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(1)Ⅶ-52. 第37回土木学会関東支部技術研究発表会. 窒素過多公園池の適正管理 (2)アオミドロの増殖特性の解明と有効利用法の考案 千葉工業大学 生命環境科学科 学員 ○樋田卓也 千葉工業大学 生命環境科学科 正員 村上和仁. 1.目的 千葉県 習志野市の実籾本 郷公園池は窒素過 多の水質であり、毎 年大型藻類である アオミドロ (Spirogyra sp.)が大量に繁茂し、景観の悪化や親水機能の損失を招いている。アオミドロはラムサ ール条約において湿地に対して侵入的になりうる生物として取り上げられるほど繁殖力が強く、環境に 悪影響をあたえる可能性がある。本研究では、実籾本郷公園池からアオミドロを採取し、培養実験によ り増殖特性の解明および抑制方法、有効利用法を考案することを目的とした。 2.実験方法 2.1 アオミドロ培養条件 水温が及ぼす増殖特性の変化を次の条件で調査した。現地で採取したアオミドロを洗い軽く水気を取 り、電子天秤で 0.5g 測り取り 25ml 容試験管に入れた(図 1)。そこに濃度 T-N 16.0mg/l、T-P 1.6mg/l に調製した M11 倍地 20ml を入れ、照明付き恒温培養器にて 5,000lx、各水温 10℃,15℃,20℃で、2 週 間の静置培養をした。測定は 0,1,2,4,8,10,12,14 日の 9 回測定した。 栄養塩類の吸収特性を評価するために次の条件で調査した。上記と同様の操作でアオミドロ 0.5g と M11 培地 200ml を測り取り 300ml 容フラスコに入れ、水温 15℃で 1 ヶ月間静置培養した。測定は 0,3,7,10,14,17,21,23,28 日の 9 回測定した。 2.2測定方法 各水温で試験官培養したアオミドロを吸引ろ過で 5 分間吸引 し水気を除去した後耐熱皿に入れ、デシケーター内で 30 分乾燥 し、湿重量測定をした。その後電気釜(温度 105℃)により 2 時間高温乾燥し、乾燥後デシケーター内で 30 分間放冷し、乾燥 重量を測定した。また、 (1)式により増殖の割合を計算した。. a =. W - W0 ´ 100 W0. ・・・(1). 増殖の割合 (%). α:増殖の割合(%)、 W:最大増殖乾燥重量(g) W0:初期乾燥重量(g) 図1 試料の様子 15℃でフラスコ培養したアオミドロを上記と同様の操作を行 った後、ろ液を T-N,NO3-N,NO2-N,NH4-N,T-P,PO4-P を測定した。各栄養塩の吸収速度と栄養塩濃度と の間に Michaelis-Menten の関係が成り立つとし、Lineweaver-Burk のプロットから半飽和係数を求め た。増殖曲線より比増殖速度、死滅係数、収率を算出した。 2.3有効利用法の検討 アオミドロは肉眼で観察できるほど大型であり、繊維のように細長い藻類である。このアオミドロの 特徴に着目して紙としての利用法を検討した。日本の伝統工芸品である「和紙」を参考にし、通常の和 紙作りと同様の和紙風アオミドロ紙、パルプ化したアオミドロ紙の二種類のアオミドロ紙を作成した。 3.結果および考察 10 3.1 アオミドロの増殖特性 8 水温 10℃での培養では2日目まで乾燥重量が減少し、その 6 後増減を繰り返しほぼ一定に近い緩やかな減少傾向を示した。 4 水温 15℃では 1 日目まで減少し、その後増加を始め 6 日目に 2 最大値をとった。水温 20℃では 1 日目まで減少し、その後若 0 10 15 20 干の増加をして減少傾向を示した。(1)式より求めた増殖の 水 温 (℃) 割合を図 2 に示した。図 2 より、水温 20℃では増殖の割合が 図2 各水温における増殖の割合の変化 少なく全体的に減少傾向がみられたことから、暖かい水域で キーワード;アオミドロ、培養、侵入的生物、最適水温、吸収特性 〒275‑8588 千葉県習志野市津田沼 2‑17‑1(千葉工業大学生命環境科学科) TEL;047‑478‑0455 FAX;047‑478‑0474.

(2) Ⅶ-52. 第37回土木学会関東支部技術研究発表会. 17. NH4-N濃度(mg/l). 濃度 (mg/l). NO2-N濃度 (mg/l). 濃度 (mg/l). T-N は生育が難しいことが考えられる。また、水温 10℃では増殖の 15 NO3-N 割合こそ少ないが、乾燥重量や見た目の変化が少ないことから休 13 眠状態にあると考えられ越冬が可能であることが示唆された。水 11 温 15℃でもっとも増殖の割合が大きくなっており、アオミドロ 9 の生育に最適な水温であると考えられた。また、水温 15℃におけ 7 る増殖曲線より比増殖速度は 4.2×10-3(g/day)、死滅係数は 1.0 5 0 3 7 10 14 17 21 23 28 ×10-3(g/day)であった。 日数 (day) 3.2 栄養塩収支 図3 窒素栄養塩の収支 栄養塩類の吸収特性の結果を図 3〜5 に示した。T-N、NO3 –N は 10 日目まで緩やかに減少し一定の値のまま推移した。T-P、 0.025 0.25 NO2-N PO4-P は 14 日目まで減少してほぼ 0 に近い値となり 21 日目か 0.02 0.2 NH4-N ら緩やかに増加した。NO2-N は右肩上がりに増加し、NH4-N は 0.015 0.15 17 日目まで一定の値となり 23 日目以降急激に増加した。これら 0.01 0.1 はアオミドロによる代謝産物及び枯死による栄養塩の溶出のため 0.005 0.05 と考えられる。増殖曲線のピークがみられたのは 17 日目であり、 その時点で窒素は十分に残っていたが、リンはほぼ 0 に近い値と 0 0 0 3 7 10 14 17 21 23 28 なっていた。Michaelis-Menten 式から T-N の Ksは 0.37、T-P 日数 (day) の Ksは 0.30、対数増殖期の T-N の収率は 0.052(g /g)、T-P の収 図4 窒素栄養塩の収支 率は 0.012(g /g)となった。N/P 比は 4.0 となり、一般的な植物プ 1.8 T-P 1.6 ランクトンの N/P 比 10 と比較してリンをよく吸収することが示 PO4-P 1.4 1.2 された。また、アオミドロの T-P の吸収率は 74.8%であるのに対 1 0.8 し、植栽浄化で利用されるヨシは約 50%、キショウブは約 70%で 0.6 0.4 あり、アオミドロは高いリン吸収特性を有していた。以上の結果 0.2 0 より、アオミドロの増殖は窒素よりもリンに依存していると考え 0 3 7 10 14 17 21 23 28 日数 (day) られた。よって、実籾本郷公園池ではアオミドロによる景観の悪 化などの問題も発生している一方で、特にリンが吸収されること 図5 リン栄養塩の収支 による自浄作用に貢献していると考えられる。また、水質分析に おいてはアオミドロを除去して測定するため、結果として公園池 を窒素過多の状態にしている可能性が示唆された。 3.3 アオミドロの有効利用法 和紙風アオミドロ紙は非常に脆く、この脆さは粘剤などを変更しても克服することができず、和紙 のような物理的な結合で紙にすることが難しいと考えられた。パルプ化したアオミドロ紙は、セロハン に近い見た目と手触りをしていた。また、マジックで文字が書けるぐらいの強度を有していた。これは 完全にセルロースに近い状態になったためであると考えられる。 今回の実験で得られたアオミドロの高い栄養塩吸収特性を利用し、アオミドロを利用した植栽浄化法 も今後検討の余地があると考えられた。 4.まとめ 1)実籾本郷公園で繁茂しているアオミドロの最適生育水温は 15℃であり、水温が高い水域ではアオミ ドロの生育が難しいが、低い水温では休眠状態になり越冬が可能であることが示唆された。 2)実籾本郷公園で繁茂しているアオミドロの比増殖速度は 4.2× 10-3(g/day)、死滅係数は 1.0× 10-3(g/day)、T-N の半飽和係数は 0.37、T-P の半飽和係数は 0.30、T-N の収率は 0.052(g/g)、T-P の収 率は 0.012(g /g)であった。 3)アオミドロにはリンの高い吸収特性が認められ、公園池の水質を窒素過多にしている原因の1つで あることが示唆された。 4)アオミドロ藻体からセルロースを抽出しパルプ化することで紙に近づけることができた。 参考文献. 1)ラムサール条約第7回締約国会議文書 24 侵入種と湿地、http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop7/cop7_doc_24_j. htm、2)ケナフパルプとケナフ紙はがきの作り方 http://www.minc.ne.jp/~s-yana/kenkyu/kenafpaper/kenafpaper.htm、 3)石原暁ら(2004)水生植物を利用した水質浄化実験 香川県環境保健研究センター所報 第 3 号.

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