生活空間で発生する低周波音の計測法と周波数特性
大同工業大学大学院 学生員 ○河原田豊 大同工業大学 都市環境デザイン学科 正員 水澤富作
1.はじめに
振動する橋梁や各種回転体などから発生する低周波音は,社会的な環境騒音問題 1),2)として知られている が,回折を伴う複雑な伝播特性を示すので,定量的な計測や評価法が必ずしも確立されているとは言い難い.
低周波音の定義は,一般的に周波数(振動数)がおよそ1Hz から100Hz の範囲の音であり,また「低周波音 の測定方法に関するマニュアル」3)や「低周波音防止対策事例集」が環境庁から公表されている.しかしな がら,低周波音の発生原因や伝播特性を調べるためには,
その計測法や評価法も含めて,さらなる技術開発が必要と されている.
机
エアコン
①
②
③
④
⑤ ⑥ ⑦
⑧
⑨
パソコン パソコン
パソコンパソコン
左窓 右窓
冷蔵庫
机
エアコン
①
②
③
④
⑤ ⑥ ⑦
⑧
⑨
パソコン パソコン
パソコンパソコン
左窓 右窓
冷蔵庫 冷蔵庫
本研究では,都市空間に発生する低周波音の実態を調査 するために,低周波音が日常の生活空間でどのように発生 し,どのくらい含まれているかを明らかにし,また低周波 音の計測法と周波数特性について検討している.
2.測定方法
図‑1には,測定点の概略図が示してある.各測定点で低 周波音レベル計(リオン製 NA‑18)を用いて周波数 1〜80H の等価音圧レベル(Leq)の測定を行ない,また,音響イン テンシティメータ(リオン製 SI‑50)とインテンシティプ ローブ(リオン製 UC‑53I)を用いて,周波数域 25〜10kHz での音響インテンシティレベル(SIL)と音圧レベル(SPL)
を複数回測定を行なった.ここで,測定時間は 1 分とし,
測定高さは床面より約 1.2m としている3).また,
z
測定を行 なった場所は 7.5×5.5×2.5m の室内である.
図-1 室内における測定点の概略図
0 10 20 30 40 50 60
0 2000 4000 6000 8000 10000 周波数(Hz)
SIL(dB)
稼動中 停止
図‐2 機械の稼動別のSIL 測定には,1/3 オクターブ分析の音響インテンシティメ
ータとスペーサ 50mm の 1/2 インチのペアマイクロホンを有 するインテンシティプローブを用いている.また,低周波 音レベル計は 1/3 オクターブ分析としている.
0 10 20 30 40 50 60
0 2000 4000 6000 8000 10000
周波数(Hz)
SPL(dB)
稼動中 停止
図‐3 機械の稼動別のSPL また,等価音圧レベル(Leq)は次式で表される.
(
dB p dtt p t
Leq t t
t
= −
∫
12 20 2
1 2
) ( log 1
10
)
…(1)ここで,p(t):音圧(Pa),p0:2.0×10−5(Pa),t1,t2:時間( )secである.
3.測定結果および考察
3.1 音響インテンシティレベルと音圧レベルの分布特性 はじめに,可聴域(25Hz〜10kHz)におけるパソコンと
エアコンから発生する音について検討を行った.図-2には,測定点①におけるパソコンとエアコンが稼動し
キーワード 低周波音,音響インテンシティレベル,音圧レベル,等価音圧レベル
〒457-8532 名古屋市南区白水町40 大同工業大学都市環境デザイン学科 TEL052-612-5571 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)
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ているときと停止しているときの平均音響インテ ンシティ分布が周波数ごとに示してある.これよ り,SILは,両者が稼動しているときと停止して いるときに関わらず,3000Hz 以降はほとんど影 響を受けないことがわかる.
一方,図-3には、SILと同条件で測定を行なっ た平均音圧レベル(SPL)分布が周波数ごとに示 してある.これより,SPLは,3000Hzから7000Hz の間で大きく出ていることがわかる.これは,パ ソコンとエアコンから出ている音がその区間で大 きく出ていることを示している.また,可聴域に おいてSILとSPL の周波数特性が異なることが わかる.
3.2 低周波音域の等価音圧レベルの分布特性 次に,低周波音域での等価音圧レベル(Leq)
の分布特性について検討を行った.図-4には,測 定点別にパソコンとエアコンが稼動しているとき と停止しているときの等価音圧レベルの分布が周 波数ごとに示してある.これより,Leqは同じ空 間内であっても測定点によって異なった結果を示 している.これは,外部からの低周波音が室内空 間にも影響を与えてくるためであると考えられる.
また,図-5には,測定点別にパソコンとエアコ ンが稼動しているときと停止しているときの最大 音圧レベル(Lmax)の周波数特性が示してある.
これより,Lmaxの分布についてもLeqと同様の ことがいえる.
図-6には,建物の周辺にある室外機から発生す る等価音圧レベルと室内のLeqの比較が示してあ
る.ここで,室外機より約1m離れた地点で測定を行ない,また,室外機の測定面も変えて測定している.
これより,室外機からの低周波音は,室内での値よりも大きく出ていることがわかる.また,測定面によっ てLeqの周波数特性が異なっている.また,Leqの分布特性より,室外機から発生する低周波音と先に示し た室内での低周波音の周波数特性は似ている.これより,室外で発生した低周波音は,室内の生活空間にも 含まれていることがわかる.
図‐4 測定点別のLeq
0 10 20 30 40 50 60 70
0 20 40 60 8
周波数(Hz)
等価音圧レベル(dB)
測定点①Leq(稼動中) 測定点①Leq(停止)
測定点⑤Leq( 稼動中) 測定点⑤Leq(停止)
0 10 20 30 40 50 60 70 80
0 20 40 60 8
等価音圧レベル(dB)
測定点①Lma x (稼動中) 測定点①Lma x (停止)
測定点⑤Lma x ( 稼動中) 測定点⑤Lma x (停止)
0
図‐5 測定点別のLmax
周波数(Hz)
40 50 60 70 80
ベル(dB)
0 10 20 30
0 20 40 60 80
周波数( Hz)
等価音圧レ 正面 側面 室内
0
図‐6 室外機の測定面別のLeq
4.まとめ
本文の結果をまとめると以下の通りである.
1)可聴域においてSILとSPLの周波数特性は異なる. 2)低周波音域でのLeqの周波数特性は測定点に
よって異なる. 3)室内空間の低周波音は,外部で発生した低周波音も含んでいる.
参考文献
1)時田保夫:低周波音問題の全体像,資源環境対策,Vol.37,No.11,pp1113-1119,2001 2)落合博明:低周波音の測定,資源環境対策,Vol.37,No.11,pp1139-1144,2001 3)環境庁大気保全局:低周波音の測定方法に関するマニュアル,2002
土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)
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