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音配列論序論

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Academic year: 2021

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(1)配 福. 列. 読. 島. 直. Preliminaries. by. Naoyuki. to. 之. Phonoactics. FuI(USHIMA. どんな自然言語にも子音と母音がある.その組み合わせの可能性,実現性は,それぞれ の言語によって異なる。その多様な組み合わせの可能性,実現性を研究対象とするのが, 音配列論である。 本稿では,母音の配列についての考察を行う。とりわけ,日本語における母音連続につ いての傾向を調べ,普遍的音配列論の手がかりとしたい。日本語の母音連続といっても, 羅漢としているから,ここでは,語の最初に生じる母音連続を対象にし,いかなる母音の 組み合わせが,日本語として柱普通であるかを考察し,より普遍的な原理があれば,それ を考究したい。 §1では,資料の呈示とその断片的解釈,. §2では§1の考察を踏まえて音配列論の領域. に関する考察を行うo §1. 以下で示すデータは,日本語の語童のうち,語頭音節の第一母普の直後に第二母. 音が後続している語を,その音韻的環境に従って分類し,それぞれの環境に生じる母音連 (第2版補訂版,昭和 続の生起数を,語数で示したものであるo語数の算定をも『広辞苑』 52年発行)に基いた。 以下のデータは,. ♯♯(C)VIV2-のパタンで,. CとVlとV2をパラメータとして変化. させた時の語例の数である。各々の枠内の上段は,当該パタンに相当する語の総数を示 し,下段左は,その内,. VlとV2の間に形態素境界が介在する語の数,下段右は,外来 語の数を示す。 /aa/と/a:/,などを区別したが,前者は正書法では「ああ」に,後者は 「ア-」に対応させた。. §1.1日本譜の音節構造は一般にCVの形をしているから,語の普配列は,. (a)のように. なっている。. (a) ♯‡(Cl)Vl(C2)V2・-従って,語頭音節に始まる母音連続とは(a)に於て, ような場合である。. C2-¢. (空)の場合であって次の(b)の.

(2) 福. 42. 第1表. 注(1). :. Vl-/a/の場合. /a/の長音を示す。以下同様。. 島. 直. 之.

(3) 昔 第2表. Vl-/i/の場合. 注(2い「ウイ-」. 「ヴイ-」など。. 配. 列 論 序 論. 43.

(4) 福. 44. 第5蓑. 島. 直. 之. Vl-/u/の場合 V2. a1. C. u. 41. e. 3. 0. 1068. 30. 152. ¢(空) 52. k/g 6. ilo o10I5. ・6】20 ・oE6い. 164 1. 0. s/2:. 911I4El2 21159. t/d. 1122. 1. 0. 2621. 68. 13602. 0. 10 62. 12. 12. 12. o】2683 ・5179 oい5.33. 1. 259 10. 56. 22. 9. 786 22. 50. 31 246. 9I14. 00. ol9foo I. (3) ts. 3!12. bLk 51. o】o 1437. 76. 2. 00. 66. i. oi700. 198. ll. 3838. ・30】263 4lo oZ38E201 】 3118. 07 336. 90. i. 72】42 i. 6. 0. ・319 oF138. i. 1 0. 1. 50 0. 注(3) : /ts-/は音素形とする.従って/tu-/の音声形【tsu-]は,ここには, 算入されない。. 24. 13.

(5) 音 第4表. Vl-/e/の場合. 配. 列 論 序 論. 45.

(6) 福. 46. 第5表. Vl-/0/の場合. 島. 直. 之.

(7) 音 ′1. \. しb). u. u. /J■ヽ\. T. T. T. 配. 列 論 序. 論. T. 打者しし)VIV2==''. ここでVlとV2の間には普節境界(S),形態素境界(+),語境界(♯)などが存在す る場合がある。無論,何の言語学的境界も介在しない場合もある。これらの四つの場合は 以下の如く示せる。. (c) #♯(C)VIV2・・・・(a) ♯♯(C)VlSV2・・・・・・ (e)榊(C)Vl+V2・・・・・・ (f) ##(C)Vl♯V2-・・. 同じ母音連続とはいえ, (a)-(f)では,当然その意味が変わってくる. 一般に各言語学的境界間には,概念上,次のような包摂関係があるo. 即ち,語境界のある所には形態素境界と音節境界が存在するが,その逆,即ち,形態素 境界に語境界,音節境界に形態素境界や語境界が必ず存在するわけではない。又,形態素 境界には必ず音節境界が存在するが,その逆は成立しない。 ここで欲しいデータは,. (c)-(f)について,. C,. Vl,. Ⅴ皇をパラメータとし,この値を動か. していった場合の,語条項目の数である0 日本譜を構成している全体の語童のうち,どの 程度の割合で,特定の母音連続のパタンがあるか。その割合が知られれば日本語における 母音連続の自然度について語れよう。ここでは,作業の簡単化のため,上記(c)と(e)につい て資料を作成した。 (c)と(e)の構造の判定は,見出し語が「-」で区切られていれば(e),区 切られていなければ(c)ということにした。 外来語との合成語は,第一語の資格によって外来語であるか,否かを判定した。即ち, 第一語が外来語であれば,その合成語全体を外来語と判定した。 外来語という認定は,見出しがカタカナで書かれている語に対して機械的に下した. (但し「トおん-きごう(ト音記号)」は外来語とはしなかった。) 接尾辞(「味わう」などの「わう」,. etc.)は独立の見出しで掲載されているが,それ自 体,語頭に生じることはない。したがってこの表に算入すべきでないが,作業の単純化の ため数え入れた。 第一構成語を共有する合成語の場合第一構成語のみが一括した見出しをもっているため それを一例と勘定した。. (「愛着」 「愛着慈悲」 「愛着生死」では「愛着」のみを数えた。). 47.

(8) 福. 48. 島. 直. 之. 同一形態素を語頭に共有する合成語で,その形態素が語としての資格をもたない場合, その合成語は別見出しで収録されているため,重ねて数えた。. (「代案」 「代議員」 「代理」. etc・はその数だけ数えた。)しかし,この重複計数は,母音連続のパタンの生産性に直結 するとは言えない。表数字解釈の留意点とすべきである。 固有名詞は下位要素に分解されていない。したがって形態素境界は介在していないもの として数えたが,音韻的に境界があることは確かであろうo /kaSou/と分析できる。) §1.2.1.. り札「かおう(「嘉応)」柱. 第1表から. ♯昔za+u-のパタンのうち「ざう(座右)」は,母普連続auの問にわたり晋/j/が入 り易く,口語では【zaju'】がよく聞かれる。これは形態素境界ごしの母音連続の中には, 調音困難なため,わたり音挿入が生じることを示す.わたり音挿入の現象は考究の一対象 となろうo. 榊ra+i-の連鎖は「羅衣」の例しか観察されなかったが,これでこの普配列が非生産 的と断定する事はできない。 どがあり,. /ra/の音を持つ形態素として「羅」,. /i/の晋を持つ形態素として「衣」. て/rai/が生じる可能性があるo. 「裸」, 「粒」,. 「等」な. 「場」 「居」 「胃」などがある限り,新語とし. (実際「裸胃」ということばがあってもいいではない. か。清春みには胃を空にしたまま飲むことは大敵であるから。)音配列論は,この造語能 力までをも対象にすべきである.形態素の音配列と,形態素間の音連結の問題が重要とな ろう。. 第1表に限らず一般に指摘できることがあるが,表に示された数値の大小は,そのまま そのパタンの使用頻度につながるわけではない。たとえば,. 「逢う」 「会う」. 「合う」など. に使われる鮒au-のパタンは全体として僅か22例しかないが,それらの語は日常には極 めて頻繁に使われる。逆に,多数の例をもつ‡‡ai-のパタンには,日常あまり使用され ない「あい(間)」,. 「あい(填)」,. 「あい(東風の異名)」などの語が含まれている。本論. では,個々の音配列を,日常の使用頻度ではなく,語ないしは形態素として構成される可 能性という軌点から取り組む。 一般に,漢字一字に対して一形態索が対応すると考える。これを「-漢字一形態素の原 則」と呼ぶことにするo多くの場合,一決字は一昔節にも対応している. (「-漢字-音節 の原則」)しかし,和語に対して,漢字が宛て字として使われている場合には適用できな 「蚕」を「かいこ」と読めば三音節を成す。). い。. §1.2.2.. 第2表から. ##(C)ie-の連鎖の類似音連鎖として,. ♯#(C)je. -があるが,これらは別の言語形式と. 考えた。 「イエメン」. ([jemen】)幸「イエメン」. (【iemen】). したがって「イェ-」の語は,算入しなかった。 ♯♯(C)ia-の欄を見てゆくと,殆どが形態素境界ごしの語と,外来語で占められているo.

(9) 昔 ▽. 東学コ. ′′ヽI. LJ,、た_しヽ Y. 4>tロLJ-L・〟-rJ. _. ''ニノ. 配. 列 論 序 論. 1, i・ LI I?Jふ【 ′丁ヽ t. ヽーしJ3レぢ一ヘノlー>ノ ′丁ヽJ_ U >ノく-Q71てフJqレJrJ. 「-_之_Jl. 49. T、1「ご′Tヽ二7乙h.・7忘+_. T2!つJrlh..斗 J 17LJVdリ. ・ヒ<. l'VノノJ望ソ. サ. ヽ■のJPo. (1)いあい-じ(遺愛寺) (2)ちあえ-の-まつり(道饗の祭り) (3】にあつかい一にん(荷扱人) (1)の第一構成語「遺愛」は別見出しで「い-あい」と掲載もされているし,又,. 「-漢字. 一形態素の原則」から,形態素境界が第一母音「い」と第二母音「あ」の間に介在してい ると考えるべきである。同様の原則から, (2), (3)にも当該個所に形態素境界が介在してい ると考えられるo このように考えてくると鮒(C)ia-の音連続は全ての場合,形態素境界 ごしのものか,又は外来語となる。すると,外来語を除けば,日本語の語頭形態素は /(C)ia/で決して始まらないということになる。もう少し緩い言い方をすると,日本語の 多くの形態素は漢字であり,その漢字は-音節であるから,漢字音には,. /(C)ia/はない. ということになる。果してどうであろうか。又,和語による形態素も/(C)ia/で始まる ことはないということになる。. 鮒kio一連鎖のうち,表記上,形態素境界のないものは以下の通り (1)きおい(競・勢). (5)きおう(競う). (2)きおい-かかる(競い掛かる). (6)ぎおう(紙王). (3)きおい-じし(勢獅子). (7)きおう-がん(奇応丸). (4)きおい-たつ(競い立つ). (8)ぎおん-なんかい(祇園南海). 固有名詞の例, (6ト(8)を除けば,全部「競(勢)」が絡んでいる。言いかえると,漢字 「競」の音のみが##kio一連鎖をつくると言えるのではないか.又,この音と中国語普と の対応も面白い研究対象となろう。 『広辞苑』の見出しでは,表記上での長母音(「ア-」. 「イ-」,. etc.)は外来語にのみ見. られ,逆に母音連続は外来語には見られない。しかしこれは単なる正書法上の問題であ り,在来語(外来語以外の語を「在来語」と名付ける)にも音声学的には,長母音があり (「ちいさい」 【tJi:sai一),外来語にも,母音連続が見られる。 (「カード」 [kaado]特に二つ の【a】を高いアクセントから低いアクセントで発音した時) §1.2.3.. 第3表から. ♯#ui一連鎖はろ「ウイ-」. 「うい-」の語を算入し,. 「ウィ-」. ([wi-]),. 「ゲィ-」. ([vi. -】/【bi-】)は算入していない。 ##(C)uu一連鎖の実際の音声形は【(C)u:]と【C)uu]の二通りある. (1)(a)すう(敬) [su:】 (b)すう(政う) [suu] (2)(a)ふううん(風雲) [◎u:un】 (b)ふうん(不運) [◎uun】 これらは,同一形態素内では長音化されるという一般的規則によって説明されるo は長普を持つから,音声形を基準にとるなら舶(C)u:-の欄に算入されるべきだが,こ こでは,正書法を基準にした。. (a)の語.

(10) 福. 50. §1.2.4. 島. 直. 之. 第4表から. 榊(C)ea-の連鎖は外来語を除けば,必ず形態素境界が介在し,形態素頭の母音連鎖と して/ea/はないことを示す。. ##(c)eu-の連鎖で,表記上同一形態素内にあるものは,外来語を除けば以下の3つo (1)えうかし(兄狩). (固有名詞). (2)けうら(清ら). (3)ねうし-おきうま(寝牛起馬) (3)は, 「一漢字一形態素の原則」を適用すれば除外できる。. (1), (2)が古語であるから現代. 日本語では外来語と形態素ごえの語以外には,このパタンに属する語は皆無ということに なる.. 榊(C)eo-の連鎖が見られる語は,外来語と表記上の形態素ごえの語を除くと,以下の 4例であるo (1)えおん(慧遠) (固有名詞) (2)ねお-かけ(根緒懸) (3)へおい-びくに(展負比丘尼) (4)めお-さし(女男挿) これら全てに,. 「-漢字一形態素の原則」が適用できるから,形態素頭の母音連鎖/eo/は. なしということになる.. ♯#(c)ei-は,数値をみて分るように極めて生産的パタンである.特に同一形態素内で の例が多い。 Sl.2.5. 第5表から. ##(C)oa-の連鎖を含む表記上同一形態素内とされるもの(外来語を除く)は以下の通 りo (7)ほあし-ばんり(帆足万里). (1)おあんない-も(御案内も) (2)おあんものがたり(おあん物語). (8)もあい(防). (3)こあみ-ざ(小網座). (9はあけまえ(夜明け前). (4)ごあんす. ㈹よあつ-き(与圧器). (5)そあい(広島地方の海中の暗礁). tll)よあつ-しつ(与圧室). (固有名詞). (6)のあわせ-いくさ(野合軍). このうち,形態素分析の適用が単純にできないのは,. (5)と(8)である。 (8)については「もや. い」の形がある所から,. (5)については不明。. -oa-は有標形式ということが分る. ##(C)ou-は極めて生産的パタンであるo 同一形態素内に生じているものが殆どであ. る。漢字音の影響であろうか。 ##(C)ou-は同一形態素内で生ずる時,発音が【o:】となる. ki/-【ko:ki])形態素境界ごしの場合は単母音の連続となる。 uma/-[kouma]). (「こうき(高貴)」/kou+ (「こ-うま(子馬)」/ko+.

(11) 音. 配. 列 論 序 論. 51. S2.1 形態素頭の母音連鎖の数をみてゆくと,. ♯#(C)ai-, #♯(C)ei-, ##(C)ou-が,非常に. 多いことに気付く。これらの共通点は,第一の母音が中音,ないしは低舌母音であり,第 二の母音が高音母音であることであるo 同一形態素内の母音連続は,一定の条件の下で二重母音と考えることができるo. (この. /ei/ /ou/は二重母音として,. 「一定の条件」はまだ明確でないが)すると,上記の/ai/ 日本語の音韻体系の中で比較的自然なものと言える。 二重母音はそれが「降り二重母音」. (主音副音)であれ,. 「昇り二重母音」. (副音主音) であれ,また「平二重母音」であれ,二つの単母音の連続から成ると考えられる。すると 一言語内で単母音の音素の数が確定されていれば,素朴には,その数の二乗の数だけの二 重母音が論理的可能性として生ずる。更にまた単母音として使われる母音の音素と,二重 母音に関与する母音の音素は,異る範噂に属すとも考えられる。そうすれば,その二重母 音の種類は,論理的可能性としては,更に増大する。 この二重母音の可能性を,制限している原理はなにか。 §2.2 英語の二重母音としては以下のものが,一般に確定されている. (1)/eI,aI, 〇Ⅰ/ (2)/∂u,au/ (3)/Ia,ea, ua/. 全てが「降り二重母音」であるが,主音から副音へのわたりを矢印で示すと以下のように なる。. (但し経路は不問とする). (日本語二重母音のわたりと比較せよ。) (i). {u i\a a. 英語二重母音のわたり. 日本語二重母音のわたり. 英語二重母音においても(3)の類を除くと,日本語二重母音と同様,舌の位置が低い方か ら高い方へとわたっているo 二重母音構成の原理として, VIV皇. (降り二重母音の場合)次のようなものが考えられる。. (但し, VIV2は二重母音であり,. Vlは主音,. V2は副書). 【+bigh】トhigh】 この原理は,普遍文法の一部として考えてみたい.一つの大きな問題は,この原理だけ.

(12) 福. 52. 島. 直. 之. Chomsky では言語間の差異,又,一言語内での変異を説明することは不可能であろう。 (1981)のモジュール文法の考えを借用し,音韻論内でも,いくつかの原理の相互作用に. よって,多様な言語形式を説明することが可能であるかもしれない。二重母音構成原理は そのモジュールの一つを成すと考えるのである。 二重母音の内部構成原理の研究が,狭い意味での音配列論とは言い難いかも知れぬが, 音連結を扱うことから広い意味での昔配列論に少々立ち入った。. 参 Chomsky,. N.. 服部四郎(1984) 新村出編(1977). (1981). Leciurse. on. 考. GoLUernmenl. 書 and. 『音声学』岩波書店 『広辞苑』(第二版補訂版)岩波書店. 目 Binding・. Foris・.

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