九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
T1ρ relaxation time mapping 法を用いた MRI に おける上腕骨頭軟骨の評価 : 若年健常者と高齢健常 者の比較
見明, 豪
https://doi.org/10.15017/1806915
出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(医学), 課程博士 バージョン:
権利関係:Fulltext available.
(別紙様式2)
氏 名 見明 豪
論 文 名 Evaluation of Humeral Head Cartilage Using the Magnetic Resonance Imaging T1ρ Relaxation Time Mapping Technique: A Comparison between Young and Elderly Healthy People
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 三浦 岳 副 査 九州大学 教授 北園 孝成 副 査 九州大学 教授 神野 尚三
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
変形性肩関節症は40歳以上の検診による調査では一般住民の 17%に発生する疾患であり、その原因 として加齢がよく知られている。過去には加齢によって肩関節軟骨が変位するという報告は多数みら れるが、それらは全て屍体やレントゲン撮影を用いた研究であり、軟骨変性変化に繋がるような器質 的疾患を有さない健常ボランティアを対象とした研究はない。今回、申請者ら は軟骨を定量的に評価 する方法として、MRIにおけるT1ρ relaxation time mapping 法に着目した。同手法は早期軟骨変性 の評価に優れており、軟骨プロテオグリカン含有量が減少するとT1ρ値が上昇すると言われている。
そこで、申請者らは加齢によって T1ρ値が上昇するのではないかという仮説をたてた。木研究の目的 は、上腕骨頭軟骨の T1ρ値を3T MR Iにて測定、加齢による軟骨変性への影響を検証することである。
対象は肩関節に愁訴が無く、器質的疾患を有さない健常ボランティアとし、若年者 10人(平均年齢3 0.2歳)、高齢者10人(平均年齢62.6歳)とした。上腕骨頭において、 棘上筋腿の骨停止部から骨頭軟骨 下縁までの領域を 6分割し、若年者と高齢者の比較を行った。
結果、若年者の全体の平均 T1ρ値は40.9 ms、高齢者の全体の平均 T1ρ値は40.5 msであり、有意差 はみられなかった。対応する各領域別の比較でも有意差はみられなかった。加齢は変形性関節症の大 きな誘因となるが、加齢のみが直接的な影粋を及ぼしているとは考えられない。過去の報告との相違 点として、過去の報告は軟骨変性変化に繋がるような器質的疾患を対象に含んで いるのに対し、本研 究ではそのような患者を除いた健常ボランティアを本研究の対象としたことが挙げられる。そのため、
加齢によるTlρ値に差が見られなかったのではないかと推察された。また膝関節の Tlρに関する過去 の報告では、大腿腔骨関節は加齢に伴いTlρ値が上昇するが、近位 脛腓関節は加齢との関連性は無い と報告があり、肩関節は非荷重関節のため加齢による変化が無かったのではないかと推察された。
本論文についての試験はまず論文の研究目的、方法、実験成績などについて説明を求め、各調査委 員より専門的な観点から論文内容及びこれに関連した事項について種々質問を行い、おおむね満足す べき回答を得た。
以上のことから、調査委員合議の結果、試験は合格であると判断致し た。