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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

トランスグルタミナーゼとポリアミンを介したNF- κB様転写因子Relishの制御についての研究

槇, 光輝

https://doi.org/10.15017/1931735

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名

槇 光輝

論 文 名 Studies on the regulation mechanism of the NF-κB-like transcription factor Relish through the polyamine-modification catalyzed by transglutaminase(トランスグルタミナーゼとポリアミンを介した

NF-κB様転写因子Relishの制御についての研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 氏名 川畑 俊一郎 副 査 九州大学 教授 氏名 石原 健 副 査 九州大学 教授 氏名 池ノ内 順一 副 査 九州大学 准教授 氏名 小柴 琢己

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

タンパク質間の化学架橋は、体液凝固や外皮形成などに不可欠であり、その架橋反応を担う 酵素がトランスグルタミナーゼ (TG) である。TGは、タンパク質のGln残基とLys残基の側鎖 間のイソペプチド結合の形成を触媒する。また、TGは遊離のアミンやポリアミン類 (カダベリ ン、スペルミン、スペルミジンなど) を Gln 残基の側鎖に取り込む活性も有している。これま での先行研究により、ショウジョウバエの遺伝子操作技術を駆使して、i) TG が NF-κB 様の転 写因子Relishを架橋反応によりポリマー化することで Relishの核内移行を阻害すること、ii) そ の結果、抗菌ペプチドの過剰産生が抑制され、腸内常在細菌に対する免疫寛容を引き起こすこ と、iii) 蛍光標識したカダベリン (monodansylcadaverine, DCA) をハエの食餌に混ぜて取り込ま せると、腸管上皮細胞内の Relish が DCA で標識されることが判明していた。一方では、動物 細胞の細胞内には、~10-3Mのポリアミン類が存在していることが知られていることから、TG依

存的なRelishのポリアミン修飾の転写活性に与える影響を解明するという着想に至った。本研

究では、第一にTGによる Relishのポリアミンの架橋部位を同定すること、第二に修飾された

Relishの転写活性に対する影響を解明することを目的とした。大腸菌を用いて組換え体のRelish

を調製し、組換え体Relish にTG依存的に DCAが取り込まれるかを調べた。期待通りにDCA

がTG依存的にRelishに取り込まれた。そこで、DCAの修飾部位を質量分析により同定したと

ころ、6カ所のGln残基がアミン類の修飾部位となることが判明した。6カ所のGln残基は、

RelishのDNA 結合領域に集中していたため、TGの架橋反応が Relish のDNA 結合を阻害して いるのではないかと推定した。TG存在下でDCAを取り込ませた Relishは、NF-κB様の転写因 子の標的DNA配列に対する親和性を低下させた。さらに、生体での影響を調べるために、スペ ルミンをハエに摂食させたところ、腸管上皮細胞での抗菌ペプチド産生が抑制された。また、

その免疫応答の抑制は TG 遺伝子をノックダウンしたハエでは見られなかった。したがって、

ポリアミン類がTGの触媒活性を介して免疫応答を制御していることが明らかとなった。

以上の結果は、腸管上皮細胞のTGが、ポリアミンを介してRelishを制御していることを初めて 示した研究であり、自然免疫学の分野において価値ある業績であると認められる。よって、本研究 者は博士(理学)の学位を受ける資格があるものと認める。

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