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世界秩序 (World Order) 序説 : 類型論的アプロー チ

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(1)

世界秩序 (World Order) 序説 : 類型論的アプロー

著者 鍋島 弘治朗

雑誌名 關西大學文學論集

56

1

ページ 93‑116

発行年 2006‑08‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/1057

(2)

世界秩序

(WorldO r d e r )

序説

1)

一類型論的アプローチ一

鍋 島 弘 治 朗

1 .   はじめに

( 1 )   a .   男女同権 ( c f . *女男同権)

b  .  young and o l d   ( c f .  老いも若きも)

C.  東西南北 ( c f .N o r t h ,  S o u t h ,  East and West) 

Cooper and Ross  ( 1 9 7 5 ) の先駆的研究は,英語において対となる概念や関 連の強い概念からなる複合語や語の併置の際, どのような順番になるのかを網 羅的に検討し,その音韻的制約,意味的制約を検討したものであった。この研 究を, Cooperand Ross の論題は(多分,シャレであろうが),世界秩序 (World Order) と 呼 ん だ 。 こ れ は 誤 解 を 生 み や す い 名 前 で あ る が , あ る 意 味 で 順 序

(Order) は社会文化の揺るがざる序列として秩序 (Order) を形成している。

本稿の論題には, Cooperand Ross の先駆的研究に敬意を表するとともに,文 化的世界構築としての「秩序」を言語の「順序」の中に見るという意味で「世 界秩序」という用語を敢えて使用するものとする。

さて,世界秩序(言い換えれば自然界における順序)の研究は,多言語を比

較することによってその真価を発揮する。それは,世界に存在する多数の順序

が , どれくらい普遍的なのか, どれくらい文化依存的なのかに対する視座を提

供してくれるからである。世界秩序の研究を類型論的に敷術することの意義と

発展可能性を以下に列挙する。

(3)

開西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

1 .   言 語 の 線 条 性 に 表 れ る 意 味 世 界 の 順 序 を 記 述 す る こ と は 究 極 的 に 文 法 (SVO など)の動機づけを探る営みにつながる。

2.  言語に反映した順序が類型論的に安定しているとすれば,そこにはなんら かの身体的または環境的な動機づけが存在することが予想される。つまり,

認知の制約を探る営みにつながる。

3.  異なる言語が系統的に異なる語順を使用する場合,そこに言語文化固有の 理由がある可能性が高い。線条的類像性に関する対照研究は,言語の普遍 性と文化相対性の問題の検討に貢献する。

4 .   認知(意味)と言語(形式)という異なる領域を〈線〉というイメージ・

スキーマ 2) で結ぶ線条的類像性は,メタファー的な写像の類例と考えられ,

メタファーがいかに文法に反映するかを研究する鍵となる。

鍋島 ( 2 0 0 4 ) はこの視点から,世界秩序を日英対照で研究し, 日英の言語デ ータから 22の原則(表 1) を 見 出 し て い る 。 同 論 文 で は 東 西 南 北 な ど , 例 外 や謎と思われる語順がなぜ存在するのかを詳細に検討し,原則同士の衝突が解 消される機構はどのように構築すればよいかに対する提案が述べられているの で詳しくはそちらも参照していただきたい。

本稿は,これをさらに多種の言語に広げ,汎言語的立場または類型論的立場 から研究するというプロジェクトの最初の報告である。言語としては日本語,

英 語 の ほ か , フ ラ ン ス 語 セ ル ビ ア 語 タ イ 語 中 国 語 韓 国 語 3) を対象と した。

1 .   BEFORE‑AFTER 〈(時間的)前後の原則〉

2 .   FRONT‑BACK 〈(空間的)前後の原則〉

3 .   UP‑DOWN 〈上下の原則〉

4 .   LEFT‑RIGHT 〈左右の原則〉

5 .   VERTICAL‑HORIZONTAL 〈縦横の原則〉

6 .   IN‑OUT 〈内外の原則〉

(4)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

7 .   OPEN‑SHUT

〈開閉の原則〉

8 .   CENTER‑PERIPHERY

〈中心周辺の原則〉

9 .   GOOD‑BAD

〈善悪の原則〉

1 0 .   HERE, NOW, I

, ここ,私」の原則〉

1 1 .   DIVINE‑HUMAN

〈神の原則〉

1 2 .   OLD‑YOUNG

〈親子の原則〉

1 3 .   MALE‑FEMALE

〈男女の原則〉

1 4 .   AGE‑SEX

〈年齢性別の原則〉

1 5 .   COME‑GO

〈行き来の原則〉

1 6 .   LARGE‑SMALL

〈大小の原則〉

1 7 .   PUBLIC‑PRIVATE

〈公私の原則〉

1 8 .   GENERAL‑SPECIFIC

〈一般特殊の原則〉

1 9 .   SALIENT ( i n t e n s e )

〈顕現性の原則(強い刺激)〉

2 0 .   SALIENT ( a c t i v e  power)

〈顕現性の原則(能動性)〉

2 1 .   SALIENT (one‑many)

〈顕現性の原則(単複)〉

2 2 .   SALIENT ( s o l i d )

〈顕現性の原則(固体性)〉

表 1.  世界秩序に関する 2 2 の原則(鍋島 2 0 0 4 )

なお,世界秩序(自然界における順序)の研究は,大きくは類像性の研究範 疇 に 入 る 。 類 像 性 ( I c o n i c i t y ) は , こ れ ま で も 幅 広 く 研 究 さ れ (Haiman, 1 9 8 5 a ,   1 9 8 5 b ;   池上, 1 9 9 2 ; 大堀, 1 9 9 1 , 1 9 9 2 a ,   1 9 9 2 b ) ているが,世界秩序 はその中で特に,線条的 ( L i n e a r ) な類像性を取り上げた研究といえる。

( 2 )   V  e n i ,  v i d i ,  v i c i   (来た,見た,勝った)

( 3 )   a  .  morning and e v e n i n g   b .   朝 晩 ( 4 )   a  .  up and down  b .   上下

( 5 )   a  .  man and woman  b .  

男女

(5)

開西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

類像性に関して有名な例である ( 2 ) では言語の順序が出来事の順序に従ってい る。音声言語は時間的,文字言語はテキスト的な線条性を有するため,効率の よい情報伝達(動機づけられだ情報伝達)のためには,意味世界のなんらかの

順序や方向性は,言語の線条性に写像されることが望ましい。 (3)~(5) の例では,

時間的関係,空間的関係,社会的関係が言語の線条性に写像されている。

さらに,意味世界の順序は,言語文化によって異なることも考えられる。 ( 3 )

~(5)の例では,日本語と英語の順序が同じであったが, (6)や(7)のように日本

語と英語が異なる例も存在する。

( 6 )   a .   p l a n t s  and a n i m a l s  

( 7 )   a .   s m a l l ,  medium, and l a r g e  

b. 

動植物 b .   大中小

今回の 5 ヶ国語,総計 7 カ国語のデータを元にした研究から重要な点として は以下の二点がわかった。

①文化圏による結果の似通りが大きい。(特に中国語,韓国語, 日本語,お よび英語とフランス語)

②時間的前後,上下,内外,善悪,動作主,単複の 6つの順序が言語を通し て非常に安定性が高かった。

さて,本稿の構成は以下の通りである。本第 1 節に続き,第 2 節では,類像 性研究の先行研究を簡単にまとめる。第 3節では,今回の調査の形式と手順に 関してまとめた後, 22 の原則に従ってデータと傾向を紹介する。第 4 節が全体 のまとめである。

2 .   先行研究

本節では,先行研究としてまず,主に Cooperand Ross  ( 1 9 7 5 ) を簡単に紹

介する。次に,これを受けた鍋島 ( 2 0 0 4 ) の用例と議論の一部を紹介する。

(6)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

自然界の順序がどのように言語の順序に反映されるかを検討した先行研究の 主要なものには, Anderson ( 1 9 9 8 ) ,   Cooper  &  Ross  ( 1 9 7 5 ) がある 4) 。両者 とも本稿と似た企図であるが,後者の方が圧倒的に用例数が多い。しかし,後 者の場合においても,英語のみを対照としているため, どこまでが英語という 言語文化特有の概念化の反映で, どこまでが人間特有の認知的普遍性を反映し たものか,区別が付けにくい。複数の言語を比較対照すれば,順序を認知する 際の普遍的制約と文化相対性がいっそう明確になると思われる。

また, Cooper &  Ross  ( 1 9 7 5 ) では,意味的な原則のみならず,音韻的な原 則に関しても検討を加えている。確かに音韻的な原則が言語の線条性に影響を 与えることは想像に難くない。一方,対照的,類型論的な研究では,音韻的な 原則を加えることが研究の焦点が不明瞭にすることが予測される。このため,

意味的な原則のみを対象とした研究が望まれた。

鍋島 ( 2 0 0 4 ) では, このような目論見に従い Cooperand Ross  ( 1 9 7 5 ) を参 考にしながら,研究対象を意味に絞り, 日英対照のリサーチを行なった。その 結 果 原 則 と し て Cooperand Ross  ( 1 9 7 5 )が前述の 22 の分類に再編成された。

具体的には以下のような用例が挙がっている(口は日英で順序が逆であること を示す)。

( 8 )   a  .  i n s i d e  and o u t s i d e   内外 c  .  arms and l e g s   手足

e  .  morning and e v e n i n g 朝晩 g  .  l a r g e  and s m a l l   大小

1  .  p a r e n t  and c h i l d   親 子 k  .  l n e a r  and f a r l

匿四

m.  s u c c e s s  o r  f a i l u r e   合 否 o  .  w e a l t h  and p o v e r t y   貧富

b  .  up and down  上下 d  .  b e f o r e  and a f t e r   前 後

f  .  c a u s e  and e f f e c t   因果 h .   husband and w i f e   夫 婦

J  .  r e d  and w h i t e 紅白 1  .  l i f e  and d e a t h   生死

n  .  l a r r i v a l  and d e p a r t u r e l

麿涵

ここでわかったことは, 日英語で順序が同じものが予想外に多いという事実

(7)

開西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

である。この事実は,言語に依存しない意味的な順序傾向が世界に存在する(ま たは解釈する人間の側に存在する)ことを強く示唆する。一方, 日英語におけ る対概念の順序が反対になることも少なくなく,このことは世界秩序が 100%

普遍的でなく,偶然,または文化的相対性に左右されることを示している。日 英語で強く語順の一致した項目としては,時間的前後,上下,善悪,能動性な どがあった。一方,やや異なる項目として, 日本語の場合は,男女に関する順 序が固定的であるが英語は例外が多い, 日本語は大小に関する順番が固定的,

英語と日本語では,行き来に関する表現が反対であるなどがあった。また,例 外の興味深いものとして,東西南北,動植物,行き来に関する議論を再録して おく。

東西南北

英語の N o r t h ,S o u t h ,  East and West は , U p ,down, l e f t  and r i g h t ,   にほぼ対 応し, 日本語の東西南北は上下左右と全く対応がないことを見た。実は,英語 の N o r t h , S o u t h ,   East and West も , Left‑Right の順番と East‑West の 順序が合致していない。

Up  上

L e f t   R i g h t   左 右

Dow  下

l

, 

図 1 Up,  d o w n ,   l e f t  and r i g h t と N o r t h , S o u t h ,   E a s t  and W e s t ,   上下左右と東西

南北のアラインメント(口は上下左右と方向の不一致を示す)

(8)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

英語の方角に関する説明の方が簡単である。多分,太陽は東から出て西に沈 むという順序が,上下左右との対応よりも優先され,他の部分は上下左右と対 応しながら,西と東の順序だけ逆になったのであろう。

日本語の方は,中国と同様の順序であること 5) から中国語の影響が考えら れる。中国では,南面思想として,天子は北に座して南を向いているという考 え方がある。この考え方によれば,「北」は主観者の存在する位置になり,い わば一種の主観化の過程によって潜在化する。そこで北から見た左右にあたり,

太陽が移動する東西がもっとも顕著な方角となるのである。 6)

動植物

F l o r a  and Fauna に関しては,アリストテレス以来,分類学として植物を優 先して並べてきた歴史があり ( h t t p : // h o m e . h i r o s h i m a ‑ u . a c . j p /  e r  /ES̲K̲Bl. 

h t m l ) ,   ギリシャローマの学間的背景が西欧の分類に引き継がれていると考え られる。なお, p l a n t と a n i m a l の関係は, F l o r a と Fauna の関係に擬してその 順となっているが, F l o r aand Fauna に比べて固定的ではなく, a n i m a l sand  p l a n t s という言い方も増えている。

行き来

行き来に関しては日本語と英語で正反対となっているが,行くという行為と 来るという行為を対で考えた場合,来てからまた行くと考えるよりも,「往復」

のように「行って戻る」と考える方が自然である。よって日本語の方が自然と 思われる。では, どうして,英語文化では逆の概念化が行われているのか。ひ

とつの可能な説明のは英語が「到達点・達成・結果」重視の言語(池上,

1 9 8 1 .   1 9 9 2 ) であるということである。英語が着点重視の言語であり, 日本語 行き

( J )  

. . .

  Come  TO  HERE  ( f r o m   AWAY) 

帰り Go  TO  AWAY  ( f r o m   HERE) 

図 2 「行き」と「帰り」 図 3 英語の " c o m e " と " g o " の解釈

(9)

開酉大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

と異なって, " c o m e " が , "move t o  h e r e " ,   " g o " が "movet o  away" など,

着点に強調があるとすると, " h e r e " は " a w a y " に優先するため,当然, " c o m e "

も " g o " に優先することになる。

この傍証として, " h e r e " がプラスの価値評価, "away" がマイナスの価値 評価を担っていることが挙げられる。 "Theroom came a l i v e . "   "The milk  went b a d . " などの比喩表現を考えると, "come" はプラス " g o " はマイナス

のイメージを負うことが多く,これは, " h e r e " と "away" の関係と連動して いる。

本節では,先行研究として, Cooperand Ross  ( 1 9 7 5 ) の研究に触れ,次に 鍋島 ( 2 0 0 4 ) の用例と議論の一部を確認した。次節では, 7 言語のデータを必 要に応じて取り上げながら, 2 2 の原則に関してまとめていきたい。

3 .   七言語における世界秩序のデータ

前節では先行研究を概観し,世界秩序が多くの場合,通言語的に一定の傾向 性を持っていること,一方,文化固有と思われる順序も存在することを観察し,

さ ら に 興 味 深 い 例 外 に 対 し て 与 え ら れ た 考 察 の 一 部 を 見 た 。 本 節 で は , Cooper and Ross ( 1 9 7 5 ) ,   鍋島 ( 2 0 0 4 ) を通して形成された 2 2 の原則に従って,

日本語(語族不詳),英語(印欧語族ゲルマン語系)以外に, フランス語(印 欧語族ロマンス語系),セルビア語(旧ユーゴ,印欧語族スラブ語系), タイ語

(タイ語系),中国語(チノ・チベット語系),韓国語(ウラル・アルタイ語族 または語族不詳)の 7 言語である。このデータのサマリー版を別表 2 に示す。

本節では, まず3 . 1 で,今回の調査の手法を簡単に述べる。次に, 3 . 2 で全体 的な傾向性について論述する。 3 . 3 では22 の原則に沿ってコメントを加える。

3 . 4はまとめである。

3 . 1   調査方法

調査は, 2 0 0 4 年 4 月から 2 0 0 5 年 6 月の間に,それぞれの言語の専門家にスプ

レッドシートによる調査用紙を送った。その回答例を別表 1 に示す。調査デー

(10)

歯界秩序 (WorldO r d e r ) 序説(鍋島)

N o .   1 .   英 語 2 .   日本語 3  .  Your Language  (タイ) 4 .   Your Language  ( A l p h a b e t i c  r e p r e s e n t a t i o n )   1  wealth and poverty  貧 富 T i t l " l ' I . !   ruay‑con 

2  injured either s l i g h t l y  or 

s e r i o u s l y   重軽傷 l l l

飢和」

o i l i l ' o i 頃 f l ' U i l l ' . l b a a t ‑ c e p ‑ s a a h a t ‑ l e k ‑ n : ) : i y   3  i n h a l e  and e x h a l e   吸って吐いて ~, 訊‑ : i L i i 1 m a ' t

e l e l f l h a a y ‑ c a y ‑ k h a w ‑ h a a y ‑ c a y ‑ ? ; : , : : i k   4  a r r i v a l  and d e p a r t u r e   発 着 e l e l f l 恥 ? " " k ‑ t h r n o  

5  parent and c h i l d   親 子

'l'l'eltt:u. 

i j f l   p h : : i : : i ‑ m E E ‑ l i l u k   6  young and o l d   老 若 、 老 い も 若 き Vl'lj

,

l!~l1LLfl

num‑saaw‑kes 

7  young and o l d ,   men and  老 若 男 女 ( 年 齢 が

叫 諏

7

r i v i 屯四7 £ 1 num‑saaw‑kss‑yiu‑chaay 

women  先 )

8  r e a d i n g  and w r i t i n g   読み書き e l .  1 ' U L ' l l d  l ' . l ' U   ?aan‑khian  9  l e f t  and r i g h t   みぎひだり・左右

' l t l ' l . 1 1 1 saay‑khwaa  10  r e l i g i o n  and p o l i t i c s   政 教

7

7 枷 m,t 釦 a v , n 1 , t 釦 a v t i ' l l l ' i s a a t s a n a a ‑ k a p ‑ k a a n ‑ ‑ m w a o ,  

7

' 1 1 7 k a a n ‑ m U i a o ‑ k a p ‑ s a a t s a n a a   1 1   r i g h t  and duty  権利と義務

貪VlLfiVl'U•

l V I

.l

 

 

s i t ‑ n a a t h i  i  1 2   h e a t  and c o l d   寒 暖

,  

B ' U ' l ‑ l ' U 1 1   r , ; : , , ; : , n ‑ n a a w   1 3   deep and s h a l l o w   深 浅 i ; i " ' u . i ‑n  t

u n ‑ l r u k

1 4   c o u n t  and mass nouns  可算不可算名詞 ' U l l . J

伯」

' 1 . i ' U l l . J

面」

' 1 , , i ' 1 , 6 i naam‑nap‑day‑nap‑may‑day  1 5   f a t h e r  and son  父子

Vi '

e l

n p h : i : ) ‑ l Q u k   1 6   heavy and l i g h t   軽 重 V 1 u m l l 1   nak‑baw  1 7   p l a n t  and a n i m a l   動植物

咽叩靭

1 ph

t ‑ s a t 1 8   s i n g u l a r  and p l u r a l   単数と複数 m n V l ' I U ・ V l l !

V l ' I U 、   ?eekkaphot‑phahuuphot  1 9   near and f a r   遠 近 " 1 . n 訊 f l i : , l klay‑klay  20  j o y s  and sorrows  苦楽

¥ll. 

f l ' l l

ill. 

' l l   thuk‑suk  2 1   c i t i e s ,  towns and v i l l a g e s   市町村 匹 出 血i l l l

l t f l e l muubaan‑tanbon‑?amphaa  2 2   p l u s  o r  minus  プラスマイナス l l 1 f l i i l l l   buak‑lop 

2 3   p a s t ,  p r e s e n t  and f u t u r e   現在、過去、未来 a

細 炉

3

J U u ' l l l

?adiit‑patcuban‑?anaakh6t  2 4   p a s t  and p r e s e n t   過去と現在 a

珈 炉

n 血 ?adiit‑patcuban  25  hard and s o f t   硬 軟 LLll~\lel. e l ' U   k h e

り―

? : i : i n 2 6   home and away  本拠地と敵地

2 7   near and f a r   遠 近 ' t n 訊 f l ≪ klay‑klay  2 8   l o c a l  and s t a t e   州と地方

2 9   h e a t  and c o l d   寒 暖 ' a e l ' U ' V l ' U 1 l   r : i : : . n ‑ n a a w  

3 0   home and f o r e i g n   国内外 ' t u t . I

L V l l ' ! U i l f l l 」 5 : : L V I I ' ! n a y ‑ p r a t h e e t ‑ n " : i k ‑ p r a t h e e t   3 1   horse and c a r r i a g e   馬 車 ' ; f f l : ) J

" 

l  r 6 t ‑ m i i a  

3 2   a c t o r  and a c t i o n   行為と行為者

祈'Jm~vi1n1,n宍vil

tua‑kratham‑kaan‑kratham  3 3   agent and p a t i e n t   動作主と被動作主

3 4   h o t  and c o l d   冷たい熟い 'i"iil'UL£1~ ' U   r c ) c ) n ‑ y e n   35  r i g h t  and wrong  正誤 gn

t h f l u k ‑ p h l t  

別表 1 (タイ語の例)

タは日英語の 1 6 9 対に対応するそれぞれの言語における表現である。調査項目

としては, 日英語の 1 6 9 対の例に関して,それぞれの言語において,①対応す

る表現,②表現のアルファベット表記,③英語の順序と合致しているかいない

(11)

闊西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

か,および④必要に応じたコメントの四項目を記入していただいた。また,そ れぞれの回答に対し,必要に応じて質疑を電話やメールでフォローアップした。

この結果をまとめたのが別表 2 である。

別表 2 は別表 1 の回答をサマリーしたもので,左から順 7), 英語, フランス 語 セ ル ビ ア 語 タ イ 語 , 中 国 語 韓 国 語 日 本 語 連 番 原 則 グ ル ー プ 番 号 の順番になっている。 O は,原則の順序と同じことを示し, 1 は異なることを 示す 8) 。また, 1  (異なる)の場合,網掛けしてある。空欄は,無回答か,対 応する表現がない,揺れがあるなどの場合である。別表 2 の最後の欄には,英 語との相違の数および日本語との相違の数をそれぞれ記入してある。

3 . 2   全体の傾向

全体の傾向としては,序論で述べたように,二つの傾向性が存在した。文化 的グループの存在,安定性の高い順序の存在である。以下に小節を設置して確 認する。

3 . 2 . 1   文化的グループの存在

まず,全体をまとめた中でいくつかの興味深い事実調査は,はっきりとグル ープに分かれたことである。別表 2 の最下 2 欄をご覧いただきたい。英語との 差異を調べると,フランス語が最も近く (9) ついでセルビア語 ( 1 9 ) , タイ 語 ( 2 0 ) となっており,中国語,韓国語, 日本語は 5 0 以上とそれぞれ 1 / 3 近く が異なった順序となっている。一方, 日本語との差異を見ると,韓国語が最も 近く, 日本語とほとんど同一の順序といってもよく (6)' 中国語もかなり近 い ( 1 9 )。 タ イ 語 , セ ル ビ ア 語 フ ラ ン ス 語 英 語 は そ れ ぞ れ 5 0 前後の差異が ある。

この傾向を見る限り,英語,フランス語,セルビア語という印欧語族のグル

ー プ と , 中 国 韓 国 日 本 語 と い う 東 ア ジ ア の グ ル ー プ が は っ き り と 別 れ る 。

前者は系統的(言語族による)分類であるが,中国語は韓国語や日本語と語族

が異なり,韓国語と日本語も同一の語族であるという考え方は主流ではないの

(12)

世界秩序 (WorldO r d e r ) 序説(鍋島)

1 4

6 3

6 1

4 0

1 5

2 6

4 6

9 4

3 1

5 4

2 3

9 0

7 1

5 4 1 6 5 1 0 8 7 5 1 5

6 9 9

9 ‑ 1 2 5 8 5 1 2 7 1 1 3 7 6 1 0 1 1 5

0

1 5 3 3 0 3 ‑ 1 1 8 ‑ 5 7 1 2 2 3 8 1 0 2 ‑ 7 7 3 5 4 9 5 1 1 5 8 7 0 9 6 1 3 2 1 4 5 2

2 5 0

1 1 5

英 語 b e f o r e  and a f t e r   morning and e v e n i n g   t o d a y  and tomorrow  b e g i n n i n g  and end 

I n t r o d u c t i o n ,  development, and rapid  f i n a l e  

Introduction, development, turn and  c o n c l u s i o n  

s o o n e r  o r  l a t e r   c a u s e  and e f f e c t   p a s t ,  p r e s e n t  and f u t u r e   p a s t  and p r e s e n t   o l d  and new  young and o l d   f r o n t  and back  f r o n t  and r e a r   up and down  t a l l  and s h o r t   h i g h  and low  heaven and e a r t h   hands and f e e t   arms and l e g s   e a r ,  n o s e  and t h r o a t   n o r t h ,  s o u t h ,  e a s t  and west  l e f t  and r i g h t  

l e n g t h  and b r e a d t h   u p ,  down, l e f t  and r i g h t   l o w e r  r i g h t  

upper r i g h t   l o w e r  l e f t   upper l e f t   Northwest  S o u t h e a s t  A s i a   i n  and o u t   i n s i d e  and o u t s i d e   home and f o r e i g n   i n h a l e  and e x h a l e   open and s h u t   c e n t e r  and p e r i p h e r y   c i t i e s ,  towns and v i l l a g e s   s t a t e  and f e d e r a l   l o c a l  and s t a t e   good and bad  r i g h t  and wrong 

a d v a n t a g e  and d i s a d v a n t a g e   ( s o c i a l l y )   h i g h  and low  s u c c e s s  o r  f a i l u r e   a p p r o v a l  o r  d i s a p p o r o v a l   l i k e s  and d i s l i k e s   f o r t u n a t e l y  o r  n o t   pro and con  p l u s  o r  minus  l i f e  and d e a t h   l i v e  o r  d i e   a l l  o r  none  good and bad l u c k   r i g h t  and d u t y  

日本語

(時間的)前後 朝 晩

今日明日 始まりと終わり 序 破 急 起 承 転 結 遅かれ早かれ 原因と結果(因果)

現在、過去、未来 過去と現在 新旧 老若 前 後

(空間的)前後 上 下 高 低 高 低 天地 手 足 手足 耳 鼻 咽 喉 東 西 南 北 みぎひだり・左右 縦 横

上 下 左 右 右 下 右 上 左 下 左 上 北西(地域)

墨 ア ジ ア 内 外 内側と外側 国 内 外 吸って吐いて 開閉

中心と周辺 市 町 村 連邦と 1 ・ 1

1 州と地方 善 悪

正 誤

貴 賎 合 否 賛 否 好き嫌い 幸 か 不 幸 か 利点と欠点

プラスマイナス 生死

生きるか死ぬか いちかばちか 吉凶

権利と義務

冒 ゜

〇 〇

︳ o o o o o o o o

‑ 〇 ︳

0

0 0 0 0 0  0 9  0 0 0

 0‑ 〇 ︳

o o o g o o o o o o o o o o o o o o o

o ︳

o o

0 0 0 0  0  0 0 0 0 0 0

 0  0

0  

〇 〇

oooooooo‑0‑0

0 0 0 0 0 0

0  0‑

  0 0

 0 ‑

0

‑ o o o g o o o o o o o o o o o o o o o  

臼 ゜

゜ ゜

0 0

  ゜

韓 一

0

0 0 0 0

  ︒

0 0  0 0 0  0  0 0 0 0 0 0

 0  0

0  

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

 0  0

0   0 0  0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0  

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0  

〇 〇

︳ o o o o o o o o o o o o o o o

︐  ゜ 6 7

8 9

1 0

1 1

1 2

‑ 1

3 1

4 ‑

1 5

1 6

1 7

1 8

1 9

2 0

2 1

2 2

‑ 2

3 ‑

2 4

2 5

2 6

2 7

2 8

2 9

3 0

3 1

‑ 3

2 3

3 3

4 3

5 ‑

3 6

‑ 3

7 3

8 3

9 4

0 ‑

4 1

4 2

4 3

4 4

4 5

4 6

4 7

4 8

4 9

5 0

5 1

5 2

5 3

5 4

5 5

  1 1 1 1 1 1 1

‑ 2 2

‑ 3 3 3 3 3 3 3

︳ 生 3

5 5 5 5 5 5 5

6 6 6 6

‑ 7

‑ 8 8 8 8

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

(13)

胴西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

e r f o

  a f t b e e  

[ ‑

4 6

4 4

0 9

6 3

7 3

9 2

6 0

7 6

4 4

2 4

6 2

4 0

4 2

6 6

2 7

4 5

3 9

‑ 2

4 4

9 8

7 7

7 0

ザ 号 五

央 口 口

日本語

苦 楽 貧富

生死(にかかわらず)

国内外 あちこちに

日米 あれやこれ 上南戦、早慶戦 遠 近

本拠地と敵地 敵味方 明日あさって 昨日、一昨日(?) 過 去 と 現 在 現 在 過 去 未 来 子孫孫子(の代まで)

父と祖父 自他 動 植 物 動 植 物 連邦と州 州と地方 神 と 悪 魔 神と人間 天国と地獄 政教(分離)

政教 父子 母 子 親 子

老若、老いも若きも 男 女

男 性 と 女 性 少年少女 兄 弟 や 姉 妹 彼 氏 彼 女 王 と 女 王 夫婦 夫 婦 新 郎 新 婦 紳士・淑女

お父さん•

お母さん 父 母

0 0  0 0  0 0  

0 0 0 0 0 0

 0 0

 0 0  

0 0  0  0 0  0  0 0 0 0  

0  0  0  0  0  0 

0 0 0  

0  I

O   o  o  o 

O I

O   o  o 

0 1

0   0  O  0 

0 ‑

0   0

0  

0 1

0   0  0  0 

0 ‑

0   0

0  

0 0  0 0 0 0  

0 0  0  0 0 0 0   0 0  0 0 0 0 0 0  

︶  口

別 女

︵ 性 男 来 り 齢 若 き 入 着 買 復 ー 小 少 少 減 浅 低 短 軟 年 老 行 出 発 売 往 大 多 多 増 深 高 長 硬

〇〇︳〇〇︳

ooooo‑0

0

0

0

0

0

0

0

 

(14)

世界秩序 (WorldO r d e r ) 序説(鍋島)

醒 国 一

1 5 9 6 0 2 7 1 0 3 1 4 1 2 1 1 3 4 2 8 2 1 6 ‑ 1 5 7 ‑ 1 3 8 5 6 1 4 8 9 1 4 8

‑ 7 2

一 組一

3 4 ‑ 1 2 ‑ 5 2 1 6 3 6 8 1 2 9 7 8 3 3 3 2 1 1 1 6 6 1 2 8 3 1

4 4

1 2 3

‑ 6 1

‑ 1 3 5 ‑ 1

4

5 3 ‑ 2

9 8 7 9

‑ 4 7 ‑

5 9 ‑ 1

7 0

英 語 日本語

wide and narrow  easy and d i f f i c u l t   p a r t ‑ w h o l e   near and f a r  

s m a l l .  medium o r  l a r g e   s m a l l ,  and medium‑sized c o .   c i t i e s ,  towns and v i l l a g e s   s t a t e  and f e d e r a l   l o c a l  and s t a t e  

i n j u r e d  e i t h e r  s l i g h t l y  o r  s e r i o u s l y   heavy and l i g h t  

p u b l i c  and p r i v a ̲ t e   word and deed  knowledge and a c t i o n   form and s u b s t a n c e   g e n e r a l  and p a r t i c u l a r   a b s t r a c t  and c o n c r e t e   r e d  and white  b l a c k  and w h i t e   h o t  and c o l d   h e a t  and c o l d   h u n t e r  and hunted  employer and employee  c a t  and mouse 

s p e a k e r  and h e a r e r   s u b j e c t  and o b j e c t   a g e n t  and p a t i e n t   a c t o r  and a c t i o n   c a r  and d r i v e r   bourbon and Coke  g i n   and t o n i c   h o r s e  and c a r r i a g e   bow and arrow  sun and moon  one o r  hvo  once o r  t w i c e   f i r s t  and second 

monotheism and p o l y t h e i s m   s i n g u l a r  and p l u r a l  

u n i d i r e c t i o n a l  and b i d i r e c t i o n a l   Mick Jagger and t h e  R o l l i n g  S t o n e s   Army and Navy 

c o u n t  and mass nouns  s p a c e  and t i m e   here and now  f o o d  and d r i n k  

f o o d ,  c l o t h i n g ,  and s h e l t e r   h o t  and c o l d  

t e r ,s p r i n g ,  summer, and f a l l   h e a t  and c o l d  

r e a d i n g  and w r i t i n g   nouns and v e r b s   s o o n e r  o r  l a t e r   s o n  and g r a n ̲ d s ̲ ̲ Q ! J . ̲  

全体と部分 速 近 大 中 小 中小企業 市 町 村 連邦と州 州と地方 重 軽 侮 軽 重

公私・義理と人情•

本音と建前 言うは易し行うは難し

知識と行動 形式と内実 一 般 と 特 殊 具象と抽象

~

冷たい熱い 寒 暖 狩人と獲物 雇用者と被雇用者 猫とネズミ 話し手と聞き手 主語と目的語 動作主と被動作主 行為と行為者 車と運転手 焼酎のお湯割り ジントニック 馬車 弓矢 太陽と月

1 か 2

ニ ニ 度 は

一 番 と 二 番 一 神 教と多 神 教 単数と複数 単方向と双方向

山本コータローとソルティーシュガー 陸軍と海軍

可 算 不 可 算 時 空

A~~ ,~~

で 飲 食 物 衣食住 ホットとアイス 春 夏 秋 冬 寒 暖 読み書き 名詞と動詞 遅かれ早かれ 孫子の代まで 英語との相違の総計

日本語との相違の総計

別表 2 7 言語集計一覧

〇 ︳

o ︳

ooooo‑

〇 ︳

〇 ︳

〇 ︳ o ‑

0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 一 〇 ︳

o ‑

0 ‑

0 ‑

0 1

0 1

一 0

〇 ︳

〇 ︳

o

︳ 〇 ︳

o

一 〇

1 0

1 0

〇 1

1 0

1 0

0 ‑

〇 ︳ o o o o o ‑ 0 ‑ 0 ‑ 0 ‑ I 0

O   o  o  o  o  o  o  o  o  o  o  o 

O I

  0 ‑ O 一 〇 ︳

o ︳

o ‑

0 ‑

0 I O I   0

‑ 0

‑ 0

‑ 0

‑ 0

‑ 0

‑ 0

‑ 0 0 0

‑ 0 一 〇

I O

5 8  

〇 ︳

o ‑

0 ‑

I 0

O   O  O  O  O  O  o  o  o  o  o 

O I

〇 ︳

〇 ︳

〇 一

0 1

0 1

0

〇 ︳

〇 ︳

o

︳ 〇 ︳

ooooooooooooo‑0‑0‑0‑0‑0

一 〇

︳ 〇

1 0

1 0

1 0

〇 I

O 一 〇

1 0

1 0

1 0

5 1   1 6  

54 

(15)

閥西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

で,後者は,文化圏によるグループと考えざるを得ない。

その点から興味深いのはタイ語であり,語族は独立したアジアの言語である が,世界秩序の面から見ればどちらかというと印欧グループに近い。これは今 後言語数を増やしてみることによってなんらかの説明が可能になるかもしれ ない。

3 . 2 . 2   安定性の高い順序の存在

次に興味深かったのは特定のカテゴリーはかなりの部分言語普遍的であっ たことである。これらは,時間的前後,上下,内外,善悪,顕現性(動作主),

顕現性(単複)である。言語は発話によって実時間の中に展開するため,時間 軸上で先にくるものを発話の際に先に述べる方が自然であることは想像に難く

ない。また,上下軸は非対称性の明瞭な軸で重力のために上から下へという方 向性が顕著である。内外,善悪単複もデータを見る限り通言語的に安定性の 高い順序である。また,動作主が前にくるというのは,類型論的にほとんどの 言語で主語が目的語よりも前にくる

(S

0)

という事実に対する説明のひと つとなる。

3 . 3   2 2 の原則とコメント

本小節では, 2 2 の原則とそれぞれの傾向に対して少しずつ取り上げてコメン トする。

1  . BEFORE‑AFTER 〈(時間的)前後の原則〉

ここには,時間の推移を示す語以外に,序破急などの事象の順序が入る。ま た,「原因と結果」も原因が常に結果に先立つという意味でこのグループに加 えた。先に述べたように時間的原則は非常に安定性が高い。例外は,「新旧」

と「遅かれ早かれ」でこれらはアジアグループの三言語で同じだった。「新旧」

は中国語で「新奮」,韓国語で,「礼子 ( s i n ‑ g u ) 」 , 「遅かれ早かれ」は中国語

で「遅早」,韓国語で「王計社 ( j o ‑ m a n‑ g a n ) 」である。

(16)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

2 .   FRONT‑BACK 〈(空間的)前後の原則〉

空間的な前後に関する原則でも「前」が優先し,この原則も 7言語で例外は 存在しなかった。

3 .   UP‑DOWN 〈上下の原則〉

空間的な上下では必ず上が優先する。身体の部分も立った状態で上に来るも のが優先する。《北は上である》というメタファー(鍋島, 2 0 0 3 ) は一般的で あるので,方向もこの項目に入れることにするが,東西南北が日英で異なるこ とは,先行研究で見た通りである。英語, フ ラ ン ス 語 ( n o r d ,s u d ,  e s t  e t   o u e s t ) ,   タイ語

(LVI

伽 諒 e : i e : i n 町 n:n 田 a‑taay‑?88k

t o k ) は,北南東西と上下左 右と合致しているが,西東の順が,多分太陽の運行に影響されて反転している。

日 本 語 韓 国 語 中 国 語 は , 東 西 南 北 で 一 致 し て い る が , 中 国 語 の 標 準 的 な 表 現は東南西北である。セルビア語 ( i s t o k ,z a p a d ,  s e v e r ,  j u g ) で は 日 本 語 に 近いが,東西北南と,北と南の順が入れ替わっている。いずれにせよ,東が西よ りも前に来るのは太陽の運行の時系列的順序が影響を与えていると考えられる。

4  . LEFT‑RIGHT 〈左右の原則〉

日本語でも「左右(さゆう)」と「みぎひだり」が存在し,英語でも, 307 件 対144 件とある程度両立する。これは,人間の左右が対称的であることを考え ると納得できる。現代社会では,グラフ,機器の操作など左から右が多いよう である(鍋島, 2 0 0 3 ) 。フランス語 ( d r o i t ee t  gauche) は右の方が前に来る。

法律,権利といった肯定的な意味合い有する d r o i t e が前に来るのは後の善悪 の原則と絡めて興味深い。

5  . VERTICAL  ‑HORIZONTAL 〈縦横の原則〉

上下の原則と左右の原則が並置される場合には,上下が優先される。これは 上下軸が非対称性の明らかな軸であり,左右が対称的で双方向なところから納 得できる。一方,軸自体ではなく,個々の要素の組み合わせとなる場合, 日本 語では左右軸が優先(下右ではなく,右下)し,今回これが中国語(右下),

韓国語(立邑等 o }

o ‑ r e u n ‑ j j o k ‑ a ‑ r a e ) と共通していることがわかった。

(17)

開西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

6.  IN‑OUT 〈内外の原則〉

中が外に優先する。今回集めたデータではこの原則に例外はなかった。

7 .   OPEN‑SHUT 〈開閉の原則〉

開いている方が閉じている方に優先する。今回集めたデータではこの原則に 例外はなかった。

8  . CENTER‑PERIPHERY 〈中心周辺の原則〉

中心と周辺では中心が優先される。英語の " s t a t eand f e d e r a l " の例では,

どちらの順も可能である。

9 .   GOOD‑BAD 〈善悪の原則〉

良いものと悪いものでは良いものが系統的に優先される。この原則には豊富 用例があり,ほとんどが全言語にわたって例外なく評価性の高い概念が前にく

る。例外は, j o y sand sorrows と苦楽, w e a l t hand p o v e r t y と貧富である。こ れらの場合それぞれ,中国語(苦築,貧富),韓国語(エ卦: go‑rak 、咀早:

bin‑bu) と日本語と軌を一にしている。逆に,英語が例外なのは, deado r   a l i v e  ,  また,中国語が例外なのは,「凶吉」である。

1 0 .   HERE, NOW, I〈「今,ここ,私」の原則〉

「今,ここ,私」という d e i x i s (ダイクシス・場面指示性・直示性)の原則は,

時間の原則,大きさの原則などと対立する場合がある。慶応では早慶戦を慶早 戦というように 9) 自分の所属するグループが先に述べられるのもこれに含む。

動物と植物もこの原則に従えば,人間のカテゴリーを含む動物が前に来る

10)

ことになるが,英語の " f l o r aand f a u n a " ,   " p l a n t s  and a n i m a l s " は前述のよ うに歴史的な過程がある。

興味深い用例としては,「遠近」が日中韓すべて大小,長短と同じ仲間に入 るのに対し,「あちこち」「あれこれ」で遠くが先にくるのは日本語だけである ことである。「こそあど言葉」といった言い方もあり,近いほうを前にする概 念化は日本人にとっても不思議ではないので,「あれこれ」「あちこち」などに

は日本語特有の音韻的要因があるのではないかと思われる。また, youand I 

と「自他」の例では, 日本語と韓国語が軌を一にしているのに対し,中国語は

(18)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

「祢我」と相手を先においている。このあたり,英語と中国語が同じ

svo

言 語であることの影響があるのかもしれない。セルビア語は逆に j a i  t i と日本語

と同様の語順になっている。

1 1 .   DIVINE‑HUMAN 〈神の原則〉

「悪魔と神」というサルトルの有名な著書があるにもかかわらず,フランス 語を含めて,神は系統的に優先される 1 1 ) 。ただし,「政教」という語順では,

政治と教会であれば東アジアのグループで政治の方が重要であるのは想像に難 くない。

1 2 .   OLD‑YOUNG 〈親子の原則〉

親子関係などでは常に親が優先され,生まれた時という時間関係,親から子 が生まれるという因果関係を考えれば自然である。若い人々と年配の人々とい う意味では,英語 (youngand o l d  :  フレッシュアイの検索で 140 対 3 6 ) , フラ ンス語

C

J e u n e  e t  v 1

. ) 

e u x  ,  タイ語 ( V l ' 4 l lf i l 1 1 血 : n u m ‑ s a a w ‑ k i : ; s ) で逆転して いる。セルビア語 ( i s t a r o  i

a d o ) は日中韓と同じ高年齢→低年齢となって おり,年齢層の関係をどう見るか社会文化的構築の差だろうが興味深い。

f a t h e r  and s o n   父子 mother and d a u g h t e r   母子 p a r e n t  and c h i l d   親子 c a t  and k i t t e n   cow and c a l f   man and boy  mare and f o a l  

l y o u n g  and o l d !   ( 1 4 0  :  3 6 )   老 若 老 い も 若 き も

1 3 .   MALE‑FEMALE 〈男女の原則〉

Ladies f i r s t という表現があるにもかかわらず,男性が女性より優先される

のは英語でも日本語でも同様であるが,東アジアグループにとって圧倒的に強

固な原則となっている。英語における例外は,女性が重要となる結婚 ( b r i d e

and groom) 子育て (momand d a d ,  mother and f a t h e r ) ,   および階級が関連

すると思われる例 ( l a d i e sand gentlemen) であるが,フランス語では,新郎

新婦 ( l emarie e t  l a  m a r i e e ) ,   父母 ( p e r ee t  mere) が , 男 女 の 順 淑 女 紳 士

(mesdames e t  m e s s i e u r s )  ,  ママとパパ (mamane t  p a p a ) が女男の順である。

(19)

闘西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

セルビア語では,父母 ( o t a ci  majka) は男女順,ママとパパ (mamai  t a t a )   は女男順であるがいずれも逆転可であるという。新郎新婦,淑女紳士はそれぞ れ,女男の順である。さらにタイ語は,父母に関するもののみ ( ' W e l 四: phJJ‑

m 8 8 ) が,逆転している。

1 4 .   AGE‑SEX 〈年齢性別の原則〉

年齢の原則と性別の原則間の用例は少ないが,「年齢」→ 「性別」の順序の ようであるが,韓国語(甘叶止仝: nam  ‑ n y e o ‑ n o ‑ s o )  ,  中国語(男女老少)で は逆転している。

1 5 .   COME‑GO 〈行き来の原則〉

d e i x i s   (ダイクシス・場面指示性・直示性)を含む移動であるこのカテゴリ ーは大変混乱した様相を示している。一般的には,英語,フランス語,セルビ ア 語 タ イ 語 で は 「 来 る 」 方 が 先 に 来 る 。 売 買 を 例 に と れ ば , 英 語 (buying and s e l l i n g )  ,  フ ラ ン ス 語 ( a c h a te t  v e n t e ) ,   セ ル ビ ア 語 (kupovinai  p r o d a j a ) ,   タイ語 ( 1 f e 1 1 . 1 1 £ J   :  S 皿 i ‑ k h a a y ) とすべて同じになっている。一方,

日本語と韓国語では系統的に「出る」方が先に来る。

興 味 深 い の は , こ の 代 表 的 な 用 例 で あ る 「 行 き 来 」 で あ る 。 英 語 (come and g o ) ,   セルビア語 ( d o l a z i t ii  o d l a z i t i ) ,   中国語(束去)が COME‑GOの順 番 フ ラ ン ス 語 C a l l e re t  r e t o u r )  ,  タイ語 ( 1 山 n:  pay‑maa) ,  日 本 語 韓 国 語(フ}立告: ga‑go‑om) が GO‑COMEの順番である。単なる偶然であれば 残念だが,語順社会慣習等なんらかの言語または認識的特徴と相関がある可 能性もあり,今後の調査が期待される。

1 6 .   LARGE‑SMALL 〈大小の原則〉

大小,多少,増減深浅高低,長短,硬軟,広狭などに関する原則である。

東アジアグループでは系統的に大きいものが優先される。印欧グループおよび タイ語ではかなり例外が見られる。英語でも l a r g eand s m a l l であれば,大小 の原則に沿っているが, s m a l l ,medium, l a r g e となると順番が逆転する。さらに,

e a s y  and d i f f i c u l t   (易しい難しい), s l i g h t l yo r  s e r i o u s l y  i n j u r e d   (軽症,重症)

のように評価性が関連すると悪いものが後ろに来ることが見て取れる。東アジ

(20)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

アグループでほとんど唯一の例外は,軽重(中国語:軽重,韓国語:咽~:

g y o n g ‑ j u n g ) でこの理由はわからない。

1 7 .   PUBLIC‑PRIVATE 〈公私の原則〉

用例が少ないが全言語において「公私」の順になっていることが観察された。

1 8 .   GENERAL‑SPECIFIC 〈一般特殊の原則〉

思考を行為に移すような場合には一般が「思考」が「行動」に優先する。そ れ以外は傾向がやや緩やかである。

word and deed  いうは易し行うは難し knowledge and a c t i o n   知識と行動 form and s u b s t a n c e   形式と内実 g e n e r a l  and p a r t i c u l a r   一般と特殊 a b s t r a c t  and c o n c r e t e   I 具象と抽象 I ( 3 0 3  :  2 6 1 )  

以下に,顕現性 ( S a l i e n c e ) に関する 4 つの原則を挙げる。上述の中にも顕 現性と呼べる現象(上は下よりも顕現性が高いなど)は存在するがここではそ の他のものとする。また,顕現性も多種存在するように思われたので, ここ で は 4つのカテゴリーに分けて紹介する。

1 9 .   SALIENT ( i n t e n s e ) 〈顕現性の原則(強い刺激)〉

色や温度などの大きい方が優先する。今回の多言語の比較から,「白黒」と いう日本語の例は例外であるとわかった。温度に関しては,印欧グループおよ びタイ語が熱いものを先にいうのに対し,東アジアグループは系統的に冷たい ものを先にいう。

r e d  and w h i t e   紅白 b l a c k  and w h i t e

固罰

( 2 2 9 1 9 7:  1 7 0 9 5 )   h o t  and c o l d   I 冷たい熱い?

h e a t  and c o l d  

2 0 .   SALIENT ( a c t i v e  p o w e r ) 〈顕現性の原則(能動性)〉

物理的,比喩的な意味で力を持つ参与者は受け身の参与者に対して優先する。

この原則は意外にも非常に強固で例外はほとんどない。能動性は力であり,カ

は作用で,物事の原因となることから,出来事の始点となるためであると考え

られる。唯一の例外は「行為と行為者

12)

」で,中国語(行為奥行為者),韓国

語(き』判叫咽判ス}:  haeng‑wi‑wa‑haeng‑wi‑ja) でも日本語と同様の傾向が

(21)

開西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

観察された。これは〈モノ〉的言語と〈コト〉的言語(池上, 1 9 8 1 ) の観点か らも興味深い。

2 1 .   SALIENT (one‑many) 〈顕現性の原則(単複)〉

one o r  two (1 か 2) once o r  t w i c e   (一度や二度は) f i r s t  and se co n d  (‑

番と二番)など数字の 1 は 2 に優先し,単体は複数から成るグループに常に優 先する。

2 2 .   SALIENT ( s o l i d ) 〈顕現性の原則(個体性)〉

e a r t h ,  a i r ,  f i r e  and w a t e r ,  l a n d  and s e a ,   c o u n t  and mass nouns( 可算不可算)

など固体は液体よりも領域が特定しやすいと思われ顕現性の点から優先され る 。

3 . 4   三節のまとめ

本節では,まず3 . 1 で今回の調査の手法を簡単に述べ,次に, 3 . 2 で全体的な 傾向性(①言語文化グループに分けることができること②強固な傾向性を持つ 原則の存在)について論述した。前小節である 3 . 3 では 2 2 の原則にそって簡単 に用例を紹介した。個別言語の事情による例外も存在するが,一般的には,通 言語的に安定した原則と言語グループによって異なる原則の二つに分けること ができるように思われた。その中で,セルビア語は例外的に東アジアグループ

と同じ傾向を持ち,中国語は稀に印欧語族グループと同じ傾向を示した。また,

タイ語は多くの場合印欧語グループに似たデータを示したが, これが,言語一 般的な傾向で東アジアグループが例外的なのか,それとも,タイ語がなんらか の言語接触などによって,印欧語族に似た傾向を持つに到ったのか,あるいは 偶然の産物なのかといったことはここまでのデータでは明らかにはならない。

また,「行き来」のデータは予測不可能な様相を示しており,これも今後の研 究が望まれる分野である。ここまでの流れを受けて,次節で全体のまとめを行

う 。

(22)

世界秩序 ( W o r l dO r d e r ) 序説(鍋島)

4 .   まとめ

本稿では, Cooperand Ross  ( 1 9 7 5 ) の世界秩序に関する先駆的研究を日英 対照で行った鍋島 ( 2 0 0 4 ) を受けて,フランス語,セルビア語, タイ語,中国 語,韓国語の専門家の多大なる協力を得て多言語比較の類型論的研究に発展さ せたものである。

導入である第 1 節に続き,第 2 節では,類像性研究の先行研究を簡単にまと め,第 3節では,今回の調査の形式と手順を概説し,データを紹介するととも に傾向に関する考察を行った。世界秩序(言い換えれば自然界における順序)

の研究を類型論的に行うことで,世界に存在する多数の順序が, どれくらい普 遍的なのかどれくらい文化依存的なのかに対する視座が提供できる。

22の原則のうち,用例も多く重要なもので通言語的に安定した原則は,以下 の 6つであった。

1  . BEFORE‑AFTER 〈(時間的)前後の原則〉

3.  UP‑DOWN 〈上下の原則〉

6.  IN‑OUT 〈内外の原則〉

9.  GOOD‑BAD 〈善悪の原則〉

2 0 .   SALIENT ( a c t i v e  power) 〈顕現性の原則(能動性)〉

2 1 .   SALIENT (one‑many) 〈顕現性の原則(単複)〉

東アジアグループでは強固であるが,欧米のグループで例外が多かったのは 以下の 3つの原則である。

1 2 .   OLD‑YOUNG 〈親子の原則〉

1 3 .   MALE‑FEMALE 〈男女の原則〉

1 6 .   LARGE‑SMALL 〈大小の原則〉

(23)

闘西大學『文學論集』第 5 6 巻第 1 号

印欧グループで比較的安定していたのは以下のグループである。

1 0 .   HERE, NOW, I〈「今,ここ,私」の原則〉

1 1 .   DIVINE‑HUMAN 〈神の原則〉

さらに,両グループの対立が見られ,それ以外にも大変複雑なデータを示し たのは以下の原則である。

1 5 .   COME‑GO 〈行き来の原則〉

本稿の研究によって可能となる研究方向性を簡単に再録すれば,①究極的に 文法 (SVOなど)の動機づけを探る営み,②順序の身体的または環境的動機 づけ,すなわち認知の制約を探る営み,③言語の普遍性と文化相対性の問題の 検討に貢献,④メタファーが如何に文法に反映するかを研究する鍵,の 4 点で あった。今回の研究の結果このプロジェクトが特に③に関連して文化的類似 性を判定する指標として使用できるのではないかという目算が高まった。

今回は,データの収集,観察とその簡単な分析にとどまったが,今後必要な 研究課題としてはこれらを説明する分析の精緻化,統計の使用,モデルの作成 などが挙げられよう。例えば,二つの原則が衝突した際どのような結果が生ま れるのか。 ( 9 ) のような場合, どちらが結果として生じ,両立する際,それはど のような条件に左右されるのか。使用頻度はどのように関わるのか。

( 9 )   a .   過去,現在,未来

b. 

現在,過去,未来

←  〈時間の原則〉に従った順序

←  「現在」に関して〈「今,ここ,私」の 原則〉に従った順序

慣習化はどの時点でどのように働くのか。同じような用語の他のパターン(「大

小」といった語彙化したスキーマ的パターン)にどのように影響を受けるのか

(24)

世界秩序 (WorldOrder) 序説(鍋島)

などさまざまな考察をもとに具体的なモデルの提案が待たれよう。

また,こういった課題を進めるにあたって興味深い具体的な検討課題として は以下の二つが挙げられる。まず,タイ語の位置づけである。第 3 節のまとめ で述べたように,東アジアグループが例外的なのか,タイ語がなんらかの理由 で印欧語グループに入っているのか。これはさらに言語数を拡げれば判別でき る可能性がある。第 2 の検討課題は,「行き来」の類型論的検証である。「行き 来」「往復」「やりもらい」「売買」などの例において系統性は見られるのか。

見られるとすれば, どのような素性と相関を持つのかなどは,今後興味深い課 題である。

1) 本研究は平成 1 6 年度関西大学学術研究助成金の助成を受けている。

2) 山 梨 ( 1 9 9 5 ,2 0 0 0 ) を参照。

3) フランス語は大久保朝憲氏,セルビア語はドラガナ・シュピカ氏,タイ語は佐藤博史氏,

中国語は呂佳蓉氏,韓国語は金ジュヨン氏に御判断いただいた。この場をお借りして感謝 の辞を述べさせていただきたい。もちろん本稿の不備な点は筆者の責任によるものである。

4) この研究例をご教示いただいた仲本康一郎氏に感謝したい。

5) 呂佳蓉氏私信。なお関西大学の陶徳民先生から東西南北と東南西北の 2つの順序がある ことが指摘された。合わせて感謝したい。

6) 同様のことは「東南西北」という順序に関してもいえる。

7) 原則グループに近い順番。 O は英語と同じ, 1 は英語が原則と異なることを示す。 1 の 場合すべての回答の同異を反転させた。

8) なお,原則に一定の揺れがある場合は,英語の方を 0 にしてある。

9) 篠原俊吾先生のご教示による。早慶戦と慶早戦の両方が使用されるらしい。

1 0 )  S l i v e r s t e i n  ( 1 9 7 6 ) の AnimacyHierarchy など共感の階層のこの原則に含まれるだろう。

1 1 )   L a k o f f  and Turner ( 1 9 8 9 ) にある t h eGreat Chain o f  Being は,〈神の原則〉と上述の Animacy Hierarchy を接合したものと考えることができる。

1 2 ) 行為者は行為から派生した語であるから当然この順になるという議論は成り立つが,行 為者が行為から派生すること自体が行為を一義的に考えていることになるという議論も成

り立つ。

基本文献

Anderson, E a r l   R .   1 9 9 8 .  A Grammar of I c o n i s m .  L o n d o n :  A s s o c i a t e d  U n i v e r s i t y  P r e s s e s .  

(25)

間西大學『文學論集』第 56 巻第 1 号

C o o p e r ,  W . ,  and J R . R o s s .  1 9 7 5 .  "World O r d e r . "  I n  Grossman and Vance 1 9 7 5 .  P a p e r s  f r o

P a r a s e s s i o n  on F u n c t i o n a l i s m .  C h i c a g o :  C h i c a g o  L i n g u i s i t i c s  S o c i e t y  ( C L S ) .   Haiman, J o h n .  1 9 8 5 a .  I c o n i c i t y  i n  s y n t a x .  Amsterdam: John B e n j a m i n s .  

1 9 8 5 b .  N a t u r a l  s y n t a x .  C a m b r i d g e :  Cambridge U n i v e r s i t y  P r e s s .  

L a k o f f ,  George. 1 9 9 6 .  Moral p o l i t i c s .   ‑ What c o n s e r v a t i v e s  know and l i b e r a l s  d o n ' t .   C h i c a g o :  The U n i v e r s i t y  o f  C h i c a g o  P r e s s .  

L a k o f f ,  George and Mark J o h n s o n .  1 9 8 0 .  Metaphors we l i v e   b y .   C h i c a g o :  U n i v e r s i t y  o f   C h i c a g o  P r e s s .  

L a k o f f ,  George and Mark T u r n e r .  1 9 8 9 .  More t h a n  c o o l  r e a s o n :  a 五 e l dguide t o   p o e t i c   m e t a p h o r .  C h i c a g o :  U n i v e r s i t y  o f  C h i c a g o  P r e s s .   (大堀俊夫訳『詩と認知』,紀伊国屋書店,

1 9 9 4 年 )

S i l v e r s t e i n ,  Michael 1 9 7 6 .  "Hierarchy o f  f e a t u r e s  and e r g a t i v i t y , . "  i n  D i x o n ,  R . W . e d . ,   Grammatical c a t e g o r i e s  i n  A u s t r a l i a n  l a n g u a g e s .  1 1 2 ‑ 7 1 .  New Y o r k :  G a r l a n d .  

池上嘉彦 1 9 8 1 .   『「する」と「なる」の言語学』大修館書店 1 9 9 2 .   『詩学と文化記号論』講談社学術文庫

鍋島弘治朗 2 0 0 3 .   「言語学的アラインメント試論―写像 (mapping) の骨格としての整列 ( a l i g n m e n t ) ―」『英文学論集』第 43 号 関西大学英文学会

2 0 0 4 .   「線条的類像性 ( L i n e a rI c o n i c i t y ) ー自然界の秩序と語順のマッピング に関する日英対象研究」『認知言語学論文集』第 4 巻

大堀俊夫 1 9 9 1 .   「文法構造の類像性」日本記号学会編『かたちとイメージの記号論』(記号 学研究 1 1 )

1 9 9 2 a .   「イメージの言語学」『月刊言語』大修館書店

1 9 9 2 b .   「言語記号の類像性再考」日本記号学会編『ポストモダンの記号論」(記 号学研究 1 2 )

瀕戸賢一 1 9 9 5 .   『空間のレトリック』海鳴社

山林由佳 2 0 0 3 .   「 Order 一日英における語順の違い一」『 Forum 』関西大学英文学会 山梨正明 1 9 9 5 .   『認知文法論』ひつじ書房

2 0 0 0 .   『認知言語学原理』くろしお出版

図 1 Up,  d o w n ,   l e f t  and r i g h t と N o r t h , S o u t h ,   E a s t  and W e s t ,   上下左右と東西 南北のアラインメント(口は上下左右と方向の不一致を示す)

参照

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