フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法 典化
その他のタイトル De codificatie van het vennootschapsrecht in Frankrijk en in Belgie
著者 後藤 元伸
雑誌名 關西大學法學論集
巻 53
号 3
ページ 530‑565
発行年 2003‑09‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/12162
d e c o m m e r c e )
本 稿
は ︑
が 成
立 し
︑
ー
W i
m l l
ーフランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化 フランスにおける団体・会社法の法典化 ベルギーにおける団体・会社法の法典化 結びにかえて
るものである︒すなわち︑団体︵組合・会社︶法の領域において︑
体・会社法典
( W e t b o e k v a n v e n n o o t s c h a p p e n
; C o d e d e s s o c i e t e s )
が成立した︒両国における法典成立に至る状況 団体
これには従前の一九六六年会社法が統合された︒ .
会社法の法典化
フランスおよびベルギーにおける
ベルギーにあっては︑ 一九九九年に団 フランスにあっては二
000
年に商法典
( C o d e
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
フランスおよびベルギーにおける︑団体・会社法の領域での近時の法典化につき概観することを目的とす 後 藤
四 六
元 ︵ 五 三
0)
伸
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
につき︑法典化のために予定されていたその立法技術的手法は相似的である︒もっとも︑実際の法典化にあたっての このたび制定された二
000
年フランス商法典およびベルギー団体法典はともに︑その淵源をナポレオン法典たる
一 八
0 七年商法典に有する︒この一八
0
七年商法典は︑近代的会社制度を全く知らず︑
法 の
成 立
︑ フランスでは一九六六年会社法の成立を見る︒すなわち︑両国における団体︵組合・会社︶法に関する以 前の基本的な法源は︑商法典から分離された特別法たる会社法︑および︑民法典の団体︵組合・会社︶に関する規定 であった︵民法典の規定は一般法としてのそれと民法上の組合・会社としてのそれという二義を有する︶︒そして︑
今日に至るまでの経済的発展にともなう会社法・民法典の諸改正︑および︑特別法の制定︵これらの中には︑
令に従った改正および特別法の制定が含まれる︶
所に分散され︑
こ こ
で ︑
フランス・ベルギーの両国においては︑法典化が指向された︒もっとも︑法典化を指向しながらも︑従来 の諸法律の内容に手を加えずに︑これを単一の法典の中に統合するという手法を模索した︒すなわち︑法律により︑
行政府に法典編纂の権限が与られたのである︒これにより︑立法行為に相当するような︑従前の法状態の改変が︑原
こ う
し て
︑
則として抑制されていた︒ 味深く︑参照するに値する︶︒ となった ︵かかる状況はわが国に共通のことであり︑
四 七 ベルギーでは一八七三年会社
E
C 指
といった事情から︑団体︵組合・会社︶法に関する法テクストは各 アクセスの容易さ•読みやすさという点から見て、あるいは、体系的な観点から、問題視されること フランスにおいて︑行政府の命令︵オルドナンス
:
0
r
d o
n n
a n
c e
)
その後の展開︑および︑法典の内容は対照的である︒
フランス・ベルギーにおける立法的経験・実験は︑きわめて興
により二
000
年に制定されたのが︑
︵五三一︶
な い
も の
の ︑
更のみであるとの態度が残滓となって残っており︑
第 五 三 巻
︱ ︱ 一 号
新たなフランス商法典
( C o d d e e c o m m e r c e )
0 である︒しかしながら︑二
0
0 年フランス商法典は︑その制定過程
に由来する制約のゆえに︑その評価はあまり芳しくない︒なぜなら︑その内容に新味はないにもかかわらず︑従来と
は条文番号が変更されたにすぎないともいわれる代物だからである︒さらには︑体系的に統合すべき法テクストが欠
けているという批判もある︒こうした批判は︑団体︵組合・会社︶法の領域においては顕著であり︑特に︑
して位置づけられている民法典の団体︵組合・会社︶ に関する諸規定が編入されなかったことが批判の対象となって
いる︒この点︑民法典の団体規定をも法典に組み込んだベルギー法は︑それが団体法典という形で団体︵組合・会
社︶法に集中して体系化されていることも相侯って︑称賛に値するものであり︑
ベルギーでは︑行政府の命令︵国王の勅令ニ
K o n i n k l i j k B e s l u i t ; A r r e t e r o y a l )
︵ 五
一 三
一 ︶
による法典化の途は︑内容的変更
ができないという制約が嫌われために︑その後放棄され︑結局︑法律に基づき︑二
000
年にベルギー団体法典
( W e t b o e k v a n v e n n o o t s c h a p p e n
; C o d e d e s s o c i e t e s )
が成立した︒団体法典という名での法典化は︑団体︵組合・
会社︶法という法分野が承認されているにもかかわらず︑おそらく初めてのものであり︑この意味でも画期的である︒
内容的にもかなりの程度体系化されている︒もっとも︑当初の立法的計画︑
寄せ集めたにすぎないという批判もある︒しかしながら︑ れ
て い
る ︒ 関法
つまり︑内容的変更を加えない形式的変
フランスにおけるのと同様の批判︑
ベルギー団体法典には︑ つまり︑単に既存の諸規定を
かかる不十分さのあることが否め
一般規定を設け︑かつ︑協同組合等をも含めて規整するなど︑体系的に見て優れた特徴が認められる︒
また︑団体︵組合・会社︶法の領域における団体法典という形での︑民商法の統一も注目に値する︒小規模だが中心 フランスにおいてもこの点が指摘さ
四 八
一 般
法 と
な場合を除き︑原則として修正を加えないものとされた︒ 与えた このような状況において︑ ことはなかった︒ る ︒ であるというベルギーのヨーロッパにおける位置づけが︑このような実験的な法典化を可能にしたものとも想像され
従 前
︑
ナポレオン法典
( C o d e s n a p o l e o n i e n s )
四 九
一定・確実な法に向けて
︶ ︑
法 典
( a d r o 1 t c o n s t a n t
関 に
し て
は ︑
それらが の︱つであった一八 0 七年の商法典は︑多年にわたる一連の改正に
より︑断片的で時代遅れの諸規定のみを含む︑ほとんど中身のない形骸と化していた︒会社︑破産手続
( p r o c e d u r e c o l l e c t i v e )
︑海商法︑商事賃貸借
( b a i l c o m m e r c i a l ) および営業財産
( f o n d s d e c o m m e r c e )
商法典から分離された法律の対象となり︑それ以降二 0
0
0 年の商法典の成立に至るまで︑法典に再び組み込まれる
一 八
0 七年商法典の中で効力をなお有していた条文は一四 0 条ほどであった︒
(1 )
一九九九年︱二月一六日の授権法律
( l o i d ' h a b i l i t i t a o n )
は︑各法律に散在する条文を
の法律の部
a ( l p a r t i e l e g i s l a t i v e )
にまとめる権限を政府に オルドナンスにより新たな商法典
( C o d d e e c o m m e r c e )
(2
)
︵同法律一条︶︒そして︑同法律一条によれば︑法典化されるのはオルドナンスの公布の時に効力を有する諸
規定であり︑それらには︑規範のヒエラルキーおよび条文編纂上の一貰性を確保し・法状態の調和を図るために必要
すなわち︑右のように定められた法典化は︑現在の法状態を︑
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
二 0
0
0 年フランス商法典の成立
I l
フランスにおける団体・会社法の法典化
︵ 五
一 二
三 ︶
第五三巻三号
の形に全面的に鋳直すものにすぎない︑ とされていた︒
︵ 五 三 四
︶ つまり︑形式を整え︑実体を明確にするものである︒した
がって︑二
000
年商法典の編纂により︑これまでの法規範が覆されるのではなく︑数多くの散在するテクストに分 散せしめられた諸規定が︑単一の新たな法典に集成されるのである︒これは︑法へのアクセスの容易さ・法の読解の
容易さ
( a c c e s s i b i l i t e ¥ i n t e l l i g i b i l i t e )
(3 )
張されている︒
の目的を追求するものであり︑この目的には憲法的価値が認められる︑
二 0
0
年商法典の法律の部は︑右記一九九九年︱二月一六日の法律に基づいて︑︱ 0
1 0
0 0
年九月一八日のオルド
(4 )
︵5
)
ナンスにより公布・施行された︒これにより︑一九六六年商事会社法は︑一九六七年の経済利益共同団体に関するオ
(6 )
ルドナンスおよび一九八九年ヨーロッパ経済利益共同団体法とともに︑二
0 0
0 年商法典に編入され︑商法典第二編
﹃商事会社および経済利益共同団体
( D e s s o c i e t e s c o m m e r c i a l e s e t d e s g
r o u p e m e n t s ' i d n t e r e t e
c o n o m i q u e )
﹄の下の
(8 )
二 ︱
0
の一条から二五二の一三条となった︒商法典第二編は︑﹁前提的規定
( d i s p o s i t i o n s p r e l i m i n a i r e s )
﹂ ︑
﹁ 各
種 の
商事会社に特有の諸規定﹂︑﹁各種の商事会社に共通の諸規定﹂︑﹁罰則﹂および﹁経済利益共同団体﹂
とも主
の全五章からな
従前の一九六六年会社法等から商法典第二編への変更点は︑右のように︑純粋に形式的なものにとどまるものとさ れた︒従前の諸法律から団体法典への実質的な連続性は︑法典のタイトル自体が︑他の法典編纂において見られるよ うな﹁新商法典
( N o u v e a u C o d e d e c o m m e r c e
﹂という名称でなくして︑単に﹁商法典 )
( C o d e d e c o m m e r c e
) ﹂
(9 )
あることからしても︑それが強調され︑真の意味の変更のないことが示されている︒ る ︒
関法
五 〇
で
五
かかる法典化は︑それまで散在していた諸規定を一堂に集成するという点で︑意義深い︒なぜなら︑その効用の一 つとして︑ある素材に適用されうるテクスト全体を容易に見渡すことが可能になるからである︒また︑法適用の場面 で予想される実際上の困難についても︑適用されるべきものを従来の条文から現行の条文に置き換えるにすぎないの
( 1 0 )
であるから︑さしたる問題はないともされている︒
しかしながら︑このような二 0
0
アクセス•読解の容易さが高まったかといえば、これ 0 年商法典の制定により︑
については疑問視されている︒なぜなら︑二 0
0
0 年蔽法典は︑判例を含めたこれまでの法テクストの参照関係を攪
拌し︑法へのアクセスを困難にしたのみでなく︑団体︵組合・会社︶法の領域においても︑民事会社︵民法上のソシ エテ︑組合︶に関する規定を統合せず︑そして︑すべての団体︵組合・会社︶に共通の規定もまた統合することなく︑
加えて︑証券取引法に関する規定もまた取り込まれていないからである︒
すなわち︑二
000
年商法典におけるテクストの分断は︑批判の対象となり︑その不便さも指摘されている︒条文
番号の変更︱っとっても︑それは機能的であるとの見方があるにせよ︑複雑であり︑また︑将来の法改正︵特に枝番 の付加︶を考慮に入れると︑よりいっそう複雑化する可能性があり︑これらのことは法律家の記憶を攪乱するもので ある︒新旧条文対照表があるとはいえ︑以前の条文とそれに関連する判例を見つけるのも一苦労である︒従前の諸規 定をまとめたのみでは何の進展もなく︑それのみのことであれば︑非公式ながら法典の名が冠せられた法令集が︑以
( 1 1 )
前からも存在していた︒
フ ラ
ン ス
お よ
び ベ
ル ギ
ー に
お け
る 団
・ 体
会 社
法 の
法 典
化
法典化に対する評価
︵ 五
一 二
五 ︶
第五三巻三号 団体︵組合・会社︶法の領域における内容面についていえば︑今次の二
000
年商法典への法典化は︑団体法の一
部の法典化にすぎない︒二
0 0
0 年商法典の条文は︑政府に対する授権法律に基づくオルドナンスにより制定された
( 1 3 )
ので︑商法上の基本的準則にかかる従前の法律を統合したにとどまり︑民事会社
( s o c i e t e c i v i l e :
民法上のソシエテ︑
組合︶︑および︑すべての団体
( s o c i e t e :
組 合
・ 会
社 ︶
どまったままである︒
条文が法典化されずに残っている︒
に共通する一般規定
( d i s p o s i t i o n s g e n e r a l e s )
が民法典にと
また︑二 0
00年商法典には証券取引等の金融•財務に関する従来の法律が編入されず、それらは通貨・金融法典
( 1 4 )
( C o d e m o n e t a i r e e t f i n a n c i e r )
という特別法典に︑二 0
0
0 年商法典編纂と同様の手法で︑オルドナンスにより統合
された︒そこには︑会社法に関連する重要な規定が数多く含まれている︒
さらには︑商事会社に関する一九六七年三月二三日のデクレは二
000
年商法典に編入されず︑その三一 0 条余の
つまり︑二
000
年滴法典においては︑法律の部
( l a p a r t i e l e g i s l a t i v e
) は制定
一九六七年のデクレが入るべき規則の部
( l a p a r t i e r e g l e m e n t a i r e )
が現在のところ制定されていないこ 結局のところ︑瀕死状態にあった一八
0 七年の商法典を︑今の時点で再生する必要があったかどうかにつき疑問が
呈せられている︒事業者と消費者という区別の前で︑商人と非商人の区別がおぼろげになっている状況を考慮に加え るとなおさらである︒今次の法典化により︑現代的経済状況からの需要に合わぬ法律的諸規定を固定化したのではな いかという危惧も表明されている︒他方︑内容的変更のない確認的な法典化の名の下で︑条文の内容的改正が隠れた
形で行われたとの批判も根強くある︒ と
に な
る ︒
さ れ
た が
︑ 関法
つまり︑変えるべきものを変えず︑変えるべきものでないものを変えたとの批
五
︵ 五
一 ︱
︱ 六
︶
さ て
︑
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
現行フランス法における団体・会社法
( d r o d i t e s s o c i e t e s )
定する民法典第三編第九章﹃組合・会社
( D l a e s o c i e t e )
﹄
一 八
三 二
条 以
下 ︑
合・会社︶法における商事会社に関する特別法であり︑他方︑
五
一般規定・民事会社・匿名組合を規
ま受け継ぐ商法典第二編﹃商事会社および経済利益共同団体﹄ニ︱ 0 条の一条以下︑および︑
一九六六年に成立し︑商法典第二編に編入された商事会社法が︑団体︵組
( 1 8 )
一九七八年に改正された民法典一八三二条以下はすべ
ての会社に対する一般規定を含むものである︒すなわち︑特別法が一般法より先に成立したことになる︒こうした事
情から︑商法典第二編第一章﹃前提的規定
( D i s p o s i t i o n s p r e l i m i n a i r e s )
﹄および民法典第三編第九章第一節﹃一般規
定
( D i s p o s i t i o n s g e n e r a l e s )
﹄は︑前者が商事会社に関するものとして︑後者がすべての団体︵組合・会社︶
るものとして︑ほぼ同じ内容の規定となっている︒
なお︑非営利団体
( a s s o c i a t i o n )
は ︑
( 2 0 )
る一九 0 一年七月一日の法律が規整するところである︒ に関す
フランス団体法の体系上︑別個のものと取り扱われ︑非営利団体契約に関す
フランス団体︵組合・会社︶法の法典化という観点から︑今回の商法典の制定を見た場合︑二
000
年商法
典は不必要だったという指摘もなされている︒
対する疑問符がつけられている︒なぜなら︑二
000
年フランス商法典は︑その体系性および内容的整序から実質的 に関するデクレである︒これらのうち︑
( 1 7 )
判 で
あ る
︒
法典化と団体・会社法
つまり︑団体︵組合・会社︶法の領域では特に︑二 0
0
年商法典に 0
︵ 五 三 七
︶
一九六七年の商事会社 一九六六年商事会社法等をほぼそのま
の 重
要 な
法 源
は ︑
法典がすべての団体に共通する一般規定を含まない
第五三巻三号
︵ 五 三 八
︶
に見て︑団体法の法典化というに値しないのみならず︑会社法の法典化という点においても︑それに値しないとされ
一 八
0 七年商法典は内容が空洞化し︑商事一般に関するテクストは各所に散在していた︒しかし︑
六六年商事会社法は︑法典という名こそとっていないが︑そこでは商事会社に関する諸規定が法典化されていたもの
と評価できる︒その内容の豊富さからすれば︑団体︵組合・会社︶法典
( C o d d e e s s o c i e t e s )
にも匹敵するものを構
成していたともいえる︒二
000
年商法典と一九六六年商事会社法との内容的な違いは︑経済利益共同団体に関する
法典化の目的は︑法へのアクセスの容易さ︑および︑法の統一性である︒かかる法典化の目的は︑団体︵会社・組
合︶法の領域においては︑民事会社︵民法上のソシエテ︑組合︶・商事会社・協同組合
( s o c i e t e s c i v i l e s , c o m m e r , c i a l e s e
t
cooperatives)~~~ロナ ソス
P
叶
佑 典 ぇ
J制
叩︷ 疋ナ ソ Z3
ことによって︑達成される︒このことと︑二
000
年フランス商
二 0
0
0 年
商 法
典 に
は ︑
年商法典の成立にもかかわらず︑依然として複数の法典にそのテクストが引き裂かれたままなのである︒この法領域
に お
い て
は ︑
アクセスの容易さおよびその統一性に欠ける︒
ベルギーにおいて一九九九年になされたように︑民事・商事の団体︵組合・会社︶を︑協同組合をも含
めて︑統合するような団体法典
( C o d d e e s s o c i e t e s e t d e s g r o u p e m e n t s )
こそが︑望ましいとの評価もなされている︒
( 2 1 )
ベルギー団体法典は︑社会目的を有する団体︑農業法人︑あるいは︑経済利益共同団体をもそこに含んでいる︒
フランスと同様にナポレオン法典の伝統を汲むベルギーにおいて︑このほど成立した団体法典
( C o d d e e s s o c i e t e s )
規定を含むか含まないかの点のみである︒
た し
か に
︑ ているからである︒
関法
︵それは︑民法典一八三二条以下にある︶ことも考えあわせれば︑
つまり︑団体︵会社・組合︶法は︑二 0
0 0
五 四
一 九
は︑ベルギー法学者によっても︑立法の洪水の単なる整理にすぎないという消極的な評価に基づく留保をとどめなが
らも︑隣国の称賛と羨望を獲得し︑ ヨーロッパ団体法の精緻化のための指針として今後役に立つものであり︑少なく
( 2 2 )
とも︑学説の省察を促すものであるとの指摘がなされている︒
二 0
0 一 年 二 月 六 日 よ り
︑
ベルギー団体法典
( W e t b o e k v a n v e n n o o t s c h a p p e n
; C o d e e d s s o c i e t e s )
( 2 3 )
生じることになった︒これは﹃団体法典を含む一九九九年五月七日の法律﹄に基づく︒同法律は︑一九九九年八月六
( 2 4 )
日の官報において公示され︑公示後一八か月を超えない範囲内において施行するものとされていた︒
ある︒すなわち︑
に団体︵組合・会社︶法の法典化の使命と権限を与えたことに
( 2 5 )
﹃一九三五年に調整された・商事会社に関する法律を改正するための一九九五年四月一三日の法律﹄
1 0
条によれば︑国王は︑商事会社または商事会社の法形式をまとった団体︵組合・会社:
v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e )
に関する諸法律および諸規則のすべてを︑法典化し︑調整することができるものとされ︵一項︶︑法典化のために︑
( V e n n o o t s c h a p p e n w e t b o e k ; C o d e d e s s o c i e t e s ) r o y a l
^ A .
R >
)
であり︵三項︶︑法典化の勅令
( K o n i n k l i j B k e s l u i t
^ K .
B . > ; A r r e t e
は議会の承認後に効力を生じるものとされた
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
国王は︑形式の変更等をなしうる ︵二項︶が︑根本的な変更はなしえないとされた そもそもの始まりは︑議会が国王
( K o n i n g ; R o i )
I I I
ベルギー団体法典の成立
︵ 四
項 ︶
︒
ベ ル ギ ー に お け る 団 体
・ 会 社 法 の 法 典 化
五 五
︵ 五 三 九
︶
︵一項︶︒法典の名称は団体法典
はその効力を
第 五 三 巻 三 号
すなわち︑前記︱
1 0
条の予定する団体法典は純粋にテクスト上の再絹成の産物であり︑各所に散在する法律上の
︵ルールのコピーとその切貼り︶ にすぎない︒現実社会への影響を慮ってのことである︒
ここでの法典化は︑新たな修正的立法の導人を目的とするものでもなく︑また︑内容的に根本的な変更をもたらすこ
とを目的とするものでもない︒修正は︑法典が論理的・構造的・統一的であるために必要な範囲においてのみ行なわ
れることになる︒結局︑法典化の目的は︑商法典︑民法典︑特別法および施行令に散在する法律・規則の諸規定を同
( 2 6 )
一法典に集成することにあるとされていた︒
しかしながら︑法律の集約のみを前提とする勅令による法典化の途は︑結局︑
要請に基づき法律の形式をとることが選択された︒なぜなら︑前記のような法典化ための勅令の形式では拘束が多い
からである︒すなわち︑現代的要求にテクストを合わせるためには︑実質的にも︑法典化の作業段階で︑根本にかか
わる内容的修正が必要だと考えられたのである︒にもかかわらず︑前記の法律︱
1 0
条に基づく法典化ミッション
( c o d i f i c a t i e
, o
p d r a c h t ; m i s s i o n d e c o d i f i c a t i o n )
は︑準備されるべき法案の指針となり︑限界となったのである︒
まり︑どうしても必要なとき以外は根本的に変更を加えてはならないというモットーが隠然と残ることとなった︒ま
^ V .
N
W . >
•; a s
s o c i a t i o n s
a n s b u t l u c r a t i
f ^ A
S B
L >
)
た︑前記の法律︱
1 0
条に掲げられなかった法律︑たとえば︑営利目的なき団体
( v e r e n i g i n z g o n d e r w i n s t o o g m e r k
( 2 7 )
︵2 8 )
の法律がとりあげられることもなかった︒
もっとも︑今次の団体法における法典化の目的をどのように把握するかは別問題であり︑
ンス商法典と異なり︑後述するように︑単なる諸法律の集成を超えるものであるとの積極的評価が可能である︒ 諸準則を相互に調整するもの 関法
一九九六年に放棄され︑司法大臣の
五 六
︵ 五 四 O)
っ
ベルギー団体法典はフラ
正 後
︑
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
二度の勅令に基づく﹁調整﹂ がそれにとって代わることとなった︒そこでは︑伝統的な商事会社である合名会社 0 .
F
・
﹀
;
s o c i e t e e
n n o m o l c l e c t i f
^ SNC>)• 合資会社
式合資会社
( o r d o n n a n c e s )
の大きな影響を受けて︑主として人的会社についてきわめて簡
( 2 9 )
︵ 第
一 編
第 九
章 一
八 条
な い
し 六
四 条
︶ ︒
一九世紀の経済発展に応じるためには︑
( 3 0 )
一八七三年の商事会社に関する基本法律
( b a s i s w e t v a n
1
87
3 ;
l o i f o n d a m e n t a l e d u
1
87 3)
と 並
ん で
︑ 株式会社 ( c o m m a n d i t a i r e e v n n o o t s c h a p o p a a n d e l e n ^
C o m m . V A >
; s o c i e t e e
n c o m m a n d i t e p
a r c t a i o n s
^ S
C A
> ) ( c o o p e r a t i e v e v e n n o o t s c h a p ; s o c i e t e c o o p e r a t i v e )
一八七三年の商事会社に関する基本法律については︑条文を整理するために︑
( c o o r d i n a t i e
; c o o r d i n a t i o n )
が行われた︒すなわち︑
( 3 2 )
一九一三年七月二二日の勅令により︑第一回の調整が行われた︒その二二年後︑ 導入された︒同時に︑協同組合
( 3 1 )
れ た
︒
c o m m a n d i t e s ^ S i m p l e
C S
> )
が不十分であったので︑
一 八
0 七年商法典の第一絹第九章においては︑ 単に規定していた は
ヽフランス古法の諸オルドナンス ナポレオン法典
( C o d e s n a p o l e o n i e n s )
ー
会社法とその
﹁ 調
整 ﹂ 団体法典に至る団体法整備に関する史的展開
五 七
︵ 五 四
八度の改正を経て︑
一 九
三 五
一九一三年に至るまでの四度の改 ︵現行団体法典の成立に至るまで︶
という新たな団体形式も導入さ
が
および株 たる一八 0 七年の商法典
( W e t b o e k v a n k o o p h a n d e l ; C o d e d e c o m m e r c e )
その用意する団体の法形式
( v e n n o o t s c h a p o n d e r f i r m a
^ V
. ( g e w o n e c o m m a n d i t a i r e v e n n o o t s c h a p
^
C o m m . V > ;
s o c i e t e e
n ( n a a m l o z e v e n n o o t s c h a p
^ N
V >
; s o c i e t e a
n o n y m e
^ S
A >
)
る 際
に ︑
s o c i e t e )
このように調整され・改正されてきた会社法以外にも︑
法 律
に よ
り ︑
の 一
九 一
二 五
年 の
弟 二
回 の
( 3 6 )
が経過したが︑その間に
E
C 指令の洪水が押し寄せてきたことも相侯って︑その間︑会社法は二九度もの改正を見た︒
そ の
結 果
︑ ( b i s
・ t e r
等のラテン語の附された︶枝番を有する条文が︑通常の条文番号を有する条文と同程度の数に
達した︒もっとも︑改正は主として株式会社に関してなされ︑有限会社や協同組合に関しては︑
規定が準用されるといった程度の改正で済まされた︒また︑合名会社および合資会社に関しては︑次に述べる民法典
と同様に近年に至るまで改正は行なわれず︑従前の会社法︵調整された商事会社法︶を改正するための一九九五年の
( 3 7 )
一八七三年の基本法律以来初めての改正を見た︒
に関する多数の特別法が存在していた︒すなわち︑例えば︑他国において成功を見た新しい法素材を導入す
ベルギーの立法者は︑それが適用領域ないし内容の点から民法典あるいは商法典に統合することがふさわし
い場合であっても︑特別法の制定という手段を選択することが常態であった︒さらには︑特別法と連動して多数の施
行令が定められ︑当該特別法の適用範囲を見通すことは容易ではなかった︒したがって︑ 従前の会社法︵調整された商事会社法︶ が﹁調整﹂としては最後のものであり︑
フランス法に倣った有限会社
( b e s l o t e n v e n n o o t s c h a p m e t b e p e r k t e a a n s p r a k e
,
( 3 3 )
l i j k h e i d
^
B V B A
> ; s o c i e t e p r i v e e
a
r e s p o n s a b i l i t e i m l i t e e
^ S
P R
L >
)
制度の導入を伴う第二回の調整が行われた︒これ 年
一 月
三
0 日の勅令により︑ 関法
第 五 三 巻 三 号
﹁調整﹂からベルギー団体法典の成立まで六三年
︵ 五 四 二
︶
一九九九年のベルギー団体法典の成立に至る︒このようにして調整された法
律は︑会社法
( V e n n o o t s c h a p p e n w e
^ t
V e n n . W . >
)
あるいは調整された商事会社法
( l o i c s o o r d o n n e e s s u
r l e s s o c i e t e s
( 3 4 )
c o m m e r c i a l e s ^ L .
C .
S .
C > )
と呼ばれていた︒
せいぜい株式会社の
ベルギー法には団体︵組合・会社
v e n n o o t s c h a p
;
ベルギーにおける団体︵組 五 八
合 ・
会 社
︶
( s o c t e i e d s e c o m m e r c e )
2 民法典の改正 年の最後の
( 3 8 )
の で
あ る
︒
五 九
一 条
一 項
は
一 八
0 四年ナポレオン民法典一八七三条は︑団体
フランス法と同様に︑民法典の団体︵組合・会社︶
合・会社︶法の法典化の主要な目的は︑右に見てきたような商法典の空洞化︑および︑
はあるが︶民法典の不変性・硬直性という状況の下で︑商法典︑従前の会社法︵調整された商事会社法︶︑特別法︑
︱つの団体法典に収容することにあった︒これにより︑少なくとも︑
一 九
三 五
﹁調整﹂以来の諸テクスト間における体系性︑相当性および整合性を図ることが可能になると考えられた
団体法の法典化にあたっては︑団体︵組合・会社:
v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e )
定を統合する必要があった︒なぜなら︑
( s o c i e t e : 組
合 ・
会 社
︶
ベルギー法においては︑
に関する第三編第九章の規定は一般規定
( a l g e m e n e b e p a l i n g e n ; d i s p o s i t i o n s g e n e r a l e s )
だとされ︑別段の定めのな
いかぎり︑すぺての団体に適用されるものと解されていたからである︒
このことは︑実定法上も以下のように確認されてきた︒
﹁商事の形式をとるすべての団体︿組合・会社﹀
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化 そして︑民法典に散在する諸規定を︑
つ ま
り ︑
に関する民法上の規定と商法上の規
に関する第三編第九章の規定が﹁商事の法律および慣習に反しない点においてのみ商事会社
に適用される﹂ことを定めていた︒また︑従前の会社法︵調整された会社法︶
( l e s s o c i e t e s
a
f o r m e c o m m e r c i a l e )
は当事者の約定︑商事の特別
法および民法により規律される﹂と定めていた︒これらを受けて︑現行団体法典一八条では︑
﹃すべての団体︵紺 に共通する諸規定﹄と題する第二章の規定が﹁第三章以下においてこれと異なることが定められていない
︵ 五 四 一
︱ ‑
︶
︵次に見るような二度の改正
( 1 )
一人による団体の設立 回︶の二度の改正を見ている︒ さて︑団体︵組合・会社︶ に関する民法典の規定は︑ く︑商人資格を有さない あった従前の会社法︵調整された商事会社法︶ 一五条は︑民事目的の合名会社を明文をもって承認した
︵ 同
条 は
現 行
在を前提とするものであった つき民事・商事に分けて規定していた やめた︒その証左に︑ かぎり︑かつ︑商事会社については商事に関する法律および慣習に反しないかぎり︑すぺての団体︵組合・会社︶に
さ ら
に ︑
第 五 三 巻 三 号
ナポレオン法典以来の伝統である民事と商事の区別は︑団体︵組合・会社︶
取り払われた ︵従前の会社法︿調整された商事会社法﹀を改正するための一九九五年の法律一 0
三条︑六条︶︒つま
り︑民法典上の団体︵民法上の組合︶を民事目的に限定し︑商法上の団体︵商事会社︶を商事目的に限定することを
︵団体法典成立に伴い削除された︶従前の民法典一八三六条は構成員の第三者に対する責任に
︵ 同
条 四
項 ︶
適用される﹂ことが定められている︒
関法
︵ 五 四 四
︶
の法形式選択の場面において︑
︵後述③︶が︑同条は商事目的を有する民法典上の団体︵民法上の組合︶
の 存
︵同条の内容は現行団体法典五二条に受け継がれた︶︒また︑合名会社の定義規定で
団 体
法 典
一 ︱
0 一条に受け継がれた︶︒もっとも︑現行団体法典においても︑団体形式選択の点における民事・商事の
区別が消滅したとはいえ︑団体はその目的により民事または商事の性質が与えられ︵現行団体法典三条二項︶︑団体
が商事の性質を有するときは商事に関する特別の諸法律にも服し
と さ
れ る
︒
︵同条一項︶︑商事の形式を有する民事の団体
( b u r g e r l i j k e v e n n o o t s c h a p m e t h a n d e l s v o r m
; s o c i e t e c i v i l e
a f
o r m e c o m m e r c i a l e )
一 八
0
四 年
以 降
︑
はその民事の性質を失うことはな
一 九
八 七
年 ︵
第 一
回 ︶
と一九九五年︵第二 六〇
一人会社たる有限会社
( S P R L U )
( 3 9 )
なったことに合わせて︑民法典一八三二条における団体︵紺合・会社︶の定義規定を変更した︒これにより︑法律に
( 4 0 )
定めのある場合には︑団体を一人の意思表示によって設立することが可能になった︵団体法典成立に伴い削除された
民法典一八三二条︱卯︒これは現行の団体法典一条第二文に受け継がれ︑そこでは︑団体法典に定めのある場合に︑
一人から生ずる法律行為による団体の設立が承認されている︶︒これにより︑それまで支配的であった団体に関する
( 4 2 )
一人に属する財産の一体不可分という原則が破られた︒ の契約的性質︑および︑
いた︒その一八三二条は﹁団体︵ソシエテ︶
( s o c i e t e )
とは︑数人がそれより生ずる利益を分配する
めにある物を共通にすることを約する契約をいう﹂と定める︒すなわち︑
い団体に好意的でないとされる一八 0 四年民法典は︑営利目的を民法典における団体︵ソシエテ︶
( 4 3 )
ここにいう営利目的とは︑フランスの破毀院判例と同様にベルギーにおいても︑﹁構成員の財産を増加させる金銭的
( 4 4 )
または物質的利益﹂を分配することをいうものとされていた︒
一 八
七
0 年代に頂点を迎えた協同組合運動に対しては︑
( c o o p e r a t i v e v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e c o o p e r a t i v e )
における団体︵ソシエテ︶ という名の附された団体は︑営利目的を要件として
の法形式を導入することで対応した︒もっとも︑協同組合は︑構
成員に直接利益を分配しないから︑前記営利目的の要件を満たすものではなく︑それゆえ︑伝統的な意味での民法典
の概念に合致しない︒それにもかかわらず︑この点につき︑
フ ラ
ン ス
お よ
び ベ
ル ギ
ー に
お け
る 団
体 ・
会 社
法 の
法 典
化
一 八
0 四年ナポレオン民法典に規定されたソシエテ
② 営 利 目 的 要 件 の 緩 和
原 則
︑
つまり︑団体︵組合・会社︶ 第一回の改正は︑
一 九
八 七
年 に
︑
フランス法の影響を受け︑
六
︵五四五︶
一般規定たる民法典における
一八七三年の商事会社に関する基本法律に協同組合
の 要
件 と
し て
い た
︒
フランス革命の経験から営利目的を有さな
( p a r t a g e r l e b e n e f i c e ) た
の設立が可能に
回の民法典改正により︑団体︵組合・会社:
v e n n o o t s c h a p ; s ° c i e t e ) 目的を有するものという要件が拡大されて︑構成員に直接的または間接的に財産的利益をもたらす目的を有するもの
5 ) ( 4
となった︵削除された民法典一八三二条一項︑現行団体法典一条第一文︶︒
一九九五年の民法典改正は︑社会的目的を有する団体
( v e n n o o t s c h a p p e n m e t e e n o c s i a a l o o
g m e r k ; o c s i e t e
s a
l a w i
n s t o g o m e r k
^
V . N
W
•. >
; a s s o c i a t i o n s a
n s u b t l u c r a t i f ^ A
S B L >
)
︵従たるものとしてではなく︶営利事業を営みつつ非営利目的を追求することが可能になった︒換言すれば︑社会的
法︶を改正するための一九九五年の法律は︑その一〇一条ないし一 0 三条において民法典一八三二条を改正し︑団体
における営利目的要件を相対化した︒すなわち︑営利目的の要件を完全に排除するまでには至らないが︑営利目的要 件を第一義的には要求しながらも︑法律の定めがある場合︵たとえば︑社会目的を有する団体の場合︑従前の会社法
︿ 調
整 さ
れ た
商 事
会 社
法 ﹀
そこで︑最初に触れた
一六四条の二︑現行団体法典六六一条︶ ︵
そ の
り︑この点営利目的を有さない︒
( s o c i e t e
: 団体︶概念と営利目的なき団体
( v e r e n i g i n g z o n d e r
︵あるいは︑限定的かつ副次的にしか利益をもたらさない︒
一六四条の二第一項一号・ニ号︑現行団体法典六六一条一号・ニ号︶︒つま
1 0
条において法典化ミッションを定める︶従前の会社法︵調整された商事会社 従前の会社法︿調整された商事会社法﹀ 目的を有する団体は構成員に︑利益を全くもたらさない
に︑営利を追求しないことを認めた︒︵団体法典 の中間にあるもので︑この法形式により︑団体が な意味での営利目的のみを許容する従前のソシエテ f i
n a l i t e s o c i a l e )
の導入を契機とする︒社会目的を有する団体は︑
︵構成員への直接的・金銭的利益分配という︶厳密
団体の定義規定が修正されるには︑ 関法
第 五 三 巻 三 号
一九九五年の第二回の民法典改正を待たなければならなかった︒すなわち︑第二
は︑構成員に直接的な金銭的利益をもたらす
̲ L .
ノ
︵ 五 四 六
︶
事・商事の区別に応じて分割あるいは連帯責任を負うものとされた
( 4 8 )
︵4 9
)
三条︑現行団体法典五二条︶︒
換言すれば︑法人格を有しない団体︵組合・会社
v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e )
法上の組合︶ なった 成立に伴い削除された︶従前の民法典一八三二条一項によれば︑団体︵組合・会社:
v e n n o o t s c h a p
; s ° c i e t e )
法律に定めのある場合において・定款で構成員に財産的利益をもたらさないことを定めたとき以外に︑構成員に直接 的または間接的に財産的利益をもたらす目的を有するものとされた ば︑団体法典に定めのある場合は︑団体︿組合・会社﹀は定款において構成員に直接または間接の財産的利益をもた
( 4 6 )
らさないことを定めることができる︶︒
一九九五年の第二回の民法典の改正の際には︑団体︵組合・会社:
v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e )
定款の届出にかからしめたことに伴って︑構成員の第三者に対する責任に関する民法典の規定も改正された︒
すなわち︑まず︑前記の従前の会社法︵調整された商事会社法︶を改正するための一九九五年の法律により︑従前
の会社法︵調整された商事会社法︶ の二条が改正された︒その二項において︑商事の形式をとる団体︵組合・会社︶
は︑設立定款
(0
p r i c h t i n g s a k t e ; a c t e c o n s t i t u t i f )
︵現行団体法典二条四項第一文︶︒この際︑法人格取得前の構成員の第三者に対する責任については︑それま
一般法たる民法典の団体︵組合・会社︶
の一般法的性格から生じる吸収的機能を通じて︑団体の法形式につき一般法上のそれ︑
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化 での判例に従い︑
③ 法 人 格 の 取 得 と 構 成 員 の 対 外 的 責 任 関 係
の届出
( n e e r l e g g i n g
; d
e p o t )
六 つまり︑民法典
︵ 五 四 七
︶
の構成員には︑民法典上の団体︵民 の日より法人格が付与されることと は
ヽの法人格取得を設立 に関する規定に従うものとされ︑構成員は第三者に対し民
︵団体法典の成立に伴い削除された民法典一八六 ︵これを受け継ぐ現行団体法典一条第三文によれ
を想起させる︒ し
な い
団 体
に つ
き ︑
社の目的が中立的
( n e u t r a l )
らの離脱を幾分容易にしたとも考えられる︒前述の社会的目的を有する団体は︑
で あ
る こ
と ︑
つまり︑営利目的に限定されないことを想起させる︒また︑法人格を有
( 5 0 )
一般法上の組合の規定を適用するのは︑ドイツ法における同様の法的処理︵定型強制[ r
y p e n z w a n g )
いヴェノートスハップ
︵ 団
体 :
v e n n o o t s c h a p )
になったことを考え合わせると︑
第 五 三 巻 三 号
上の団体︵民法上の組合︶ の法形式が強制されていた︒その結果︑構成員は無限責任を負う︒以上のことを受け継い
だ現行団体法典二条四項第二文は︑定款の届出をしない団体︑
体
( v e n n o o t s c h a i n p o p r i c h t i n g s o ; c i e t e e
n f o r m a t i o n )
︑出コ即
H幻g
人口
( t i j d e l i j k e h a n d e l s v e n n o o t s c h a p ; s o c i e t e m o m e n t a n e e ) ( s t i l l e h a n d e l s v e n n o o t s c h a p ; s o c i e t e i n t e r n e )
右に見てきたような民法典上の団体にかかる改正は︑
その克服が包括的団体法典の成立のためには必要であったともいえる︒近時のフランドル
地方の経済的・文化的興隆の下でフランドルの言語であるオランダ語︵ネーデルランド語︶が法分野においても有力
ソシエテ
の 語
が ︑
︵ 団
体 s o c i e t e )
成︑および︑それを体現する団体法典の制定のためには︑
︵ 団
体 ︶
概 念
か
であるときを除き︑
︵ 五 四 八
︶
フランス法におけるそれとパラレルの関係にあるソシエテ
阻害要因であり︑
と同語源でなく︑むしろドイツ語
( G e s e l l s c h a f t ) オランダ法とも相通じて︑伝統的ソシエテ
ドイツ法において株式会社・有限会
に 近
( V l a a n d e r e n : F l a n d r e )
ソシエテの契約的性質および営利目的は︑
︵ 団
体 s o c i e t e )
という概念的呪縛からの解放を意味するとも評価しうる︒ つまり︑包括的かつ体系的な団体法の形
s o c i e t e d e d r o i t c
o m m u n )
または匿名組合
または合名会社の規定に従うことを定めている︒ 一般法上の組合
( m a a t s c h a p
つまり︑法人格を有しない団体は︑それが設立中の団 関法
六 四
もっとも︑伝統的栢桔はやはり残存し︑ ベルギー団体法典には︑非営利団体が含まれず︑それとは別個に営利目的
ベルギーにおいては︑右 2 に見たように︑団体
( v e n n o o t s c h a p ; c i s o e t e )
一九九五年の改正に至るまで︑団体が営利目的を追求することを要求し︑
^ V .
N .
w r .
﹀ ぃ
a s s o c i a t i o n s a n s u b t l u c r a t i f ^
>
S B L >
)
的な金銭的・物質的利益であった︒このような状況の下で︑営利目的なき団体
( v e r e n i g i n g z o n d e r w i
n s t o g o m e r k
( 5 1 )
につき︑法人格を承認する法律が一九ニ︱年に成立していた︒同
法一条の一般的な解釈によれば︑営利目的なき団体とは︑産業または商業に関する取引き
i j ( n v e r h e i d s
, 0
f h a n d e l s z a k e n ;
0
p e
r a t i o n s i n d u s t r i e l l e s
o u
commerciales)~
帝呂 士
6ヂ
ソ
i P つ
ユ ︑
J
の 碑
E
曲
吟 員
に 珈
臨 貨
的
5 利
益 皿
を i たらさない団体
( v e r e n i g i n g ;
. . a s s o c i a t 1 0 n :
アソシアシオン︶をいう︒すなわち︑
とアソシアシオン
六五 しかも︑そこにいう利益は構成員への直接
における確固たる基本的分類
( s u m m a d i v i s i o )
ソシエテ
( a s s o c i a t i o n ; v e r e n i g i n g :
北 介
帝 虫
利 ぶ
団 仕
代 ︶
は 団
体 法
( d r o d i t e s
( 5 2 )
とされてきた︒
ところで︑今次のベルギーにおける団体法典の成立は︑従前の会社法︵調整された商事会社法︶を改正するための 一九九五年の法律一
1 0
条に基づく法典化ミッションに由来するものである︒しかしそれは︑前述のような︑社会目
( 5 3 )
的を有する団体の制度の導入がなされる以前︑そして︑民法典一八三二条の改正がなされる以前のものである︒つま り、法律の定めにより構成員への直接•間接の利益分配を不要とすることが可能となる以前のものである。したがっ
フランスおよびベルギーにおける団体・会社法の法典化
g r o u p e m e n t s ; g r o e p e r i n g s e r c h t )
v e n n o o t s c h a p :
営 利
団 体
︿ 会
社 ﹀
︶
3 営利目的なき団体︵非営利団体︶ なき団体の法律︵次述
3 )
が 併
存 す
る ︒
︵ 五 四 九
︶
フランスと同様にベルギーにおいても従来︑
.︑
︑
( s o c 1 e t e
の定義規定である民法典一八三二条が︑
最初にふれた︑従前の会社法︵調整された商事会社法︶を改正するための一九九五年の法律一 くことのできる法典化の目的は︑例えば︑次のように説明されている︒
体・会社法の諸規定を︱つの団体法典に集成することにある︒同時にこれと並んで︑施行令の諸規則もまた︱つの施 行令 ( U i t v o e r i n g s b e s l u i t ; A r r e t e d ' e x e c u t i o n )
に集成するという構想もあった︒これは︑法律の部と規則の部を設
けるフランスの近時の立法にならうものである︒このようにして法律および規則の再編成がなされたならば︑実務に 従事する者にとっては有益なものとなり︑また︑将来の改正の際には透明性が確保される︒法典化の意義は従前の団 体法の固定化にあるのではなく︑新たな洞察への地平を広げることにある︒
柔軟性が失われることはなく︑かえって︑法素材が体系的に秩序づけられることにより︑新たな改正の是非や機会を 1
団体法における法典化の目的とその成果
法典化の目的および団体法典の体系的特徴 v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e )
伝 統 的 栢 桔 か ら 解 放 さ れ
︑
典化にあたって︑営利目的なき団体もまた取り込まれるべきであったとする議論が存在する︒ここでは︑
( s o c i e t e
; v e n n o o t s c h a p )
とアソシアシオン
. .
︶
( a s s o c
i a t i o n ; v
e r e m g m g
は現在ではもはや破棄されたものと考えられている︒ て︑利益分配︵営利性︶がソシエテ
関 法 第 五 三 巻 三 号
つ ま
り ︑
( s o c i e t e : v e n n o o t s c h a p )
1 0 条の規定から導
ソシエテとアソシアシオンという基本的分類が有する
︵ 五 五 0)
ソシエテ
という従来の基本的分類
( s u m m a d i v i s i o ) ド
イ ツ 法 と 同 様 に
︑ 営 利 団 体 と 非 営 利 団 体 を 区 別 し な い 団 体 ( G e s e l l s c h a f t
;
( 5 4 )
という観念が成立する段階に来ているともいえる︒
つまり︑法典化の目的は︑各所に散在する団 つまり︑法典化がなされたからといって
の要件からはずされた現在にあっては︑団体法の法
六 六
( 5 5 )
判断することができ︑柔軟に対応することが容易になる︒
また︑団体︵組合・会社:
v e n n o o t s c h a p
; s o c i e t e )
六 七
に関する民商法の規定の統一も念頭に置かれていた︒これは︑
︵わが国におけるように民法上の組合として解釈上特化せず︑ フランス法・ドイツ法と
一般法たる性格を有するものと捉えられていることからすれば︑体系化の面で当然のことである︒さらには︑
従来の民法典における規整を超えて︑各種団体に共通する準則を定立・整序し︑指導的規範を確立する体系化も必然
( 5 6 )
となる︒これにより︑ベルギーにおいても見られる︑個別立法による団体形式の数の増殖を免れることも可能になる︒
このような法典化の理想的目的を説く見解に対し︑従前の会社法︵調整された商事会社法︶を改正するための一九
九五年の法律︱
1 0
条は最低限の調整の権限を国王に与えるのみで︑根本的な変更をなしえないものとしているから︑
これに忠実に従い︑法典化の目的を次のような事柄に限るとする考え方も可能である︒すなわち︑従前の会社法︵調
整された商事会社法︶を読解しやすいものとすること︑準用規定を整理すること︑および︑ある団体形式に適用され
る規定を明確にすることである︒また︑従来見られたフランス語とオランダ語のテクストの不一致を正すことである︒
あるいは︑判例により獲得された解決手法を立法的に確認することである︒このような目的の限定の意図は︑容易に
予想される困難を回避し︑段階的に改正を進めることにある︒したがって︑ベルギー団体法典の立法者は︑最も野心
的な意味での法典化を成し遂げたわけでなく︑成果である団体法典は法律の寄せ集めであるにすぎない︒こうした評
価からすれば︑今回の法典化作業は︑従前の会社法につき最後になされた一九三五年の﹁調整﹂と何ら変わらないも
( 5 7 )
の と
な る
︒
もっとも︑このような見解に対しては︑その後の状況の変化を挙げての反論が可能である︒実際にも︑ 同
様 に
︶
フ ラ
ン ス
お よ
び ベ
ル ギ
ー に
お け
る 団
体 ・
会 社
法 の
法 典
化
民法典の団体に関する規定が
︵ 五 五 一
︶
ベルギー団
第五三巻三号 体法典は︑従前の会社法︵調整された商事会社法︶を改正するための一九九五年の法律︱
1 0
条が予定していた
王に対する授権を前提とする︶勅令
( K o n i n k l i j B e k s l u i
t ^
K . B . >
; A r r e t e r o y a l ^
A . R >
) によって成立している︒したがって︑従来の諸テクストを読解しやすくすることは法典化の最低限の目的にすぎない
と評価することもできる︒
つ ま
り ︑
︵ 五 五 二
︶
ではなく︑法律
( w e t
; l o i ) ベルギー団体法典の特徴は最小限の調整を超えたところにある︒それはたとえば︑
︵法人格の有無にかかわらず︶すべての団体にとっての一般規定を設け︑あるいは︑法人格の有無に応じて各種の団 体形式に共通する規定を設けたことに表れている︒後者についていえば︑法人格のない団体︵組合︶においては︑
般法上の組合
( m a a t s c h a p
; s o c i e t e d e d r o i t c o m m u n ) が原則的団体形式として規定され︵団体法典四六条︶︑構成
員の責任につき五 0
条以下に共通して規定されている︒法人格を備えた団体︵組合・会社︶においては︑﹃本法典に
規定された法人に関する共通規定﹂ 関法
と題する第四編が置かれ︑たとえばその第三章は機関に関する一般規定であり︑
その六一条•六二条は団体の代表機関に関するものであり、その六三条•六四条は機関における議決に関するもので
( 5 9 )
あ る
したがって︑法典化の目的を積極的に評価する立場からすれば︑ ︒
ベルギー団体法典の最大の成果ないしその特徴は︑
その構造・体系にある︒団体法典の新たな構造・体系は︑学説に新たなパースペクティヴを与えるものである︒すな わち︑法典・法律・施行令に分散していたものが統一的な法典にまとめられたのであるから︑諸規整における欠鋏.
矛盾を明らかにし、団体形式相互の連関をも明らかにすることも可能となる。さらには、新たな団体法上の原理•原 則を定立することまでもが可能となる︒そして︑このような視点は今後の立法作業に大きな影響を及ぼしうるもので
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