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ドイツにおける取締役報酬に関する規律 : 近年の 動向

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(1)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律 : 近年の 動向

著者 伊藤 靖史

雑誌名 同志社法學

巻 62

号 2

ページ 365‑448

発行年 2010‑07‑31

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012193

(2)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一〇九同志社法学 六二巻二号

ドイツにおける取締役報酬に関する規律 ―

近年の動向

伊 藤 靖 史

  (三六五)

          

 

 1

 

 2

 

 3

 

   4

 

 1

 

 2

(3)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一〇同志社法学 六二巻二号

  (三六六)

 

 3    4

 

 1

 

 2

 

 3

 

   4

 

 1

 

 2

 

   3

 

 1

 

 2

 

   3

(4)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一一同志社法学 六二巻二号   はじめに   本稿は、上場会社を念頭に置いて、ドイツにおける取締役報酬に関する規律をめぐる近年の動向を紹介・検討するものである。

  一九六一年に公表された矢沢惇﹁取締役の報酬の法的規制﹂は、取締役報酬をめぐるここ数十年の日本の会社法学・実務における議論の方向性を定めた業績といえる。同論文では、米国や英国の法規制とならび、取締役報酬の相当性に

ついて定める一九三七年ドイツ株式法(以下では三七年法という)の規制と、取締役報酬の開示を要求するドイツ商法典(以下ではHGBという)の規制が紹介され、立法論として、わが国においてもそのようなルールを定めることが示

唆された

まるって検討されことともなかったま こていつにれこ、くなりまあはとる。けしかし、その後は、ドイツにおるれるさ目注が律規す取関に酬報役締 1)

2

  ドイツにおける上記の規制は一九六五年ドイツ株式法(以下では六五年法という)の下でも維持されたが、実はドイツにおいても、十数年ほど前まで、取締役報酬に関する議論が盛んに行われていたとはいえない状況であった。しかし

ながら、近年になって、ドイツでは取締役報酬に関する議論がにわかに活発になり、二〇〇五年と二〇〇九年には六五年法・HGBの取締役報酬に関する規定が改正された。このような状況の変化は、何をきっかけに生じたものなのだろ

うか。また、取締役報酬に関する規律は、その過程でどのように変容したのだろうか。そして、現在のドイツにおけるそのような規律の全体像は、たとえば米国や英国における規律と大きく異なるものなのだろうか。

  著者はこれまで、上場会社の経営者の報酬に関する規律について、いくつかの論文を公表してきた

経益が、経営者と会社の間の利衝決突という性質には尽きない、定の上会全体の構想は、酬場社において、経営者の報 よその。うな研究 3)

  (三六七)

(5)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一二同志社法学 六二巻二号

営者の監督・経営者へのインセンティブ付与という性質を有していることを前提に、会社法三六一条(平成一七年改正

前商法二六九条)に関する従来の議論を再検討した上で、上場会社の経営者の報酬に関する規律の今後のあり方を探るというものである。これまでの研究では、米国と英国の動向を参考に、経営者の報酬の相当性の審査の問題と、経営者

の報酬の決定過程・開示について検討してきた。本稿は、ドイツにおける取締役報酬に関する規律を取り上げ、著者のこれまでの研究を補強しようとするものである。

  以下、でドイツの上場会社の経営機構や取締役報酬の決定過程・実態等について確認した後、で一九九〇年代以降にドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードを中心とした取締役報酬に関する規律が確立する過程を概観する。

でこのようなドイツにおける動向にも影響を与えるEUレベルでの動向を見た後、で二〇〇五年・二〇〇九年に行われた六五年株式法の改正を中心に、現在のドイツにおける取締役報酬に関する規律の姿を見る。でこのような規律全

体の特徴を明らかにし、そこから日本法にどのような示唆が得られるのか(得られないのか)について検討する。最後に、で、本稿の結論を簡単にまとめる。

  上場会社の経営機構と取締役報酬の決定   ドイツにおける取締役報酬に関する規律の展開を検討する前に、ここでまず、ドイツの上場会社の経営機構・取締役

報酬に関する法規制の概要・取締役報酬の実態について確認する。

  (三六八)

(6)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一三同志社法学 六二巻二号

 

1

上場会社の経営機構   ドイツの株式会社(

A kt ie ng es ell sc ha ft

)は、比較的大規模で

こ株るれさ渡譲に由自が)式(分持の)主株(者資出、 4

とを前提にした会社形態であり

万、てし在存が弱社千四一たで階段月三年九〇〇二い 5)

でのるあで社〇三七は数社会場上 。階段月四年九〇〇二、ちうのそ 6)

7

  ドイツの株式会社の機関構成は、いわゆる二層制の経営機構をとる。株主総会では、監査役員(

A uf sic ht sr at sm itg lie d

)が選任される

M itb g un m tim es

数が二千人を監業超える株式会社の場合、員存従決。ドイツには共同定、()制度が在し 8

査役会は同数ずつの株主代表(株主総会で選任される)と従業員代表から構成される

at ds sr ht sic uf A V st an m or itg lie d

、取締役員は())を選任し( 。会役査監るならか員役査監 9)

、業務執行を監督する 10

d an st or V

)役(会締取が員役締取。 11

を構成し

るれさ 員限を有する。取締役査と監て役員の兼任は禁止権いのつでも述べるように会社指、揮・業務執行・代表に後 12

行監きないが、定款または査は役会は、特定の種類のでと置こ務執行についての措が。監査役会に委譲される業 13

為について監査役会の同意を得る場合にだけ許容される旨を定めることができる

14

  取締役員は一人でもよいが

締取任選が員役るのれ数複は常通、さ 15

それ、は会役査監、合場るさ任選数複が員役締取。 16

のうち一人を取締役会会長(

V or sit ze nd er

)に指名することができる

務取とを職な別特有するが同格の締限役員であると位置付けられる権 の、締役会会長は、他取。締役員との関係では取 17

r de en et rtr ve ell St

長(理代会会役締取は法年五六。 18

V or sit ze nd er

)について定めを置かないが、実務上はしばしば取締役会会長代理が指名される

G ng nu rd so äft ch es

、務合に場取締役会った指かなし名業を長規程(の 会会役締取が会役査監。 19

ポがスを人一の員役締取会役締取ていづともに) 20

ークスマン(

Sp re ch er

)に指名することもある

te ra po or C er ch ts eu D

ス(ドーコ・ンポ。バガ・トーレナーコ・ツイド 21

  (三六九)

(7)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一四同志社法学 六二巻二号

G ov er na nc e K od ex

)は、取締役員が複数選任されること、および、取締役会会長またはスポークスマンを有すること を勧告する

22

  取締役会は、自己の責任の下で会社を指揮しなければならない

限査権のと会総主株・会役監、で方一、はとこのこ。 23

の分配において、会社を指揮する権限が取締役会にだけ属することを意味し

、たに密厳をかるあ義に﹂揮指の社定す﹁、企案立画計の業がるいなきではとこ会が使る全体が行すことを意味する。何 そよの役、で方なう会指揮権限は取締、他 24

企業内の調整、企業の統制、指導的従業員の選任等はこれにあたると考えられている

会項のと役締取でする事も限、会社の指揮にあたる権 年。規の別個が法定五六、にらさ 25

26

  取締役会は、業務執行と代表の権限を有する

うをるれさと則原がとこ行行 役執務業で同共が員締締取締役会が複数の取役。員からなる場合、全取 27

締分役員間での職務担取を定めることがるてきま。もっとも、定款たっは業務規程によで 28

29

実務上もそれが通常であり、たとえば、仕入れ・製造・販売・財務といった分担が定められる

会に取締役員の職務と取締役会全体留々保された職務、および、取締役の個ンドガバナて・コースも業務規程によっ、 ーイツ・コ・ポレート。ド 30

の決議の多数決要件(全員一致または多数決)を規律することを勧告する

のたは項上に述べ会取社事指揮にあ、締るけいならなばれな役し定決で体全会た 分、締役員間での職務担。を定める場合にも取 31

32

  近年では、特に世界規模で活動をする大規模な会社が、取締役会会長を米国風にCEO(

C hie f E xe cu tiv e O ffi ce r

)と呼ぶことがある。完全に米国型のCEO(取締役会会長に他の取締役員への指図権限を与える)を置くことはドイツ 法上許容されないとも議論されるが、許容される範囲内で取締役会会長の地位を強化することで、実質的にはそれに近いものを作り出すことはできるとされる

33

  (三七〇)

(8)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一五同志社法学 六二巻二号

 

2

取締役報酬の決定過程と六五年法の規制   ドイツ法上、取締役員の選任(

B es te llu ng

)と任用(

A ns te llu ng

)が区別される。選任は、株式会社の機関としての

取締役員の法的地位を付与する単独行為である

。対す供提を務役てしに義社会式株は員役締る務てのるす得取を権求請てをいつに酬報、い負取っに約契同、りあでのよ 務は役締取、で約契用任、と方員法会社の債。上の関係を規律するも他 34

任用契約の法的性質は、無償のものでないかぎりは、雇用契約(

D ie ns tv er tr ag

)である

査査で会役、監はのるす監役り会が株式会社を代表するあ 定決ていつに結締の約契用任。 35

、役項事限権、かほの酬報の員締取該当、てっよに約契用任。 36

守秘義務、競業避止義務、契約期間、支配権移転についての条項等が定められる

A us sc hu ss

員委委)に譲会することができる( 権の用契約の締結限。は、監査役会任 37

38

  取締役報酬について、六五年法・HGBは、主に次の二つの点で規制を設けている。①六五年法八七条は、取締役報酬の形で会社資金が過度に流出することから会社およびその株主・債権者を保護することを目的として

、取締役報酬の 39

相当性について監査役会が配慮すべき旨の一般的基準を定めるとともに、会社の状況の悪化に伴う取締役報酬の減額の可能性と、会社が破産した場合の任用契約の解約による取締役員からの損害賠償額の制限について定める

。②取締役報 40

酬については、計算書類の注記(

A nh an g

)・コンツェルン計算書類の注記(

K on ze rn an ha ng

)等における開示が要求される

。①の詳細は 41

2

で、②の詳細は

1

で、さらに検討する。   なお、監査役員の報酬(監査役報酬)は、定款または株主総会によって定められる。監査役報酬についても、上記①②と同様の規制が置かれる

42

  (三七一)

(9)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一六同志社法学 六二巻二号

 

3

取締役報酬の種類   取締役員の報酬は、以下のように様々な構成要素からなる

alt eh G

でな)(給俸、がのも主ちうの素要成構な的定固。 43

ある。俸給の額は、通常、定期的に見直される

un T in nb et eil ig ge n, an G tie m e ew

動的な構成要スと変。るれま素(しては、ボーナスに)のほか、含素も成構な的定固要

un n ge Sa ist le ch er V he sic ru ng sp rä m ie n

付ほか、現物給の料(()や保険。)そ 44

トック・オプション、SAR、ファントム・ストック等がある

45

  変動的な構成要素の中でも古典的なものが、事業年度の成果に結び付けられたボーナスであり、実務上はほとんどす べての取締役員に付与される。支払額の基準として、売上高や配当額のほか、

E B IT

E B IT D A

が用いられることも多 46

に間わたって譲渡禁止期が年設定される(譲渡制限式数株取。株式が報酬として締、役員に付与される場合付 47

)。 48

  ストック・オプションは、ドイツでは、一九九〇年代半ばから、新たな業績連動型報酬として注目された。六五年法 上は、次の二つの形式でのストック・オプションの付与が許容されている。①条件付資本増加を行い、取締役員に新株予約権を付与する形式。このためには、株主総会の特別決議を要する

)件イ、(的目の加増本資付条)ア、(はで議決のこ。 49

新株予約権を付与される者の範囲、(ウ)行使価額または行使価額が算定される基礎、および、(エ)業務執行機関・従業員のグループ別(会社の取締役員、子会社の業務執行機関、会社の従業員、子会社の従業員等々)の新株予約権の付

与数、成果目標、新株予約権の取得・行使期間および新株予約権行使のための待機期間を定めなければならない

決こ自己株式を与える形式。のすためには、株主総会の普通る有行保トック・オプションを使した取締役員に、会社が 。ス② 50

議による自己株式の取得の授権に加え、ストック・オプション行使に伴って自己株式を処分する際に新株引受権排除のための株主総会の特別決議を要する

)れ号が類推適用さ、項①に述べた(エ四二に条た、この場合は。六五年法一九三ま 51

  (三七二)

(10)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一七同志社法学 六二巻二号 の事項が決議されなければならない

前さ式形るい許容れしる以てから用いとてれするあが式形る用、利を債社換転③ら 上が上のほか、六五年法ス。トック・オプション以 52

。ま 53

た、より最近では、取締役員にこのようなオプションを付与する方法ではなく、SARやファントム・ストック等の方法が用いられることも多いともいわれる

54

 

4

上場会社の取締役報酬の実態   近年ではドイツでも、上場会社の取締役員の報酬のうち、ストック・オプション等の

変動的な構成要素が増加している。それに伴い、メディア等では、しばしば、取締役員の高額報酬がとりあげられ、批判が行われるようになった。取締役報酬の相当性に関す

る二〇〇六年の論文の中では、の冒頭に述べるマンネスマン事件のほか、次のような例が挙げられている

二二、ローユ億〇三に度年一〇〇、は社会式株ムコレテ・ツイド。 55

〇〇二年度に二四〇億ユーロを超える連結損失を計上した一方で、同年度に退職した取

締役員に合計二五〇〇万ユーロを超える報酬を支払った。ドイツ銀行株式会社は、約六四〇〇人の解雇を決定したが、取締役会会長の報酬は一〇〇〇万ユーロを超える。

  もっとも、このような批判には、少数の逸話的なデータをもとにした誇張という問題点もあるようである。二〇〇五年から二〇〇七年までのフランクフルト証券取引所のプ ライム・スタンダード上場会社

の下し示を実事なうよる以い、が査調のていつにて 56

57

[表 1 ] 取締役員一人あたりの平均報酬額

(単位:千ユーロ)

サンプル全体 DAX MDAX TecDAX SDAX

その他のプ ライム・ス タンダード 上場会社 2005 769 2533 1191 667 598 352 2006 859 2679 1446 754 939 411 2007 904 2911 1578 843 990 422

  (三七三)

(11)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一八同志社法学 六二巻二号

  [

1

場りたあ人一員役締取の社会上]ドーダンタス・ムイラプ、はの

平均報酬について、全体の数値と、DAX等の指数構成会社ごとの数値を示したものである。同表から、取締役員の報酬の額が、企業の規模によっ

て大きく異なることが分かる。最も大規模な会社であるDAX構成会社の二〇〇七年の取締役員一人当たりの平均報酬額が二九一万一千ユーロであ

るのに対して、いずれの指数をも構成しない会社のそれは四二万二千ユーロにとどまる。

  [ 構、要素の相対的な割合について全構体の数値と、DAX等の指数成な的

2

は、取締役会全体の報酬総額]のちの固定的な構成要素・変動う

成会社ごとの数値を示したものである。同表からは、規模が大きな会社ほど、取締役報酬に占める変動的な構成要素の割合が高いことが分かる。ま

た、たとえば二〇〇七年においては、DAX構成会社で変動的な構成要素が報酬総額に占める割合は平均で七〇%を超えるのに対して、プライム・

スタンダード上場会社全体のそれは四五%にとどまり、ドイツの上場会社全体を見ればなお俸給等の固定的な構成要素が占める割合が高いことがう

かがえる。

  [

3

〇に年のかれずいのでま年七〇]二らか年五〇〇二、は段上のお

いて、ストック・オプション等の株価に連動した報酬を取締役員に付与し

[表 2 ] 報酬の構造

(単位:%)

サンプル全体 DAX MDAX TecDAX SDAX

その他のプ ライム・ス タンダード 上場会社 構成要素固定的

2005 60 30 44 42 57 75

2006 56 31 42 48 49 68

2007 55 29 37 44 48 67

構成要素変動的

2005 40 70 56 48 43 25

2006 44 69 58 52 51 32

2007 45 71 63 56 52 33

  (三七四)

(12)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一一九同志社法学 六二巻二号 た会社が占める割合について、全体の数値と、DAX等の指数構成会社ごとの数値を示したものである。ここからは、規模が大きな会社ほど株価に

連動した報酬を用いる頻度が高いことが分かる。また、[

割要に連動する構成素株の価値が占める価ち会取の額総酬報の体全う役締

3

、は段下の]

合について、全体の数値と、DAX等の指数構成会社ごとの数値を示したものである。ここから、株価に連動する構成要素が報酬総額に占める割合

が必ずしも高くないことが分かる。同じ調査では、全サンプルの九八%の会社では変動的な報酬要素として年に一度支払われる金銭ボーナスを用い

ているとされており、ドイツの上場会社の取締役報酬においては、変動的な構成要素のうちボーナスがなお重要性を有しているといえる。

  取締役報酬をめぐる一九九〇年代以降の動向   ドイツでは、二〇〇〇年代前半に、コーポレート・ガバナンスをめぐる規律が急速に整備された。その中で、取締役報酬についても、ストック・

オプションの普及を契機として、当初は業績連動型報酬に固有の問題点を中心に議論が行われ、その後、取締役報酬の決定過程や開示を中心に取締

役報酬に関する規律が整備された。以下では、このような二〇〇〇年代半

[表 3 ]株価に連動する報酬が用いられる頻度と同報酬の重要性

(単位:%)

サンプル全体 DAX MDAX TecDAX SDAX

その他のプ ライム・ス タンダード 上場会社 2005年から2007年ま

でのいずれかの年に 株価に連動する報酬 を用いた会社

58 90 63 71 43 54

株価に連動する 報酬が占める

割合

2005 7 18 8 15 3 5

2006 9 18 12 20 6 7

2007 8 16 13 18 5 5

  (三七五)

(13)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二〇同志社法学 六二巻二号

ばまでの動向を概観する。

 

1

企業領域における統制および透明化のための法律   先進諸国では、一九九〇年代から、コーポレート・ガバナンスについて盛んに論じられるようになった

。ドイツにお 58

いても、一九九〇年代半ばから、この問題について議論が盛んになった。すでにそれ以前から、ドイツにおいては、株式会社の経営機構をめぐる議論は、監査役会の機能不全という状況にどのように対処するかということを中心に展開さ

れてきた。銀行による事業会社の支配についての問題や、共同決定制度の問題も、監査役会制度の問題といえる

祥はルシャフトの経営危機をじゲめとする一連の大企業の不ゼ・とルような背景が存在したころに、一九九四年にメタ 。のこ 59

事とそれに伴う経営危機・破綻が起こり、監査役会についての制度改革を求める声が強くなった

K G ra T on

よ化明透び)お制た統るけの法めのに律(以下ではと呼ぶお域にた応するため領されなの年が企の業八九九、一 。対に向動なうよのこ 60

による六五年法の改正である

61

 

K on T ra G

は、監査役会制度以外の分野でも、六五年法のルールについて多くの改正を行うものであった。

3

に述べ たストック・オプションのうち、①②の方式を株式法上許容したのも、

K on T ra G

である。ストック・オプションは、取締役員に会社の収益力の向上と金融市場への情報伝達の改善に向けた長期的なインセンティブを与えるものと期待され た。新興企業において、取締役員に多額の固定給を付与する負担を避けつつ、ストック・オプションを付与することで人材を確保するメリットがあるともいわれており

さがなが論議の様同と際たれさ禁解ンョシプオ・クットスで国がわ、 62

れていたことが分かる

63

  (三七六)

(14)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二一同志社法学 六二巻二号

 

2

コーポレート・ガバナンス政府委員会報告書   ドイツにおいては、

1

・に、コーポレートガ契バナンスをめぐる機のにオ述べたストック・プつションの解禁を一議 論の一環として、取締役報酬について論じられるようになった。二〇〇一年に公表されたコーポレート・ガバナンス政府委員会の報告書は

。か下のようにいくつの、勧告を行っている以し員討締役員・監査役の、報酬についても検取 64

  ①六五年法八六条

E B IT D A

に状現るいてっなるうよもれらい用が等にこての。たれさ告勧が除削条応同、れさといないてし適しと準基の   い五六たいてめ定て八つ年スナーボの員役締に六法りスナーボ、たま、あ条で定規な要不、は取 65

れに従い、同条は、

3

法たれさ除削で正改のに年二〇〇二るべ述。   ②ストック・オプションの成果目標

  果る増加を決議すに時資定められる成本付シス条のめたのンョ件プオ・クット 66

目標の如何によっては、取締役員に不当な利益が与えられることが問題とされ、これについては

。律・コードで規すンべきだとされたスナガ・トーレポーバ

3

る述べにドイツ・コ   ③業績連動型報酬の相当性

役績取む含を酬報型動連業役、し示明を旨るれま締員が準査監、うよすた充を基のの性当相が額総酬報含酬型動連績報   酬改に項同てし正一を項う条七八法年五い総﹁オ業の等ンョシプ・報クットスに﹂額六 67

会が配慮すべきだとされた。

  ④ストック・オプション以外の株価に連動する報酬

  き総べすとのもるす要を議決会株主、ていつに酬報なうよのそ 68

かが議論されたが、株式の希釈化の問題が生じないことから、規制は不要だとされた。また、

にス、新株予約権の価値を含め、ト会ック・オプション計画を適切が役ガ・ート・締バナンスコポードにおいて、取レ

3

ーコ・ツイドるべ述に

評価するために必要な事項を株主総会に報告する義務を負う旨を定めることが勧告された。

  (三七七)

(15)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二二同志社法学 六二巻二号

  ⑤行使価額の事後的変更

  、はに変更することま望後しくないとされ的事酬をに連動する報に株ついて行使価額価 69

3

に述べるドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードにおいて行使価額の事後的変更の禁止を定めるかどうかを議論すべきものとされた。

  ⑥ストック・オプションのヘッジング

。もに委るべきねのされたと   かかどう役を監査会める定禁にについては、その止こを任用契約に明示的れ 70

  ⑦監査役員の報酬

れま業のへ員役査監、た、連とこるあで能可はとこ績動す面こ、らかとこるあもス型ナイマはに与付の酬報る入導を態   オに与付のンョシプて・つットスのへ員役査クもい機形酬報るす有を能の検様同、がたれさ討監 71

について勧告は行われなかった。

  ⑧取締役報酬の開示  同報告書は、業績連動型報酬の普及に伴い、そのような報酬が企業の取締役員等に与えるイン センティブの構造についての知識が投資家・従業員・債権者にとって重要な情報となっており、そのような情報が市場に詳細かつ標準化された形式で提供される必要があるとする。そのような情報の開示は十分ではないとされ

、政府委員 72

会は、二〇〇〇年にドイツ会計基準委員会が公表した﹁ストック・オプションおよび類似の報酬形態の会計についての意見書﹂が提案するように

書記細を計算書類の注・のコンツェルン計算詳酬ョ報トック・オプシン、等の業績連動型ス 73

類の注記において開示することを求めた

、式することによってすべての株会すくにこれを要求社るのではな 接正改直けをた、このような開示の義務付の。方法としては、HGBの規定ま 74

3

レ・スンナバガ・トーポにーコ・ツイドるべ述コ

ードにおいて上場会社に要求すること、および、その開示は、固定額の報酬、成果に連動する報酬およびインセンティブ(株価連動型)報酬に区分して行われることが勧告された。これに加えて、HGBの規定を改正し、ストック・オプ

ション等の報酬とそこから生じた収益が、開示されるべき報酬額に含まれる旨を明示することが勧告された

75

  (三七八)

(16)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二三同志社法学 六二巻二号   以上のように、二〇〇一年のコーポレート・ガバナンス政府委員会の報告書においては、ストック・オプション等の業績連動型報酬の普及を背景に、そのような報酬に固有の問題点が主に議論されていたわけである

76

 

3

ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードの制定

 

2

勧会の報告書の告委にもとづいて員府にレ述べたコーポー政ト・ガバナンス

ードレポーコ・ツイ、に年二〇〇二、 77

ト・ガバナンス・コードが制定された。具体的には、同報告書の勧告にもとづいてドイツ・コーポレート・ガバナンス・コード政府委員会が設置され、同委員会によって作成された同コードが、二〇〇二年二月に最終的に確定された

。その 78

後も同委員会によって、同コードの改訂について定期的に議論され、取締役報酬に関する部分を含めて頻繁に改訂が行われている

79

  同コードの具体的内容は、六五年法の規律を確認するもののほかは、大きく、勧告(

E m pf eh lu ng

)と提案(

A nle gu ng

)に分かれる。前者は、コードの文言上は

so ll

という語を用いた文で記されており、このような勧告の内容を遵守しない 場合、会社は、その旨を開示しなければならない。後者は、コードの文言上は

so llt e

ないし

ka nn

という語を用いた文で 記されており、その内容を遵守しない場合にもその旨を開示する必要はない

80

  同コードの制定に伴い、二〇〇二年に、透明性と開示のための株式法および会計法のさらなる改正のための法律(以 下では

T ra ns P uG

と呼ぶ)による六五年法およびHGBの改正が行われた

以ー遵の告勧のドコに同、は会役査監守つよけ(ずらなばれないし言宣年毎、てびおっ会一条によて、上場会社の取締役 っよに法正改の新て一設された六五年。六こ 81

下ではこの宣言を遵守宣言という)、遵守宣言は株主が継続的に入手可能な状態に置かれなければならないものとされ

  (三七九)

(17)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二四同志社法学 六二巻二号

た。

  遵守宣言の内容・開示に関する現在のルールや、取締役報酬に関する現在の同コードの内容は

しの確定単た最初同月コードの内容に二簡にうこおてべ述こ年では、二〇〇二を

3

でこ、がるす介紹

82

  二〇〇二年二月版の同コードでは、現在の同コードと基本的には同様に、六五年法八七条一項の定める相当性の基準が確認され

がよた。ここでは、現在りらも簡略に、取締役報酬れべ構述いて、取締役報酬の成、要素について基準が続 83

固定的な構成要素と変動的な構成要素からなること、ストック・オプションやそれに類似した報酬が事前に定められた比較パラメーターに結び付けられること、成果目標の事後的変更が行われないこと、ストック・オプションやそれに類

似した報酬の具体的な内容が適切な形式で公表されるべきことが勧告された。また、変動的な構成要素の内容について提案がなされた

84

  取締役報酬の開示については、固定的な構成要素・成果に連動する構成要素・長期のインセンティブ効果を有する構成要素に区分した開示が勧告され、報酬の記載が個々の取締役員ごとに行われることが提案された

85

  この他、同コードは、取締役報酬について委員会を設けることができるとしていた

さ内されるとともに、監査役報酬の容確勧なが案提・告の・ていつに示開認がの六性容準に関する基五法の規定の内年 報た、監査役と酬の決定相当。ま 86

れた

87

  以上のように、二〇〇二年二月版の同コードでは、

2

ン同と書告報の会員委府政スナにバガ・トーレポーコたべ述様 に業績連動型報酬の設計やその内容の開示に重点が置かれつつも、取締役報酬全体の設計について言及されていること、また、六五年法八七条一項の定める相当性の基準や、報酬委員会について言及されていることが注目される

。業績 88

連動型報酬に固有の問題のみならず、より一般的に、取締役報酬全体の設計を通じた取締役員へのインセンティブの付

  (三八〇)

(18)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二五同志社法学 六二巻二号 与や、取締役報酬の決定過程が、明確に議論されるようになったのである。

ス・コードの改訂  

4

企業の健全性と投資家保護強化のためのドイツ連邦政府の措置カタログとドイツ・コーポレート・ガバナン

 

2

政ちうの告勧の書告報の会員委府スにンナバガ・トーレポーコたべ述、

3

ーバガ・トーレポコに・ツイドたべ述ナ ンス・コードの制定と

T ra ns P uG

において扱われなかった事項について、ドイツ連邦政府は、二〇〇三年二月に、﹁企業の健全性と投資家保護強化のためのドイツ連邦政府の措置カタログ﹂(以下では措置カタログという)を公表した

。措 89

置カタログにおいては、﹁とりわけ取締役会の株価に連動した報酬(ストック・オプション)の透明性のための、ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードの発展﹂という見出しの下で、以下の点について実現を図るものとされた。

  ①ストック・オプション計画に関する情報提供  同計画について株主総会で決議する前に、これによって付与される報酬の総量についての情報が提供されること、および、会社の機関構成員による株式・オプション・デリバティブの保

有についての開示が行われること。

  ②同計画の開示  個々のストック・オプション計画について、重要な事項を示した開示がなされること。   ③その他機関構成員の報酬についての措置  報酬の上限の定めを行うこと、成果目標を相対的な比較パラメーターと

より強く結びづけること、個々の機関構成員の報酬の開示を義務付けること、ストック・オプション計画に関する六五年法一九三条二項を転換社債を用いるストック・オプションにも適用すること、インセンティブ報酬を六五年法八七条

一項に明示すること、監査役員の顧問・仲介についての給付を開示すること、および、取締役員・監査役員のD&O保

  (三八一)

(19)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二六同志社法学 六二巻二号

険において、一定の自己負担を定めること。

  措置プログラムの公表を受けて、二〇〇三年のドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードの改訂では、同コードのうち取締役報酬に関する部分が、次のように大幅に改訂された

どコとに案提はに時定制ドーの年二〇〇二、ちわなす。 90

まった個々の取締役員の報酬の開示が、勧告とされた。ストック・オプション等の株価に連動する報酬について、これらの報酬が要求度の高く関連性のある比較パラメーターに結びづけられること、通常でない展開に備えて報酬額の制限

可能性を合意すべきことが勧告された。報酬システムの基本的特徴やストック・オプションの価値がウェブ・サイトおよび事業報告において開示されること、さらに、報酬システムの基本的特徴とその変更について監査役会会長が株主総

会に情報を提供すべきことが勧告された。取締役報酬の決定過程については、監査役会全体が、取締役員の任用契約を扱う委員会の提案にもとづいて、報酬システムの構造について定め、定期的に検査することが勧告された。以上のよう

な同コードの改訂は、取締役員の報酬額と業績が連動しているかどうかを投資家が判断するための情報を提供し、報酬システムの透明性を高めることを目的とする。

  以上の改訂によって、取締役報酬について、ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードを中心とする規律が、一応は確立されたといえる。これによって、取締役報酬に対する批判が弱まり、企業への信頼が高まることが期待されたが、

実際には、取締役報酬に対する批判が止むことはなかった。では、そのような状況を受けて二〇〇五年・二〇〇九年に行われた法改正について見るが、その前に、で、EUの動向について概観しておこう。

  (三八二)

(20)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二七同志社法学 六二巻二号   EUの動向   ドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードの改訂や、に述べる取締役報酬に関する近年の動向には、EUレベルでのコーポレート・ガバナンスをめぐる議論も、大きな影響を与えている。以下では、そのようなEUの動向について

概観する。以下で紹介する内容は、いわゆる一層制・二層制いずれの経営機構をとる会社についても妥当するものであるが、記述を簡単にするため、以下では一層制の経営機構を前提にした用語だけを用いる。二層制の経営機構を有する

ドイツの株式会社においては、以下に述べる﹁非業務執行取締役﹂とは監査役員、﹁業務執行取締役﹂とは取締役員を意味し、また、単に﹁取締役﹂といえば監査役員・取締役員いずれも含む。

 

1

会社法専門家ハイ・レベル・グループ報告書   欧州委員会(

E ur op ea n C om m iss io n

)は、二〇〇一年九月に、EUにおける公開買付けおよび会社法規制について勧

告を行うため、会社法専門家ハイ・レベル・グループを組織した。同グループは、二〇〇二年一月に公開買付けに関する報告書を公表した後

・公に関する報告書を表ンした(以下ではハイスナにバ〇〇二年一一月、、コーポレート・ガ二 91

レベル・グループ報告書という

。たっ 次酬に関連して、よののうな勧告を行報者ル営イ・レベル・グー)。プ報告書は、経ハ 92

  ①報酬委員会  EU加盟国のすべての上場会社は、取締役会に、非業務執行取締役だけから構成され、その過半数が独立している、指名委員会・報酬委員会・監査委員会を設けるべきだとされた。そして、この結果を実現する方法とし

  (三八三)

(21)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二八同志社法学 六二巻二号

て、欧州委員会が、加盟国に対して、会社法ルールまたはコーポレート・ガバナンス・コードにおいてそのような規律

を定める実効的なルールを有することを勧告すべきだとされた。﹁実効的な﹂ルールとは、少なくともそのような規律が﹁遵守せよ、さもなければ、説明せよ﹂(

co m ply o r e xp la in

)という方式で実現されるという意味で用いられる

93

  ②取締役報酬についての勧告  取締役報酬については、まず、業績連動型報酬が業務執行取締役と株主の利益を一致させる効果を有することとともに、業務執行取締役に短期的な成果を上げる圧力・会計操作のインセンティブを与える

という望ましくない効果をも有することが指摘される。これについては、業績連動型報酬の禁止ではなく、十分な情報を株主に与え、適切なガバナンス・メカニズムによるコントロールを通じて対処すべきだとされ、具体的には、少なく

とも次の四つの要素を含む規制枠組みを設けることが勧告された

開おさ示定ていおに表時株主総会にい、れるあできべるさて議審に的示明れ て諸)取締役報酬についの。(政策が、会社の財務ア 94

執行務業非・役締取執務業の々個)イ。( 95

行取締役の報酬が

と問酬報の定特るあの題、素にもととるす解理を係要がのとだ要必にめたぐ防をこ報るれさ隠に中の額総酬関準酬報水 あ細きべるれさ示開にい詳ておに表諸務財の社でる、社の役締取と績業の会。、は示開なうよのこ会 96

される。(ウ)ストック・オプション等の株価に連動する報酬については、その計画が、事前に株主総会において承認されるべきである(当該計画が事後に変更される場合も同様)。その際には、報酬委員会が、計画について説明すると

ともに、報酬政策全体と当該計画の関係を説明すべきである

とUてべすの国盟加E上、はみ組枠制規の場上き①記上、りあでべ会るれさ用適に社の以にる類計上されべきである。 )酬報ののウ(記上)つに費いては、そ。(用が計算書エ 97

同様に、欧州委員会が加盟国に対して勧告を行うべきだとされた。

  (三八四)

(22)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一二九同志社法学 六二巻二号

 

2

欧州委員会の行動計画・勧告

 

1

、は、二〇〇三年五月に報員告書﹁EUにおける会会委にグ述べたハイ・レベル・ル州ープ報告書を受けて、欧社 法の現代化とコーポレート・ガバナンスの強化

行動計画﹂を公表した(以下では行動計画という

)、(取締役の強化に関する勧告報執酬委員会に関する勧告を含む行務・ーハイ・レベル業ルグプ立非た報し独の書告 )。、は画計動行 98

および、取締役報酬に関する勧告について、二〇〇五年までに欧州委員会勧告を採択する方針を述べた

99

  以上のような行動計画にもとづいて、欧州委員会は、二〇〇四年一二月に取締役報酬に関する勧告(以下では報酬勧 告という

(取以下では非業務執行締告役勧告という)を公た勧し非)、二〇〇五年二月に業る務執行取締役に関す表 100

欧細ープの勧告に沿って、詳なグ内容を記すものである。ル・概ルれらの勧告は、以下に観するように、ハイ・レベこ 。 101

州委員会は、EU加盟国が、上場会社(その発行する有価証券が規制市場[

re gu la te d m ar ke t

]において取引される会社

ゆら勧をとこるとを置措な切適るるあすのめたるせさ守遵をられこに)告 102

103

  ①取締役報酬についての政策

等て算書類年におい開次示するとともにを計  

er t en em at st n io at un em r

関会社は、会社の報酬政策にす上る報告書)(報酬報告書場 104

降告ある。報酬報書きは、次年度以でべ・、載掲にトイサすブェウの社会 105

の会社の報酬政策に焦点を合わせつつ、当該年度に報酬政策がどのように実施されたかを概観すべきである。報酬政策が変更される場合には特にそれが強調されるべきである。報酬報告書には、少なくとも、取締役報酬のうち固定的な構

成要素と変動的な構成要素の相対的な重要性についての説明、業績連動型報酬の業績基準についての十分な情報、報酬と業績との関連についての十分な情報、ボーナスが付与される基準となる主な指標とそのような付与の理由、および、

年金または退職時の報酬の主な特徴の説明が含まれるべきである。報酬報告書はまた、業務執行取締役の任用契約につ

  (三八五)

(23)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一三〇同志社法学 六二巻二号

いて、会社の政策の概要を述べ、説明すべきである。取締役報酬についての政策が準備され決定される過程に関する情

報もまた、開示されるべきである。

  ②株主による議決権行使

  定議いて明示的に審れさにるべきである。お総会要報酬政策とその重な変更は、定時株主 106

時株主総会において、報酬報告書について決議(拘束決議または勧告決議)をすべきである

107

  ③個々の取締役の報酬の開示

  算益酬とその他の便のた全体が、年次計報されて当該年度におい個々の取締役に付与 108

書類、年次計算書類の注記または報酬報告書において、詳細に開示されるべきである。そこでは、当該年度において取締役であった者について、個人別に、少なくとも次の情報が示されるべきである。(ア)報酬については、給与の総額、

同じ企業グループに属する他の企業から受領した報酬、ボーナスとして支払われた報酬、通常の取締役の職務外の特別な役務の対価、退職した業務執行取締役に支払われる報酬、以上のほか金銭以外の形で付与された報酬の価値。(イ)

ストック・オプション等の株価に連動する報酬については、当該年度に付与されたオプション・株式等の数、当該年度に行使されたオプションの数・それによって交付された株式の数・行使価額・事業年度末における株式インセンティブ

計画における権利の価値、事業年度末において行使されていないオプションの数・行使価額・権利行使期間・主な行使条件、当該年度におけるストック・オプションについての行使条件の変更。(ウ)年金についての情報。(エ)取締役に

対する貸付け等の額。

  ④株価に連動する報酬についての株主の承認

  事付する報酬をす与連る計画は、動に価株の等ンョシプオ・クットス 109

前に株主総会において承認されるべきである。株主総会においては、それとともに、付与の上限と付与手続きの主要な条件、オプションの行使条件、行使価額の事後的変更のための条件、その他の長期インセンティブ計画について決議さ

れるべきである。株主総会は、これらの計画にもとづいて取締役に報酬が付与される期限、これらの計画の条件の重要

  (三八六)

(24)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一三一同志社法学 六二巻二号 な事後的変更等についても決議すべきである。

  ⑤報酬委員会  取締役会は、十分な数の独立した取締役が、業務執行取締役の潜在的な利益衝突が特に高い分野にお いて効果的な役割を果たすような仕方で組織されるべきである。そのために、指名委員会・報酬委員会・監査委員会が取締役会内に設けられるべきである

べ半成され、その過数らは独立している構か業け酬委員会は非務。執行取締役だ報 110

きである

の行報るれさ与付に役締取執に務業の々個、案提の策酬つ酬約酬報、案提のていつに契い用任な切適、案提のて政報る るできべう行をとこの次もとくな少、は会員委酬あ。(。てす認承で会役締取、いアつに役締取行執務業)報 111

開示に関する規定の遵守過程を取締役会が監視することの補助。(イ)上級従業員について、報酬の水準と構造に関する勧告を業務執行取締役に行うこと、および、そのような上級従業員の報酬の水準・構造の監視。(ウ)ストック・オ

プション等の株価に連動する報酬について、そのような報酬に関する計画についての一般的な政策の議論、そのような報酬について年次報告書および株主総会で提供される情報の審査、ストック・オプションの形態についての提案。報酬

委員会は、少なくとも取締役会会長に業務執行取締役の報酬に関する意見を照会するとともに、報酬システムに関する情報を得るためにコンサルタントを利用することができるべきである

112

 

3

ストック・オプションの費用計上

 

で二の準基計会際国の年〇用〇二。るいてれさ現実適に形E場市制規の国盟加U、関てっよに則規UEるす

1

②動に上計用費の酬報るす連いに価株たべ述に)エ(つてな報よの次、は告勧の書告プのールグ・ルベレ・イハう

においてそ 113

の発行する証券が取引される(親)会社は、同規則の定める手続を通じて適用が決定された国際会計基準に従って連結

  (三八七)

(25)

ドイツにおける取締役報酬に関する規律一三二同志社法学 六二巻二号

計算書類を作成することを義務付けられている

に正酬報るす動連に価株、てっよに改〇。則規同の年五の〇二、てしそ 114

関する国際財務報告基準(以下ではIFRSという)二号の適用が決定された

報にの株価に連動する務酬おンいて受領した物品また等ョ役識いならなばれけなれさ認シてしと用、費がク・オプは よッFRS二号にれ。ば、会社がストI 115

116

ストック・オプションの費用は、原則として、会社が受領した物品または役務の価値とされ、これは、付与されるエクイティの付与日における公正な価値とされる。そのような公正な価値は、(それがある場合には)市場価格にもとづき、

エクイティが付与される期間および条件を考慮して測定される

117

 

4

金融危機を受けての動向   欧州委員会は、二〇〇九年四月に、

下ういと告勧充補はで

2

務・った(以業非告を勧酬報たべ述行告執を行取締役勧告補勧充にるためのす け一欧州委員会の連がの措置の一つでた受る〇)。同勧告は、二〇を八年の金融危機あ 118

、適用対 119

象は金融機関に限られず、上場会社一般とされる。金融危機によって、金融機関の経営者の報酬が短期的な利益を追求するため過度にリスクの高い実務に従事するインセンティブを与えるものであることが注目されたが、それだけでな

く、金融機関に限らず、経営者の報酬の増加と、報酬の構成要素のうちでも変動的なものの重要性が増していることが、同勧告の契機となった

120

  欧州委員会は、EU加盟国が、報酬勧告・非業務執行取締役勧告の適用対象となる上場会社

ゆ置適る措らあのめたをなとることを勧告する切 るせさ守遵を告勧充補に 121

。、るあでりおとの次は要概の告勧充補。 122

  ①取締役報酬についての政策の構成

  変要報酬政策が素動的な構成 123

を動限上に素要成構な的変、は社会、合場む含を 124

  (三八八)

参照

関連したドキュメント

2.取締役の報酬等の総額には、以下のものが含まれています。

Delman, Structuring Say-on-Pay : A Comparative Look at Global Variations in Shareholder Voting on Executive Compensation, 2010 Colum. Kaplan, Corporate Governance and Merger Activity

遵守または説明』による勧

ことのみを以て日本の法制度と整合的であるとは限らないため,比較的有

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