単発発破の低周波音の音圧波形のシミュレーション方法
青木あすなろ建設㈱ 企画エンジニアリング部 正会員 孫 建生
(独)産業技術総合研究所活断層センター 正会員 国松 直
青木あすなろ建設㈱ 企画エンジニアリング部 正会員 坂本浩之 青木あすなろ建設㈱ 大阪本店土木部 水野光司 青木あすなろ建設㈱ 企画エンジニアリング部 正会員 熊谷修治
1.はじめに
大規模岩盤掘削における発破作業による発破音はか なり低い周波数成分をもち、音圧(空気圧)による不快感 や家屋による 2 次的な騒音が問題となる場合がある1,2)。 本文は発破時の低周波音(空気振動)を低減するため、現 場で単発試験発破を行った計測波形から、大規模発破時 における任意地点での低周波音の音圧波形をシミュレ ーションする手法とその結果ついて述べるものである.
2.単発実験発破結果およびその定式化
図−1 は 15m ベンチの単発試験発破時に、発破位置から 異なる距離で計測された音圧波形例である。計測には低周 波音レベル計(NA-17)を使用し、データの記録はノート PC で自作の自動計測システムを使用した。図-1 に示した 3 つの波形の計測点は何れも発破位置を目視で確認できる 位置にあり、反射などがなく、直接到達した騒音で、距 離の増大に従い、音圧のピーク値が減衰されるが、継続 時間の変化が殆どなく、波形の形も大きな変化が見られ ない。また、ここには示されてないが、発破位置との間 に山に挟まれた、谷に位置する個所の計測点で計測され た波形は、音の反射・回折により、音圧の継続時間が長 くなり、負圧と正圧の値が接近する傾向がある。図-2は
図-1 のような計測された試験波形を単純化したもので, 図-1 異なる位置での単発発破騒音波形計測例 振幅と継続時間から単発波形の特徴をつかもうとするものである。図-3は
計測された単発波形の最大正音圧の距離減衰関係を示しており,
D<500m
は場内で,D>500m
は場外で,図から分かるように,距離D>500m
では,最大振幅は理論上の幾何減衰(−6dB)より大きく減衰しており.場内より、
森の茂る山・谷が音の伝播経路にある場合に音圧の減衰だ大きいことが分 かる.破線は一般的な発破音圧の近似曲線の式(1)で、
2月26日測点1,距離D=103m
-40 -20 0 20 40 60 80
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 時間(s)
音圧(Pa)
2月26日測点2,距離D=359m 30
-20 -10 0 10 20
0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 時間(s)
音圧(Pa)
2月28日測点6,距離D=1463m
-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
4.6 4.8 5.0 5.2 5.4 5.6 5.8 6.0 6.2 6.4 6.6 時間(s)
音圧(Pa)
P=b
0(D/W)
b(1)
P
2t
dt P1
ここで,
b
=( b
1D+ b
2)、
係数は回帰方法で求め、b
0=3.34、 b
1=-0.00015、 図-2
計測波形の単純化 キーワード 発破、騒音、低周波音、音圧波形、予測連絡先 〒106-8454 東京都港区芝二丁目 14 番 5 号青木あすなろ建設㈱ 企画エンジニアリング部 Tel.03−5439−8736 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
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b
2=−0.96、 Dは、距離(m)、 Wは単発の薬量(Kg)である。
ベンチ(単発)発破減衰曲線
0 40 80 120 160
0 400 800 1200 1600
距離D(m)
最大音圧(pa)
単発発破最大振幅 指数近似 発破予測式近似 -6dB近似 連続線は式(2)
φ(d)=
70W
1/3exp (- 0.12D
0.5) (2)
で近似したものである.図から,距離 D>150m 範囲では,
両近似曲線に大差がなく,本研究の対象範囲は D>500m であることと、大規模発破の発破音を模擬する時の便利 性を考えて,ここで,式(2)を使用して予測を行う.
図-4は,計測された負圧(
p
2)と正圧( p
1)の最大振幅の比 図-3 単発波形の最大正音圧の距離減衰
で,場内(D<500m)では,その比は約0.4
位だが,発破位置見える場外(D>500m)計測場所では最大振幅の比は場内と ほぼ同じだが、山を越えて谷にある計測場所では、最大振幅 の比が
1.0
を超えるケースもあり,複雑な地形による音の反 射と回折が影響したと考えられる.ここでは、負圧(p
2)と正
圧(p
1)の最大振幅の比を 0.4
とし、地形の影響を考慮した地形 係数で補正するようにした。図-5 は単発発破波形の正圧の継続時間
t
d (図−1 参照)で,バラツキは非常に大きいが,その原因は地形の影響の他に 図-4 負圧(
p
2)と正圧( p
1)の最大振幅の比
最大負圧と最大正圧の比0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4
0 400 800 1200 1600
距離(m) p2/p1
発破諸条件のバラツキ、td が非常に小さいこと、計測値の読 み取り誤差などが含まれている。平均値として大よそ td=
0.06sec である.
0 0.04 0.08 0.12
0 400 800 1200 1600
距離D(m) td(s)
上記の実測結果の統計を基にした,単発発破の音圧曲線の 近似式は,式(3)となる.
Ψ(t,d) =φ(d)・Φ(t)
(3)
ここで、Φ(t)=
COS ( π t / 2 td) exp ( ―β t
2/ td) (4) 図-5 単発発破波形の正圧の継続時間
は波形形状曲線で、βは前述の地形係数である。
) (4) 図-5 単発発破波形の正圧の継続時間
は波形形状曲線で、βは前述の地形係数である。
3.単発発破波形のシミュレーション
図−6 は単発波形について、式
(3)
のシミュレーション 波形と場内(D=359m)で得た発破実測波形の比較の1
例 で,波形形状はかなり近似していることが分かる。前述 したように実測波形は発破条件の不確定でバラツキが 大きいため、本法では、あくまでも正・負圧最大振幅、継続時間などの適用に留まりたい。 図−6 単発模擬波形と実測波形の比較例 2003年2月26日測点2,距離D=359m
-20.0 -10.0 0.0 10.0 20.0 30.0
1.0 1.2 1.4 1.6
T(s)
音圧(Pa) 計測
模擬
参考文献 1)辻 勇、津垣昭夫、岸 正宏, 科野健三:明かり発破施工による超低周波空気振動の検討、土木学 会論文集、No。528/Ⅵ−29、69−79、1995.12 2)(社)日本騒音制御工学会技術部会低周波音分科会:発破による音 と振動、㈱山海堂、1996.1
3)熊谷修治,孫
建生,坂本浩之,国松 直,今泉博之,高橋保盛:大量土岩工事に おけるベンチ発破の低周波音低減工法,第58
回土木学会全国大会講演論論文集、2003.9土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
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