについてde novoの系やウィルス発癌の系ではどうなるかの質問があっ た。

  いずれの質問に対しても申請者はその主旨をよく理解し、自らの研究内容と文献的考察 を混じえて適切に回答した。

  審査員一同はこれらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併 せ 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る と 判 定 し た 。

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参照

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