九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
生食用ブドウの果色と果皮アントシアニンとの関係 : 果色育種への応用
渡部, 由香
九州大学農学研究科農学専攻
https://doi.org/10.11501/3075457
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
生食用ブドウの果色と果皮アントシアニンとの関係 -果色育種への応用一
AV
由
香9 4
部
9
渡
目次
4 5
8 7
4
ー - - - ー .. - - - ・ ー ・ ・ ・酌 ー 一 一一一ー一一 一 ー ー ー ーー ・・ー・- - -
ー ー ー ー ー ー ー ーー ・ ー ー ・ ー ーー -ーー 一一 一一一
トシアニン組成 系統の果皮アン
土μ方ひょ
種 お
品言料果察要培緒材結考摘栽
緒論 第l章
第2章
1 2 27
28 29 3 1 27
トシアニンとの関係
法
ン 方 ア ひ 皮 よ 果 お
と言料果察要色緒材結考摘果
第3章
33
44 47 4 1 4 1 42
トシアニン
ンア
皮 法 果 方 と ひ
敦…よ
成 お
の言料果察要実緒材結考摘果
第4章
5 1
60 60
62 63 61
トシアニン組成に及ぼす影響
ンア
法 皮 方 果 び が よ 度 お
温言料果
察 要
育緒材結考摘生
第5章
66
73 74 77 79 72 72
光条件が果皮アントシアニン組成に及ぼす影饗 緒言
材料および方法 結果
考察 摘 要 第6章
第7章
第8章 総摘要
Sumarry
謝辞 引用文献
交雑次代における果皮アン 緒言
材料および方法 結果
考察 摘要 総合考察
トシアニン組成の変異
88
88 89 90 94 98
1 08
1 18
1 22
1 2 7
128
第l章 緒論
ブドウは紀元前3千年の太古から栽培されており. 人類にと って
最も親しみ深い果樹の一つである.
ブドウ属 Vitisは約70種からなるが, その中でヨーロ ッ パブドウ
(
y. y inifer Q
L.)とアメリカブドウ(y. 1
abruscQ
L.)が栽培ブドウとして最も重要である. ヨーロ ッ パブドウには良質のワイン原
料となる品種や高品質の生食用品種が含まれており, 栽培品種数も
多く, 世界のブドウの生産量の90%以上を占めている. アメリカブ
ドウは北アメリカ原産の野生種の一つで, 病害虫抵抗性があり, 降
雨の多い風土でも栽培が容易である. この特性に着目して, 乾燥気
候を好むヨーロ ッ パブドウの栽培が困難な地方でも適応できる品種
を作出するための育種交配親として用いられ, ヨーロ ッ パブドウと
の間で交雑品種が多数育成されている.
その他の種では, ブドウネアブラムシに対して抵抗性の強いルペ
ストリスブドウ(
y_
. [upestri s Scheele)やリバリアブドウ( V.r ioari a Michx.)などがあり, これらの種から育成された品種が,
ブドウネアブラムシに対して抵抗性のないヨーロ ッ パブドウの台木
として利用されている.
日本においては, ブドウはほとんどが生食用として消費されてお
噌-aA
り, 高温多湿の気候で栽培可能な欧米雑種(
Y. 1 abrusc a
Xy.
v
inifera
)が広く栽培されている. また ヨーロ ッ パブドウの品種もガラス室やビニルハウスなどを利用して雨よけ栽培が行われてい る.
生食用品種は食味, 輸送性などと共に外観が重要視されており,
その中でも果色は消費者の購買意欲を左右する重要な要因である.
ブドウの果色は紫黒色, 紫赤色, 赤色, 緑黄色など多彩であるが,
一般には緑黄色の品種よりも紫黒色などの着色品種が好まれており,
育種の目標として, 着色の容易な黒色品種や鮮やかな赤色の果色を 持つ品種があげられている.
ブドウの着色品種の果色に寄与している主要な色素はアントシア ニンであり, 様々な品種で果皮アントシアニンの分析調査が行われ ている ( Akuta旦主主よ.,1977 ; Albach旦主亘よ.,1965 : Bakker and
Tirnberlake, 1985 : Ballinger 旦主
主よ.,1974 : Carreno-Diaz and ti
10 円l nHU
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い
叫一
Hebrero
Philip,
1974 ;Rib色reau-Gayon and Ribéreau-Gayon, 1958 ;Sakellariades
and Luh,1974 ; Srnith and Luh, 1965 ; Van B uren
旦主主よ., 1970;
Wenzel et al., 1987) .
これら果皮アントシアニンに関する研究が行われてきた理由として, 世界的にみてブドウの生産量の70%以上
qfu
がワイン用として消費されており, 赤ワインの品質の指標に果皮ア
ントシアニン組成が利用されてきたことがあげられる( Ri bereau-
Gayon.1974) .
わが国においても代表的なブドウ品種についての果皮アントシア
ニンの分析が行われおり( Aki yosi 旦主主よ.. 1 963 : 芥田
・
松富,1976a. b : 芥田ら, 1977a.b : 松富ら, 1977a : 太田ら, 1978),
さらに, 分析技術の発展と共に微量な色素も検出可能となっている
( Yokotsuka
旦主 主よ..1988).
しかしながら, これらの醸造用, 加工用の品種を中心とした果皮
アントシアニンの分析研究 の発展と比べ, 生食用品種の果色に関す
る育種の場面では, 交雑実生の果色変異の調査がわずかに行われて
いるのみで( Barritt and Einset, 1969 : 角ら, 1988), 実際に
は経験的な育種に頼らざるを得ない.
そこで本研究では生食用品種を中心に, 特にアントシアニン組成
に注目し, 広く分析調査を行い, 果色の変異と果皮アントシアニン
との関係、を明らかにした. さらに ブドウの果色発現に関与する様々
な要因を明らかにし, 遺伝的に安定であると思われる形質について,
交配による変異を調査した上で, アントシアニンの生合成経路を踏
まえて考察を行い, 果色に関する育種のための基礎資料を得ること
を試みた.
内喝U
第2章 栽培品種, 系統の果皮アントシアニン組成
緒言
ブドウの果皮アントシアニンには, アグリコンであるアントシア
ニジンとして, シ アニジン, ペオニジン, デルフ ィニジン, ペチ ュ
ニジン, マルビジンがあり, これらはアントシアニジン B環の置換
基の差異によって生じる. また, これらアントシアニジンは, 配糖
体の形となって細胞内の液胞中に存在しており, 主要な配糖体の型
として3ーモノグルコシド, 3. 5-ジグルコシド, さらにこれらにQ-ク
マール酸の結合したものがある.
果皮アントシアニン組成は品種によって異なり, 黒色品種である
‘巨峰' はマルビジン配糖体を主要アントシアニンとし(芥田 ・ 松
富, 1976a), 赤色品種の ‘Flame Tokay' や ‘Delaware' はマルビ
ジン配糖体を含まず, シアニジンやペオニジンの配糖体を主要アン
トシアニンとする( Akiyoshi旦主亘1.. 1963 ; 芥田 ・ 松富, 1976b)
ことから果皮アントシアニンの種類が果色の変異に関与しているこ
とが推察される.
配糖体型は種によって特徴があり, ヨーロ ッ パブドウは3-モノグ
ルコシドのみを またアメリカブドウを代表種とする北アメリカ大
陸原産のブドウは3-モノグルコシドの他に3. 5-ジグルコシドを含む
a4・
とされる( Ribéreau-Gayon. 1974 : Anderson 旦主 主よ.. 1970 ).
アントシアニジンの種類を決定するB環のヒドロキシル化やメチ
ル化, さらにアントシアニジンの配糖体化やアシル化に関しては,
より高次な化合物を生合成する反応が遺伝的に優性であるとされて
いる(Beale. 1941 ; Harborne. 1967 ; Heursel and Horn. 1977).
以上のことから, ブドウ各品種の果皮アントシアニン組成を広く
調査することにより, 黒色品種と赤色品種の果皮アントシアニン組
成の一般的な傾向を明らかにすることができ, さらにはそれぞれの
品種の果皮アントシアニンについての遺伝的な背景も推察し得ると
考えられる.
そこで本章では多数のブドウ品種を供試して, 果皮アントシアニ
ン組成を調査し赤色品種と黒色品種のアントシアニン組成を比較し
た. さらに ヨーロ ッパブドウと欧米雑種に出現するアントシアニン
組成パターンの違いを調査し, 現在の日本におけるブドウ品種育成
の過程におけるアントシアニン組成の変異の方向性を調査した.
材料および方法
農林水産省果樹試験場安芸津支場, 福岡県農業総合試験場園芸研
究所, 植原葡萄研究所, 九州大学農学部実験圏場に保存されている
ヨーロ ッパブドウ21個体, 欧米雑種38個体( 4倍性品種21個体を含
Fhd
む)
,
計59個体の成熟果実を用いた.果実より剥皮した果皮を- 2 QOCで凍結させた後, 凍結乾燥を行っ
た 凍結乾燥果皮を1 %塩酸に24時間浸潰し, 組抽出液を得た ろ
過後得られた組抽出液を Sep-Pak C18 (Watcrs)カートリ ッ ジに通
し, アントシアニン色素を吸着させた. 色素をH及' せたカートリ ッジを脱イオン水で充分に洗浄し, 低分子の爽雑物を除去した つ
いで, カートリッ ジに吸着した色素を1 %塩酸酸性メタノールで溶
出し, 窒素ガスで濃縮したのち試料とした. 試料をセルロース待/国 プレート(フナコシ製アビセルS
F
)に展着し, 2次元クロマトグラフ ィー を行った. 展開溶媒は1次元方向にイソブタノール/酢酸
/水=8 /2/3 (V/V), 2次元方向に酢酸/塩酸/水=15/3/82
( v
/ V)を用いた.展開後の薄層プレートをよく風乾させ, 2次元クロマトグラム上
の各スポットの配列性, 可視光および紫外線下での色調とモリフデ ン試薬(Bent1ey.
1960
での呈色反応を調査し, アントシアニンの同定を行った. さらに, それぞれのスポットを2波長クロマトス
キャナー(島津製作所C
S -
10, 9 測定波長53 0run, 対照波長7 00nm)で測定し, 組成比を求めた(太田ら, 1979).
円hU
結果
第l図に2次元クロマトグラムの模式図を示す. クロマトグラム
上のスポットは, 結合糖の種類やアシル化の有無によって, 4つの
グループに分けられた. 各グループ内のスポットは, アントシアニ
ンB環の置換基数2個のシアニジン ーペオニジン系列と, 置換基数
3個のデルフ ィニジン ーペチュニジン ーマルビジン系列に分けられ,
さらに, クロマトグラム下方よりデルフ ィニジン, ペチ ュニジン,
シアニジン, マルビジン, ペオニジンの)1債に配列した.
第1表に各スポットの色調とモリブデン試薬による呈色反応を示
す. シアニジン, マルビジン, ペオニジンの3, 5-ジグルコシドとそ
のアシル化色素は紫外線下で蛍光を発した. またモリブデン試薬の
噴霧によりシアニジンが藤色に, ペチ ュニジン, デルフ ィニジンが
青色に変化した.
第2表に ヨーロッ パブドウに属する品種の果皮アントシアニン組
成を示す. 全ての品種において3ーモノグルコシドのみが検出された.
赤色品種はシアニジンあるいはペオニジン主体型のアントシアニン
組成を持つものが多かった. またこれらの品種はアシル化アントシ
アニンの含量が少なかった 赤紫や黒の果色を持つ品種はマルビジ
ン配糖体を主要色素とし, アシル化アントシアニンを比較的多く含
んでいた.
第3表に欧米雑種の品種の果皮アントシアニン組成を示す. 赤色
品種のほとんどがシアニジン主体型のアントシアニン組成を持って
いた 黒色や赤紫色の果皮に含まれる主要アントシアニジンの種類
は, デルフ ィニジンやマルビジンであ った. ほとんどの品種がジグ
ルコシドを含んでいたが . ‘Suffork red' のように3-モノグル コシ
ドのみを含む, いわゆるヨーロ ッ パブドウ型の配糖体型を示す品種
も存在した.
第4表に日本において育成された4倍性の品種の果皮アントシア
ニン組成を示す. 赤色品種はシアニジンやペオニジンを主要アント
シアニジンとするアントシアニン組成が多く, 黒色品種はマルビジ
ン配糖体を多く含んでいた.
考察
アントシアニンの生合成はさまざまな植物で研究されているが,
遺伝生化学的な手法を用いた近年の報告によると, アントシアニン
B環の3・位や5・位のヒドロキシル化はアントシアニンの前駆物質の
段階で起こると考えられている(Forkmann,
1980
; Spribille andForkmann. 1984
;Stotz and Forkmann. 1982 ) . またアントシア
ニンのメチル化に関しては, ペチュニアを用いてアントシアニンを 基質とした研究がなされており(Jonsson 主主主上,
1982),
このメnδ
チル化反応は生合成系の最終段階で起こるという説が有力になっr
いる.
花弁中にブドウ果皮と同様のアントシアニジン組成を持っている アザレ アやペチュニアで, アントシアニン生合成の経路に関与する 遺伝子が明らかにされており(
H e u r s e 1
an d H
0r n . 1 9 7 7 : W i e r i ng,
1974)
, これらの報告から ブドウ果皮におけるアントシアニンの環に関する生合成経路を推定した(第2図) •
果皮の主要アントシアニジンとしてシアニジンを含むグループ,
すなわちタイプIはアントシアニジン B環のメチル化や5・位のヒド ロキシル化が進まない品種群である. タイプEは3・位のメチル化が 進んだべオニジンを多く含むが5・位のヒドロキシル化は起こりにく い品種群である. さらにタイプ田はメチル化色素が現れず, アント シアニン B環の5・位のヒドロキシル化が進んだデルフィニジンを主 要色素とする品種群である. また, 5'位のヒドロキシル化が起こり,
さらに3・位5 '位のメチル化が進み, マルビジン以外のアントシアニ ジンを含むタイプIV, アントシアニン生合成の最終産物であるマル ビジンを多く含むタイプVがある (第2, 3, 4表) •
赤色品種のアントシアニン組成はシアニジン主体のタイプIか,
あるいはシアニジンとペオニジンを含むタイプEであり, 黒色品種 のアントシアニン組成はタイプIII, IV, あるいはVであった. しか
-9-
しながら . ‘Itchkimal' ゃ . r\ew York Muscat
(N. Y.
Muscat)・ のように, 黒色品種の中にもタイプ日のアントシアニン組成を持つも の
があり, また . ‘Rizamat' や ‘ バイオレ ッ ト植原(Violet Uehara)・
のようにタイプVの中に赤色品種に近い紫赤色の果皮色を持つもの
があり, 更に細かく果色とアントシアニンの関係を調査することが
必要であると考えた.
今回の調査では, 種に特有のアントシアニン組成が存在すること
が明らかとな った. ヨーロ ッ パブドウにはタイプ1 , II, Vが見い
だされ, タイプ田, IVは見られなかったことから, この種はアント
シアニン B環のヒドロキシル化が進むと同時にメチル化も進むと考
える. 欧米雑種では全てのアントシアニジンタイプが存在し, ヒド
ロキシル化とメチル化の反応は別々に起こると考える. 現存の栽培
品種では純粋なアメリカブドウは少ないが, アメリカブドウ原種に
最も近いといわれている,
‘Concord' , ‘Hicks' のアントシアニ
ン組成は, デルフ ィニジンを多く含むタイプ田やタイプWであり,
メチル化があまり進んでいないことから, ヒドロキシル化が進んで
もメチル化が起こりにくい性質はアメリカブドウに由来すると推察
する.
巨峰関連品種は日本で育成された品種で, 欧米雑種であるが, ア
ントシアニン組成の特徴はヨーロ ッ パブドウと同様の傾向を示した.
-10-
これらの品種は育種の際に, 果実の大粒化 と共に品質の向上を目的
として, ヨーロ ッ パブドウの性質 を多く取り入れるように交配が行
われたため(第3, 4図) , アントシアニン組成の特徴もヨーロ ツ
パブドウの品種群に近くなったと思われる.
また, 欧米雑種の品種である ‘ Suffork red' や ・ ジャ スミン
(Jasmin) , では欧米雑種の特徴である3. 5 -ジグルコシドが見られな
かった.
一般に, ヨーロ ッ パブドウは3 -モノグルコシドのみを含み, 欧 、υ
雑種では3
.
5-ジグルコシドが存在するため, 果皮アントシアニンの配糖体型は品種成立に関与した種の判定に補助的に利用されてきた
(Carreno-Diaz and Luh. 1969; Chen and Luh. 1967; Koeppen and
Basson. 1966 ; Sakellariades and Luh. 1974 ; Somers. 1966).
しかし, ヨーロ ッ パブドウで3回戻し交雑した 品種からは3,5-ジグ
ルコシドが見いだされないという報告もあり(太田ら, 1978), 配 糖体型を利用する品種の種の判定には疑問が残っていた
今回の調査で, 欧米雑種の品種の配糖体型は様々であることが 判
明したので, 配糖体型によって品種成立に関与した種を推察するの
は不適当であると言わざるを得ない.
アシル化については, ヨーロ ッ パブドウではタイプVの品種群で
はアシル化が進む傾向があったが, 欧米雑種の品種群ではアシル化
'tt& 噌'ム
アントシアニンとアントシアニジン型の関連はなか った. アシル化
アントシアニンの遺伝様式については ヨーロ ッ パブドウと 欧米雑種
では異なることが推察される.
日本における生食用ブドウ品種の育種目標として, 高品質の品種
の育成があげられており, 交配により ヨーロ ッ パブドウの形質を 導
入する傾向がある. 今後もこの傾向が進めば, 果色のアントシアニ
ン型としては ヨーロ ッ パブドウ型のタイプ1 , n, Vが増加すると
考えられる.
摘要
ヨーロ ッ パブドウ2 1個体, 欧米雑種38個体( 4倍性品種2 1個体を
含む)
,
計59個体の成熟果実の果皮アントシアニン組成を 調査し,アントシアニジン B環の5・位のヒドロ キシル化, およびメチル化の
有無によって以下のように品種を 分類した
タイプ1 : 最も単純な型であるシアニジン( C y)を 主要色素とす
るCy型.
タイプII: ぺオニジン( P n )を 主要色素とし, 他にシアニジンを
多量に含む Pn
+
Cy型.タイプ皿: デルフ ィニジン( D
1
)を主要色素とするDl+
Cy型.タイプIV: ヒドロ キシル化もメチル化も起こるが最終産物のマル
内/M'tA
ビジンを含まないDl+Pt+Cy+Pn型.
タイプ\1: ヒドロキシル化もメチル化も進んだマルビジン ( M v
)
を主要色素とするMv型.赤色品種はタイプIとタイプ日が多かった. 特にタイプIの品種
群はすべて赤色の果色を持っていた. タイプ日の品種は赤色品種と
黒色品種があ った. タイプm, rv, Vはほとんどが黒色品種であ っ
たが, 赤紫色の果色を示す品種も存在した.
ヨーロ ッ パブドウではタイプ1, II, Vが, 欧米雑種では全ての タイプが見いだされた 巨峰関連の品種群はヨーロ ッ パブドウと同
様, タイプ1, II, Vが多かった.
欧米雑種の品種の中にアメリカブドウの血を引く系統に特有で あ るといわれる3. 5-ジグルコシドを含んでいない品種が見いだされた.
円ぺu'Eよ
reagent molybdate
with
⑪
:Ba山chromic shift�
:Fluorescence underlight
DG-Cm
MG 1 0
4
2 8
6
(E υ co~ 』 のい凶吋主
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Ae1111
8 6
( cm ) 4
Migration
( 2nd ) 2
。
。
AHW
ーーーー�
chromatogram of thin-layer
two-dimentional Schematic
F ig.
( v / v ) .
15:3:82 8:2:3
water acid
anthocyanins from grapes.
acetic iBAW;isobutanol
AHW;acetic ( v / v ) .
Mv; Malvidin. Cy; Cyanidin.
DG;3.5-diglucoside.
water hydroch1oric acid
Pt;Petunidin.
acid D1;De1phinidin.
Pn:Peonidin. MG;3-monoglucoside.
acid.
-14-
Cm:acylated with Q-coumaric
Table 1. Detection methods for grape anthocyanins on thin-layer chromatogram (Avicel SF Cellulose)
Anthocyanin Color Fluorescence Molybdate Shift
Cyanidin 3MGX 3MG-Cm
ν3.5DGZ 3.5DG-Cm
Peonidin 3MG 3MG-Cm 3.5DG 3.5DG-Cm
Delphinidin 3MG
3MG一Cm 3.5DG 3.5DG一CmPetunidin 3MG 3MG-Cm 3,5DG 3,5DG-Cm
Malvidin 3MG
3MG一Cm 3,5DG3,5DG-Cm
Red +
+ + + +
+
Red
+ +
Red
purple
+ + + +
Red
purple
+ + + +
Red
purple
+ +
x
3MG;3-monoglucoside. ν Cm;acylated with Q-coumaric acid.
z
3,5DG:3,5-diglucoside.
「「u
唱』ムTable 2. Anthocyanin composition(%) in skin of grape cu1tivars (y. vinifera).
AnthocyanidinY Glycoside<:
Cu1tivars FruitX Typ
co1or Cy Pn Dl Pt Mv MG Acy
Sekihoku R 100 。 。 。 。 100 。
Morgenshön R 98 。 2 。 。 100 。
F1ame Tokay R 97 3
+。 。 100 。
Ruby Okuyama R 97 。 3 。 。 100 。
Kaiji R 91 4 5 。 。 100
Sekirei R 7 6 22 2 。 。 100 。
Garnet R 80 17 2 。 100 2
Benisanjaku R 82 。 18 。 。 100 。
Beniareki R 7 83 。 。 10 100 2 II
Red Ma1aga R 24 64 3 8 100 。
Itchkimar B 68 2 28 100 4
Queen B 12 56 20 100 2
Rizamat RP 13 8 5 12 62 100 2 6 V
Mario RP 11 。 11 14 64 100 32
Tagobi B 2 20 6 6 6 6 100 35
Gros Co1man B 4 25 2 2 67 100 23
Black Damascus B 2 13 7 8 70 100 3 6 Alexandrou1i B 4 17 9 9 71 100 15
Malbe c B 。 11 9 9 71 100 23
Zweigeltrebe B 。 11 5 6 78 100 22
Royal B 。 6 3 4 87 100 44
X
R;Red. B:Black. RP:Red Purple.
ω Cy;Cyanidin. Pn;Peonidin. Dl:Delphinidin. Pt:Petunidin. Mv:Ma1vidin.
Z
MG;Monoglucoside. DG;Diglu coside. A cy:Acylated anthocyanin.
-16-
Tab1e 3. Anthocyanin composi tion(%) in skin of grape cu1tivars (y vinifera X v. 1 a b r u s Cél) .
AnthocyanidinY G1ycosidez
Cu1tivars Frui t'; Typc
co1or Cy Pn D 1 Pt Mv MG DG Acy
Red Mi11ennium R 99 。 。 。 94 6 8
Red Niagara R 96 。 4 。 。 97 6
Red port R 95 。 。 。 77 23 77
Suffork red R 94 3 。 。 100 。 。
Keuka R 93 。 7 。 。 95 5 7
Catawba R 78 22 。 。 。 72 28 36
Captivator R 74 23 3 。 。 80 20 19
N. Y.Muscat B 24 60 3 3 10 91 9 46 II
Wayne B 47 。 53 。 。 71 29 8 III
Steuben B 29 。 7 1 。 。 78 22 43
Hicks B 45 51 3 62 38 65
Campbe11 ear1y B 35 16 30 19 35 65 64 IV
Concord B 36 8 39 15 2 62 38 49
G1enora B 2 5 18 18 57 54 46 36 V
Schuy1er B 2 8 9 18 63 61 39 81
A1den B 。 9 9 14 68 52 48 42
Vio1et Uehara RP 。 16 。 。 84 4 96 42
X
R:Red, B;Black, RP:Red Purple.
W
Cy;Cyanidin. Pn;Peonidin. Dl:Delphinidin. Pt:Petunidin. Mv:Malvidin.
z
MG:Monoglucoside. DG:Diglucoside. Acy;Acylated anthocyanin.
司,,-BEム
Tab1e 4. Anthocyanin composilion(%) in skin of t etrap1 0 id grape cu1tivars (y. vinifera X 1abrusc_Q)
.Anthocyanidin、 G1ycoside::
Cu1tivars
Ikawa 1090 Jasmin
Ikawa 1100 Beniizu Ryuho Benizuiho
Red queen Sinano berry 01ympia Akitu 4gou Akakei-Pioné Beniyamahiko Rhodo berry
Ishiharawase
Kyoho
B1ack Olympia Takao
Kokuho Pioné
Izunishiki Osuzu
F
rui t
>:co1or
R R R R R R
R R R R R R R
B
B B B B B B B
X
R:Red. B;B1ack.
Cy Pn
93
90 。
86 82 8 73 9
72 。
21 79 29 71 28 71 31 69 42 59 24 61 42 53
22 20
5 5
。 。
。 11
。 18
5 4
。 。
。 。
01 Pt Mv MG OG Acy
6 。 。 96 4 31
10 。 。 100 。 60
13 。 。 98 24
10 。 。 100 。 52
1 7 。 77 23 23
28 。 。 93 7 8
。 。 。 49 51 29
。 。 。 42 58 61
。 。 68 32 13
。 。 。 63 37 14
。 。 。 99 42
3 3 9 88 12 27
2 2 85 15 62
36 22 。 25 75 45
13 28 49 67 33 44 17 18 65 71 29 53
30 30 29 51 44 49
11 20 51 66 34 65 22 21 4 8 65 35 49 24 25 51 65 35 40
10 21 69 70 30 61
Typ
II
IV
V
W
Cy;Cyanidin. Pn;Peonidin. 01;Oe1phinidin. Pt;Petunidin. Mv;Ma1vidin.
z
MG;Monog1ucoside. OG;Oig1ucoside. Acy;Acy1ated anthocyanin.
一18-
Precursor -一一炉
HO
n
-工d
-工n a VJ C 0 ・h l1 t
印加ZFOH
--三。;
Cyanidin Peonidin
--
323
--三OH3
Delphinidin Petunidin Malvidin
Fig.2 Biosynthesis of B-ring substitution of anthocyanin in grape skin.
円同d1i
Campbell early (2n=2x. B)
1 sh i hara wase
X(2n=4x. B)
vv
nv ll wH
1i
・
a w x
・ 1
・
・1 つム Illi--
n x LR
=
nH a4z a n
e
= z qL
+L n o --
n つL R
e
-
円しKyoho (2n=4x. B)
×
Ishiharawase (2n=4x. B)
Kokuho (2n=4x, B)
Takao
(2nニ4x-l.B)Kyogei
X(2n=4x. W)
Kyoho 0 (2n=4x, B)
Cannon hall Muscat (2n=4x, W, V)
Black Olympia (2n=4x, B)
Pioné Hybrid seedling
XCannon hall Muscat
(2n=4x, B) (2n=4x, W, V)
Izunishiki (2n=4x,B)
Fig.3 Parentages of black grapes related to ‘Kyoho' B:Black, W:White. V:V. vinifera
-20-
}\yoge i �
(2n=4x. W)
Kyoho (2n=4x. B)
Olympia (2n=4x. R) Red queen
(2n=4x. R)
Kyoho
X(2n=4x.B)
Cannon hall Muscat (2n=4x. W. \1)
Golden Muscat
×Kuro'shio (2n=4x. W. V) (2n=4x. B)
Benizuiho Ryuho Honey red
(2n=4x. R) (2n=4x, R) (2n=4x, R)
Pioné (2n=4x, B)
×
Benifuji (2n=4x, R)
Jasmin (2n=4x, R)
< bud mutation>
Beniizu (2n=4x. R)
Rhodo berry (2n=4x, R)
Fig.4 Parentages of the red tetraploid grapes related to ‘Kyoho' B:Black, W:White, V:V.
vinifera
句'E&q/】
‘Ruby Okuyama' (Type 1 )
.門ekirei' (Type1 )
‘Garnet' ( Type 1 ) ‘Queen' (Typell)
Plate 1 y. yiniferf! cul tivars ( Type 1. II ).
円ノ臼勺''臼
‘Beniareki' (Type II ) ‘Black Damuscus' (Type V )
‘Royal' (Type V ) ‘Malbec' (TypeV)
Plate 2 y_. yiniferQ cul tivars ( Type II, V ) .
-23-
‘Red port' (Type 1 ) ‘Delaware' (Type II )
‘N.Y.Muscat' (TypeII) ‘Steuben' ( Typelll)
Plate 3 V. v inifera
XV. 1abrusca cul ti vars ( Type 1
,II
,1lI )
.-24-
‘C a
mp b e 11 e a r 1 y , (T y p e IV ) ‘Schuy1er' ( TypeV)
‘G1enora' (TypeV)
P1ate 4 V. vinifer a
XV. 1abrusca
‘Violet Uehara' (Type V) c u 1 t i v a r s ( Ty p e IV, V ) .
phd q/M
‘Ryuho' (Type 1 ) ‘Jasmin' ( Type 1 )
、 ‘•. ,,
vv e nr vu 、l' Ti vv ,BEE- ' yt-- 'e ' nu O T-
-句ムρしvnvA nv
‘ u
'Bl ふし.噌i v a r qu ,,at、 Ti VJ
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' nu vd 1i r p r a e r .hu +し
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LU F・3 nnu ‘
nr
'Eムa
+しe
-26-
第3章 果色と果皮アントシアニンの関係
緒言
第2章において黒色品種と赤色品種のアントシアニン組成の特徴 についておおよその傾向が明らかになったが, 果色とアントシアニ
ン含量の関係については未調査であり, さらに果色の表現を 赤, 赤 紫, 黒に大別したため, 微妙な果色の変異とアントシアニンの関係
については不明な点が残った.
権物組織中に含まれるアントシアニンが色の表現と関連して述べ られるのは主に花き類であり, 花色の変異と花弁中のアントシアニ
ンの関係については数多くの研究がある. 特に, シ ャクナゲ属, パ ラ, キク, ペラルゴニウム ではカラーチ ャートや国際照明委員会
( C 1 E
)のuc
s表色系を用い花色を数値化した後, アントシアニン組成との関連が調査されている( Arisumi旦L亘1.. 1985; 斉藤 ら, 1982a.
b
: 河瀬 ・ 塚本, 1 9 7 6 : 藤岡ら, 1991).アントシアニンの基本骨格であるアントシアニジンの種類は色素 B環の構造の差異によって決定され, B環の置換基のヒドロキシル 化が進むと青色化が進み, メチル化が進むと赤味が増すとされてし る( Ha
r b or
ne,1967) . しかし,
シ ャクナゲ属やペラルゴニウム のように, デルフ ィニジンよりマルビジンの含有率が高いほど花色司,aq/臼
の青昧が増している結果も報告されている(Arisumi旦主主よ. . 1 985 :
藤岡ら, 1991). また, アシル化アントシアニンの存在や配糖体の 種類が花色に影響を与えることが示唆されている(有隅, 1967).
これらの知見をふまえ, ブドウ果色の微妙な変異を表現するため にC 1 EのL . a'
b'表色系を用い,
ブドウ果色の明度, 彩度, 色相を調査し, これらの値と果皮アントシアニン含量および組成との関係
を明らかにした. さらに, 今後のブドウ果色育種の方向性と果皮ア
ントシアニンの関係についても論述した.材料及び方法
果樹試験場安芸津支場, 福岡県農業総合試験場園芸研究所, 植原 葡萄研究所, 九州大学農学部実験園場に保存されている栽培品種計 33個体と九州大学農学部実験圃場に裁植されている交配実生28個体 の成熟果実を用いた.
①果色の表現
L' a' b'表色系 (新編色彩科学ハンドブッ ク 1981 )を用いた
L'
値は明度を示す a'値は無彩色の値をOとし, 赤味を+, 緑味をー として表し, b'値は同様に黄色味を+, 青味をーとして示す. さら に, 色の質を環状に連続して配列させ, それを角度で表した色相角 度(HO =tan- 1 (b' /a'))や, 色の鮮やかさの尺度である彩度(C'
=-28-
守T--
�2+b・2)
,も必要に応じて用いた ブドウ果実10個の果粉を除去
し, 色差計(日本電色株式会社 D-K6B)を用い, 果実表面のX.Y.
Z値を測定した後L. . a・. b. 値に換算した
②果皮アントシアニン含量
内径 5 . 5 mmのコルクボーラーで打ち抜いた果皮20枚に 1 %塩酸酸 性メタノールを加え充分に磨砕し, アントシアニン抽出液を得た.
得られた抽出液を吸引ろ過し定量的に希釈後, 分光光度計(日立製
作所製 目立ダブルビーム分光光度計124型)を用い, 530nmでの吸 光度を測定した. この値を標品の シアニジン ー3 -モノグルコシドカ
ら得られた検量線に従って換算し, 単位面積(cm 2 )当りのアントシア
ニン量(μg)を得た.
③果皮アントシアニン組成
各アントシアニンの同定と組成比の算出は第2章に準じて行った.
結果
第5図に果実の色度図を示す a'値が高いと色調は赤味を帯び,
加えてb'値がプラスの場合はそれに黄色味が加わり偉色に近くなる.
b'値がマイナスの場合, 赤色に青昧が加わり紫色となる. またa'値,
b'値共に低い場合は無彩色に近付くが, そ の場合には, 明度が高し
-29-
,.,_
と白色に近くなり, 明度が低くなるにしたがって黒色に近くなる.
明度( L . )が30以上の個体では, b'値がほぼ 0以上に分布し, 赤か ら樟赤色に近い果色を示した L'値が2 5以上30未満の個体ではb'値
がマイナスからプラスまでの幅広い変異が認められ, 燈赤色, 赤か
ら赤紫までの変異を示した また, L'値が2 5未満の個体ではa'値.
b'値共に低く, 果色は黒色に近づいた.
果実の L'値とアントシアニン含量( A)の聞には指数関数的な関
係があり . L' = 35.8- 6.19Log A の式で表すことができた(第6図).
彩度とアントシアニン含量の関係も同様の傾向があり(第7図),
アントシアニン含量が多い場合は彩度が低く, アントシアニン含
が減少すると彩度が高くなった. しかしアントシアニン含量が極端
に低下した場合は彩度が低くなり色調が薄くなる傾向にあった 第8図に第2章で述べたアントシアニンのタイプ別に色相角度と
彩度の分布を示す. 色相角度が高いと, 赤から朱赤色の色相を示し,
色相角度が低くなるにつれ紫色に近くなるが, 高い色相角度を示す
品種は, ほとんどがシアニジン配糖体を中心とするタイプIか, シ
アニジン, ペオニジン配糖体を主要色素とするタイプEの色素組成
であった. また タイプIとタイプEの分布は重なっており, この 二つのタイプの間では特に差は認められなかった
シアニジン配糖体を中心とするタイプIのグループとデルフィニ
-30-
ジン配糖体を主要色素とするタイプ田を比較すると, タイプ田の品 種群のほうが色相角度が低かった.
タイプIIIとタイプVでは後者の方が色相角度が低く, マルビジン 配糖体を中心とする色素組成を持つグループは, デルフ ィニジン配 糖体を主要色素とするグループより果色が紫色に近かった.
第9図にアシル化色素の割合が10%未満の品種に関して,
3. 5 -ジ
グルコシド色素含有率と色相角度との関係を示す. いずれのタイプ においても3.5-ジグルコシド含有率と色相角度の聞には特に相関関 係は認められなかった.第10図には3-モノグルコシドのみを含む品種において, アシル化 色素と果色との関係を示す. タイプIとタイプEでは特にきわだ っ た傾向はみられなかったが, タイプVのマルビジン配糖体を主に含 む品種ではアシル化色素が増加すると色相角度が若干低くなる傾向 があり, アシル化色素はわずかであるが青味を増す効果があること が認められた.
考察
アントシアニン含量と明度の関係についてはペラルゴニウム(藤 岡ら. 1991)でも同様な結果が報告されており, 果皮アントシアニ ン組成の差異に関係なく, アントシアニン含量が多い場合は果色が
1i
丹、U黒色に近づき, 果皮アントシアニン含量が減少するにつれ, 明度が
高く なり, 本来の赤, 紫色などの色調が生じると考えられる. しか
しながら果実の色調の特徴を表すためには鮮やかさを示す指標であ る彩度も重要である. 第7図に示されるように, 皮1 c m 2 あたり
のアントシアニン含量が10--- 100μgのとき, 色の鮮やかさを示す彩
度が高く, 赤色や紫色などの果色が特徴的に現れると考える.
アントシアニンB環の構造と果色の関係を色相角度の観点からみ
ると, タイプIとタイプEを比較した場合, 両タイプの分布は重な
っていることから, シアニジン配糖体 やペオニジン配糖体といった
B環の置換基が2個のアントシアニンを比較した場合, アントシア
ニンB環3・位のメチル化は果色に影響を与えていないことが明らか
であった. しかしながら, B環の置換基が3個のアントシアニンで
あるタイプ皿とタイプVを比較した場合では, タイプVの方が色相
角度が低く, より紫色に近い色相であり, アントシアニンB環のメ
チル化が進むと赤昧が増すというHarborne(1967)の報告とは一致
せず, む しろシ ャクナゲ属やペラルゴニウムと同様に( Arisumi旦主 呈上,
1985, 藤岡ら, 1991), メチル化が進むと青味が増すことを示
した.タイプIとタイプ田を比較した場合, タイプEのグループの色相
角度が低いことから, デルフィニジンはシアニジンよりも青味の強
司ノ臼円《U
い色素であるというHarborne(1967)の報告と一致した.
マルビジン配糖体を もっ品種において, アシル化色素の存在で
色に青昧が増したが, シアニジンやペオニジン配糖体を持つ品種で は特にきわだ った傾向はみられなかったことから, アシル化アント
シアニンが果色に大きな影響を与えるとは考えにくく, 微妙な変異
を与えるに留まると推定される.
以上のことから, 黒色の果色を持つ品種育成のためにはアントシ
アニン量に注目すればよいが, より良い赤色品種を作出するために
は, シアニジンかペオニジン主体のアントシアニン組成を持ち, デ
ルフ ィニジンやマルビジンなどB環に 3個の置換基を持つアントシ
アニンを取り除く方向への育種が必要であると考える.
逆に青味がかった果色を望む場合は, B環のヒドロキシル化とメ
チル化が共に進んだマルビジン配糖体を多くもち, さらにアシル化
を進める方向への選抜が望ましいと言える.
摘要
ブドウの果色とアントシアニンの関係を明らかにするために, 61
個体果実の果皮のアントシアニン含量および組成を調査した.
果皮の明度 L' はアントシアニン含量(A)と関係があり,
L'
= 35.8- 6.18Log A の式で示すことができた-33-
果皮の色相角度はアントシアニンの組成と関係があった. タイプ
Iやタイプ日とい った, シアニジンやペオニジン配糖体を主要アン
トシアニンとするグループは色相角度が最も高く, マルビジン配糖
体を中心とするタイプVは最も紫色に近い果色を示した.
配糖体の種類は果色に影響を及ぼさなかったが, アシル化色素は
わずかであるが果色を青色化させる効果があった
ー34-
-2・c-一
一山ド∞-凶-u
)EC」凶の吋一ν
h-,一υ吋叫のεo」Zυ
c o ωい040υ。巳のい切中。coイパ七戸〔ギイ'HJωイロ出.凶J吋h』
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ぱコ N
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巳4ZωC04パVCHω出cdcchuozμcc (hい同Hr同人J・U )cgoぃ50 パVCωμcoυ
℃己のロωω-P#ω円山 (ωEυ\
切立
。ω一{ )
μc ωバザcoυ
cJ叫にのhυoZパザC〈
OOJ[
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•
•
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•
• •
ト.切J「h』
o ばコ 。
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司,t円、u
ば3
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ON
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。め
40 O:Type I
。
。
。
。
θ
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20
ト。 。
(340)ト -20
I i i
(3 2 0)
よ-40
.:Typell
• •
•
V 泳T
40
20
トー。
司,(340)ト -20
( 。 一 ・4ー.
.:TypeIIl
ロ:Typervi
斗 1
(3 2 0) 40 -40
。一{∞cc
• •
•
ロ20
トωコ
ロ•
。
(340)ト -20
よ I 1
(3 2 0)
140 -40
Â:TypeV
20
ÅÂ
A
A A
。
(340) -20
3 5 2 5 30
d‘
1 5 20
Chroma ( C.
1 0
(3 2 0)
。
-40
and hue angle (HO = 5
of grape chroma( C .=�と+b.と) each type of anthocyanidin Distributions
tan-
1(b' /a.) ) Fig.8
shown composìtìon
-38- for
and 4.
in Tables 2,3
ハUハU
rypc r
•
:Typc II
企 Type V•
。
80 a‘
40 60
Percentage of diglucoside
。
。 ..
20
。
。 25 。
1 0
5
。
(3 5 5)
(3 5 0)
。 20
1 5
-ー『、
ロコ
)mwHMCC
ω コ 出
5
-10
V..J c.t:コ
of cli- 2 . :) jn Tablcs percentagc shown
and
1
(b' /a' ) ) composítion hue angle (W=tan
typc of anthocyanidin Relationship between
each glucoside for and 4.
Fig.9
Type 1 Type II Type V
。:
.
:Ã:
。
‘
‘ Â
4‘
•
••
。 25
20 1 5
1 0
5
国)ω」[切CC
ωコ出
品Cコ
A o 。
 a
。
 A (3 5 5)
FD
80 100
40 60
Percentage of acylaLcd
。 20 (350) - 1 0
anthocyanin
percentage of acyl- nH
汚hown compo汽it i
onand hue angle (H" =tan-1 (b' /a'))
each typC of anthocyanjdin Relationship between
for anthocyanin
and 4.
2.3 ated
Tables
Fig.10
第4章 果実の成熟と果皮アントシアニン
緒言
ブドウ果実が生長期を経て成熟期にはいると, 果粒の柔軟化と共 に果実の糖含量の増加, 酸含量の減少など成分に変化が起こる.
れらの成分の中で, 果実の糖含量は果実の着色と密接な関係がある とされている. 例えば . ‘Concord' では還元糖が8 %以上で着色し
始めると報告されている(Webster 豆主主1.. 1934). また , ‘Oel ware' の着色良好果は少なくとも糖含量が17. 5 %以上であることが 報告されている(小林 ・ 細井, 1953).
しかしながら, 果実内の成分の変化と果皮アントシアニン の組成 との関係についてはほとんど明らかにされていない. また, ブドウ 果実は成熟期間が長期にわたるため, 成熟過程において果皮アント シアニン組成が変化することも考えられる.
第2, 3章において果色と果皮アントシアニンの関係を述べたが,
果皮アントシアニン組成をそれぞれの品種の遺伝的背景に基づく特 徴として捉える場合, 果実の成熟段階において, その品種本来のア ントシアニン組成の発現する時期を明らかにする必要がある.
また 近年 ‘甲州' において, 果実内に糖が蓄積せず着色も進ま ない “味無し果" の発生が問題になっているが, これは, ウイルス
-41-
が原因で起こる成熟遅延現象とされている. 他の品種でも果実の糖
度の減少や着色不良の原因の一つにウイル スが関与していると推測
されている.
果実の糖含量と果皮の着色が関連していることを前提にすると,
ウイルスにり病し, 成熟が進まない果実では品種本来のアントシア
ニン組成が発現し得ない可能性が ある.
以上のことから, 本章では着色開始期からの果実の糖と酸の変化
を調査することにより, 果実の成熟過程を把握すると共に, 果皮ア
ントシアニン組成の変化を調査した また, ウイルス接種樹と健全
樹について果皮アントシアニンを調査, 比較した.
材料および方法
1.
果皮アントシアニンの時期的変化九州大学農学部実験圃場のビニルハウス内で無加温栽培を行った
白根3年生のブドウ品種 ‘Royal'
, ‘Queen' , ‘Schuyler' . ‘Russki
C o nc o rd
'を
用い 1 9 8 4年 に実験を行った
.果実の糖含量, 有機酸含量を約10日おきに調査した 採取量は5
粒以上, あるいは50g 以上とし- 200Cで凍結保存して実験に供した.
果粒の種子を除去した後, 果肉重を測定し乳鉢で磨砕後脱イオン
水を加えて遠心分離を行い上澄液を得た この操作を3反復した後
-42-
250m1に定容し, 糖および有機酸含量の測定に供した.
①糖の定量
ブドウ果肉中の糖の大部分は還元糖であるブドウ糖と 果糖であり,
非還元糖であるシ ョ糖はほとんど含まれていないことが明らかに ヒ れている(能塚 ・ 白石, 1981 )ことから, 還元糖のみを定量した
還元糖はソモギ法(赤塚 ・ 船橋, 1957)により, また還元糖中の 糖量は, システイン
・
カルパゾール硫酸改良法(能塚・
白石, 1 981)こよって定量し, 還元糖量から果糖量を差し引いた値をブドウ糖」
とした.
②有機酸の定量
抽出液の一部を用い o . 1規定の水酸化ナトリウム溶液で滴定を行
い遊離酸量を求めた 全酸の定量は陽イオン交換樹脂アンバーライ
ト1
R
-120カラムに通液した後同様にして求めた. 当量点はpH 7. 8とした また全酸量から遊離酸量を差し引いた値を結合酸量とし,
慣行に従い酒石酸量に換算した(白石, 1980).
③アントシアニン量
果実の着色が始まった時点から果皮を剥皮し, 脱イオン水で洗浄 した後凍結乾燥した 乾燥させた果皮 に1 %塩酸酸性メタノールを
加え, 充分に磨砕した後吸引ろ過, 定容した後 530nmでの吸光度を
測定し, 乾燥 果皮1 g抽出液1 L当りに換算した
-43-
④アントシアニン組成
凍結乾燥果皮を1 %塩酸酸性 メ タ ノ ールで抽出し, 塩基性酢酸鉛
法(太田ら, 1976)で精製した後, 第2章と同様に アントシアニン
の分離同定を行った.
2. ウイルス接種が果皮アントシアニンに及ぼす影鋭
山梨県果樹試験場においてリーフロールとフレ ッ クを接種しウイ
ルス検定が行われ た ‘ 甲斐路(Kaiji) " ‘甲州、I (Koshu)
‘ シ ャインレ ッド(Shine red) , および ‘ 巨峰(Kyoho) , を用し
た. 果実の視Ij色と果皮アントシアニン組成比の調査は第2章と同様
に行った 果皮アントシアニン含量は乾燥果皮を1 %塩酸酸性メタ
ノールで抽出 し, 定容後 シアニジン -3ーモノグルコシド量として表
示し た.
結果
1
. 果皮アントシアニンの時期的変化第11図に ‘Royal'の糖含量と酸含量の時期的変化を示す. 糖含
の上昇は2段階あり, 7月2 1日に最初の糖の上昇がみられ横ばい状 態になった後, 8月9日から再び急激に増加し8月1 9日には17%を
示し可食期に達した. 遊離酸含量は7月10日から30日にかけて急激
-44-
に低下し, 以後ほぼ横ばい状態となった
第5表に ‘Roya1・のアントシアニン含量と組成の時期的変化を示
す 遊離酸含量が低下した 7月30日に着色が始まった 着色開始期 から大量のアント シアニンが存在し, その量は8月1 9日に 最大値を
示し, 以後暫減したが, 成熟過程を通して高い値を維持した アン
トシアニン組成は着色初期から主要色素である マルビジン ー3-モノ
グルコシドが存在し, 成熟期間を通して変化はみられなかった
第12図に ‘Queen'の糖含量と酸含量の時期的変化を示 す. 遊離酸
含量は ‘Royal' と同じく7月30日に低下した. 糖含量は7月下旬人
増加し始めたが, 最終的な値は低か った
第6表に ‘Queen' のアントシアニン含量と組成の変化を示 す.
‘Queen' は遊離酸含量が低下した7月30日から着色を開始した 着
色初期のアントシアニン含量は少なく, 後に増大した. 成熟期の果
実の主要色素はマルビジン-3-モノグルコシドとペオニジン
ートモノ
グルコシドであるが, 着色開始期からこれらの主要色素が認められ
た. 成熟が進むにしたがってシアニジン ー3-モノグルコシドが出現し,
マルビジン ー3-モノグルコシドとペオニジン -3-モノグルコシドの組
成割合が減少した.
第13図に ‘Schuyler' の糖含量と酸含量の時期的変化を示 す. 遊
離酸含量は6月30日に減少し始め, 糖含量は6月30日には増加し始め
-45-
た. 着色開始期はそれよりやや遅れ, 7月10日であった.
第7表に ‘Schuy1er・ のアントシアニン含量と組成の変化を示す.
アントシアニン含量は着色初期( 7月10日)から8月9日までは僅
かずつ増加するに留まったが, 以後の10日間( 8月1 9日)で着色
急激に進行し, その含量は 1
.
5倍に達した. アントシアニン 組成l着色初期から主要アントシアニジンであるマルビジンが出現し, そ
の組成割合はほとんど変化しなかった.
第14図に ‘Russki Concord' の糖含量と酸含量の時期的変化を示
す. 糖含量に関しては7月下旬に高くなったが, 遊離酸含量は8月
になってもあまり低下せず, 1 0月までやや高い値で推移した
第8表に ‘Russki Concord' のアントシアニン含量と組成の変化
を示す. 着色開始期は, 糖含量が急速に上昇し酸含量が減少する7
月30日と一致した. アントシアニン含量は着色初期から順調に増大
し, 10月1日に最大値に達し, 1 0月13日まで変化しなかった 一方 アントシアニジンの組成は成熟過程を通してほとんど変化が認めら
れなかった. またジグルコシドやアシル化色素の組成割合もほとん ど変化がみられなかった.
2.
ウイルス接種が果皮アントシアニンに及ぼす影饗‘甲斐路' ではリーフロール+, フレ ッ クーの区がアントシアニ
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ン含量が高かった. アントシアニン組成は シアニジン ー3-モノグル コシドが主要色素であり, いずれの区も大きな差はなかった(第9 表) •
‘甲州 . でも . 甲斐路 ' と同様リーフロール+. フレ ックーの区 でアントシアニン含量が高かった. アントシアニン組成はシアニジ ン ー3-モノグルコシドを主要色素とし, 他にペオニジン ー3-モノグル コシドを含んでおり, いずれの区でも大きな差は認められなかった (第1 0表) .
‘ シ ャ インレ ッド' でも ‘甲斐路' と同様の傾向がみられ, リー フロール+. フレ ックーの区でアントシアニン含量が多く, アント シアニン組成はいずれの区でも大きな差はなかった(第11表) •
‘巨峰' においてはリーフロール+. フレ ック+の区ではL'値,
b'値が高く, いわゆる赤熟れの状態となった. しかしながらアント シアニン組成には大きな差はなかった(第1 2表) .
考察
ブドウの果実中に含まれる主な糖はブドウ糖と果糖である. これ らの糖含量の割合は, 果実の発育初期にはブドウ糖が多く, 成熟す
るにしたがって果糖が増し, 成熟期にはやや果糖含量が高まるとさ れている(小林, 1970). 今回の調査では, その傾向に当てはまる
-47-
のはヨーロ ッ パフドウの Royal' と ‘Queen' であり , Schuyler'
'Russki Concord' では成熟段階におけるブドウ糖と果糖の量は上
下入れ替わりながら, その比率を1: 1前後に保ちつつ上昇する動
向を示した.
ヨーロ ッ パフドウの Royal' , ‘Queen' はまず糖含量が上昇し
始めた後しばらくしてから遊離酸含量が減少し, 有離酸含量が急激
に減少する7月30日に着色が始まることから, これらの品種では有
離酸含量の変化の動向と着色が密接な関係にあることが明らかとな
った.
‘Schuyler' は 糖含量の上昇, 酸含量の低下が6月30日頃であり,
成熟過程にはいる時期が 早い早熟型品種と言えるが, 果実の成熟の
開始に比べると着色が遅れ気味であることを認めた . ‘Russki Con-
cord' は着色開始が7月30日であり, 糖含量の増加と酸含量の減少
が起こる時期に一致した
以上のことから成熟過程の糖, 酸含量の動向と着色開始期の関係
については, 品種間の差異が認められたが, アントシアニン組成に
関しては , ‘Royal' , ‘Russki Concord' , ‘Schuyler' の3品種に
ついては, 成熟初期と後期でほとんど変化がみられなかったことや,
成熟過程においてアントシアニン組成の変化が認められた ‘Queen'
でも, 着色初期から最も複雑な型のアントシアニンが形成されたこ