10月25日講義参考資料
注意:
•
11 月 1 日は休講です .
• このノートはホームページ
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ shimizu/LectLB2017.html
(google検索:「清水達郎」+「RIMS」+「線形代数」)から ダウンロードできます.ただし講義の内容と一致するとは限 りません.
• 線形代数の理論的な部分に興味がある人は,指定参考書ととも に次の文献も参考にするとよい:『理系のための線形代数の基 礎』(代表著者:永田雅宣,紀伊国屋書店)
今日の講義を通してKをQ(有理数),R(実数),C(複素数)のいず れかとする.
2-1. 線形写像 ( つづき )
命題2.5. f :V →W を線形写像とする.このとき (1) Imf ⊂W はW の線形部分空間である. (2) Kerf ⊂V はV の線形部分空間である.
Proof. (1)y1, y2∈W がy1, y2∈Imf とすると,x1, x2∈V があっ てf(x1) =y1, f(x2) =y2を満たす.任意のa, b∈Kに対し,
f(ax1+bx2) =af(x1) +bf(x2) =ay1+by2
であるから,ay1+by2∈Imf.
(2)任意のx1, x2∈Kerf,a, b∈Kに対し,
f(ax1+bx2) =af(x1) +bf(x2) = 0 であるから,ax1+bx2∈Kerf.
写像f :X →Y が,a̸=b∈Xならばf(a)̸=f(b)をみたすとき,f は単射であるというのだった.線形写像に対してはすべてのa, bを 調べなくても核を調べれば十分なことがわかる:
補題2.6. 線形写像f :V →W に対して以下はすべて同値.
(1) f は単射.
(2) Kerf ={0}. (3) dimKerf = 0.
Proof. 0次元ベクトル空間は,0個のベクトルからなる基底を持つ.
0個の基底の線形結合からは0しか作れないから,0次元ベクトル空 間は{0}である.(「何も足さない」=「0」と考える.0個の線形結
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合は何も足さないのだから0となる.似た考えとしては,「何もかけ ない」=「1」として,0! = 1がある.)したがって(2)と(3)は同 値.(1)と(2)が同値であることを示す.
(1)⇒(2) x ∈ Kerf とする.f は線形写像なので f(x) = 0 = f(0).これと単射性よりx= 0.よってKerf ={0}.
(2)⇒(1) x, y ∈V がf(x) =f(y)を満たすとする.f は線形写 像なのでf(x−y) =f(x)−f(y) = 0. よってx−y∈Kerf ={0}. したがってx−y= 0, すなわちx=yなので単射.
写像f : X →Y が,任意のy ∈ Y に対してあるa∈ X が存在 し,f(a) =yとなるとき,fは全射であるというのだった.線形写像に 対してはすべてのy∈Y を調べなくても像の次元を調べれば十分な ことがわかる:
補題2.7. 線形写像f :V →W に対して以下はすべて同値.
(1) f は全射.
(2) Imf =W.
(3) dimImf = dimW.
Proof. (1) と(2) が同値なのは定義である.(2) ⇒ (3)は次元が well-definedであること(基底の元の数の一意性)から直ちに従う.
残る(3)⇒(2)を示す.一般に線形部分空間W′ ⊂W がdimW′= dimW(=:n)を満たすときW′ =W となることを示せばよい.背 理法で示す.y∈W\W′ があると仮定する.W′の基底をひとつと りw1, . . . , wn ∈W′とすると,w1, . . . , wn, yは線形独立である(← 先週の定理1.24の証明と同じ議論による).よって 定理1.24(1)か ら,n+ 1≤dimW.これは矛盾.
単射でかつ全射である写像を全単射というのだった.全単射な写像 は逆写像を持つ.実際f :X →Y, x7→f(x)に対し,f−1:Y →X をf(x)7→ xと定めれば,これはwell-definedであり,f ◦f−1 = idY, f−1◦f = idXを満たす.
定義2.8. 全単射線形写像を線形同型写像という.線形空間V とW の間に線形同型写像f :V →W があるとき,V とW は線形同型で あるという.
線形同型写像は逆写像を持つが,この逆写像も線形同型写像と なる.
命題 2.9. f :V →W を線形同型写像とすると,f−1:W →V も 線形同型写像である.
Proof. 逆写像が線形写像であることを示せばよい.f は全射なの
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で,任意の y1, y2 ∈ W に対し,y1 = f(x1), y2 = f(x2)となる x1, x2が(単射なので唯一つ)存在する.任意のa, b∈Kに対して,
ay1+ay2=af(x1)+bf(x2) =f(ax1+bx2)なのでf−1(ay1+by2) = ax1+bx2=af−1(y1) +bf−1(y2). よってf−1は線形写像.
命題 2.10. f : V →W を線形同型写像とする.{v1, . . . , vn} ⊂V がV の基底なら,{f(v1), . . . , f(vn)} ⊂W はW の基底である.特 にdimV = dimW.
今日のメインテーマは次の次元定理を証明し,使えるようになるこ とである.
定理2.11(次元定理). 線形写像f :V →W に対し次が成り立つ: dim Kerf+ dim Imf = dimV.
Proof. v1, . . . , vk を Kerf ⊂ V の 基 底 と す る .こ こ で k = dim Kerf で あ る .v1, . . . , vk を 延 長 し て 得 ら れ る V の 基 底 を v1, . . . , vk, vk+1, . . . , vnとする.f(vk+1), . . . , f(vn)∈W がImf の 基底であることを示す.
vk+1, . . . , vnの線形結合∑n
i=k+1aiviがKerf に入っているとす ると,ak+1=· · ·=an = 0である(定理1.24の証明と同じ議論). よってak+1f(vk+1)+· · ·+anf(vn) = 0ならばak+1=· · ·=an = 0 であるから,f(vk+1), . . . , f(vn)∈W は線形独立である.
Imf ={f(v)|v∈V}であり,V はv1, . . . , vnで生成されるので Imfはf(v1), . . . , f(vn)で生成される.f(v1) =· · ·=f(vk) = 0で あるから,Imfはf(vk+1), . . . , f(vn)で生成される.
以上より,dim Imf =n−k= dimV −dim Kerf. 系2.12.
(1) f :V →Wが単射ならばdimV ≤dimW. (2) f :V →Wが全射ならばdimV ≥dimW.
系 2.13. f :V → V が単射であることと全射であることは同値で
ある.
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問 1行列A =
1 1 2 0
0 1 1 −1 1 3 4 −2
によって定まる線形写像fA : R4→R3について以下の問に答えよ.
(あ) kerfAの基底を1つ求めよ.
(い) (あ)で求めたKerfAの基底を延長して得られるR4の基底を 一つ求めよ.
(う) (い)の基底を写像fAで送ることで,ImfAの基底をひとつ求 めよ.
(え) (う)の基底を延長して得られるR3の基底をひとつ求めよ.
(お) (あ)の基底を{v1, v2, v3, v4},(え)の基底を{w1, w2, w3}とお く.fA(vj) =∑
jbijwiによってbij ∈Rを定めるとき,行列 B= (bij)∈M3,4(R)を求めよ.
問 2 行列A ∈ Mm,n(K)に対し,線形写像 fA : Kn → Kmを f(v) =Avで定める.このとき, rk(A) = dim Im(fA)であることを 示せ.
休講中の課題&予習:上の問 1 ,問2および余 裕があれば参考書 4.4 節, 4.7 節を予習.
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